説明

包装装置のフィルム搬送機構

【課題】フィルムを間欠搬送する際に、フィルム引っ張り部におけるスリップ現象が生じにくいフィルム搬送機構を提供する。
【解決手段】製袋包装機においてフィルムFを間欠搬送するフィルム搬送機構6は、フィルムFを供給するフィルム貯留部70と、フィルムFに接触してフィルムFを引っ張るプルダウンベルト装置69と、制御部とを備える。制御部は、搬送時において、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り量が、フィルム貯留部70によるフィルムFの吐き出し量よりも大きくならないように、フィルム貯留部70およびプルダウンベルト装置69を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置のフィルム搬送機構、特に、フィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを用いて物品の包装を行う包装装置は、フィルムを案内する複数のローラを有することが多い。複数のローラは、それらの間に通されるフィルムを、包装動作を行う包装機構などに案内する。このような包装装置においては、複数のローラのうち一部のローラが可動的に設けられることがある。可動的に設けられたローラ(以下、「可動ローラ」と呼ぶ。)は、固定的に設けられたローラ(以下、「固定ローラ」と呼ぶ。)に対して接近及び離反するように設けられる。そして、フィルムの張力が強くなったときには可動ローラが固定ローラに近づくように移動し、フィルムの張力が弱くなったときには可動ローラが固定ローラから離れるように移動することで、フィルムの張力が所定範囲に収まるように調節される(特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、間欠的に包装材(フィルム)を繰り出していく包装装置が開示されており、その包装材供給装置は、上述の可動ローラの代わりに、フィルムを貯留する貯留手段として吸引室を備えている。この吸引室は、フィルムを吸引作用により常に引き込むことでフィルムを貯留しておき、フィルムの吐き出しによって吸引室に貯留されているフィルムが少なくなってきたときに、それをセンサで検知して、吸引室の上流側に配備されている供給リールからのフィルムの繰り出しスピードを上げてもらうように指令を出している。
【特許文献1】特開平10−7107号公報
【特許文献2】特開2000−53292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の包装装置におけるフィルム搬送機構では、フィルムに所定の張力が作用する。
【0005】
しかし、間欠的にフィルムを搬送する場合、フィルムの張力の増減によって、包装機構の近傍に配備されてフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部において、スリップが生じることがある。すなわち、間欠搬送を行う包装装置においては、フィルムが停止している搬送休止状態からフィルムが搬送されている搬送状態への移行時に、フィルムの張力が少なくとも一時的に増加するため、フィルム引っ張り部のベルト等の接触部材がフィルムに対してスリップする現象が生じることがある。
【0006】
本発明の課題は、フィルムを間欠搬送する際に、フィルム引っ張り部におけるスリップ現象が生じにくいフィルム搬送機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係るフィルム搬送機構は、包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、フィルム供給部と、フィルム引っ張り部と、制御部とを備えている。フィルム供給部は、搬送上流側においてフィルムを供給する。フィルム引っ張り部は、搬送下流側において、フィルムに接触してフィルムを引っ張る。制御部は、搬送時において、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り量が、フィルム供給部によるフィルムの供給量よりも大きくならないように、フィルム引っ張り部及びフィルム供給部を制御する。
【0008】
このフィルム搬送機構の制御部は、フィルムの搬送時において、監視しているフィルムの張力に基づいてフィルム引っ張り部やフィルム供給部を制御するのではなく、これらを、フィルムの引っ張り量がフィルムの供給量よりも大きくならないように制御している。
【0009】
従来においては、フィルムの搬送時にフィルム張力が瞬間的に増加してしまい、その後にフィルム張力が小さくなるように制御されるとしても、フィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じることがあったが、本発明では、フィルムの引っ張り量がフィルムの供給量を超えることがなくなるため、搬送前よりも搬送時のほうがフィルム張力が大きくなってスリップ現象が発生してしまうということが回避される。すなわち、本発明では、搬送時にフィルム張力が増加することがなく、フィルム引っ張り部におけるスリップ現象が抑制される。
【0010】
なお、搬送時のフィルムの蛇行を防止する観点からは、フィルムの引っ張り量がフィルムの供給量と一致する制御、あるいは、フィルムの供給量よりもフィルムの引っ張り量のほうが若干大きくなるような制御が望ましい。
【0011】
第2発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第1発明のフィルム搬送機構であって、制御部は、搬送時において、少なくとも引っ張り量と同じ量だけフィルムが供給されるように、フィルム供給部を制御する。
【0012】
ここでは、搬送時に、少なくとも引っ張り量と同じ量だけフィルムが供給されるため、フィルム供給部とフィルム引っ張り部との間のフィルムにおいて張力が増加することがない。このため、確実にフィルム引っ張り部におけるスリップ現象を抑えることができる。
【0013】
第3発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第2発明のフィルム搬送機構であって、フィルム供給部は、フィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、フィルム貯留部とを有している。フィルム貯留部は、フィルム引っ張り部とフィルム繰り出し部との間に配置され、少なくとも1回の搬送量のフィルムを貯留することができる。そして、制御部は、搬送時において、少なくとも引っ張り量と同じ量だけ、フィルム貯留部に貯留されているフィルムが吐き出されてフィルム引っ張り部のほうへ供給されるように、フィルム貯留部を制御する。
【0014】
ここでは、少なくとも1回の搬送量のフィルムを貯留可能なフィルム貯留部を配備し、そのフィルム貯留部からフィルム引っ張り部に向けて貯留フィルムを吐き出すことで、フィルム引っ張り部へのフィルムの供給を行わせている。
【0015】
第4発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第3発明のフィルム搬送機構であって、フィルム貯留部は、フィルムに接触してフィルムを移動させるローラと、そのローラを移動させるローラ移動手段とを有している。そして、フィルム貯留部におけるフィルムの貯留量は、ローラの所定ポジションからの移動量に応じて変化する。制御部は、フィルム貯留部に貯留されているフィルムを吐き出させるときに、ローラ移動手段を制御して、フィルム貯留部におけるフィルムの貯留量を減少させる。
【0016】
