説明

包装袋

【課題】安価な材料を用いて、開口保持能力および再封止性に優れた包装袋を提供する。
【解決手段】基材層とシーラント層を少なくとも有する積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁部をシールしてなる包装袋1であって、取出し用開口部7に近接する位置の片側外面または両側外面に、取出し用開口部7に平行に、アルミニウム箔を含むテープ13が粘着層を介して接着されており、該アルミニウム箔を含むテープ13の腰強度は、20N/5mm以上であることを特徴とする包装袋1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック菓子などの内容物を収納するための包装袋に関するものであり、更に詳しくは、内容物を取出し易い開口保持機能を有する包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スナック菓子などの内容物を収納するための容器として、各種の形態のものが使用されており、代表的なものとして、各種形状の軟包装袋、円筒状や六角形状などの紙製容器などがある。
【0003】
紙製容器の場合は、開口部の開口保持性が良好であるので、内容物を取出す時は比較的容易に取出すことができるが、軟包装袋の場合は、本質的に開口保持性がないため取り出し難い傾向がある。
【0004】
特に油脂分を多く含んだ内容物の場合、十分な開口が得られないために、取り出し時に手が汚れてしまうといった問題や、内容物が一部残った状態での再封が難しい等の欠点があった。
【0005】
特許文献1に記載された包装袋は、内容物の取出し性と内容物を一部取出した後の再封性を改善するために提案されたものであり、包装袋の片側内面または両側内面の未シール部に近接する位置に、形状保持性プラスチック線材を未シール部と平行に熱融着することによって、これらの特性を向上せしめたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-105679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された包装袋は、形状保持性材料として形状保持性プラスチック線材を用い、これを包装袋の内面すなわちシーラント面に熱融着によって固定したものであるが、形状保持性プラスチック線材は、包装袋のシール部に介在するとシール不良の原因となるため、シール部を避けて、シール部以外の部分に取り付けるしかなかった。
【0008】
また形状保持性プラスチック線材は、高価な材料であるため、このことも、開口部全長に亘る使用がためらわれる理由ともなっていた。このため、特許文献1に記載された包装袋は、開口部の開口保持能力において、満足できるものではなかった。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、安価な材料を用いて、開口保持能力および再封止性に優れた包装袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、基材層とシーラント層を少なくとも有する積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁部をシールしてなる包装袋であって、取出し用開口部に近接する位置の片側外面または両側外面に、取出し用開口部に平行に、アルミニウム箔を含むテープが粘着層を介して接着されており、該アルミニウム箔を含むテープの腰強度は、20N/5mm以上であることを特徴とする包装袋である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記積層体の腰強度が、0.05N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記アルミニウム箔を含むテープが、取出し用開口部を含む辺の、全長に亘って接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る包装袋は、取出し用開口部に近接する位置の片側外面または両側外面に、取出し用開口部に平行に、アルミニウム箔を含むテープを粘着層を介して接着し、アルミニウム箔を含むテープの腰強度を、20N/5mm以上としたことにより、取出し用開口部を広げた状態で保持する能力が高く、内容物の取出し性および再封止性において優れている。
【0014】
併せて積層体の腰強度を0.05N/15mm以下とした場合には、開口保持性において、さらに安定した性能を発揮することができる。
【0015】
形状を保持するための材料として、安価なアルミニウム箔を用いたので、包装袋のコストを低く抑えることができる。
【0016】
アルミニウム箔を含むテープを包装袋の外側に粘着層を介して接着する構造を採用したことにより、包装袋の形式、形状によらず広く適用が可能であり、さらに周縁シール後に接着することもできるので、シール不良の原因となることなく、シール部上にも形状保持部材を設けることができる。
