説明

包装箱

【課題】輸送時及び陳列時における破損を抑え、且つ陳列時の作業性を向上させて、且つ
陳列時の外観上の見映えを良くすることができること。
【解決手段】包装箱1は本体部20と第1のカバー10と第2のカバー17とを備える。
本体部20は角筒状に形成されて内部に物品を収納する。第1及び第2のカバー10,1
7は本体部20上端面を覆う閉位置と開放する開位置との間で回動自在である。第2のカ
バー17の先端部には係止溝19が貫設され、第1の辺縁部20a近傍には係止舌片15
が突設される。第1のカバー10が閉位置にあり且つ第2のカバー17が第1のカバー1
0を覆うように閉位置にあるとき、係止舌片15は係止溝19へ抜き差し自在に挿入され
る。第1のカバー10は吊り下げ部21と挿通孔22とを備える。挿通孔22は第1のカ
バー10が開位置にあり且つ第2のカバー17が閉位置にあるとき係止溝19と対向する
位置に貫設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を包装する種々の包装箱が提供されている(例えば、特許文献1及び2
参照)。この種の包装箱は、ダンボールや厚紙などを切り抜いて折り曲げたり接合したり
することによって角筒状に形成された本体部を備えており、この本体部の内部に物品が収
納される。
【0003】
また、包装箱には貫通して形成される吊り下げ部が配設されたものも種々提供されてい
る。この様な包装箱は、例えば工場や卸売店から物品を包装して販売店へ輸送された後、
物品を包装した状態のまま店頭に設置されている陳列台の吊り金具等に吊り下げ部を挿通
させることで、容易に陳列することができる。そして、吊り下げ部を備えた包装箱の例と
して、図7〜図9に示すような包装箱50,60,70がある。
【0004】
包装箱50は、図7に示すように、物品(図示せず)を内部に収納する本体部51と、
本体部51の上端面52周縁の辺縁部53より突出するカバー54と、カバー54の略中
心部に貫設されている吊り下げ部55とを備えている。カバー54は、上端面52を覆う
閉位置と上端面52を開放する開位置との間で回動自在である。但し、包装箱50が例え
ば工場から販売店へ輸送される際、図7(a)に示すように、カバー54と本体部51の
前壁部51a上端部とがテープ56によって止められている。即ち、カバー54は、閉位
置で固定され前記回動が規制されている。そして、包装箱50を販売店の店頭へ陳列させ
る際には、図7(b)に示すように、テープ56をカッター等の工具で切り裂けばよい。
これにより前記規制が解除されてカバー54を開位置へ回動させることができる。そして
、吊り下げ部55を陳列台や店頭の壁面に突設されている略棒状の吊り金具(図示せず)
に挿通させれば包装箱50を吊り下げることができる。
【0005】
包装箱60は、図8に示すように、物品(図示せず)を内部に収納する本体部61と、
本体部61の後壁部61a上端部の一部からなる吊り下げ片62と、吊り下げ片62の略
中心部に貫設されている吊り下げ部63とを備えている。尚、吊り下げ片62の周囲には
、貫通する複数の切り込み線64がコ字状に断続的に並設されており、隣り合う切り込み
線64,64の間をカッター等の工具で切除することで、吊り下げ片62は辺縁部65を
軸心に回動自在となる。包装箱60が輸送される際、図8(a)に示すように、吊り下げ
片62は後壁部61a上端部と一体のままである。そして、包装箱60を陳列させる際に
は、図8(b)に示すように、隣り合う切り込み線64,64の間をカッター等の工具で
切除して吊り下げ片62を後壁部61aから引き出せば、本体部61の上端面66側へ回
動させることができる。そして、吊り下げ部63を吊り金具(図示せず)に挿通させれば
包装箱60を吊り下げることができる。
【0006】
包装箱70は、図9に示すように、物品(図示せず)を内部に収納する本体部71と、
本体部71の上端面72周縁の辺縁部73より突出するカバー74と、カバー74の略中
心部に貫設されている吊り下げ部75とを備えている。カバー74は、上端面72を覆う
閉位置と上端面72を開放する開位置との間で回動自在である。但し、包装箱70が輸送
される際には、図9(a)に示すように、カバー74と上端面72とが糊付けによって固
定されている。即ち、カバー74は、閉位置で固定され前記回動が規制されている。そし
