説明

包装用部材

【課題】本発明は、液体パックを包装するための包装用部材において、簡易に製造をおこなうことを目的とする。
【解決手段】対向する第1の端辺と第2の端辺とを有する矩形形状の液体収容部と、第1の端辺に形成された液体供給部と、を有する液体パックを包装するための包装用部材の製造方法は、板部材を用意する第1の工程と、板部材に連接する3つの面を形成する第2の工程と、板部材の両側に形成された面の一方に、切り欠き部を備え、第1の端辺に対応する第1の開口辺から、第2の端辺に対応する第2の開口辺までの長さが、第1の端辺から第2の端辺までの長さより短い第1の開口部を形成する第3の工程と、他方の面に、第1の端辺に対応する第3の開口辺と、第2の端辺に対応する第4の開口辺の長さが、第1の端辺および第2の端辺の長さより短い第2の開口部を形成する第4の工程と、を備え、第2から第4の工程が同時に実施されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容部と液体供給部とを有する液体パックを包装するための包装用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクなどの液体が充填された液体パックを包装するための包装用部材が知られている。包装用部材は、例えば、発泡スチロールの枠部材やダンボールの梱包部材などをそれぞれ成形して製造される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−69922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、液体パックを包装するための包装用部材について、より簡易に製造をおこなうための改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記した従来の課題の少なくとも一部を解決するためになされた発明であり、液体パックを包装するための包装用部材において、簡易に製造をおこなうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために本願発明は以下の態様を採る。
【0007】
本発明の第1の態様は、対向する第1の端辺と第2の端辺とを有する矩形形状の液体収容部と、前記第1の端辺に形成された液体供給部と、を有する液体パックを包装するための包装用部材の製造方法を提供する。本発明の第1の態様に係る包装用部材の製造方法は、板部材を用意する第1の工程と、前記板部材に、平行な2つの折線を形成し、連接する3つの面を形成する第2の工程と、前記折線により、前記板部材の両側に形成された2つの面のうち、いずれか一方の面に、前記液体パックの外形に対応する形状を有する開口部であって、前記液体供給部に対応する位置に前記液体供給部を固定するための切り欠き部を備え、前記第1の端辺に対応する第1の開口辺から、前記第2の端辺に対応する第2の開口辺までの長さが、前記第1の端辺から前記第2の端辺までの長さより短い第1の開口部を形成する第3の工程と、前記2つの面のうちの他方の面において、前記2つの折線により前記板部材を折りたたんだ場合に、前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体収容部の外形に対応する形状を有する開口部であって、前記第1の端辺に対応する第3の開口辺と、前記第2の端辺に対応する第4の開口辺の長さが、それぞれ、前記第1の端辺および前記第2の端辺の長さより短い第2の開口部を形成する第4の工程と、を備え、前記第2から第4の工程が同時に実施されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の態様に係る包装用部材の製造方法によれば、第2の工程と、第3の工程と、第4の工程と、を同時に実施するため、液体パックを包装するための包装用部材を簡易に製造することができる。
【0009】
本発明の第1の態様に係る包装用部材の製造方法はさらに、前記2つの折線に挟まれた面において、前記折線により前記板部材を折りたたんだ際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体パックの外形に対応する形状の凹部を形成する第5の工程を備え、前記第2から第5の工程が同時に実施されてもよい。
【0010】
この場合、第2の工程と、第3の工程と、第4の工程と、第5の工程と、を同時に実施するため、液体パックを包装するための包装用部材を簡易に製造することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、対向する第1の端辺と第2の端辺とを有する矩形形状の液体収容部と、前記第1の端辺に形成された液体供給部と、を有する液体パックを包装するための包装用部材の製造方法を提供する。