説明

包装袋およびその製造方法

【課題】食品充填機にスタックされる最上位の包装袋を吸盤により未コート区域を吸着して取り出すことを可能にする包装袋を提供する。
【解決手段】両面部分2,2に帯電防止剤を開口端近くに食品充填機の吸盤を受ける未コート区域5aを形成するようにコートし、吸盤11が面部分2の未コート区域5aから他の位置に滑らないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、食品充填機の供給部にスタック状に配置された場合に、最上位の包装袋を吸盤により確実に取り出すことを可能にする包装袋およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品充填機は、多数の包装袋をスタック状に配置する供給部と、スタック状に配置された包装袋の最上位の包装袋を取り出す作動部と、食品を包装袋の内部に充填する食品充填部と、食品を充填した包装袋の開口端を封止するヒートシール部とから構成される。
【0003】
上記作動部は、一対の吸盤と、各吸盤を動作させる動作手段とを有し、一方の吸盤でスタックされた最上位の包装袋の上面を吸着し、最上位の包装袋をスタックされた包装袋から取り出し、食品充填部の下方位置に案内し、他方の吸盤で包装袋の他面を吸着し、包装袋を開いた状態に保持する。
【0004】
上記包装袋は、表面全域に帯電防止剤のコート層を設けることで、最上位の包装袋を吸盤により吸着して取り出す際に、吸着した最上位の包装袋にこれに隣接する下位の包装袋が静電気により付着し、同時に取り出されないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記包装袋は、表面全域に帯電防止剤のコート層を有するので、スタックされた最上位の包装袋の上面を吸盤により吸着する際、吸盤が上面に設けた帯電防止剤のコート層に沿って滑り、包装袋の所定位置を吸着することができず、食品充填部の下方位置に正確に案内できず、食品の充填に支障を来たすことがあるという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、包装袋の所定位置を吸盤により確実に吸着でき、食品の充填に支障を来たすことがない包装袋およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る包装袋は、両面部分に開口端近くに吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートして構成される。
【0008】
本発明の請求項3に係る包装袋は、一面部分に帯電防止剤を開口端近くに吸盤を受ける未コート区域を形成するようにコートし、他面部分に帯電防止剤をコートしないことで構成される。
【0009】
本発明の請求項4に係る包装袋の製造方法は、上面両側部に食品充填機の吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートした基材フィルムと熱融着フィルムを設け、基材フィルムの下面に熱融着フィルムを接合し、接合したフィルムを長手方向中央線に沿って2つに切断し、2つに切断した接合フィルムを重ね合わせ、両端および一側端をヒートシール手段により封止し、両面部分に未コート区域を有する包装袋を作るように構成される。
【0010】
本発明の請求項5に係る包装袋の製造方法は、上面両側部に食品充填機の吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートした基材フィルムと熱融着フィルムを設け、基材フィルムの下面に熱融着フィルムを接合し、接合したフィルムを長手方向中央線に沿って2つ折りし、2つ折りした接合フィルムの折り曲げ端に連なる両端をヒートシール手段により封止し、両面部分に未コート区域を有する包装袋を作るように構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装袋の両面部分の開口端近くに帯電防止剤の未コート区域を形成し、吸盤を帯電防止剤の未コート区域に吸着させることで、スタックされる最上位の包装袋に下位の包装袋を静電付着させることなく、最上位の包装袋の所定位置を吸着することができる。
【0012】