【0017】
シール部を含む取出し用開口部を含む辺の全長に亘ってアルミニウム箔を含むテープを設けた場合には、開口保持能力をさらに高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を示した模式図である。
【図2】図2(1)は、図1のX−X’断面を示した断面模式図であり、図2(2)は、図1のY−Y’断面を示した断面模式図である。
【図3】図3は、実施例1に示した包装袋を開封した状態を示した模式図である。
【図4】図4は、図3のZ−Z’断面を開いた状態を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装袋について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を示した模式図である。また図2(1)は、図1のX−X’断面を示した断面模式図であり、図2(2)は、図1のY−Y’断面を示した断面模式図である。以下これらの図を参照しながら説明する。
【0020】
本発明に係る包装袋(1)は、基材層(11)とシーラント層(12)を少なくとも有する積層体(10)のシーラント層(12)同士を対向させて、周縁部をシールしてなる包装袋であって、取出し用開口部(7)に近接する位置の片側外面または両側外面に、取出し用開口部(7)に平行に、アルミニウム箔を含むテープ(以下アルミテープ(13)
と称する)が粘着層(14)を介して接着されており、アルミテープ(13)の腰強度は、20N/5mm以上であることを特徴とする包装袋である。
【0021】
図1〜2に示した実施態様においては、表裏2枚の積層体(10)のシーラント層(12)同士を対向させて、左右のサイドシール部(3)とボトムシール部(4)をシールして、収納部(2)を形成したものであり、収納部(2)に内容物を収納した後、トップシール部(5)をシールする事により、最終的な包装体となる。
【0022】
包装袋(1)の上部の開封予定線(6)に沿って包装袋を開封することにより、内容物を取り出すための取出し用開口部(7)が開口する。開封予定線(6)は、仮想的な線であるが、開封位置を明示するために印刷を施したり、開封を容易にするためにハーフカット線を設けたりしても良い。開封予定線(6)の位置のサイドシール部(3)には、図1のようにV字ノッチ等の開封補助手段を設けても良い。
【0023】
図1〜2に示した実施態様においては、アルミテープ(13)が取出し用開口部(7)に近接する位置の外面の両側に接着されている。アルミテープは、片側のみでも良い場合もあるが、取出し用開口部(7)の開口保持性を高めるためには、両側に設けるのが望ましい。
【0024】
アルミテープ(13)としては、厚さ20〜100μm程度のアルミニウム箔に粘着剤加工を施したものが使用できる。アルミニウム箔には、デッドホールド性があり、折り曲げられた場合、その形状を保持する性質があるので、アルミテープを接着することにより、袋の開口部が開かれた場合に、その形状を保持し、開口保持性を高める効果を発揮する。
【0025】
アルミテープ(13)の腰強度が、20N/5mm以上であれば、十分な開口保持力が得られることが実験的に分った。5mm幅で20N以上の腰強度が得られるアルミニウム箔の最低厚さは、約50μmである。
【0026】
ここでいう腰強度とは、試料を所定の幅と長さに裁断してループ状にした状態で押し潰した時の荷重によって試料の腰の強さを表すもので、ループスティフネステスターと称する市販の測定器を用いて測定することができる。
【0027】
図1に示した包装袋(1)は、4方向がシールされた最も基本的な袋の形状である四方袋であるが、包装袋の形状としては、背面の中央部に合掌シール部を設けた背貼合掌袋や、左右のサイド部にマチを設けたガセット袋、底テープを加えたスタンディングパウチ等、任意の形状の包装袋を対象とすることができる。
【0028】
本発明に係る包装袋(1)は、開口部の開口保持手段として、取出し用開口部(7)に平行に、アルミテープ(13)を粘着層(14)を介して接着した構造であるので、アルミテープを、袋を構成する積層体(10)の表面のみならず、シール部等にも設けることができる。しかも周縁をシールするシール工程の後からでも設けることができるので、シール不良等を引き起す事なく、広範な袋の形状、形式に対して適用することができる。
【0029】
図1〜2に示した実施態様においては、積層体(10)が基材層(11)とシーラント層(12)より成っているが、基材層(11)とシーラント層(12)の間に、ガスバリア性を向上させたり、各種機械的強度を向上させる目的で、単層もしくは複数の層からなる中間層を設けても良い。
【0030】
基材層(11)としては、二軸延伸ポリプロピレン(PP)フィルム、二軸延伸ポリエ
