説明

包装袋

【課題】簡単な操作で再封することができ、その再封操作を繰り返して行っても当初と同じように何度でも封止することができる包装袋を提供する。
【解決手段】内面にシーラント層を積層した包装材11,12,を製袋して作成され、少なくとも上辺シール部16と左右両側辺のサイドシール部14とを有し、上辺シール部16より内側の部位に左右のサイドシール部14に跨がる開口端を形成することで開封するタイプの包装袋10であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部14に跨がる中間シール部13が突き出る状態で設けられており、その中間シール部13の根元部分を基点として折り返すことにより再封できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体や粉体や流動性のある内容物などを収納するための包装袋の技術分野に属し、詳しくは、開口端側を切断して開封した後に、内容物を一部残した状態で再封することができる包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容物の一部をそのまま袋に残して開封箇所を繰り返し封鎖できる包装袋として、ジッパー付き包装袋が多く用いられている。この包装袋は、上辺シール部より内側の部位に開口部を開閉するためのジッパー部を設けるとともに、このジッパー部より開口端側をヒートシールすることで構成されている。収納した内容物を取り出すには、ジッパー部とヒートシール部との間をノッチを取っ掛かりに手で引き裂いたり、はさみやナイフなどの切断具により切断してから、ジッパー部の噛み合いを外して開封する。そして、所定量の内容物を取り出した後は、ジッパー部を閉じることで再封する。
【0003】
一方、ジッパーを用いないで再封可能な包装袋としては、袋外面に封止ラベルを貼っておくタイプの包装袋が知られている。このラベル付き包装袋では、開封した包装袋を再封するときに、封止ラベルを袋外面から剥がし、袋の開封個所を適当な回数折り曲げ、それを係止するように封止ラベルを貼り付けて再封するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−44729号公報
【特許文献2】実開平6−65241号公報
【特許文献3】特開2000−326994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したジッパー付き包装袋は、ジッパーを付けることによるコストアップの問題があり、内容物が例えば粉体の場合だと、ジッパーの嵌合部での粉噛みの影響により嵌合強度が低下するという問題がある。一方、ラベル付き包装袋は、何度も封止操作を繰り返すことにより封止ラベルの接着強度が低下するという問題がある。
【0006】
また、再封時において、ジッパー付き包装袋の場合は、ジッパーを嵌め合わせる操作が必要であり、ラベル付き包装袋の場合は、袋の開封個所を適当な回数折り曲げてから封止ラベルを貼り付けるという操作が必要であり、いずれも再封のための操作がそれほど簡単ではないという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記のような従来の包装袋が有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な操作で再封することができ、その再封操作を繰り返して行っても当初と同じように何度でも封止することができる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係る包装袋は、内面にシーラント層を積層した包装材を製袋して作成され、少なくとも上辺シール部と左右両側辺のサイドシール部とを有し、上辺シール部より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる開口端を形成することで開封するタイプの包装袋であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部に跨がる中間シール部が突き出る状態で設けられており、その中間シール部の根元部分を基点として折り返すことにより再封できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装袋は、上辺シール部より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる開口端を形成して開封し、そこから内容物を一部だけ取り出した後、開口端より内側にある中間シール部の根元部分を基点として折り返すと、その折り返した部分は中間シール部があることにより戻りが抑制され、閉じた状態が維持されることから、袋を折り返すという簡単な操作で再封することができる。しかも、ジッパー付き包装袋やラベル付き包装袋では、ジッパーの嵌合力や封止ラベルの粘着力が低下するので、再封操作を繰り返すと再封性が徐々に低下するが、本発明の包装袋の場合、袋を折り返すことにより再封するため、何度再封操作を繰り返しても再封性が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る第1実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図2】図1のA−A線での断面説明図である。
【図3】図1の包装袋を再封した状態を示す斜視説明図である。
【図4】図1の包装袋を再封した状態を図2に対応して示す説明図である。
