説明

包装用袋

【課題】被包装物を液槽内の定位置に留めることができる包装用袋を提供することを目的とする。
【解決手段】液槽100の排水孔101を塞ぐ栓部材102を液槽100の一部に連結する線状の連結部材103に取付られる包装用袋である。被包装物3を内部に封入する収納部1と、収納部1の少なくとも一端部を平面状に閉じる密封部2とを有し、連結部材103に着脱自在に取付られて、取付状態で、その取付位置を維持する保持手段6を密封部2に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を内部に封入する収納部と、収納部の少なくとも一端部を平面状に閉じる密封部とを有する包装用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
商品を包装する包装用袋には、店頭で吊下陳列を可能とするための吊下部が設けられたものがある(特許文献1〜特許文献5)。特許文献1〜特許文献5の包装用袋は、被包装物が収納される収納部と、収納部の端部を平面状に閉じる密封部(いわゆるヘッダー部)とを有しており、該密封部に吊下部が設けられている。これらの吊下部は、吊下棒が挿入される孔部と、この孔部から密封部の端縁にまで延びる切込とで構成されている。これら切込や孔部は、包装用袋の取付け・取外しの作業効率等を考慮して種々の形状のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、密封部の上端縁から孔部の下端まで斜め方向に延びる切込が、特許文献2には、密封部の上端縁から孔部の上端まで鉛直方向に延びる切込が、特許文献3には、略L字状の切込が、特許文献4には、略J字状の切込が開示されている。また、特許文献5には、切込及び孔部が設けられる吊下部に、合成樹脂シート等からなる補強片を設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭51−33194号公報
【特許文献2】実開昭56−172548号公報
【特許文献3】実開昭60−146043号公報
【特許文献4】実用新案登録第3030645号公報
【特許文献5】特許第2936410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各特許文献の包装用袋は、吊下棒に対して孔部を係合させることにより、店頭で吊り下げられた状態で陳列するとともに、吊下状態にある包装用袋を、吊下棒から容易に取り出すことを目的としている。このため、孔部の内径は吊下棒の外径よりも大きく設計されており、これにより、包装用袋が吊下棒の軸方向に沿って容易に移動でき、また、吊下棒の先端部から包装用袋を容易に取り出すことができる。
【0006】
前記のように吊下陳列を目的とした吊下部を備えた包装用袋は、吊下棒の軸方向に沿った力が作用すると、その力に対抗することができず容易に移動する。このため、包装用袋を所定の位置に維持したい場合であっても、その位置を維持することができない。
【0007】
ところで、被包装物によっては、常温以外の温度で使用するのが効果的なものがある。このような被包装物の場合、例えば、一定時間包装用袋を液体中に留めることにより、被包装物を均一かつ迅速に液体と同一温度とすることができる。しかしながら、前記各特許文献に記載された包装用袋は、取り付けた位置を維持するための手段が設けられていないため、液体中に浸漬すると、包装用袋に発生する浮力により容易に水面まで上昇し、液体中に留めておくことができない。包装用袋が水面に浮かんだ状態では、包装用袋の一部のみが液体と接することになるため、被包装物と液体との熱の伝達を効率よく行うことができない。これにより、被包装物を液体と同一温度にするためには時間を要し、さらに、被包装物の温度にむらが生じる場合がある。従って、前記各特許文献に記載された包装用袋を液体中に留めるためには、包装用袋を手で支持しなければならず手間がかかるという問題があった。また、液体が高温である場合や人体に有害なものである場合には、人が包装用袋を手で支持することができないこともある。
【0008】
