説明

包装用容器

【課題】春雨等の内容物でも、湯切り口の開口面積は従来と遜色なく大きく出来ながら、
内容物の排出を無くし、また、目詰まりをも上手く解消でき、併せて頑丈で開蓋が容易な
蓋を備えた包装用容器を提供する点にある。
【解決手段】容器本体3の開口4には内外方向に凹設した複数本の湯切り溝22が備わり
、蓋6にはこの湯切り溝22上に対向して複数の湯切り口8が設けられると共に、これら
湯切り口8の蓋内側には前記湯切り溝22の底部22Aよりも更に容器本体2の底20側
へ凹入するリブ11が形成されていて、このリブ11の外方端面11Bと前記湯切り溝2
2のある容器内壁19Aとの間には所定寸法の湯の流出間隙23が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体とその開口を塞ぐシート成型された蓋からなる、例えば乾麺の湯戻
しなど湯切り機能を必要とする即席麺容器に関するもので、特に細麺や春雨等の内容物に
好適に用いられる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の湯切り機能付き容器の湯切り口は欧文字のU字状の切り込みからなる舌
片を備えたものが殆どであった。すなわち、上面が開口され、開口上縁全周からは外へ向
けて張り出したフランジが備わった容器本体と、この容器本体の上記開口を開閉可能に塞
ぎ、前記フランジ鍔部に被さる周壁を備えるとともに、縁部に複数個の湯切り口と少なく
とも一個の通気口とが備わってシート成型された蓋とからなっている。
【特許文献1】特開2000−21927号公報
【特許文献2】特開2003−29200号公報
【特許文献3】実開平07−17776号公報
【特許文献4】特開平11−165770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の手段では、本願発明が対象としている細麺や春雨等の内容物に適用し
た場合には、湯切り口と容器本体の内側とは直接に連なっているので、湯切りの際には容
器本体を傾けると、湯も内容物も一挙にこの湯切り口に殺到し、中身である内容物も湯と
一緒に排出されてしまう問題点がある。
【0004】
そこで、内容物が排出されないように湯切り孔を小さくする手法を採用してみたが、今
度は内容物によって、この湯切り口が塞がれて、目詰まりを起こし湯切りが出来なくなっ
てしまうと言う新たな問題が発生した。
【0005】
更に、上記の問題点とは別に、従来のこの種の包装用容器は、蓋がシート成型により薄
く作製されているために、調理用の湯により変形してしまうおそれもある。また、蓋の不
用意な離脱を防止するために、蓋の周囲に実質的に全周にわたって、容器の縁、つまりフ
ランジに係合する係合リブを備えているために、開蓋し難いという問題もある。
【0006】
本発明者は、以上の問題点に鑑み、細麺や春雨等の内容物に対応できる包装用容器の開
発に着手した。
先ず、目詰まりの問題については、細麺や春雨等の内容物(以下単に内容物という)を
直に湯切り口まで運ばせないで、湯切り口の手前でそれ以上の流下を可及的に阻止してみ
たところ、概して良い結果を得た。また、蓋が湯により変形する問題点も、基本的には凹
凸を設けることで、変形を少なくできると言う経験則から満足できるものが得られ、更に
は開蓋の困難性も、幾多の実験の結果から、従来の技術的な常識は信頼に足らないことが
分かり、この点も、画期的な構造で上手く解消できたので、ここに提案する。
【0007】
したがって、この発明の目的は、内容物でも、湯切り口の開口面積は従来と遜色なく大
きく出来ながら、内容物の排出を無くしまた目詰まりをも上手く解消でき、併せて湯が少
なくなった時の湯きり速度と湯きり性も改善でき、しかも頑丈で開蓋が容易な蓋を備えた
包装用容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1に係る包装用容器は、上面が
