説明

包装袋、包装体および調理方法

【課題】簡単に固形食品に液状食品を絡め、または、浸透させ、調理することができ、調理後に簡単に取り出すことができ、また、余った分を密封して保存することができる包装袋、包装体および調理方法を提供する。
【解決手段】天シール部を切取り、開口させるための第1切取手段と、第1切取手段と地シール部との間に包装袋の上部を切り取るための第2切取手段と、第2切取手段の下方近傍にファスナー部とを設けた包装袋とする。また、この包装袋に液状食品を充填密封した包装体とする。更にはこの包装体を第1切取手段により開封し、固形食品を包装袋内に投入し、包装袋内の液状食品を絡め、または、浸透させ、第2切取手段により、包装袋上部を切取り、液状食品を絡めた、または、浸透させた前記固形食品を取り出し、固形食品を調理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、包装体および調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野菜の浅漬けを家庭で作るのに最近では、浅漬け用の調味液がボトルに入って販売されていて、硬質プラスチックの容器などにその調味液を野菜とともに入れて、浅漬けを作ったり、また、ファスナーの付いた袋に野菜とその調味液を入れて、浅漬けを作ったりしている。
【0003】
また、図4(A)のような、上端部にファスナー7を形成した外袋物200に、図4(B)のような、調味液などを収めた合成樹脂製袋210を、内蔵密封した野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物がある。
【0004】
この野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物で浅漬を作るには、外袋物200の上部を切断し、内蔵されていた調味液などを収めた合成樹脂製袋210を取り出し、調味液などを外袋物200の上端より流し込み、更に洗って水気を切った野菜を投入し、外袋物200内の空気を抜き、ファスナー7で密封状態にして、冷蔵庫内に入れる。このようにして、簡単に浅漬が作れる野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物があった(特許文献1)。
【0005】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−69851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記、特許文献1の野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物では、漬けた後、袋の下部に漬けた野菜などがあり、取り出しにくいという問題があった。
【0008】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、簡単に固形食品に液状食品を絡め、または、浸透させ、調理することができ、調理後に簡単に取り出すことができ、また、余った分を密封して保存することができる包装袋、包装体および調理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、天シール部を切取り、開口させるための第1切取手段と、該第1切取手段と地シール部との間に包装袋の上部を切り取るための第2切取手段と、該第2切取手段の下方近傍にファスナー部とを設けたことを特徴とする包装袋である。
【0010】
本発明の包装袋は、以上のような構成であって、第1切取手段で天シール部を切取り、固形食品を入れ、あらかじめ充填されていた調味液やソースなどの液状食品に、絡め、または、浸透させ、調理することができ、調理後、包装袋内の液状食品を廃棄し、第2切取手段で包装袋の上部を切取り、調理された固形食品を簡単に取り出すことができる。
【0011】
また、残った調理済みの固形食品はファスナーを閉じて密封して、保存することができる。また、包装袋内の液状食品を廃棄するときに、ファスナーを部分的に閉じて、固形食
品がこぼれないようにして、液状食品を廃棄することもできる。さらには、第2切取手段で包装袋の上部を切取るときに、ファスナーを閉じて切取れば、直線的に切取ることができ、調理された固形食品がこぼれることもない。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記第1切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0013】
本発明は、第1切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであるので、特別な工程を必要とせず、通常の製袋工程中で第1切取手段を設けることができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記第2切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋である。
【0015】
本発明は、第2切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであるので、特別な工程を必要とせず、通常の製袋工程中で第2切取手段を設けることができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、前記包装袋が、前記地シール部に船底シール又はガゼットの設けられたスタンディングパウチであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装袋である。
