説明

包装

薬剤のための包装であって、包装は、スリーブとスライドとを備える。スライドは、薬剤を収容するための薬剤領域を有する。スリーブは、内部容積を形成するように側壁によって接続されるとともに離隔された、対向する第1及び第2主面を有する。側壁は、さらにスライド開口を形成する。スライドは、薬剤領域が内部容積内に実質的に存在する位置と、薬剤領域の少なくとも一部がスライド開口を介して内部容積外に延在する位置との間で、スライド軸に平行な方向に移動可能である。スリーブはショルダ部を含み、包装は付勢手段を含むことを特徴とする。スリーブ及びスライドは、固定位置と非固定位置との間でスライドが内部容積の中で移動可能なように設けられる。固定位置では、スライドの一部とショルダ部との間で接触することによってスライドがスライド軸に平行な方向に実質的に移動できない。非固定位置では、スライドの一部が、スライド開口を介してスライド軸に平行な方向に移動可能である。付勢手段は、固定位置へ向けてスライドを弾性的に付勢する。発明は、そのような薬剤包装のためのスリーブを組み立てるためのブランクへと拡張し、また、そのような薬剤包装に使用するためのスライド又はスリーブに拡張する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤のための包装に関し、特に、強化された子供向けの安全性を提供する薬剤のための包装に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤は多種の包装がなされて供給されることが知られている。包装の一般的な形態は、内部の薬剤を取り出すために破壊すること又は取り除くことができる素材によって密閉された複数の収容部に薬剤を収納する1つ以上のシートを含む箱である。シートは一般的にはプラスチックシートである。プラスチックシートはプラスチック・ラミネートであってもよく、それは薬剤が分配又は配置されるブリスター(blisters)を含むように形成される。ブリスターは、フィルムによって実質的に密閉されており、一般的にはフォイルラミネート(foil laminate)である。それは、薬剤を取り出すために、取り除かれ又は破壊される。そのような薬剤収容部は、「ブリスター」として知られており、またそれを含むシートは、「ブリスター・シート」として知られている。
【0003】
薬剤の一部には誤用によって害を及ぼす危険があり、それらの取り出しは、特に子供がする場合、管理されなければならない。子供がそのような薬剤を取り出し難くするための小児用安全包装(child resistant packaging)が利用されている。しかしながら、小児用安全包装は製造に費用がかかることがあり、また、特に患者又は介護者が器用な動作をすることに困難を伴い又は障害を有する場合には、患者又は介護者が必要な薬剤を取り出すことを難しくすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、薬剤のための包装が提供され、前記包装は、スリーブとスライドとを備え、スライドは薬剤を収容するための薬剤領域を有し、スリーブは内部容積を形成する側壁によって接続されるとともに離隔した、対向する第1及び第2主面を有する。前記側壁は、さらにスライド開口を形成し、前記スライドは、薬剤領域が実質的に内部容積内に存在する位置と、薬剤領域の少なくとも一部がスライド開口を介して内部容積外に延在する位置との間でスライド軸に平行な方向に移動可能である。スリーブはショルダ部を含み、包装は付勢手段を含むことを特徴とする。スリーブ及びスライドは、スライドが内部容積内を固定位置と非固定位置との間で移動できるように設けられる。固定位置では、スライドの一部とショルダ部とが接触することによって、スライドはスライド軸に平行な方向に実質的に移動することが妨げられる。非固定位置では、スライド部分が、スライド開口を介してスライド軸に平行な方向に移動することが可能である。付勢手段は、固定位置へ向けてスライドを弾性的に付勢する。
【0006】
スリーブは、プラスチック材料のような任意の適切な材料から作られてもよく、また、例えばプラスチック材料、厚紙等を用いたラミネートによって必要に応じて強化された厚紙から形成されてもよい。本明細書において厚紙(cardboard)という用語は、カートン用板紙(cartonboard)、板紙等のカード又は紙製の素材を含むと理解されるべきである。
【0007】
