説明

包装箱

【課題】一対の内蓋片が互いに近接する方向への外力に対して高い強度を有する包装箱を提供する。
【解決手段】4つの側板(1〜4)と、隣接する側板(1〜4)間の斜壁板(8〜11)とにより、四角形の角部が面取りされた形状の周壁(51)が形成され、相対向する一対の側板(1,3)の上縁に連設された一対の内蓋片(13,14)と、相対向する他の一対の側板(2,4)の上縁に連設された一対の外蓋片(18,19)と、4つの側板(1〜4)の下縁に連設された4つの底板片(20〜23)とを備え、一対の内蓋片(13,14)同士が先端部(131,141)を接し、かつ各内蓋片(13,14)の両側縁部(132,142)が他の一対の側板(2,4)の内面に接しており、両先端部間に指を差し込む開放用孔(53)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を箱詰めして運送するのに使用する包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の用途に用いる包装箱は、通常直方体であって、平面視で四角形、すなわち長方形または正方形の周壁を形成する側板と、相対向する一対の側板の上縁に連設された一対の内蓋片と、相対向する他の一対の側板の上縁に連設された一対の外蓋片と、4つの側板の下縁に連設された底板片とを備えている。また、従来では、隣接する各2つの側板間に斜壁板を設けて、四角形の4つの角部が面取りされた平面形状の周壁を有する包装箱も知られている(特許文献1参照)。
【0003】
従来のいずれの包装箱においても、相対向する一対の内蓋片は、物品を収納したのちに内方に折り込まれたときに双方の先端部間に空間が生じる短い寸法に設定されている。したがって、箱を開くときに前記空間に手を入れて両方の内蓋片を即座に開くことができる。一方、一対の外蓋片は、内方に折り込まれたときに双方の先端部が幅方向の全体にわたり接触する長さに設定されている。これにより、双方の先端部を突き合わせた状態で粘着テープなどで互いに連結して、箱を閉じた状態に安定して保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−326954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、飲料水などの液体が入った樹脂製ボトルなどのような重い物品が箱詰めされる包装箱は、持ち運びの際に大きな外力が加わり易いので、高い強度を有していることが求められる。しかしながら、従来の包装箱では、一対の内蓋片の各々の先端部間に空間が存在するため、各内蓋片が連設された一対の側板における特に内蓋片の近傍個所に大きな外力を受けたときに、内蓋片が前記空間内で変位するので、外力に抗して側板を十分に支持できないから、側板における内蓋片の近傍個所が凹む不具合が発生し易い。
【0006】
本発明は、一対の内蓋片が互いに近接する方向への外力に対して高い強度を有する包装箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の包装箱は、4つの側板と、隣接する前記側板間の斜壁板とにより、四角形の角部が面取りされた形状の周壁が形成され、相対向する一対の前記側板の上縁に連設された一対の内蓋片と、相対向する他の一対の前記側板の上縁に連設された一対の外蓋片と、4つの前記側板の下縁に連設された4つの底板片とを備え、前記一対の内蓋片同士が先端部を接し、かつ前記各内蓋片の両側縁部が前記他の一対の側板の内面に接しており、前記両先端部間に指を差し込む開放用孔が設けられている。
【0008】
この包装箱によれば、物品を収納したのちに封止されるときに、一対の内蓋片同士が互いの先端部を接した状態に組み立てられるので、一対の内蓋片の対向方向へ向けた大きな外力が加わっても、両内蓋片が互いに突っ張り合うことで、内蓋片が連設された一対の側板の外力に対する強度が向上し、各側板における内蓋片の近傍個所が外力によって凹むのを防止できる。さらに、各内蓋片の両側縁部が対向する他の一対の側板の内面に接するから、一対の外蓋片の対向方向へ向けた大きな外力が加わっても、内蓋片が前記側板を支持するので、前記他の一対の側板における外蓋片の近傍個所の強度も向上し、各側板が外力によって凹むのを防止できる。
【0009】
一方、この包装箱の開封時には、一対の内蓋片の両端部間に設けられた開放用孔に指を差し込むことによって互いの先端部が接して隙間のない一対の内蓋片を容易に開くことができる。また、周壁が四角形の角部が面取りされた形状を有しているから、周壁の上下方向の圧縮力に対する強度が増大するとともに四角形の形状とする場合に比べて材料素材の使用料が減少し、しかも、物品を収納して梱包した状態の包装箱の運搬に際して、複数の包装箱をパレットに積んでシュリンクフイルムを被せたときに、角張っていないことから、シュリンクフイルムの損傷を防止できる利点がある。