開口され、開口上縁全周からは外へ向けて張り出したフランジが備わった容器本体と、こ
の容器本体の上記開口を開閉可能に塞ぎ、前記フランジに被さる周壁を備えるとともに、
縁部に複数個の湯切り口と少なくとも一個の通気口とが備わってシート成型された蓋とか
らなる包装用容器において、容器本体の開口部には内外方向に凹設した複数本の湯切り溝
が備わり、一方前記蓋にはこの湯切り溝上に対向して開閉可能な舌片を夫々備えた複数の
湯切り口が設けられるとともに、これら湯切り口の蓋内側には前記湯切り溝の溝底部より
も更に容器本体底側へ凹入するリブが形成されていて、このリブの外方端面と前記湯切り
溝の容器内側との間には所定寸法の湯の流出間隙が形成されたものである。
【0009】
上記のような構成によれば、湯切り口の蓋内側には前記湯切り溝の溝底部よりも更に容
器本体底側へ凹入するリブを設け、このリブの外方端と前記湯切り溝の容器内側との間に
は所定寸法の湯の流出間隙を形成することによって、容器内で柔らかく解された内容物は
湯を排出する際にこの流出間隙で堰き止めらて、湯と共に一挙に湯切り口へ殺到するのが
抑制され、内容物の湯切り溝側への流下が可及的に少なくなる。したがって、内容物は湯
切り溝と蓋との間の空間には移動し難く、よって湯切り口を目詰まりさせることがなく、
速やかな湯の排出を可能にする。加えて、蓋に設けられた湯切り口がこの湯切り溝に対応
して開口しているから、この湯切り溝を速やかに流下する湯を、その流れをなんら阻害す
ることなく、蓋の外へストレートに排出させ、特に湯が少なくなった時の湯切り速度と湯
切り性も改善する。
【0010】
また、湯切り口の蓋中央側で前記湯切り溝の溝底部よりも更に容器本体底側へ凹入する
複数個のリブを設けることによって、これらリブとリブの間の蓋部分には堤が形成される
ことになり、蓋の強度アップにつながる。
【発明の効果】
【0011】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
本発明の請求項1に係る包装用容器は、湯切り口よりも蓋の内側でこれら湯切り口に対
応させて前記湯切り溝の溝底部よりも更に容器本体底側へ凹入する複数のリブを設け、こ
れらリブの外方端面と前記湯切り溝の容器内側との間には湯の所定寸法の流出間隙が形成
されるようにしたので、湯切り口の開口面積は従来と遜色なく大きくして湯切りを格段に
速やかにできるようにしても、湯切り作業時に内容物が容器外方に漏れ出るおそれも少な
く、また目詰まりをも上手く解消でき、併せて湯切りを迅速にでき、かつ、湯残りもうま
く無くすことができ、内容物を一層美味しく食すことができるようになった。
【0012】
しかも、湯切り溝に対応させてリブを設けることで得られる堤が蓋の強度を高めるので
、この複数個の堤の存在によって湯を注ぐことによる調理及びその後の湯の排出の際に、
蓋が変形してしまう不測の事態を上手く防止できる。
【0013】
以上の構成において、この発明では請求項2に記載のように、蓋の周壁には通気口の存
在位置を中心に所定の寸法範囲ではこれを除いて容器本体のフランジに係合する横リブが
備わっていると共に、この通気口の存在位置に対応させて縦リブが設けられるのが望まし
い。
通気口の存在位置近辺では、蓋と容器本体との横リブによる係合をなくし、しかも容器
本体のフランジと周壁との間に縦リブによって僅かな隙間が形成されるので、この縦リブ
によって蓋の挫屈を少なくし、開封を頗る容易にでき、併せて湯切り口が排湯で一杯にな
る状況でも良好な通気性も確保でき、湯切り速度と湯切り性を上手く確保するからである

【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施例1)
先ず、本発明に係る包装用容器を湯切り春雨用の矩形の容器に適用した場合について、
図1〜12を参照しながら以下具体的に説明する。
【0015】
図4、5、9、10に示すように、包装用容器1は、平面視矩形或いは方形(図例では
