説明

包装用容器

【課題】 この発明は、底部を上げ底状としなくとも、ゲル状内容物を型くずれすることなく取り出すことができる包装用容器を得ることを課題とするものである。
【解決手段】 この発明の包装用容器は、フランジ付きの容器であって、フランジ上面に蓋体を接着して容器を密封するようにしたものにおいて、前記フランジ2には蓋体8の外縁側を分離可能とする切断線3を形成し、前記切断線の外縁側を蓋体接着部9とし、内縁側は蓋体無接着部とし、前記フランジの切断線3を始点としてフランジ内縁に向けて、補助切断線4を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装用容器に充填された内容物、例えばプリン、ゼリー、豆腐などゲル状のもの、を型くずれすることなく取り出すことのできる包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体状若しくは流動性の高い材料を包装用容器に充填し、容器内で固化して製造するプリン、ゼリー、豆腐などは、固化した状態において内容物と容器内壁との間に空隙がほとんど存在しない。
そのために、容器を開封して逆さに向けても、内容物は落下せず、これを簡便に取り出すことができない。
【特許文献1】特開平11−43190
【0003】
上記発明は、容器底部に突起を設け、この突起を折ることにより容器底部に空気孔を形成し、ここから容器内に空気が流入することにより、内容物が容器内壁から剥がれやすくなり、容器を逆さにすることによって、内容物が型くずれすることなく落下するようにしたものである。
【0004】
上記構成においては、底部に突起を形成するために、底部を上げ底状にしなければならないという問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、底部を上げ底状としなくとも、ゲル状内容物を誰もが簡便に型くずれすることなく取り出すことができる包装用容器を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の包装用容器は、フランジ付きの容器であって、フランジ上面に蓋体を接着して容器を密封するようにしたものにおいて、前記フランジには蓋体の外縁側を分離可能とする切断線を形成し、前記切断線の外縁側を蓋体接着部とし、内縁側は蓋体無接着部とし、前記フランジの切断線を始点としてフランジ内縁に向けて、補助切断線を設けて構成する。
【0007】
前記補助切断線の構成は、切断線を始点としてフランジから容器の側壁上部にかけて対向して2本設けられ、2本の補助切断線に挟まれた部分を開口できるようにする構成(請求項2)と、切断線を始点としてフランジ内縁に亘って設け、補助切断線によって容器開口部が膨出できるようにする構成(請求項3)とがある。
後者においては、補助切断線を蓋体の開封方向と平行又は開封方向に逆らう方向に形成すること、開封時に補助切断線が引き裂かれるおそれがなく好ましい(請求項4)。
【0008】
前記切断線は、容器を開口できればよく、必ずしも環状に設ける必要はなく、環状不完結に設けることもできる。
この発明における開封用切断線及び変形用切断線は、完全に切断されたものの他、切断容易となるような溝も含まれる。また、この発明の容器の素材は、合成樹脂に限られることなく、紙でもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明の包装用容器は、ゾル状の流動性のある原料を充填封入し、フランジに蓋体を接着し、蓋体を引き剥がして容器内で固化してゲル状となった内容部とを取り出すものである。
内容物の取り出し時に、蓋体を引き剥がすと容器のフランジに形成された補助切断線が露出する。
請求項2の発明においては対向する補助切断線に沿って容器を破断し、補助切断線の間部分を外側に折りまげることにより、該部が開口し、空気孔が得られる。この空気孔から空気が容器内壁と内容物との間に流入するので、内容物が容器内壁から剥離し、容器を逆さに向けると、内容物は自重で落下するので、内容物を型くずれすることなく取り出すことができる。
請求項3の発明においては、変形用の補助切断線の部分でフランジを横に広げ気味に引っ張ると容器の周壁は外側にふくれるので、容器周壁と内容物との間に空気が入る。この状態で容器を逆さに向けると、内容物は自重で落下するので、内容物を型くずれすることなく取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1における容器1は、合成樹脂のインジェクション成形により成形されている。
前記容器1の外周部にはフランジ2が設けられている。フランジ2において下面から上面に向けて、開封用切断線3となる溝が環状に形成されている(なお、溝は上面側に形成してもよい)。
【0011】
フランジ2から容器1の側壁上部にかけて、フランジ2には切断線3を始点として内容物収納面線以下に至る2本の補助切断線4が平行に形成され、両補助切断線4,4の下端間に折りまげ用溝5が形成されている。前記補助切断線4は、引っ張り力によって容易に切断できる溝である。図中6は開封用の摘みである。
【0012】
以下この容器の使用方法を説明する。
容器1に内容物(例えばプリンや豆腐)を充填した後、容器1の開口部7を塞ぐための蓋材8がフランジ2の上面に熱溶着などの手法によりシールされる。フランジ2と蓋材8のシール位置は、切断線3よりもフランジ外縁側とし、切断線3よりも内縁側は無接着部とする。
【0013】
この容器における蓋材8を除去する手法は以下の通りである。
まず、フランジ2に突設された摘み6部分で、蓋材8とフランジ2とを指で摘み、次いで摘んだ指を引き上げると、フランジは切断線3で切断される。