て、包装箱70を陳列させる際には、手でカバー74を上端面72から引き剥がせば前記
規制が解除されてカバー74を開位置へ回動させることができる。そして、吊り下げ部7
5を吊り金具(図示せず)に挿通させれば包装箱70を吊り下げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−299699号公報
【特許文献2】特開2000−103426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の包装箱50は、テープ56を切り裂くために工具を必要としたり
テープ56が吊り下げ部55を塞ぐように貼付けされていることがあり作業性が悪いとい
う問題や、店頭への陳列の際に切り裂いたテープ56が本体部51及びカバー54に残る
ため美観を損ねる問題があった。また、従来の包装箱60は、隣り合う切り込み線64,
64の間を切除するために工具を必要とし作業性が悪いという問題や、吊り下げ片62を
引き抜くことで形成される抜き穴67(図8(b)参照)を通じて埃等が本体部61内に
侵入する問題や、吊り下げ時に自重が吊り下げ片62から本体部61の上壁部61bを介
して下方へ掛かるので上壁部61bが破損し易いという問題があった。そして、包装箱7
0は、上端面72に固定されているカバー74が輸送中に他の部材と接触して破損し易い
という問題や、店頭への陳列の際にカバー74を引き剥がすことでカバー74や上端面7
2の一部が破けたり、カバー74や上端面72に糊跡76(図9(b)参照)が残るため
美観を損ねるという問題があった。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、輸送時及び陳列時におけ
る破損を抑え、且つ陳列時の作業性を向上させて、且つ陳列時の外観上の見映えを良くす
ることができる包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、物品を包装する包装箱であって、角筒
状に形成されて内部に物品を収納する本体部と、前記本体部の一端面周縁の互いに対向す
る第1及び第2の辺縁部から突出してなり、各々前記一端面を覆う閉位置と前記一端面を
開放する開位置との間で回動自在な第1及び第2のカバーとを備え、前記第2のカバーの
突出方向の先端部には係止溝が貫設され、前記第1の辺縁部近傍には前記第1のカバーが
閉位置にあり且つ前記第2のカバーが前記第1のカバーを覆うように閉位置にあるとき前
記係止溝へ抜き差し自在に挿入される係止舌片が突設され、前記第1のカバーは、貫通し
て形成される吊り下げ部と、前記第1のカバーが開位置にあり且つ前記第2のカバーが閉
位置にあるとき前記係止溝と対向する位置に貫設される挿通孔とを備えていることを特徴
とする。
【0011】
この発明によれば、輸送時には前記第1のカバーを閉位置へ回動させて、前記第1のカ
バーを覆うように前記第2のカバーを閉位置へ回動させて、前記係止舌片を前記係止溝へ
挿入させることで、前記第1及び第2のカバーを閉位置で固定することができる。そして
、陳列時には前記係止舌片を前記係止溝から抜き外し、一度前記第1及び第2のカバーを
開位置へ回動させてから、前記第1のカバーを開位置に残したまま前記第2のカバーのみ
を閉位置へ回動させて前記挿通孔を通じて前記係止舌片を前記係止溝へ挿入させることで
、前記第2のカバーのみを閉位置で固定することができる。従って、輸送時には全体が直
方体となって他の部材と接触するような突出箇所が少なく、陳列時には自重が第1のカバ
ーからそのまま鉛直下方向へ掛かるので、輸送時及び陳列時における破損を抑えることが
できる。また、陳列時にテープを切り裂いたり本体部の一部を切除したりするカッター等
の工具を必要とせず、前記係止舌片の前記係止溝への抜き差しを手で行うことで前記第1
及び第2のカバーの固定、及び固定解除を行うことができるので作業性を向上させること
ができる。そして、テープや糊跡が残ることがないので陳列時の外観上の見映えを良くす
ることができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1のカバーの前記第1の辺縁部近
傍には、前記第1のカバーが開位置にあり且つ前記第2のカバーが閉位置にあるとき前記