ステル(PET)フィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、防湿セロファン、アルミニウム蒸着PETフィルム、アルミニウム蒸着PPフィルム、無機酸化物蒸着PETフィルム等を使用することができる。
【0031】
シーラント層(12)としては、単層または多層のポリオレフィン系樹脂もしくはポリオレフィン系樹脂フィルムを用いることができる。
以下実施例に基づき、本発明に係る包装袋についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
基材として厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを用い、中間層として厚さ7μmのアルミニウム箔を用い、シーラント層として厚さ30μmの低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂フィルムを用い、これらを接着剤で貼り合せて積層体とした。積層体の腰強度を東洋精機製作所製のループスティフネステスターで測定した結果は、0.05N/15mmであった。
【0033】
積層体を袋の表裏面および底テープとして使用し、図3に示したような形状の、高さが200mm、開口部の長さ(8)が120mmのスタンディングパウチを作成した。
【0034】
取出し用開口部(7)から15mm下の位置に、アルミテープ(13)を、左右のサイドシール部(3)を含む、辺の全長に亘って接着した。アルミテープの仕様は、厚さ50μmのアルミニウム箔に、厚さ50μmの粘着層を設けたものを、幅5mmにカットしたものである。このアルミテープの腰強度を測定したところ、19.97N/5mmであった。
【0035】
包装袋の開口保持性を評価するために、図4に示したように、包装袋(1)の取出し用開口部(7)の中央部を、開口幅(9)が開口部の長さ(8)の半分の長さになるまで開き、10秒後の安定した状態における開口幅を測定した。
【0036】
(10秒後の開口幅/始めの開口幅)を開口維持力と定義し、全く開口幅が変化しない時、開口維持力は100%となる。開口維持力が70%以上の時、すなわち10秒後の開口幅(9)が開口部の長さ(8)に対して35%以上である時、内容物を取出し易いための開口保持性が良好であると評価した。
【実施例2】
【0037】
開口部の長さを200mmとした以外は、実施例1と同様にして、開口保持性を評価した。
【0038】
<比較例1>
基材を厚さ30μmのポリアミド樹脂フィルムとし、シーラント層を厚さ50μmのLDPEとして、積層体を作成した。積層体の腰強度は0.1N/15mmであった。この積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして包装袋を作成し、同様に開口保持性を評価した。
【0039】
<比較例2>
アルミテープの幅を2.5mmとした以外は、実施例1と同様にして包装袋を作成し、同様に開口保持性を評価した。アルミテープの腰強度は、9.7N/2.5mmであった。
【0040】
以上の結果を表1にまとめる。
【表1】

【0041】
このように、実施例1、2においては、良好な開口保持性が得られ、アルミテープの腰強度が20N/5mm以上であればよいことが分る。
【符号の説明】
【0042】
1・・・包装袋
2・・・収納部
3・・・サイドシール部
4・・・ボトムシール部
5・・・トップシール部
6・・・開封予定線
7・・・取出し用開口部
8・・・開口部の長さ
9・・・開口幅
10・・・積層体
11・・・基材層
12・・・シーラント層
13・・・アルミテープ
14・・・粘着層
15・・・アルミニウム箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層とシーラント層を少なくとも有する積層体のシーラント層同士を対向させて、周縁部をシールしてなる包装袋であって、取出し用開口部に近接する位置の片側外面または両側外面に、取出し用開口部に平行に、アルミニウム箔を含むテープが粘着層を介して接着されており、該アルミニウム箔を含むテープの腰強度は、20N/5mm以上であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記積層体の腰強度は、0.05N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記アルミニウム箔を含むテープは、取出し用開口部を含む辺の、全長に亘って接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49472(P2013−49472A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188891(P2011−188891)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】