説明

包装部材

【課題】輸送時に製品が変形することを抑制した製品を包装する包装部材を提供すること。
【解決手段】本発明の包装部材は、略直方体である製品1上面にあって側面側に張り出した包装天カバー7と、製品1の側面を覆う側面カバー10と、製品1の底面を固定する包装用固定台9と、包装天カバー7と包装用固定台9を締結する輪状の包装用バンドとを備え、包装天カバー7と製品1との間に剛性のある補強板を介して、包装天カバー7を製品1上面に取り付けることにより、天部側の稜および角を補強することで、製品天部の局所応力に対する緩衝性能を確保し、なおかつ、包装天カバーの厚みが薄くでき包装高さをより低くすることで、運搬作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ給湯機の貯湯ユニットなどの背高さのある重量物製品の包装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の包装部材は、図7に示すものである(例えば、特許文献1参照)。図7に示す包装部材は、包装天カバー42と、包装天カバー42を支える包装支柱43と、製品44の側面を覆う包装側面カバー45と、包装固定台46とを備えている。そして、包装支柱43は断面がL字形で製品に角付けされ上からの荷重をささえるよう補強されており、倉庫での多段積みができるようになっている。
【特許文献1】特開2002−347880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、運搬用車両の積載高さ制限の問題や、荷台や倉庫の天井高さの関係から、背高さのある製品は包装天カバー42に充分な厚みが確保できないため、製品天部の緩衝性能が低下するという課題があった。
【0004】
車両の荷台では、転倒防止のために天部にロープを掛けて縛る場合が多く、ロープによる局所応力で製品が変形するという不具合があった。
【0005】
また、製品が転倒した場合でも、天面周囲の稜線や角が壁面に衝突するなどして製品が変形するという不具合が生じていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、輸送時に製品が変形することを抑制した製品を包装する包装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明の包装部材は、略直方体である製品上面にあって側面側に張り出した包装天カバーと、前記製品の側面を覆う側面カバーと、前記製品の底面を固定する包装用固定台と、前記包装天カバーと前記包装用固定台を締結する輪状の包装用バンドとを備え、前記包装天カバーと前記製品との間に剛性のある補強板を介して、前記包装天カバーを前記製品上面に取り付けることにより、天部側の稜および角を補強することで、製品天部の局所応力に対する緩衝性能を確保し、なおかつ、包装天カバーの厚みが薄くでき包装高さをより低くすることで、運搬作業性を向上することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、輸送時に製品が変形することを抑制した製品を包装する包装部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明の包装部材は、略直方体である製品上面にあって側面側に張り出した包装天カバーと、前記製品の側面を覆う側面カバーと、前記製品の底面を固定する包装用固定台と、前記包装天カバーと前記包装用固定台を締結する輪状の包装用バンドとを備え、前記包装天カバーと前記製品との間に剛性のある補強板を介して、前記包装天カバーを前記製品上面に取り付けることにより、天部側の稜および角を補強することで、製品天部の局所応力に対する緩衝性能を確保し、なおかつ、包装天カバーの厚みが薄くでき包装高さをよ
り低くすることで、運搬作業性を向上することができる。
【0010】
第2の発明の包装部材は、特に第1の発明において、前記包装天カバーと、前記補強板とを一体的に構成したことにより、包装材料の省資源化を実現することができる。
【0011】
第3の発明の包装部材は、特に第2の発明において、前記包装天カバーは、前記製品の4つの側面に対応するフラップを上下に有する1つの段ボ−ル箱からなり、上フラップは、90度内折りされて前記外箱の天面をなし、下フラップは、180度内折りされて2重の側面をなすとともに、さらに上フラップ折り曲げ位置で下方に折り、さらに、前記製品側面に前記下フラップの外方面が接するように上方に折ることで前記補強板を形成し、さらに下フラップが上フラップと突き当たる箇所にて上フラップと下フラップが密着するように折り曲げるとともに、異なる4つの側面の下フラップの端面同士が突き当たる箇所を設け、前記下フラップの折り曲げ角度が一定に保たれることにより、製品の側面側に張り出した包装天カバーは4面一体でかつ2重に構成しており、外部からの衝撃に対し非常に高い強度を得ることができる。また、部品点数が削減されて、組み立てが容易となっており生産性向上に寄与する。
【0012】
さらに、段ボ−ルの断面はハニカム構造であり、端面同士が合致した箇所は強度があって、包装天カバーに加わる衝撃は分散されて端面同士が合致した箇所に伝わることにより、製品にまで負荷がかからなくなるため、製品が変形する不具合が低減できる。また、包装天カバーを1つの段ボール箱から折り上げる際、材料の反発を抑えて成形するために粘着テ−プによる固定や専用道具を用意する必要があったが、異なる下フラップ同士が自身の反発力で互いに形状を保持するために、組み立てが容易となっており生産性向上に寄与する。
【0013】