本発明の第2の態様に係る包装用部材の製造方法は、第1の板部材と、第2の板部材と、第3の板部材と、を用意する第1の工程と、前記第1の板部材に、前記液体パックの外形に対応する形状を有する開口部であって、前記液体供給部に対応する位置に前記液体供給部を固定するための切り欠き部を備え、前記第1の端辺に対応する第1の開口辺から、前記第2の端辺に対応する第2の開口辺までの長さが、前記第1の端辺から前記第2の端辺までの長さより短い第1の開口部を形成する第2の工程と、前記第2の板部材において、前記第1の板部材に積層した際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体収容部の外形に対応する形状を有する開口部であって、前記第1の端辺に対応する第3の開口辺と、前記第2の端辺に対応する第4の開口辺の長さが、それぞれ、前記第1の端辺および前記第2の端辺の長さより短い第2の開口部を形成する第3の工程と、前記第3の板部材において、前記第1の板部材に積層した際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体パックの外形に対応する形状の凹部を形成する第4の工程と、を備え、前記第2から前記第4の工程が同時に実施されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様に係る包装用部材の製造方法によれば、第2の工程と、第3の工程と、第4の工程と、を同時に実施するため、液体パックを包装するための包装用部材を簡易に製造することができる。
【0013】
本発明は、包装用部材の製造方法に限るものではなく、包装用部材を内部に備えた個装箱や、包装用部材を用いた搬送手段などの製造方法にも適用することができる。
【0014】
また、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、本発明に係る包装用部材の製造方法により製造された包装用部材のほか、この包装用部材を内部に備えた個装箱や、包装用部材を用いた搬送手段等の態様で実現できる。また、本発明に係る包装用部材の製造方法は、適宜、他の工程と組み合わせたり、一部を省略して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例に係る包装用部材の外観を例示した説明図である。
【図2】包装用部材に形成された開口部の形状を説明するための説明図である。
【図3】第1板部材を第3板部材側に折りたたんだ状態を例示した説明図である。
【図4】包装用部材に液体パックを配置した状態を例示した説明図である。
【図5】第2板部材を第3板部材側に折りたたんだ状態を例示した説明図である。
【図6】図5のA−A断面とB−B断面とC−C断面を例示した説明図である。
【図7】図5のX部分を拡大した説明図である。
【図8】包装用部材の製造の流れを示したフローチャートである。
【図9】包装用部材の製造過程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る包装用部材について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
【0017】
A.第1実施例
A1.包装用部材の構成:
図1は、本実施例に係る包装用部材の外観を例示した説明図である。図2は、包装用部材に形成された開口部の形状を説明するための説明図である。本実施例に係る包装用部材100は、インクパックなどの液体パックを包装するための包装体である。包装用部材100は、略矩形形状の板部材により形成され、第1板部材110と、第2板部材120と、第3板部材130とを備えている。第1板部材110、第2板部材120、および第3板部材130は、互いに同形の略矩形形状の外形を備え、第1板部材110は、第1折線140を介して第3板部材130と連接され、第2板部材は、第2折線150を介して第3板部材130と連接されている。第1折線140および第2折線150は、互いに平行となるように形成されている。包装用部材100は、ダンボールなどの紙製部材から形成されてもよく、あるいは、木製板材、金属製板材、プラスチック製板材といった板材を、布、蝶番などの連接部材により連接して形成されていてもよい。
【0018】
第1板部材110は、第1開口部111と、第1係合用切り欠き部112と、面取り部113と、を備えている。第1開口部111は、包装する液体パックの外形に対応する形状を備え、本実施例では、図1に示すように、第1折線140に沿った方向に並んで5つ形成されている。本発明において、第1開口部111の数に限定はなく、5つ以外の数であれば、例えば、1つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0019】
第1開口部111の具体的形状について説明するにあたり、まず、包装用部材100に包装される液体パックの形状について簡単に説明する。図2(a)は、包装用部材100に包装される液体パック200を例示している。液体パック200は、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム、および、アルミ蒸着により形成される積層フィルムからなる袋状の液体収容部210と、液体収容部210の内部に充填される液体を外部に供給するための液体供給部220と、を備えるいわゆる液体パウチである。
【0020】
