説明

包装袋へのマーキング方法およびマーキング付き包装袋

【課題】 合成樹脂を主体とする包装材料からなる包装袋に明瞭なマーキングを形成することが可能な包装袋へのマーキング方法およびマーキング付き包装袋を提供する。
【解決手段】 基材フィルム層1eと透明インキ層1dと金属層1cをこの順に備える積層体を、前記基材フィルム層1eが最表面となるように有する包装材料1からなる包装袋へのマーキング方法であって、基材フィルム層1e側からのレーザー光Lの照射により基材フィルム層1eおよび透明インキ層1dを除去し、この除去痕によりマーキングMを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂を主体とする包装材料からなる包装袋に明瞭なマーキングを形成することが可能な包装袋へのマーキング方法およびマーキング付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弁当類やカップ麺、袋入り麺、冷凍食品等の包装食品には、タレ、加薬や麺つゆなどの添付品を小型の包装袋に充填して添付することがある。この種の包装袋に文字や絵柄等のマーキングを設ける場合、予めマーキングが設けられた包装材料を用いたり、サーマルプリンターやインクジェットプリンターを用いてマーキングしたりすることが一般的である。しかしながら予めマーキングが設けられた包装材料を用いる場合、マーキングの内容が一部でも異なるとそれぞれ別の包装材料を用意する必要があり、コストや在庫の管理等の点で合理的でない上、マーキングの内容を変更したい場合には迅速な対応が不可能であり、問題があった。サーマルプリンターやインクジェットプリンターを用いてマーキングする場合、マーキングの内容を容易に変更することができるという利点はあるが、マーキングによって形成されるインク層が包装袋の表面に露出されるため、包装袋が食品に接する場合には衛生上の問題があり、使用することができなかった。
【0003】
特許文献1には、製袋包装機においてプリンタでフィルムに印字するため蓄積手段を用いてフィルムの一部を停止させている間も、該フィルムの他の部分は連続走行させることが可能な方法が記載されている。
特許文献2には、通常は存在が分からないようにしたマーキングを飲料缶の缶蓋部分に形成するため、母材金属の表面に設けられた透明樹脂の薄い塗膜をレーザー光で焼き切るようにしてマーキングする方法が記載されている。
特許文献3には、金属箔を有する包装材の表側に設けられた印刷層を、下刷り層で断熱してレーザー光で加熱し、印刷層の溶融、流動化もしくは昇華による白抜き文字の形成、あるいは化学反応による変色による発色文字の形成を行う方法が記載されている。
特許文献4には着色層及び樹脂フィルム層を表面に有する紙基材により作製された包装用ケースの表面にレーザー光を照射し、このレーザー光で着色層及び樹脂フィルム層を蒸発させることにより包装用ケースに表示を形成する方法が記載されている。
特許文献5には、レーザー光の照射により、金属フォイルの上層のプラスチックフィルムが、視認可能な変色が起こるような態様で熱的に変化するか、或いは表面の一部が除去されることによって所望の印字を形成する方法が記載されている。
【特許文献1】特開平10−181721号公報
【特許文献2】特開2003−112736号公報
【特許文献3】特開平11−152117号公報
【特許文献4】特開2005−8201号公報
【特許文献5】特表2002−521233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、プリンタによる印字であり、上述のようにインク層が包装袋の表面に露出されるため、包装袋が食品に接する場合には衛生上の問題のため使用することができない。
特許文献2に記載の方法は、敢えて存在が分からないような印字をするものであり、鮮明な文字や絵柄等を必要とする包装袋には適用できない。
特許文献3に記載の方法は、PTP包装の蓋材などに適用されるもので、基材フィルム層を有しない包装材料に適用されるものである。そして、印刷層やその上に設けられたオーバーコート層を除去することなく、白抜き文字を形成するものである。したがって、レーザー照射が印字に充分な変化を印刷層にもたらすためにはオーバーコート層は設けないか、あるいはその厚さを0.5〜2μmと極めて薄くする必要があり、通常の包装袋には適用できない。
特許文献4に記載の方法は、当該明細書の段落0017に記載されたように、紙基材を用いることによってレーザー照射によるケースの変形を防いでいる。また、金属層も有しない。よって合成樹脂を主体とする材料からなる包装袋に適用した場合、レーザー照射により生じる熱のため合成樹脂の変形や穿孔(ピンホール)等が発生するおそれがある。