【0010】
本発明において、前記4つの斜壁板は同一幅を有し、その幅が四角形の短辺の1/10〜1/5であることが好ましい。この構成によれば、包装箱の収納容積の減少を抑制しながらも斜壁板を設けることによる前記効果を確保することができる。
【0011】
本発明において、前記内蓋片が連設された前記一対の側板は前記他の一対の側板よりも幅が小さい構成とすることができる。これにより、従来と同様に幅の小さい側板に連設した片が内蓋片となるので、組立性が良くなり、かつ組立間違いが生じない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の包装箱によれば、一対の内蓋片同士が先端部を接しているので、一対の内蓋片の対向方向へ向けた大きな外力が加わっても、両内蓋片が互いに突っ張り合うことで、内蓋片が連設された一対の側板の外力に対する強度が向上する。また、各内蓋片の両側縁部が他の一対の側板の内面に接するので、一対の外蓋片の対向方向へ向けた大きな外力に対する他の一対の側板の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の展開図である。
【図2】同包装箱の周壁を形成したときの状態を示す斜視図である。
【図3】同包装箱の底壁を形成したときの状態を示す斜視図である。
【図4】図4の包装箱に物品を収納した状態を示す平面図である。
【図5】同包装箱の内蓋片を閉じたときの状態を示す斜視図である。
【図6】同包装箱の外蓋片を閉じたときの状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は同包装箱の展開図、(b)は比較のために示した従来の包装箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明の一実施形態に係る包装箱の展開図であって、図2の包装箱100を作成するための箱素材100Sを示す。包装箱100は、図2の4つの側板1〜4とその間の4つの斜壁板8〜11とからなる周壁51、一対の内蓋片13、14、一対の外蓋片18、19、および4つの底板片20〜23を有し、平面視で、四角形の角部が斜壁板8〜11により面取りされた形状である。
【0015】
図1に示す箱素材100Sは、波形板の両面にライナを貼り合わせた周知の紙製または樹脂製の両面段ボールを打ち抜き加工したものである。この箱素材100Sは、第1ないし第4の側板1〜4が横方向に並び、第1ないし4の斜壁板8〜11が、隣接する側板1〜4間および第1の側板1の外側にそれぞれ位置し、接続片12が第4の斜壁板11の外側に位置している。さらに、第1および第2の内蓋片13,14が、組立状態(図2)で相対向する一対の側板となる第1および第3の側板1,3の上側に位置し、第1および第2の外蓋片18、19が、組立状態で相対向する他の一対の側板となる第2および第4の側板2、4の上側に位置し、第1ないし第4の底板片20〜23が第1ないし第4の側板1〜4の下側に位置している。
【0016】
第1ないし第3の斜壁板8〜10はそれぞれ、両側の折り目1d,2c、2d,3c、3d,4cを介して隣接する両側の側板1〜4に一体に連設されており、第4の斜壁板11は、両側の折り目11a,1cを介して接続片12および第1の側板1に一体に連設されている。また、第1および第2の内蓋片13,14は、折り目1a,3aを介して第1および第2の側板1,3の上縁に一体に連設されており、第1および第2の外蓋片18,19は、折り目2a,4aを介して第2および第4の側板1,3の上縁に一体に連設されている。第2の内蓋片14の上端辺には、開放用の半円形状の切欠き24が形成されている。この切欠き24は、第2の内蓋片14に代えて、第1の内蓋片13に形成してもよく、両内蓋片13,14に形成してもよい。さらに、第1ないし第4の底板片20〜23はそれぞれ折り目1a,2b,3b,4bを介して第1ないし第4の側板片材の下縁に一体に連設されている。
【0017】
隣接する内蓋片13,14および外蓋片18,19間は切り目28〜30により分離されており、隣接する側板1〜4間に位置する斜壁板8〜10の上端辺の両端から、それぞれ切り目28〜30に至る三角形状の切り抜き31〜33が形成されている。また、第1の内蓋片13には、切り目28とは反対側の側辺における折り目1aに接する部分に、切り抜き31の右半分(第1の外蓋片18側)に相当する形状の切欠き43が形成されている。さらに、第2の外蓋片19にも、切り目30とは反対側の側辺における折り目4aに接する部分に、切り抜き35の左半分(第2の内蓋片14側)に相当する形状の切欠き44が形成されている。第1および第4の底板片20、23にも、第1の内蓋片13および第2の外蓋片19に形成されたのと同じ形状の切欠き48,49がそれぞれ形成されている。