液体収容部210は、矩形形状を有し、略中央部に液体供給部220が形成されている第1端辺210aと、第1端辺210aの対となる位置に形成されている第2端辺210bと、第1端辺210aおよび第2端辺210bのそれぞれの端部を繋ぐ一対の側辺210sとを備えている。液体供給部220は、略円筒状に形成され、液体収容部210の内部と外部とを連通する連通部材と、連通部材の端部に螺着可能な蓋部材とからなる。本実施例では、側辺210sの長さをLp1とし、第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さをLp2とする。また、液体供給部220の第1端辺210aと直交する方向の長さをLp3とし、第1端辺210aに沿った方向の長さをLp4とする。なお、図2(a)では、液体収容部210は、側辺210sが長辺として表されているが、側辺210sが短辺となる形状であっても良い。なお、上述した液体パック200は、包装用部材100に包装可能な液体パックの一例であり、包装用部材100は、液体収容部と液体供給部とを備えていれば、上記以外の液体パックについても包装することができる。
【0021】
図2(b)は、第1開口部111を例示した説明図である。第1開口部111は、液体パック200の液体収容部210の外形と対応する矩形形状の一部に、液体供給部220の外形に対応する切り欠き部111nが形成された凸型の開口形状を備える。本実施例では、第1開口部111における液体パック200の液体収容部210の外形と対応する矩形形状の部分を「液体収容部対応部分111m」と呼ぶ。第1開口部111は、液体パック200の第1端辺210aと対応する位置に第1開口辺111aが形成され、第2端辺210bと対応する位置に第2開口辺111bが形成されている。また、側辺210sと対応する位置に開口側辺111sが形成されている。第1開口部111は、開口側辺111sの長さLfo1が、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短くなるように形成されている。また、第1開口辺111aおよび第2開口辺111bの長さLfo2が、第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2と等しくなるように形成されている。
【0022】
切り欠き部111nは、第1開口辺111aの一部を矩形形状に切り欠くようにして形成され、第1開口辺111aと直交する方向の長さLfo3が、液体供給部220の第1端辺210aと直交する方向の長さLp3と等しくなるように形成されている。また、切り欠き部111nは、第1開口辺111aに沿った方向の長さLfo4が、液体供給部220の第1端辺210aに沿った方向の長さLp4と等しくなるように形成されている。なお、切り欠き部111nの長さLfo3と長さをLfo4は、液体供給部220の長さLp3と長さLp4より、例えば1mm程度、それぞれ小さく形成されていてもよい。
【0023】
第1係合用切り欠き部112は、第1板部材110の第1折線140が形成されている端辺の一部を切り欠くようにして2つ形成されている。面取り部113は、矩形形状の第1板部材110の四隅にそれぞれ形成されている。
【0024】
第2板部材120は、第2開口部121と、係合部122と、面取り部123と、を備えている。第2開口部121は、第1開口部111と同様に、液体パック200の外形に対応する形状を備え、第1折線140および第2折線150により第1板部材110および第2板部材120をそれぞれ第3板部材130側に折りたたんだ際に、第1開口部111の液体収容部対応部分111mと対向する位置に形成されている。本実施例では、第2開口部121は、中心が第1開口部111の液体収容部対応部分111mの中心と一致するように配置されている。
【0025】
図2(c)は、第2開口部121を例示した説明図である。第2開口部121は、液体収容部210の外形と対応する矩形の開口形状を備えている。第2開口部121は、液体パック200の第1端辺210aと対応する位置に第3開口辺121aが形成され、第2端辺210bと対応する位置に第4開口辺121bが形成されている。また、側辺210sと対応する位置に開口側辺121sが形成されている。第2開口部121は、開口側辺121sの長さLso1が、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短くなるように形成されている。また、第3開口辺121aおよび第4開口辺121bの長さLso2が、第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2より短くなるように形成されている。また、第2開口部121は、開口側辺121sの長さLso1が、第1開口部111の開口側辺111sの長さLfo1より短くなるように形成されているため、開口面積が第1開口部111より小さい。
【0026】
係合部122は、第1係合用切り欠き部112、および、後述する第2係合用切り欠き部132と、係合するためにT字形状を備え、第2折線150を介して第1係合用切り欠き部112と対応する位置に形成されている。係合部122による係合方法については後述する。面取り部123は、矩形形状の第2板部材120の四隅にそれぞれ形成されている。
【0027】
第3板部材130は、凹部131と、第2係合用切り欠き部132と、面取り部133と、を備えている。凹部131は、第1開口部111の液体収容部対応部分111mと略同形の矩形形状であって、深さ2mm〜5mm程度のエンボス形状を備えている。凹部131は、第1折線140により第1板部材110を第3板部材130側に折りたたんだ際に、第1開口部111の液体収容部対応部分111mと対向する位置に形成されている。
【0028】
