説明

包装箱

【課題】単一の段ボール原紙を筒形に折曲げて組立てられるラップアラウンドケース型の包装箱において、とくに耐圧強度を損なうことなく、しかも梱包される個装ケース60等の内容物を確実に保護し、また開封時には個装ケース60等の内容物を取出し易くする。
【解決手段】段ボール原紙30によって組立てられる包装箱であって、蓋板34の前端側に接合片36を、破断線37を介して連設するとともに、この接合片36と接合される前面側の側板31の上縁側において、横方向に延びる破断線52を形成し、この横方向の破断線52の開封開始位置の縦方向の切込み53を、前面側の側板31と補助フラップ46とのコーナの部分に形成し、コーナの部分の弾発力によって縦方向の切込み53の部分が外側へ飛出すようにし、しかも上記接合片36の下縁が前面側側板31の破断線52よりも下側に位置するようにし、これによって耐圧強度の劣化を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装箱に係り、とくに背面側の側板の上縁に折曲げ可能に蓋板を連設し、該蓋板によって上部開口を閉じるようにした包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2004−155478号公報に記載されているように、連続する単一の段ボール原紙を角筒状に折曲げるとともに、両側端の開口を側面板によって閉じるようにした、いわゆるラップアラウンドケースと称される包装箱が、物流のための包装手段として用いられている。
【0003】
このラップアラウンドケースの一例を図1〜図3によって説明すると、単一の段ボール原紙によって、図1に示すように、前面側の側板10、底板11、背面側の側板12、蓋板13が折曲げ線14によって互いに折曲げ可能に連続して形成される。また蓋板13の先端側には折曲げ線15を介して接合片16が形成される。
【0004】
一方、この段ボール原紙の上記前面側の側板10と背面側の側板12の両端には、それぞれ折曲げ線19を介して側板フラップ20が形成されている。これに対して底板11および蓋板13の両側には、それぞれ折曲げ線21を介して補助フラップ22が形成されている。そして、上記前面側の側板10から両側の側板フラップ20にかけてと、背面側の側板12から側板フラップ20にかけて、それらの高さ方向のほぼ中間に位置するように、この段ボール原紙の内表面に横方向に延びて、カットテープ23が接着されている。
【0005】
このような構造の段ボール原紙によって、図2に示すような直方体状をなすラップアラウンドケースが組立てられる。すなわち、折曲げ線14によって前面側の側板10、底板11、背面側の側板12、蓋板13を順次折曲げて四角筒状にし、しかも左右の両側の開口を折曲げ線19によって側板フラップ20を折曲げて閉塞し、さらに折曲げ線21によって補助フラップ22を折曲げ、上記側板フラップ20に接合する。
【0006】
このような包装箱は、蓋板13を開いて内部に所定の物品、たとえば個装ケース24を収納するとともに、この状態で蓋板13を閉じる。そして、蓋板13の先端側の接合片16を折曲げ線15によって前面側の側板10の前面に重合わせるようにし、この接合片16を前面側の側板10の上縁側に糊付けする。開封する場合には、とくに図3に示すように、前面側の側板10および背面側の側板12の内表面から両側の側板フラップ20にかけて貼付けられているカットテープ23を引っ張り、これによって側板フラップ20、前面側の側板10および背面側の側板12をその高さ方向の中間の位置でカットする。これによって包装箱は、高さ方向の中間の位置で上下に2分割されることになり、上側の部分を取外すことによって、図3に示すように、内部に収納された個装ケース24が露出する。
【0007】
このような従来のラップアラウンドケースは、個装ケース24等の内容物の重量が増大すると、このラップアラウンドケースを組立てるための段ボールの材質強度を高めることを要し、またカットテープ23の端部の引出しと、前面側の側板10、背面側の側板12および側板フラップ20の切断のために、より大きな力が必要になる。また図3に示すように、この包装箱を上下に2分割しないと個装ケース24を取出すことができず、半端な個装ケース24をこの包装箱内に残留した状態で保管する場合に、個装ケース24を衛生的な状態で保管することができず、汚損される可能性がある。また保管時における荷姿も不安定になる問題がある。