本発明は、これら従来技術の問題を解決し、被包装物を液槽内の定位置に留めることができる包装用袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、液槽の排水孔を塞ぐ栓部材を液槽の一部に連結する線状の連結部材に取付られる包装用袋であって、被包装物を内部に封入する収納部と、収納部の少なくとも一端部を平面状に閉じる密封部とを有し、前記連結部材に着脱自在に取付られて、取付状態で、その取付位置を維持する保持手段を前記密封部に設けた包装用袋を提供するものである。
【0010】
本発明に係る包装用袋によれば、保持手段を介して収納部を液槽内の定位置に維持することができ、液槽内の定位置に留めることができる。特に、取付位置が液槽内に貯められた液体内や液槽を流れる液体中に存在して、包装用袋が浮力や流れによって移動しようとしても、保持手段にて密封部が取付位置に保持されるので、包装用袋を液体中に留めることができる。
【0011】
前記保持手段は、前記密封部の端縁から内方位置へ延びる切欠部にて構成されるのが望ましい。これにより、包装用袋を連結部材に取付ける場合、使用者が、切欠部に沿って連結部材を通すことで、連結部材が内方位置(収納部側)に案内されるため、連結部材に対する取付けが容易で使いやすいものとなる。また、取外しの際も同様に、切欠部に沿って連結部材を移動させるだけで、容易に取外すことができる。さらに、別途部材を設けたり、複雑な加工を施したりする必要がなく、低コストで保持手段を形成することができる。
【0012】
前記切欠部は、前記密封部の端縁から前記内方位置に延びる第1切込部を備え、該第1切込部の一部又は全部が、取付状態において連結部材の密封部の端縁側への抜けを規制する抜止部となるように構成するのが望ましい。ここで、抜止部とは、連結部材の密封部の端縁までの抜けに対して抵抗となる部分をいい、連結部材が第1切込部から即座に抜け出ることを防止するものをいう。包装用袋を連結部材に取付けると収納部には浮力が発生する。このとき、第1切込部が浮力によって引張られる方向に沿って延びる切込のみによって構成されていると、連結部材が即座に抜け出るおそれがある。しかしながら、第1切込部の一部又は全部を、浮力によって引張られる向きとは相違する向きに延びる切込によって構成された抜止部とすることによって、この抜止部が連結部材の抜けの抵抗となり、連結部材が第1切込部から抜け出ることを防止できる。
【0013】
前記切欠部は、前記密封部の端縁から前記内方位置に延びる第1切込部と、前記内方位置において前記第1切込部の前記収容部側の端縁に連設され、前記連結部材と係合し得る係合穴を備えているのが望ましい。これにより、連結部材が第1切込部の収納部側の端縁に到達した後は、係合穴が連結部材と係合状態となり、長期にわたって安定して連結部材を保持することができる。
【0014】
前記係合穴は、その最大内径が、連結部材の最大外径に対し同一又は小さいものとするのが望ましい。これにより、連結部材の外径部が係合穴に引っ掛かり、連結部材は係合穴を通り抜けない。従って、密封部が連結部材の軸方向にずれるのを規制することができて、包装用袋を液槽内の定位置に維持しやすいものとなる。特に連結部材がボールチェーンである場合には、隣接するボール間に配設される連結軸が係合穴に係止されることになる。このため、係合穴の最大内径をボールの最大外径と同一又は小さくすることによって、ボールが係合穴を通り抜けなくなり、密封部が連結部材の軸方向にずれるのを効果的に規制することができる。この場合、係合穴の最大内径は1〜4mmとするのが望ましい。これにより、収納部に作用する浮力が大きい場合であっても包装用袋を液槽内の定位置に維持することができる。
【0015】
また、前記係合穴は、前記第1切込部の収納部側の端縁に連続する二股状の第2切込部に囲まれた領域により構成することができる。すなわち、二股状の第2切込部にて囲まれる領域が折曲片となって、この折曲片が、二股状の第2切込部の両端縁を結ぶ線(折曲部)を中心に折れ曲がり、係合穴が開口する。そして、連結部材が係合穴に係合した状態では、折曲片が係合穴を閉じるように戻るので、密封部が連結部材の軸方向にずれるのを規制する。これにより、包装用袋を液槽内の定位置に維持することができる。また、折曲片は密封部から切り離されないため、製造過程において切屑が出ない。これにより、製造工程の簡略化、コストの削減を図ることができる。