第2係合用切り欠き部132は、第3板部材130の第1折線140が形成されている端辺の一部において、第1折線140を介して第1係合用切り欠き部112と対向する位置に形成されている。第2係合用切り欠き部132の第1折線140に沿った方向の切り欠き幅は、第1係合用切り欠き部112の第1折線140に沿った方向の切り欠き幅より広くなるように形成されている。そのため、包装用部材100は、第2係合用切り欠き部132と第1係合用切り欠き部112とによりT字状の開口部が形成されている。面取り部133は、矩形形状の第3板部材130の四隅にそれぞれ形成されている。
【0029】
A2.包装用部材による包装方法:
包装用部材100を用いた液体パック200の包装方法について説明する。図3は、第1板部材を第3板部材側に折りたたんだ状態を例示した説明図である。包装用部材100は、凹部131と第1開口部111により、液体パック200を設置するための台座部を形成する。すなわち、図3に示すように、包装用部材100は、第1折線140を介して、第1板部材110が第3板部材130側に折りたたまれることにより、凹部131の外周と第1開口部111の外周が一致した状態で、凹部131上に第1開口部111が配置されて台座部が形成される。
【0030】
図4は、包装用部材に液体パックを配置した状態を例示した説明図である。図4(a)に示すように、液体パック200は、第1開口部111の形状に合わせて嵌め込まれる。具体的には、液体パック200は、液体供給部220が切り欠き部111nに嵌め込まれるとともに、液体収容部210の一部が第1開口部111の液体収容部対応部分111mに嵌め込まれる。このとき、図4(b)に示すように、第1開口部111の開口側辺111sの長さLfo1は、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短いため、液体パック200の第2端辺210b側が第1開口部111からはみ出た状態となる。本実施例において、液体パック200の第1開口部111からはみ出た部分を「はみ出し部分Fc」と呼ぶ。
【0031】
また、第1開口部111の第1開口辺111aおよび第2開口辺111bの長さLfo2は、液体パック200の第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2と等しいため、液体パック200は、それぞれの側辺210sが開口側辺111sの内側と一致した状態で格納される。第3板部材130は、第1開口部111の内側に格納された液体パック200を支持する。
【0032】
切り欠き部111nは、第1開口辺111aと直交する方向の長さLfo3が、液体供給部220の第1端辺210aと直交する方向の長さLp3と等しく、第1開口辺111aに沿った方向の長さLfo4は、液体供給部220の第1端辺210aに沿った方向の長さLp4と等しいため、切り欠き部111nに嵌め込まれた液体供給部220は、切り欠き部111nに挟持された状態で固定される。
【0033】
図5は、第2板部材を第3板部材側に折りたたんだ状態を例示した説明図である。図6は、図5のA−A断面とB−B断面とC−C断面を例示した説明図である。図6(a)は、図5(b)のA−A断面を示し、図6(b)は、図5(b)のB−B断面を示し、図6(c)は、図5(b)のC−C断面を示す。
【0034】
第2板部材120は、凹部131と第1開口部111により形成された台座部に収容された液体パック200の上面を覆う蓋部材として機能する。すなわち、図5(a)に示すように、第2板部材120は、第2折線150を介して、第3板部材130側に折りたたまれることにより、第2開口部121が第1開口部111の液体収容部対応部分111m上に配置されるとともに、台座部に収容されている液体パック200を覆う。このとき、図5(b)に示すように、第2開口部121の開口側辺121sの長さLso1は、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短いため、液体供給部220、および、はみ出し部分Fc上に、第2板部材120が配置される。そのため、図6(a)(b)に示すように、液体供給部220、および、はみ出し部分Fcは、第2板部材120と第3板部材130とにより挟持される。また、第3開口辺121aおよび第4開口辺121bの長さLso2は、液体パック200の第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2より短いため、図6(c)に示すように、液体収容部210の中心部分付近が第2開口部121から露出し、側辺210s付近のその他の部分は、第2板部材120により覆われる。
【0035】
図7は、図5のX部分を拡大した説明図である。第1折線140および第2折線150により第1板部材110および第2板部材120をそれぞれ第3板部材130側に折りたたんだ際に、係合部122、第1係合用切り欠き部112、および、第2係合用切り欠き部132は、図7(a)に示すように、各板部材の積層方向に重なるように配置される。このとき、
第2係合用切り欠き部132の第1折線140に沿った方向の切り欠き幅は、第1係合用切り欠き部112の第1折線140に沿った方向の切り欠き幅より広くなるように形成されているため、係合部122の下部には、第1係合用切り欠き部112と第2係合用切り欠き部132により逆向きのT字状の切り欠きが形成される。