【0008】
実開平2−80529号のマイクロフィルムには、互いに折曲げ線を介して、前側壁、底壁、後側壁、蓋壁を連設し、前記各壁の両側に折曲線を介して壁フラップを連設し、該壁フラップは互いに切目線によって分離され、底壁両側の壁フラップには糊付部を設け、蓋壁両側の壁フラップにはジッパーを設け、ジッパーの外側は糊付部とすると共に、蓋壁の端縁に折曲線及びジッパーを設け、一面を糊付部としたフラップを延設したカートンが開示されている。
【0009】
このようなカートンは、蓋壁とこの蓋壁の前縁に連設されているフラップとの間の折曲線を切断することによって上面側の開口部を開放することが可能になる。従って、個装ケース等の内容物が残っている場合には、再び蓋壁を閉じて保管することが可能になる。
【0010】
ところが、この種のラップアラウンドケースでは、蓋壁の前縁側のフラップの高さ方向の寸法が小さいため、強度、とくに高さ方向の耐圧(圧縮)強度に劣る欠点がある。また蓋壁を開いた状態において上部開口が露出されるものの、このときに前面壁の上縁は箱の上縁と同じ高さにあるため、個装ケース等の内容物を取出す際に、個装ケースをつかみ難い欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−155478号公報
【特許文献2】実開平2−80529号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の課題は、開封時に必要な力が小さくて済むようにした包装箱を提供することである。
【0013】
本願発明の別の課題は、内部に多数の個装ケースが残っている場合に、このような個装ケースを衛生的に保管できるようにした包装箱を提供することである。
【0014】
本願発明のさらに別の課題は、開封のためのカットテープを内表面に接合することを要せず、これによって部品点数を削減して、コストを低減するようにした包装箱を提供することである。
【0015】
本願発明のさらに別の課題は、破断線を形成しても強度の劣化を受け難くし、これによって梱包品質の確保を可能にした包装箱を提供することである。
【0016】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の主要な発明は、背面側の側板の上縁に折曲げ可能に蓋板を連設するとともに、該蓋板の前端の側縁部に破断線を介して接合片を連設し、該接合片を前面側の側板の上部に糊付けして接合するようにした包装箱であって、
前記前面側の側板の上部であって前記接合片と糊付けされる部位に横方向に延びる破断線が形成され、該破断線と前記前面側の側板の上端との間の高さ方向の間隔が前記接合片の高さ方向の寸法より小さくなっており、前記接合片の下縁が前記前面側の側板の前記破断線よりも下方に位置することを特徴とする包装箱に関するものである。
【0018】
ここで、前記前面側の側板の前記破断線の終端に縦方向の切込みが形成され、該縦方向の切込みから前記前面側の側板の前記破断線の上側の部位を前記接合片とともに破断してよい。また前記縦方向の切込みが前記前面側の側板と該前面側の側板と折曲げ可能に連結された側板フラップとのコーナの部位に形成され、しかも前記切込みの下端が前記破断線に連結され、前記前面側の側板の前記破断線の上側であって、前記切込みの前面側の部位がつまみ片を形成してよい。また前記接合片の側端であって前記前面側の側板の縦方向の切込み側の側端に切欠きが形成され、該切欠きによって前記接合片の側端が横方向に短くなっていてよい。また単一の連続する段ボールから組立てられ、前記前面側の側板と底板と前記背面側の側板と前記蓋板と前記接合片とが折曲げ可能に連結され、前記前面側の側板と前記背面側の側板の両側端に連設された側板フラップが互いに突合わされて側面側の開口が閉塞され、しかも前記底板と前記蓋板の両側端に連設された補助フラップが前記側板フラップ上において互いに突合わされた状態で前記側板フラップに接合されてよい。