特許文献5に記載の方法は、単に、金属フォイルに接着されたプラスチックフィルムをレーザーでマーキングするものであり、プラスチックフィルムの材質や厚さによっては短時間のレーザー照射では印字が不明瞭になるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、合成樹脂を主体とする包装材料からなる包装袋に明瞭なマーキングを形成することが可能な包装袋へのマーキング方法およびマーキング付き包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、基材フィルム層と透明インキ層と金属層をこの順に備える積層体を、前記基材フィルム層が最表面となるように有する包装材料からなる包装袋へのマーキング方法であって、前記基材フィルム層側からのレーザー光の照射により前記基材フィルム層および透明インキ層を除去し、この除去痕によりマーキングを形成することを特徴とする包装袋へのマーキング方法を提供する。
前記透明インキ層を構成する透明インキは、無機系の着色剤を含まないことが好ましい。前記透明インキは、有機系着色剤およびカーボン系着色剤のうちの1種または2種以上からなる着色剤を含有することが好ましい。
前記レーザー光の照射は、前記包装材料または包装袋を充填機にセットしたのち、前記充填機において前記包装材料または包装袋に内容品を充填する前に行うことが好ましい。
前記レーザー光の照射は、前記包装材料のシール予定部および/またはシール部に行うことができる。
【0007】
また、本発明は、基材フィルム層と透明インキ層と金属層をこの順に備える積層体を、前記基材フィルム層が最表面となるように有する包装材料からなる包装袋であって、前記基材フィルム層の側からのレーザー光の照射により前記基材フィルム層および透明インキ層が除去されてなるマーキングを有することを特徴とするマーキング付き包装袋を提供する。
前記透明インキ層を構成する透明インキは、無機系の着色剤を含まないことが好ましい。前記透明インキは、有機系着色剤およびカーボン系着色剤のうちの1種または2種以上からなる着色剤を含有することが好ましい。前記マーキングはシール部に設けることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マーキングがレーザー照射による包装材料表面の除去痕で形成されるので、包装袋が食品に接する場合にも衛生上の問題が生じない。基材フィルム層の内側に透明インキ層が設けられているので、基材フィルム層がレーザー光を吸収しにくく、マーキングが行われにくい場合であっても、透明インキ層がレーザー光を吸収しやすいので、基材フィルム層の内側からも加熱が促進される。すなわち、レーザー光の照射による基材フィルム層の溶融、昇華や蒸発の程度が小さくても、透明インク層の発熱で鮮明なマーキングができる。これにより、包装袋のシール部にマーキングを行っても判読が容易となる。また、レーザーの照射時間を長く取れない充填機上でのマーキングが可能となる。しかも透明インキ層の下に金属層が設けられているので、レーザー光やレーザー照射により生じる熱を金属層により反射することができる。よって、透明インキ層が効率的に加熱され、短時間でシャープなマーキングが可能となる。また、レーザー光及び熱が補強層やシーラント層に達して、包装袋にピンホールが発生する等の問題を防止することができる。充填機上でマーキングすることにより、表示内容の変更が必要な場合にも従前の包装材料を使用して迅速な対応が可能であり、包装材料の共通化、合理化が実現できる。
【0009】
特に、包装材料または包装袋を充填機(例えば製袋充填機や給袋充填機)にセットしたのち前記充填機において包装材料または包装袋に内容品を充填する前にレーザー照射を行うことにより、平坦な包装材料へのレーザー照射によってマーキングを行うことができる。よって、マーキングの位置制御が容易となり、ゆがみのない、識別しやすいマーキングを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明で用いられる包装材料の層構成の一例を示す模式的断面図である。
本形態例のマーキング方法では、包装材料1として、シーラント層1aと補強層1bと金属層1cと透明インキ層1dと基材フィルム層1eをこの順に有する積層体を使用する。
【0011】
