説明

包装装置

【課題】家電機器などの包装対象物を梱包する包装装置のうち、側面縦稜線部を保護するコーナー保護部材を有するものについて、再梱包時など、上部開口部が封口されたり上部開口部自体がない包装箱本体を後から被せるようにする梱包の作業性の改善を図る。
【解決手段】コーナー保護部材7を底部保護部材3に嵌合させて固定することで、再梱包時など、ステープル12にて封口された包装箱本体5を被せるように梱包するときに、コーナー保護部材7が外れるなどして不安定になるのを防ぎ、作業性を改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器などの包装対象物を梱包する包装装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気機器などの製品を輸送・保管する場合においては、機器本体に傷がつくことや、落下した場合の損傷を防止するため、各種緩衝材を機器とともにダンボール箱に収納して梱包されている。
【0003】
従来の一般的な包装の形態を図7に示す。一般的に、重量のある機器は、梱包および開梱が容易に行えるように、電気機器などの包装対象物101を緩衝材を備えた底部保護部材102に載置し、上から段ボール箱103を被せると共に、上面に上部緩衝材104を設けて梱包する形態が採られている。また、包装対象物が洗濯機や食器洗い機などのように縦長の商品を包装する際には、輸送トラックからの積み下ろしなどの荷扱いの際に、製品縦稜部に衝撃が加わり打痕が発生するのを防ぐため、発泡スチロール等で形成されたコーナー保護部材105を設けるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
包装の手順としては、まず、前述のように包装対象物101を底部保護部材102に載置する。次に、包装対象物101の上面から包装箱本体の段ボール箱103を被せる。段ボール箱103は上部および下部に開口部を有している。また、上開口部には開口部を閉口できるようにフラップを設けている。次に、上面開口部からコーナー保護部材105、上部保護部材104の順に所定通りセットする。次に、上開口部のフラップを折りたたみ、ステープルでフラップを固定する。最後に、テープをかけて梱包を完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭60−014703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の構成では、梱包終了後、一度開梱して再度梱包する必要が生じた場合、梱包作業性が著しく低下するという課題を有していた。
【0007】
一度開梱して、再度梱包する場合、前述の通り上開口部についてはステープルを用いて閉口されているためフラップを開くことができない。ステープルを外せばフラップを開くことができるが、その場合は包装箱本体の段ボール箱にステープルを外した跡が残ってしまい、外観が著しく低下する。また、再梱包を行う場所が製造工場等ステープルを打ち込む装置(ステープラー)があればよいが、それ以外の場所でステープラーを調達するのは難しい。
【0008】
したがって、再梱包の際には包装対象物を底部保護部材に載置した後、予めコーナー保護部材および上部保護部材をセットした上で、上部から既に上開口部をステープルにて閉口された包装箱本体を被せるという手順をとるのが一般的である。しかしながら、包装箱本体を被せる際、コーナー保護部材は底部保護部材の上に仮置きされただけの状態であり非常に不安定なため、作業者一人で際梱包を行うのは困難であった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、コーナー保護部材を底部保護部材に嵌合して固定させることで梱包時の作業性を向上させるためのもので、特にステープルにて閉口
された包装箱本体を被せるようにする梱包時の作業性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の包装装置は、包装対象物の下面を保護する底部保護部材と、側面稜線部を保護するコーナー保護部材と、上開口部にフラップを有する包装箱本体を備え、前記コーナー保護部材は前期底部保護部材に嵌合させることで固定できる構成としたものである。これにより、包装装置を一度開梱した後など、ステープルにて閉口された包装箱本体を被せるようにして梱包する時の作業性を大幅に改善させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装装置によれば、コーナー保護部材を底部保護部材に固定することができるため、一度開梱した後など、ステープルにて閉口された包装箱本体を被せるようにして梱包を行う場合の作業性を従来の構成に比べて大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における包装装置の分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態における包装装置の包装完了状態の斜視図
【図3】本発明の実施の形態における包装装置の断面図
【図4】本発明の実施の形態における包装装置の底部保護部材の要部斜視図
【図5】本発明の実施の形態における包装装置の底部保護部材の要部平面図
【図6】本発明の実施の形態における包装装置の底部保護部材の要部平面図
【図7】従来の包装装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、家電機器等の包装対象物を梱包する梱包材において、包装対象物の下面を保護する底部保護部材と、側面稜線部を保護するコーナー保護部材と、上開口部にフラップを有する包装箱本体を備え、コーナー保護部材は底部保護部材に嵌合させることで固定させる構成としたもので、ステープルにて閉口された包装箱本体を被せるようにする梱包時の作業性を向上させることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の構成において底部保護部材は、ダンボール製トレーおよび底部保護部材の少なくとも2部品から構成され、コーナー保護部材は前記ダンボール製トレーおよび底部保護部材に挟み込むことで固定されることを特徴としたもので、コーナー保護部材を底部緩衝材のみに嵌合固定する構成の場合に、底部緩衝材の嵌合部近傍の強度が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1あるいは第2の発明において、梱包完了状態において、包装箱本体の下端は底部保護部材の側面を覆う構成であることを特徴としたもので、包装対象物を露出させることなく完全に覆うことができるため、側面方向からの衝撃による打痕や埃等の付着を防ぐことができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態における包装装置の分解斜視図、図2は同包装装置の包装完了状態の斜視図であって、包装対象物1として食器洗い乾燥機を梱包する状態を示す。この包装装置2は、段ボール製のトレー4に発泡スチロール製の保護部材3aを設けた底部保護部材3に包装対象物1を載置し、上から包装箱本体5を被せて梱包する構造である。