【発明の効果】
【0019】
本願の主要な発明は、背面側の側板の上縁に折曲げ可能に蓋板を連設するとともに、該蓋板の前端の側縁部に破断線を介して接合片を連設し、該接合片を前面側の側板の上部に糊付けして接合するようにした包装箱であって、前面側の側板の上部であって、接合片と糊付けされる部位に横方向に延びる破断線が形成され、該破断線と前面側の側板の上端との間の高さ方向の間隔が接合片の高さ方向の寸法より小さくなっており、接合片の下縁が前面側の側板の破断線よりも下方に位置するようにしたものである。
【0020】
従って、このような包装箱によると、接合片と前面側の側板の破断線とを一緒に破断することによって、蓋板を開封して内容物を取出すことができる。しかも蓋板は、開封された状態において背面側の側板の上縁に折曲げ可能に連結された状態になっているために、個装ケース等の内容物が残っている場合には、蓋板を再び閉じることによって、内容物を衛生的に保管することができる。また開封された状態において前面側の側板の上縁の部分では、破断線よりも上側の部分が除去されるため、内容物の取出しが容易になる。さらに、前面側の側板の破断線の部分に接合される接合片は、その下縁が破断線よりも下側まで延びているため、耐圧強度が高く、強度がある材料を用いることなく、しかも強度的に優れた包装箱を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のラップアラウンドケースの展開平面図である。
【図2】同ラップアラウンドケースの組立て状態の斜視図である。
【図3】同ラップアラウンドケースの開封の状態を示す斜視図である。
【図4】本願発明の一実施の形態に係るラップアラウンドケースの展開平面図である。
【図5】同ラップアラウンドケースの組立て動作を示す斜視図である。
【図6】同組立てた状態の斜視図である。
【図7】同要部拡大正面図である。
【図8】図7におけるA〜A線断面図である。
【図9】接合片および破断線の端部の構造を示す要部斜視図である。
【図10】同要部拡大横断面図である。
【図11】開封の動作を示す要部斜視図である。
【図12】蓋を半ば開いた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図4は本実施の形態に係るラップアラウンドケースを組立てるための段ボール原紙30の展開平面図である。この段ボール原紙30は、前面側の側板31、底板32、背面側の側板33、蓋板34を備え、これらの板状部が互いに平行な3本の折曲げ線35を介して互いに折曲げ可能に連結されている。また蓋板34の端部には接合片36がジッパー状の破断線37によって折曲げ可能であって、しかも破断可能に連結されている。
【0023】
上記前面側の側板31の両側には、側板フラップ40が折曲げ線41を介して折曲げ可能に連結されている。また背面側の側板33の両側には、側板フラップ42が折曲げ線43を介して折曲げ可能に連結されている。これに対して底板32の両側には、補助フラップ44が折曲げ線45を介して折曲げ可能に連結されている。また蓋板34の両側には、補助フラップ46が破断線47を介して折曲げ可能に連結されている。底板32の両側の補助フラップ44と蓋板34の両側の補助フラップ46には、それぞれ斜め45度の折曲げ線が2本ずつ、「ハ」の字状に配置されている。
【0024】
上記前面側の側板31の上端には、横方向に延びるジッパー状の破断線52が形成されている。この破断線52の位置として、この破断線52の右端側は縦方向の切込み53によって終わっており、また、この破断線52の反対側の端部は縦方向の切込み54によって終わっている。左端側の縦方向の切込み54は、前面側の側板31と側板フラップ40とのコーナの部分に形成されているのに対し、右側の縦方向の切込み53は、前面側の側板31と側板フラップ40とのコーナの部分よりも側板フラップ40側に侵入するように形成されており、組立てられると、図6に示すように、切込み53が前面側の側板31と補助フラップ46とのコーナの湾曲部分の終端であって、側板フラップ40側に位置するようになっている。一方、上記破断線52の上側の部分において、前面側の側板31と接合される蓋板34の接合片36は切欠き55を備え、この切欠き55によって、前面側の側板31の破断線52の上側の部分よりも短くなっている。そして、接合片36は破断線52の上側の領域において、前面側の側板31と糊付け部分57によって糊付けされている(図8参照)。また図4に示すように、上記補助フラップ46の側端には、段部58が形成され、とくに前面側の側板31の破断線52の上側であって、縦方向の切込み53の上側の部分を逃げるようにしている。