さらに、包装天カバーの側面は2重に構成し強度があるため手穴を設けることができ、製品のハンドリング性能が向上して、転倒事故等の発生を低減することができる。
【0014】
第4の発明は、特に第3の発明において、前記補強板を形成する下フラップと前記天面を形成する上フラップに囲まれた空間には発泡樹脂性の緩衝材をそなえたことにより、そして、天面および側面に対する垂直な過重に対して緩衝性が向上し、製品を段積みしたり、横置きしたりする場合において緩衝性能が向上する。
【0015】
第5の発明は、特に第1〜4の発明において、包装天カバーは防水性と剛性のある段ボ−ル板を使用したことにより、稜線や角には剛性があるため前記包装天カバーの強度が確保できるだけでなく、天面および側面に対する垂直な過重に対しては緩衝性があり、製品を段積みしたり、横置きしたりする場合において緩衝性能が向上する。
【0016】
そして、雨天時など天部が水に濡れるようなことがあっても、緩衝性能が維持できるだけでなく、従来では不可能であった製品を屋外で横に寝かして保管することも可能となるが、これは包装天カバーの十分な強度により製品を支えることができるようになったことと、地面から水分を吸い上げることがなくなり、長時間の保管ができるようになったことによるものである。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における前方斜視構造展開図、図2は同上方断面図、図3は同包装天カバーの展開図、図4はA部拡大図、図5は実施の形態1における前方斜視構造組立図、図6は荷扱い時の形態図である。なお、図1〜図6において、本発明における製品として、背が高く略直方体形状のCO2ヒートポンプ給湯機の製品本体1を用いる。
【0018】
底部には平面形状の底板2と、アンカーボルト固定用の穴3−1を有した凸形脚3を有し、天部は側面全てを上方より覆い被せ、側面からネジにより固定する構成とする縁を有する天板4と、着脱可能で操作部5−1を有する前板5と、曲げ加工とネジにより固定した外装板7とを有した構成としている。また、天板4は製品本体1設置時には耐震用の固定金具を取り付けることができるよう板厚を厚めにした強度設計がされている。
【0019】
包装用天カバー7は製品本体1の天板4に嵌合している。9は包装用固定台でアンカーボルト固定用の穴3−1を利用し凸形脚3をボルトナット締結することにより製品本体1を載置する部材であり、木製材料で構成され、製品本体1落下時にかかる衝撃を緩衝するとともに、屋外の水分を含んだ土や砂利を有する地面に接地しても損傷することがないようにしている。
【0020】
両サイド板10は、側方の2面を覆って前後に突き出ており、それぞれが対向するよう構成されている。
【0021】
前後より対向して配置されたコ字型パネル11は、両サイド板10のものと重なるよう配置されたトッテ穴11−1を有している。
【0022】
上下方向から締結する輪状の包装用バンド12−1は、包装用固定台9と包装用天カバー7を上下方向より製品本体1に密着固定している。
【0023】
また側方より締結する輪状の包装用バンド12−2は、両サイド板10を覆うように前後より対向して締結している。
【0024】
トッテ穴11−1は、荷扱い者が手を掛けズラし移動作業するために使われるものであり、手の力をできるだけ効率よく伝えるため、輪状の包装用バンド12−2近傍に配置されており、その位置はちょうど人が立って作業する位置と、力を入れるために少しかがんだ位置の2か所設けている。これによって、バンドを掴んで作業することにより発生する切傷事故を防ぐことができる。また前後面と側方面がトッテ穴により一体化するため、包装部材が外れたりせず、運搬作業の安全、安定が実現できる。
【0025】
前板5には操作部5−1があり、操作部5−1の内部近傍には本体制御部品を有しており、一般的には運搬車両の荷台への横積み、荷台への当て作業は後ろ面で行うようになっており、L型補強板8を掴むことで作業性が向上するだけでなく、振動により発泡樹脂体が徐々に変形して起こる不具合を防止している。
【0026】
包装天カバー7は、製品本体1の4側面に対応する側面8の上下にフラップを有する1つの段ボ−ル箱からなり、上フラップ7−1は、上フラップ7−1と側面8との間にある境界線7−2で、90度内折りされて外箱天面を形成している。
【0027】
また、下フラップ7−11は、下フラップ7−11と側面8との境界線7−3で、180度内折りされて側面8と下フラップ7−4とで2重側面を形成している。
【0028】
そして、さらに下フラップ7−4を、境界線7−2に略近接する箇所で、境界線7−5を境に下方に折り曲げて下フラップ7−6を形成し、さらに下フラップ7−8が製品本体1と接するように境界線7−7で上方に折れることで、下フラップ7−6および下フラップ7−8で構成される補強板が形成される。
【0029】
そして、下フラップ7−8と上フラップ7−1とが突き当たる箇所7−9で下フラップ7−10と上フラップ7−1が密着するように折り曲げる。
【0030】
以上のような包装部材の構成で、とくに少ない人手の作業環境で問題となる運搬車両の荷台への製品積みおろし作業について説明する。
【0031】
昨今では設備工事は省力化がすすんでおり人手が少なく、背が高く重量物CO2ヒ−トポンプ給湯機などにおいても運搬はひとり作業が多いのが現状である。作業者はおおむね図6に示すように作業Aの要領で包装用天カバー7の手穴8−1を持って製品本体1を荷台から降ろしたり上げたりする。
【0032】
