説明

包装袋および縦形製袋充填包装装置

【課題】 帯状の包装フィルムの両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部をトリミングする必要がなく、しかも外観品質の良好な包装袋を提供する。
【解決手段】 包装フィルム10は製袋筒23の周面に巻き付けられ、且つ両側端が重ね合わせられて筒状に成形される。さらに、重ね合わされた包装フィルム10の両側端は、縦シーラ24によって繰り出し方向に熱シールされ、当該熱シール部分が第1シール部11を形成する。続いて、フィルム折り込み具27により、包装フィルム10の第1シール部11を内側へ折り込む。そして、横シーラ25の上部領域によって、包装フィルム10を繰り出し方向と直交する方向に横シールして第2シール部12を形成する。それから、包装フィルム10の内部へ製品を充填した後、横シーラ25の下側領域によって、包装フィルム10を繰り出し方向と直交する方向に横シールして第3シール部13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、底部を内側に折り込んで自立できるようなマチを形成した包装袋と、同包装袋の成形に好適な縦形製袋充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装袋を成形するための包装装置として、特許文献1に開示された構成のものがある。同文献1の包装装置は、帯状の包装フィルムを成形管(1)の外周面に巻き付けて筒状とし、両端の重ね合わせ部分を縦シーラ(長手方向シール作用部3、3’)により長手方向に熱シールしていき、次いで当該熱シール部の逆側にある端縁にマチ作用部(14、14’)を差し込んで折り込む構成を備えている。その後、横シーラ(6)により横断方向の熱シールが施されて、同文献1の図6に示すように自立可能な包装袋が成形される。ここで、内側に折り込まれマチが形成された側の端縁が包装袋の底部(13)を形成しており、一方、逆側にある長手方向に熱シールされた側の端縁が袋上部となっている。
【0003】
さて、成形管(1)の外周面に包装フィルムを巻き付けて筒状にするとき、重ね合わされる各端縁の相互間にズレが生じやすく、当該重ね合わせ端縁間にズレが生じたまま熱シールされてしまうことがある。
上述した従来の包装装置は、この重ね合わせ端縁が包装袋の上部に露出することになるため、当該ズレ部分をトリミングする(切り取る)工程が必要となるばかりか、切り取ったフィルム屑を廃棄する手間がかかり、このことが生産効率を低下させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−190908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、帯状の包装フィルムの両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部をトリミングする必要がなく、しかも外観品質の良好な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る包装袋は、帯状の包装フィルムの両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部と、
第1シール部の形成をもって筒状に形成された包装フィルムの一方の開口部を閉塞する第2シール部と、
同じく包装フィルムの他方の開口部を閉塞する第3シール部と、を備え、
且つ、第1シール部を内側に折り込んだ状態で、第2および第3シール部が形成され、当該折り込み部分を袋底部としたことを特徴とする。
【0007】
かかる構成の包装袋は、両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部を内側に折り込み袋底部としたので、当該重ね合わせ部分にズレが生じていても外部から見えず、よって当該第1シール部をトリミングしなくとも良好な外観品質を得ることができる。
【0008】
また、本発明に係る包装袋に、裏面に熱シール性を有した包装フィルムを使用する場合は、第1シール部とともに内側に折り込まれた領域の角部近傍に切抜き部を形成し、当該切抜き部を透して、正面側および背面側に配置された包装フィルムの裏面を熱シールすることが好ましい。
このように構成することで、包装フィルムが裏面しか熱シール性を有していなくとも、包装袋の底部角部で重なり合う部分を、切抜き部を透して相互に熱シールし、いわゆる船底形の底部を形成することができる。
【0009】
次に、本発明に係る縦形製袋充填包装装置は、
帯状の包装フィルムを繰り出すフィルム繰出し手段と、
繰り出されてきた包装フィルムを周面に巻き付けて両側端を重ね合わせる製袋筒と、
製袋筒により重ね合わされた包装フィルムの両側端を、繰り出し方向に熱シールして第1シール部を形成する縦シール手段と、
第1シール部を内側に折り込むフィルム折り込み手段と、
第1シール部が内側に折り込まれた状態の包装フィルムを、繰り出し方向と直交する方向に横シールして第2および第3シール部を形成する横シール手段と、を備えたことを特徴とする。
かかる構成の縦形製袋充填包装装置を用いることで、上述した本発明の包装袋を効率よく製造することができる。
【0010】
さらに、この縦形製袋充填包装装置は、繰り出される帯状の包装フィルムに対し、第1シール部とともに内側に折り込まれる領域の角部近傍に相当する部位に切抜き部を形成する切抜き手段と、
袋底部の角部を斜めに熱シールする斜めシール手段と、
