説明

化合物および方法

以下の式を有する化合物:


(式中、RおよびRは本明細書に定義される通りである)、
ならびにその作製および使用方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TNNI3Kを阻害する化合物ならびにその作製および使用方法に関する。具体的には、本発明は、TNNI3K阻害剤としてのN−(4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素に関する。
【背景技術】
【0002】
CARK(心臓アンキリンリピートキナーゼ)としても知られている、心臓トロポニンI相互作用キナーゼ(TNNI3K)は、心臓組織に対して高い選択的発現を示すプロテインキナーゼであり、トロポニンIを含むサルコメアの成分と相互作用することが示されている(Zhao,Y.ら,J.Mol.Med.,2003,81,297−304;Feng,Y.ら,Gen.Physiol.Biophys.,2007,26,104−109;Wang,H.ら,J.Cell.Mol.Med.,2008,12,304−315)。TNNI3Kの基質は今まで同定されていなかったが、最近の報告により、このタンパク質は、圧力誘起による心筋細胞肥大および収縮不全の進行にある役割を果たし得ることが示唆されている(Wheeler,F.C.ら,Mamm.Genome,2005,16,414−423;Wang,X.ら,「TNNI3K,a cardiac−specific kinase,promotes cardiac hypertrophy in vivo」,Poster presentation at the 2006 Scientific Sessions of the American Heart Association,Chicago,IL)。TNNI3Kのキナーゼ活性の阻害はこれらのシグナル伝達経路を破壊でき、心不全が徐々に悪化している患者に見られる心臓肥大を軽減および/または反転できる。
【0003】
心臓は、機械的、神経ホルモン的、および遺伝子的刺激に応答して、組織の酸素要求量を満たすのに十分な心拍出量を維持するために、肥大または筋成長し、かつ再造形される。これらの構造的変化は代償性として初期に見られるが、肥大シグナル伝達の持続した異常調節は、ポンプとして心臓がもはや適切に機能できなくなる病態生理学的状態である、心不全を導く場合がある(Mudd,J.O.およびKass,D.A.,Nature,2008,451,919−928)。病理学的心臓肥大の予防または反転は、鬱血性心不全の進行を遅延または予防する可能性を有する(McKinsey,T.A.およびKass,D.A.,Nat.Rev.Drug Discov.,2007,6,617−635;Kaye,D.M.およびKrum,H.,Nat.Rev.Drug Discov.,2007,6,127−139)。
【0004】
心不全は、かなりの割合の病人において生活の質の低下および早まった死の原因となり、低下したポンプ機能(収縮機能障害)または低下した充填(拡張機能障害)のいずれかに起因する心臓機能の障害により特徴付けられる。鬱血性心不全(CHF)は、左心室機能の障害、増加した末梢血管抵抗および肺血管抵抗ならびに低下した運動耐容能および呼吸困難により特徴付けられる。心不全の有病率は高齢化と共に増加すると予測され、心不全を治療する新規かつ改良された方法の必要性が生じている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は新規のジアリール尿素に関する。具体的には、本発明は式Iによる化合物またはその塩:
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、C−Cアルキル、または−ORであり;
は、H、ハロゲン、C−Cアルキル、または−ORであり;および
は、1〜3回ハロゲンにより置換されていてもよいC−Cアルキルであり;
ただし、RがHである場合、Rはメチルではない]
に関する。
【0006】
本発明の化合物はTNNI3Kの阻害剤であり、心臓病および心疾患、特に心不全の治療に有用であり得る。従って、本発明はさらに、本発明の化合物を含んでなる、医薬組成物に関する。本発明はなおさらに、TNNI3Kを阻害する方法および本発明の化合物または本発明の化合物を含んでなる、医薬組成物を用いてTNNI3Kに関連する病態を治療する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で用いる、用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を示し、それは、非置換であってもよいし、または本明細書で定義される置換基の1つまたは複数により置換されていてもよい。例示的なアルキルとしては、限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびt−ブチルが挙げられる。用語「C−Cアルキル」は、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基を指す。
【0008】
用語「ハロゲン」および「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨード置換基を示す。
【0009】
本発明の一実施形態は、式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩(式中、Rは、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択され;Rは、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびメチルから選択される)である。本発明の別の実施形態において、Rは、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびメチルから選択される。
【0010】
本発明の特定の化合物は、
N−(3,5−ジクロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジブロモ−4−{[6,−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−ブロモ−5−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジフルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジメチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[3−ブロモ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−ブロモ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−フルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−5−メチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−5−エチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、および
