説明

包装箱

【課題】蓋体の開放時にユーザに怪我をさせることを防止する。
【解決手段】底壁11、および、底壁11の外周縁から立設した外壁部14A〜14Dと内壁部16A〜16Dとを有する二重壁構造の本体周壁を有する箱本体10と、天壁31、および、天壁31の外周縁から立設した蓋周壁を有する蓋体30とを備えた包装箱において、箱本体10の本体周壁を構成する2つの本体側壁12B,12Dの外壁部14B,14Dに係合穴22を設け、係合穴22を形成した本体側壁12B,12Dと対応する蓋体30の蓋側壁32B,32Dに、組付状態で係合穴22と対応し係合穴22の下端縁を越えて上向きに延びる係合凸部37と、係合凸部37の下端に連続するとともに横方向に延びる折曲線40を介して蓋側壁32B,32Dと連続する把持部39とを設け、かつ、少なくとも把持部39の下端に、肉厚を圧縮した圧縮部42を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりギフト商品を収容する場合には、上端開口の箱本体と、該箱本体とは別体の下端開口の蓋体とからなる包装箱が使用されている。前記蓋体の蓋周壁は、その全高が箱本体の本体周壁の全高と同一または若干小さくなる寸法設定とされ、蓋体の天壁に箱本体の本体周壁の上端が当接した状態で閉塞され、箱本体の下端が箱本体の下端縁より露出するように構成されている。
【0003】
しかしながら、この包装箱は、箱本体から蓋体を取り外して開放する場合、まず、箱本体の底壁から蓋体の天壁にかけて全体を両手で把持した状態で、蓋体の下端縁に所定の指を当てる。そして、箱本体の底壁を支える力を緩めることによって、箱本体および内部の商品の重力によって相対的に移動させて行う。または、箱本体の本体周壁において、露出した下部に他の指を当て、各指を広げるようにして行う。これらの開放作業は、非常に面倒であるうえ、包装箱が紙製である場合、紙の端縁で怪我をさせる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、箱本体と蓋体とを別体とした包装箱において、蓋体の開放時にユーザに怪我をさせることを防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱は、多角形状をなす底壁、および、該底壁の外周縁から立設した外壁部と内壁部とを有する二重壁構造の本体周壁を有する箱本体と、前記底壁と同一形状の天壁、および、該天壁の外周縁から立設した蓋周壁を有し、該蓋周壁によって前記本体周壁の外周部を囲繞して前記箱本体の上端開口を閉塞する蓋体とを備えた包装箱において、前記箱本体の前記本体周壁を構成する2つの本体側壁の外壁部に係合穴を設け、前記係合穴を形成した本体側壁と対応する前記蓋体の蓋側壁に、組付状態で前記係合穴と対応し該係合穴の下端縁を越えて上向きに延びる係合凸部と、該係合凸部の下端に連続するとともに横方向に延びる折曲線を介して蓋側壁と連続する把持部とを設け、かつ、少なくとも前記把持部の下端に、肉厚を圧縮した圧縮部を設けた構成としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装箱では、該包装箱を持ち上げることなく、机や台の上に置いた状態で、蓋体に設けた把持部を把持して上向きに操作する。これにより、把持部を折曲線に沿って折り曲げ、該把持部に連続した係合凸部を係合穴の下端縁に係合させることができる。そのため、前記把持部が係合凸部より上側に位置するまで操作を行うと、前記係合凸部と係合穴との係合により、箱本体に対して蓋体を上方に移動させることができる。これにより、蓋体の下端からは箱本体の周壁が広く露出した状態になる。
【0007】