第2のカバーの前記先端部の一部が嵌合する溝部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、前記第2のカバーの前記先端部の一部を前記溝部へ嵌合させること
で前記第2のカバーを閉位置で保持させることができるので、前記係止舌片の前記係止溝
への挿入が容易となり、陳列時の作業性をより向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記第2のカバーの前記回動の
軸心は、前記第2の辺縁部から前記第1のカバーの厚さ幅と略等しい寸法分だけ前記第2
のカバーの突出方向に離れた位置にあることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記第1のカバーが閉位置にあり且つ前記第2のカバーが前記第1
のカバーを覆うように閉位置にあるとき、前記第2のカバーを膨出させることなく平坦に
固定させることができるので、他の部材との接触による破損を抑えることができ、また外
観上の見映えも良くすることができる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記本体部の前記一端
面は開口していることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記本体部の前記一端面は開口しているので、前記第1及び第2の
カバーを開位置に回動させれば、物品を前記一端面から前記本体部内へ挿入することがで
きる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記第2のカバーの前記先端部には、前
記第1のカバーが閉位置にあり且つ前記第2のカバーが前記第1のカバーを覆うように閉
位置にあるとき前記第1の辺縁部に貫設されるスリット部へ抜き差し自在に挿入され、前
記第1のカバーが開位置にあり且つ前記第2のカバーが閉位置にあるとき前記一端面の前
記開口へ挿入されるフラップ部が突設されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記第1のカバーが閉位置にあり且つ前記第2のカバーが前記第1
のカバーを覆うように閉位置にあるとき、前記フラップ部を前記スリット部へ挿入してか
ら前記係止舌片を前記係止溝へ挿入することで、前記第1及び第2のカバーをより強固に
閉位置で固定することができる。また、前記第1のカバーが開位置にあり且つ前記第2の
カバーが閉位置にあるとき、前記フラップ部を前記一端面の前記開口へ挿入すれば前記フ
ラップ部が視野に入ることがないので、外観上の見映えを良くすることができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記本体部の前記開口内には、前記係止
舌片が前記係止溝へ挿入されたり、前記フラップ部が前記スリット部又は前記一端面の前
記開口へ挿入されたりするとき、前記係止舌片及び前記フラップ部と接触しない程度に前
記本体部内に収納される物品の移動を規制する規制部材が配設されていることを特徴とす
る。
【0021】
この発明によれば、前記係止舌片及び前記フラップ部と接触しない程度に前記本体部内
に収納される物品の移動を規制する規制部材が配設されているので、前記係止舌片及び前
記フラップ部が物品との接触によって破損したり、前記第1及び第2のカバーの固定の強
度が弱まったりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、輸送時及び陳列時における破損を抑え、且つ陳列時の作業性を向上させて
、且つ陳列時の外観上の見映えを良くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の前方斜視図である。
【図2】同上における展開図である。
【図3】同上における輸送時の包装箱を示し、(a)は前方斜視図であり、(b)は後方斜視図である。
【図4】同上における陳列時の包装箱を示し、(a)は前方斜視図であり、(b)は後方斜視図である。
【図5】(a)は同上における第1及び第2のカバーが開位置にあるときの右側面図であり、(b)は同上における第1のカバーが開位置にあり且つ第2のカバーが閉位置にあるときの右側面図である。
【図6】同上における本体部内に規制部材が配設されたときの前方斜視図である。