N−{3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
およびこれらの塩、特に医薬的に許容可能な塩である。
【0011】
本発明の代表的な化合物は実施例1〜14の化合物を含む。
【0012】
式Iによる化合物は1つ以上の不斉中心(キラル中心とも称される)を含んでもよく、従って、個々の鏡像異性体、ジアステレオマーもしくは他の立体異性体、またはそれらの混合物として存在してもよい。キラル炭素原子などのキラル中心はまた、アルキル基などの置換基に存在してもよい。式Iまたは本明細書に示した任意の化学構造に存在するキラル中心の立体化学が特定されない場合、その構造は全ての個々の立体異性体およびそれらの全ての混合物を包含することが意図されている。従って、1つ以上のキラル中心を含む式Iによる化合物は、ラセミ混合物、鏡像異性的に濃縮された混合物、または鏡像異性的に純粋な個々の立体異性体として使用されてもよい。
【0013】
1つ以上の不斉中心を含む式Iによる化合物の個々の立体異性体は、当業者に公知の方法によって分割され得る。例えば、そのような分割は、(1)ジアステレオマー塩、複合体もしくは他の誘導体の形成によって;(2)立体異性体特異的試薬との選択的反応によって、例えば酵素的酸化もしくは還元によって;または(3)例えば、結合したキラルリガンドを有するシリカなどのキラル支持体上、もしくはキラル溶媒の存在下などのキラル環境におけるガス液体もしくは液体クロマトグラフィーによって実施されてもよい。当業者は、所望の立体異性体が、上記の分割処理のうちの1つによって別の化学物質に変換される場合、所望の形態を遊離するためにさらなる工程を必要とすることは理解するだろう。代替として、特定の立体異性体は、光学的に活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いる不斉合成によって、または不斉転換により1つの鏡像異性体をもう1つの鏡像異性体に変換することによって合成されてもよい。
【0014】
開示される化合物またはその塩が、構造により命名されるか、または描かれる場合、その溶媒和物(特に水和物)を含む、化合物または塩は、結晶形態、非結晶形態またはそれらの混合物の形態で存在してもよいことは理解されるべきである。化合物またはその塩、もしくは溶媒和物(特に水和物)はまた、多形(すなわち、異なる結晶形態を生じる能力)を示してもよい。これらの異なる結晶形態は典型的に「多形」として知られている。構造によって命名されるか、または描かれる場合、開示される化合物、またはその溶媒和物(特に水和物)はまた、その全ての多形を含むことは理解されるべきである。多形は同じ化学組成を有するが、結晶固体状態の充填、幾何学的配置、および他の記述的特性が異なる。従って、多形は、形状、密度、硬度、変形能、安定性、および溶解特性などの異なる物理的特性を有してもよい。多形は典型的に、識別に使用され得る融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折パターンが異なっている。当業者は、異なる多形が、例えば、化合物を結晶化/再結晶化するのに使用される条件を変更または調節することによって生成され得ることは理解するだろう。
【0015】
結晶形態である本発明の化合物、またはその塩の溶媒和物に関して、当業者は、医薬的に許容可能な溶媒和物が形成されることができ、溶媒分子が結晶化の間に結晶格子に組み込まれることを理解するだろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、および酢酸エチルなどの非水溶媒を含んでもよく、または、結晶格子に組み込まれる溶媒として水を含んでもよい。水が結晶格子に組み込まれる溶媒である溶媒和物は典型的に「水和物」と称される。水和物は、化学量論水和物および可変量の水を含む組成物を含む。本発明は全てのこのような溶媒物を含む。
【0016】
医薬における潜在的使用のために、式Iの化合物の塩は好ましくは医薬的に許容可能である。本発明の化合物は塩基であり、所望の塩形態は、遊離塩基と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸、アルファ−ヒドロキシ酸、例えばクエン酸または酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸または桂皮酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸などの有機酸との処理を含む、当該技術分野において公知の任意の適切な方法によって調製され得る。医薬的に許容可能な塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリル酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、メトキシベンゾエート、フタル酸塩、酢酸フェニル、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシブチレート、グリコール酸塩、酒石酸塩、マンデル酸塩、およびスルホン酸塩、例えばキシレンスルホネート、メタンスルホネート、プロパンスルホネート、ナフタレン−1−スルホネートおよびナフタレン−2−スルホネートなどが挙げられる。
【0017】
本発明の塩基性化合物が塩として単離される場合、その化合物の対応する遊離塩基形態は、無機または有機塩基、適切には化合物の遊離塩基形態より高いpKを有する無機または有機塩基と塩との処理を含む、当該技術分野において公知の任意の適切な方法によって調製され得る。
【0018】
一般的調製方法
式Iの化合物は、以下のスキームに例示する合成手順を使用することによって、または熟練した有機化学者の知識を利用することによって得ることができる。これらのスキームに提供される合成は、本明細書で概説した反応との適合性を達成するために必要に応じて適切に保護される適切な前駆体を利用して、種々の異なるRおよびR基を有する本発明の化合物を生成するのに適用可能である。必要に応じて行われる後の脱保護により、一般に開示されている性質の化合物が得られる。式Iの化合物のみを用いてスキームを示すが、それらは、本発明の化合物を作製するのに使用され得るプロセスの例示にすぎない。
【0019】
化合物名は、Advanced Chemistry Development,Inc.,110 Yonge Street,14th Floor,Toronto,Ontario,Canada,M5C 1T4(http://www.acdlabs.com/)から入手可能なソフトウェア命名プログラムACD/Name Pro V6.02を用いて作成した。
【0020】
スキーム1に示すように、式Iの化合物は、置換イソシアン酸フェニルと適切に置換されたヒドロキシアニリンとの反応による尿素部分の形成で開始される複数工程の手順で調製できる。式Iの化合物は、得られたフェノール−尿素と4,6−ジクロロピリミジンとを、塩基の存在下、適切な溶媒中で反応させ、その後メチルアミンで処理することによって調製できる。
【化2】