スリーブの主面は、寸法が実質的に同一であってもよく、また形状が実質的に長方形であり、各々が2つの主側部と2つの副側部とを有してもよい。側壁は、複数の壁ユニットを備えてもよい。その複数の壁ユニットは、実質的に連続的な壁を形成するように結合してもよく、また他の壁ユニットに直接的に接続されなくてもよい。側壁は主面間に延在して、それらを接続する。また、側壁は、主面とともに、内部容積を形成する。主面が実質的に長方形である場合、スリーブが実質的に立方形の形状になるように、側壁は主面に対して実質的に直角に設けられる。
【0008】
スライドは、実質的に長方形である。スリーブ及びスライドについては、スリーブ内に形成される内部容積内にスライドが全体的に実質的に適合するように、また、スライドが内部容積内にある場合に主面の1つに実質的に平行になるように、設けられてよい。
【0009】
薬剤領域は、好ましくは、スライドの少なくとも1面の実質的に中心領域を占める。薬剤領域は、当業者によく知られたように、薬剤を収容する複数のブリスターを含む。薬剤は、例えば錠剤、顆粒、カプセル又は液体のような、(これらは他の収容部に収容されるかもしれないが、)いかなる形態であってもよいことが理解されるべきである。スライドは、カードを用いて補強されたブリスター・シートを備える。カードは、ブリスター・シートの剛性が増すように、ブリスター間の実質的に平らな領域のブリスター・シートの一面又は両面に、又は凸状ブリスターの反対側に、配置される。カードは、ブリスターに結合し、カードはブリスターを密閉する脆弱な材料を実質的に覆う。ブリスターを密閉する脆弱な材料をカードが実質的に覆う場合、薬剤の取り出しを容易にするために、ブリスターの薬剤領域において、例えばカードにひっかき傷をつけ又はミシン目を付けることによって、カードは予め脆弱にされてもよい。薬剤領域のブリスターは、スライドの一方又は両側で、シートから突き出してもよい。
【0010】
スライドの少なくとも一部がスライド開口を通過でき、それによって、薬剤領域が実質的に内部容積内に存在する位置(閉塞位置)と、薬剤領域の少なくとも一部がスライド開口を介して内部容積外に延在する位置(開放位置)との間で、ユーザがスライドを移動させることができる。
【0011】
スライドは、固定端部と先導端部とを有し、スライドが閉塞位置から開放位置へ移動する場合に先導端部が最初にスライド開口を通過するようにスリーブ内に配置されてもよい。先導端部は、そこから延びるプルタブを有してもよい。スライドが非固定位置にある場合にプルタブは開口を介して延びるように配置され、それによって、ユーザはスライドを把持して移動させ易くなる。固定部は、スリーブとスライドとが完全に分離することを防ぐために、スリーブと協働するアンカを含む。アンカは、スリーブとスライドとが完全に分離することを防ぐために、係止部に係合するアンカの端部からの突起であってもよい。係止部は、ショルダ部によって形成されてもよい。
【0012】
ショルダ部は、スリーブ内の任意の場所に設けられてよいが、好ましくは、製造を容易にするために、開口に又は開口の近傍に設けられる。一実施の形態において、スライド開口領域の側壁は、主面間の全体には延びない。すなわち、側壁は主面の一方の全長にわたって延びるわけではなく、そのため、側壁はショルダ部の少なくとも一部を形成することができる。
【0013】
付勢手段は、例えば板バネ、つる巻きバネ、弾性により変形可能なプラスチック、又はゴム材料等の弾性的にスライドを付勢する適切な手段によって設けることができる。ある実施の形態において、付勢手段は、例えば厚紙又はカートン用板紙のようなスリーブと同じ材料を用いて製造される。付勢手段は、例えばスリーブを内部容積に変形させる材料からなる1つ以上の部分を湾曲させることによって、スリーブと一体的に形成できる。これによって、スリーブ部材の付勢部分が折り目だけでスリーブに接続するように、スリーブ部材の付勢部分を形成することができ、その結果、折り目に沿って折られた部分によって、付勢部分が内部容積内へ延びることができる。折られた部分は、90°より小さい又は90°より大きい角度で折られてよい。このようにして、折られた部分又は他の手段により、スライドに弾力のある付勢力を実現することができる。
【0014】
付勢手段は、好ましくは、それらがショルダ部の一部又は全部を形成しない限り、開口を介したスライドの移動を実質的に妨げない。付勢手段は、スリーブ内に形成される。複数の付勢手段を備えてもよい。1つ以上の付勢手段は、主面の1つ又は側壁の面部分に、例えば実質的にその中心に配置されてもよく、又は主面の1つの端部近傍に配置されてもよい。一実施の形態において、付勢手段は、弾性により変形可能なプラスチック材料を用いて製造されてもよく、また、接着、粘着その他の方法によって、スリーブに取り付けられる。例えば付勢手段がスリーブの内表面に接着される。