方形)をなして上面が開口2された容器本体3と、この容器本体3の前記開口2の上縁4
全周からは外へ向けて張り出したフランジ5と、このフランジ5を含めて容器本体3とほ
ぼ同形状で、前記容器本体3の開口2を開閉可能に塞ぐ方形の湯きり機能を有した蓋6と
から構成される。
【0016】
蓋6は、図2、4、6〜8に示すように、前記容器本体3のフランジ5に上方から嵌合
するフランジ部61及びこのフランジ部61の外周縁から下方へ一体に垂下連設された、
周壁となる垂下部62とにより前記容器本体3のフランジ5に嵌合する嵌合フランジ部6
Aが形成されていて、前記容器本体3に対して着脱開閉自在に構成されている。
【0017】
この蓋6には、図4、5、9、10に示すように、その対角線上に位置する一方の角部
63のフランジ部61上に、欧文字のU字状の切り目によって囲まれた複数個の爪片7が
設けられていて、この爪片7を上方へ立てて起こすことによって形成される複数個(図例
では三つ)の開口を湯切り口8として用いるようになっている(図2参照)。また、他方
の角部64のフランジ部61上には前記爪片7を二つ分ほど合わせた大きさの、やはり欧
文字のU字状の切り目によって囲まれた一つの爪片9が設けられていて、この爪片9を上
方へ立てて起こすことによって形成される開口を通気口10として用いるようになってい
る(図8参照)。
【0018】
また、図1〜5に示すように、前記複数個の湯切り口8の蓋内側には、夫々の湯切り口
8に対応させて夫々が所定の間隔、つまりは湯切り口8の間隔と同じ寸法を開けて、下方
に深く凹入するリブ11が設けられている。したがって、各リブ11の間には凸となった
堤12が形成される。更に、通気口10の蓋内側には、図7にも示すように、この通気口
10に対応させて、前記湯切り口8とこの通気口10とを結ぶ仮想対角線に沿った方向の
一つの凸リブ13が設けられている。
【0019】
蓋6の他方の対角線上に位置する一対の角部65のフランジ部61上には、図4〜7に
示すように、この角部65を挟んで所定の寸法範囲にわたって、すなわち平面視では欧文
字のL字状に、内外二本の凸条14が一体に立ち上げられている。湯切りの際に、蓋6が
開かないようにするために、両手の親指でこの凸条14を抑えることにより、親指と蓋6
との接触面積を少なくし、凸条14から親指への熱の伝達量を少なくして熱さを和らげる
ためのものである。
【0020】
また、前記堤12並びに凸リブ13を設けるに当たって、この実施例では、図4、5に
示すように、蓋6の中央と周囲を残して環状の凹部15を設け、この凹部15を利用して
いる。すなわち、中央の大きな円形の高原部16と前記フランジ部61を残して、その間
に一段落ち込んだ前記凹部15が形成されていて、この高原部16と前記フランジ部61
にわたって凹部15の底をこれら高原部16と前記フランジ部61と略同じ高さレベルに
まで持ち上げて、丁度溝の中に堰を形作るようにして形成される。因みに、この実施例で
は、前記リブ11の深さは、この凹部15の底と同じ高さレベルに設定されている。また
、高原部16は表面が平坦に形成されているために、印刷に適する。
【0021】
更に、図1、2、6〜8に示すように、蓋6の前記周壁となる垂下部62には、容器本
体3のフランジ5の縁に係合する横リブ66が設けられている。特に設ける箇所に特徴が
あり、具体的には、先ず従来のように全周にわたって設けることをせず、湯切り口8が設
けられる角部63とこれを挟んでその両角部の前記凸条14が設けられる角部65にわた
って、断続的に或いは一連に連なって設けられるが、この通気口10が設けられる前記他
方の角部64には設けないように形成されている。これは、蓋6を容器本体3から簡単に
取り外せるようにするためである。
【0022】
また、図5、8に示すように、前記周壁16の通気口10に対応する位置には、縦リブ