【図5】第1実施形態の包装袋の変形例を図2に対応して示す説明図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図7】図6のA−A線での断面説明図である。
【図8】図6の包装袋を再封した状態を示す斜視説明図である。
【図9】図6の包装袋を再封した状態を図7に対応して示す説明図である。
【図10】第2実施形態の包装袋の変形例を図7に対応して示す説明図である。
【図11】第2実施形態の包装袋の変形例を示す斜視説明図である。
【図12】図11のA−A線での断面説明図である。
【図13】第2実施形態の包装袋の変形例を図7に対応して示す説明図である。
【図14】本発明に係る第3実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図15】本発明に係る第4実施形態の包装袋の一例を図2に対応して示す断面説明図である。
【図16】本発明に係る第4実施形態の包装袋の一例を図4に対応して示す断面説明図である。
【図17】本発明に係る第4実施形態の包装袋の別の例を図2に対応して示す断面説明図である。
【図18】本発明に係る第4実施形態の包装袋の別の例を図4に対応して示す断面説明図である。
【図19】本発明に係る第5実施形態の包装袋の一例を図6に対応して示す断面説明図である。
【図20】図19の包装袋を再封した状態で示す斜視説明図である。
【図21】中間シール部のシールパターンの変形例を示す斜視説明図である。
【図22】本発明に係る他の実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図23】本発明に係る他の実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図24】本発明に係る他の実施形態の包装袋の一例を示す斜視説明図である。
【図25】図24のA−A線での断面説明図である。
【図26】図24の包装袋を再封した状態を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示す包装袋10は平パウチの形態をしており、図示のように、底部で二つ折りした上下サイズが長い方の包装材11と、上下サイズが短い方の包装材12が根元までシールした中間シール部13で左右に横断するように直線状に貼り合わせられ、さらに左右両側辺のサイドシール部14で直線状に貼り合わせられた構造になっており、中間シール部13は左右両側辺のサイドシール部14と直交するように形成されている。そして、左右のサイドシール部14には、中間シール部13より上方の対応する位置にそれぞれ開封用ノッチ15が形成されている。
【0013】
この包装袋10の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部13の形成を同時に行う。次に、左右のシールを行ってサイドシール部14を形成した後、開封用ノッチ15を打ち抜き、続く工程で上辺を切り落として充填口を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部14のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図1及び図2に示す包装袋10が製造される。なお、この例では底シールを形成していないが、必要に応じて底シールを形成するようにしてもよい。
【0014】
図1に示す包装袋10は、複数枚纏められた状態で充填工程に送られてそこで内容物が充填される。すなわち、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図1の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部16を形成する。このような充填工程を経ることで、包装袋10は、左右両側辺のサイドシール部14に加え、上辺シール部16を有したものとなり、開封用ノッチ15を取っ掛かりにして包装材を破断することにより、上辺シール部16より内側の部位に左右のサイドシール部14に跨がる開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部14に跨がる中間シール部13が突き出る状態で設けられたものとなる。
【0015】
このように内容物が充填された包装袋10は、開封用ノッチ15から袋端部を切り取って開封し、内容物を一部だけ取り出した後、簡単に再封することができる。すなわち、開口端より内側にある中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、図3及び図4に示すように、その折り返した部分に中間シール部13があることにより戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制され、密閉状態で閉じた状態が維持される。このように、平パウチの形態とした場合は、開封した後に折返し部分を下側にして置くことにより、袋と内容物の自重で戻りが抑制されるため、再封効果を高めることができる。
【0016】
