説明

包装用箱

【課題】簡単な構造で容易に開封することができ、再封も可能なシールエンドカートン型の包装用箱を提供する。
【解決手段】箱体形成片12から成り、連接された第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20により筒状体を形成する。背面板20に延設した外蓋片72と正面板16に延設した内蓋片40を重ねて糊付けし、上記筒状体の一端を塞ぐ。内蓋片40の先端部に第二折罫線46で区切られた中蓋片44を設ける。中蓋片44の先端部に第三折罫線50で区切られた再封片48を設ける。第一折罫線42に沿って開封用切込線52を設ける。中蓋片44と内蓋片40を、第二折罫線46で折り曲げて糊付けする。開封用切込線52を破断して開封した後、外蓋片72で再封する際、再封片48が前記筒状体の開口端部分に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品等を収容するシールエンドカートン型の包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を収容して搬送されそのまま店頭に陳列するための包装用箱として、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜いた箱体形成片を立体的に組み立てたシートエンドカートン型の包装用箱が使用されている。この箱体形成片には、例えば、平行に連接された4つの側面と、この一側面の両端部に形成された上蓋片と、組み立て状態でこの側面に隣接せず対向する側面の両端部に形成された内蓋片と、その他の一対の側面の両端部に形成されたフラップが設けられている。また、外側に位置する一側面の側縁部には糊付片が設けられている。
【0003】
この箱体形成片を組み立てるときは、糊付片を反対側の側面裏面に糊付けし、各側面が各々90度になるように1アクションで引き起こして四角い筒状体を形成する。そして筒状体の一端部にある一対のフラップを側面に対して90度に折り曲げ、次に内蓋片を折り曲げ、その内蓋片の表面に糊を塗布し、その上面に外蓋片を折り重ねて糊付けして閉鎖する。そして、商品を収容後、筒状体の他方の端部も同様に閉鎖する。
【0004】
さらに、上記の基本的な構成に加え、開封操作を容易にしたシールエンドカートン型の包装用箱も複数提案されている。例えば、特許文献1に開示されているように、一の側面(表面板)と内蓋片(一方の天板)とを区切る折罫線に沿って略L字状の切目を設け、さらに当該側面に、当該折罫線と半円形状の切取線で囲まれた摘み部を設けた包装容器がある。この包装容器を開封するときは、摘み部を指で押し破り、外蓋片及び内蓋片を引き上げるようにして略L字状の切目を破断させ、筒状体の一端部を開放する操作を行う。
【0005】
また、特許文献2に開示されているように、内蓋片(外受けフラップ)と重ならない外蓋片(外蓋フラップ)の部分に、二本の開封用切込線を平行に設けた包装箱がある。この開封用切込線は、開封用切込線に挟まれた部分の端部を摘んで引き剥がすことによって容易に開封することができるだけでなく、不正に開封されたか否かを判別しやすいという機能も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−11961号公報
【特許文献2】特開2003−137274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2の包装容器及び包装用箱は、開封後、外蓋片を閉じて保持する機構がなく、一旦商品を取り出した包装用箱を再封することができないものであった。また、特許文献2の包装箱は、開封したときに開封用切込線に挟まれた部分が本体から分離してゴミになるので、その処理が面倒であるという問題もあった。
【0008】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、簡単な構造で容易に開封することができ、再封も可能なシールエンドカートン型の包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、第一側面板、正面板、第二側面板、背面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、前記背面板には、前記連接方向に対して直角な一端部に外蓋片が延設され、前記正面板には、前記連接方向に対して直角な一端部に内蓋片が第一折罫線で区切られて延設され、組み立て状態で