説明

包装用紙箱

【課題】 開封に際し、封緘用粘着テープの端部だけを手間なく捲り(めくり)起して、その捲り起し部を指で掴んで封緘用粘着テープを容易に引き剥がすことができるようにした包装用紙箱の提供。
【解決手段】 第1胴壁部1に連接した外フラップ10が第2胴壁部に連接した内フラップ20の外側に重なると共に、外フラップ10の先端縁同士が突き合わされるように形成された包装用紙箱において、第2胴壁部の幅方向中央部の上部表面に封緘用粘着テープFに対する易剥離域5が形成され、その易剥離域と第2胴壁部の上縁25との間の表面が封緘用粘着テープに対する接着可能域6に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダンボール箱等の包装用紙箱に係り、特に、包装時に用いられるOPP粘着テープやクラフト粘着テープや布製粘着テープ等の封緘用粘着テープを容易に剥がすことができる包装用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダンボール箱は、対向する第1胴壁部と、対向する第2胴壁部との4枚の胴壁部により四角筒状胴部が形成され、前記第1胴壁部の上下縁に外フラップが連接され、第2胴壁部の上下縁に内フラップが連接された構造になっている。
【0003】
包装に際しては、あらかじめ下側の内フラップ及び外フラップを折り込んで底部を形成し、その状態で箱の内部に商品等を収納させた後、上側の内フラップと外フラップを折り込み、外フラップ同士の突き合わせ部分から第2胴壁部の上部にかけて封緘用粘着テープを接着するのが一般的である。
【0004】
このようにして包装された段ボール箱を開封するには、第2胴壁部の上部において封緘用粘着テープの端部に爪等を強く立てるなどして封緘用粘着テープの端部を起こし、そこを指で掴んで引き剥すことが行われるが、手間がかかるという不都合がある。
【0005】
特に、安価なため封緘用粘着テープとして近年多用されているOPP(延伸ポリプロピレン)粘着テープは、強度に優れているため比較的薄く形成され、さらにその接着力も高いことから、爪等を立てて端部を起こすことは極めて困難である。
【0006】
また、カッターナイフ等を外フラップの突合せ部で走らせて封緘用粘着テープを切断し段ボール箱を開封することも行われるが、この場合、カッターナイフの取扱いに注意を要するほか、カッターナイフによって収納された商品等を傷つけてしまうおそれがあり、丁寧な作業を心がける必要がある。
【0007】
また、このようにカッターナイフ等を用いて開封したとしても、段ボール箱をリサイクルして再パルプ化する際には、段ボール箱に残った封緘用粘着テープを除去する必要があり、封緘用粘着テープを引き剥がす手間が必要になることには変わりがない。
【0008】
そこで、従来、封緘用粘着テープを簡単に引き剥がすことができるように、第2胴壁部の上部中央部に封緘用粘着テープの幅よりもやや大きな切離可能域を形成した段ボール箱が知られている(特許文献1参照)。
【0009】
この従来の段ボール箱は、外フラップ同士の突き合わせ部分から第2胴壁部の上部にかけて封緘用粘着テープを接着して包装する際に、粘着テープの端部を切離可能域に位置するように接着させる。
そして、開封に際しては、切離可能域を起こし、そこを指で掴んで封緘用粘着テープと共に切離可能域を引き上げることによって、封緘用粘着テープを引き剥がすようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3164053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この従来のダンボール箱では、切離可能域を掴んで封緘用粘着テープを引き剥がすことができるため、封緘用粘着テープに爪等を立てるなどして封緘用粘着テープの端部を起こすといった手間を必要とせず封緘用粘着テープを容易に剥ぎ取ることが可能になる。
【0012】
しかしながら、開封に際し、切離可能域によって第2胴壁部の上部が完全に切り離されてしまうため、第2胴壁部の上部に封緘用粘着テープの幅よりもやや大きな孔が開いてしまう。
【0013】