【0015】
スリーブ内において、付勢手段は、固定位置の方向へスライドを弾性的に付勢する。固定位置において、スライドが開口を通じて抜け出し、それによって薬剤領域の少なくとも一部が露出することが、ショルダ部によって妨げられる。固定位置において、スライドの移動は、ショルダ部と側壁と1つ以上の主面との組合せによって実質的に抑制され、その結果、付勢手段を変形させない限り、スライド開口を介したスライドの移動が実質的に防止できる。固定位置から、スライドはスリーブ内の異なる位置へ移動することだけができる。
【0016】
スライドをスリーブから引き抜くために、ユーザは、非固定位置に移動するように、スライドに力を加える必要がある。非固定位置とは、付勢手段が変形して、スライドがショルダ部から、スライド部分がスライド開口を介して移動できる位置である。このことは、スライド等に直接的に接触することによりなされる。ユーザが、スライド又はスライドに取り付けられた部分を把持して、そしてそれに力を加えて、スライド開口を介してスライド軸に平行な方向にスライドを移動させることができるように、非固定位置において、スライドの先端部は、スライド開口に又はその近傍に配置される。付勢は、好ましくは、スライド軸の方向に対して実質的に直角な方向である。スライドが固定位置と非固定位置との間で移動する場合、スライドがスリーブ内を種々の姿勢で通過することが理解されるべきである。好ましくは、非固定位置に実質的に到達して、スライドの少なくとも一部を引き抜くことができるまで、スライドはスリーブ内でのみ移動するように拘束される。
【0017】
固定位置から非固定位置までスライドを移動させるために必要なスライドの変位は、実質的に直線的であるが、回転又は回転と直線移動との組合せであってもよい。スリーブ内における固定位置と非固定位置との間の実質的な直線移動は、スリーブからスライドを引き抜くために必要な実質的に直線的なスライド移動に対して実質的に直角であってもよい。
【0018】
固定位置と非固定位置との間でスライドを移動させるために、付勢手段の付勢力より大きい力をスライドに加える必要がある。力は、スライドに接触するユーザによって、又は機構その他の手段を用いて、スライドに直接的に加えられる。
【0019】
スリーブにはボタンが供えられてもよい。ユーザによって押下されると、レバー、レバーの組合せその他変換部のような機構が接触して、スライドに力を加える。スリーブは、ユーザによって変形させられる弾性的に変形可能な接触領域を含んでもよく、それによって、接触領域がスライドと接触して力を加える。
【0020】
少なくとも1つの切り欠き又は開口がスリーブを通して備えられ、それによって、ユーザは直接的にスライドに接触し、スライドに力を加えることができる。一実施の形態において、2つの切り欠き又は開口がスリーブを通して備えられ、それによって、ユーザは直接的にスライドに接触し、スライドに力を加えることができる。2つの切り欠き又は開口が備えられる場合、非固定位置にスライドを移動させるために、ユーザは各切り欠き又は開口位置で実質的に等しく変位させる必要がある。切り欠き又は開口は、離隔していてもよく、それによって、子供が両方の位置のスライドに片手で力を加えることは困難又は実質的に不可能になるが、大人であれば、片手を自由にしたままで、そのような操作を行うことができ、そのため、スライドを把持し、あるいは取り出すための力をスライドに加えることができる。上述のように、変形可能な膜が、切り欠き部分を実質的に覆いかつ/又は密閉する。ユーザがスライドに力を加えるために膜を変形させることができるように、膜は設けられる。膜は単一膜であってもよく、又は複数の部分から形成されてもよい。膜は、例えば弾性膜であってもよく、スリーブと同一の材料から製造された膜であってもよい。膜はスリーブと一体的に形成されてもよい。
【0021】
本発明は、スリーブ及び/又はスライドを製造するために使用される厚紙(cardboard blanks)にも関する。
【0022】
本発明は、さらに、薬剤包装を開放する方法に関し、薬剤包装は、スリーブとスライドとを備え、スライドは、スリーブ内に適合し、スライド開口を介してスリーブから取り出すことができる。スリーブとスライドとは、スライドがスリーブ内で固定位置と非固定位置との間を移動できるように、設けられる。スライドは、固定位置の方向へ付勢される。方法は、