、前記第一側面板、前記正面板、前記第二側面板及び前記背面板から成る筒状体の一方の開口端を、前記内蓋片に前記外蓋片を重ねて糊付けして塞ぐように形成された包装用箱であって、前記内蓋片又は外蓋片の先端部に、前記内蓋片又は外蓋片の延出方向長さと等しく同方向に延出した中蓋片が第二折罫線で区切られて延設され、前記中蓋片の先端部には再封片が第三折罫線で区切られて延設され、前記第一折罫線に沿って開封用切込線が設けられ、組み立て状態で、前記中蓋片と前記内蓋片又は外蓋片とが前記第二折罫線で折り曲げられて糊付けされ、前記開封用切込線を破断して前記外蓋片を開封した後、前記再封片が前記筒状体の開口端部分に係合することによって前記外蓋片による再封を可能にした包装用箱である。さらに、前記正面板又は背面板には、前記開封用切込線と破断線による開封部が設けられている。
【0010】
また、前記中蓋片には、その両端から内向きに、切欠部が設けられている。前記中蓋片の先端部と前記再封片の間の前記第三折罫線には、断続した切込線が設けられていてもよい。
【0011】
前記再封片の幅は、前記正面板又は背面板の幅と等しいものであることが好ましい。さらに、前記再封片の両端から内向きの位置に一対の切込部が設けられ、前記外蓋片を開封した後、前記切込部が前記各側面板に設けられたフラップ端縁に係合することによって前記外蓋片による再封を可能にしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の包装用箱は、簡単な構造で組み立て易く、開封の操作が容易で、開封後も違和感なく確実に再封することができる。しかも、既存のシールエンドカートンを用いる包装装置を利用することができ、包装の作業性がよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態の包装用箱の開封前の外観を示す斜視図である。
【図2】この実施形態の包装用箱の箱体形成片の裏面側を示す展開図である。
【図3】図2の箱体形成片の組み立て工程を示す背面図(a)、正面図(b)である。
【図4】この実施形態の包装用箱の開封状態を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態の包装用箱10を示したもので、包装用箱10は、図2に示す箱体形成片12を組み立てることによって形成されている。
【0015】
箱体形成片12は、厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成され、第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20が順に連接されている。さらに、組み立て状態で第一側面板14の内側に糊付けされる糊付片22が、背面板20の側方に連接されている。第一側面板14、正面板16、第二側面板18、背面板20、糊付片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0016】
第一側面板14の一端部にはフラップ32が延設され、フラップ32は、折罫線34で第一側面板14の端部と区切られている。第一側面板14の他端部には、フラップ32と同形のフラップ36が延設され、折罫線38で第一側面板14と区切られている。
【0017】
第一側面板14のフラップ32と同じ側であって、正面板16の一端部には、基端部の幅が正面板16の端辺の長さ(正面板16の幅)と等しく、先端側の幅が狭くなっている台形状の内蓋片40が延設され、第一折罫線42で正面板16と区切られている。
【0018】
内蓋片40の先端部には、内蓋片40の延設方向の長さにほぼ等しい延出長の中蓋片44が延設され、第二折罫線46で内蓋片40と区切られている。中蓋片44の先端部は、幅が第一折罫線42の長さと等しいか僅かに狭い。また、中蓋片44には、内蓋片40との境界部分の両端から内向きに第二折罫線46の両端部を頂点とする一対のV字状の切欠部49が設けられ、中蓋片44と内蓋片40を区切る第二折罫線46の長さが第一折罫線42よりも短くなっている。これにより、組み立て状態で中蓋片44が確実に内蓋片40の内側に位置する。
【0019】
さらに、中蓋片44の先端部には、中蓋片44の延設長さよりもやや短い再封片48が延設され、第三折罫線50で中蓋片44と区切られている。再封片48の幅は正面板16の幅とほぼ等しく、先端角部が円弧状に形成されている。
【0020】