【0036】
図7(b)に示すように、係合部122は、T字形状の基端側を軸として、上端側を下方向に回転させることにより、係合部122のT字形状が、第1係合用切り欠き部112および第2係合用切り欠き部132により形成される逆向きのT字形状と一致するように係合する。すなわち、係合部122の係合部122のT字形状のうちの上側部分(Tの横棒部分)が第1係合用切り欠き部112に係止されることにより、第2折線150を軸とした第2板部材120の回動は抑制される。また、第2板部材120の回動が抑制されることにより、第1折線140を軸とした第1板部材110の回動についても抑制される。
【0037】
A3.包装用部材の製造方法:
包装用部材100の製造方法について説明する。図8は、包装用部材の製造の流れを示したフローチャートである。図9は、包装用部材の製造過程を説明するための説明図である。包装用部材100を製造するにあたり、まず、包装用部材100を成形するための板部材Sを用意する(ステップS110)。本実施例では、板部材Sは、外形が包装用部材100の外形と同形状のダンボールを用いているが、用意する板部材Sは、必ずしも包装用部材100の外形と同形状である必要はなく、後述する型抜き装置300の機能に応じた任意の形状であってよい。
【0038】
用意した板部材Sを型抜き装置300にセットする(ステップS120)。本実施例で用いられる型抜き装置300は、図9(a)に示すように、上型310と、下型320とを備えている。上型310は、下型320と対向する側(図9では下側)に、板部材Sを切断するための打抜切刃311と、板部材Sに折線を形成するための折線用切刃312と、板部材Sに凹部を形成するための面押部310aと、を備えている。板部材Sは、下型320の上型310と対向する面の所定位置にセットされる。
【0039】
板部材Sの型抜きをおこなう(ステップS130)。型抜き装置300の上型310が下型320に向かって下降することにより、第1開口部111と、第2開口部121と、凹部131と、第1折線140と、第2折線150と、が同時に形成される。具体的には、打抜切刃311により板部材Sの一部がくり抜かれて、第1開口部111と、第2開口部121と、が形成される。また、面押部310aにより板部材Sの一部が押圧されて、凹部131が形成される。また、折線用切刃312により板部材Sの一部に断続的な切断線が形成されて、第1折線140と、第2折線150と、が形成される。第1折線140および第2折線150の形成により、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130が形成される。
【0040】
本実施例では、さらに、ステップS130の型抜きにより、第1係合用切り欠き部112と、第2係合用切り欠き部132と、係合部122と、が同時に形成される。型抜き装置300による型抜動作は、上型310が下型320側に下降する態様に限定されず、下型320が上型310に向かって上昇してもよい。また、板部材Sの外形が、包装用部材100の外形と異なる場合には、ステップS130の型抜きにより、包装用部材100の外形が同時に形成されてもよい。
【0041】
包装用部材100を取り出す(ステップS140)。具体的には、上型310を上昇させ、形成された包装用部材100を型抜き装置300から取り出す。なお、型抜き装置300への板部材Sのセットと、取り出しは、人により実施されてもよいし、装置により実施されてもよい。上記により、包装用部材100の製造は完了する。
【0042】
以上説明した第1実施例に係る包装用部材100の製造方法によれば、板部材Sに、第1開口部111と、第2開口部121と、第1折線140と、第2折線150と、が同時に形成されるため、包装用部材100を簡易に製造することができる。具体的には、第1折線140と第2折線150により、板部材Sから、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130が形成される工程と、第1板部材110に第1開口部111が形成される工程と、第2板部材120に第2開口部121が形成される工程とが、ステップS130において、型抜き装置300による型抜きにより同時に実施されるため、各工程を別に実施する場合に比べて、簡易に包装用部材を製造することができる。また、上記工程に加えて、第3板部材130に凹部131を形成する工程を含めても、同時に実施することができるため、簡易に包装用部材100を製造できる。
【0043】
発泡スチロールの枠部材やダンボールの梱包部材などを用いた包装用部材は、各部材をそれぞれ異なる工程により製造する必要があるが、包装用部材100を構成する、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130は、同一材料により形成することができ、また、それぞれが板状であるため、型抜き等によって、一体的に形成することができる。よって、各部材がそれぞれ異なる工程により製造される包装用部材に比べても簡易に製造することができる。また、ダンボールなどの同一部材により形成することができるため、部材のコストダウンを図ることができるほか、製造時や廃棄時等における環境への影響を緩和することができる。