図1及び図2に示す包装袋10の変形例を図5に示す。図5は図2に対応したものであり、この図5に示す包装袋10は、平パウチに中間シール部13Aを後付けしたものである。すなわち、上下に長い包装材11Aをシーラント層を内側として二つ折り状態で対向させた後、左右両側辺のサイドシール部で直線状に貼り合わせ、その左右のサイドシール部にそれぞれ開封用ノッチを形成した後、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開封用ノッチより内側の位置で左右のサイドシール部に跨がる中間シール部13Aを突き出る状態で貼り付けている。この中間シール部13Aは矩形状の包装材からなり、T字型に折り曲げて対向している部分をホットメルトで貼り合わせた後、包装袋10にホットメルトにて取り付ける。ホットメルトに限らず接着剤やヒートシールで取り付けてもよい。また、この例では、左右のサイドシール部に跨がるように中間シール部13Aを後付けしているが、サイドシール部より内側に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
〔第2実施形態〕
図6及び図7に示す包装袋20はスタンディングパウチの形態をしており、図示のように、底部でW折りした上下サイズが長い方の包装材21と、上下サイズが短い方の包装材22が根元までシールした中間シール部23で左右を横断するように直線状に貼り合わせられ、さらに左右両側辺のサイドシール部24で直線状に貼り合わせられた構造になっており、中間シール部23は左右両側辺のサイドシール部24と直交するように形成されている。そして、左右のサイドシール部24には、中間シール部24より上方の対応する位置にそれぞれ開封用ノッチ25が形成されている。
【0018】
この包装袋20の製袋機による製造手順は例えば次のようである。製袋機にて一枚の包装材を搬送しながら、まず、スタンディングパウチの底部両端を表裏で貼り合わせるのに必要な底孔を形成するためのパンチ孔加工を行う。次に、左右の端部を向かい合わせるように搬送し、底部の折りと中間シール部23の形成を同時に行う。次に、放物線状の底シールと直線状のサイドシールを行って底シール部26とサイドシール部24を形成した後、続く工程で開封用ノッチ25を打ち抜き、上辺を切り落として充填口を形成する。最後に、ギロチン刃にてサイドシール部24のところで1袋ずつ分離するようにカットする。これにより図6及び図7に示す包装袋20が製造される。
【0019】
図6に示す包装袋20は、複数枚纏められた状態で充填工程に送られてそこで内容物が充填される。すなわち、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図6の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部27を形成する。このような充填工程を経ることで、包装袋20は、左右両側辺のサイドシール部24と底シール部26に加え、上辺シール部27を有したものとなり、開封用ノッチ25を取っ掛かりにして包装材を破断することにより、上辺シール部27より内側の部位に左右のサイドシール部24に跨がる開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部24に跨がる中間シール部23が突き出る状態で設けられたものとなる。
【0020】
このように内容物が充填された包装袋20は、開封用ノッチ25から袋端部を切り取って開封し、内容物を一部だけ取り出した後、簡単に再封することができる。すなわち、開口端より内側にある中間シール部23の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、図8及び図9に示すように、その折り返した部分が中間シール部23があることにより戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制され、密閉状態で閉じた状態が維持される。このように、スタンディングパウチの形態とした場合は、開封した後に形成される開口が床面から離れているため衛生的である。
【0021】
図6及び図7に示す包装袋20は、2枚の包装材21,22からなる構造としたが、図10に示すような4枚の包装材からなる構造としてもよい。すなわち、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材21Aからなるとともに、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材21B,22からなっており、他方側の2つの包装材21B,22が根元までシールした中間シール部23で直線状に貼り合わされた状態で一方側の包装材21Aと相対している。そして、相対する表裏の包装材(包装材21Aと包装材21B,22)の間に、断面が逆V字形をした包装材21Cを介在させて、底シール部26で放射線状に貼り合わせ、かつ左右両側辺のサイドシール部24で直線状に貼り合わせた構造としてもよい。
【0022】
図6及び図7に示す包装袋20の変形例を図11及び図12に示す。この包装袋20は、スタンディングパウチの形態をしている点では同じであるが、底部でW折りした長い方の包装材21と、下端が折り返された短い方の包装材22が左右両側辺のサイドシール部24と直交する中間シール部23で貼り合わせられており、底部がシールされるのではなくW折りされた点が異なる。この包装袋20は内容物を充填すると底部が膨らむので、図6に示す包装袋20よりも内容量が多くなる。この底部がW折りされたスタンディングパウチを製造するに際しては、底シールを行う工程に代えて、プレートを挿入して底折込部を形成すればよい。
【0023】