67が設けられている。この縦リブ67は、周壁16の外方から内方へ半円状に凹入する
ように形成されている。したがって、容器本体3にこの蓋6を被せると、前記フランジ5
の外周縁にこの縦リブ67の内面が当接し、蓋6の開放を容易にするように働く。併せて
フランジ5の外周縁と周壁16との間に僅かな隙間Sが形成されるので、この隙間Sが空
気流入口としても機能し、湯切り時に前記湯切り口8が排湯で塞がれるときでも、通気口
10と協同して通気性を確保し、湯切り速度と湯切り性を上手く確保する。
【0023】
従来の手法は、垂下部の全周にわたって係合リブが設けられていて、蓋6を開けるのに
かなりの力を要し、開け難いと言う問題があったが、実際の試験結果では、一つの角部に
係合のための横リブを設けなくても、蓋の嵌合状態は、全周に横リブを設ける場合と何ら
遜色なく所期の嵌合状態を的確、かつ、確実に保ってくれることが分かった。この実験結
果から、一つの角部の横リブを割愛することで、蓋6の開放が格段に容易になった。
【0024】
また、前記凸リブ13の存在は、蓋6を開ける際には横リブ66を設けない他方の角部
64を摘んで持ち上げるので、この角部64やその内側辺りに大きな曲げ応力が負荷され
ることになるため、これに上手く対抗するように強度アップが図られた結果の構造で、し
っかりと、しかも軽快に蓋6を開けることができる上に、通気口10の通気性も的確に確
保される。
【0025】
更に、容器本体2に注がれた湯によって、また排湯時に、湯切り口8周辺、更には蓋6
の全体の変形が危惧される。しかし、前記堤12の存在によって、蓋6、特に湯切り口8
の近くに凹凸が形成されて、この湯切り口8の近辺の強度アップが図られるので、注がれ
た湯の熱によって蓋6が不用意に変形するおそれがなく、安全に湯切りが行える。また、
蓋6の強度アップは前記凸リブ13並びに高原部16も大きく貢献していることは言うま
でもない。
【0026】
図4、9、10に示すように、前記容器本体3は発泡ポリスチレン等の発泡樹脂材をも
って上広がり状に成形されていて、前記蓋6の湯切り口8に対応する角隅17と通気口1
0に対応する角隅18の内側には夫々に浅瀬部19が一体に形成されている。
【0027】
この浅瀬部19の具体構造は、容器本体3の前記両角隅17,18において、この容器
本体3の周壁3Aを、容器本体3の前記フランジ5より一段低い位置を上端として、容器
本体3の底20から順次容器本体3の内方へ向かって膨出させた段部として形成されてい
る。
【0028】
なお、こ段部の立ち上がり内壁面19Aは、前記両角隅17、18の左右に連なる容器
本体3の周壁3Aの内面と滑らかな円弧を描いて連続的に存在する。つまりは、この立ち
上がり内壁面19Aが平坦な鉛直面で、これの左右に連なる容器本体3の周壁3Aの内面
と角をもって連なる、独立したような形態を採用していない。
【0029】
更に、この浅瀬部19の上面19Bには、図1、2、9〜12に示すように、前記フラ
ンジ5から容器本体3の内方に向かい、即ち容器本体3の内外に向かい、前記立ち上がり
内壁面19Aに至るほぼ全長にわたって、複数本の凸条が一体に立ち上げられて堰21が
形成され、これら堰21の間の凹溝を湯切り溝22として用いるようになっている。また
、この堰21の上面は前記フランジ5の上面よりもやや下位に位置して設けられる。
【0030】
尚、図4、9、10、12中、符号24で示す部位は、容器本体3の開口2に近い内周
面に内方へ張り出した段部で、注湯量の指標となる。
【0031】
そして、更に重要な点は、この湯切り溝22と前記蓋6に設けられたリブ11との相対
関係である。
具体的には、図1、2に示すように、前記リブ11は、この湯切り溝22の底部22A
よりも更に容器本体3の底20側にまで凹入されている。図例では、湯切り溝22の深さ
の倍の寸法で凹入されていて、このリブ11の底11Aは湯切り溝22の底22Aよりは
るかに容器本体3の底20側に位置することになる。更に、このリブ11の容器本体3の