【図7】従来のテープ止めタイプの包装箱の一例を示し、(a)は輸送時の前方斜視図であり、(b)は陳列時の前方斜視図である。
【図8】従来の本体部の一部を引き出すタイプの包装箱の一例を示し、(a)は輸送時の後方斜視図であり、(b)は陳列時の後方斜視図である。
【図9】従来の糊付けタイプの包装箱の一例を示し、(a)は輸送時の前方斜視図であり、(b)は陳列時の前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。尚、以下の説明で
は図1において上下左右前後方向を規定している。本実施形態の包装箱1は、図2に示す
ように、一枚のダンボールや厚紙等を切り抜いてなる基材2から形成される。即ち、基材
2を折り線a〜pに沿って折り曲げたり接着剤等で接着することによって、図1に示すよ
うに、全体として角筒状に形成された包装箱1へと組立てられる。
【0025】
基材2は、図2に示すように、略矩形板状に形成されており、折り線a,b,c,dを
介して左壁部3,前壁部4,右壁部5,後壁部6,貼着部7を備えている。左壁部3及び
右壁部5上端部には折り線e,fを介して各々上フラップ8,8が突設され、また、左壁
部3及び右壁部5下端部には折り線g,hを介して各々下フラップ9,9が突設されてい
る。
【0026】
後壁部6上端部には、折り線iを介して第1のカバー10が突設されており、後壁部6
下端部には折り線jを介して底板11が突設されている。第1のカバー10の上下方向中
央(折り線k)の左右方向中心部から上方及び下方へ互いに等しい寸法だけ離れた位置に
は、貫通して形成される一対の孔12,12が設けられている。また、第1のカバー10
の突出方向の先端部には、内側へ窪んでなる溝部13が形成されている。折り線iの左右
方向中心部には、前記中心部を上下方向に跨ぐように略コ字型の切り込み線14が貫設さ
れている。そして、切り込み線14に沿ってコ字部分を引き出す(または押し出す)こと
で折り線lを軸心として回動自在な係止舌片15が形成される。更に、折り線iよりやや
上方には、係止舌片15を挟んで左右方向に延びる一対の細長矩形状の穴部16,16が
貫設されている。
【0027】
前壁部4上端部には、第2のカバー17が突設されている。尚、折り線nの上下方向の
位置は、第2のカバー17が突出する上下方向の位置と等しくしておらず、第2のカバー
17が突出する位置から、折り線kで略半分に折り畳んだときの第1のカバー10の厚さ
幅と略等しい寸法分だけ上方に離れている。前壁部4下端部には折り線oを介して底板1
1が突設されている。第2のカバー17の突出方向の先端部には、矩形状に突出するフラ
ップ部18が突設されている。尚、折り線pの上下方向の位置は、フラップ部18が突出
する上下方向の位置よりやや上方に離れている。そして、折り線pの左右方向中心部には
、略ホームベース型の五角形状に貫通する係止溝19が設けられている。
【0028】
上述の様な基材2は、以下の様にして包装箱1へと組立てられる。先ず、折り線a,b
,c,dに沿って左壁部3,前壁部4,右壁部5,後壁部6,貼着部7を折り曲げて、左
壁部3の内側に貼着部7を接着する。次に、下フラップ9,9を各々折り線g,hで折り
曲げた後、下フラップ9,9を覆うように底板11,11を各々折り線j,oで折り曲げ
て接着する。そして、第1のカバー10を溝部13が内側になるように折り線kで略半分
に折り畳み、係止舌片15を折り線lで外側へ折り曲げて更に折り線mで内側へ折り曲げ
て、フラップ部18を折り線pで折り曲げる。
【0029】
この様にして組立てられる包装箱1は、図1に示すように、本体部20と、先述の第1
及び第2のカバー10,17と、一対の上フラップ8,8とを備えている。本体部20は
、上端面が開口し角筒状に形成されてなり、その内部には前記開口を通じて物品が収納さ
れる。第1及び第2のカバー10,17は、本体部20の上端面周縁の互いに対向する第
1及び第2の辺縁部20a,20bから各々突出している。
【0030】
第1のカバー10は、折り線iを軸心として本体部20の上端面を覆う閉位置と前記上
端面を開放する開位置との間で回動自在である。そして、第1のカバー10は、吊り下げ
部21と、挿通孔22と、スリット部23と、上述の溝部13を備えている。吊り下げ部
21は、第1のカバー10の折り線kでの折り畳みによって孔12,12が互いの中心軸