【0044】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第1開口部111を有する第1板部材110と、第2開口部121を有する第2板部材120と、第3板部材130と、を備えているため、液体パック200を簡易に包装することができる。具体的には、上記により、液体パック200の包装に必要な包装用部材100を容易に製造することができる。また、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130を積層することにより液体パック200を包装するため包装を容易におこなうことができる。従来、包装用部材は、例えば、発泡スチロールやダンボールなど複数の材料により構成されているため、それぞれ別に製造する必要があった。また、例えば、発泡スチロールの枠部材を事前にダンボールの梱包部材に取り付けるなど、液体パック200を包装するために複雑な包装工程が必要であり、容易に包装をおこなうことができなかった。
【0045】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第1開口部111に少なくとも一部が嵌め込まれた液体パック200を、第2板部材120と第3板部材130により挟持するため、液体パック200を簡易に包装することができる。
【0046】
具体的には、第1開口部111について、開口側辺111sの長さLfo1が、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短く形成されているため、液体パック200の一部には、図4(b)に示す、はみ出し部分Fcが形成される。これにより、図6(b)に示すように、はみ出し部分Fcを第1板部材110と第3板部材130とにより挟持することができ、液体パック200の移動を抑制することができる。
【0047】
また、切り欠き部111nは、第1開口辺111aと直交する方向の長さLfo3が、液体供給部220の第1端辺210aと直交する方向の長さLp3と等しく、第1開口辺111aに沿った方向の長さLfo4が、液体供給部220の第1端辺210aに沿った方向の長さLp4と等しいため、切り欠き部111nに嵌め込まれた液体供給部220を良好に固定して、液体パック200の移動を抑制することができる。また、図6(a)に示すように、液体供給部220は、第2板部材120と第3板部材130とにより挟持されるため、各板部材の積層方向(図6の上下方向)において、液体パック200の移動を抑制することができる。
【0048】
また、第2開口部121について、第3開口辺121aおよび第4開口辺121bの長さLso2は、液体パック200の第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2より短いため、図6(c)に示すように、液体収容部210の中心部分付近を第2開口部121から露出させることができる。これにより、液体が充填された液体パック200において、厚みのある液体収容部210の中心部付近と、第2板部材120との接触を抑制して、第2板部材120および第3板部材130により液体パック200を良好に挟持することができる。また、液体パック200の側辺210s付近は、第2板部材120により覆われているため、第2開口部121からの液体パック200の飛び出しを抑制することができる。
【0049】
また、包装用部材100は、第3板部材130を備えているため、第1開口部111に嵌め込まれた液体パック200を良好に支持することができる。すなわち、液体パック200が包装された包装用部材100が液体パック200の重さにより撓んだり、折れ曲がったりすることを抑制できる。
【0050】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第1開口部111は、第1開口辺111aおよび第2開口辺111bの長さLfo2が、液体パック200の第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2と等しくなるように形成されている。これにより、液体パック200のそれぞれの側辺210sを開口側辺111sの内側と一致させた状態で格納することができるため、液体パック200が包装用部材100の内部で移動することを抑制できる。
【0051】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第3板部材130は、第1折線140を介して第1板部材110と連接され、第2折線150を介して第2板部材120と連接されているため、液体パック200を簡易に包装することができる。具体的には、第1折線140および第2折線150を介して、第1板部材110および第2板部材120を第3板部材130上に折りたたむことで、第1開口部111、第2開口部121および凹部131が所定位置に形成されるため、液体パック200を容易に包装することができる。すなわち、第1折線140および第2折線150により、第1開口部111、第2開口部121や凹部131の位置を合わせるための位置合わせが不要となり、簡単に包装することができる。
【0052】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第3板部材130は、第1開口部111と対向する位置に凹部131を備えているため、液体パック200を簡易に包装することができる。具体的には、凹部131により、液体パック200が包装用部材100の内部で移動することを抑制できる。また、厚みのある液体収容部210の中心部付近と、第2板部材120との接触を抑制することができる。
