説明

包装箱

【課題】いわゆるダブルロック式の包装箱において、小さな力でも容易に蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる包装箱を提供する。
【解決手段】揺動片18は、揺動片本体19と、揺動片突出部22とを有し、揺動片突出部22は、揺動片突出部本体部24と揺動片突出部先端部26とにより二段に突出した形状となっている。また、蓋部46における折曲片54には、揺動片突出部先端部26が嵌合する切欠部K7が形成されている。揺動片18の上端を正面側に揺動させることにより揺動片突出部22がその下端が背面側に揺動し、揺動片突出部本体部24が切欠部K7に嵌合して折曲片54を押し上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関するものであり、特に、包装箱の蓋を閉状態でロックするロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、図11〜図14に示す構成のいわゆるダブルロック式の包装箱105が存在する。この包装箱105は、右側面部112と、正面部114と、左側面部124と、背面部126と、糊代部128とからなる側面部110と、フラップ部142、144と、蓋部146とからなる上面部140と、片部162〜168からなる底面部160により構成され、正面部114は、上端に切欠部を有する正面部本体116と、該切欠部内に設けられ横方向の折れ線を中心に揺動する揺動片118とを有するとともに、揺動片118の先端には、差込み片128が折れ線を介して連設され、また、蓋部146は、背面部126の上端から連設された蓋板148と折曲片154とを有し、蓋板148と折曲片154の間の位置には、切込みK15による差込み穴156が形成されている。
【0003】
そして、蓋部146を閉状態でロックするには、折曲片154を正面部114の内側に接するようにして蓋部146を閉じるとともに、差込み片128を切込みK15により形成された差込み穴156に挿通する。蓋部146を閉状態でロックした状態は、図11に示すようになり、折曲片154は、その全体が正面部114と揺動片118の内側に隠れた状態となっている。このように、差込み片128を差込み穴156に挿通できる程度に蓋部146が閉じた状態、つまり、折曲片154の全体が正面部114と揺動片118の内側に隠れた状態を「蓋部146が完全に閉じた状態」とする。
【0004】
蓋部146が閉状態でロックされた包装箱105において蓋部を開けるには、揺動片118がその上端に有する突出部120に指を当てて揺動片118を外側に揺動させて差込み片128を差込み穴156から引き出す。図14は、差込み片128を引き出した状態を示している。差込み片128を差込み穴156から引き出したら、蓋部146を上方に回動させて蓋部146を開状態とするが、その際、切込みK15により蓋板148の折曲片154側の端部に突出して形成された突出部150や半円状の開口部K16の位置に指を係止させて、蓋部146の正面側の端部を上方に引き出して、図12に示すような開状態とする。
【0005】
なお、出願人は、先行技術文献として、特許文献1、特許文献2に示す文献を知得している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−137606号公報
【特許文献2】特開2007−168868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図11〜図14に示す従来のダブルロック式の包装箱においては、差込み片128を差込み穴156から引き出した状態でも、蓋部146は、閉状態でロックされた状態と変わらず閉じたままであり、折曲片154はその全体が依然として正面部114と揺動片118の内側に隠れた状態となっている。
【0008】