ここでは、ローラの移動量に応じてフィルムの貯留量が変化するため、制御部は、ローラ移動手段を制御してローラを移動させることで、フィルム貯留部におけるフィルムの貯留量を減らしてフィルム引っ張り部へのフィルムの供給を行うことができる。
【0017】
第5発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第4発明のフィルム搬送機構であって、ローラは、自重によってフィルムに下向きの力を加えるものである。また、ローラ移動手段は、ローラの重力に反してローラに上向きの力を作用させるものである。
【0018】
ここでは、ローラが自重によってフィルムを下に押して移動する構成になっているため、ローラ移動手段は、ローラに対して重力に反する上向きの力を与えることができればよく、2方向に力を作用させることができる手段である必要がない。
【0019】
なお、ローラ移動手段がローラに力を作用させることで、搬送時においてローラの自重がフィルムに作用しないようにできれば、搬送時のフィルムの張力をゼロあるいはゼロに近い値にすることができ、スリップ現象がより抑制されるとともに、フィルム引っ張り部がフィルムを引っ張るときに要する力を小さく抑えることもできる。
【0020】
第6発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第4又は第5発明のフィルム搬送機構であって、フィルム引っ張り部は、フィルムに接触する接触部材と、その接触部材をフィルムの搬送方向に沿って移動させる移動手段とを有している。制御部は、搬送時において、フィルム引っ張り部の移動手段を作動させると同時に、フィルム貯留部のローラ移動手段を作動させる。
【0021】
ここでは、少なくとも引っ張り量と同じ量だけフィルム貯留部の貯留フィルムが吐き出されるとともに、フィルム引っ張り部の移動手段とフィルム貯留部のローラ移動手段とが同時に作動し始めるため、搬送休止状態から搬送状態に移行するときにフィルムの張力が増加してしまう現象を確実に回避することができる。
【0022】
なお、フィルム引っ張り部の移動手段とフィルム貯留部のローラ移動手段との同時作動は、フィルム引っ張り部の移動手段とフィルム貯留部のローラ移動手段とをギアやリンク機構を用いて連動させることで実現させてもよいし、フィルム引っ張り部の移動手段への作動指令とフィルム貯留部のローラ移動手段への作動指令とを同じタイミングで行うことによって実現させてもよい。
【0023】
第7発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第4又は第5発明のフィルム搬送機構であって、フィルム引っ張り部は、フィルムに接触する接触部材と、その接触部材をフィルムの搬送方向に沿って移動させる移動手段とを有している。そして、フィルム引っ張り部の移動手段と、フィルム貯留部のローラ移動手段とは、連動する。
【0024】
ここでは、フィルム引っ張り部の移動手段とフィルム貯留部のローラ移動手段とが連動する構成を採っているため、引っ張り量と同じ量だけフィルム貯留部の貯留フィルムが吐き出されるようにすることが容易となる。また、フィルム引っ張り部の移動手段とフィルム貯留部のローラ移動手段とで、モータなどの駆動源を共通化することも容易となる。
【0025】
第8発明に係るフィルム搬送機構は、包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、フィルム繰り出し部と、フィルム引っ張り部と、フィルム貯留部と、制御部とを備えている。フィルム繰り出し部は、搬送上流側においてフィルムを繰り出す。フィルム引っ張り部は、搬送下流側において、フィルムに接触してフィルムを引っ張る。フィルム貯留部は、フィルム繰り出し部とフィルム引っ張り部との間に配置され、少なくとも1回の搬送量のフィルムを貯留することができる。制御部は、搬送時のフィルム張力が搬送前のフィルム張力を超えないように、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作と、フィルム貯留部に貯留されているフィルムの吐き出し動作と、を制御する。
【0026】
このフィルム搬送機構の制御部は、フィルムの搬送時において、監視しているフィルムの張力に基づいてフィルム引っ張り部やフィルム貯留部を制御するのではなく、搬送時のフィルム張力が搬送前のフィルム張力を超えないように、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作とフィルム貯留部に貯留されているフィルムの吐き出し動作とを制御している。
【0027】
従来においては、フィルムの搬送時にフィルム張力が瞬間的に増加してしまうと、その後にフィルム張力が小さくなるように制御されるとしても、フィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じることがあった。しかし、本発明では、搬送時のフィルム張力が搬送前のフィルム張力を超えることがなくなるため、搬送休止状態から搬送状態に移行するときにフィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じるという不具合が抑えられる。
【0028】
第9発明に係るフィルム搬送機構は、包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、フィルム繰り出し部と、フィルム引っ張り部と、フィルム貯留部と、制御部とを備えている。フィルム繰り出し部は、搬送上流側においてフィルムを繰り出す。フィルム引っ張り部は、搬送下流側においてフィルムを引っ張る。フィルム貯留部は、フィルム繰り出し部とフィルム引っ張り部との間に配置されており、ローラを有している。このローラは、フィルムに接触して、フィルムを移動させる。フィルム貯留部は、ローラの移動によって、フィルムの貯留及び吐き出しを行わせる。制御部は、搬送休止状態から搬送状態へ移行するときに、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作の開始と同時に、あるいは、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作の開始の直前に、フィルム貯留部においてローラを移動させて貯留されているフィルムの吐き出し動作を開始させる。
【0029】
このフィルム搬送機構の制御部は、搬送休止状態から搬送状態へ移行するときに、監視しているフィルムの張力に基づいてフィルム引っ張り部やフィルム貯留部を制御するのではなく、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作の開始と同時に、あるいはその開始の直前に、フィルム貯留部からのフィルムの吐き出し動作を開始させる制御を行っている。
【0030】
従来においては、フィルムの搬送時にフィルム張力が瞬間的に増加してしまうと、その後にフィルム張力が小さくなるように制御されるとしても、フィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じることがあった。しかし、本発明では、フィルム貯留部からのフィルムの吐き出し動作よりもフィルムの引っ張り動作のほうが先行してしまうことがなくなるため、搬送休止状態から搬送状態に移行するときにフィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じるという不具合が抑えられる。また、間欠搬送の搬送開始時においてフィルム引っ張り部がフィルムを引っ張るために必要な力が、小さく抑えられる。
【0031】