シーラント層1aは、包装材料1の一方の最表面となってヒートシールに用いられる層であり、包装袋とした場合に、内容品に接する最内層に配置されるものである。このシーラント層1aを構成する材料としては、ポリエチレン(PE)や無延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリオレフィン系の熱可塑性樹脂が一般的である。
補強層1bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン(PP)などの強度を補う層、あるいは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン等の合成樹脂からなるガスバリア性等の機能を補強する層である。強度を補強する場合は一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。これらのフィルム層は二層以上設けられていても良い。あるいは、共押出や押出ラミネートされたPPやPE等のポリオレフィン系樹脂層などであってもよい。なお、本発明においては、シーラント層1aや補強層1bはレーザー光によるマーキングには影響を与えないので、通常の包装材料に用いられるのと同様に、用途に合わせて種類や厚さは任意に選択することができる。
【0012】
シーラント層1aと補強層1bとを積層する方法としては、ドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出法等が挙げられる。シーラント層1aと補強層1bとの間には両者を接着するため接着剤やアンカー剤からなる層を設けても良い。前記接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系等、一般的にドライラミネート法に使用される接着剤を使用でき、包装材料1の用途に合わせて選択可能である。また、前記アンカー剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系、アルキルチタネート(有機チタン化合物)系等、一般的に押出ラミネート法に使用されるアンカー剤が使用でき、包装材料1の用途に合わせて選択可能である。
【0013】
金属層1cを構成する金属としては、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)等が挙げられる。金属層の形態は特に限定されないが、金属箔または蒸着膜を例示することができる。金属層1cを設けることにより、包装材料1に酸素や水蒸気のガスを遮断するガスバリア性や遮光性を付与することができる。
金属層1cが蒸着膜である場合、例えば補強層1bまたは透明インキ層1d上に金属を蒸着するか、あるいは、PET等からなる他のフィルム(図示せず)上に金属を蒸着した他のフィルムを積層することにより形成できる。前記他の金属蒸着フィルムを積層する場合は、金属蒸着膜が金属層1cとなり、前記他のフィルムが補強層1bとなるように積層することが好ましい。金属層1cを透明インキ層1dと積層するには、透明インキ層1dをグラビア印刷やオフセット印刷など公知の印刷法で基材フィルム層1eに裏印刷し、基材フィルム層1eとの間に接着剤層を設けて金属層1cと接着することが好ましい。金属層1cの接着に用いられる接着剤としては、特に限定はないが、ウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤等の各種ドライラミネート用接着剤が挙げられる。
【0014】
透明インキ層1dは、一般に、ビヒクル、顔料又は染料等の着色剤、補助剤等を混合し、色調を淡くするために透明樹脂からなるメジュウムを配合したインキを用いて形成することができる。前記メジュウムとしては、レーザー光Lの波長で特性吸収を示し、レーザー光Lの照射により分解または蒸発して除去されるものであれば、特に限定なく使用することができる。通常のインキで使用されるメジュウムの多くは使用可能であり、例えばアクリル樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、硝化綿等が挙げられる。これらの樹脂は、極性基を有するためレーザー光を吸収しやすいと考えられる。前記着色剤としてはメジュウムに伴って共に除去されるものであれば良いが、なかでも、アゾ系、アントラキノン系、ピラゾロン系、スチルベン系、インジゴ系などの有機染料;フタロシアニン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アントラキノン系等の有機顔料;カーボンブラックなどのカーボン系着色剤は、メジュウム同様、またはメジュウムよりもレーザー光を吸収しやすく、分解や酸化されて気化しやすいのでレーザー照射後に残留しにくく、マーキングしたときの視認性に優れ好ましい。そのような観点からは、酸化チタンや亜鉛華などの酸化物、群青などの珪酸塩、コバルトブルーなどのアルミン酸塩等の無機系の着色剤はレーザー照射後に残留するので好ましくない。上記着色剤は、1種用いても2種以上用いても良い。