【0017】
本発明は、包装袋が、前記地シール部に船底シール又はガゼットの設けられたスタンディングパウチであるので、自立性があり、開封した状態で、置いておくことができ、固形食品を投入するときや、調理後に、開封した状態で置いておくことができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装袋に液状食品を充填密封したことを特徴とする包装体である。
【0019】
本発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装袋に液状食品を充填密封した包装体であるので、消費者は、入手したこの包装体に、調味液やソースなどの液状食品を入れることなく、生野菜などを入れるだけで、浅漬を作ることができ、簡便である。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項5に記載の包装体を前記第1切取手段により開封し、固形食品を前記包装袋内に投入し、該包装袋内の液状食品を絡め、または、浸透させ、前記第2切取手段により、前記包装袋上部を切取り、前記液状食品を絡めた、または、浸透させた前記固形食品を取り出すことを特徴とした調理方法である。
【0021】
本発明は、請求項5に記載の包装体の前記第1切取手段により開封し、固形食品を包装袋内に投入し、包装袋内の液状食品を絡め、または、浸透させ、第2切取手段により、包装袋上部を切取り、液状食品を絡めた、または、浸透させた固形食品を取り出す調理方法であるので、簡単に液状食品を絡めた、または、浸透させた固形食品を作ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、簡単に固形食品に液状食品を絡め、または、浸透させ、調理することができ、調理後に簡単に取り出すことができ、また、余った分を密封して保存することができる包装袋、包装体および調理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の包装袋の一例を模式的に示した説明図である。
【図2】本発明の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【図3】(A)〜(E)本発明の調理方法の一例を模式的に示した説明図である。
【図4】従来の野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物の一例である。(A)従来の野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物の外袋物である。(B)従来の野菜浅漬用の合成樹脂製二重袋物の調味液などを収めた合成樹脂製袋である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。
図1は、本発明の包装袋の一例を模式的に示した説明図である。
【0025】
本例の包装袋100は、図1のように、天シール部1と地シール部2と左右のサイドシール部3、3が周縁部に設けられた包装袋100である。本例では、地シール部2は、包装袋の前フィルムと後フィルムの間の下端に折り返した底テープが差し込まれてシールされ、船底シール4が形成されたスタンディングパウチである。
【0026】
天シール部1の下方近傍の左右のサイドシール部3、3に、天シール部1を切取り、開口させるための第1切取手段5としてのノッチ51、51が、設けられている。また、第1切取手段5と地シール部2との間の左右のサイドシール部3、3に、包装袋100の上部を切り取るための第2切取手段6としてのノッチ61、61が、設けられている。
【0027】
そして、第2切取手段6としてのノッチ61、61の下方近傍に、左右のサイドシール部3、3の外縁部を両端とするファスナー部7が設けられている。
【0028】
本例の包装袋100を構成する表側フィルムと裏側フィルム及び底テープは、それぞれ、樹脂フィルムからなっている。樹脂フィルムとしては、外側の基材フィルムと内側のシーラントフィルムが貼り合わされた積層フィルムであることが好ましい。
【0029】
基材フィルムとしては、ナイロンやポリエチレンテレフタレート、あるいはポリプロピレンのフィルムが好ましい。また、充填される液状食品の酸素による酸化劣化を防止するために、基材フィルム自体を複層として、内側の基材フィルムに、エチレンビニルアルコール共重合体や、アルミニウム箔を用いても良い。また、透明な無機物を蒸着したナイロンやポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いても良い。
【0030】
シーラントフィルムとしては、ポリプロピレンやポリエチレンの未延伸のフィルムが好ましく用いられる。また、酸変性したポリエチレン系樹脂やアイオノマーの未延伸のフィルムを用いても良い。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレンでもよいが、直鎖状低密度ポリエチレンが、好ましく用いられる。
【0031】
固形食品に液状食品を絡ませたり、浸透を早めるために、包装袋の外側から固形食品をもんだりすることを考慮すると、あまり硬くない樹脂フィルムが好ましい。また、スタンディングパウチにすることを考慮するとある程度の腰も必要である。
【0032】
そのために、基材フィルムとして、延伸ナイロンフィルムの12から25μmを用いて、シーラントフィルムとして、直鎖状低密度ポリエチレンの50から150μmを貼り合わせた積層フィルムを用いるのが好ましい。
【0033】
また、ノッチから引裂くことを考慮すると、延伸ナイロンフィルムには、直線カット性