従って、蓋部146を引き出すには、蓋部146が完全に閉じた状態から引き出す必要があり、特に、折曲片154が正面部114とフラップ部142、144に挟まれた状態となっているので、引き出すのに大きな力が必要となり、力の弱い高齢者や障害者がダブルロック式の包装箱を容易に開けることができなかった。また、爪の長い者も爪を突出部152に係止させて蓋部146を引き上げようとすると、大きな力が必要であるために爪を痛めてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本特許が解決しようとする問題点は、蓋板と折曲片とからなる蓋部を閉じて、その後、揺動片の先端に連設された差込み片を蓋板と折曲片との間の差込み穴に挿通することにより蓋部の閉状態をロックするいわゆるダブルロック式の包装箱において、小さな力でも容易に蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる包装箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、周壁の正面部の上端から一対の切込みである第1切込み群を形成することにより設けられた揺動片と、揺動片の先端に折れ線を介して連設された差込み片と、周壁の背面部の上端から連設された蓋板部と、蓋板部の先端に折れ線を介して連設された折曲片と、蓋板部と折曲片の間の位置に設けられ差込み片を差し込むための差込み穴とを有する包装箱において、揺動片は、第1切込み群の各切込み間に設けられた揺動片本体で、揺動片本体の下端の一部が正面部における揺動片以外の部分である正面部本体と連設された揺動片本体と、揺動片本体の下端から連設された揺動片突出部で、正面部に揺動片突出部形成用の切込みを形成することにより形成された揺動片突出部とを有し、揺動片の上端を正面側に移動させることにより、揺動片が第1切込み群の各切込みと揺動片突出部形成用の切込みの端部間に横方向に設けられる折れ線を中心に揺動して、揺動片突出部が折曲片を押し上げることを特徴とする。
【0011】
この第1の構成の包装箱によれば、揺動片を揺動させることにより揺動片突出部が折曲片を押し上げるので、蓋板部が回動して、蓋板部と折曲片とからなる蓋部を一部開いた状態とすることができ、その後は、蓋部を手で回動させることにより蓋部を開いた状態とすることができる。蓋部が一部開いた状態から蓋部を回動させればよいので、小さな力で蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる。
【0012】
また、第2には、上記第1の構成において、揺動片突出部形成用の切込みが、第1切込み群の切込みの下端から横方向の内側の位置から下方に形成され、間隔を介して形成された一対の切込みである第2切込み群と、第2切込み群の各切込みの下端からそれぞれ横方向に内側に同一直線上をなすように形成された一対の切込みである第3切込み群と、第3切込み群の各切込みの内側の端部間に下方に突出するように形成された突出状切込みとを有し、揺動片突出部は、揺動片本体部の下端から連設され第2切込み群と第3切込み群に囲まれた揺動片突出部本体部と、突出状切込みにより揺動片突出部本体部から下方に突出した揺動片突出部先端部と、を有し、折曲片の先端には、揺動片突出部先端部が嵌合し揺動片本体部が嵌合しない切欠部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
よって、揺動片突出部本体部の長さ分のストロークで折曲片を押し上げるので、揺動片を最初の状態から90度よりも大きく回転させることにより、該ストロークで折曲片の下端は折れ揺動片の回転中心である折れ線の位置よりも上方に押し上げることができ、折曲片を大きく押し上げることができ、より小さな力で蓋部を開けることができる。
【0014】
また、第3には、上記第2の構成において、折曲片を正面部の内側に接するようにして蓋板部を閉じるとともに、差込み片を差込み穴に挿通することにより蓋板部の閉状態をロックした状態の場合に、揺動片突出部本体部の下端は、折曲片の蓋板部とは反対側の辺部で切欠部形成位置以外の辺部よりも上側に位置し、揺動片突出部先端部の下端が、折曲片に形成された切欠部の奥側の端部より下方位置にあることを特徴とする。
【0015】
これにより、揺動片を揺動させた際に、揺動片突出部本体部が折曲片を押すことができ、揺動片突出部先端部が折曲片の切欠部に嵌合することができる。
【0016】
また、第4には、上記第2又は第3の構成において、突出状切込みが、略円弧状であることを特徴とする。
【0017】
また、第5には、前記第1から第4までのいずれかの構成において、第1切込み群を構成する一対の切込みと第3切込み群を構成する一対の切込みとが正面部の上端の辺部に対して直角に互いに平行に形成されていることを特徴とする。