【0016】
前記第2切込部に囲まれた領域は、前記連結部材の挿入により、前記第2切込部の両端縁を結ぶ部位を中心に折れ曲がることが望ましい。これにより、連結部材を第2切込部で形成された係合穴に挿入する際に、折曲部が連結部材の挿入の抵抗とならずに容易に折れ曲がる。すなわち、連結部材を二股状の第2切込部側に挿入しやすく、使用者にとって使いやすいものとなる。
【0017】
前記保持手段は、連結部材に取付けられることで、前記収納部を前記液槽の液体内に留めるものとできる。これにより、収納部の全体が液体と接することになり、収納部は液体との間で効率的に熱の伝達を行うことができる。従って、被包装物は、迅速に液体と同一温度となり、しかも、被包装物の温度は均一なものとなる。このため、被包装物を所望の温度にしたい場合は、その温度を有する液体を満たした液槽内に包装用袋を留めることにより、被包装物の温度を均一かつ迅速に所望の温度にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
上に述べたように、本発明によれば、包装用袋を液槽内の定位置に留めることができ、被包装物を均一かつ迅速に液体の温度と同一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る包装用袋の第1実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。
【図2】図1に示す切欠部の拡大図である。
【図3】図1に示す包装用袋の連結部材への取付け方法を説明する斜視図であり、(a)は取付前、(b)は取付途中、(c)は取付後である。
【図4】図1に示す包装用袋を連結部材に取付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す包装用袋を連結部材に取付け、液槽内に留めた状態を示す全体図である。
【図6】図1に示す包装用袋の切欠部の変形例を示す図である。
【図7】本発明に係る包装用袋の第2実施形態の正面図である。
【図8】図7に示す切欠部の拡大図である。
【図9】図7に示す包装用袋の係合穴と連結部材とを係合させた状態の断面図である。
【図10】図7に示す包装用袋を連結部材に取付た状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の切欠部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に係る包装用袋を具体的に説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を一部省略する。
【0021】
本発明に係る包装用袋は、図5に示すように液体を溜める液槽100と、この液槽100に設けられる排水孔101を塞ぐ栓部材102とを連結する線状の連結部材103に取付られるものである。本実施形態では、液槽100は家庭用の浴槽であり、連結部材103はボールチェーンである。ボールチェーン103は、図3に示すように直径2mm〜4mmの複数のボール(金属球)104と各金属球104を直結する連結軸105とからなる。
【0022】
図1(a)は、第1実施形態に係る包装用袋を示す正面図、図1(b)は右側面図、図1(c)は平面図である。なお、この包装用袋の背面図は図1(a)と対称にあらわれ、左側面図は図1(b)と同一であり、底面図は図1(c)と同一であるため、これらの図示を省略する。この包装用袋は、図1(a)に示すように正面視矩形状であり、被包装物3を内部に収納する収納部1と、収納部1の少なくとも一端部を平面状に閉じる密封部2とを備える。
【0023】