第10発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第9発明のフィルム搬送機構であって、フィルム貯留部は、ローラの移動によって、フィルムの搬送経路を長くしたり短くしたりすることで、フィルムの貯留及び吐き出しを行わせる。
【0032】
ここでは、ローラの移動によってフィルムの搬送経路の長短を調節することで、フィルム貯留部におけるフィルムの貯留や吐き出しを制御することができる。
【0033】
第11発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第3〜第10発明のいずれかのフィルム搬送機構であって、フィルム繰り出し部は、フィルム貯留部からフィルム引っ張り部へのフィルムの吐き出しが行われていないときに、フィルム貯留部にフィルムが貯留されるようにフィルムを繰り出す。
【0034】
上述のように、第3〜第10発明では、いずれもフィルム貯留部へのフィルムの貯留を利用して間欠搬送を行わせている。そして、ここでは、搬送休止状態の時間帯を使って、貯留していたフィルムを搬送時に吐き出したフィルム貯留部に対して、フィルム繰り出し部からフィルムを繰り出すようにしている。このように、ここでは、間欠搬送の搬送休止状態の時間帯および搬送状態の時間帯を有効利用して、フィルム貯留部へのフィルムの貯留および吐き出しを行わせている。
【0035】
第12発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第1〜第11発明のいずれかのフィルム搬送機構であって、フィルム引っ張り部は、フィルムの幅方向の略中央部分に接触してフィルムを引っ張る。
【0036】
第1〜第11発明では、いずれも、搬送前の搬送休止状態から搬送時の搬送状態への移行時においてフィルム張力が増加する現象が抑えられるため、副次的な効果として、フィルム引っ張り部で必要となるフィルムを引っ張る力を小さく抑えることができる。
【0037】
これを利用して、第12発明では、従来フィルムの幅方向の2カ所においてフィルムを引っ張ることが多かったのに対して、フィルム引っ張り部を、フィルムの幅方向の略中央部分に接触してフィルムを引っ張るという構成にしている。これにより、フィルム引っ張り部のコストを下げることができるとともに、フィルムの蛇行を抑える効果も得ることができる。
【0038】
第13発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、搬送上流側においてフィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、搬送下流側においてフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部と、フィルム繰り出し部とフィルム引っ張り部との間に配置されるフィルム貯留部とを備えている。フィルム貯留部は、フィルムに接触してフィルムを移動させるローラを有しており、ローラの移動によってフィルムの貯留及び吐き出しを行わせる。また、フィルム引っ張り部においてフィルムを引っ張るための駆動力と、フィルム貯留部においてローラを移動させるための駆動力とは、同じ駆動源から供給されている。そして、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作と、フィルム貯留部によるフィルムの吐き出し動作とは連動している。
【0039】
従来においては、フィルムの搬送時にフィルム張力が瞬間的に増加してしまい、その後にフィルム張力が小さくなるように制御されるとしても、フィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じることがあった。しかし、本発明では、同じ駆動源からの力によって、フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作と、フィルム貯留部によるフィルムの吐き出し動作とが連動して行われるため、搬送時にフィルム引っ張り部においてスリップ現象が生じるという不具合が抑えられる。
【0040】
第14発明に係る包装装置のフィルム搬送機構は、第3〜第10発明のいずれかのフィルム搬送機構であって、制御部は、搬送時において、フィルム引っ張り部とフィルム貯留部との間のフィルムの張力がゼロあるいはゼロに近い値になるように、フィルム引っ張り部及びフィルム貯留部を制御する。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、搬送時にフィルム張力が増加することがなくなり、フィルム引っ張り部におけるスリップ現象が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
〔全体概略〕
本発明の一実施形態に係るフィルム搬送機構6を含む製袋包装機3を図1に示す。この製袋包装機3は、被包装物となるポテトチップス等の食品をフィルムで覆い、筒状となったフィルムを縦および横にシールして袋を製造する、縦型の製袋包装機である。
【0043】
被包装物は、製袋包装機3の上方に設けられた計量機2から、原則として所定量ずつ落下してくる。計量機2は、フィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25、集合排出シュート26などから構成される組み合わせ計量装置である。
【0044】
製袋包装機3は、被包装物の袋詰めを行う本体部分である製袋包装機構5(図2参照)と、この製袋包装機構5に袋となるフィルムFを送るフィルム搬送機構6と、両機構5,6の駆動部分の動きを制御する制御部90(図6参照)とから構成されている。
【0045】
〔製袋包装機構の構成〕
製袋包装機構5は、図2に示すように、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する成形装置13と、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmという。)の重なり部分を縦にシールする縦シール装置15と、筒状フィルムFmを横にシールすることで袋Bの上下の端部を封止する横シール装置17とを有している。
【0046】
<成形装置>
成形装置13は、図2及び図3に示すように、チューブ13bと、フォーマー13aとを有している。チューブ13bは、円筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、計量機2で計量された被包装物Cが投入される。フォーマー13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。このフォーマー13aの形状は、フィルム搬送機構6のフィルム貯留部70(後述)から吐き出されてきたシート状のフィルムFがフォーマー13aとチューブ13bとの間を通るときに筒状に成形されるような形状となっている。
【0047】
なお、成形装置13のチューブ13bやフォーマー13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0048】
<縦シール装置>
縦シール装置15は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分を、一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら加熱して縦にシールする機構である。この縦シール装置15は、チューブ13bの前側に位置しており、ヒーターや、そのヒーターにより加熱され筒状フィルムFmの重なり部分に接触するヒータベルトを有している。また、縦シール装置15は、図示しないが、ヒータベルトをチューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置も備えている。