外方側端面11Bと前記浅瀬部19の立ち上がり内壁面19Aとの間には、図3にも示す
ように、僅かな隙間23を形成して、湯の流出間隙として用いるように構成されている。
その隙間23の間隔は、春雨が湯切りの際に湯と共に湯切り口8側へ流下できない程度の
ものに設定されている。
【0032】
尚、前記リブ11の容器本体3の外方側端面11Bと前記浅瀬部19の立ち上がり内壁
面19Aとの間と言う構成は、請求項1に言うこのリブの外方端面と前記湯切り溝の容器
内側との間と表現された構成の下位概念を表している。
図例では、浅瀬部19を設け、ここに湯切り溝22を設けた例が示されているが、この
浅瀬部19を設けずに、容器本体3のフランジ5に凹凸を設けて湯切り溝とすることもで
きるからである。この場合には、容器本体3の立ち上がり壁3Aとリブ11の外方側端面
11Bとの間に前記隙間23が形成されることになる。
【0033】
更に、図2に示すように、湯切り口8に隣り合う前記堤12は、夫々この湯切り溝22
に隣り合う前記堰21と容器本体3の内外方向で対向し合う配置に構成されている。
【0034】
したがって、図1、3に示すように、湯切り溝22の容器本体3の内側端には前記リブ
11がその流入口を覆うようにして立ちはだかり、また、図2に示すように、湯切り溝2
2を形成する堰21が蓋6の堤12の容器本体3の外側端を覆うようにして立ちはだかる
ことになり、結果として、湯切り口8への春雨の流下は限られた寸法の隘路を介してしか
流下できない構造になっている。その結果、春雨は湯切りの際に湯と共に湯切り口8側へ
容易には流下できない。よって、湯切り口8の開口面積は従来と遜色なく大きく出来なが
ら、春雨の排出を上手く無くし、また、湯切り口8の目詰まりをも上手く解消でき、併せ
て湯が少なくなった時の湯きり速度と湯きり性も改善でき、しかも頑丈で開蓋が容易な蓋
6を備えた包装用容器1が得られたのである。
【0035】
図1、2、5、8中、符号25で示す構造は前記湯切り口8の開封用の爪片7と通気口
10の開封用の爪片9の基部側に設けられた凹入溝で、それぞれの爪片7、9の開封のた
めの立ち上がりを容易にするためのものである。
【0036】
更に、容器本体3としては、断熱性材料を成形したものが用いられ、例えば厚さ10m
m程度の発泡ポリスチレンシートを真空成形方法で得ることができる。また、例えば紙製
側壁と紙製底壁でなる紙製カップ本体の紙製側壁外面に、ライナー紙の片面エンボスが施
された断熱材を貼着した断熱シートを接着固定して紙製の容器本体3としたものなどを用
いることもできる。
【0037】
上記の実施例に示した包装用容器1の使用方法を以下に説明する。
先ず、容器本体3の蓋6を開いて熱湯を注ぎ込んだ後、再び蓋6の係合リブ66を容器
本体3のフランジ5の縁に係合させて蓋6を閉める。この状態で所定時間経過後、つまり
春雨が湯で解された後、左右の手の複数本の指で、蓋6の前記凸条14と容器本体3の底
20の外面とを挟み持ち、包装用容器1全体を斜めに傾けて、容器本体3内の湯を湯切り
口8から排出して湯切りを行う。次に湯切り後に再び蓋6を開けて、容器本体3内の調理
後の春雨にかやくや調味料を加えて仕上げる。
【0038】
ところで前記の湯切り時、湯切り口8に至たる湯の排出流路は、前述のように大変狭隘
であるために、つまり前記リブ11によって形成される隙間23や堤12の前方に立ちは
だかる堰21の存在などによって、従来の焼きそばやラーメン等太幅の内容物に比べて遥
かに細い春雨であっても、これが不用意に湯切り口8へ湯と共に流下するおそれは少なく
、的確にその流下が阻止される。したがって、湯切り口8に目詰まりが生じたりするおそ
れもすくなく、併せて湯きりを迅速にでき、かつ、湯残りもうまく無くすことができ、春
雨を一層美味しく食すことができるようになった。
【0039】
しかも、蓋6の周壁となる垂下部62の湯切り口8を設けた側の反対側の通気口10に