【0018】
内蓋片13,14と側板1,3間の折り目1a,3aは斜壁板8〜10の上端辺の延長線上に設けられているのに対し、外蓋片18,19と側板2,4間の折り目2a,4aは斜壁板8〜10の上端辺よりも僅かに上方に設けられており、折り目1a,3aと折り目2a,4aとは、箱素材100Sを形成する両面段ボールの厚みにほぼ等しい間隔Rだけ上下方向に離間して設けられている。一方、隣接する底板辺材20〜23間も切り目34、38、39により分離され、隣接する側板1〜4間に位置する斜壁板8〜10の下端辺の両端から、それぞれ切り目34、38、39に至る三角形状の切り抜き40〜42が形成され、折り目2b,4bは折り目1b,3bとは間隔Rだけ下方向にずれて設けられている。
【0019】
両内蓋片13,14は、共に同一の横幅Aおよび長さCを有するほぼ矩形状であり、両外蓋片18,19は、共に同一の横幅Bおよび長さDを有する矩形状である。また、第1および第3の底板片20,22は内蓋片13,14と同一形状の矩形状であり、第2および第4の底板片21,23は外蓋片18,19と同一形状の矩形状である。したがって、この箱素材100Sは、各側板1〜4の長さ方向の中心線SLに対し、上下に線対称の形状を有している。前記内蓋片13,14の横幅Aが、周壁50の外面が形成する平面四角形の短辺に等しく、前記外蓋片18,19の横幅Bがその長辺に等しい。
【0020】
つぎに、図1の箱素材100Sにより本発明の一実施形態の包装箱100を組み立てる手順について説明する。まず、周壁51を形成するにあたり、図2に示すように、縦方向の折り目1c,1d、2c,2d,3c,3d,4c,11aに沿って折り曲げ、接続片12の外面を第4側板4の内面に重ね合わせて止金50または接着剤によって固定する。これにより、包装箱100の胴体となる周壁51が形成される。この周壁51は、側板1〜4により形作られる平面視で長方形の角部が、各斜壁板8〜11により面取りされた、異形の八角形状である。
【0021】
続いて、第1および第3の底板片20,22を、折り目1b,3bに沿って内方へ90°折り曲げ、第2および第4の底板片21,23を、折り目2b,4bに沿って内方へ90°折り曲げ、図3に示すように、第2および第4の底板片21,23の互いに接する先端部間を止金50または粘着テープで固定する。これにより、包装箱100の底壁が形成される。この状態で、第1の底板片20と第3の底板片22の先端部同士および第2の底板片21と第4の底板片23の先端部同士は、それぞれ隙間なく突き合わされている。
【0022】
底壁が形成された状態の包装箱100の内部に、図4に示すように、仕切板25を挿入して、内部空間を例えば12個に区画し、その区画した各収納空間26に、飲料水のような液体が入ったボトル27を詰める。この包装箱100は、斜壁板8〜11を形成することによる内部容積の減少を抑制できる形状を有している。すなわち、図1に示すように、各斜壁板8〜11は同一の幅Eを有しており、その幅Eは、四角形の短辺Aの1/10〜1/5に設定されている。そのため、収納容積の減少は、物品を詰める際に不具合が生じない程度となる。特に、物品が円筒状のボトル27である場合、包装箱100の四隅は無駄な空間となるから、斜壁板8〜11の形成によっても、ボトル27の収納個数は減少しない。
【0023】
物品27を箱詰めしたならば、図5に示すように、内蓋片13,14を折り目1a,3aに沿って内側に折り曲げると、両内蓋片13,14の先端部131,131同士が互いに当接状態に接する。すなわち、内蓋片13,14の長さCは、包装箱100の平面四角形の長辺Bの半分に設定されている。両内蓋片13,14の先端部131,141同士が互いに当接することで、第2の内蓋片14の切欠き24と第1の内蓋片13の先端縁とにより、半円形状の開放用孔53が形成される。
【0024】
また、図1で説明したように、内蓋片13,14と側板1,3との間の折り目1a,3aは、外蓋片18,19と側板2,4間の折り目2a,4aよりも両面段ボールの厚み分だけ下方にずれた位置に設けているので、内蓋片13,14はそれぞれ、これの両側縁部132,142が相対向する第2および第4の側板2,4の各内面に接する状態で、両側板2,4間に嵌まり込む。さらに、内蓋片13,14の切り抜き31〜33によって形成された切欠き、および第1の内蓋片13に形成された切欠き43は、各斜壁板8〜11の上端面に重なり合い、内蓋片13,14の一部が斜壁板8〜11の側方にはみ出すことがない。