収納部1は、表面4と裏面5とを有する正面視矩形状の袋体であり、表面4と裏面5との間に被包装物3が収納されて、4辺が密封部2により密封されている。これにより、包装用袋は、図1(b)及び図1(c)に示すように、全体的に僅かに厚みを有する扁平状となっている。収納部1及び密封部2の材質は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムにアルミ箔をラミネートしたもので構成されている。これにより、包装用袋は遮光性に優れ、酸化、水分の蒸発、菌の混入の防止を図ることができ、被包装物3を外部の環境から保護することができる。本実施形態では、被包装物3として化粧水等の液体を不織布に含浸させた顔面用の被覆シートとしている。このような被覆シートは、常温よりも高い温度に温めて使用することにより、毛穴の開きを促進し、化粧水中の有効成分が肌の内部に浸透しやすくなる等の効果があり、美顔及び美肌効果を高めることができる。
【0024】
密封部2は、収納部1の4辺を平面状に閉じるものである。密封部2は収納部1の4辺からそれぞれ連続する4つの直線部にて構成されており、収納部1に対して包囲状となっている。これら4つの直線部のうち、1つの直線部(収納部1の長手方向一端部に対応する部分)は、他の3つの直線部よりも幅広となっている。以下、特に断りのない限り密封部2は、この幅広の密封部をいう。密封部2には、この包装用袋の幅方向中央部に保持手段6が設けられている。
【0025】
保持手段6は、図1(a)に示すように、密封部2の一部を切欠くことにより形成された切欠部8にて構成されており、この切欠部8は、密封部2の端縁7から内方位置(収納部側)へ延びている。
【0026】
本実施形態において切欠部8は、図2に示すように密封部2の内方位置に設けられる係合穴9と、密封部2の端縁7から係合穴9に延びる第1切込部10とで構成される。なお、図2では係合穴9は閉口した状態を示す。第1切込部10は、後述するように連結部材103を密封部2の内方位置に案内するものであり、係合穴9は、第1切込部10にて案内された連結部材103と係合するものである。
【0027】
第1切込部10は、図2に示すように、密封部2の端縁7と直交する方向(包装用袋の長手方向)に延びる第1直線部11と、アール部12と、密封部2の端縁7と平行(包装用袋の幅方向)に延びる第2直線部13とからなる略L字状となっている。これらアール部12と第2直線部13とで抜止部19を構成する。抜止部19は、連結部材103の密封部2の端縁までの抜けに対して抵抗となる部分をいい、後述するように連結部材103が密封部2の端縁側への抜けを防止することができる。
【0028】
第1切込部10の収納部側の端縁15には、該端縁15から連続して分岐する二股状の第2切込部16が設けられており、この第2切込部16に囲まれた領域にて開閉自在の係合穴9が構成されている。すなわち、第2切込部16の両端縁を結ぶ線分が折曲部17として折れ曲がり、第2切込部16に囲まれた領域が折曲片18となって係合穴9を開閉自在とすることができる。第2切込部16は円弧形状をなし、第2直線部13から延長される直線にL1対して対称となっている。これにより、折曲部17は直線L1に対して直交する向きに延びる。
【0029】
本発明の第1実施形態に係る包装用袋を連結部材103(ボールチェーン)に保持させる場合について説明する。なお、液槽100は家庭用の浴槽であり、液体は満たされていないものとする。
【0030】
まず図3(a)に示すように、第1切込部10の開口端縁14と連結部材103の一の連結軸105とが交差するようにして、開口端縁14から連結部材103を挿入し、矢印に示すように第1直線部11、アール部12、第2直線部13の順に連結部材103が案内されるように連結部材103又は包装用袋を移動させる。
【0031】
図3(b)に示すように、連結部材103が二股状の第2切込部16側への挿入部位(つまり、第1切込部10の収納部側の端縁15)に到達すると、連結部材103の挿入により、折曲部17を中心として折曲片18が押し上がる向きに折れ曲がる。このようにして、連結部材103が二股状の第2切込部16側へ挿入されると、折曲部17を介して折曲片18が折れ曲り、係合穴9が開口する。
【0032】
この場合、図2に示すように折曲部17は直線L1に対して直交する向きに延びている。すなわち、連結部材103の挿入方向に対して折曲部17が直交しているため、連結部材103を第2切込部16側へと挿入する際に、折曲部17が連結部材103の挿入の抵抗とならずに容易に折れ曲がる。これにより、使用者にとって、連結部材103を挿入させやすいものとなる。