【0018】
なお、以下の構成としてもよい。すなわち、第6には、周壁の正面部の上端から下方に一対の切込みである第1切込み群を形成することにより設けられた揺動片と、揺動片の先端に折れ線を介して連設された差込み片と、周壁の背面部の上端から連設された蓋板部と、蓋板部の先端に折れ線を介して連設された折曲片と、蓋板部と折曲片の間の位置に設けられ差込み片を差し込むための差込み穴とを有する包装箱において、揺動片は、第1切込み群の各切込み間に設けられた略方形状の揺動片本体と、揺動片本体の下端から連設された揺動片突出部で、正面部に揺動片突出部形成用の切込みで、第1切込み群の切込みの下端から横方向の内側の位置から下方に形成され、間隔を介して形成された一対の切込みである第2切込み群と、第2切込み群の各切込みの下端からそれぞれ横方向に内側に同一直線上をなすように形成された一対の切込みである第3切込み群と、第3切込み群の各切込みの内側の端部間に下方に突出するように形成された突出状切込みとからなる揺動片突出部形成用の切込みを形成することにより形成され、揺動片本体部の下端から連設され第2切込み群と第3切込み群に囲まれた横長の略長方形状の揺動片突出部本体部と、突出状切込みにより揺動片突出部本体部から下方に突出した揺動片突出部先端部とを有する揺動片突出部とを有し、揺動片本体は、第1切込み群の各切込みの下端と揺動片突出部形成用の切込みの間の領域を介して正面部における揺動片以外の部分である正面部本体と連設され、折曲片の先端には、揺動片突出部先端部が嵌合し揺動片本体部が嵌合しない切欠部が形成され、揺動片の上端を正面側に移動させることにより、揺動片が第1切込み群の各切込みと揺動片突出部形成用の切込みの端部間に横方向に設けられる折れ線を中心に揺動して、揺動片突出部の揺動片突出部先端部が折曲片の切欠部に嵌合して折曲片を押し上げることを特徴とする。
【0019】
この第6の構成の包装箱によれば、揺動片を揺動させることにより揺動片突出部が折曲片を押し上げるので、蓋板部が回動して、蓋板部と折曲片とからなる蓋部を一部開いた状態とすることができ、その後は、蓋部を手で回動させることにより蓋部を開いた状態とすることができる。蓋部が一部開いた状態から蓋部を回動させればよいので、小さな力で蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる。特に、揺動片突出部本体部の長さ分のストロークで折曲片を押し上げるので、揺動片を最初の状態から90度よりも大きく回転させることにより、該ストロークで折曲片の下端は折れ揺動片の回転中心である折れ線の位置よりも上方に押し上げることができ、折曲片を大きく押し上げることができ、より小さな力で蓋部を開けることができる。
【0020】
また、第7には、上記第6の構成において、折曲片を正面部の内側に接するようにして蓋板部を閉じるとともに、差込み片を差込み穴に挿通することにより蓋板部の閉状態をロックした状態の場合に、揺動片突出部本体部の下端は、折曲片の蓋板部とは反対側の辺部で切欠部形成位置以外の辺部よりも上側に位置し、揺動片突出部先端部の下端が、折曲片に形成された切欠部の奥側の端部より下方位置にあることを特徴とする。
【0021】
これにより、揺動片を揺動させた際に、揺動片突出部本体部が折曲片を押すことができ、揺動片突出部先端部が折曲片の切欠部に嵌合することができる。
【0022】
また、第8には、上記第6又は第7の構成において、突出状切込みが、略円弧状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に基づく包装箱によれば、揺動片を揺動させることにより揺動片突出部が折曲片を押し上げるので、蓋板部が回動して、蓋板部と折曲片とからなる蓋部を一部開いた状態とすることができ、その後は、蓋部を手で回動させることにより蓋部を開いた状態とすることができる。蓋部が一部開いた状態から蓋部を回動させればよいので、小さな力で蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例に基づく包装箱の前方斜視図である。
【図2】実施例に基づく包装箱の後方斜視図である。
【図3】実施例に基づく包装箱の蓋部を開いた状態の前方斜視図である。