第一折罫線42の両端から内向きに各々所定長さに亘り、切刃などで形成した開封用切込線52が設けられている。一対の開封用切込線52の先端部間の正面板16には、第一折罫線42の部分と、その部分の両端を起点として形成されたU字状の破断線54とで囲まれた開封部56が設けられている。開封部56の大きさは、再封片48よりも小さい。
【0021】
第三折罫線50の両端より僅かに再封片48の先端側の位置には、内向きに一対の切込部58が設けられている。一対の切込部58間の第三折罫線50には、断続する切込線60が設けられている。
【0022】
正面板16の他端部には、内蓋片40とほぼ同形の内蓋片62が延設され、折罫線64で正面板16と区切られている。
【0023】
第二側面板18の一端部にはフラップ66が延設され、折罫線68で第二側面板18と区切られている。第二側面板18の他端部には、フラップ66と同形のフラップ70が延設され、折罫線72で第二側面板18と区切られている。
【0024】
背面板20の一端部には略矩形の外蓋片72が延設され、折罫線74で背面板20と区切られている。外蓋片72の延設方向長さは、第一及び第二側面板14,18の連接方向長さとほぼ等しい。背面板20の他端部には、外蓋片72と同形の外蓋片76が延設され、折罫線78で背面板20と区切られている。
【0025】
次にこの箱体形成片12の組み立て方法について、図2、図3に基づいて説明する。ここで、図2、図3(a)は、箱体形成片12を裏面側から見たものであり、図3(b)は、表面側から見たものである。以下、箱体形成片12の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
【0026】
まず、図2に示すように中蓋片44の裏面に糊80を塗布し、図2(a)に示すように第二折罫線46を正折りし、中蓋片44の裏面と内蓋片の裏面とを糊付けする。中蓋片44には一対の切欠部49が設けられているので、中蓋片44を第二折罫線46を正折りするとき、近接するフラップ32,66に干渉せず組み立て易い。
【0027】
次に、図3(b)に示すように、糊付片22の表面に糊82を塗布し、折罫線28を正折りし、さらに折罫線24を正折りし、糊付片22の表面を第一側面板14の裏面に糊付けする。
【0028】
次に商品を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度になるように正折りして、四角形の筒状体を形成する。そして、筒状体の底部となる一方の端部を閉鎖する。まず、フラップ36,70を各々折罫線38,72で90度に正折りし、図3(b)に示すように、内蓋片62の表面の折罫線64寄りの位置に糊84を塗布し、内蓋片62を折罫線64で90度に正折りする。そして外蓋片76を折罫線78で90度に正折りし、外蓋片76の裏面に内蓋片62の表面を糊付けする。次に、瓶入りの医薬品等の商品を、開放している筒状体の端部から内側に挿入する。
【0029】
その後、フラップ32,66を各々折罫線34,68で90度に正折りし、図3(b)に示すように、内蓋片40の表面の第一折罫線42寄りの位置に糊86を塗布し、内蓋片40を第一折罫線42で90度に正折りする。このとき、内蓋片40に糊付された中蓋片44も同時に第三折罫線50で逆折りされる。第三折罫線50の位置には、切込部58と切込線60が設けられているので容易に90度に折れ曲がり、再封片48が無理なく筒状体の内側に収容される。そして、外蓋片72を折罫線74で90度に正折りし、外蓋片72の裏面に内蓋片40の表面を糊付けする。
【0030】
次に、この包装用箱10を開封及び再封する操作について説明する。開封するときは、正面板16の開封部56を指で押し破り、外蓋片72、中蓋片44及び内蓋片40を摘んで引き上げるようにして開封用切込線52を破断させ、筒状体の端部を開放して中の商品を取り出す。このとき、図4に示すように、中蓋片44及び再封片48は第二折罫線50を介して内蓋片40に繋がっており、開封部56も第一折罫線42を介して内蓋片40に繋がっているので、本体から分離するゴミは生じない。
【0031】
開封後、包装用箱10の中に商品を戻して再封するときは、フラップ32,66と正面板16との隙間に再封片48を差し込んで係合させることによって筒状体の端部を閉鎖する。再封片48は、先端角部が円弧状に形成されているので、当該隙間に容易に差し込むことができる。正面板16の開封部56が除去された開口部は、再封片48によって塞がれる。
【0032】