【0025】
次に、以上のような構成に係る段ボール原紙30に用いて、ラップアラウンドケースを組立てる動作を説明する。図4に示す段ボール原紙30を、折曲げ線35のところで折曲げるようにし、前面側の側板31、底板32、背面側の側板33、蓋板34によって角筒状に組立てる。そして、図5に示すように、前面側の側板31の両側の側板フラップ40と背面側の側板33の両側の側板フラップ42とをそれぞれ折曲げ線41、43のところで直角に折曲げるようにし、側板フラップ40、42の先端部を突合わせて側面側開口を閉塞する。そして、さらに、底板32の両側の補助フラップ44を折曲げ線45のところで折曲げるようにし、補助フラップ44を側板フラップ40、42に接合する。
【0026】
このようにして、ほぼ直方体状をなすラップアラウンドケースが組立てられる。このようなラップアラウンドケース内には、各種の物品が収納される。例えば複数個の個装ケース60を収納するようにしている。そして、図6に示すように、このような状態で、蓋板34を折曲げ線35のところで折曲げて上部開口を閉塞する。そして、蓋板34の両端の補助フラップ46を破断線47のところで下方に折曲げ、両側の側板フラップ40、42の上に接合して糊付けする。さらに蓋板34の前端側の接合片36を破断線37のところで直角に折曲げるようにし、この接合片36を前面側の側板31の上縁であって、破断線37の上側の部分に糊付けして接合する。これによって蓋板34が上部開口を閉塞した状態で、この箱が閉じられるようになる。従って、このようにして個装ケース60等を梱包した状態で、物流に供される。
【0027】
次に、上述のようにして梱包された個装ケース60等の内容物が入っているこの包装箱を開封する動作について説明する。この開封動作は、図7〜図11に示すように、前面側の側板31の上端であって、破断線52の右側の部分の縦方向の切込み53によって画成される端部を指でつまむことにより破断される。ここで、とくに前面側の側板31の破断線52の上側の部分であって、縦方向の切込み53が、この前面側の側板31と側板フラップ40とのコーナ部分にかかっており、弾発力によって破断線52の上側の部分であって、縦方向の切込み53が先端に形成されている部分が外方に突出している。従って、このような部分を指でつまんで手前に引っ張ることにより、開封動作が行なわれる。
【0028】
本実施の形態では、例えば縦方向の切込み53をつまんで右から左方向へ引っ張ることとなる。このとき、ジッパー状の破断線52や37の右端側(つまむ最初の箇所)では他の箇所に比べて、ミシン目の間隔(幅)を大きく設けることが破断線の最初の箇所を弱い力で容易に切り破れるため好ましい。なお、ここでは日本人に多い右利きを想定し、右手でつまんで右から左方向へ手前に引き寄せる開封方式を設けている。段ボールを切り破って開封する力として、右から左方向へ手前に引き寄せる(引っ張る)方が強い力を出しやすいことから、この開封方式を設けている。
【0029】
図8に示すように、前面側の側板31の破断線52の上側の領域において、接合片36と前面側の側板31とが互いに糊付け部分57において接合されている。従って、上記縦方向の切込み53の端部をつまんで図11に示すように前方に引っ張ると、破断線52によって前面側の側板31の上側の部分が破断される。このときに同時に、糊付け部分57によって破断線52の上側に接合されている接合片36は、蓋板34との連結部の破断線37のところで一緒に破断される。従って、破断線52によって前面側の側板31の上縁を完全に横方向に切断すると、蓋板34の前端縁の部分が前面側の側板31から分離される。そして、この後に、この蓋板34の前端縁の部分を上方に引っ張ると、蓋板34の両側の部分であって、補助フラップ46との間の破断線47の部分で破断され、これによって図12に示すように開封が行なわれる。