この時、製品本体1と荷台の接点部において、荷台よりaの力がかかってくるが、これはコ字型パネル11と両サイド板10の接合部により支えられ、製品1には応力が伝達されない構成となっている。
【0033】
また、作業者が万一の手滑りで作業Bの状態になると、反対面に大きな衝撃bがかかる。衝撃bは境界線7−5に発生するが、補強板が外箱天面部の変形を防止し、応力を分散して内箱に伝え、応力が局所集中して発生する製品本体1の変形を防止する。
【0034】
また、包装天カバー7は内箱と外箱を一体にしたことで、貼り合わせ部が少ないシンプルな構成となっており、非常に高い強度を得ることができる。また、部品点数が削減されて、組み立てが容易となっており生産性向上に寄与するだけでなく、包装材料の省資源化を実現している。
【0035】
さらに、側面8は2重で手穴8−1を設けることができ、製品のハンドリング性能が向上して、転倒事故等の発生を低減することができる。
【0036】
また、段ボ−ル箱を使用することで、折り曲げ部は剛性があるだけでなく、天面および側面に対する垂直な過重に対しては緩衝性があり、製品を段積みしたり、横置きしたりする場合において緩衝性能が向上する。
【0037】
また、下フラップ7−10の端面同士が突き当たる箇所8−2、8−3は異なる下フラップ同士が自身の反発力で互いに形状を保持するようになるため、組み立てが容易で生産性が向上する。
【0038】
さらに段ボ−ル断面はハニカム構造であるため、この端面同士が合致した箇所8−2、8−3は強度があり、組み立て後も長期にわたりその強度が保たれ、輸送時の衝撃は確実に緩衝される。
【0039】
また、上フラップ7−1と補強板に囲まれた空間に発泡樹脂性13を緩衝材としてそなえたることもできる。そうすることで天面および側面に対する垂直な静過重がかかる、製品を段積みしたり横置きしたりする場合において緩衝性能が向上する。
【0040】
包装天カバー7の材質を防水性のある段ボ−ル板を使用したもよく、雨天時など水に濡れるようなことがあっても、緩衝性能が維持できるだけでなく、従来では不可能であった製品本体1を屋外で横に寝かして保管しても地面から水分を吸い上げることがなくなり、長時間の保管ができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように本発明の例にあるヒートポンプ給湯機を普及することは地球温暖化防止に貢献する事であり、ヒートポンプ給湯機の貯湯ユニットのような背高さのある重量物製品については、輸送作業を効率化することが大きな課題である。
輸送中に発生する製品変形の不具合要因の多くが天側の稜および角に加わる衝撃であることがわかっており、本発明の包装部材は天側の稜および角を補強することで、製品天部の局所応力に対する緩衝性能を確保するとともに、包装天カバー厚みを薄くし包装高さを少しでも低くすることで運搬作業性を向上しており、前記課題を解決することができる。
【0042】
また、本発明の包装材料は再生可能な段ボール紙一枚から折り上げた構成であるため材料の省資源化をも実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態における前方斜視構造図
【図2】同上方断面図
【図3】同包装天カバー展開図
【図4】同A部拡大図
【図5】同前方斜視構造組立図
【図6】荷扱い時の形態図
【図7】従来の技術の斜視図
【符号の説明】
【0044】
1 製品本体
7 包装天カバー
9 包装用固定台
10 両サイド板
11 コ字型パネル
11−1 トッテ穴
12−1 上下方向から締結する輪状の包装用バンド
12−2 側方から締結する輪状の包装用バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体である製品上面にあって側面側に張り出した包装天カバーと、前記製品の側面を覆う側面カバーと、前記製品の底面を固定する包装用固定台と、前記包装天カバーと前記包装用固定台を締結する輪状の包装用バンドとを備え、前記包装天カバーと前記製品との間に剛性のある補強板を介して、前記包装天カバーを前記製品上面に取り付けることを特徴とする包装部材。
【請求項2】
前記包装天カバーと、前記補強板とを一体的に構成したことを特徴とする請求項1に記載の包装部材。
【請求項3】
前記包装天カバーは、前記製品の4つの側面に対応するフラップを上下に有する1つの段ボ−ル箱からなり、上フラップは、90度内折りされて前記外箱の天面をなし、下フラップは、180度内折りされて2重の側面をなすとともに、さらに上フラップ折り曲げ位置で下方に折り、さらに、前記製品側面に前記下フラップの外方面が接するように上方に折ることで前記補強板を形成し、さらに下フラップが上フラップと突き当たる箇所にて上フラップと下フラップが密着するように折り曲げるとともに、異なる4つの側面の下フラップの端面同士が突き当たる箇所を設け、前記下フラップの折り曲げ角度が一定に保たれることを特徴とする請求項2に記載の包装部材。
【請求項4】
前記補強板を形成する下フラップと前記天面を形成する上フラップに囲まれた空間には発泡樹脂性の緩衝材をそなえたことを特徴とする請求項3に記載の包装部材。
【請求項5】
包装天カバーは防水性と剛性のある段ボ−ル板を使用したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−149347(P2009−149347A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329716(P2007−329716)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】