【0033】
連結部材103が係合穴9に係合した状態では、図3(c)に示すように、折曲片18は、係合穴9を閉じるように戻る。このため、折曲片18の直下の金属球104が折曲片18に引っかかった状態となり、折曲片18が隣接する金属球104の間に介在する状態となる。このようにして、折曲片18は、密封部2が連結部材103の軸方向にずれるのを規制する。
【0034】
前記したように、折曲片18が、連結部材103の挿入に伴って押上がるとともに、連結部材103が係合穴9に係合した状態で、係合穴9を閉じるように戻るためには、折曲部17の厚さ寸法は、材質の有する性質(例えば硬度、柔軟性等)によって決定するのが望ましい。具体的には、本実施形態で使用する材質にて包装用袋を構成した場合、折曲部17の厚さ寸法は150μm〜500μmとするのが好ましく、本実施形態では200μmとしている。
【0035】
包装用袋を連結部材103に取付た後、液体として例えば40℃の温水を浴槽に満たして、温水中に連結部材103及び包装用袋を浸漬させる。このとき、図4及び図5に示すように、収納部1には浮力が発生し、包装用袋が水面方向に浮き上がろうとして図4の矢印のように係合穴9を中心に包装用袋が揺動することになる(なお、図4の二点鎖線は浮力を受ける前の包装用袋の位置を示す)。しかしながら、上記のように連結部材103の金属球104が折曲片18に引っかかった状態であるため、密封部2が連結部材103の軸方向にずれることがない。すなわち、包装用袋は浮き上がらず、液槽内の定位置に留まる。
【0036】
ここで、包装用袋が揺動した場合、係合穴9に挿入された連結部材103が第1切込部10内に戻ることがある。このとき、第1切込部10は収納部1から引張られる力F(図3(c)、図4参照)の方向に引張られるため、第1切込部10が力Fの方向に延びる切込のみによって構成されていると連結部材103が抜け出るおそれがある。しかしながら、第1切込部10の一部(アール部12及び第2直線部13)は力Fの向きとは相違する向きに延びる抜止部19となっているため、抜止部19が力Fに対する抵抗となり、たとえ連結部材103が第1切込部10に戻ってしまったとしても、力Fによって連結部材103が抜け難くなっている。
【0037】
このようにして、本発明の包装用袋を連結部材103に取付けることにより、収納部1を液槽100の液体内に留めることができる。これにより、収納部1の全体が液体と接することになって、収納部1は液体との間で効率的に熱の伝達を行うことができる。従って、被包装物3を、迅速に温水と同一温度(40℃)に温めることができ、しかも均一な温度とすることができる。
【0038】
包装用袋を連結部材103から取外す場合は、連結部材103と係合穴9との係合状態を解除させ、連結部材103が第1切込部10の収納部側の端縁15から第1切込部10の開口端縁14に向かって案内されるように連結部材103又は包装用袋を移動させる。
【0039】
図6は前記第1実施形態の変形例である。図6に示す変形例において、保持手段6の位置は図1と同様の位置(つまり、包装用袋の幅方向中央部に設けられており、図6の第1切込部10、第2切込部16の形状を、図1の第1切込部10、第2切込部と変更している。前記第1実施形態では、第1切込部10は2つの直線部及び1つのアール部にて構成したが、図6(a)(b)に示すような単一の直線部、図6(c)に示すような複数の直線部、図6(d)に示すような単一のアール部、図6(e)に示すような複数のアール部にて構成されていてもよく、種々の形状とすることができる。
【0040】
この場合、第1切込部10の一部又は全部が、収納部1から引張られる力Fの向きとは相違する向きに延びる抜止部19となるように構成することが好ましい。すなわち、図6(a)は、第1切込部10の全部が力Fの向きと同一であるため、図6(a)には抜止部がない状態となっている。図6(b)(d)(e)は、第1切込部10b、10d、10eの全部が力Fの向きと同一であるため、第1切込部10b、10d、10eの全部が抜止部19bとなる。図6(c)は、第1切込部cの一部が抜止部19cとなる。すなわち、第1切込部10cは、密封部2の端縁7から垂直に延びる垂直部と、垂直部から傾斜した傾斜部との2つの直線部にて構成されている。垂直部は力Fの向きと同一であるため、抜止部とはならないが、傾斜部は力Fの向きとは相違する向きに延びるため、この傾斜部が抜止部19cとなる。