a.ユーザが一方の手を用いて、非固定位置へスライドを移動させるためにスライドに力を加え、スライドを非固定位置に保持するステップと、
b.ユーザが他方の手を用いて、スライド開口を介してスライドの少なくとも一部を移動させるために取り出す力をスライドに加えるステップとを含む。
【0023】
本明細書を通じて、また添付の特許請求の範囲において、他の意味の文脈で用いない限り、「含む、備える」という用語は、定数又はステップ、整数又はステップのグループを包含し、他の可能な整数を排除しないことを意味する。
【0024】
本発明について、添付の図面を参照しながら一例によって更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、薬剤包装のスリーブの外観図を示す。
【図2】図2は、図1のスリーブの使用に適した薬剤包装のスライドの外観図を示す。
【図3】図3は、図1のスリーブと図2のスライドとを使用する薬剤包装を通じた断面図を示す。
【図4】図4は、図3の薬剤包装を通じた断面図を示すが、図3に使用される線に対して直角な線に沿ったものである。
【図5】図5は、第2の薬剤包装のスリーブの概観図を示す。
【図6】図6は、図3のスリーブの使用に適した薬剤包装のスライドの概観図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、側壁6に接続するとともに離隔した第1及び第2主面を備えるスリーブ1を示す。主面2,4は、実質的に長方形であり、各々が主端部8と副端部10とを有する。側壁6は、主面2,4の端部8,10の実質的に全周にわたって延在し、それによって、内部容積(internal volume)12を形成する。スリーブ1は、側壁6を通るスライド開口14と、主面2を通る2つの切り欠き16,18とを含み、それによって、内部容積12にアクセスできる。各切り欠き16,18は、スリーブ1内のスライド30(図2参照)に力を加えるために、大人のユーザが指を通すことができる形状である。スリーブ1のスライド開口14は、第1ショルダ部20と2つの側方ショルダ部22とによって形成される。
【0027】
切り欠きは離隔しており、そのため、両切り欠きを介して同時にスライドに力を加えるように、子供が片手で使用することはできない(従って、子供の場合、スライドを非固定位置に移動させるために、両手を使用しなければならず、子供がスライド開口を介してスライドを移動させることを防ぐことができる。)。切り欠き16,18は、図示するように、主端部8に対して直角な線に沿って離隔するように設けられる。切り欠き16,18は、主端部8と平行な線に沿って離隔して設けられてもよく、端部と無関係に配置されてもよい。さらに、追加の切り欠き(図示せず)が、他の切り欠きから同様に離隔して設けられてもよく、それによって、子供がスライドを非固定位置に片手で容易に移動させることを防ぐことができる。追加の切り欠きは、スライドに直接的に接触できないような、又は切り欠きを用いてスライドを非固定位置に移動させることができないような、形状をした又はそのように位置付けられた、おとりの(decoy)又はダミーの切り欠きであってもよい。
【0028】
スリーブ1はさらに付勢手段を含み、本形態の場合、内部容積12内の弾性フラップ24である。フラップ24の機能について、図3を参照して、詳細に説明する。
【0029】
図2は、図1のスリーブの使用に適するスライド30を示す。スライド30は、先端部32と、固定部34と、薬剤領域36とを備える。先端部32は、スライド30を容易に把持できるように、そこから延びるプルタブ38を含む。固定部34は、スリーブ1の2つの側方ショルダ部22と協働することによって、スライドがスリーブから分離することを防ぐ側方延在部40を含む。
【0030】
スライド30の薬剤領域36は、複数の個別の薬剤収容部42を含み、各々が、錠剤又はカプセル形態の予め定めた量の薬剤を収容する。収容部42は、シートのブリスターとして形成され、後に詳述するように当業者によく知られた破壊しやすい材料を用いて密閉される。本形態では、ブリスターは、図示するように第1主面2の方へ突き出すが、併せて/代わりに、それらは、第2主面4へ向かう他の方向を向いてもよい。
【0031】
図3は、図1のスリーブ1を図2のスライド30と組み合わせる包装を通じた断面図を示す。
【0032】