従って、この状態で蓋板34を開き、内部の個装ケース60等を任意に取出すことができる。このとき、この包装箱が上部開口のみならず、前面側の側板31の破断線52の上側の部分も開かれているため、個装ケース60等を取出すのに便利である。すなわち、前面側の側板31がこの箱の上縁まで延びている場合には、個装ケース60に指を掛け難くなるのに対し、破断線52の部位まで露出するため、個装ケース60の取出しが非常に容易になる。そのため、この包装箱は、個装ケース60の内容物が重量物である場合において特に適しており、例えば飲料、流動食、発酵乳、豆腐等のような液体、固体、ゲル状物質等の飲食品において適している。
【0030】
このとき、この破断線52の形状は直線状でも曲線状でもよく、例えば波線状やジグザグ状なのでもよい。なお、この破断線52の部位は、包装箱の耐圧強度や個装ケース60の取出し易さなどの観点から、包装箱の縦方向の上側から2分の1以上の位置が好ましく、3分の1以上の位置がより好ましく、4分の1以上の位置がさらに好ましい。
【0031】
このように本実施の形態のラップアラウンドケースタイプの包装箱は、蓋板34を開封した状態においても、この蓋板34が背面側の側板33に折曲げ可能に連結された状態になっているため、個装ケース60等が中に残っている状態で保管する際に、内部の個装ケース60を保護することが可能になる。また、このときに蓋板34を完全に閉じておくことによって、端数の個装ケース60を衛生的に保管できるようになる。また開封動作が前面側の側板31の破断線52と、蓋板34の前端側の破断線37とを破断することによって開封される。ここで破断線52、37は何れもジッパー型の破断線から構成されている。さらに蓋板34の両側の部分の破断線47もまたジッパー型の破断線から構成されている。従って、破断による開封の際に、この段ボール原紙30の材質による引裂き強度の影響を受け難くすることができる。またジッパー型の破断線52、37、47によって破断するために、開封時に必要な力が少なくて済むことになる。
【0032】
また、この実施の形態の包装箱では、とくに蓋板34の前端側の接合片36の高さ方向の寸法が前面側の側板31の高さ方向の上縁と、この前面側の側板に形成されている破断線52との間の高さ方向の間隔よりも大きく、接合片34の下縁が破断線52よりも下側に位置しているため、前面側の側板31に横方向に延びる切断線52を形成しても上下方向の強度の劣化が少なくなり、耐圧強度に優れた包装箱になる。とくにジッパー型の破断線52を形成しても、耐圧強度が高く、包装品質の確保が可能になる。
【0033】
また本実施の形態の包装箱では、図4から明らかな如く、この段ボール原紙30の破断位置に予めカットテープを貼付しておく必要がなく、カットテープを廃することが可能になる。従って、余分な部品が必要でなく、これによってコストダウンが可能になる。
【0034】
以上、本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。
【0035】
例えば上記実施の形態における、具体的な縦横および高さ方向の寸法については、梱包する個装ケース60等の内容物に応じて各種の変更が可能である。また本実施の形態の包装箱は、各種の内容物を梱包して物流に供するのに広く適用可能である。
【実施例】
【0036】
(実施例1)包装箱の耐圧強度の検討 : 製品(ブリックパック 1000mL)
・ 製品なしの包装箱の耐圧(圧縮)強度 : 空箱の場合
ブリックパック 1000mL(製品)の入っていない状態で、包装箱の耐圧強度を測定した。
【0037】
従来品(図2)の耐圧強度 = 3077 N
発明品(図6)の耐圧強度 = 2840 N
製品なしの包装箱の場合、従来品と発明品とで耐圧強度は同等であった。
【0038】
ブリックパック(1000mL)×6本 = 1箱分(7.3 kg)の荷重の負荷について計算した。パレットで6段積みの場合、最下段(6段)では5段(箱)分の36.5 kgの荷重となる。ここで、36.5 kg × 9.81 N/kg = 358 N となる。
【0039】