【0041】
なお、図6(a)及び後述する第2実施形態に示すように、第1切込部10aが、密封部2の端縁7から垂直に延びる直線のみにて構成される場合であっても、第1切込部10aの全体が抜止部19aとなる場合がある。すなわち、図6(a)において、収納部1から引張られる力fの向きが、例えば二点鎖線で示す向きとなる場合には、第1切込部10aの全部が、力fの向きとは相違する向きに延びることになる。このように、第1切込部10aの向きが力fの向きと相違する場合には、第1切込部10aの全部が抜止部19aとなる。
【0042】
前記第1実施形態では、第2切込部16は円弧形状としたが、図6(a)に示すような拡開するU字状、図6(b)に示すようなU字状、図6(c)に示すようなV字状、図6(d)に示すようなJ字状、図6(e)に示すような規則性のない形状等、種々の形状とすることができる。また、前記第1実施形態や、図6(a)(c)(e)に示すように、折曲部17が、第1切込部10の収納部側の端縁15から延びる直線L1(端縁15における連結部材103の進入方向)に対して直交する方向に延びるのが最も望ましいが、図6(b)(d)に示すように直線L1と折曲部17とが所定角度をなすものであってもよい。
【0043】
図7〜図10は、本発明の第2実施形態に係る包装用袋を示す。この包装用袋は、前記第1実施形態と同様の収納部1及び密封部2を備え、保持手段26の位置及びその形状が前記第1実施形態と異なる。すなわち、密封部2には、この包装用袋の幅方向の端部に相当する位置に切欠部28からなる保持手段26が設けられている。
【0044】
本実施形態において切欠部28は、図7に示すように、密封部2の端縁7から内方位置に向かって延びる第1切込部30と、第1切込部30の収納部側の端縁に連設される係合穴29とで構成されている。
【0045】
第1切込部30は、密封部2の端縁7と直交する方向(包装用袋の長手方向)に延びる単一の直線部にて構成されている。本実施形態では、第1切込部30の全部が抜止部39となる。
【0046】
係合穴29は、図8に示すように第1切込部30の収納部側の端縁に設けられる円形状の貫通孔である。係合穴29は、その最大内径D1が、連結部材103の最大外径(つまり、ボールチェーンの金属球104の最大外径D2)よりも小さいものとなるように設定する。ここで、係合穴29の最大内径D1とは、穴29の内径のうち最大のものをいい、係合穴29が円形である場合はその直径が最大内径D1となる。また、連結部材103の最大外径とは、連結部材103の外径のうち最大のものをいい、本実施形態のようなボールチェーンでは、金属球104の最大の外径をいう。家庭用の浴槽に使用されるボールチェーンの最大外径(つまり、金属球104の直径)D2は一般的には2〜4mmである場合が多い。このため、浴槽に使用されるボールチェーンに本発明の包装用袋を取付ける場合は、係合穴29の最大内径を1〜4mmとするのが望ましい。
【0047】
これにより、連結部材103に包装用袋を取付た状態では、図9に示すように、連結部材103の金属球104の外径部の一部が係合穴29に引っ掛かり、密封部2が、連結部材103の軸方向にずれるのを規制することができる。
【0048】
なお、係合穴29の最大内径D1が、連結部材103の最大外径D2と同一であってもよい。この場合は係合穴29の内径縁部が連結部材103の最大外径を保持することになるため、材質、厚み等を考慮して密封部2を撓みにくい材質とするのが望ましい。
【0049】
第2実施形態の包装用袋でも、図10に示すように、収納部1に浮力が発生して包装用袋が水面方向に浮き上がろうとする。この浮力によって第1切込部30の収納部側の端縁35は力Fの方向に引張られる。このとき、係合穴29は、その最大内径D1が、連結部材103の最大外径D2よりも小さいため、金属球104が係合穴29内を通り抜けることができない。これにより、密封部2が連結部材103の軸方向にずれるのを規制することができて、効果的に包装用袋を液槽内の定位置に維持しやすいものとなる。