【図4】実施例に基づく包装箱の展開図である。
【図5】図4における要部拡大図である。
【図6】図4における要部拡大図である。
【図7】実施例に基づく包装箱の要部正面図であり、揺動片と折曲片の位置関係を説明するための要部正面図である。
【図8】実施例に基づく包装箱の使用状態を示す前方斜視図である。
【図9】実施例に基づく包装箱の使用状態を示す前方斜視図である。
【図10】実施例に基づく包装箱の使用状態を示す説明図である。
【図11】従来の包装箱の前方斜視図である。
【図12】従来の包装箱の蓋部を開いた状態の前方斜視図である。
【図13】従来の包装箱の展開図である。
【図14】従来の包装箱の使用状態を示す前方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本特許においては、蓋板と折曲片とからなる蓋部を閉じて、その後、揺動片の先端に連設された差込み片を蓋板と折曲片との間の差込み穴に挿通することにより蓋部の閉状態をロックするいわゆるダブルロック式の包装箱において、小さな力でも容易に蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる包装箱を提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0026】
本特許に基づく包装箱5は、図1〜図7に示すように構成され、スリーブ状部10と、上面部40と、底面部60とを有し、1枚のシート状のブランク(具体的には、段ボール材(好適には、薄型段ボール材)又は厚紙)により形成されている。
【0027】
スリーブ状部10は、包装箱5の周壁(側面としてもよい)を構成し、方形状の板状の右側面部12と、右側面部12の正面側の辺部から折れ線を介して連設された正面部14と、正面部14の左側面側の辺部から折れ線を介して連設された方形状の板状の左側面部30と、左側面部30の背面側の辺部から折れ線を介して連設され方形状の板状の背面部32と、背面部32の右側面側の辺部から折れ線を介して連設された糊代部34と、差込み片28とを有している。
【0028】
ここで、正面部14は、正面部本体16と、揺動片18とを有している。正面部本体16は、方形状の上端の左右方向の中央位置に切欠部を有する形状を有している。この切欠部の形状は、後述する揺動片18と略同一の形状となっている。
【0029】
また、揺動片18は、正面部本体16に形成された切欠部内に折れ線及び切込みを介して形成され、揺動片本体19と、揺動片本体19の下端から連設された揺動片突出部22とを有している。
【0030】
揺動片本体19は、略方形状を呈し、左右両側においては、互いに平行な切込みK1、K2を介して正面部本体16と隣接し、揺動片本体19の下端においては、両側が左右方向の折れ線C1、C2を介して正面部本体16と連設され、折れ線C1と折れ線C2間の領域には、揺動片突出部22が連設されている。また、揺動片18の上端においては、折れ線C3、C4と切込みK4とを介して差込み片28と連設されている。
【0031】
ここで、切込みK1、K2は、上下方向(正面部本体16の上端辺に対して直角な方向)に形成されている。この切込みK1、K2は、第1切込み群に当たる。折れ線C1、C2は、左右方向(正面部本体16の上端辺に対して平行な方向)に形成されている。折れ線C1と折れ線C2とは、同一直線上に配設され、折れ線C1の長さと折れ線C2の長さは略同一となっている。折れ線C1は、切込みK1の下端から切込みK1に対して直角方向に連設され、折れ線C2は切込みK2の下端から切込みK2に対して直角方向に連設されている。
【0032】
また、揺動片本体19と差込み片28の間の位置には、略コ字状の切込みK4が形成され、これにより、揺動片本体19は、先端に突出部20を有している。揺動片本体19における突出部20以外の領域(つまり、方形状の領域)が本体部21となる。なお、切込みK4は、左右方向に形成された第1切込みK4aと該第1切込みK4aの両側の端部から略直角に短く形成された第2切込みK4b、K4cとから構成されているが、折れ線C3、C4は、第2切込みK4b、K4cの第1切込みK4aとは反対側の端部に連設されている。第2切込みK4b、K4cは、第1切込みK4aに対して鈍角をなしている。