図3は本発明の実施の形態における包装装置の断面図であり、包装箱本体5の下端は底部保護部材3の側面を覆う構成となっている。これにより、包装対象物1の外郭を包装装置2で完全に覆うことができる。
【0018】
包装対象物1の上部角部にはさらに、発泡スチロール製の上部保護部材6を、食器洗い乾燥機の側面縦稜線部1aにはコーナー保護部材7を設けている。コーナー保護部材7の下端には、L字形状をした嵌合突起13が設けられている。また、包装箱本体5の上開口部5aの四辺からはフラップ8が延設されており、折りたたむことで上開口部5aを閉じることができる。
【0019】
ここで、底部保護部材3の保護部材3aとトレー4の構成について詳しく説明する。図4は本発明の実施の形態における包装装置の底部保護部材の要部斜視図、図5、図6は同包装装置の底部保護部材の要部平面で、コーナー保護部材7の嵌合突起13の挿入穴11の構成を示す。図4において、保護部材3aに係合突起9が前後に設けられている。トレー4の前後には係合穴10が設けられており、保護部材3aを所定にセットすると係合突起9は係合穴10に嵌合し、固定される。保護部材3aのコーナー部にはL字状の除肉部3bが形成されており、保護部材3aとトレー4とが組み合わされると図5に示されるように前両コーナー隅にはコーナー保護部材7の嵌合突起13を挿入することができる挿入穴11が形成される。挿入穴11にコーナー保護部材7の嵌合突起13を挿入することによって、コーナー保護部材7を位置決めして固定することができる。
【0020】
コーナー保護部材7を固定する方法として、例えば図6に示すように保護部材3aそのものに挿入穴11を構成する方法でも構わない。しかしこの場合、挿入穴11を形成することで、コーナー部の肉厚(t)が薄くなってしまい、薄肉部の強度低下が懸念される。強度を確保するために肉厚(t)を増やすと、その分だけ包装箱本体5を含めた包装装置2全体のサイズがアップしてしまい、コストアップの要因になる。したがって、図5で示した構成の方が、強度面・コスト面で有利といえる。なお、本実施の形態ではコーナー保護部材7を側面縦稜線部1aのうち前部稜線の2箇所のみに設けたが、必要に応じて後部稜線に同様のコーナー保護部材を設けても良い。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態における包装装置を用いた際の梱包手順について、初期梱包と再梱包に分けて説明する。
【0022】
まず、初期梱包は、トレー4に保護部材3aをセットして底部保護部材3を構成した後、包装対象物1を載置する。次に、包装対象物1の上方から包装箱本体5を被せ、さらに包装箱本体5の上開口部5aからコーナー保護部材7の嵌合突起13を挿入穴11に挿入して底部保護部材3に固定し、上部保護部材6を挿入セットする。最後に、フラップ8を折りたたみステープル12を打って上開口部5aを封口した後、テープ14を掛けて梱包が完了する。コーナー保護部材7が底部保護部材3に固定されることにより、上部保護部材6のセットも容易である。
【0023】
次に、一度開梱した後に再梱包する時の手順について説明する。トレー4に保護部材3aをセットした後、包装対象物1を載置するまでの手順は、初期梱包時と同じである。しかし、再梱包時においては、包装箱本体5の上開口部はステープル12にて封口されているため、コーナー保護部材7や上部保護部材6を包装箱本体5よりも後からセットすることができない。
【0024】
そこで、まずコーナー保護部材7の嵌合突起13を底部保護部材3の挿入穴11に挿入して固定する。このような固定手段がない場合においては、コーナー保護部材7を安定してセットすることができないため、単一作業者での再梱包は非常に難しくなる。次に、包
装対象物1上面に上部保護部材6をセットし、最後に包装箱本体5を上方から被せることで、再梱包が完了する。このように、従来の構成では外れるなどして不安定であったコーナー保護部材を固定可能とすることで、再梱包時の作業性を改善することができる。
【0025】
また、前述のように、包装箱本体5の下端は底部保護部材3の側面を覆い包装対象物1を完全に覆う構成となっているため、梱包後はコーナー保護部材7の状態を確認することができない。このような構成においても、本発明によればコーナー保護部材7は予め所定の場所に固定されているため、ステープル12にて封口された包装箱本体5を後から被せるようにする再梱包などにおいて保護部材の位置ずれなどの問題を回避することができ、梱包時の作業性を改善することができる。
【0026】
なお、本発明の構成は、上部開口部がステープル等にて封口された包装箱本体に限らず、上部開口部自体がなくて被せるようにする包装箱本体の梱包においても同様の効果を奏するのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかる包装装置は、コーナー保護部材を底部保護部材に固定することができるため、一度開梱した後、再梱包を行う場合などの、ステープルにて閉口された包装箱本体を後から被せるようにする梱包における作業性を従来の構成に比べて大幅に改善することができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 包装対象物
1a 側面縦稜線部
2 包装装置
3 底部保護部材
3a 保護部材
4 トレー
5 包装箱本体
5a 上開口部
7 コーナー保護部材
8 フラップ
11 挿入穴
13 嵌合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器等の包装対象物を梱包する梱包装置において、前記包装対象物の下面を保護する底部保護部材と、前記包装対象物の側面縦稜線部を保護するコーナー保護部材と、上開口部にフラップを有する包装箱本体とを備え、前記コーナー保護部材は前記底部保護部材に嵌合させることで固定するようにしたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記底部保護部材は、トレーと保護部材とから構成され、前記コーナー保護部材は前記トレーと前記保護部材との間に形成された挿入穴により固定されることを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
梱包完了状態において、前記包装箱本体の下端は前記底部保護部材の側面を覆う構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−6635(P2012−6635A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144633(P2010−144633)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】