なお、本発明では、メジュウムのみ配合し、着色剤を配合することなく無色透明とした透明インキを用いることもできる。
【0015】
基材フィルム層1eは、透明インキ層1dを保護して傷や摩耗を防くため、透明インキ層1dよりも表側(シーラント層1aの反対側の表面)に設けられる。基材フィルム層1eを構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン(Ny)等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなり、なかでも一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。これらのフィルム層は二層以上設けられていても良いが、本発明の趣旨からは一層であることが好ましい。通常の包装材料には、基材フィルムとして厚さが10μm〜50μm程度のものが多用される。
【0016】
上述の包装材料1にマーキングするため、本発明では、基材フィルム層1eの側からレーザー光Lを照射し、レーザー光Lを照射した部分において、少なくとも基材フィルム層1eおよび透明インキ層1dを除去する。このレーザー照射によって生じる除去痕では、金属層1cの地色によって周囲から識別可能な外観を呈する。よって、文字や絵柄等をなぞるようにしてレーザー光Lを照射することにより、包装材料1上に所望のマーキングMを形成することができる。
レーザー光Lとしてはレーザーマーキングに使用可能なものであれば特に限定はなく、例えば炭酸ガス(CO)レーザー、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザー、エキシマーレーザー等が挙げられる。
【0017】
このようなマーキング方法によれば、マーキングMがレーザー光Lの照射による包装材料1表面の除去痕で形成されるので、包装袋が食品に接する場合にも衛生上の問題が生じない。しかも補強層1bの外側に金属層1cが設けられているので、レーザー光Lやレーザー照射により生じる熱を金属層1cにより反射することができる。よって、レーザー照射による補強層1bの変形や穿孔等の問題が発生することを防止し、包装材料1の強度や気密性を損ねることがない。
【0018】
次に、本発明の包装袋及びその製造方法について説明する。
図2は、本発明の包装袋の一例としてのピロータイプ包装袋を示す図であり、図3は、図2の包装袋の製造と内容品の充填を行うために用いられる製袋充填機の一例を示す概略斜視図である。図2に示すピロータイプ包装袋6は、上述の層構成を有する包装材料1を縦シール部3によって筒状にするとともに、上下一対の横シール部4、4によって内容品の収納室5を密封したものである。
【0019】
図3に示す製袋充填機10は、帯状かつ長尺の包装材料1より包装袋6の製造と内容品の充填を連続的に行う装置であり、包装材料1を長手方向に沿って筒状に曲げる成形板11と、筒状化された包装材料1内に差し込まれた充填ノズル(充填手段)12と、包装材料1の側縁部2、2同士をヒートシールして縦シール部3を形成する縦シール手段としての一対のシール板13、13と、縦シール部3が設けられた筒状の包装材料1を横断する横方向にヒートシールして横シール部4を形成する横シール手段としての一対のシール板14、14と、包装材料1の表面にレーザー光を照射してマーキングを行うレーザー光照射手段15と、包装材料1を案内するガイドロール16、16、…を備える。
【0020】
成形板11は、包装材料1が通過する穴状のフィルム通過口11aを有する板状であり、フィルム通過口11aを通過した包装材料1を湾曲させ、該包装材料1の側縁部2,2同士を重ね合わせて筒状化する。包装材料1を筒状にするとき、シーラント層1a側が内側とされる。
充填手段12は、先端から内容品(図示略)を供給する充填ノズルであり、成形板11のフィルム通過口11aに挿通されている。充填ノズル12の先端部は、筒状化した包装材料1内に達している。なお、図3において充填ノズルの上部は図示を省略しているが、内容品を供給するタンクや内容品を圧送するポンプ等に接続されている。
縦シール手段13は、筒状化された包装材料1の側縁部2,2同士が重ね合わされた部分を一対のシール板で挟み込み、ヒートシールによって縦シール部3を形成する。