この状態で、本体周壁と蓋周壁とを跨ぐように異なる指を添え、各指を広げて蓋体を上向きに移動させることにより、ユーザに怪我をさせることなく簡単に蓋体を開放することができる。または、蓋体の蓋周壁に両手を添えて持ち上げることにより、ユーザに怪我をさせることなく、簡単に蓋体を開放することができる。または、蓋体の蓋周壁の下端縁に指を当てて持ち上げることにより、蓋体を開放することができる。このように、本発明の包装箱では、蓋体を開放する方法に係る多様性を向上できる。また、本発明の蓋体には、その把持部の下端に肉厚を圧縮した圧縮部を設けているため、前述のように把持部を操作する際にその下端縁に指を当てた場合にユーザに怪我をさせることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る包装箱を示す。この包装箱は、商品を収容する箱本体10の上端開口を、別体からなる下端開口の蓋体30により閉塞するものである。これら箱本体10および蓋体30は、図4および図5に示すように、周知の紙器打抜装置(図示せず)によって段ボール紙を連続した一枚のブランクとして打ち抜いて成形される。なお、前記段ボール紙は、一対の表紙と裏紙との間に波状の中しんを配設したものである。
【0010】
具体的には、前記箱本体10のブランクは、図4に示すように、長方形状をなす底壁11を備えている。この底壁11の外周縁には、本体周壁を構成する二重壁構造の本体側壁12A〜12Dが連設され、その境界部分には肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線13が設けられている。これら本体側壁12A〜12Dは、前記底壁11に連続した外壁部14A〜14Dと、該外壁部14A〜14Dに連続した上端壁部15A〜15Dと、該上端壁部15に連続した内壁部16A〜16Dとを備え、これらの各境界部分には前記と同様の折曲線17が設けられている。
【0011】
そのうち、上下に設けられた本体側壁12A,12Cの外壁部14A,14Cおよび内壁部16A,16Cには、その両側縁に隣接する左右の本体側壁12B,12Dの外壁部14B,14Dおよび内壁部16B,16Dの間に配設される外側折込部18および内側折込部19が連設され、その境界部分には折曲線20が設けられている。また、内壁部16A,16Cの両側縁先端には、略L字形状の切断線を設けることにより係止溝21が形成されている。
【0012】
また、左右に設けられた本体側壁12B,12Dの外壁部14B,14Dには、組立状態で上下方向の略中央より上向きに延びる矩形状の係合穴22が設けられている。さらに、本体側壁12B,12Dの内壁部16B,16Dには、その先端縁中央に半円形状をなす指掛用切欠部23が設けられるとともに、その先端両側縁に、組立状態で前記係止溝21に係止する係止突起部24が設けられている。
【0013】
このように打ち抜かれた箱本体10のブランクは、上下の壁部14A,14C〜16A,16Cを折曲線17に沿って内向きに順次折り曲げた後、各折込部18,19を折曲線20に沿って折り曲げる。ついで、各折込部18,19を巻き込むようにして、左右の壁部14B,14D〜16B,16Dを折曲線17に沿って内向きに順次折り曲げ、先端の係止突起部24を係止溝21に係止することにより、図1に示すように、底壁11の外周縁から本体周壁を構成する各本体側壁12A〜12Dを立設した組立状態とすることができる。なお、この組立状態の蓋本体10は、前記指掛用切欠部23に指を引っ掛けて上向きに引き上げることにより、係止溝21と係止突起部24との係止を解除して展開する。または、前記係合穴22を指挿入穴として使用し、指で内壁部16B,16Dを押圧することにより、係止溝21と係止突起部24との係止を解除して展開する。
【0014】
一方、前記蓋体30のブランクは、図5に示すように、箱本体10の外法と略同一の長方形状をなす天壁31を備えている。この天壁31の外周縁には、蓋周壁を構成する蓋側壁32A〜32Dが連設され、その境界部分には折曲線33が設けられている。これら蓋側壁32A〜32Dは、蓋体30への組付状態で、その下端縁が箱本体10の底壁11の下面と略同一または若干高い位置となるように構成されている。
【0015】
そのうち、上下に設けられた蓋側壁32A,32Cの両側縁には、隣接する蓋側壁32B,32Dに貼着するための糊代部34が連設され、その境界部分には折曲線35が設けられている。