【0049】
<横シール装置>
横シール装置17は、成形装置13および縦シール装置15の下方に配置されている。横シール装置17は、ヒーターを内蔵する一対のシールジョー51を含む機構である(図2参照)。
【0050】
図2では図示を省略しているが、横シール装置17は、一対のシールジョー51同士を接近・離反させるシールジョー移動機構や、一方のシールジョー51に内蔵されるカッターなどを備えている。カッターは、シールジョー51による横シール部分の高さ方向の中心位置において、袋Bと後続の筒状フィルムFmとを切り離す役割を果たす。
【0051】
〔フィルム搬送機構の構成〕
フィルム搬送機構6は、シート状のフィルムFを製袋包装機構5へ送る機構であり、主として、製袋包装機構5の後方に配置されるフィルム供給部60と、製袋包装機構5のチューブ13bに隣接して配置されるプルダウンベルト装置69(フィルム引っ張り部)と、固定ローラ60a〜60fとを備えている。フィルム供給部60は、フィルムロール6bからフィルムFを繰り出させるフィルム繰り出し部80と、繰り出されたフィルムFを一時的に貯留するフィルム貯留部70とから構成されている。また、これらのフィルム繰り出し部80、フィルム貯留部70およびプルダウンベルト装置69は、後述する制御部90によって制御される。
【0052】
<固定ローラ>
固定ローラ60a〜60fは、それぞれ、フィルムFの上面あるいは下面に接触してガイドするように配置されており(図3参照)、後述する可動ローラ71とともに、フィルムロール6bから製袋包装機構5の成形装置13までのフィルムFの搬送経路を形成している。固定ローラ60a〜60fは、自転するローラで、その回転軸が製袋包装機3のフレームに固定されている。
【0053】
<フィルム繰り出し部>
フィルム繰り出し部80は、フィルムFを巻回したものであるフィルムロール6bを回転駆動するフィルム繰り出しモータ87(図6参照)を有している。後述する間欠搬送の搬送休止状態において、このフィルム繰り出しモータ87が作動すると、フィルムロール6bから所定長さ(所定量)のフィルムFが、フィルム貯留部70に向けて繰り出される。
【0054】
<フィルム貯留部>
フィルム貯留部70は、図3に示すように、フィルム繰り出し部80とプルダウンベルト装置69との間に配置されており、後述する間欠搬送における1回のフィルムFの搬送量に相当するフィルムFを貯留することができる。この製袋包装機3は、小さな袋から大きな袋まで製造することができ、フィルム貯留部70は、製造可能な最大の袋サイズに応じたフィルムFを貯留できるように設計されている。
【0055】
フィルム貯留部70は、可動ローラ71と、その可動ローラ71を上向きに移動させるローラ移動機構とを有している。可動ローラ71は、自転するとともに、図3に示すように上下に移動可能となっており、フィルムFに上から接触してフィルムFを上下に移動させることができる。より詳細に言うと、可動ローラ71は、図4に示すように、後述するピン部材72aを支点として所定角度だけ旋回可能となっており、その旋回によって上下に移動するように支持されている。そして、フィルム貯留部70では、この可動ローラ71の移動によって、フィルムFの搬送経路を長くしたり短くしたりすることで、フィルムFの貯留と吐き出しとを行わせることができる。
【0056】
例えば、図5(b)に示すように可動ローラ71が下方に位置するときには、フィルムFの搬送経路が長くなっており、フィルム貯留部70にフィルムFが最大限に貯留された状態になる。図5(a)に示すように、可動ローラ71が上方に位置するときには、フィルムFの搬送経路が短くなっており、フィルム貯留部70に貯留されていたフィルムFがほぼ全て吐き出された状態になる。
【0057】
可動ローラ71は、固定ローラ60aと固定ローラ60bとの間にあるフィルムFに対して自重によって下向きの力を加え、図5(b)に示すようにローラ支持レバー72(後述)がストッパー79に当たった状態においてホームポジションに位置することになる。このホームポジションからの可動ローラ71の移動量に応じて、フィルム貯留部70におけるフィルムFの貯留量が変化する。
【0058】
可動ローラ71を重力に反して上向きに移動させるローラ移動機構は、図4に示すように、ローラ支持レバー72、ピン部材72a、固定部材72b、プーリー75a,75b,ベルト76a,76b、電磁クラッチ77、ロータリーエンコーダ78、ストッパー79などから構成されている。ローラ支持レバー72は、その先端部で可動ローラ71の左右両端を軸支持している。また、ローラ支持レバー72は、その基端部がピン部材72aを介して固定部材72bに軸支持されている。したがって、ローラ支持レバー72の先端部に支持されている可動ローラ71は、ピン部材72aを中心として旋回軌道を描くように移動する。固定部材72bは、製袋包装機3のフレームに固定されている。プーリー75a,75bおよびベルト76a,76bは、駆動モータ69dの駆動力を、ローラ支持レバー72の基端部に伝えるために設けられている。プーリー75aとローラ支持レバー72の基端部とは、電磁クラッチ77がONされたときに相対回転不能に連結され、プーリー75aの回転によってローラ支持レバー72が回動するようになる。電磁クラッチ77がOFFされると、プーリー75aとローラ支持レバー72の基端部との連結が解除され、ローラ支持レバー72は自重によって下降する。また、ローラ支持レバー72の基端部の回転角度を検知するロータリーエンコーダ78が設置されており、ロータリーエンコーダ78が検出した回転角度の情報は制御部90に送られる。
【0059】
<プルダウンベルト装置>
プルダウンベルト装置69は、図2に示すように、製袋包装機構5の成形装置13のチューブ13bを挟んで縦シール装置15と前後に向かい合うように配置されている。プルダウンベルト装置69は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmを吸着して下方に引っ張る装置であって、フィルムFに接触する吸着ベルト69cと、その吸着ベルト69cが掛け渡されるローラ69a,69bと、上述の駆動モータ69dの駆動力をローラ69bに伝えるためのプーリー69eおよびベルト69fとを有している。
【0060】
吸着ベルト69cには、図3に示すように、複数の吸着孔が形成されている。これらの吸着孔は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmに吸着ベルト69cが接触しているときに、バキューム装置69g(図6参照)の作動によって筒状フィルムFmを吸引する。図2では、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmに接触した状態のプルダウンベルト装置69を示しているが、図3では、吸着孔を露出させるために、メンテナンス時におけるチューブ13bから少し後側に離れた状態のプルダウンベルト装置69を示している。図3においては、一部の吸着孔のみを示しているが、実際には、吸着ベルト69cの全周面に均等に吸着孔が形成されている。そして、吸着ベルト69cは、筒状フィルムFmとなったフィルムFの幅方向(搬送方向に直交する方向)の中央部分に接触して、搬送方向(下向き)に力を作用させることになる。
【0061】
上下に離れた2つのローラ69a,69bに掛け渡された吸着ベルト69cは、駆動モータ69dと、その駆動力をローラ69bに伝えるプーリー69eおよびベルト69fとの働きによって、周回する。これにより、吸着ベルト69cのうち筒状フィルムFmに接触している部分が下方に移動し、筒状フィルムFmが下に引っ張られる。