図6及び図7に示す包装袋20の変形例を図13に示す。図13は図7に対応したものであり、この包装袋20は、スタンディングパウチに中間シール部23Aを後付けしたものである。すなわち、表面側と裏面側の包装材をシーラント層を内側として対向させ、その間に逆V字形をした包装材を介在させて、底シール部26で放物線状に貼り合わせ、かつ左右両側辺のサイドシール部で直線状に貼り合わせ、その左右のサイドシール部にそれぞれ開封用ノッチを形成した後、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開封用ノッチより内側の位置で左右のサイドシール部に跨がる中間シール部23Aを突き出る状態で貼り付けている。この中間シール部23Aは矩形状の包装材からなり、T字型に折り曲げて対向している部分をホットメルトで貼り合わせた後、包装袋20にホットメルトにて取り付ける。ホットメルトに限らず接着剤やヒートシールで取り付けてもよい。また、この例では、左右のサイドシール部に跨がるように中間シール部23Aを後付けしているが、サイドシール部より内側に取り付けるようにしてもよい。
【0024】
〔第3実施形態〕
図14に示す包装袋30は、底部及び両側部にひだを有するガゼット袋の形態をしている。具体的には、表裏の一方側が上下サイズの長い包装材31からなり、表裏の他方側が上下サイズの短い2つの包装材32A,32Bからなっており、他方側の包装材32A,32Bが根元までシールした中間シール部33で直線状に貼り合わされた状態で一方側の包装材31と相対し、その相対する表裏の包装材(包装材31と包装材32A,32B)の間に、断面が逆V字状をした3つの包装材、すなわち底部に包装材34と両側部にそれぞれ包装材35を介在させて、底部の包装材34を底辺に添った底シール部36で直線状に貼り合わせるとともに、両側部の包装材35をそれぞれ左右両側辺のサイドシール部37で直線状に貼り合わせ、さらに、底部の包装材34の左右端縁と側部の包装材35の下端縁を貼り合わせて、側部の包装材35の下部を底部の包装材34の折りに合わせて折り込んだ構造をしており、中間シール部33は左右両側辺のサイドシール部37と直交するように形成されている。
【0025】
このタイプの包装袋30は、上辺の開口から内容物を充填し、その開口を閉じるように図14の点線で示す部位をヒートシールして上辺シール部38を形成する。このような充填工程を経ることで、包装袋30は、左右両側辺のサイドシール部37と底シール部36に加え、上辺シール部38を有したものとなり、はさみで上辺シール部38を切り取ることにより、上辺シール部38より内側の部位に左右のサイドシール部37に跨がる開口端を形成して開封することができる。そして、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部37に跨がる中間シール部33が突き出る状態で設けられたものとなる。
【0026】
このように内容物が充填された包装袋30は、はさみで上辺シール部38を切り取って開封し、内容物を一部だけ取り出した後、簡単に再封することができる。すなわち、開口端より内側にある中間シール部33の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、その折り返した部分が中間シール部33があることにより戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制され、密閉状態で閉じた状態が維持される。
【0027】
このように、底部と両側部にひだ(ガセット)のある形態とした場合は、開口を長方形あるいは正方形として大きく広げることができるので、内容物を充填しやすい、あるいは内容物を取り出しやすいという利点がある。また、立てて置けるので、開封した後に形成される開口が床面から離れているため衛生的である。
【0028】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について第1実施形態の包装袋10をベースにして説明する。図15は図2に対応し、図16は図4に対応しており、この図15に示す包装袋10は、包装材11の中間シール部13と対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設けたものである。この押し罫aは金型、ローラ等の型を使用し、包装材11に対してエンボス加工を施すことで形成できる。
【0029】
このように、押し罫aを設けたことにより、内容物を充填した包装袋10は、開封して内容物を取り出した後で、再封するべく図16のように中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、折り返した部分に中間シール部13があることで戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されるのに加え、押し罫aの作用により折り返した状態を保持しやすくなる。
【0030】
図17は図2に対応し、図18は図4に対応しており、この図17に示す包装袋10は、包装材11の中間シール部13と対応する位置に、外側から内側に向かって凹む内向き状態の押し罫aを設け、さらに、中間シール部13側のある包装材12にも押し罫bを設けたものである。この押し罫bは、内側から外側に向かって凹む外向き状態で、中間シール部13の付け根に沿うようにして設けられている。このように、包装材12にも押し罫bを設けると、折り返した状態をより一層保持しやすくなる。また、中間シール部13の付け根に沿う押し罫bのみを設けた場合であっても、押し罫を全く設けない場合に比べると、折返し状態を保持しやすくなる。
【0031】