開封後のダンボール箱については、エコロジーの観点からこれを再使用(リユース)することができるようにすることも必要になるが、この場合、従来のように切離可能域の除去によって封緘用粘着テープの幅よりもやや大きな孔が開いてしまうと、再使用(リユース)に際し、封緘用粘着テープを接着させることができなくなるし、孔によって第2胴壁部の強度が弱くなり、包装箱として使用できなくなってしまうという問題が生じる。
【0014】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、開封に際し、封緘用粘着テープの端部だけを手間なく捲り(めくり)起すことができるようにして、その捲り起し部を指で掴んで封緘用粘着テープを容易に引き剥がすことができるようにした包装用紙箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成した。
即ち、本発明の請求項1記載の包装用紙箱は、
対向する第1胴壁部(1)、(1)と、対向する第2胴壁部(2)、(2)とにより形成された四角筒状胴部(3)と、
前記第1胴壁部(1)、(1)の上下縁に連接された外フラップ(10)、(10)と、
前記第2胴壁部(2)、(2)の上下縁に連接された内フラップ(20)、(20)と、を備え、
箱組立状態で前記外フラップ(10)、(10)がそれぞれ前記内フラップ(20)、(20)の外側に重なると共に、その先端縁同士が前記第2胴壁部(2)、(2)の幅方向中央部で突き合わされるように形成された包装用紙箱において、
前記第2胴壁部(2)、(2)の幅方向中央部の上部表面に封緘用粘着テープに対する易剥離域(5)、(5)が形成され、この易剥離域(5)、(5)と第2胴壁部(2)、(2)の上縁(25)、(25)との間の表面が封緘用粘着テープに対する接着可能域(6)、(6)に形成されている構成とした。
【0016】
又、本発明の請求項2記載の包装用紙箱は、請求項1記載の包装用紙箱において、
前記易剥離域(5)内における第2胴壁部(2)の壁体に、封緘用粘着テープを表面から箱の内部方向へ押して凹み易くするための凹み形成補助部(7)が形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装用紙箱(請求項1)は、第2胴壁部の幅方向中央部の上部表面に封緘用粘着テープに対する易剥離域を形成させた構成に特徴がある。
【0018】
包装用紙箱を用いた包装に際しては、箱の内部に商品等を収納させた後、上面側の内フラップと外フラップを折り込み、外フラップ同士の突き合わせ部分から第2胴壁部の接着可能域を経て易剥離域まで封緘用粘着テープを接着することになる。
このとき、封緘用粘着テープの端部を易剥離域内に位置させることにより、この封緘用粘着テープの端部が易剥離域に対して剥がれ易い状態で付着させることができる。
これにより、開封に際し、緘用粘着テープの端部を爪先等で軽く捲り起すことができ、そこを指で掴んで容易に緘用粘着テープ引き剥すことができる。
【0019】
又、易剥離域と第2胴壁部の上縁との間の表面を封緘用粘着テープに対する接着可能域に形成させたので、包装に際し、封緘用粘着テープを第2胴壁部に確実に接着させて封緘させることができる。
【0020】
仮に、易剥離域を第2胴壁部の上縁まで形成させて接着可能域が無いとすれば、封緘用粘着テープを第2胴壁部に対して確実に接着させることができなくなり、封緘不良になってしまう。
この点から見ても本発明の接着可能域は、易剥離域を形成したことに関連した必須の構成であり、言い換えれば、接着可能域を形成させたので易剥離域を形成することが可能になったと言えるものである。
【0021】
又、前記易剥離域内における第2胴壁部の壁体に、凹み形成補助部(例えば、切り込み線や孔)を形成させると(請求項2)、この凹み形成補助部で封緘用粘着テープを表面から箱の内部方向へ押して凹ませれば、封緘用粘着テープを歪み変形させて端部を易剥離域の表面から容易に剥離させることができる。
従って、緘用粘着テープの端部を爪先等で捲り起すといった面倒な手間を省略させることができる。
【0022】
前記凹み形成補助部は緘用粘着テープの上から見えることが好ましく、従って、この凹み形成補助部を形成させた構造の包装用紙箱については、透明のOPP粘着テープを封緘用粘着テープとして用いた場合に好適である。