【0062】
なお、プルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cを周回させる駆動源である駆動モータ69dは、サーボモータであり、上述のフィルム貯留部70の可動ローラ71を持ち上げるための駆動源としても利用されている。このように、本実施形態に係る製袋包装機3では、駆動モータ69dが作動すると、プルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cが周回すると同時に、フィルム貯留部70の可動ローラ71が持ち上がる(図4および図5の矢印A11を参照)。すなわち、プルダウンベルト装置69において吸着ベルト69cを動かす機構と、フィルム貯留部70において可動ローラ71を持ち上げる機構とは、機械的に連動している。
【0063】
〔制御部〕
制御部90は、計量機2の制御および製袋包装機3の制御を行うものであって、CPU、ROM、RAMなどから構成されている。制御部90は、図1に示す操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8から入力された操作や設定に従って、フィルム搬送機構6の駆動モータ69d、バキューム装置69g、電磁クラッチ77およびフィルム繰り出しモータ87や、製袋包装機構5の各装置の駆動部分などを制御する。また、制御部90は、計量機2のフィーダ、プールホッパ24、計量ホッパ25などの駆動を制御する。さらに、制御部90は、計量機2および製袋包装機3にある各種センサから必要な情報を取り込み、その情報を各種制御において利用する。
【0064】
また、制御部90は、連続的に計量および製袋包装を行う連続運転制御に加え、間欠的に計量および製袋包装を行う間欠運転制御を行うことができる。間欠運転制御では、製袋包装機3において、フィルム搬送機構6から間欠的にフィルムFが製袋包装機構5へと供給され、製袋包装機構5において袋Bが間欠的に製造される。
【0065】
〔フィルム搬送機構に対する間欠運転制御〕
次に、間欠運転制御のうち、本発明のポイントであるフィルムFの搬送に関する制御について詳述する。
【0066】
間欠運転制御では、製袋包装機構5へのフィルムFの搬送が休止している搬送休止状態と、製袋包装機構5へフィルムFが搬送されている搬送状態とが、交互に繰り返される。搬送休止状態においては、プルダウンベルト装置69が止まっており、フィルム繰り出し部80が作動してフィルム貯留部70にフィルムFが貯留される。一方、搬送状態においては、フィルム繰り出し部80が止まっており、プルダウンベルト装置69がフィルムFを引っ張るとともにフィルム貯留部70が貯留されているフィルムFを吐き出すことで、1回分のフィルムFの搬送が為される。フィルム貯留部70は、搬送休止状態において、少なくとも1回分のフィルムFの貯留を行うことになる。
【0067】
<搬送状態におけるフィルム搬送機構に関する間欠運転制御>
上述のように、搬送状態においては、フィルム繰り出し部80が止まり、プルダウンベルト装置69およびフィルム貯留部70が動くように制御される。制御部90は、まず、搬送開始の直前に、電磁クラッチ77をONにする。その後、搬送開始時において、制御部90が駆動モータ69dを作動させると、吸着ベルト69cが周回し始め、フィルムFが吸着ベルト69cとともに下方に移動を始める。これと同時に、駆動モータ69dの作動によってフィルム貯留部70の可動ローラ71が持ち上がり始め、フィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出しが始まる。但し、フィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出し動作は、フィルム貯留部70からフィルムFが押し出される状態を創出することを意味するのではなく、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り動作に応じて可動ローラ71が上昇することでフィルム貯留部70からフィルムFが出やすくなる状態を創出することを意味する。
【0068】
なお、搬送状態において、プルダウンベルト装置69では、バキューム装置69gによる吸着作用が吸着ベルト69cに生じている。
【0069】
また、搬送状態においては、フィルム貯留部70からプルダウンベルト装置69へ向けたフィルムFの吐き出し量と、プルダウンベルト装置69におけるフィルムFの引っ張り量とが、常に一致する。すなわち、プルダウンベルト装置69におけるフィルムFの引っ張り量と、フィルム貯留部70において可動ローラ71が上昇することで生じるフィルムFの搬送経路の短縮量とが、常に一致するようになっている。したがって、搬送状態におけるフィルム貯留部70とプルダウンベルト装置69との間のフィルムFにかかっている張力は、搬送状態の直前においてフィルムFにかかっている張力と同じであり、搬送休止状態から搬送状態に移行する際にフィルムFの張力が変化しない。
【0070】
フィルム貯留部70には、1回の搬送分以上のフィルムFの貯留が為されているため、フィルムFの吐き出しによってフィルム貯留部70におけるフィルムFの貯留量が減少するが、搬送状態においてフィルムFの張力が増加する現象は生じない。
【0071】
なお、搬送開始の直前および搬送状態におけるフィルムFの張力は、ゼロあるいはゼロに近い値にセットされている。このため、フィルム貯留部70の可動ローラ71の上面とフィルムFの下面とは、接触しているものの、可動ローラ71の自重による下向きの力はフィルムFに殆ど作用しない。但し、可動ローラ71は、フィルムFをガイドする役割は果たしており、フィルム貯留部70とプルダウンベルト装置69との間でフィルムFがたるまないようになっている。
【0072】
1回の搬送分のフィルムFが搬送されると、制御部90は、駆動モータ69dを止める。これにより、プルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cの動きが止まるとともに、フィルム貯留部70の可動ローラ71の上昇も止まる。このようにして搬送状態から搬送休止状態に移行した後、制御部90は、フィルム貯留部70の電磁クラッチ77をOFFにするとともに、フィルム繰り出し部80のフィルム繰り出しモータ87を作動させる。すると、可動ローラ71が、フィルムFを自重によって下向きに押しながら、図5(a)の状態から図5(b)の状態へと移行していく(図4および図5の矢印A12参照)。このとき、フィルムロール6bからはフィルムFが繰り出される。フィルム繰り出しモータ87は、可動ローラ71を支えるローラ支持レバー72がストッパー79に当たって所定量のフィルムFがフィルム貯留部70に貯留される(図5(b)参照)ように、フィルムロール6bから所定量だけフィルムFを繰り出させる。この結果、搬送開始の前においては、フィルム貯留部70にフィルムFが最大まで貯留された状態になり、その後、上述の搬送開始の直前の電磁クラッチ77をONする制御を迎えることになる。
【0073】
なお、ローラ支持レバー72の基端部の回転角度を検知するロータリーエンコーダ78がフィルム貯留部70に設置されているが、ここでは、可動ローラ71の上昇量や下降量を確認的に監視するために使用されている。
【0074】
〔本実施形態に係る製袋包装機の特徴〕
(1)
従来、フィルムを間欠搬送する機能を持つ製袋包装機では、プルダウンベルト装置でフィルムを引っ張って搬送を行う際、ベルトとフィルムとの間でスリップが生じ、精度よくフィルムを送れないことがあった。これは、フィルムFの張力を監視しつつ、その張力に変化があったときに張力の増減分を打ち消すように作動するフィルム張力調整機構が存在していても、搬送休止状態から搬送状態に移行する際などに必ずフィルムの張力が変化(増加)してしまうために、必然的に生じる可能性がある現象であった。