図3は、スリーブ1内であって、包装の静止位置(rest position)である固定位置にスライド30を有する包装を示す。固定位置において、フラップ24は、この場合第1主面2の方向へ、スライドを弾性的に付勢する。スライドは、スライド開口14が第2主面4の近傍にあり、ショルダ部20が第1主面2近傍にある場合に、この方向に付勢される。固定位置において、ショルダ部20は、スライド軸46と平行な方向のスライド30の移動を実質的に制限し、そのため、スライド30の薬剤領域36を包装から取り外すことができない。包装のフラップ24は、主面2の主端部8から内部容積12の中へ延び、第1主面2の方へ付勢される。スライド30は、対向するフラップ24の間に設けられ、そのため、第1主面2の方へ付勢される。
【0033】
使用時に、ユーザは例えばテーブルの上のような面上に包装を置き、一方の手の指を切り欠きに通すことによって、スライド30に接触する。そして、ユーザは、フラップ24の付勢力より大きい力をスライド30に加え、それによって、スライド30は、スライド軸46に実質的に垂直な方向である第2主面4の方向に移動する。スライド30が第2主面4の方へ移動する時、プルタブ38は、スライド開口14を介して延びており、そのため、ユーザはスライド30を容易に把持することができる。スライドが変位できるだけの力をユーザがスライド30に加えて、その結果、先端部32がショルダ部20ではなく、スライド開口14の近傍(非固定位置)に位置すると、ユーザは、プルタブ38を引いてスライド開口14を介してスリーブ1からスライド30を引き抜くことができ、それによって、薬剤領域36を露出させる。
【0034】
スリーブ1の2つの側方ショルダ部22にスライド30の側方延在部40が係合することによって、スライド30がスリーブ1から実質的に分離することを、ユーザは回避できる。側方延在部40は、スライドの固定部34から延びるアンカを形成する。ユーザが所望の薬剤44を取り出すと、スライド30はスリーブ1の中へ押し戻され、弾性フラップ24は、ショルダ部20近傍に先端部が位置する固定位置へスライド30を戻すように付勢する。
【0035】
図3に示すように、スライド30の薬剤領域36は、スライド30の構造上の剛性を増すための2つの厚紙50,52のシートの間に実質的に閉じこめられた(encapsulated)ブリスター・シート48を備える。
【0036】
内部容積12内のスライドとフラップとの配置を、図4により分かり易く示す。
【0037】
図5及び6において、前図に示すスリーブ又はスライドと同様の要素には、100だけ増やした参照符号を付す。これらの要素の詳細をここでは説明しない。
【0038】
図5は、第2薬剤包装のスリーブ101の概観図を示す。
【0039】
この場合、スライド開口114はスリーブ101の一端に配置されるが、ショルダ部120は主面102の副端部に沿って延在するのではなく、ショルダ部120は、主面の間に延在して、側壁106の一部を形成する。ショルダ部120は、主面102,104の主端部50の近傍に配置される。
【0040】
スリーブは、主端部50の近傍の主面102を通って、側壁106へ延びる切り欠き52を含む。切り欠きによって、ユーザは内部容積112にアクセスすることができる。
【0041】
付勢手段124は、前の形態と同様にフラップによって形成されるが、付勢手段は、主端部50に対向する主面の副端部54に沿って延在する側壁の一部に配置される。フラップ124は、側壁106から離れて、内部容積内の主端部50の方向へ延びるように、弾性的に付勢されている。このようにして、内部容積内に配置されるスライドは、主端部50の方へ、そして、ショルダ部120によってスライド軸146の方向へのスライド130の移動が実質的に制限される固定位置へ、弾性的に付勢される。
【0042】
図5は、付勢手段124のような他の付勢手段と組み合わせて、又はその代わりに使用される付勢手段124’の他の実施の形態をも示す。付勢手段124’は、弾性的に変形可能なプラスチック材料を用いて製造され、この場合、端部がスリーブの内面に取り付けられ、中心部が内部容積の中へ突き出す橋構造に形成される。代わりに、本形態の付勢手段は、厚紙又はカートン用板紙を用いて作られてもよく、橋形状、フラップ形状その他の形状であってもよい。
【0043】
図6は、図5のスリーブ101を使用するスライド130を示す。スライド130は、一方だけの片側延在部140を含み、片側延在部140は、この場合、スリーブ101がスライド130から分離しないように、ショルダ部120と協働する。
【0044】
これまで、本発明について単なる例示によって説明しており、特許請求の範囲に記載の範囲内で細部の改良がなされ得ることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤のための包装であって、
前記包装は、スリーブとスライドとを備え、
前記スライドは、薬剤を収容するための薬剤領域を有し、
前記スリーブは、内部容積を形成する側壁によって接続されるとともに離隔した、対向する第1及び第2主面を有し、
前記側壁は、さらに、スライド開口を形成し、
前記スライドは、前記薬剤領域が実質的に前記内部容積内に存在する位置と、前記薬剤領域の少なくとも一部が前記スライド開口を介して前記内部容積外に延在する位置との間でスライド軸に平行な方向に移動するものであり、
前記スリーブは、ショルダ部を含み、
前記包装は、付勢手段を含み、
前記スリーブ及びスライドは、前記スライドの一部と前記ショルダ部とが接触することによって前記スライドがスライド軸に平行な方向に実質的に移動することが妨げられる固定位置と、前記スライド開口を通って前記スライド部分が前記スライド軸に平行な方向に移動できる非固定位置との間で、前記内部容積内を移動できるように設けられ、
前記付勢手段は、前記スライドを前記固定位置へ向けて弾性的に付勢する
ことを特徴とする包装。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記スリーブと同じ材料を用いて製造される
ことを特徴とする請求項1に記載の包装。
【請求項3】
前記スライドは、複数の個別的で破壊可能な薬剤収容ブリスターを含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記スライド軸に実質的に直角な方向に前記スライドを付勢する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装。
【請求項5】
前記スリーブは、ユーザが直接的に前記スライドに接触することができ、かつ、前記スライドを前記固定位置から前記非固定位置へ移動させる力を加えることができるように、少なくとも1つの切り欠きを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の包装。
【請求項6】
前記スリーブは、少なくとも2つの切り欠きを含む
ことを特徴とする請求項5に記載の包装。
【請求項7】
前記スライドは、前記スライドが前記スリーブから分離することを実質的に防ぐために、前記スリーブと協働するアンカを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の包装。
【請求項8】
前記スライドは、前記スライドを容易に把持できるように、先端部から延びるエクステンション部を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の包装。
【請求項9】
前記スリーブは、実質的に厚紙を用いて製造される
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の包装。
【請求項10】
薬剤の包装に使用するためのスリーブに折り畳むための厚紙であって、
前記包装は実質的に請求項1に記載のものであることを特徴とする厚紙。
【請求項11】
薬剤包装を開放するための方法であって、
前記薬剤包装は、スリーブとスライドとを備え、
前記スライドは、前記スリーブ内に適合して、スライド開口を介して前記スリーブから取り出すことができ、
前記スリーブ及びスライドは、前記スライドが固定位置と非固定位置との間で前記スリーブ内を移動可能であるように設けられ、前記スライドは前記固定位置の方向へ付勢されており、
前記方法は、
a.ユーザが一方の手を用いて、非固定位置へスライドを移動させるためにスライドに力を加えて、スライドを非固定位置に保持するステップと、
b.ユーザが他方の手を用いて、スライド開口を介してスライドの少なくとも一部を移動させて、取り出す力をスライドに加えるステップとを含む
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−512881(P2010−512881A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541896(P2009−541896)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011291
【国際公開番号】WO2008/077589
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】