のあるナイロンのフィルムを、引裂く方向と直線カット性の方向を合わせて用いることが好ましい。
【0034】
本発明のファスナー部7は、テープ状の基部と雌部材からなる雌側テープとテープ状の基部と雄部材からなる雄側テープが、雌部材と雄部材が嵌合するように包装袋の表側フィルムと裏側フィルムにそれぞれの基部が溶着されているファスナーテープで設けられている。
【0035】
ファスナーテープの材質は、包装袋の表側フィルムと裏側フィルムに溶着するように、それらのシーラントフィルムの材質と同一、または、樹脂の種類が同じ、例えばポリプロピレン系やポリエチレン系の樹脂が用いられる。
【0036】
図2は、本発明の包装体の一例を模式的に示した説明図である。
【0037】
本例の包装体110は、包装袋100に、液状食品8を充填し、天シール部1をシールして密封している。本例の包装体110では、ファスナー部7が開いた状態で液状食品8を密封しているが、ファスナー部7の下まで液状食品8を充填して、ファスナー部7を閉じた状態で液状食品8を密封していてもよい。
【0038】
図3(A)〜(E)は、本発明の調理方法の一例を模式的に示した説明図である。
図2の包装体110の上端部を、第1切取手段5のノッチ51で、図3(A)のように、切取り、固形食品9を包装袋100内に投入し、図3(B)のように、包装袋100内の液状食品8の中に固形食品9を漬ける。
【0039】
このとき、漬物などの場合は軽く揉んで、固形食品9の生野菜に液状食品8の調味液の浸透を早めることができる。また、焼きそばやパスタなどの場合は、やはり、揉むようにして、固形食品9の焼きそばやパスタに液状食品8のソースを絡めるようにする。
【0040】
そのあと、漬物などの場合は、図3(C)のように、包装袋100を傾けて中の液状食品8の調味液を排出する。このとき、ファスナー7を部分的に閉じて固形食品9が液状食品8と一緒に流れ出ないようにしてもよい。
【0041】
そして、包装袋100を立てて、液状食品8を絡めた、または、浸透させた固形食品9を包装袋100の底のほうに集め、ファスナー7を閉じて、第2切取手段6のノッチ61により、包装袋100の上部を切取る。
【0042】
ファスナー7を閉じることによって、包装袋100の上部を直線的に切取りやすくなり、また、液状食品8を絡めた、または、浸透させた固形食品9をこぼしてしまうことがなくなる。
【0043】
そして、図3(D)のようにファスナー7を開いて、中の液状食品8を絡めた、または、浸透させた固形食品9を取り出す。このように、包装袋100の上部が切取られているので、簡単に固形食品を取り出すことができる。また場合によっては、取り出した液状食品8を絡めた、または、浸透させた固形食品9を別の入れ物に移さずに、そのまま、食に供してもよい、
また、調理後そのまま、ファスナー7を閉めて、冷蔵庫などで保存しておくこともできる。さらには、量が多かった場合、包装袋100の中に、液状食品8を絡めた、または、浸透させた固形食品9を残して、ファスナー7を閉めて保存することもできる。
【0044】
以上のように、包装袋100に液状食品9が充填密封された包装体110を用いて調理
することによって、生野菜や、焼きそば、パスタなどの固形食品に、簡単に調味液やソースなどの液状食品9を絡め、または、浸透させ、調理することができ、調理後に液状食品9を絡め、または、浸透させ、調理した固形食品を、包装袋100から簡単に取り出すことができ、また、余った分などを密封して保存することができる。
【符号の説明】
【0045】
100・・・包装袋
110・・・包装体
1・・・天シール部
2・・・地シール部
3、3・・・サイドシール部
4・・・船底シール
5・・・第1切取手段
51、51・・・ノッチ
6・・・第2切取手段
61、61・・・ノッチ
7・・・ファスナー部
8・・・液状食品
9・・・固形食品
200・・・外袋物
210・・・合成樹脂製袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天シール部を切取り、開口させるための第1切取手段と、該第1切取手段と地シール部との間に包装袋の上部を切り取るための第2切取手段と、該第2切取手段の下方近傍にファスナー部とを設けたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記第1切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記第2切取手段が、左右いずれか、または、左右両方のサイドシール部に設けたノッチであることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装袋が、前記地シール部に船底シール又はガゼットの設けられたスタンディングパウチであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の包装袋に液状食品を充填密封したことを特徴とする包装体。
【請求項6】
請求項5に記載の包装体を前記第1切取手段により開封し、固形食品を前記包装袋内に投入し、該包装袋内の液状食品を絡め、または、浸透させ、前記第2切取手段により、前記包装袋上部を切取り、前記液状食品を絡めた、または、浸透させた前記固形食品を取り出すことを特徴とした調理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−39942(P2013−39942A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177872(P2011−177872)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】