このような折返し状態を保持させるための押し罫a,bは、包装袋を形成する包装材として、紙やアルミ箔などのデッドホールド性の高い材質を使用していない場合に特に有効である。
【0032】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態について第2実施形態の包装袋20をベースにして説明する。図19は図6に対応しており、この図19に示す包装袋20は、中間シール部23を真っ直ぐな帯状ではなく、図示のような変形パターンとしたものである。すなわち、根元までシールされた中央部から両側辺に向かって徐々に幅が狭くなるような緩やかな湾曲形状で中間シール部23を形成し、左右両側のサイドシール部24とは小さな幅で重なるようにしている。これにより、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わるところに、内部と繋がった三角状の未シール部分23nが形成された状態になる。
【0033】
このように、中間シール部23を図示のような変形パターンにすることにより、内容物を充填した包装袋20は、開封して内容物を取り出した後で、再封するべく中間シール部23の根元部分を基点として袋を上下に折り返すと、折り返した部分に中間シール部23があることで戻り(折り返した部分が元に戻ろうとする反発)が抑制されるが、さらに、図20に矢印で示す如く、中間シール部23とサイドシール部24の交点付近を摘んで、折り返した部分と逆の方に(図20の手前側から奥側に向かって)押すと、包装材が突っ張って中間シール部23のない側に僅かに反り、中間シール部23と左右両側のサイドシール部24とが交わる角部にてロックが掛かったような状態となり、折り返した部分の反発(浮き上がり)を抑えることができる。
【0034】
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明による包装袋は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【0035】
例えば、中間シール部の根元部分を基点として単に折り返すだけの第1〜第4実施形態の包装袋では、左右のサイドシール部に跨がる中間シール部について、重なる包装材を根元までシールすることで形成しているが、図21に例示するようなシールパターンで形成してもよい。
【0036】
図21は第1実施形態の包装袋10をベースに中間シール部13についてそのシールパターンの変形例を示したものであり、(a)は左右のサイドシール部14に跨がって根元部分だけを細くシールしたパターン、(b)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近のみを根元までシールし、その両側は根元部分を空けてシールしたパターン、(c)は左右のサイドシール部14に跨がってシールしてはいるが、中央付近の根元部分のみを空け、その両側を根元までシールしたパターンである。このように中間シール部の少なくとも根元部分がシールされていれば、袋を折り返したときに中間シール部があることにより戻りが抑制される。ただし、根元部分をシールする領域が多いほど、折り返した部分が元に戻ろうとする反発を抑制できるため、封止効果を高めることができる。
【0037】
図22に示す包装袋は、図1に示した包装袋10において、左右両側辺のサイドシール部14に設けられた開封用ノッチ15の下側の領域に、中間シール部13の根元部分を基点として袋を上下に折り返したとき、互いに重なり合って係合可能な係止部となる切れ目17を形成したものである。このような切れ目17を設けたことにより、開封用ノッチ15から袋端部を切り取って開封した後において、開口端部側を折り返し、その折返し部の左右両側の端縁部で重なり合った切れ目17同士を係合することにより、再封状態を維持することができる。このような構成にすることによって、より再封効果を高めることができる。
【0038】
図23に示す包装袋は、図1に示した包装袋10において、内容物を充填した後で直線状の上辺シール部16を形成する代わりに、図示のようなシールパターンで注出口形状の上辺シール部16Aを形成している。すなわち、開封用ノッチ15による切取り線に跨がるくぼみ部を上辺中央部に有し、そのくぼみ部の両側下端からサイドシール部14に向かって斜め下方に下がる直線で形成される形状のシールパターンに変更して上辺シール部16Aを形成したものである。このような構成にすることによって、内容物を定量ずつ取り出すことができる。例えば、調味料のような粉状の内容物を収納した場合は、包装袋10から内容物を振り出して取り出すが、一度に多量に振り出されることを防止することができるため好適である。
【0039】
図24及び図25に示す包装袋は、図6及び図7に示した包装袋20の変形例で、中間シール部23の根元部分を基点として袋を上下に折り返す際に、図26に示す如く折り曲げた後の袋の先端部を挿入して保持させるために、袋の中間シール部23と対向する面の外側に帯状片28をその両端部のみでヒートシールすることにより横断状態で取り付けたものである。このようにヒートシールで取り付けるためには、包装材及び帯状片28に熱融着が可能な素材を選択するか、ヒートシール剤或いは接着剤を用いて帯状片28を包装材に固着する。また、この例では袋上部を図示の如く徐々に細くなる形状とし、開封して折り返した後の先端部を挿入しやすくしてある。このような構成にすることによって、より安定した再封状態を保持することができる。
【0040】
〔包装材〕