切抜き部を透かして、正面側および背面側に配置された包装フィルムの裏面を熱シールする貼着シール手段と、を備えることで、包装袋に上述した船底形の底部を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、帯状の包装フィルムの両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部をトリミングする必要がなく、しかも外観品質の良好な包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る包装袋を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る縦形製袋充填包装装置の概要を示す斜視図である。
【図3】帯状の包装フィルムから包装袋を製造していく工程を説明するための図である。
【図4】図3に続く工程説明図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る包装袋を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る包装袋を示す図である。
包装袋1は、帯状の包装フィルム10を熱シールし、且つ切断して成形されている。包装袋1には、第1シール部11、第2シール部12、第3シール部13を有している。これらのシール部のうち、第1シール部11は、袋底部に位置し、包装袋1の内側に折り込まれている。よって、第1シール部11は、通常の姿勢では外部から見えない部位に配置されている。第2シール部12と第3シール部13は、包装袋1の両側端縁に配置されている。
【0014】
なお、第3シール部13の上部付近には、必須ではないが、開封用のノッチ14が形成してある。また、包装袋1の上縁部は、帯状の包装フィルム10を二つ折りにして形成してあるが、必要に応じて当該上縁部にも熱シールを施してもよい。
【0015】
また、包装袋1の底部は、角部が斜めに熱シールされて斜めシール部15aを形成している。この斜めシール部15aを形成することで袋底部を船底形にでき、安定して包装袋1を直立配置することが可能となる。ここで、本実施形態では、裏面のみ熱シール性を有する包装フィルム10を使用して包装袋1を成形している。そうすると、包装袋1の底部は、正面側および背面側の包装フィルム10と、内側に折り込まれた包装フィルム10との相互間で、包装フィルム10の表面どうしが接触することになるため、熱シールすることができない。そこで、本実施形態では、第1シール部11とともに内側に折り込まれた領域の角部近傍に切抜き部16を形成し、当該切抜き部16を透して、正面側および背面側に配置された包装フィルム10の裏面を熱シールすることで、貼着シール部15bを形成している。
【0016】
本実施形態の包装袋1は、製作される過程で内部に製品が充填される。すなわち、本実施形態の包装袋1は、後述する縦形製袋充填包装装置により成形される。
【0017】
次に、上述した包装袋を成形するための本発明の実施形態に係る縦形製袋充填包装装置について説明する。
図2は本発明の実施形態に係る縦形製袋充填包装装置の概要を示す斜視図である。同図に示すように、帯状の包装フィルム10はリール20に巻回されており、繰出しベルト21(フィルム繰出し手段)の駆動によってリール20から繰り出されていく。
【0018】
リール20から繰り出された包装フィルム10の搬送軌道には、切り抜き用のパンチ22(切抜き手段)が設けてある。本実施形態では、このパンチ22を使用して、繰り出される帯状の包装フィルム10に対し、後述するように第1シール部11とともに内側へ折り込まれる領域の角部近傍に相当する部位に切抜き部16を形成している。本実施形態では、切抜き部16として円形状の透孔を穿設しているが、これに限定されるものではなく、包装フィルム10の表面側と背面側の各裏面を接触できるようにするものであれば切欠き等であってもかまわない。
【0019】
包装フィルム10の搬送軌道において、切り抜き用のパンチ22を通過した下流方向には、製袋筒23が鉛直方向に配設されている。この製袋筒23は、繰り出されてきた帯状の包装フィルム10を周面に巻き付けて両側端を重ね合わせる機能を有している。
さらに、製袋筒23の対向位置には、縦シーラ24(縦シール手段)が設けてある。この縦シーラ24は、製袋筒23により重ね合わされた包装フィルム10の両側端を、繰り出し方向に熱シールして第1シール部11を形成する。
【0020】
製袋筒23の下方には、縦シーラ24によって熱シールされた第1シール部11の通過軌道に入り込んで、当該第1シール部11を筒状の包装フィルム10の内側へ折り込むフィルム折り込み具27(フィルム折り込み手段)が設けてある。このフィルム折り込み具27としては、包装フィルム10の一部を内側へ折り込む機能を有する各種構成が適用できる。例えば、ガゼット包装袋1を成形する縦形充填包装装置に従来から備わっている公知のガゼット折り込み用の構成要素を、フィルム折り込み具27に適用することができる。
【0021】
さらに、筒状に成型された包装フィルム10が繰り出されてくる搬送軌道であって、フィルム折り込み具27よりも下方の位置には、横シーラ25(横シール手段)が設けてある。この横シーラ25は、第1シール部11が内側に折り込まれた状態の包装フィルム10を、繰り出し方向と直交する方向に横シールして、第2シール部12と第3シール部13を形成する機能を備えている。本実施形態では、連続成形される包装袋1の境界部分を一対の横シーラ25が挟み込み熱シールする構成となっており、境界部分の下側熱シール領域が下方に連なる包装袋1の第3シール部13となり、同じく境界部分の上側熱シール領域が上方に連なる包装袋1の第2シール部12となる。
【0022】
図2では示されていないが、横シーラ25の内部には、第2シール部12と第3シール部13の間を横方向に切断するとともに、ノッチ14を形成するカッタが組み込まれている。
また、図2には示されていないが、製袋筒23の中空部内には同軸状に充填筒が配設してあり、その上端に連結したホッパ内に貯留してある製品を、充填筒を介して縦シールされた包装フィルム10の内部へ充填する機能を有している。
