説明

包装用容器の蓋体、及び、これを用いた包装用容器

【課題】変形により外観を損なうことがなく、しかも、天板部での荷重に対する十分な強度を有する蓋体及び、これを用いた包装用容器を提供する。
【解決手段】平面部分を有する天板部11と、当該天板部11に連接される側壁部12と、当該側壁部12に連接されるフランジ部13とを備えた、平面視にて多角形形状である包装用容器の蓋体1において、前記天板部11における周縁部分であって、前記多角形の隅部Xには、当該隅部を形成する各辺に沿うようにズレ防止用突起14が設けられ、前記天板部11における平面部分111と前記ズレ防止用突起14との境界に、前記ズレ防止用突起14の突出方向とは反対方向へ凹む境界凹部15が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用容器の蓋体、及び、これを用いた包装用容器に関するものである。特に、合成樹脂シートにより成形される蓋体及びこれに嵌合される容器本体、及び、この蓋体と容器本体とで構成される包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、弁当や惣菜等は、これを特定の包装用容器に入れて運搬や販売等がなされており、そのための包装用容器も多岐にわたって製造されている。この包装用容器として、蓋体を使用したものが衛生的であることなどから、合成樹脂を使用して蓋体が形成され使用されている。
【0003】
ところで、これらの包装用容器の蓋体は、合成樹脂シート(例えばポリエチレンテレフタレート(A−PET)、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂)などのシートや、これらを延伸した延伸シートを材料として、真空成形、圧空成形、両面真空成形、熱板成形などの熟成形によって製造されている。これらの合成樹脂シートはその厚みをより薄くすることにより、より軽量化することが求められている。特に、蓋体が容器本体に嵌合された包装用容器を、運搬箱中に収納したり、店舗の陳列棚に陳列したりする場合には、例えば3〜5段に積み重ねされる。このような多段に積み重ねる作業をする際や、購入のために消費者が容器を手に取ろうとした際などに、このような薄肉の合成樹脂シートを成形した蓋体は、その一部に外力が加わり、特に包装用容器の蓋の隅部(コーナー部)において変形を生じやすい。そして、一旦変形してしまうと元の形状へ戻り難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭54−104332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような包装用容器において、例えば特許文献1には、図4に示すように、包装用容器100における蓋体の四隅のコーナー部及び辺中央部に、平面視で略L字状(コーナー部)及び略直方体状(辺中央部)の突起101を設けたことが開示されている。
【0006】
しかし、容器本体として、底面部に脚部を設けた容器本体を用いた包装用容器(例えば、底面視四角形形状の容器本体の四隅部に脚部を設けた包装用容器)では、複数の包装用容器を積み重ねた際に、前記脚部と当接することとなる蓋体の四隅部に、包装用容器内に収容した食品等による荷重(応力)が集中する。この集中する荷重(応力)により、包装用容器の積み重ね時に下方に位置する蓋部の天板部における四隅部付近に設けた前記突起101が変形してしまい、積み重ね状態でなくなった後にも、この変形が元に戻らず外観を損ねるという問題があった。
【0007】
また、店頭で食品等を収容した包装用容器を積み重ねる作業の際に、上に積む容器が下側に位置した容器の前記突起101に引っ掛かって、積み重ね作業の作業性が悪いといった問題もあった。
【0008】
一方、前記軽量化の要請があるにもかかわらず、容器本体に収容した食品などの荷重により、蓋体の天板部が撓んでしまうことを避けるため、厚みの厚い合成樹脂シートを使用して蓋体を成形しなければならないという、相反する制約があった。
【0009】