再封片48は、その幅が正面板16の幅いっぱいに広く設定されており、再封片48が正面板16の内面に当接する面積が大きいので、深く差し込むと、その位置に安定に係止される。また、再封片48とフラップ32,66とが広い範囲で互いに係合するので、閉鎖状態の保持が良好である。さらに、第三折罫線50の両端から一対の切込部58が設けられ、切込部58とフラップ32,66の端縁とが互いに係合するので、閉鎖状態を確実に保持することができる。
【0033】
以上説明したように、この実施形態の包装用箱10は、簡単な構造で組み立て易く、外蓋片72を開封する操作が容易で、開封後も違和感なく確実に再封することができる。また、構成である中蓋片44と再封片48が内蓋片40の先端部に延設されているので、箱体形成片12から延出する部分が小さく、一枚のブランクシートからより多くの箱体形成片12を打ち抜くことができる。
【0034】
なお、この発明の包装用箱は上記実施形態に限定されるものではなく、内蓋片と外蓋片を逆にして、外蓋片側に中蓋片等を延設しても良い。その場合、開封部は外蓋片が設けられた側面板に形成される。即ち、中蓋片と再封片が設けられた蓋片が延出した側面板に、開封部が形成されれば良い。さらに、箱体の大きさ、素材、各部材の形状等は適宜変更可能である。また、第一折罫線の一端から他端まで全長にわたって沿うように開封用切込線を設け、正面板に開封部を設けない構成にしてもよい。また、天板側だけでなく、底板側にも上記のような中蓋片及び再封片を設け、筒状体の両側を開封及び再封可能な構造にしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 包装用箱
12 箱体形成片
14 第一側面板
16 正面板
18 第二側面板
20 背面板
32,36,66,70 フラップ
40,62 内蓋片
42 第一折罫線
44 中蓋片
46 第二折罫線
48 再封片
50 第三折罫線
52 開封用切込線
54 破断線
56 開封部
58 切込部
60 切込線
72,76 外蓋片
80,82,84,86 糊


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、第一側面板、正面板、第二側面板、背面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、前記背面板には、前記連接方向に対して直角な一端部に外蓋片が延設され、前記正面板には、前記連接方向に対して直角な一端部に内蓋片が第一折罫線で区切られて延設され、
組み立て状態で、前記第一側面板、前記正面板、前記第二側面板及び前記背面板から成る筒状体の一方の開口端を、前記内蓋片に前記外蓋片を重ねて糊付けして塞ぐように形成された包装用箱において、
前記内蓋片又は外蓋の先端部に、前記内蓋片又は外蓋の延出方向長さと等しく同方向に延出した中蓋片が第二折罫線で区切られて延設され、前記中蓋片の先端部には再封片が第三折罫線で区切られて延設され、前記第一折罫線に沿って開封用切込線が設けられ、
組み立て状態で、前記中蓋片と前記内蓋片又は外蓋とが前記第二折罫線で折り曲げられて糊付けされ、
前記開封用切込線を破断して前記外蓋片を開封した後、前記再封片が前記筒状体の開口端部分に係合することによって前記外蓋片による再封を可能にしたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記正面板又は背面板には、前記開封用切込線と破断線による開封部が設けられている請求項1記載の包装用箱。
【請求項3】
前記中蓋片には、その両端から内向きに、切欠部が設けられている請求項1記載の包装用箱。
【請求項4】
前記中蓋片の先端部と前記再封片の間の前記第三折罫線には、断続した切込線が設けられている請求項1記載の包装用箱。
【請求項5】
前記再封片の幅は、前記正面板又は背面板の幅と等しいものである請求項4記載の包装用箱。
【請求項6】
前記再封片の両端から内向きの位置に一対の切込部が設けられ、前記外蓋片を開封した後、前記切込部が前記各側面板に設けられたフラップ端縁に係合することによって前記外蓋片による再封を可能にした請求項5記載の包装用箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171677(P2012−171677A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37814(P2011−37814)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【Fターム(参考)】