【0033】
揺動片突出部22は、揺動片本体19の下端の左右方向における中央位置から連設された揺動片突出部本体部24と、揺動片突出部本体部24の下端の左右方向における中央位置から連設された揺動片突出部先端部26とを有している。この揺動片突出部22は、切込み(揺動片突出部形成用の切込み)K3を介して正面部本体16と隣接している。この切込みK3は、上下方向(正面部本体16の上辺と直角な方向)に形成され互いに平行に形成された切込みK3a、K3bと、切込みK3aの下端から内側(切込みK3b側)に左右方向(正面部本体16の上辺と平行な方向)に形成された切込みK3cと、切込みK3bの下端から内側(切込みK3a側)に左右方向に形成された切込みK3dと、切込みK3cと切込みK3d間に下向きの円弧状に形成された切込み(突出状切込み)K3eとから構成されている。切込みK3cと切込みK3dとは同一直線上に形成され、切込みK3aと切込みK3bとは略同一の長さに形成され、切込みK3cと切込みK3dとは略同一の長さに形成されている。また、切込みK3aは折れ線C1の内側の端部から連設され、切込みK3bは折れ線C2の内側の端部から連設されている。切込みK3aは折れ線C1に対して直角方向に形成され、切込みK3bは折れ線C2に対して直角方向に形成され、切込みK3cは切込みK3aに対して直角方向に形成され、切込みK3dは切込みK3bに対して直角方向に形成されている。切込みK3は、切込みK3aの上端から切込みK3bの上端まで連続して形成されている。切込みK3aと切込みK3bは、第2切込み群に当たる。切込み群K3cと切込み群K3dとは、第3切込み群に当たる。
【0034】
揺動片突出部本体部24は、左右方向に細長(横長としてもよい)の略長方形状(長方形状としてもよい)の長方形状を呈し、その両側の辺部は、切込みK3a、K3bを介して正面部本体16と隣接し、下端における両側の辺部は、切込みK3c、K3dを介して正面部本体16と隣接している。揺動片突出部本体部24は、揺動片本体19の下端から揺動片本体19の両側から折れ線C1、C2の長さ分だけ距離を介して領域から連設されている。これにより、揺動片突出部本体部24は、折れ線C1、C2を介して正面部本体16と連設されている。
【0035】
また、揺動片突出部先端部26は、揺動片突出部本体部24の下端と円弧状の辺部とで囲まれた形状を呈し、該円弧状の辺部は、切込みK3eを介して正面部本体16と隣接している。以上のように、揺動片突出部22は、揺動片突出部本体部24と揺動片突出部先端部26によって二段に突出した形状となっている。
【0036】
また、差込み片28は、揺動片18の先端(折れ線C1、C2とは反対側の端部)から左右方向の折れ線C3、C4を介して連設され、略方形状(方形状の先端の両側の角部にアールを形成した形状)を呈している。この差込み片28の両側の辺部は、切込みK1、K2の延長線上に形成されている。また、図4、図5に示す展開状態において、折れ線C3、C4は、正面部本体16の上端の辺部と同一直線上に形成されている。
【0037】
また、左側面部30は、右側面部12と略同大同形状に形成されている。また、背面部32は、正面部14と略同大同形状に形成されている。また、糊代部34は、帯状の台形形状に形成されている。糊代部34は、右側面部12の内側の面に接着されている。
【0038】
このスリーブ状部10は、糊代部34を右側面部12に接着させることにより、筒状に形成される。
【0039】
次に、上面部40は、フラップ部42と、フラップ部44と、蓋部46とを有している。
【0040】
フラップ部42は、右側面部12の上端から折れ線を介して連設され、略方形状を呈している。フラップ部42の右側面部12の上端から反対側の辺部までの長さは、正面部14や背面部32の左右方向の長さの1/2以下の長さに形成されている。
【0041】
また、フラップ部44は、左側面部30の上端から折れ線を介して連設され、略方形状を呈している。フラップ部44の左側面部30の上端から反対側の辺部までの長さは、正面部14や背面部32の左右方向の長さの1/2以下の長さに形成されている。
【0042】
また、蓋部46は、背面部32の上端の辺部から折れ線を介して連設され、背面部32の上端の辺部から折れ線を介して連設された蓋板部48と、蓋板部48の背面部32とは反対側の辺部から連設された折曲片54とを有している。