そこで本発明は、変形により外観を損なうことがなく、しかも、天板部での荷重(応力)を吸収して、当該荷重(応力)が解除された後は速やかに元の形状に復元する蓋体、及び、これを用いた包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の発明者は、非常に薄肉の合成樹脂シートによって成形した容器において、特に、前記荷重(応力)を吸収し、店頭で積み重ねる作業性を向上させ、しかも、一旦変形しても直ぐに元の形状に復元させるにはどうしたらよいかについて種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明は、平面部分を有する天板部と、当該天板部に連接される側壁部と、当該側壁部に連接されるフランジ部とを備えた、平面視にて多角形形状である包装用容器の蓋体において、前記天板部における周縁部分であって、前記多角形の隅部には、当該隅部を形成する各辺に沿うようにズレ防止用突起が設けられ、前記天板部における平面部分と前記ズレ防止用突起との境界に、前記ズレ防止用突起の突出方向とは反対方向へ凹む境界凹部が設けられたことを特徴とする。
【0012】
このように、包装用容器の積み重ね時に最も荷重(応力)のかかる蓋体にズレ防止用突起が設けられ、更に、境界凹部が設けられたことにより、蓋体の隅部に集中する荷重(応力)を吸収できる。
【0013】
また、本発明の前記ズレ防止用突起は、前記天板部における平面部分寄りに内側斜面部、前記側壁部寄りに外側斜面部を備え、前記外側斜面部は、前記内側斜面部に比べて、前記天板部における平面部分を基準とした傾斜が緩やかとされたものであることが好ましい。
【0014】
このように、外側斜面部は、内側斜面部に比べて傾斜が緩やかとされたことにより、包装用容器のズレを防止でき、しかも、積み重ね作業時に包装用容器同士が引っ掛かりにくくなり、作業性を向上できる。
【0015】
また、本発明は、前記蓋体と、当該蓋体が取り付けられる容器本体とを備え、前記容器本体は、前記蓋体におけるズレ防止用突起の前記内側斜面部に沿う形状とされた部分を有する脚部を備えたことを特徴とする包装用容器である。
【0016】
このように、ズレ防止用突起と境界凹部が設けられた蓋体と、脚部を備えた容器本体とが組み合わされたことにより、包装用容器の積み重ね時に最も荷重(応力)のかかる蓋体の隅部に集中する荷重(応力)を吸収できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蓋体に設けられたズレ防止用突起及び境界凹部により、蓋体の隅部に集中する荷重(応力)を吸収できるので、ズレ防止用突起が変形したままの状態とならない。このため、蓋体に荷重(応力)がかからなくなった場合には、速やかに元の形状に復元する。
【0018】
また、本発明によれば、外側斜面部及び内側斜面部により、包装用容器のズレを防止できる。このため、包装用容器の積み重ね時に、確実な積み重ねができる。しかも、積み重ね作業時に包装用容器同士が引っ掛かりにくいため、作業性を向上できる。
【0019】
また、本発明によれば、前記蓋体と脚部を備えた容器本体とが組み合わされたことにより、包装用容器の積み重ね時に最も荷重(応力)のかかる、蓋体の隅部に集中する荷重(応力)を吸収できる。このため、蓋体に荷重(応力)がかからなくなった場合には、速やかに元の形状に復元する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器のうち、蓋体を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る包装用容器のうち、容器本体の底面側を示す斜視図である。
【図3】(a)(b)は、本発明の一実施形態に係るズレ防止用突起周辺の要部拡大縦断面図であり、(a)は通常の状態、(b)は上方からの荷重(応力)を受けている状態を示す。(c)は(a)のうち、境界凹部周辺を拡大して示した図である。
【図4】従来の包装用容器の一例についての、蓋体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る包装用容器について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の位置関係の表現のうち、「上下」とは、図1に示す方向で蓋体を配置し、図2に示す方向と上下逆の方向で容器本体を配置した場合である、包装用容器の使用状態における上下方向を指し、「内外」とは、同使用状態の包装用容器における収容空間を基準とし、包装用容器の周囲へと向かう方向を外方向、それとは逆の方向を内方向と定めたものである。
【0022】
[包装用容器]