横シール手段14は、包装材料1を一対のシール板で横方向(長手方向に交差する方向)に挟み込み、ヒートシールによって横シール部4を形成する。
レーザー光照射手段15は、ガイドロール16のうちの1本に向かって設置されており、ガイドロール16に支持されたヒートシール前の包装材料1に対してレーザー光を照射できるようになっている。マーキングが包装袋6の外面側に形成されるよう、レーザー光照射手段15は、包装材料1の外面側(基材フィルム層1eの側)に面して設置されれば良く、レーザー光照射手段15の向きは、鉛直上向き、鉛直下向き、横向き、斜めなど、特に限定されない。
【0021】
以下、上記の製袋充填機10を用いた包装方法を説明する。ガイドロール16、16に案内された帯状の包装材料1を不図示の送りローラ等の搬送手段によって所定の搬送方向(図3中、包装材料1に沿う矢印で示す。)に間欠的に搬送して、レーザー光照射手段15によってマーキングする。マーキング後、包装材料1を鉛直下方に搬送して成形板11のフィルム通過口11aに通過させ、充填ノズル12の周囲で包装材料1を湾曲させ、側縁部2、2同士を重ね合わせる。次に、縦シール手段13、13によって包装材料1の側縁部2、2同士をヒートシールする。次に、縦シール部3が形成された包装材料1を横シール手段14、14によって横方向にヒートシールする。次に、充填ノズル12により筒状の包装材料1内に内容品を充填する。充填後、包装材料1をさらに下方に送り、包装材料1を横シール手段14、14によってヒートシールする。これにより、上下方向に所定の距離を離して形成された横シール部4、4間に内容品を密封した収納室5が形成される。さらに不図示の切断手段(カッター等)を用いて横シール部4を横方向に両断して、個々の包装袋6を分離する。
【0022】
この種の製袋充填機10の場合、搬送手段による包装材料1の搬送は、横シール手段14でヒートシールを行うときに停止するように制御されているので、この搬送停止に同期させてマーキングを行うように、レーザー照射のタイミングを合わせることが望ましい。マーキングはシール部3、4が形成される部分に設けることも、収納室5が形成される部分に形成することもできる。特に、本願発明によれば、無機系着色剤の残滓がなく、鮮明さを保持することができるので、印字後にヒートシールする時にシールバーによって発生する微細な凹凸など、表面状態が変化するおそれのある、シール部3、4が形成される部分に印字した場合でも、鮮明な印字が得られる。
また、包装袋の内容品を充填する部分にマーキングを行う場合、内容品の充填前にレーザー照射を行うことにより、マーキングの位置制御が容易となり、ゆがみのない、識別しやすいマーキングを容易に形成することができる。なお、レーザー光照射手段15は、図3中、二点鎖線で示したように、充填後に形成済みのシール部上にレーザー光を照射する箇所に設置することもできる。
【0023】
なお、本発明は、ピロータイプ包装袋に限定されることなく、他にも種々のタイプの包装袋に適用できる。図4は、本発明の包装袋の他の例としての三方シール包装袋を示す図であり、図5は、本発明の包装袋のさらに他の例としての四方シール包装袋を示す図である。図6は、図4の包装袋の製造と内容品の充填を行うために用いられる製袋充填機の一例を示す概略斜視図である。
【0024】
図4に示す三方シール包装袋7は、上述の層構成を有する包装材料1を縦に2つ折りにし、内容品の収納室5の周囲三方を、2つ折り部7aの反対側に設けた縦シール部3、および上下一対の横シール部4、4によって閉鎖して密封したものである。
図5に示す四方シール包装袋8は、上述の層構成を有する包装材料1を縦方向に沿って2枚に切断し(もしくは裏表2枚の包装材料1、1を用いて)包装材料1同士を重ね合わせ、内容品の収納室5の周囲四方を左右一対の縦シール部3、3および上下一対の横シール部4、4によって閉鎖して密封したものである。
【0025】
図6に示す製袋充填機20は、包装材料1を長手方向に沿って2つ折りにするリード21と、2つ折りにされた包装材料1内に差し込まれた充填ノズル(充填手段)22と、包装材料1の側縁部2、2同士をヒートシールして縦シール部3を形成する縦シール手段としての一対のシールロール23、23と、縦シール部3が設けられた筒状の包装材料1を横断する横方向にヒートシールして横シール部4を形成する横シール手段としての一対のシールロール24、24と、包装材料1の表面にレーザー光を照射してマーキングを行うレーザー光照射手段25と、包装材料1を案内するガイドロール26、26、…を備える。
【0026】