【0050】
しかも、第1切込部30の全部(直線部)は、第1切込部30が受ける力F(図10参照)の向きとは相違する向きに延びるものであるため、直線部が抜止部39として働く。これにより、たとえ包装用袋の揺動によって連結部材103が第1切込部30に移動してしまったとしても、力Fによって連結部材103が抜け難くなっている。
【0051】
このようにして、第2実施形態の包装用袋も前記第1実施形態の包装用袋と同様の作用効果を奏する。
【0052】
第2実施形態の包装用袋も、前記第1実施形態の変形例と同様、第1切込部30は複数の直線部、単一又は複数のアール部、直線と曲線とが混合したもの等種々の形状とすることができる。また、係合穴29の形状としては、楕円形、三角形、四角形、多角形、平行四辺形、星形、花形、規則性の無い形状等、任意に設定することができる。
【0053】
図11は、本発明の第3実施形態に係る包装用袋を示す。この包装用袋は、前記第1及び第2実施形態と同様の収納部1及び密封部2を備え、保持手段の形態が前記第1及び第2実施形態と異なる。第3実施形態では、係合穴を省略し、切欠部を第1切込部のみで構成する。例えば、図1の包装用袋において、係合穴9を省略し、第1直線部11、アール部12、第2直線部13にて構成される第1切込部10のみを第3実施形態の保持手段とする。この場合も前記第1実施形態と同様に、アール部12と第2直線部13とが抜止部となる。また、図7の包装用袋において、係合穴29を省略した第1切込部30のみを第3実施形態の保持手段とする。この場合も前記第2実施形態と同様に、第1切込部30の全体が抜止部となる。また、第1切込部50の形状としては、図11の第1切込部50a、50dのように複数の直線にて形成されるもの、第1切込部50cのように複数の曲線にて形成されるもの、第1切込部50b、50eのように直線と曲線にて形成されるもの等種々のものとすることができる。また、図示は省略するが、図11に示すような第3実施形態においても、収納部から受ける力の向きによって、第1切込部50の全部又は一部を抜止部とすることができる。
【0054】
前記第1〜第3実施形態において、切欠部は、密封部2の任意の位置に設けることができる。例えば、第1実施形態の切欠部8を、第2実施形態のように包装用袋の幅方向の端部に相当する位置に設けてもよく、第2実施形態の切欠部28を、第1実施形態のように包装用袋の幅方向の中央部に相当する位置に設けてもよい。また、前記第1〜第3実施形態において、第1切込部の開口端縁は、図11の第1切込部50aに示すように、前記実施形態とは異なる辺40に設けてもよい。このように、切込の開口端縁は、密封部2の端縁のうち、いずれの位置に設けてもよい。
【0055】
前記第1〜第3実施形態では保持手段を切欠部にて構成したが、第4実施形態として、保持手段を切欠部以外のものにて構成することができる。本実施形態の保持手段は、例えば糸、フック、クリップ等、密封部2と連結部材103との間に介在する連結体にて構成する。すなわち、前記第1〜第3実施形態の切欠部を省略して、糸等を介して密封部2を連結部材103に保持させる。
【0056】
前記第1〜第3実施形態の保持手段と、前記第4実施形態の保持手段とを組合せてもよい。すなわち、密封部2に切欠部を設けるとともに、さらに糸等の連結体を設ける。包装用袋を連結部材103に取付ける際には、連結部材103を切欠部に挿入した後、糸等にて密封部2と連結部材103とを固定したり、糸等にて密封部2を連結部材103に仮止めした後、連結部材103を切欠部に挿入したりすることができる。このように切欠部と連結体とを併用して保持手段を構成することにより、特に外れ易い場合(例えば液体の流速が大きい場合や浮力・重力が大きい場合)であっても、保持手段は取付位置を安定して維持することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。収納部1と密封部2との形状は実施形態のものに限られず、例えば収納部1や密封部2が平面視円形、多角形、平行四辺形等種々の形状としてもよい。収納部1はマチ部を有する立体形状としてもよい。また、収納部1や密封部2の材質は種々のものとでき、収納部1と密封部2とが異なる材質であってもよい。密封部2は収納部1に対して包囲状でなくてもよく、収納部1の一部から連続するものであればよい。