この包装用容器は、図1に示す蓋体1と、図2に示す容器本体2とから構成されている(なお、図2は、容器本体2を底面側から見た斜視図である)。容器本体2は、上方に開口部を有し、この開口部から収容物を収容可能とされている。蓋体1は、容器本体2に対して着脱可能とされている。そして、蓋体1を容器本体2に取り付けた際には、蓋体1と容器本体2との間に、収容物を収容する収容空間が形成される。
【0023】
この包装用容器の形状は、平面視にて多角形状とされている。本実施形態においては、包装用容器を構成する蓋体1及び容器本体2の外形形状が、四隅にアールが形成された長方形形状とされている。なお、本発明における「多角形」とは、頂点と当該頂点から延びる辺とから構成された図形全般を指す。辺については、直線状の辺に限られず、曲線状の辺であっても良い。また、対称(線対称、点対称)の形状でなくても良い。また、頂点についても、必ずしも角(鋭角、鈍角)が形成されてなるものに限られず、本実施形態のようなアールや面取りが形成されたものであっても良い。
【0024】
この包装用容器の蓋体1及び容器本体2は、合成樹脂製シートが熱成形されて形成されている。合成樹脂製シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、もしくは、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂などのシートや、これらを適宜延伸させた延伸シートなどが挙げられる。熱成形としては、例えば真空成形、圧空成形、両面真空成形、熱板成形などが挙げられる。そして、容器本体2としては、前記合成樹脂を発泡させた合成樹脂製シートや、これらに適宜、合成樹脂シートをラミネートした積層シートを熱成形して形成することができる。また、蓋体1としては、透明性に優れた合成樹脂製シートを用いることが好適である。
【0025】
[蓋体]
次に、蓋体1について説明する。この蓋体1は、容器本体2の開口部を覆うことのできるように形成されている。具体的には、この蓋体1は、図1に示すように、天板部11と、蓋体側壁部12と、蓋体フランジ部13とから構成されている。
【0026】
天板部11は、包装用容器の使用状態にて、容器本体2に蓋体1が取り付けられた際に、容器本体2の開口部の上方に位置するように形成されている。本実施形態の天板部11は、当該天板部11の周縁部分においてズレ防止用突起14(後述)が形成された部分を除いた、平面部分である平面部111が水平方向に延びる面とされている。この天板部11は、容器本体2の開口部に対応した形状(即ち、平面視にて四隅にアールが形成された長方形形状)に形成されている。言い換えると、前記形状は天板部11の周縁により規定された形状である。
【0027】
この天板部11は、大部分が平面部111とされており平板状とされている。そして、極力、凹凸部または段差などが設けられないものとされている。そして、天板部11は透明とされている。このため、特に、蓋体1が容器本体2に取り付けられた際に、上方からの視認性を良好にできる。よって、消費者に対し、包装用容器の収容物の品質(例えば、美しさ、美味しさ、新鮮さ)等を十分に訴求できる。
【0028】
蓋体側壁部12は、前記天板部11の周縁に連接して一体に形成されている。この蓋体側壁部12は、天板部11の周縁から外方向かつ下方に延びる面(斜面)を有する。この蓋体側壁部12のうちで、平面視における長方形の各辺(面取り部分を除いた辺、以下同じ)に沿う面の中央には、中央補強リブ121が設けられている。この中央補強リブ121は、蓋体側壁部12の表面から内方向に凹んで形成された凹部であり、蓋体側壁部12の上端から下端に至って設けられている。また、前記中央補強リブ121を挟んだ隅部側の両側には、側方補強リブ122が設けられている。この側方補強リブ122は、蓋体側壁部12の表面における隅部側よりも中央側が凹むように形成された段差であり、前記中央補強リブ121と同じく、蓋体側壁部12の上端から下端に至って設けられている。中央補強リブ121及び側方補強リブ122が蓋体側壁部12に形成されたことにより、蓋体1にかかる下方向の外力に対する、蓋体1の強度を向上できるので、このように補強リブ121,122を形成した態様は好ましい態様である。なお、補強リブ121,122に代えて、あるいは、補強リブ121,122と共に、蓋体側壁部12に凸条、波型などを形成することにより、蓋体1の強度を向上させても良い。