リード21は、細い扇形状の穴21aを有する。この穴21aを包装材料1が通過することにより、包装材料1は穴21aの周縁に沿って2つ折りにされ、側縁部2,2同士が重ね合わされる。包装材料1を2つ折りにするとき、シーラント層1a側が内側とされる。
充填手段22は、先端から内容品(図示略)を供給する充填ノズルであり、リード21の穴21aに挿通されている。この充填ノズル22の先端部は、2つ折りにされた包装材料1内に達している。なお、図6において充填ノズルの上部は図示を省略しているが、内容品を供給するタンクや内容品を圧送するポンプ等に接続されている。
【0027】
縦シール用の各シールロール23、23は、中心軸に沿って回転可能な円柱状のロール本体23aと、このロール本体23aの外周面上においてロール本体23aの周方向に沿って環状に形成された凸状のヒートシール部材23bと、ロール本体23aの長さ方向の端部においてフランジ状に突設された位置規制部材23cを有する。両シールロール23、23の間隔は、位置規制部材23cの外周面同士が接することにより、適切なシール圧力が得られるべく規制されている。両シールロール23、23の間に搬送される包装材料1がそれぞれのシールロール23、23のヒートシール部材23bの外周面間で挟持される間に加熱されることにより、縦シール部3が形成される。
【0028】
また横シール用の各シールロール24、24は、中心軸に沿って回転可能な円柱状のロール本体24aと、このロール本体24aの外周面上においてロール本体24aの長さ方向に沿って直線状に形成された複数本の突条であるヒートシール部材24b、24b、…とを有する。両シールロール24、24の間に搬送される包装材料1がそれぞれのシールロール24、24のヒートシール部材24bの外周面間で挟持される間に加熱されることにより、横シール部4が形成される。ヒートシール部材24b、24b、…は、ロール本体24aの周方向に沿って複数本(ここでは4本)が等間隔に形成されている。これにより、横シール用の各シールロール24、24は、包装材料1の長さ方向に一定のピッチ(ほぼ包装袋7の高さに相当する。)ごとにヒートシールすることができる。
【0029】
レーザー光照射手段25は、ガイドロール26のうちの1本に向かって設置されており、ガイドロール26に支持されたヒートシール前の包装材料1に対してレーザー光を照射できるようになっている。マーキングが包装袋7の外面側に形成されるよう、レーザー光照射手段25は包装材料1の外面側(基材フィルム層1eの側)に面して設置されれば良く、レーザー光照射手段25の向きは、鉛直上向き、鉛直下向き、横向き、斜めなど、特に限定されない。
【0030】
以下、上記の製袋充填機20を用いた包装方法を説明する。ガイドロール26、26に案内された帯状の包装材料1を不図示の送りローラ等の搬送手段によって所定の搬送方向(図6中、包装材料1に沿う矢印で示す。)に搬送しながら、レーザー光照射手段25によってマーキングする。マーキング後、包装材料1を鉛直下方に搬送しながらリード21の穴21aを通過させ、充填ノズル22の周囲で包装材料1を2つ折りにし、側縁部2、2同士を重ね合わせる。次に、縦シール手段23、23によって包装材料1の側縁部2、2同士をヒートシールする。次に、縦シール部3が形成された包装材料1を横シール手段24、24によって横方向にヒートシールする。次に、充填ノズル22により筒状の包装材料1内に内容品を充填する。充填後、包装材料1をさらに下方に送り、包装材料1を横シール手段24、24によってヒートシールする。これにより、上下方向に所定の距離を離して形成された横シール部4、4間に内容品を密封した収納室5が形成される。さらに不図示の切断手段(カッター等)を用いて横シール部4を横方向に両断して、個々の包装袋7を分離する。
【0031】
この種の製袋充填機20の場合、縦シール用シールロール23、23および横シール用シールロール24、24は停止することなく回転しており、連続的に製袋を行うことができる。なお、包装材料1が高速で搬送されて高品位なマーキングが得づらい場合は、ダンサーロールなどの蓄積手段を介装しレーザー照射する間だけ間欠搬送に変換しても良い。マーキングはシール部3、4が形成される部分に設けることも、収納室5が形成される部分に形成することもできる。特に、本願発明によれば、無機系着色剤の残滓がなく、鮮明さを保持することができるので、印字後にヒートシールする時にシールバーによって発生する微細な凹凸など、表面状態が変化するおそれのある、シール部3、4が形成される部分に印字した場合でも、鮮明な印字が得られる。