従来品(図2)の安全率 = 3077 N ÷ 358 N = 8.6 倍
発明品(図6)の安全率 = 2840 N ÷ 358 N = 7.9 倍
パレットで8段積みの場合、最下段(8段)では7段(箱)分の51.1 kgの荷重となる。ここで、51.1 kg × 9.81 N/kg = 501 N となる。
【0040】
従来品(図2)の安全率 = 3077 N ÷ 501 N = 6.1 倍
発明品(図6)の安全率 = 2840 N ÷ 501 N = 5.7 倍
製品なしの包装箱の場合、従来品と発明品とで安全率は同等であった。
・ 製品ありの包装箱の耐圧(圧縮)強度 : 充填箱の場合
ブリックパック 1000mL(製品)の入っている状態で、包装箱の耐圧強度を測定した。
【0041】
従来品(図2)の耐圧強度 = 4040 N
発明品(図6)の耐圧強度 = 3870 N
製品ありの包装箱の場合、現行品と発明品とで耐圧強度は同等であった。
【0042】
ブリックパック(1000mL)×6本 = 1箱分(7.3 kg)の荷重の負荷について計算した。パレットで6段積みの場合、最下段(6段)では5段(箱)分の36.5 kgの荷重となる。ここで、36.5 kg × 9.81 N/kg = 358 N となる。
【0043】
従来品(図2)の安全率 = 4040 N ÷ 358 N = 11.3 倍 、
発明品(図6)の安全率 = 3870 N ÷ 358 N = 10.8 倍
パレットで8段積みの場合、最下段(8段)では7段(箱)分の51.1 kgの荷重となる。ここで、51.1 kg × 9.81 N/kg = 501 N となる。
【0044】
従来品(図2)の安全率 = 4040 N ÷ 501 N = 8.1 倍 、
発明品(図6)の安全率 = 3870 N ÷ 501 N = 7.7 倍
製品ありの包装箱の場合、現行品と発明品とで安全率は同等であった。
【0045】
以上の実験結果より、従来品と比べて発明品では、耐圧強度が約4.2%で低下していることが分かった。ただし、製品ありの包装箱の場合で、安全率が10倍以上を確保できており、流通上では全く問題ないと判断できた。
(実施例2)包装箱の開封負荷力の検討 : 製品(ブリックパック 1000mL)
ブリックパック 1000mL(製品)の包装箱の開封負荷力を測定した。開封負荷力の評価方法は、下記の通りである。なお、開封負荷力は相対的に比較することで評価する数値である。
【0046】
(1)プッシュプルゲージで開封力を測定する。(N)
(2)開封負荷力の掛かっている距離を測定する。(cm)
(3)開封負荷力 = 開封力 × 距離 として計算(数値化)する。(N・cm)
(4)開封箇所の全部の数値を合計して、その包装箱の開封負荷力とする。(N・cm)
従来品(図2)の開封負荷力 = 5340 N・cm = 120 N・cm + 5220 N・cm
(フラップの剥がし分 = 30 N × 1 cm × 4箇所 = 120 N・cm)
(カットテープの破り分 = 60 N × 43.5 cm × 2箇所 = 5220 N・cm)
発明品(図6)の開封負荷力 = 2145 N・cm = 1425 N・cm + 720 N・cm
(フラップの剥がし分 = 50 N × 28.5 cm × 1箇所 = 1425 N・cm)
(ミシン目の破り分 = 30 N × 12 cm × 2箇所 = 720 N・cm)
以上の実験結果より、従来品(5340 N・cm)と比べて発明品(2145 N・cm)では、開封負荷力が半分以下に低下していることが分かった。
【0047】
従来品では、カットテープを切り破る強度が高く、切り破る距離が長いため、負荷が大きくなり、実際にはカットテープを使わず、箱側面を開封して製品を取り出すことも多い。そして、従来品では、箱本体の開封後にバラバラに分離されて、組立部品が散らばり、保管の外観が悪くなる。このとき、保管時に箱本体の形状が安定せず、箱内部の製品が減ってくると、箱本体の形状が保持されなくなることも多い。
【0048】
一方、発明品では、箱本体の開封に必要な手順を極力減らして、箱前面のフラップを剥がす際にも、フラップの握る幅を広くすることで、数値以上に開封の官能性が良好に工夫されている。そして、発明品では、箱本体の開封後にも保管の外観は良好であり、箱本体の形状が保持される。