本発明によれば、表面に位置するフィルムの外面にグラビヤコート方式を用いて未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートすることで、両面部分の開口端近くに帯電防止剤の未コート区域を有する包装袋を作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による包装袋の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、符号1は、小麦粉のような粉末食品を充填するのに適した包装袋を示し、この包装袋1は、2枚の矩形に裁断した包装材料2,2を重ね合わせ、上端部を残して両側端および下端をヒートシール加工することで作られる。
【0014】
上記包装材料2は、帯電防止剤コート5を未コート区域5aを残すように設けた基材フィルム6と熱融着フィルム7をラミネート加工することで形成される。帯電防止剤コートとしては、たとえば、エマゾール(商標)を蒸留水とメタノールに混合した溶液から形成される。
【0015】
上記基材フィルム6は、帯電防止剤をチャンネルカットしたメッシュローラからなる刷版とゴム胴を用いたグラビヤコート方式により未コート区域5aを残すようにコートした厚さ12ミクロンのポリエステルフィルム8と厚さ7ミクロンのアルミニウム箔9と厚さ15ミクロンの延伸ナイロンフィルム10をラミネート加工することで形成される。
【0016】
上記熱融着フィルム7は、たとえば、厚さ50ミクロンの直鎖状低密度ポリエチレンの無延伸フィルムであるが、同じ熱融着性を有するものであればこれには制限されない。
【0017】
上記包装袋1は、包装材料2,2を帯電防止剤の未コート区域5aが対向するように位置させ、包装材料2,2を上端を残して両側端および下端をヒートシール加工するので、面部分2,2の開口端の近くに対向して帯電防止剤の未コート区域5aが形成され、面部分2,2の両側端に側ヒートシール部3,3が形成され、面部分2,2の下端に底ヒートシール部4が形成される。面部分2,2に位置する帯電防止剤の未コート区域5aは、包装袋1の面部分の開口端に近い位置であることが好ましいが、必要に応じて、これに限られるものではない。
【0018】
上記包装袋1は、図示しない食品充填機に適用される場合には、図3に示すように、図示しない食品充填機の供給部にスタック状に配置される。スタックされた最上位の包装袋1は、上面に設けた帯電防止剤の未コート区域5aに作動部に設けた一方の吸盤11が吸着され、吸盤11により上面の未コート区域5aを吸着された包装袋1は、吸盤11を移動させることで図示しない食品充填機の食品充填部の下方位置に案内される。
【0019】
食品充填部の下方位置に案内された包装袋1は、図4に示すように、包装袋1の他方の面に設けた帯電防止剤の未コート区域5aに他方の吸盤11aが吸着され、吸盤11と吸盤11aを互いに離れる方向に動かすことで、包装袋1の開口端を開くようにされる。
【0020】
しかして、スタックされた包装袋1は、最上位の包装袋1を吸盤11により吸着する時、両面に設けた帯電防止剤コート5により最上位の包装袋1に下位の包装袋1が静電付着することはなく、また、包装袋1の両面部分2,2の開口端に近くに設けた帯電防止剤の未コート区域5aの大きさを吸盤11全体を収容する大きさにすることで、吸盤11が最上位の包装袋1の所定位置を確実に吸着することができる。
【0021】
つぎに、本発明による包装袋の製造方法を説明する。
包装袋1の製造の準備段階として、図5に示すように、上面両側部に未コート区域5aを形成するように帯電防止剤コート5を設けた基材フィルム6のロール12と熱融着フィルム7のロール13を用意する。
【0022】
ついで、ロール12の基材フィルム6とロール13の熱融着フィルムを基材フィルム6が上側に位置し熱融着フィルムが位置するように平行に引き出し、基材フィルム6と融着フィルムを重なるように配置する。
【0023】
つぎに、基材フィルム6と熱融着フィルムを接合して接合フィルム14を形成し、形成される接合フィルム14を、図6に示すように、長手方向中央線Lに沿って2枚の接合フィルム14a,14bに切断する。
【0024】
つぎに、2枚の接合フィルム14a,14bを、図7に示すように、帯電防止剤の未コート区域5aが外面に位置しかつ互いに対向するように重ね合わせ、2枚の接合フィルム14a,14bの帯電防止剤の未コート区域5aから離れた側端をヒートシール手段により封止して底ヒートシール部4を形成し、これに続いて、包装袋1の幅に対応する間隔をおいて長手方向に直交する方向にヒートシール手段により封止して側ヒートシール部3を形成する。これにより、接合フィルム14a,14bにより長手方向に連続した包装袋1が形成される。
【0025】
最後に、長手方向に連続して形成された包装袋1の側ヒートシール部3を側ヒートシール部3の幅方向中間位置で裁断することにより、図8に示す包装袋1が作られる。
【0026】