また、包装袋の内容品を充填する部分にマーキングを行う場合、内容品の充填前にレーザー照射を行うことにより、マーキングの位置制御が容易となり、ゆがみのない、識別しやすいマーキングを容易に形成することができる。なお、レーザー光照射手段25は、図6中、二点鎖線で示したように、充填後にシール部上にレーザー光を照射する箇所に設置することもできる。
なお、図6に示す製袋充填機20において、横シール用シールロール24、24の下方に、ヒートシール直後の横シール部4を冷却する冷却ロールを設けることもできる。これにより、横シール部4にかみ込んだ内容品を押し出すとともに、横シール部4上のシーラント層の樹脂を冷却固化させ、ヒートシール強度を向上させることができる。
【0032】
図5に示す四方シール包装袋8を製造する場合は、例えば図6の製袋充填機20の縦シール用シールロール23において、2本の縦シール部3、3の位置に合わせてヒートシール部材23bを左右2本設けた装置を用いることにより、三方シール包装袋7と同様に製造することができる。
【0033】
図7は、本発明の包装袋の他の例としてのスタンディングパウチを示す図であり、図8は、図7の包装袋に内容品を充填して密封するために用いられる給袋製袋機の一例を示す概略斜視図である。
図7に示す包装袋30は、2つ折りにされた底部材32を一対の胴部材31、31の間の下部に介装したものであり、胴部材31、31の両側縁同士にはヒートシールにより側縁シール部34が設けられ、各胴部材31と底部材32との下端部にはヒートシールにより底シール部35が設けられている。側縁シール部34と底シール部35とに囲まれた部分は、内容品が充填される収納室36となっている。内容品の充填前には、収納室36は包装袋30の上部の開口部33で開口している。
【0034】
図8に示す給袋充填機40は、包装袋30を保持するチャック41と、チャック41に保持された包装袋30の表面にレーザー光を照射してマーキングを行うレーザー光照射手段42と、包装袋30に内容品を充填する充填手段としての充填ノズル43と、包装袋30の開口部33をヒートシールして密封する密封手段44を有する。チャック41は、搬送ライン45に沿って不図示の搬送手段により搬送方向(図8中、搬送ライン45に沿う矢印で示す左右方向)に間欠搬送される。レーザー光照射手段42は、紙面に垂直な方向に向けられている。
【0035】
この種の給袋充填機40の場合、搬送手段による包装袋30の搬送は、充填や密封シールの際に停止するように制御されているので、この搬送停止に同期させてマーキングを行うように、レーザー照射のタイミングを合わせることが望ましい。マーキングはシール部34、35、あるいは、上部のシール部またはシール予定部に設けることも、収納室36の部分に形成することもできる。特に、本願発明によれば、無機系着色剤の残滓がなく、鮮明さを保持することができるので、印字後にヒートシールする時にシールバーによって発生する微細な凹凸など、表面状態が変化するおそれのある、シール部34、35が形成される部分に印字した場合でも、鮮明な印字が得られる。
また、包装袋30の収納室36にマーキングする場合、内容品を充填する前にレーザー照射を行うことにより、マーキングの位置制御が容易となり、ゆがみのない、識別しやすいマーキングを容易に形成することができる。なお、レーザー光照射手段は、充填後に形成済みのシール部上にレーザー光を照射する箇所に設置することもできる。
【0036】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
包装袋の形態は、上記説明中に例示した包装袋に限定されるものではない。その他ガゼットタイプの包装袋など種々の包装袋に対して特に制限なく本発明を適用可能である。
また、包装袋は、本発明に用いる透明インキ層以外のインキ層を有しても良い。その場合、両インキ層は基材フィルムに裏印刷するとき同時に形成することもできる。ただし、本発明に用いる透明インキ層が形成される部分には、白ベタなど他のインキ層が存在しないことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、内容品の産業分野を限定することなく、各種包装袋の外面にマーキングを設けるために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明で用いられる包装材料の層構成の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の包装袋の一例に係るピロータイプ包装袋を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う横断面図である。