本発明の包装袋に用いる包装材としては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムが用いられ、簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層した構成の積層フィルムが用いられるが、袋に充填される内容物や、充填後の取扱い条件、或いは、水蒸気その他のガスバリヤー性、遮光性、各種の機械的強度など必要とされる性能に応じて、基材フィルム層とシーラント層との間などに、例えば、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などを積層した構成の積層フィルムを使用する。
【0041】
上記基材フィルム層や水蒸気その他のガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層、シーラント層などは、それぞれ単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
【0042】
前記基材フィルム層には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)などを好適に使用することができる。
【0043】
前記ガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔(AL)、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたポリエチレンテレフタレート(VMPET)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
【0044】
前記強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
【0045】
また、中間層に易引き裂き性の一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸高密度ポリエチレン、易引き裂き性二軸延伸ポリエステルフィルム(「エンブレット」PC(MD方向に易引き裂き性)、ユニチカ(株)製)などを、その延伸方向が袋を開封する際の引き裂き方向と一致するように積層することにより、易開封性手段として、引き裂きを容易にし、かつ、その方向性を安定化させることができる。
【0046】
前記基材フィルム層とガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などの中間層との積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
【0047】
前記シーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体・アイオノマー、ポリプロピレン(CPP)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたポリプロピレン(VMCPP)またはその共重合体などを使用することができる。
【0048】
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができる。ただし、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、ドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0049】
このようなプラスチックを主体とする積層フィルムの具体例として代表的には次の層構成からなる包装材を挙げることができる。下記1)〜10)はドライラミネーション法による積層フィルムであり、各層は接着剤で貼り合わされる。なお、( )内の値は各層の厚みを示す。
【0050】
1)PET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
2)PET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
3)PET(12μm)/VMPET(12μm)/LLDPE(30〜 150μm)
4)PET(12μm)/VMPET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
5)PET(12μm)/AL( 6〜 7μm)/LLDPE(30〜 150μm)
6)OPP(20μm)/CPP(30〜 150μm)
7)OPP(20μm)/LLDPE(30〜 150μm)
8)OPP(20μm)/VMCPP(30〜 150μm)
9)VMPET(12μm)/CPP(30〜 150μm)
10)PET(12μm)/AL( 6〜 7μm)/CPP(30〜 150μm)
【0051】
本発明の包装袋に用いる包装材としては、上記のようなプラスチックを主体とする積層フィルムのほか、層構成に紙を有する包装材を用いることもできる。このような紙を積層したものとしては次の層構成からなる包装材を挙げることができる。紙はプラスチックに比べて反発力が低いため、プラスチックのみで構成される場合に比べて再封効果を高めることができる。下記1)〜4)はドライラミネーション法による積層フィルムであり、各層は接着剤で貼り合わされる。下記5)〜11)は押出しラミネーション法による積層フィルムであり、PE(ポリエチレン)は接着層の役割を果たす。なお、( )内の値は各層の厚みを示す。
【0052】
1)紙(30〜60g/m2 )/CPP(30〜 150μm)