【0016】
また、左右に設けられた蓋側壁32B,32Dには、所謂梃子の原理で蓋体30の開放作業を容易とするための操作部36が設けられている。この操作部36は、蓋体30を箱本体10に組み付けた状態で、前記蓋体30の係合穴22に対応する係合凸部37と、該係合凸部37に連続した把持部39とを備えている。前記係合凸部37は、組付状態で前記係合穴22の下端縁を越えて上向きに延びるもので、前記係合穴22の横方向の幅より大きい幅の円弧状切断線38を設けることにより形成されている。前記把持部39は、前記円弧状切断線38の両端から横方向(水平)に延びる一対の折曲線40を設けるとともに、これら折曲線40の各端部から蓋側壁32B,32Dの先端にかけて略M字形状の打抜部41を形成することにより、前記折曲線40の両端間にかけて円弧状に形成されている。
【0017】
さらに、本実施形態では、ハッチングを付して示すように、各把持部39の下端縁に肉厚を圧縮した圧縮部42が所定角度をもって複数設けられている。また、各蓋側壁32A〜32Dの先端縁にも同様に、肉厚を圧縮した圧縮部42が所定間隔をもって複数設けられている。この圧縮部42は、例えばダイカッター方式の紙器打抜装置において、切断刃を配設した上型に硬質なスポンジまたはコルク材を配置することにより、ブランクの打ち抜きと同時に形成される。
【0018】
このように打ち抜かれた蓋体30のブランクは、各糊代部34を折曲線35に沿って折り曲げた状態で、各蓋側壁32A〜32Dを折曲線33に沿って折り曲げ、前記糊代部34を隣接する蓋側壁32B,32Dに接着剤を介して貼着することにより、図1に示すように、天壁31の外周縁から蓋周壁を構成する各蓋側壁32A〜32Dを立設した組立状態とすることができる。
【0019】
前記箱本体10および蓋体30からなる包装箱は、従来と同様に、箱本体10の内部に所定の商品を収容させた後、蓋側壁32A〜32Dによって本体側壁12A〜12Dの外周部を囲繞するように、上側から被せることにより、図2(A)に示すように、箱本体10の上端開口を蓋体30で閉塞する。
【0020】
そして、箱本体10から蓋体30を取り外す際には、該包装箱を持ち上げることなく、机や台の上に置いた状態で、蓋体30の把持部39を把持し、折曲線40を軸として把持部39を外向きに折り曲げるように上向きに操作する。そして、図2(B)に示すように、把持部39が折曲線40を支点として係合凸部37より上側に位置するまで操作を行うことにより、前記係合凸部37と係合穴22との係合により、蓋体30全体を上方に浮き上げることができる。
【0021】
具体的には、図3(A)に示す封緘(組付)状態で把持部39を操作すると、図3(B)に示すように、係合凸部37が箱本体10の係合穴22の下端縁に係合する。これにより、蓋体30は、梃子の原理で箱本体10に対して上向きに移動する。また、この状態では、箱本体10の本体側壁12B,12Dの外側に位置する蓋体30の蓋側壁32B,32Dは、段ボール紙が有する弾性力により外向きに撓んだ状態をなす。この蓋側壁32B,32Dの弾性力は、把持部39が水平に位置するまで強くなり、水平位置を越えて係合凸部37より把持部39が上方に位置すると、蓋側壁32B,32Dが弾性的に復元する力が作用するため、操作に必要な力は逆に小さくなる。そして、図3(C)に示すように、係合凸部37より垂直に近い状態まで回転操作されると、蓋側壁32B,32Dは本体側壁12B,12Dと平行に位置する状態まで復元されるとともに、箱本体10に対する蓋体30の上向きの移動が停止する。
【0022】
前記把持部39の操作後の状態では、蓋体30の下端から箱本体10の本体側壁12A〜12Dが広く露出した状態になる。そのため、この状態で、所定の本体側壁12A〜12Dと蓋側壁32A〜32Dとを跨ぐように異なる指を添え、各指を広げて蓋体30を上向きに移動させることにより、ユーザに怪我をさせることなく簡単に蓋体30を開放することができる。または、蓋体の蓋側壁32A〜32Dにのみ両手を添えて持ち上げることにより、ユーザに怪我をさせることなく、簡単に蓋体30を開放することができる。または、蓋体30の蓋側壁32A〜32Dの下端縁に指を当てて持ち上げることにより、蓋体30を開放することができる。