【0053】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第1板部材110は第1係合用切り欠き部112を備え、第2板部材120は係合部122を備え、第3板部材130は第2係合用切り欠き部132を備えているため、液体パックを簡易に包装することができる。具体的には、液体パック200を包装した後に、係合部122を、第1係合用切り欠き部112および第2係合用切り欠き部132により形成される切り欠き部に係合させることにより、第2板部材120の回動が抑制され、包装された液体パック200が包装用部材100の外部に飛び出すことを抑制することができる。
【0054】
第1実施例に係る包装用部材100によれば、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130のそれぞれの四隅に面取り部が形成されているため、包装用部材100の損傷を抑制することができる。
【0055】
B.変形例
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0056】
B1.変形例1:
本実施例では、包装用部材100の製造方法において、型抜きにより、板部材Sに第1折線140と第2折線150が形成され、これにより、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130と、それぞれに対応する開口部が同時に形成されているが、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130は、必ずしも互いに接続されている必要はなく、例えば、予め、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130の3つの板部材を用意して、同時に型抜きをおこなうことにより、それぞれの板部材の対応する位置に、第1開口部111、第2開口部121および凹部131を同時に形成してもよい。この場合であっても、包装用部材100を簡易に製造することができる。
【0057】
B2.変形例2:
本実施例では、第1開口部111は、第1開口辺111aおよび第2開口辺111bの長さLfo2が、第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2と等しくなるように形成されているが、これに限られず、第1開口辺111aおよび第2開口辺111bの長さLfo2が第1端辺210aおよび第2端辺210bの長さLp2より大きくてもよい。この場合であっても、包装用部材100の内部における液体パック200の移動を抑制して、良好に包装することができる。
【0058】
また、本実施例では、第2開口部121は、開口側辺121sの長さLso1が、液体パック200の側辺210sの長さLp1より短くなるように形成されているが、これに限られず、開口側辺121sの長さLso1が、液体パック200の側辺210sの長さLp1と等しくても良い。この場合であっても、第2開口部121からの液体パック200の飛び出しを抑制しつつ、液体パック200を良好に包装することができる。
【0059】
また、本実施例では、凹部131は、第1開口部111の液体収容部対応部分111mと略同形の矩形形状に形成されているが、これに限られず、液体収容部210の少なくとも一部が収容可能であれば、任意の形状であってもよい。この場合であっても、包装用部材100の内部における液体パック200が移動を抑制して、良好に包装することができる。
【0060】
B3.変形例3:
本実施例では、包装用部材100は、第3板部材130に凹部131を備えているが、本発明は、第3板部材130に凹部131が形成されていなくても実現することができる。すなわち、凹部131がなくても、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130により液体パック200の移動を抑制することができる。
【0061】
B4.変形例4:
本実施例では、第1折線140および第2折線150は、互いに平行となるように形成されているが、第1折線140および第2折線150により第1板部材110および第2板部材120を第3板部材130側に折りたたんだ際に、第1開口部111、第2開口部121および凹部131がそれぞれ対応する位置に配置されれば、第1折線140および第2折線150は、互いに平行でなくてもよい。また、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130は互いに外形形状が異なっていてもよい。
【0062】
B5.変形例5:
本実施例では、第1板部材110は第1係合用切り欠き部112を備え、第2板部材120は係合部122を備え、第3板部材130は第2係合用切り欠き部132を備えているが、包装用部材100は、第1係合用切り欠き部112、係合部122および第2係合用切り欠き部132を備えていなくてもよい。この場合であっても、例えば、輪ゴムやひも等により、第2板部材120の回動を抑制すれば、包装された液体パック200が包装用部材100の外部に飛び出すことを抑制することができる。