【0025】
最後に、図6に示すように、外蓋片18,19により形成された包装箱の外蓋片18,19を折り目2a,4aに沿って内側に折り曲げると、従来の包装箱と同様に、両外蓋片18,19の先端部181,191同士が互いに当接状態に接する。したがって、外蓋片18,19の長さDは、四角形の短辺Aの半分に設定されている。また、内蓋片13,14および外蓋片18,19の両側に設けた切り抜き31〜33および切欠き43,44により、各内蓋片13,14および外蓋片18,19の根元部が側板1〜4および斜壁板8〜11の上端縁に重なり合う。両外蓋片18,19の互いに接する先端部181,191間を粘着テープ52の貼着により固定して、蓋閉めが終了する。
【0026】
この包装箱100は、一対の内蓋片13,14同士が互いの先端部131,141を接した状態に組み立てられるので、内蓋片13,14の対向方向へ向けた大きな外力F1が第1および第3の側板1,3に加わっても、両内蓋片13,14が互いに突っ張り合うことで、前記外力F1に対する第1および第3の側板1,3の強度が向上する。したがって、従来のように、側板1,3における内蓋片13,14の近傍個所に、外力F1によって凹みKが発生するのを防止できる。
【0027】
また、一対の外蓋片18,19同士が各々の先端部181,191が接する状態に組み立てられるのに加えて、図5に示す各内蓋片13,14の両側縁部132,142が対向する一対の側板2,4の内面に接する状態で側板2,4間に嵌まり込むので、一対の外蓋片18,19の対向方向へ向けた大きな外力F2が加わっても、両外蓋片18,19が互いに突っ張り合うのに加えて、内蓋片13,14が、側板2,4を内側から支持するので、前記外力F2に対する第2および第4側板2,4の強度が向上し、側板2,4における外蓋片18,19の近傍個所が外力F2によって凹むのを防止できる。
【0028】
また、この包装箱100は、周壁51が平面四角形の角部が4つの斜壁板8〜11により面取りされた形状を有しているから、周壁51の上下方向の圧縮力に対する強度が増大する。しかも、物品を収納して梱包した状態の包装箱の運搬に際して、複数の包装箱をパレットに積んでシュリンクフイルムを被せたとき、周壁51が角張っていないことから、シュリンクフイルムの損傷が減少する。一方、包装箱の開封時には、一対の内蓋片13,14の各々の先端部131,141が接しているが、その両端部間に設けられた開放用孔53に指を差し込むことによって、内蓋片13,14を容易に開くことができる。
【0029】
さらに、周壁51が面取りされた、正八角形でない異形の八角形であるから、図7に示すように、周壁51の全幅W1が従来の全幅W2よりも小さくなるので、素材の使用量が減少する。
【0030】
本発明は、長方形の周壁51を有するものに限らず、正方形の周壁を有するものにも適用することができる。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1〜4 側板
8〜11 斜壁板
13,14 内蓋片
18,19 外蓋片
20〜23 底板片
51 周壁
53 開放用孔
131,141 内蓋片の先端部
132,142 内蓋片の側縁部
A 短辺
B 長辺
E 斜壁板の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの側板と、隣接する前記側板間の斜壁板とにより、四角形の角部が面取りされた形状の周壁が形成され、
相対向する一対の前記側板の上縁に連設された一対の内蓋片と、相対向する他の一対の前記側板の上縁に連設された一対の外蓋片と、4つの前記側板の下縁に連設された4つの底板片とを備え、
前記一対の内蓋片同士が先端部を接し、かつ前記各内蓋片の両側縁部が前記他の一対の側板の内面に接しており、
前記両先端部間に指を差し込む開放用孔が設けられている包装箱。
【請求項2】
請求項1において、前記4つの斜壁板は同一幅を有し、その幅が、四角形の短辺の1/10〜1/5である包装箱。
【請求項3】
請求項1または2において、前記内蓋片が連設された前記一対の側板は前記他の一対の側板よりも幅が小さい包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−215286(P2010−215286A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67242(P2009−67242)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(596057435)大善株式会社 (4)
【Fターム(参考)】