【0029】
また、蓋体側壁部12の下端部には、当該蓋体側壁部12の表面から外方向に突出する、略立方体状のブロッキング防止突起123が設けられている。このブロッキング防止突起123は、蓋体1が熱成形された後の工程において、複数の蓋体1…1を重ね合わせる(スタッキングする)際に、重ねられた複数の蓋体1同士が密着して離れ難くなることを防止するものである。このブロッキング防止突起123の存在により、重ねられた複数の蓋体1を個々の蓋体1に分離させることが容易となる。このブロッキング防止突起123は、合成樹脂製シートから同時に成形される複数の蓋体1ごとに、別々の位置に複数設けられている。よって、同時に成形され、その後に重ね合わされた複数の蓋体1におけるブロッキング防止突起123が同一の位置に存在しないようにできるため、蓋体1同士が密着してしまうことを有効に防止できる。
【0030】
蓋体フランジ部13は、前記蓋体側壁部12に連接して一体に形成されている。この蓋体フランジ部13は、張出部131、垂下部132、外縁部133から構成されている。張出部131は、蓋体側壁部12の下端から外方向に延びる水平面を有する部分である。垂下部132は、前記張出部131の周縁から略下方に延びる面を有する部分である。外縁部133は、前記垂下部132の下端から略水平外方向、もしくは、外方向下向きに傾斜して延びる部分である。
【0031】
垂下部132の内面のうち一部には、内方向に突出した係合突起(図示しない)が形成されており、当該係合突起が容器本体2の外縁部232と係合することにより、容器本体2に蓋体1を取り付けた状態を保持できる。この係合は、本実施形態においては、容器本体2の外側に蓋体1が嵌合するいわゆる「外嵌合」タイプとされているが、これとは逆に、容器本体2の内側に蓋体1が嵌合するいわゆる「内嵌合」タイプとされていても良いし、「外嵌合」と「内嵌合」とを併用するものであっても良い。
【0032】
外縁部133は、垂下部132の下端から略水平方向に突出して設けられている。この外縁部133の周縁には、極細の多数の凹凸を形成することで、指などが当たっても創傷することがないようにされている。この凹凸により、蓋体1を側面視すると、上下に波形状である部分が形成される。前記波形状である部分は、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0033】
天板部11の周縁近傍である周縁部のうち、平面視における長方形の各隅部Xには、これらの隅部Xを形成する、アールを含む各辺に沿うようにして、平面部111を基準として上方へ突出するズレ防止用突起14が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、アール部と当該アール部を挟む両側の辺とにわたってズレ防止用突起14が設けられている。このズレ防止用突起14は、延長方向中央側の中央部141と、当該中央部141を両側から挟む両端部142とから構成されている。
【0034】
中央部141は、図3(a)に示す、当該中央部141の延長方向に対して直交する縦断面形状にて、突出高さ(平面部111を基準とした上方への突出高さを指す)の最も高い領域である頂部141aを挟んで、平面部寄り側面である内側斜面部141bと、蓋体側壁部寄り側面である外側斜面部141cとが形成されている。内側斜面部141bは、平面部111と境界凹部15(後述)を介して連接している。また、外側斜面部141cは、蓋体側壁部12と連接している。
【0035】
平面部111を基準とすると、内側斜面部141bは外側斜面部141cと対比して急斜面とされ、外側斜面部141cは内側斜面部141bと対比して緩斜面とされている。前記各斜面の角度は特に限定されないが、内側斜面部141bについては、平面部111基準で70〜90度とすることが好ましい。そして、外側斜面部141cについては、同基準で30〜60度とすることが好ましい。このように、中央部141は、延長方向に直交する縦断面では左右対称形になっておらず、略片勾配の斜面を有する形状である。なお、前記各斜面部141b,141cは、図示したように凸面とされている。
【0036】
一方、ズレ防止用突起14の両端部142は、図1に示すように、端部に向かうにつれ平面部111に対して漸次低くなる形状とされている。本実施形態では、この両端部142の上面は凹面とされているが、これに限定されない。