【0058】
切込部は、包装用袋が連結部材103に取付られる際に設けられていればよく、その形成方法は種々のものとできる。例えば、密封部2にミシン目や切取線を設けて、包装用袋を連結部材103に取付ける直前に使用者が第1切込部又は係合穴を形成してもよい。本包装用袋の取付順は、実施形態のように包装用袋を取付た後に液槽100に液体を満たしてもよく、液槽100に液体を満たした後に本発明の包装用袋を取付けてもよい。また、液体には流速があってもよい。
【0059】
液槽100は家庭用の浴槽に限られず、その大きさ、用途は種々のものとできる。連結部材103の長さ、最大外径、断面形状、材質も種々のものとできる。被包装物3は、固体、液体、これらの混合物であってもよく、例えば電子部品、プリント基板、半導体関連製品、精密部品、感光紙、感光製品、食品、医薬品、飲料水等種々のものとすることができる。
【0060】
液体の種類は水に限られず、液体の温度は、被包装物3を設定すべき種々の温度とすることができる。また、液体の温度を被包装物3の常温よりも低い温度として、被包装物3を冷却することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 収納部
2 密封部
3 被包装物
6、26、46 保持手段
7 端縁
8、28、48 切欠部
9、29 係合穴
10、30 第1切込部
16 第2切込部
15、35 端縁
19、39 抜止部
100 液槽
101 排水孔
102 栓部材
103 連結部材
D1、D2 最大内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液槽の排水孔を塞ぐ栓部材を液槽の一部に連結する線状の連結部材に取付られる包装用袋であって、
被包装物を内部に封入する収納部と、収納部の少なくとも一端部を平面状に閉じる密封部とを有し、
前記連結部材に着脱自在に取付られて、取付状態で、その取付位置を維持する保持手段を前記密封部に設けたことを特徴とする包装用袋。
【請求項2】
前記保持手段は、前記密封部の端縁から内方位置へ延びる切欠部にて構成されることを特徴とする請求項1の包装用袋。
【請求項3】
前記切欠部は、前記密封部の端縁から前記内方位置に延びる第1切込部を備え、該第1切込部の一部又は全部が、取付状態において連結部材の密封部の端縁側への抜けを規制する抜止部となることを特徴とする請求項2の包装用袋。
【請求項4】
前記切欠部は、前記密封部の端縁から前記内方位置に延びる第1切込部と、前記内方位置において前記第1切込部の前記収容部側の端縁に連設され、前記連結部材と係合し得る係合穴を備えていることを特徴とする請求項2又は3の包装用袋。
【請求項5】
前記係合穴は、その最大内径が、連結部材の最大外径に対し同一又は小さいことを特徴とする請求項4の包装用袋。
【請求項6】
前記連結部材はボールチェーンであり、前記係合穴の最大内径を1〜4mmとすることを特徴とする請求項5の包装用袋。
【請求項7】
前記係合穴は、前記第1切込部の収納部側の端縁に連続する二股状の第2切込部に囲まれた領域により構成されていることを特徴とする請求項4の包装用袋。
【請求項8】
前記第2切込部に囲まれた領域は、前記連結部材の挿入により、前記第2切込部の両端縁を結ぶ部位を中心に折れ曲がることを特徴とする請求項7の包装用袋。
【請求項9】
前記保持手段は、連結部材に取付けられることにより、前記収納部を前記液槽の液体内に留めることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項の包装用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−1240(P2012−1240A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137582(P2010−137582)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】