【0043】
蓋板部48は、略方形状の板状を呈し、左右方向の長さは背面部32の左右方向の長さと略同一であり、背面部32の上端の辺部から反対側の辺部(折れ線C5、C6)までの長さは、右側面部12や左側面部30の横方向の長さと略同一となっている。
【0044】
また、折曲片54は、蓋板部48の先端(背面部32の上端の辺部とは反対側の端部)から左右方向の折れ線C5、C6を介して連設され、略横長長方形状の先端の両側の角部にアールを形成した形状となっている。折れ線C5と折れ線C6とは、同一直線上に形成されている。
【0045】
また、蓋板部48と折曲片54の間の位置には、略コ字状の切込みK5が形成され、これにより、蓋板部48は先端に突出部50を有している。蓋板部48における突出部50以外の領域(つまり、方形状の領域)が本体部52となる。なお、切込みK5は、左右方向に形成された第1切込みK5aと該第1切込みK5aの両側の端部から略直角に短く形成された第2切込みK5b、K5cとから構成されているが、折れ線C5、C6は、第2切込みK5b、K5cの第1切込みK5aとは反対側の端部に連設されている。第2切込みK5b、K5cは、第1切込みK5aに対して鈍角をなしている。この切込みK5が形成されることにより、折曲片54を蓋板部48に対して折り曲げた際には、差込み片28を差し込むための差込み穴56が形成される。また、突出部50から本体部52にかけて、切込みK5における左右方向切込みに接する半円状の開口部K6が形成され、折曲片54を蓋板部52に対して折り曲げた際には、蓋板部48の端部に半円状の切欠部が形成される。
【0046】
また、折曲片54は、横長の略方形状(方形状の先端の両側の角部にアールを形成した形状)を呈し、蓋板部48とは反対側の辺部の左右方向の中央に台形状の切欠部K7が形成されている。この切欠部K7の奥部の左右方向の長さS1は、揺動片突出部先端部26の左右方向の長さS2と略同一であり、少なくとも、長さS1は、長さS2以上の長さであり、揺動片突出部本体部24の左右方向の長さS3未満となっている。つまり、長さS1が長さS2未満である場合には、揺動片突出部先端部26が切欠部K7内に嵌合することができず、また、長さS1が長さS3以上の場合には、揺動片18を揺動させた際に、揺動片突出部本体部24が切欠部K7内に入り込んでしまい、揺動片突出部本体部24が折曲片54を押すことができなくなってしまう。つまり、切欠部K7は、「揺動片突出部先端部26が嵌合し揺動片本体部24が嵌合しない切欠部」である。
【0047】
また、折曲片54と揺動片18の蓋部46を閉状態でロックした状態(折曲片54を正面部14の内側に接するようにして蓋部46を閉じるとともに、差込み片28を差込み穴56に挿通した状態)における位置関係は、図7に示すようであり、上下方向においては、揺動片突出部本体部24の下端は、切欠部K7の奥側の辺部K71と略一致し、揺動片突出部先端部26の下端は、折曲片54の蓋板部48と反対側の辺部54aよりも若干下方に位置している。なお、揺動片18を揺動させた際に、揺動片突出部本体部24が折曲片54を押すことができるように、少なくとも、揺動片突出部本体部24の下端(先端)は、折曲片54の辺部54aよりも上側とする。また、揺動片突出部先端部26が切欠部K7に嵌合するように、少なくとも、揺動片突出部先端部26の下端(先端)が、切欠部K7の辺部K71より下方位置にある(つまり、切欠部K7の奥側の端部よりも下方位置にある)必要がある。また、より良好に、揺動片突出部本体部24の下端が折曲片54を内側に押すとともに、揺動片突出部先端部26が切欠部K7に嵌合して折曲片54を上方に押し上げることができるように、揺動片突出部本体部24の下端は、切欠部K7の辺部K71の位置と同じ又は辺部K71の位置よりも下方で、かつ、折曲片54の辺部54aよりも上方であるとするのが好ましい。
【0048】
また、左右方向においては、折曲片54の切欠部K7と揺動片突出部先端部26とが略一致するようになっている。
【0049】
また、底面部60は、片部62と、片部64と、片部66と、片部68とを有している。
【0050】