2)紙(30〜60g/m2 )/LLDPE(30〜 150μm)
3)紙(30〜60g/m2 )/AL( 6〜 7μm)/CPP(30〜 150μm)
4)紙(30〜60g/m2 )/AL( 6〜 7μm)/LLDPE(30〜 150μm)
5)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)
6)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/CPP(30〜 150μm)
7)紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
8)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)
9)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 7μm)/PE(15〜30μm)/CPP(30〜 150μm)
10)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/紙(30〜60g/m2 )/PE(15〜30μm)/AL( 6〜 7μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
11)PET(12μm)/PE(15〜30μm)/VMPET(12μm)/PE(15〜30μm)/LLDPE(30〜 150μm)
【0053】
図24及び図25に示すタイプの包装袋では、包装袋20の外面に帯状体28を取り付ける必要がある。そこで、帯状体をヒートシールで固着させるためには、例えば包装材と帯状体として次に挙げたような組合せからなる材質のものを使用する。
【0054】
・包装材:HSOPP(30μm)/AL( 7μm)/LLDPE(50μm)
HSOPP(30μm)/VMPET(12μm)/LLDPE(50μm)
・帯状体:HSOPP(50μm)のテープ
【実施例1】
【0055】
グミや飴などの食品を収納するための包装袋を作成した。ここでは、包装材として層構成が「PET(12μm)/CPP(60μm)」からなる積層フィルムを用いて図1に示す平パウチを作成し、この平パウチの開口から中にグミを充填し、ヒートシールにより上辺シール部を閉じた。
【0056】
この包装袋を開封して中のグミを少量だけ取り出し、開口端より内側にある中間シール部の根元部分を基点として袋を上下に折り返したところ、折り返した部分は少しは戻りはしたものの、密閉状態で閉じた状態が良好に維持された。
【実施例2】
【0057】
粉末食品(粉末みそ汁)を収納するための包装袋を作成した。ここでは、包装材として層構成が「PET(12μm)/PE(15μm)/紙(30g/m2 )/PE(15μm)/AL( 6μm)/PE(30μm)を用いて図6に示すスタンディングパウチを作成し、このスタンディングパウチの開口から中に粉末食品を充填し、ヒートシールにより上辺シール部を閉じた。
【0058】
この包装袋を開封して中の粉末食品を少量だけ取り出し、開口端より内側にある中間シール部の根元部分を基点として袋を上下に折り返したところ、折り返した部分は少しは戻りはしたものの、密閉状態で閉じた状態が良好に維持された。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の包装袋は、内容物として固体や粉体などの乾燥を嫌う物質を収納するタイプの包装袋であることに限るものではなく、流動性のある内容物であってもよい。また、上記した以外の3方シール袋、四方シール袋などにも広く適用できる。
【0060】
また、本発明の包装袋は、レトルト用の包装袋や電子レンジ用の包装袋に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 包装袋
11,11,12 包装材
13,13A 中間シール部
14 サイドシール部
15 開封用ノッチ
16,16A 上辺シール部
17 切れ目
20 包装袋
21,21A,21B,21C,22 包装材
23,23A 中間シール部
23n 未シール部分
24 サイドシール部
25 開封用ノッチ
26 底シール部
27 上辺シール部
28 帯状片
30 包装袋
31,32A,32B 包装材
33 中間シール部
34,35 包装材
36 底シール部
37 サイドシール部
38 上辺シール部
a,b 押し罫

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面にシーラント層を積層した包装材を製袋して作成され、少なくとも上辺シール部と左右両側辺のサイドシール部とを有し、上辺シール部より内側の部位に左右のサイドシール部に跨がる開口端を形成することで開封するタイプの包装袋であって、表面側又は裏面側のいずれか一方の外面に開口端となる部位よりさらに内側の位置で左右のサイドシール部に跨がる中間シール部が突き出る状態で設けられており、その中間シール部の根元部分を基点として折り返すことにより再封できることを特徴とする包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−39935(P2013−39935A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177437(P2011−177437)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】