を一致させて合わさることにより形成される。挿通孔22は、係止舌片15の折り線lで
の引き出しによって貫通して形成される。スリット部23は、係止舌片15の前記引き出
しによって穴部16,16が連通することで形成される。溝部13は、第1のカバー10
を折り線kで折り畳むことにより第1の辺縁部20a近傍に配置される。
【0031】
第2のカバー17は、折り線nを軸心として本体部20の上端面を覆う閉位置と前記上
端面を開放する開位置との間で回動自在である。そして、第2のカバー17は、上述のフ
ラップ部18と係止溝19とを備えている。上フラップ8,8は、それぞれ折り線e,f
を軸心として本体部20の上端面を覆う閉位置と前記上端面を開放する開位置との間で回
動自在である。
【0032】
そして、本実施形態の包装箱1が例えば工場や卸売店から販売店へ輸送される際には、
次の様に第1及び第2のカバー10,17が固定される。先ず、第1及び第2のカバー1
0,17、並びに一対の上フラップ8,8を開位置へ回動させて本体部20の開口する上
端面から物品を内部へ挿入する。次に、上フラップ8,8を閉位置へ回動させて、第1の
カバー10を閉位置へ回動させてから、第1のカバー10を覆うように第2のカバー17
を閉位置へ回動させつつフラップ部18をスリット部23へ挿入させる。このとき係止溝
19は第1の辺縁部20a近傍で係止舌片15と対向して配置される。そして、係止舌片
15を係止溝19へ挿入させることで、図3(a)及び(b)に示すように、第1及び第
2のカバー10,17を閉位置で固定することができる。従って、輸送時には全体が直方
体となる包装箱1は、従来例の上端面72略中央部にカバー74が糊付けされている包装
箱70と比べて、他の部材と接触するような突出箇所が少なく、輸送時における破損を抑
えることができる。また、第2のカバー17の回動する軸心の位置は、第2の辺縁部20
bから第1のカバー10の折り畳み後の厚さ幅分だけ上方へ離れているので(図5(a)
の実線矢印参照)、第2のカバー17を膨出させることなく平坦に固定させることができ
る。因って、外観上の見映えを良くすることができ、且つ第2のカバー17の他の部材と
の接触による破損をより抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態の包装箱1を例えば販売店の陳列台(図示せず)に陳列させる際には
、次の様に第2のカバー17が固定される。先ず、上述の輸送時の状態から係止舌片15
を係止溝19から抜き外し、フラップ部18をスリット部23から抜き外してから、上フ
ラップ8,8を閉位置に残したまま第1及び第2のカバー10,17を開位置へ回動させ
る。次に、図4(a)及び(b)に示すように、第1のカバー10を開位置に残したまま
第2のカバー17のみを閉位置へ回動させてフラップ部18を本体部20上端面の開口へ
挿入する。このときフラップ部18の突出位置から折り線pまでの間の基部18aを溝部
13に嵌合させることで、第2のカバー17を閉位置で保持させておくことができ作業性
に優れている。また、図5(b)に示すように、第2のカバー17が閉位置にあるときの
前後方向の寸法(図中の実線矢印)を本体部20の前後方向の寸法(図中の破線矢印)よ
りも第1のカバー10の厚さ幅の寸法分だけ短くしているので、外観上の見映えを良くす
ることができる。
【0034】
そして、係止溝19は第1の辺縁部20a近傍で挿通孔22と対向して配置され、挿通
孔22を通じて係止舌片15を係止溝19へ挿入させることで、第2のカバーのみを閉位
置で固定することができる。この状態で前記陳列台に突設されている略棒状の吊り下げ金
具(図示せず)に吊り下げ部21を挿通させることで、包装箱1を前記陳列台に吊り下げ
ることができる。このとき包装箱1は、自重が従来例の包装箱60の様に上壁部61bを
介して鉛直下方向に掛かるのではなく、第1のカバー10からそのまま後壁部6を介して
鉛直下方向に掛かるので、陳列時における破損を抑えることができる。また、包装箱1は
、陳列時に従来例の包装箱50,60の様にテープを切り裂いたり本体部の一部を切除し
たりするカッター等の工具を必要とせず、係止舌片15の係止溝19への抜き差しやフラ
ップ部18のスリット部23への抜き差しを手で行うことで、第1及び第2のカバー10
,17の固定や固定解除を行うことができるためより作業性に優れている。更に、包装箱