【0023】
以上のように、本発明によれば、封緘用粘着テープを容易に剥ぎ取ることができるので開封作業が容易になるし、再パルプ化する際に封緘用粘着テープを剥ぎ取る作業が不要になるためリサイクルが容易になる。
【0024】
又、開封に際し、封緘用粘着テープによって接着可能域の表面が剥ぎ取られるものの、従来と異なり、第2胴壁部の上部に大きな孔が開いてしまうといったことがないので、包装箱としての強度を維持することができ、これを再使用(リユース)することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係るダンボール箱(包装用紙箱)を示す斜視図。
【図2】そのダンボール箱を示す展開図。
【図3】そのダンボール箱を示す要部の斜視図。
【図4】そのダンボール箱の使用方法の例を示す要部の斜視図。
【図5】他例のダンボール箱を示す斜視図。
【図6】他例のダンボール箱を示す斜視図。
【図7】他例のダンボール箱を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施例において、包装用紙箱としてダンボール箱を例にとる。
実施例のダンボール箱は、2面の第1胴壁部1、1と、2面の第2胴壁部2、2を備え、各胴壁部1、2、1、2は折り線80、81、82を介して一体に連接されている。
【0027】
前記第1胴壁部1の側端には糊代片11が折り線83を介して一体に連接され、前記各折り線80、81、82から折り曲げて糊代片11を第2胴壁部2の側端に接合させることで、第1胴壁部1、1が対向し、第2胴壁部2、2が対向した四角筒状胴部3を形成させることができる。
【0028】
実施例では、第1胴壁部1の横幅L1を、第2胴壁部2の横幅L2よりも広幅に形成させることにより平面視で長方形の四角筒状胴部3を形成させている。尚、前記四角筒状胴部3は平面視で正方形に形成したものでもよい。
【0029】
前記第1胴壁部1の上下縁にはそれぞれ外フラップ10、10が折り線13を介して一体に連接され、第2胴壁部2の上下縁にはそれぞれ内フラップ20、20が折り線23を介して一体に連接されている。
【0030】
前記外フラップ10の高さH1は前記第2胴壁部の横幅L2の半分(1/2)に形成され、前記内フラップ20の高さH2は外フラップ10の高さH1と同一に形成されている。
これにより、箱組立状態で、外フラップ10、10の先端縁同士を前記第2胴壁部2の幅方向中央部で突き合わせることができる。
【0031】
そして、包装に際しては、下側の内フラップ20及び外フラップ10を折り込んで底部を形成し、その状態で箱の内部に商品等を収納させた後、上側の内フラップ20と外フラップ10を折り込み、外フラップ10、10同士の突き合わせ部分9から第2胴壁部2の上部にかけて封緘用粘着テープFを接着させることになる。
【0032】
前記第2胴壁部2の幅方向中央部の上部表面には封緘用粘着テープFに対する易剥離域5が形成されている。
この易剥離域5は、第2胴壁部2の表面に易剥離性に優れた成分構成の剥離剤を印刷等で塗布したり、表面が剥離面に形成された粘着シールや粘着ラベル等を接着したりするなどの易剥離処理を施して形成される。
尚、剥離剤としては、シリコン系、セラック系、アルキル系、フッ素系、蝋、ワックスなどを使用できる。
【0033】
前記易剥離域5のサイズについては、この易剥離域5内に封緘用粘着テープFの端部を位置させ易いようにするため、図3に示すように、その横幅A1は封緘用粘着テープFの幅F1と同一幅か若干広幅に形成するのが好ましく、一般に広く用いられている封緘用粘着テープFの幅F1が50mmであることから、易剥離域5の横幅A1は50〜70mm程度が好ましいが、50mmよりも若干狭くても差し支えない。
又、易剥離域5の縦幅A2は、剥離剤の無駄を少なくさせる点を考慮して決めることになるが、通常は20〜50mm程度が適当と考える。
又、易剥離域5の形状についても、方形、円形、楕円形等、適宜である。
【0034】
前記易剥離域5と第2胴壁部2の上縁25との間の表面が封緘用粘着テープFに対する接着可能域6に形成されている。