【0075】
そして、従来においても、このような問題を解消するために、ベルト形状や長さの改変、バキューム装置の搭載、ベルトの材質改善など、様々な対策が採られていた。しかし、十分にスリップ現象を抑えられなかったり、コストが大きくなったりしていた。さらに、スリップすることを前提として、制御的にフィルムの送り量を補正するようなことも行われているが、制御ソフトが複雑になるといったデメリットがある。
【0076】
これに対し、本実施形態に係る製袋包装機3では、プルダウンベルト装置69において吸着ベルト69cを動かす機構と、フィルム貯留部70において可動ローラ71を持ち上げる機構とを、機械的に連動させている。これにより、搬送休止状態から搬送状態に移行するときに、吸着ベルト69cの周回およびそれに伴うプルダウンベルト装置69のフィルムFの引っ張り動作と、フィルム貯留部70の可動ローラ71の上昇動作とが、同時に始まる。したがって、搬送時のフィルムFの張力が搬送前の張力を超えることがなくなり、より詳細に言えば、搬送休止状態から搬送状態に移行する際にフィルムFの張力が変化せず、プルダウンベルト装置69において吸着ベルト69cとフィルムFとの間でスリップ現象が生じることがなくなっている。
【0077】
(2)
また、本実施形態に係る製袋包装機3では、駆動モータ69dの駆動力を吸着ベルト69cに伝える機構(プーリー69eやベルト69f)と、駆動モータ69dの駆動力を可動ローラ71を支持するローラ支持レバー72に伝える機構(プーリー75a,75bやベルト76a,76b)とを適切に設計し、搬送状態において、フィルム貯留部70からプルダウンベルト装置69へ向けたフィルムFの吐き出し量と、プルダウンベルト装置69におけるフィルムFの引っ張り量とが、常に一致するようにしている。すなわち、搬送時に、フィルムFの引っ張り量と同じ量だけ、フィルム貯留部70からフィルムFが吐き出される。
【0078】
このため、搬送状態において、フィルム貯留部70とプルダウンベルト装置69との間のフィルムFにかかっている張力が変化せず、搬送開始から搬送終了までの間ずっと、スリップ現象が生じない。
【0079】
(3)
また、本実施形態に係る製袋包装機3では、フィルム貯留部70の可動ローラ71を上昇させるための駆動源として駆動モータ69dを用いるとともに、その駆動モータ69dを、プルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cを周回させるための駆動源として用いている。そして、可動ローラ71の上昇動作と吸着ベルト69cの周回動作とが機械的に連動する構成を採っているため、プルダウンベルト装置69の引っ張り量とフィルム貯留部70の貯留フィルムの吐き出し量とを一致させることが確実にできている。コスト的にも、フィルム貯留部70とプルダウンベルト装置69とでサーボモータを共通化しており、製袋包装機3が高価になることが抑えられている。
【0080】
(4)
また、本実施形態に係る製袋包装機3では、搬送前の搬送休止状態から搬送時の搬送状態への移行時においてフィルムFの張力が増加しないため、プルダウンベルト装置69で必要とされるフィルムFを引っ張る力を小さく抑えることができている。これを利用して、製袋包装機3では、従来よく見られる、筒状フィルムFmの左右両方の2カ所においてフィルムを引っ張る構成に代えて、図1および図2に示すように、筒状フィルムFmの後側1カ所においてフィルムの中央部分を引っ張る構成を採用している。
【0081】
これにより、プルダウンベルト装置69の製造コストを下げるとともに、フィルムFの蛇行を抑える効果も得ている。
【0082】
(5)
また、本実施形態に係る製袋包装機3では、搬送開始の直前および搬送状態におけるフィルムFの張力を、ゼロあるいはゼロに近い値にセットしている。これにより、スリップ現象がより抑制されるとともに、プルダウンベルト装置69がフィルムFを引っ張るときに要する力を小さく抑えている。さらに、これによって、フィルムFを送るのに要する時間を短縮することや、バキューム装置69gの真空ポンプの容量を小さくすることが可能になる。吸着ベルト69cについても、フィルムFの張力がゼロに近くなれば、摩耗が抑えられて耐久性が向上する。
【0083】
〔変形例〕
(A)
上記実施形態では、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り量とフィルム貯留部70によるフィルムFの吐き出し量とが一致するようにしているが、他のガイド部材などによってフィルムFの蛇行が抑えられるのであれば、フィルムFの引っ張り量よりもフィルムFの吐き出し量のほうが大きくなるように設計することも考えられる。
【0084】
しかし、フィルムFの蛇行を防ぐ観点からは、フィルムの引っ張り量をフィルムの供給量と一致させる、あるいは、フィルム貯留部70のフィルムの吐き出し量よりもプルダウンベルト装置69のフィルムの引っ張り量のほうを若干大きくする設計が望ましい。
【0085】
(B)
上記実施形態では、プルダウンベルト装置69にバキューム装置69gを配備し、筒状フィルムFmが吸着ベルト69cに吸着されるように設計している。
【0086】
しかし、ここでは、上述のように、フィルム貯留部70からプルダウンベルト装置69へ向けたフィルムFの吐き出し量と、プルダウンベルト装置69におけるフィルムFの引っ張り量とが、常に一致するように製袋包装機3を設計しており、吸着ベルト69cとフィルムF(筒状フィルムFm)との間でスリップ現象が生じる恐れが殆どなくなっているので、バキューム装置69gの設置を省略することも可能である。
【0087】
(C)
上記実施形態では、フィルム貯留部70の可動ローラ71の上昇動作とプルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cの周回動作とが機械的に連動する構成を採り、駆動源である駆動モータ69dをフィルム貯留部70およびプルダウンベルト装置69で共用しているが、可動ローラ71を持ち上げるための第1サーボモータと、吸着ベルト69cを周回させるための第2サーボモータとを別々に配備することも可能である。
【0088】
この場合には、第1サーボモータの駆動力を可動ローラ71の上昇動作に変換する機構と、第2サーボモータの駆動力を吸着ベルト69cの周回動作に変換する機構とがリンクしなくなるため、両者の動きを連動させるために、制御部90が適切な間欠搬送制御を行うことが必要になる。
【0089】
このような構成の場合にも、制御部90が搬送開始時に両サーボモータを同時に作動させる制御を行うとともに、両サーボモータの速度制御によって、フィルム貯留部70からプルダウンベルト装置69へ向けたフィルムFの吐き出し量と、プルダウンベルト装置69におけるフィルムFの引っ張り量とが一致するようにすれば、上記実施形態の特徴(1)や(2)のメリットを得ることができる。
【0090】
また、制御部90は、搬送時において、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り量が、フィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出し量よりも大きくならないように、第1および第2サーボモータを速度制御する。この制御によれば、搬送時においてフィルムFの張力が増加することがなくなり、スリップ現象が確実に抑えられる。
【0091】