片部62は、右側面部12の下端から折れ線を介して連設され、台形形状(両側の側辺のうち一方の側辺が右側面部12の下辺に対して直角の台形形状)の先端に略方形状を連設した形状を呈している。また、片部64は、正面部14の下端から折れ線を介して連設され、方形状の先端側において略方形状の切欠部を形成した形状を呈している。また、片部66は、左側面部30の下端から折れ線を介して連設され、片部62に対して対称(線対称)の形状を呈している。また、片部68は、背面部32の下端から折れ線を介して連設され、台形形状(両側の側辺が背面部32の下辺に対して傾斜した台形形状)の先端に略方形状を連設した形状を呈している。このような底面部60は、B式底組みタイプと呼ばれていて、アメリカンロック又は地獄底とも呼ばれている。
【0051】
上記構成の包装箱5の使用状態について説明する。まず、蓋部46を閉状態でロックするには、折曲片54を正面部14の内側に接するようにして蓋部46を閉じるとともに、差込み片28を切込みK5により形成された差込み穴56に挿通する。蓋部46を閉状態でロックした状態は、図1、図2、図7、図10(a)に示すようになり、折曲片54、その全体が正面部14と揺動片18の内側に隠れた状態となっている。
【0052】
次に、蓋部46が閉状態でロックされた包装箱5において蓋部46を開ける場合の操作及び作用について説明する。
【0053】
まず、揺動片18の上端に突出して設けられた突出部20に指を当てて揺動片18の上端を外側に揺動させて差込み片28を差込み穴56から引き出す。
【0054】
揺動片18の上端を外側に揺動させると、揺動片18は、折れ線C1、C2を中心に回転するので、これに伴い、揺動片突出部22は、折れ線C1、C2を回動中心として、その下端が内側(背面側)に回動する。つまり、折れ線C1、C2が、「第1切込み群の各切込みと揺動片突出部形成用の切込みの端部間に横方向に設けられる折れ線」に当たる。
【0055】
すると、図10(b)に示すように、揺動片突出部本体部24が折曲片54の外側の面を内側に押すとともに、揺動片突出部先端部26が切欠部K7に嵌合して、折曲片54を上方に押すので、蓋部46が上方に回動していく。図10(b)の状態においては、図8の状態となる。
【0056】
そして、揺動片18を回転させるに従い、図10(c)に示すように、折曲片54が押し上げられていき、揺動片18を最初の状態(図10(a)の状態)から90度より大きく回転させることにより、図10(d)に示すように、折曲片54の下端は揺動片18の回転中心(折れ線C1、C2)の位置よりも上方に押し上げることができる。図10(d)の状態においては、図9の状態となる。
【0057】
以上のように、揺動片突出部本体部24の下端が折曲片54の外側の面を押した状態で、揺動片突出部先端部26が切欠部K7に嵌合して折曲片54を押し上げていくので、折れ線C1、C2と揺動片突出部本体部24の先端までの長さS4のストロークで折曲片54を押し上げ、杆の原理で小さな力で折曲片54を押し上げることができる。特に、揺動片18を最初の状態から90度よりも大きく回転させることにより、長さS4のストロークで折曲片54の下端は折れ線C1、C2の位置よりも上方に押し上げることができる。
【0058】
よって、蓋部46が大きく押し上げられるので、その後は、蓋部46の突出部50や半円形状の開口部K6による切欠部に指を係止して蓋部46を回動させればよく、揺動片18を回動させることにより蓋部46の折曲片54は大きく上方に押し上げられているので、小さな力で蓋部46を回動させることができる。
【0059】
つまり、仮に、揺動片突出部22に揺動片突出部本体部24が設けられておらず、揺動片本体19の下端から揺動片突出部先端部26のみが設けられている場合には、揺動片18を回転させるに従い、折れ線C1、C2と切欠部K7の辺部K71間の距離は短くなって(本実施例の場合には、該距離は長さS4に保たれる)、折曲片54は上方に回動されるものの、折曲片54を内側に押すことがなく、上記のように回転中心(折れ線C1、C2)から所定の長さ(上記の例では長さS4)を介した位置で押し上げることがないので、揺動片18を回動させて折れ線C1、C2の位置まで押し上げることができても、それ以上上方に押し上げることはできない。
【0060】
なお、本実施例の包装箱は、揺動片突出部本体部24と揺動片突出部先端部26によって二段に突出した形状ではなく、一段に突出した形状であっても、折曲片54の下端を折れ線C1、C2の位置まで押し上げることは可能であるので、そのような構成としてもよい。