この接着可能域6は、易剥離処理を何ら施さずに第2胴壁部2の表面地肌のままであり、その縦幅B1は、封緘用粘着テープFが確実に接着でき得ることを考慮して決めることになるが、通常は20〜50mm程度が適当と考える。
【0035】
前記易剥離域5内の中央部分における第2胴壁部2の壁体には、封緘用粘着テープFを表面から箱の内部方向へ押して凹み易くするための凹み形成補助部7が形成されている。
実施例の凹み形成補助部7は、図3に示すように、第2胴壁部2の壁体を貫通させた4本の切り込み線70を交差させるように形成したもので、図4に示すように、その交差部分を封緘用粘着テープFの上から指先で押すことで第2胴壁部2の壁体を凹ませる。
これにより封緘用粘着テープFを歪み変形させて端部を易剥離域5の表面から容易に剥離させることができる。
【0036】
このようにして封緘用粘着テープFの端部を易剥離域5の表面から剥離させ、その剥離部分を指で掴むことができるため、従来とは異なり、封緘用粘着テープFの端部を爪先等で強く捲り起すといった面倒な手間を省略させることができる。
【0037】
前記凹み形成補助部7としては、図3で示したものに限らず、例えば、1本の切り込み線70を形成したもの、2本又は3本の切り込み線を交差させたもの、切り込み線をU字状に形成したもの、図5に示すように切り込み線70をC字状に形成したもの、図6に示すように切り込み線70をV字状に形成したもの、図7に示すように指先太さ程度の抜き孔71を形成したもの、その他、箱の内部方向へ押して凹み易くするためのものあれば、その形状や構造は任意である。
又、前記した切り込み線70については連続した切り込み線でもよいし、切り込み部と非切り込み部とを交互に連続させたミシン目線でもよい。
【0038】
尚、前記実施例ではダンボール箱を包装用紙箱の例としたが、ダンボール箱に限らず、厚板紙やボール紙による包装用紙箱にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 第1胴壁部
10 外フラップ
2 第2胴壁部
20 内フラップ
25 上縁
3 四角筒状胴部
5 易剥離域
6 接着可能域
7 凹み形成補助部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1胴壁部(1)、(1)と、対向する第2胴壁部(2)、(2)とにより形成された四角筒状胴部(3)と、
前記第1胴壁部(1)、(1)の上下縁に連接された外フラップ(10)、(10)と、
前記第2胴壁部(2)、(2)の上下縁に連接された内フラップ(20)、(20)と、を備え、
箱組立状態で前記外フラップ(10)、(10)がそれぞれ前記内フラップ(20)、(20)の外側に重なると共に、その先端縁同士が前記第2胴壁部(2)、(2)の幅方向中央部で突き合わされるように形成された包装用紙箱において、
前記第2胴壁部(2)、(2)の幅方向中央部の上部表面に封緘用粘着テープに対する易剥離域(5)、(5)が形成され、この易剥離域(5)、(5)と第2胴壁部(2)、(2)の上縁(25)、(25)との間の表面が封緘用粘着テープに対する接着可能域(6)、(6)に形成されていることを特徴とする包装用紙箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装用紙箱において、
前記易剥離域(5)内における第2胴壁部(2)の壁体に、封緘用粘着テープを表面から箱の内部方向へ押して凹み易くするための凹み形成補助部(7)が形成されている包装用紙箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−232795(P2012−232795A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111304(P2011−111304)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願変更の表示】意願2011−2487(D2011−2487)の変更
【原出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(592182311)日本フイルム株式会社 (19)
【Fターム(参考)】