また、制御部90は、搬送休止状態から搬送状態へ移行するときに、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り動作の開始の直前に、フィルム貯留部70において貯留されているフィルムFの吐き出し動作を開始させることもできる。この制御では、搬送休止状態のフィルム貯留部70へのフィルムFの貯留動作において過剰張力がフィルムFに作用するようなことがあっても、その過剰張力を搬送開始の直前(プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り動作の開始の直前)において解消することが可能となる。この制御を行った場合、貯留動作でフィルムFに過剰張力がかかったとしても、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り動作およびフィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出し動作が行われて搬送状態に移行するときには、フィルムFの張力がゼロに近い値になる。
【0092】
(D)
上記実施形態では、フィルム貯留部70の可動ローラ71の上昇動作とプルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cの周回動作とが機械的に連動する構成を採り、駆動源である駆動モータ69dをフィルム貯留部70およびプルダウンベルト装置69で共用しているが、可動ローラ71を持ち上げるためのアクチュエータとして、駆動モータ69dではなくエアーシリンダーや油圧シリンダーを採用することも可能である。
【0093】
図7に、可動ローラ71を持ち上げるためにエアーシリンダー177を採用したフィルム貯留部170を示す。フィルム貯留部170では、可動ローラ71の左右両端が、それぞれ、ローラ支持レバー72の先端部に軸支持されている。ローラ支持レバー72は、その基端部が、ピン部材72aを介して固定部材72bに軸支持されている。固定部材72bは、製袋包装機3のフレームに固定される。したがって、可動ローラ71は、ローラ支持レバー72の基端部を中心に回転自在に支持された状態となっており、自重やローラ支持レバー72の重量などをフィルムFに下向きに作用させることになる。これにより、フィルムFには、搬送休止状態において、所定の張力が発生することがある。
【0094】
エアーシリンダー177は、ロッド174と、シリンダー175とから構成されている。ロッド174は、シリンダー175と一対のものであり、シリンダー175から延び、その先端がピン部材173を介してローラ支持レバー72の中間部に回転自在に連結されている。シリンダー175は、ピン部材178を介して固定部材179に軸支持されている。固定部材179も、固定部材72bと同様に、製袋包装機3のフレームに固定されている。また、シリンダー175の上部には、スピードコントローラ176が配備されている。
【0095】
ここでは、図示しないフィルム張力検出装置を使って検知したフィルムFの張力が搬送休止状態において所定値を超えている場合に、制御部90が、搬送開始の直前に、プルダウンベルト装置69を止めたまま、フィルム貯留部170のエアーシリンダー177を制御することで、可動ローラ71を少しだけ持ち上げる。これによって、フィルムFにかかっている張力が、ゼロあるいはゼロに近い値になる。可動ローラ71の持ち上げ量については、検知されたフィルムFの張力を基に制御部90が決定し、エアーシリンダー177の作動中に、ローラ支持レバー72の基端部の回転角度を検知するロータリーエンコーダ78を用いて確認する。これにより、搬送開始の時点で、フィルムFは概ねフリーの状態になり、可動ローラ71は、フィルムFに張力を作用させる機能を果たさない状態となり、フィルムFのガイド部材としてだけ働く状態になる。
【0096】
そして、この状態から搬送状態に移行するときに、制御部90は、プルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り量とフィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出し量とが一致するように、駆動モータ69dおよびエアーシリンダー177を制御する。ここでは、駆動モータ69dは、プルダウンベルト装置69の吸着ベルト69cを周回させるためだけのアクチュエータとなっている。
【0097】
制御部90からエアーシリンダー177に作動指令が送られると、エアーシリンダー177が作動して、ロッド174が上向きに移動する。すると、ローラ支持レバー72が図7の矢印A11の方向に旋回し、可動ローラ71が上に移動する。このとき、ロッド174の上向きの移動に応じてシリンダー175の内部から外部へと出ようとする空気が、スピードコントローラ176において抵抗を受け、ロッド174の移動速度が調整される。
【0098】
搬送が終了すると、制御部90から駆動モータ69dおよびエアーシリンダー177に指令が送られ、吸着ベルト69cの周回動作および可動ローラ71の上昇動作が停止する。その後、搬送休止状態において、エアーシリンダー177のロッド174が、可動ローラ71の自重やローラ支持レバー72の重量によって、図7の矢印A12に示すように下降する。エアーシリンダー177は、可動ローラ71の下向きの移動に対して殆ど抵抗力を作用させないものとなっている。このため、可動ローラ71は、フィルムロール6bからのフィルムFの繰り出しに従って、スムーズに下降していく。
【0099】
なお、エアーシリンダー177を用いる場合、制御指令に対するレスポンスが遅いことも考えられるため、搬送開始の直前において、フィルムFの張力が所定値を超えていない場合であっても、プルダウンベルト装置69を止めたままフィルム貯留部170のエアーシリンダー177を制御して可動ローラ71を少しだけ持ち上げ、フィルムFにかかっている張力を低減しておくことが望ましい。こうしておけば、搬送開始時においてプルダウンベルト装置69によるフィルムFの引っ張り動作がフィルム貯留部70からのフィルムFの吐き出し動作よりも先行してしまう現象が生じても、搬送時のフィルムFに過剰な張力がかかってしまうことが回避できる。
【0100】
(E)
上記実施形態では、本発明の縦型の製袋包装機に適用しているが、横型の包装装置に対しても同様に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルム搬送機構を含む製袋包装機および計量機の外観斜視図。
【図2】フィルム搬送機構の一部および製袋包装機構を示す概略斜視図。
【図3】フィルム搬送機構の主要部分の概略斜視図。
【図4】プルダウンベルト装置およびフィルム貯留部の動きや駆動源を示す図。
【図5】フィルム貯留部の可動ローラの動きを示す図。
【図6】製袋包装機の制御ブロック図。
【図7】変形例(D)のフィルム貯留部のエアーシリンダーおよび可動ローラの動きを示す図。
【符号の説明】
【0102】
3 製袋包装機
5 製袋包装機構
6 フィルム搬送機構
6b フィルムロール
60 フィルム供給部
69 プルダウンベルト装置(フィルム引っ張り部)
69c 吸着ベルト(接触部材)
69d 駆動モータ(移動手段;ローラ移動手段;駆動源)
70 フィルム貯留部
71 可動ローラ
77 電磁クラッチ
80 フィルム繰り出し部
87 フィルム繰り出しモータ
90 制御部
177 エアーシリンダー(ローラ移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、
搬送上流側においてフィルムを供給するフィルム供給部と、