【0023】
横シーラ25には、第1シール部11が内側に折り込まれた側の端縁角部を斜めに熱シールする斜めシーラ26a(斜めシール手段)と、切抜き部16を透かして、正面側正面側および背面側に配置された包装フィルム10の裏面を熱シールする貼着シーラ26b(貼着シール手段)が一体に設けてある。
【0024】
次に、上述した本実施形態に係る縦形製袋充填包装装置による包装袋1の製造方法について、図3および図4を参照して説明する。
図3に示すように、リール20から繰り出されてきた包装フィルム10は、パンチ22によって、第1シール部11とともに内側へ折り込まれる領域の角部近傍に相当する部位に切抜き部16が形成される。
次いで、包装フィルム10は製袋筒23の周面に巻き付けられ、且つ両側端が重ね合わせられて筒状に成形される(図3の10A)。さらに、重ね合わされた包装フィルム10の両側端は、縦シーラ24によって繰り出し方向に熱シールされ、当該熱シール部分が第1シール部11を形成する(図4(a)参照)。
【0025】
続いて、フィルム折り込み具27により、包装フィルム10の第1シール部11を内側へ折り込む(図4(b)参照)。そして、横シーラ25の上部領域によって包装フィルムを、繰り出し方向と直交する方向に横シールして、第2シール部12を形成すると同時に、斜めシーラ26aにより第1シール部11が内側に折り込まれた側の一方の端縁角部を斜めに熱シールして斜めシール部15aを形成するとともに、貼着シーラ26bにより切抜き部16を透かして正面側および背面側に配置された包装フィルム10の裏面どうしを熱シールして貼着シール部15bを形成する(図4(c)参照)。
それから、包装フィルム10の内部へ製品を充填した後、横シーラ25の下側領域によって包装フィルム10を、繰り出し方向と直交する方向に横シールして、第3シール部13を形成すると同時に、斜めシーラ26aにより第1シール部11が内側に折り込まれた側の他方の端縁角部を斜めに熱シールして斜めシール部15aを形成するとともに、貼着シーラ26bにより切抜き部16を透かして正面側および背面側に配置された包装フィルム10の裏面どうしを熱シールして貼着シール部15bを形成する(図4(c)参照)。
包装袋1の第3シール部13と、次の包装袋1の第2シール部12とは同時に形成され、その間をカッタ(図示せず)により横方向に切断して、図1に示した包装袋1が製造される(図4(d)参照)。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
例えば、図5に示すように、切抜き部16を第2シール部12および第3シール部13が形成される位置に形成してもよい。その場合、横シーラ25が、貼着シール手段を兼ね、貼着シール部15bが第2シール部や第3シール部13に囲まれた領域内に形成される。
【符号の説明】
【0027】
1:包装袋、10:包装フィルム、11:第1シール部、12:第2シール部、13:第3シール部、14:ノッチ、15a:斜めシール部、15b:貼着シール部、16:切抜き部、
20:リール、21:繰出しベルト、22:パンチ、23:製袋筒、24:縦シーラ、25:横シーラ、26a:斜めシーラ、26b:貼着シーラ、27:フィルム折り込み具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包装フィルムの両側端を重ね合わせて熱シールした第1シール部と、
前記第1シール部の形成をもって筒状に形成された包装フィルムの一方の開口部を閉塞する第2シール部と、
同じく前記包装フィルムの他方の開口部を閉塞する第3シール部と、を備え、
且つ、前記第1シール部を内側に折り込んだ状態で、前記第2および第3シール部が形成され、当該折り込み部分を袋底部としたことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記包装フィルムは、裏面に熱シール性を有しており、
前記第1シール部とともに内側に折り込まれた領域の角部近傍に切抜き部を形成し、当該切抜き部を透して、正面側および背面側に配置された前記包装フィルムの裏面を熱シールしてあることを特徴とする請求項1の包装袋。
【請求項3】
請求項1の包装袋を成形する機能を備えた縦形製袋充填包装装置であって、
帯状の包装フィルムを繰り出すフィルム繰出し手段と、
繰り出されてきた包装フィルムを周面に巻き付けて両側端を重ね合わせる製袋筒と、
前記製袋筒により重ね合わされた包装フィルムの両側端を、繰り出し方向に熱シールして前記第1シール部を形成する縦シール手段と、
前記第1シール部を内側に折り込むフィルム折り込み手段と、
前記第1シール部が内側に折り込まれた状態の包装フィルムを、繰り出し方向と直交する方向に横シールして前記第2および第3シール部を形成する横シール手段と、を備えたことを特徴とする縦形製袋充填包装装置。
【請求項4】
繰り出される帯状の包装フィルムに対し、前記第1シール部とともに内側に折り込まれる領域の角部近傍に相当する部位に切抜き部を形成する切抜き手段と、
前記袋底部の角部を斜めに熱シールする斜めシール手段と、
前記切抜き部を透かして、正面側および背面側に配置された前記包装フィルムの裏面を熱シールする貼着シール手段と、を備えたことを特徴とする請求項3の縦形製袋充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41051(P2012−41051A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181320(P2010−181320)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】