対応する箇所に縦リブ67を設け、湯切り口8が設けられる角部63とこれを挟んでその
両角部の前記凸条14が設けられる角部65にわたって、断続的に或いは一連に連なって
横リブ66を設けるようにしたので、蓋6を容器本体3から簡単に取り外せるようになっ
た。併せてフランジ5の外周縁と周壁16との間に僅かな隙間Sが形成されるので、この
隙間Sが空気流入口としても機能し、湯切り時に前記湯切り口8が排湯で塞がれるときで
も、前記通気口10と協同して通気性を確保し、湯切り速度と湯切り性を上手く確保でき
るようになった。
【0040】
尚、この発明の容器の用途は即席春雨の包装に限定されるものではなく、湯で戻して食
するようにした乾燥野菜や海藻類などの包装、更には水洗いして食するように加工された
ざるそばなどの包装にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の包装用容器の実施例を示し、その特徴構成を示し、図4中一部切欠きA−A拡大図断面図である。
【図2】図5中の一部切欠きB−B拡大断面図である。
【図3】湯切り溝と湯切り口との相関関係を説明する部分平面図である。
【図4】湯切り口側から臨んだ包装用容器の外観図である。
【図5】蓋の平面図である。
【図6】図5中一部切欠きC−C部分断面図である。
【図7】図5中一部切欠きD−D拡大断面図である。
【図8】図5中、要部の取出し平面図を含む一部切欠きE−E拡大断面図である。
【図9】容器本体の平面図である。
【図10】図9中A−A断面図である。
【図11】図9中一部切欠きB−B拡大断面図である。
【図12】図9中一部切欠きC−C断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…包装用容器
2…開口
3…容器本体
3A…角隅
3B…周壁
5…フランジ
6…蓋
8…湯切り口
10…通気口
11…リブ
12…堤
13…凸リブ
19…浅瀬部
20…底
21…堰
22…湯切り溝
22A…湯切り溝の底
23…湯の流出隙間
61…フランジ部
62…垂下部
63、64、65…角部
66…横リブ
67…縦リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口され、開口上縁全周からは外へ向けて張り出したフランジが備わった容器本体
と、この容器本体の上記開口を開閉可能に塞ぎ、前記フランジに被さる周壁を備えるとと
もに、縁部に複数個の湯切り口と少なくとも一個の通気口とが備わってシート成型された
蓋とからなる包装用容器において、容器本体の開口部には内外方向に凹設した複数本の湯
切り溝が備わり、一方前記蓋にはこの湯切り溝上に対向して開閉可能な舌片を夫々備えた
複数の湯切り口が設けられるとともに、これら湯切り口の蓋内側には前記湯切り溝の溝底
部よりも更に容器本体底側へ凹入するリブが形成されていて、このリブの外方端面と前記
湯切り溝の容器内側との間には所定寸法の湯の流出間隙が形成されていることを特徴とす
る包装用容器。
【請求項2】
蓋の周壁には通気口の存在位置を中心に所定の寸法範囲ではこれを除いて容器本体のフラ
ンジに係合する横リブが備わっていると共に、この通気口の存在位置に対応させて縦リブ
が設けられている請求項1記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−113848(P2009−113848A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290960(P2007−290960)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(593020108)エースコック株式会社 (13)
【出願人】(593215829)アテナ工業株式会社 (28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】