1は、従来例の包装箱50,70の様にテープや糊跡が残ることがないので陳列時の外観
上の見映えを良くしている。
【0035】
ところで、係止舌片15が係止溝19へ挿入されたり、フラップ部18がスリット部2
3又は本体部20の前記開口へ挿入されたりするとき、本体部20内部に収納されている
物品が係止舌片15及びフラップ部18と接触してしまう恐れがある。これに対して例え
ば図6に示すように、本体部20内に開口する上端面より物品25を挿入してから、矩形
板を略コ字型に曲折させてなる規制部材24を挿入して配設すればよい。即ち、規制部材
24によって物品25の上下方向に対する移動が規制され、且つ係止舌片15及びフラッ
プ部18が物品25及び規制部材24と接触しない程度の空間が本体部20内の上端付近
に形成される。因って、係止舌片15及びフラップ部18が、物品25と接触して破損し
たり、第1のカバー10及び第2のカバー17の固定の強度が弱まるのを防ぐことができ
る。尚、規制部材24は、発泡スチロールなどの緩衝材より形成されれば、物品25の破
損を防ぐ効果も得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 包装箱
10 第1のカバー
15 係止舌片
17 第2のカバー
19 係止溝
20 本体部
20a 第1の辺縁部
21 吊り下げ部
22 挿通孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装する包装箱であって、角筒状に形成されて内部に物品を収納する本体部と、
前記本体部の一端面周縁の互いに対向する第1及び第2の辺縁部から突出してなり、各々
前記一端面を覆う閉位置と前記一端面を開放する開位置との間で回動自在な第1及び第2
のカバーとを備え、
前記第2のカバーの突出方向の先端部には係止溝が貫設され、前記第1の辺縁部近傍に
は前記第1のカバーが閉位置にあり且つ前記第2のカバーが前記第1のカバーを覆うよう
に閉位置にあるとき前記係止溝へ抜き差し自在に挿入される係止舌片が突設され、
前記第1のカバーは、貫通して形成される吊り下げ部と、前記第1のカバーが開位置に
あり且つ前記第2のカバーが閉位置にあるとき前記係止溝と対向する位置に貫設される挿
通孔とを備えていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第1のカバーの前記第1の辺縁部近傍には、前記第1のカバーが開位置にあり且つ
前記第2のカバーが閉位置にあるとき前記第2のカバーの前記先端部の一部が嵌合する溝
部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
前記第2のカバーの前記回動の軸心は、前記第2の辺縁部から前記第1のカバーの厚さ
幅と略等しい寸法分だけ前記第2のカバーの突出方向に離れた位置にあることを特徴とす
る請求項1または2記載の包装箱。
【請求項4】
前記本体部の前記一端面は開口していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に
記載の包装箱。
【請求項5】
前記第2のカバーの前記先端部には、前記第1のカバーが閉位置にあり且つ前記第2の
カバーが前記第1のカバーを覆うように閉位置にあるとき前記第1の辺縁部に貫設される
スリット部へ抜き差し自在に挿入され、前記第1のカバーが開位置にあり且つ前記第2の
カバーが閉位置にあるとき前記一端面の前記開口へ挿入されるフラップ部が突設されてい
ることを特徴とする請求項4記載の包装箱。
【請求項6】
前記本体部の前記開口内には、前記係止舌片が前記係止溝へ挿入されたり、前記フラッ
プ部が前記スリット部又は前記一端面の前記開口へ挿入されたりするとき、前記係止舌片
及び前記フラップ部と接触しない程度に前記本体部内に収納される物品の移動を規制する
規制部材が配設されていることを特徴とする請求項5記載の包装箱。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−159082(P2010−159082A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3773(P2009−3773)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】