【0049】
実施例1と実施例2より明らかなように、ラップアラウンド式の段ボール包装箱で開封性を向上して、強度などを確保できた。箱本体の開封後の保管では、箱内部の衛生性を向上した。カットテープが不要となり、包材費を低減できた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本願発明は、各種の物品を物流に供するための梱包用の包装箱として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 前面側の側板
11 底板
12 背面側の側板
13 蓋板
14、15 折曲げ線
16 接合片
19 折曲げ線
20 側板フラップ
21 折曲げ線
22 補助フラップ
23 カットテープ
24 個装ケース
30 段ボール原紙
31 前面側の側板
32 底板
33 背面側の側板
34 蓋板
35 折曲げ線
36 接合片
37 破断線
40 側板フラップ
41 折曲げ線
42 側板フラップ
43 折曲げ線
44 補助フラップ
45 折曲げ線
46 補助フラップ
47 破断線
48 折曲げ線
52 破断線
53、54 縦方向の切込み
55 切欠き
57 糊付け部分
58 段部
60 個装ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側の側板の上縁に折曲げ可能に蓋板を連設するとともに、該蓋板の前端側縁部に破断線を介して接合片を連設し、該接合片を前面側の側板の上部に糊付けして接合するようにした包装箱であって、
前記前面側の側板の上部であって前記接合片と糊付けされる部位に横方向に延びる破断線が形成され、該破断線と前記前面側の側板の上端との間の高さ方向の間隔が前記接合片の高さ方向の寸法より小さくなっており、前記接合片の下縁が前記前面側の側板の前記破断線よりも下方に位置することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記前面側の側板の前記破断線の終端に縦方向の切込みが形成され、該縦方向の切込みから前記前面側の側板の前記破断線の上側の部位を前記接合片とともに破断することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記縦方向の切込みが前記前面側の側板と該前面側の側板と折曲げ可能に連結された側板フラップとのコーナの部位に形成され、しかも前記切込みの下端が前記破断線に連結され、前記前面側の側板の前記破断線の上側であって、前記切込みの前面側の部位がつまみ片を形成することを特徴とする請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記接合片の側端であって前記前面側の側板の縦方向の切込み側の側端に切欠きが形成され、該切欠きによって前記接合片の側端が横方向に短くなっていることを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
単一の連続する段ボールから組立てられ、前記前面側の側板と底板と前記背面側の側板と前記蓋板と前記接合片とが折曲げ可能に連結され、前記前面側の側板と前記背面側の側板の両側端に連設された側板フラップが互いに突合わされて側面側開口が閉塞され、しかも前記底板と前記蓋板の両側端に連設された補助フラップが前記側板フラップ上において互いに突合わされた状態で前記側板フラップに接合されることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−57275(P2011−57275A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211552(P2009−211552)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006138)明治乳業株式会社 (265)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】