【0037】
このようなズレ防止用突起14を形成することにより、包装用容器を積み重ねる際に蓋体1において最も荷重(応力)のかかる隅部Xの補強をすることができる。
【0038】
内側斜面部141bは外側斜面部141cと対比して急斜面とされているため、包装用容器を積み重ねる際に上に積もうとする包装用容器の底部(本実施形態では脚部24)が当接して確実に係止できるので、包装用容器のズレを有効に防止できる。そして、外側斜面部141cは内側斜面部141bと対比して緩斜面とされているため、店頭で店員などの作業者が包装用容器の積み重ね作業を行う際、上に積もうとする包装用容器の底部を下に位置する包装用容器の外側斜面部141c上で滑らせ、所定の積み重ね位置まで移動させることができる。よって、上に積もうとする包装用容器が下に位置する包装用容器におけるズレ防止用突起14に引っ掛かりにくく、積み重ね作業の作業性を向上できる。
【0039】
そして、両側部142は、端部に向かうにつれ漸次低くなる形状であるため、前記外側斜面部141cと同様、積み重ね作業の際、上に積もうとする包装用容器の底部を下に位置する包装用容器の両側部142上で滑らせることができる。よって、上に積もうとする包装用容器が下に位置する包装用容器におけるズレ防止用突起14に引っ掛かりにくく、積み重ね作業の作業性を向上できる。
【0040】
ズレ防止用突起14と天板部11における平面部111との境界には、図1及び図3(a)〜(c)に示すように、天板部11の平面部111を基準として下方向へ凹む(下方向に突出する)溝状の境界凹部15が設けられている。
【0041】
境界凹部15は、図3(c)に示す、ズレ防止用突起14の延長方向に直交する縦断面形状にて、凹み深さ(天板部11の平面部111を基準とした下方への凹み深さ(突出高さ)を指す)の最も深い領域である底部15aを挟んで、ズレ防止用突起寄り側部である外側側部15bと、平面部寄り側部である内側側部15cとが形成されている。外側側部15bは、ズレ防止用突起14における内側斜面部141bと連接している。内側側部15cは、平面部111と連接している。そして、平面部111を基準とすると、外側側部15bは内側側部15cと対比して急斜面とされ、内側側部15cは外側側部15bと対比して緩斜面とされている。
【0042】
このように境界凹部15が設けられたことにより、ズレ防止用突起14の内側縁部にこの境界凹部15が沿うことになる。このため、特に、この境界凹部15の延びる方向に加えられる曲げ応力をスムーズに吸収することができる。
【0043】
また、図2に示すような、脚部24を備えた容器本体2を用いた場合、包装用容器の積み重ね時に、収容物が収容された容器本体2の荷重が天板部11の隅部Xにかかる。このように、上方からの荷重(応力)が隅部Xにかかった場合、図3(b)に示すように、境界凹部15が広がるような(つまり、溝が広がるような)形状にスムーズに変形する。なお、上記のように、内側側部15cは外側側部15bに比べて、傾斜が緩やかとされているため、前記変形は、特に内側側部15cにおいてなされる。この境界凹部15の変形により、前記荷重(応力)が吸収される。そして、包装用容器が積み重ね状態でなくなった後、ズレ防止用突起14、境界凹部15、平面部111(特に隅部X)の各々が有する弾性により、速やかに、図3(a)に示す元の形状に復元される。
【0044】
このように境界凹部15を形成することにより、包装用容器を積み重ねる際に、蓋体1において最も荷重(応力)のかかる隅部Xを補強し、蓋体1の強度をさらに向上することができ、かつ、形状の復元性も向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態の境界凹部15は、図1に示すように、ズレ防止用突起14における中央部141に沿って設けられているが、ズレ防止用突起14に対する境界凹部15の形成長さは、これに限らず、例えば、ズレ防止用突起14の両端と平面部111との境界まで延長することで、ズレ防止用突起14と平面部111との境界全てに境界凹部15が設けられていても良い。
【0046】
[容器本体]
次に、容器本体2について説明する。この容器本体2は、図2に示すように、底面部21と、本体側壁部22と、本体フランジ部23と、底面部21から下方(図2上では上方)に突出する脚部24とから構成されている。
【0047】