【図3】図2の包装袋を製造する製袋充填機の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の包装袋の第2例に係る三方シール包装袋を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う横断面図である。
【図5】本発明の包装袋の第3例に係る四方シール包装袋を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う横断面図である。
【図6】図4の包装袋を製造する製袋充填機の一例を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の包装袋の他の例に係るスタンティングパウチを示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う縦断面図である。
【図8】図7の包装袋に内容品を充填する給袋充填機の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0039】
L…レーザー光、M…マーキング、1…包装材料、1a…シーラント層、1b…補強層、1c…金属層、1d…透明インキ層、1e…基材フィルム層、6…ピロータイプ包装袋、7…三方シール包装袋、8…四方シール包装袋、10…製袋充填機、15…レーザー光照射手段、20…製袋充填機、25…レーザー光照射手段、30…スタンディングパウチ(包装袋)、40…給袋充填機、42…レーザー光照射手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム層と透明インキ層と金属層をこの順に備える積層体を、前記基材フィルム層が最表面となるように有する包装材料からなる包装袋へのマーキング方法であって、
前記基材フィルム層側からのレーザー光の照射により前記基材フィルム層および透明インキ層を除去し、この除去痕によりマーキングを形成することを特徴とする包装袋へのマーキング方法。
【請求項2】
前記透明インキ層を構成する透明インキは、無機系の着色剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載の包装袋へのマーキング方法。
【請求項3】
前記透明インキは、有機系着色剤およびカーボン系着色剤のうちの1種または2種以上からなる着色剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋へのマーキング方法。
【請求項4】
前記レーザー光の照射は、前記包装材料または包装袋を充填機にセットしたのち、前記充填機において前記包装材料または包装袋に内容品を充填する前に行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の包装袋へのマーキング方法。
【請求項5】
前記レーザー光の照射は、前記包装材料のシール予定部および/またはシール部に行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の包装袋へのマーキング方法。
【請求項6】
基材フィルム層と透明インキ層と金属層をこの順に備える積層体を、前記基材フィルム層が最表面となるように有する包装材料からなる包装袋であって、
前記基材フィルム層の側からのレーザー光の照射により前記基材フィルム層および透明インキ層が除去されてなるマーキングを有することを特徴とするマーキング付き包装袋。
【請求項7】
前記透明インキ層を構成する透明インキは、無機系の着色剤を含まないことを特徴とする請求項6に記載のマーキング付き包装袋。
【請求項8】
前記透明インキは、有機系着色剤およびカーボン系着色剤のうちの1種または2種以上からなる着色剤を含有することを特徴とする請求項6または7に記載のマーキング付き包装袋。
【請求項9】
前記マーキングがシール部に設けられたことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のマーキング付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−305889(P2006−305889A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131944(P2005−131944)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】