上記実施の形態では、接合フィルム14を長手方向中央線Lに沿って2枚の接合フィルム14a,14bに切断した場合について説明したが、図9に示す他の実施の形態のように、接合フィルム14を長手方向中央線Lに沿って2つ折りし、2つ折りした接合フィルムの折り曲げ端に連なる両端をヒートシール手段により封止して両面部分に帯電防止剤の未コート区域5aを有する包装袋を作ることができる。
【0027】
また、図10に示す他の実施の形態のように、上面の長手方向中央線Lに区切られた一側に側端部に未コート区域5aを形成するように帯電防止剤コート5を設け、上面の長手方向中央線Lに区切られた他側を帯電防止剤のない未コート区域5aとした基材フィルム6と熱融着フィルム7の接合フィルム14を用い、上記した方法により、一面部分に未コート区域5aを有する帯電防止剤コート5を設け、他面部分を帯電防止剤のない未コート区域5aとした包装袋1を作ることができる。
【0028】
この場合、包装袋1は、帯電防止剤コート5を設けた面または未コート区域5aの面を目視認識できる表示を帯電防止剤コート5を設けた面または未コート区域5aの面に付することが好ましい。
【0029】
このように作られた包装袋1は、帯電防止剤コート5を設けた面を上側にして積み重ねセットした場合、一方の包装袋1の帯電防止剤コート5を設けた面と他方の包装袋1の未コート区域5aとした面が接するため、隣接する包装袋同士が滑り合うことがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による包装袋の一部を切り欠いて示す平面図である。
【図2】本発明による包装袋の包装材料の断面図である。
【図3】本発明による包装袋をスタック状に配置した斜視図である。
【図4】本発明による包装袋の開口部を開いた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明による包装材料の基材フィルムと熱融着フィルムの接合前を示す図である。
【図6】本発明による包装材料の基材フィルムと熱融着フィルムの接合後を示す図である。
【図7】本発明による包装袋を連続して製造した状態を示す図である。
【図8】本発明による包装袋を示す図である。
【図9】本発明による包装袋の他の変形例を示す図である。
【図10】本発明による包装袋の他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 包装袋
2 面部分
5 帯電防止剤コート
5a 帯電防止剤コートの未コート区域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面部分に開口端近くに吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートしたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
両面部分に設けた未コート区域は、対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
一面部分に帯電防止剤を開口端近くに吸盤を受ける未コート区域を形成するようにコートし、他面部分を帯電防止剤コートのない面としたことを特徴とする包装袋。
【請求項4】
上面両側部に吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートした基材フィルムと熱融着フィルムを設け、基材フィルムの下面に熱融着フィルムを接合し、接合したフィルムを長手方向中央線に沿って2つに切断し、2つに切断した接合フィルムを重ね合わせ、両端および一側端をヒートシール手段により封止し、両面部分に未コート区域を有する包装袋を作ることを特徴とする包装袋の製造方法。
【請求項5】
上面両側部に食品充填機の吸盤を受ける未コート区域を形成するように帯電防止剤をコートした基材フィルムと熱融着フィルムを設け、基材フィルムの下面に熱融着フィルムを接合し、接合したフィルムを長手方向中央線に沿って2つ折りし、2つ折りした接合フィルムの折り曲げ端に連なる両端をヒートシール手段により封止し、両面部分に未コート区域を有する包装袋を作ることを特徴とする包装袋の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−118975(P2007−118975A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311446(P2005−311446)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】