したがって、フランジ2のの切断線3より外縁側と蓋材8が一体となって容器本体1から分離される。その結果、蓋材8は除去され、容器は開口する。
このとき、蓋材8の接着部12を剥離する必要はない。
【0014】
蓋材8を除去した後、フランジ2の補助切断線4,4に沿ってフランジ及び側壁上部を破断し、挟まれた部分を摘み、下方へ引き下げ、折りまげ用溝5に沿って折りまげると、フランジから容器の側壁にかけて開口部9が得られる(図4)。
この開口部9から空気が容器に充填された内容物と容器の内側壁との間に流入し(前記切断操作により容器側壁は外側へ引っ張られるので、内容物と内側壁の間に若干の間隙が生じる)、容器の天地を逆にすることにより内容物は自然に落下し、型くずれのおそれなくこれを取り出すことができる。
【0015】
上記において、蓋材8は切断線3よりも外側でとシールされているので、切断線3の位置で切断されたフランジの外縁側とともに、シールを剥離することなく、容器1から容易に除去することができる。したがって、シール強度は蓋の除去の難易差に影響しないので、内容物の安全性を確保すべくシール強度を高くしながら、蓋を容易に開封することができる。
【0016】
また、蓋材8は周縁部にフランジが付着した状態で蓋材の除去作業が行われるため、蓋材の周縁部の強度は蓋材のみを容器から剥離する場合よりも高くなっており、開封途中で蓋材が破れてしまうことがない。
なお、上記のように蓋材とフランジとを摘んで開封するものであるから、蓋材8に摘み6は設けなくともよい。
【0017】
さらに、前記補助切断線4,4は溝であり、切断線3を起点として形成してあるので、蓋材を除去することにより初めて各補助切断線4,4が容器の外側に露出することとなる。したがって、開口前において補助切断線4,4が外気の流入路になるおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態2】
【0018】
図5は、シート並びに切断線3の構成を上記実施形態1と同様とし、補助切断線を以下のとおり構成したものである。
フランジ2に、2本の変形用の補助切断線10a,10bが形成されている(以下、2本全てを対象として説明する場合は符号10で代表させる)。これらの補助切断線10は、フランジ2の切断線3を始点としてフランジ内縁に掛けて形成され、フランジ2の肉厚上下に亘っているものとしてもよい。
また、これらの変形用の補助切断線10は、開封時に変形しないように、開封方向に平行又は直角以上の角度をなして形成してある。
すなわち、図においては、蓋材8の開封開始位置の表示14が容器の一隅に位置するので、これに対応して、変形用の補助切断線10a、10bは内側端を前記表示14に向けて傾斜して形成してある。
【0019】
以下この容器の使用方法を説明する。
フランジ2をその切断線2で切除しつつ蓋材8を除去すると、フランジ2に形成された変形用の補助切断線10a、10bが露出する。そこで、補助切断線10部分でフランジを摘んで外側に押し広げると、容器の側壁もまた外側に広げられる。
上記押し広げ作業により、容器の内壁と内容物Pとの間に間隙11が生じ、容器の内壁と内容物Pとの間に空気が流入する。その結果、容器の天地を逆にすることにより内容物は自然に落下し、型くずれのおそれなくこれを取り出すことができる。
【0020】
前記変形用の補助切断線10は、蓋材が接着されている状態では蓋材8に被覆されており、かつ補助切断線10はフランジの内外を貫通していないので、開封前において補助切断線10が外気の流入路になるおそれもない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明は、シート成形容器においても、開封時に容器側壁と内容物との間に空気の流入を可能とすることにより、内容物の自重落下を促し、もって型くずれのおそれなく内容物を取り出すことのできるものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明実施形態1の平面図
【図2】同じくフランジ部分の断面拡大図
【図3】同じく補助切断線を示す斜視図
【図4】開封時の平面図
【図5】この発明実施形態2の平面図
【図6】開封時の平面図
【符号の説明】
【0023】
1 容器
2 フランジ
3 開封用切断線
4 補助切断線
8 蓋材
10a、10b 補助切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ付きの容器であって、フランジ上面に蓋体を接着して容器を密封するようにしたものにおいて、
前記フランジには蓋体の外縁側を分離可能とする切断線が形成され、
戦記切断線の外縁側を蓋体接着部とし、内縁側は蓋体無接着部とし、
前記フランジの切断線を始点としてフランジ内縁に向けて、補助切断線を設けた、包装用容器
【請求項2】
補助切断線は、切断線を始点としてフランジから容器の側壁上部にかけて対向して2本設けられ、2本の補助切断線に挟まれた部分を開口できるようにした、
請求項1記載のシート包装用容器
【請求項3】
補助切断線は、切断線を始点としてフランジ内縁に亘り設けられ、補助切断線によって容器開口部が膨出できるようにした、請求項1記載の包装用容器
【請求項4】
補助切断線は、蓋体の開封方向と平行又は開封方向に逆らう方向に形成した、請求項3に記載のシート成形容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−44716(P2006−44716A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226784(P2004−226784)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(591161623)株式会社コバヤシ (30)
【Fターム(参考)】