底面部21の上面には収容物が載置される。この底面部21は、上面の形状が平坦なものであっても良いし、補強リブ、または、収容物を配置する際に用いる仕切りや凹凸が設けられても良い。
【0048】
本体側壁部22は、前記底面部21に連接して形成されている。この本体側壁部22は、底面部21の周縁から外方向かつ上方向に延びる面(斜面)を有する。この本体側壁部22の上端部によって開口部が形成される。なお、蓋体側壁部12の中央補強リブ121と同様、本体側壁部22に補強リブが設けられていても良い。
【0049】
容器本体2は、本体側壁部22が斜面を有することで、平面視における断面積が底面部21側から上方側(開口部側)に向かうにつれ広くなるように形成されている。
【0050】
本体フランジ部23は、前記本体側壁部22に連接して形成されている。この本体フランジ部23は、張出部231と外縁部232から構成されている。張出部231は、本体側壁部22の上端から外方向に延びる部分である。この張出部231は、上方に凸となる湾曲面を有している。外縁部232は、前記張出部231の周縁から略水平外方向に延びる部分である。この外縁部232は、蓋体1における蓋体フランジ部13の内面に設けられた係合突起(図示しない)と係合することで、容器本体2に蓋体1を取り付けた状態を保持できる。
【0051】
外縁部232は、周縁に、極細の多数の凹凸を形成することで、指などが当たっても創傷することがないようにされている。この凹凸により、容器本体2を側面視すると、上下に波形状である部分が形成される。前記波形状である部分は、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
【0052】
脚部24は、接地部241と外側面部242とを備えている。図2に示すように、この脚部24は、底面視で角の取れた略扇形とされ、底面部21の四隅に設けられている。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明の包装用容器は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、蓋体1と容器本体2につき、本実施形態では別々に構成したが、これに限られず、いわゆる「フードパック」など、蓋体1と容器本体2とを連接部(ヒンジ部)を介して一体に構成しても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 蓋体
11 天板部
111 平面部分、平面部
12 側壁部、蓋体側壁部
13 フランジ部、蓋体フランジ部
14 ズレ防止用突起
141b 内側斜面部
141c 外側斜面部
15 境界凹部
2 容器本体
23 フランジ部、本体フランジ部
X 蓋体における多角形の隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部分を有する天板部と、当該天板部に連接される側壁部と、当該側壁部に連接されるフランジ部とを備えた、平面視にて多角形形状である包装用容器の蓋体において、
前記天板部における周縁部分であって、前記多角形の隅部には、当該隅部を形成する各辺に沿うようにズレ防止用突起が設けられ、
前記天板部における平面部分と前記ズレ防止用突起との境界に、前記ズレ防止用突起の突出方向とは反対方向へ凹む境界凹部が設けられたことを特徴とする包装用容器の蓋体。
【請求項2】
前記ズレ防止用突起は、前記天板部における平面部分寄りに内側斜面部、前記側壁部寄りに外側斜面部を備え、
前記外側斜面部は、前記内側斜面部に比べて、前記天板部における平面部分を基準とした傾斜が緩やかとされたことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓋体と、当該蓋体が取り付けられる容器本体とを備え、
前記容器本体は、前記蓋体におけるズレ防止用突起の前記内側斜面部に沿う形状とされた部分を有する脚部を備えたことを特徴とする包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−67400(P2013−67400A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206199(P2011−206199)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】