【0023】
このように、本実施形態の包装箱では、把持部39を操作するだけで簡単に蓋体30を開放可能な状態にすることができる。そして、この操作時には、把持部39の下端に肉厚を圧縮した圧縮部42を設けているため、その下端縁に指を当てた場合でもユーザに怪我をさせることを抑制できる。また、把持部39の操作後の状態では、ユーザが希望に応じて蓋体30を開放することができ、その開放方法に係る多様性を向上できる。そして、この開放操作時には、蓋側壁32A〜32Dにも圧縮部42を設けているため、蓋体30の下端縁に指を当てた場合でもユーザに怪我をさせることを抑制できる。
【0024】
なお、本発明の包装箱は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0025】
例えば、前記実施形態では、係合穴22を矩形状に形成し、係合凸部37を円弧状に形成したが、これらの形状は希望に応じて変更が可能である。勿論、図6(A),(B)に示すように、係合穴22および係合凸部37の数および位置も希望に応じて変更が可能である。
【0026】
また、前記実施形態では、包装箱を平面視矩形状に形成したが、その形状は三角形状以上多角形状であれば、その箱本体10と蓋体30の2つの側壁に係合穴22と係合凸部37とを設けることにより、前記と同様の作用および効果を得ることができる。さらに、前記実施形態では、蓋体30において、把持部39および蓋側壁32A〜32Dの下端に形成する圧縮部42は、所定間隔をもって複数設けたが、把持部39および蓋側壁32A〜32Dの下端縁の全体にわたって圧縮部42を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【図2】(A),(B)は蓋体の開放操作を示す斜視図である。
【図3】(A),(B),(C)は蓋体の開放操作を示す断面図である。
【図4】箱本体のブランクを示す平面図である。
【図5】蓋体のブランクを示す平面図である。
【図6】(A),(B)は箱本体と蓋体の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0028】
10…箱本体 11…底壁
12A〜12D…本体側壁 14A〜14D…外壁部
15A〜15D…上端壁部 16A〜16D…内壁部
22…係合穴
30…蓋体 31…天壁
32A〜32D…蓋側壁 37…係合凸部
39…把持部 40…折曲線
42…圧縮部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形状をなす底壁、および、該底壁の外周縁から立設した外壁部と内壁部とを有する二重壁構造の本体周壁を有する箱本体と、
前記底壁と同一形状の天壁、および、該天壁の外周縁から立設した蓋周壁を有し、該蓋周壁によって前記本体周壁の外周部を囲繞して前記箱本体の上端開口を閉塞する蓋体とを備えた包装箱において、
前記箱本体の前記本体周壁を構成する2つの本体側壁の外壁部に係合穴を設け、
前記係合穴を形成した本体側壁と対応する前記蓋体の蓋側壁に、組付状態で前記係合穴と対応し該係合穴の下端縁を越えて上向きに延びる係合凸部と、該係合凸部の下端に連続するとともに横方向に延びる折曲線を介して蓋側壁と連続する把持部とを設け、かつ、
少なくとも前記把持部の下端に、肉厚を圧縮した圧縮部を設けたことを特徴とする包装箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−143285(P2006−143285A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337349(P2004−337349)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】