【0063】
B6.変形例6:
本実施例では、第1板部材110、第2板部材120および第3板部材130にはそれぞれ面取り部113,123,133を備えているが、包装用部材100は、面取り部113,123,133を備えていなくてもよい。この場合であっても、包装用部材100は、液体パック200を簡易に包装することができる。
【0064】
また、上述の実施例では、本発明を包装用部材に適用した例について説明したが、他の実施形態として、例えば、包装用部材を内部に備えた個装箱や、包装用部材を用いた搬送手段、などに本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0065】
100…包装用部材
110…第1板部材
111…第1開口部
111a…第1開口辺
111b…第2開口辺
111m…液体収容部対応部分
111n…切り欠き部
111s…開口側辺
112…第1係合用切り欠き部
113,123,133…面取り部
120…第2板部材
121…第2開口部
121a…第3開口辺
121b…第4開口辺
121s…開口側辺
122…係合部
130…第3板部材
131…凹部
132…第2係合用切り欠き部
140…第1折線
150…第2折線
200…液体パック
210…液体収容部
210a…第1端辺
210b…第2端辺
210s…側辺
220…液体供給部
300…型抜き装置
310…上型
310a…面押部
311…打抜切刃
312…折線用切刃
320…下型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の端辺と第2の端辺とを有する矩形形状の液体収容部と、前記第1の端辺に形成された液体供給部と、を有する液体パックを包装するための包装用部材の製造方法であって、
板部材を用意する第1の工程と、
前記板部材に、平行な2つの折線を形成し、連接する3つの面を形成する第2の工程と、
前記折線により、前記板部材の両側に形成された2つの面のうち、いずれか一方の面に、前記液体パックの外形に対応する形状を有する開口部であって、前記液体供給部に対応する位置に前記液体供給部を固定するための切り欠き部を備え、前記第1の端辺に対応する第1の開口辺から、前記第2の端辺に対応する第2の開口辺までの長さが、前記第1の端辺から前記第2の端辺までの長さより短い第1の開口部を形成する第3の工程と、
前記2つの面のうちの他方の面において、前記2つの折線により前記板部材を折りたたんだ場合に、前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体収容部の外形に対応する形状を有する開口部であって、前記第1の端辺に対応する第3の開口辺と、前記第2の端辺に対応する第4の開口辺の長さが、それぞれ、前記第1の端辺および前記第2の端辺の長さより短い第2の開口部を形成する第4の工程と、を備え、
前記第2から第4の工程が同時に実施されることを特徴とする包装用部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用部材の製造方法は、さらに、
前記2つの折線に挟まれた面において、前記折線により前記板部材を折りたたんだ際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体パックの外形に対応する形状の凹部を形成する第5の工程を備え、
前記第2から第5の工程が同時に実施されることを特徴とする包装用部材の製造方法。
【請求項3】
対向する第1の端辺と第2の端辺とを有する矩形形状の液体収容部と、前記第1の端辺に形成された液体供給部と、を有する液体パックを包装するための包装用部材の製造方法であって、
第1の板部材と、第2の板部材と、第3の板部材と、を用意する第1の工程と、
前記第1の板部材に、前記液体パックの外形に対応する形状を有する開口部であって、前記液体供給部に対応する位置に前記液体供給部を固定するための切り欠き部を備え、前記第1の端辺に対応する第1の開口辺から、前記第2の端辺に対応する第2の開口辺までの長さが、前記第1の端辺から前記第2の端辺までの長さより短い第1の開口部を形成する第2の工程と、
前記第2の板部材において、前記第1の板部材に積層した際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体収容部の外形に対応する形状を有する開口部であって、前記第1の端辺に対応する第3の開口辺と、前記第2の端辺に対応する第4の開口辺の長さが、それぞれ、前記第1の端辺および前記第2の端辺の長さより短い第2の開口部を形成する第3の工程と、
前記第3の板部材において、前記第1の板部材に積層した際に前記第1の開口部と対向する位置に、前記液体パックの外形に対応する形状の凹部を形成する第4の工程と、を備え、
前記第2から前記第4の工程が同時に実施されることを特徴とする包装用部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−184716(P2010−184716A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28761(P2009−28761)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】