【0061】
以上のように、本実施例の包装箱においては、いわゆるダブルロック式の包装箱において、小さな力でも容易に蓋部を開けることができ、高齢者等の力の弱い者でも容易に蓋部を開けることができる。
【符号の説明】
【0062】
5 包装箱
10 スリーブ状部
12 右側面部
14 正面部
16 正面部本体
18 揺動片
19 揺動片本体
20、50 突出部
21、52 本体部
22 揺動片突出部
24 揺動片突出部本体部
26 揺動片突出部先端部
28 差込み片
30 左側面部
32 背面部
34 糊代部
40 上面部
42、44 フラップ部
46 蓋部
48 蓋板部
50 折曲部
52 本体部
54 折曲片
60 底面部
62、64、66、68 片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁の正面部の上端から一対の切込みである第1切込み群を形成することにより設けられた揺動片と、揺動片の先端に折れ線を介して連設された差込み片と、周壁の背面部の上端から連設された蓋板部と、蓋板部の先端に折れ線を介して連設された折曲片と、蓋板部と折曲片の間の位置に設けられ差込み片を差し込むための差込み穴とを有する包装箱において、
揺動片は、
第1切込み群の各切込み間に設けられた揺動片本体で、揺動片本体の下端の一部が正面部における揺動片以外の部分である正面部本体と連設された揺動片本体と、
揺動片本体の下端から連設された揺動片突出部で、正面部に揺動片突出部形成用の切込みを形成することにより形成された揺動片突出部とを有し、
揺動片の上端を正面側に移動させることにより、揺動片が第1切込み群の各切込みと揺動片突出部形成用の切込みの端部間に横方向に設けられる折れ線を中心に揺動して、揺動片突出部が折曲片を押し上げることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
揺動片突出部形成用の切込みが、第1切込み群の切込みの下端から横方向の内側の位置から下方に形成され、間隔を介して形成された一対の切込みである第2切込み群と、第2切込み群の各切込みの下端からそれぞれ横方向に内側に同一直線上をなすように形成された一対の切込みである第3切込み群と、第3切込み群の各切込みの内側の端部間に下方に突出するように形成された突出状切込みとを有し、
揺動片突出部は、揺動片本体部の下端から連設され第2切込み群と第3切込み群に囲まれた揺動片突出部本体部と、突出状切込みにより揺動片突出部本体部から下方に突出した揺動片突出部先端部と、を有し、
折曲片の先端には、揺動片突出部先端部が嵌合し揺動片本体部が嵌合しない切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
折曲片を正面部の内側に接するようにして蓋板部を閉じるとともに、差込み片を差込み穴に挿通することにより蓋板部の閉状態をロックした状態の場合に、揺動片突出部本体部の下端は、折曲片の蓋板部とは反対側の辺部で切欠部形成位置以外の辺部よりも上側に位置し、揺動片突出部先端部の下端が、折曲片に形成された切欠部の奥側の端部より下方位置にあることを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
突出状切込みが、略円弧状であることを特徴とする請求項2又は3に記載の包装箱。
【請求項5】
第1切込み群を構成する一対の切込みと第3切込み群を構成する一対の切込みとが正面部の上端の辺部に対して直角に互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4に記載の包装箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−111204(P2011−111204A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270796(P2009−270796)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000129493)株式会社クラウン・パッケージ (21)
【Fターム(参考)】