搬送下流側においてフィルムに接触してフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部と、
搬送時において、前記フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り量が、前記フィルム供給部によるフィルムの供給量よりも大きくならないように、前記フィルム引っ張り部及び前記フィルム供給部を制御する制御部と、
を備えた包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項2】
前記制御部は、搬送時において、少なくとも前記引っ張り量と同じ量だけフィルムが供給されるように、前記フィルム供給部を制御する、
請求項1に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項3】
前記フィルム供給部は、
フィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、
前記フィルム引っ張り部と前記フィルム繰り出し部との間に配置され、少なくとも1回の搬送量のフィルムを貯留可能なフィルム貯留部と、
を有しており、
前記制御部は、搬送時において、少なくとも前記引っ張り量と同じ量だけ、前記フィルム貯留部に貯留されているフィルムが吐き出されて前記フィルム引っ張り部のほうへ供給されるように、前記フィルム貯留部を制御する、
請求項2に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項4】
前記フィルム貯留部は、
フィルムに接触してフィルムを移動させるローラと、
前記ローラを移動させるローラ移動手段と、
を有しており、前記ローラの移動量に応じてフィルムの貯留量が変化し、
前記制御部は、前記フィルム貯留部に貯留されているフィルムを吐き出させるときに、前記ローラ移動手段を制御して前記フィルム貯留部におけるフィルムの貯留量を減少させる、
請求項3に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項5】
前記ローラは、自重によってフィルムに下向きの力を加えるものであり、
前記ローラ移動手段は、前記ローラの重力に反して前記ローラに上向きの力を作用させるものである、
請求項4に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項6】
前記フィルム引っ張り部は、
フィルムに接触する接触部材と、
前記接触部材をフィルムの搬送方向に沿って移動させる移動手段と、
を有しており、
前記制御部は、搬送時において、前記フィルム引っ張り部の移動手段を作動させると同時に、前記ローラ移動手段を作動させる、
請求項4又は5に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項7】
前記フィルム引っ張り部は、
フィルムに接触する接触部材と、
前記接触部材をフィルムの搬送方向に沿って移動させる移動手段と、
を有しており、
前記フィルム引っ張り部の移動手段と、前記ローラ移動手段とは、連動する、
請求項4又は5に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項8】
包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、
搬送上流側においてフィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、
搬送下流側においてフィルムに接触してフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部と、
前記フィルム繰り出し部と前記フィルム引っ張り部との間に配置され、少なくとも1回の搬送量のフィルムを貯留可能なフィルム貯留部と、
搬送時のフィルム張力が搬送前のフィルム張力を超えないように、前記フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作と、前記フィルム貯留部に貯留されているフィルムの吐き出し動作と、を制御する制御部と、
を備えた包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項9】
包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、
搬送上流側においてフィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、
搬送下流側においてフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部と、
前記フィルム繰り出し部と前記フィルム引っ張り部との間に配置され、フィルムに接触してフィルムを移動させるローラを有し、前記ローラの移動によってフィルムの貯留及び吐き出しを行わせるフィルム貯留部と、
搬送休止状態から搬送状態へ移行するときに、前記フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作の開始と同時に、あるいは、前記フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作の開始の直前に、前記フィルム貯留部において前記ローラを移動させて貯留されているフィルムの吐き出し動作を開始させる制御部と、
を備えた包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項10】
前記フィルム貯留部は、前記ローラの移動によって、フィルムの搬送経路を長くしたり短くしたりすることで、フィルムの貯留及び吐き出しを行わせる
請求項9に記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項11】
前記フィルム繰り出し部は、前記フィルム貯留部から前記フィルム引っ張り部へのフィルムの吐き出しが行われていないときに、前記フィルム貯留部にフィルムが貯留されるようにフィルムを繰り出す、
請求項3から10のいずれかに記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項12】
前記フィルム引っ張り部は、フィルムの幅方向の略中央部分に接触してフィルムを引っ張る、
請求項1から11のいずれかに記載の包装装置のフィルム搬送機構。
【請求項13】
包装装置においてフィルムを間欠搬送するためのフィルム搬送機構であって、
搬送上流側においてフィルムを繰り出すフィルム繰り出し部と、
搬送下流側においてフィルムを引っ張るフィルム引っ張り部と、
前記フィルム繰り出し部と前記フィルム引っ張り部との間に配置され、フィルムに接触してフィルムを移動させるローラを有し、前記ローラの移動によってフィルムの貯留及び吐き出しを行わせるフィルム貯留部と、
を備え、
前記フィルム引っ張り部においてフィルムを引っ張るための駆動力と、前記フィルム貯留部において前記ローラを移動させるための駆動力とは、同じ駆動源から供給されており、
前記フィルム引っ張り部によるフィルムの引っ張り動作と、前記フィルム貯留部によるフィルムの吐き出し動作とは連動している、
包装装置のフィルム搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−202286(P2010−202286A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148212(P2007−148212)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】