a)ピリジン、rt、2d;b)4,6−ジクロロピリミジン、KOt−Bu、NaCO、DMF、rt、18h;c)THF中のCHNH、50℃、2.5hまたはTHF中のCHNH、イソプロパノール、μw 120℃、20分。
【0021】
代替として、式Iの化合物は、スキーム2に示す複数工程の手順により調製できる。このプロセスにおいて、ピリミジニル−フェニルエステルを、適切に置換されたニトロフェノールと4,6−ジクロロピリミジンとの反応により調製する。この反応は、以下(a、b、c、またはd)に示すような種々の条件下で実施できる。尿素の形成は、ピリミジニル−フェニルエーテルのニトロ部分を最初に還元して、対応するアニリンを形成し、続いて置換イソシアン酸フェニルとの反応によって達成される。続いてメチルアミンとの処理によって式Iの化合物を得る。
【化3】

a)4,6−ジクロロピリミジン、NaOH、イソプロパノール、HO、μw、120℃、40分;b)4,6−ジクロロピリミジン、NaOH、アセトン/HO、45℃、36h;c)4,6−ジクロロピリミジン、KCO、CHCN、還流、48h;d)4,6−ジクロロピリミジン、NaOH、DMF、μw、140−165℃、40分;e)Fe粉末、NHCl、EtOH、還流、18−36h;f)Fe粉末、AcOH、還流;g)NaBH、NiCl・6HO、MeOH、0℃、10−20分;h)1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、THF、rt、一晩;i)1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、CHCl、rt、3d;j)1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジオキサン、rt、4−17h;k)1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン、ピリジン、rt、2h;l)THF中のCHNH、イソプロパノール、μw、100℃、20分;m)THF中のCHNH、50℃、2−3h;n)EtOH中のCHNH、50℃、2h。
【0022】
本発明はまた、式Iの化合物の種々の重水素化形態を含む。炭素原子に結合した各々の利用可能な水素原子は、独立して重水素原子と置換され得る。当業者は、式Iの化合物の重水素化形態を合成する方法を知っているだろう。例えば、重水素化アルキル基アミンは従来の技術によって調製できる(例えば:Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI,Cat.No.489,689−2から入手可能なメチル−d−アミンを参照のこと)。スキーム1またはスキーム2によるこのような化合物を利用すれば、種々の水素原子が重水素原子で置換された式Iの化合物の調製が可能となる。
【0023】
使用方法
本発明は、キナーゼと、式Iの化合物またはその塩、特にその医薬的に許容可能な塩とを接触させることを含んでなる、TNNI3Kを阻害する方法に関する。本発明はまた、TNNI3Kにより媒介される疾患または障害の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者、特にヒトに有効量の式Iの化合物またはその塩、特にその医薬的に許容可能な塩を投与することを含んでなる、方法に関する。本明細書で用いる、「患者」とは、ヒトまたは他の哺乳動物を指す。具体的には、本発明は、キナーゼと、有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩とを接触させることを含んでなる、TNNI3K活性を阻害する方法に関する。例えば、TNNI3K活性は、有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を投与を必要とする患者に投与することによって、哺乳動物心臓組織において阻害され得る。
【0024】
本発明の化合物は、特にTNNI3K活性を阻害することによって、TNNI3Kにより媒介される疾患または障害の治療に特に有用であり得る。ここで、そのような疾患または障害は、心不全、特に鬱血性心不全;心臓肥大;および心臓肥大から生じる心不全または鬱血性心不全から選択される。本発明の化合物はまた、心筋虚血または心筋梗塞から生じる心不全または鬱血性心不全の治療に有用であり得る。
【0025】
治療的「有効量」は、そのような治療を必要とする患者に投与された場合、本明細書に定義される治療を行うのに十分な化合物の量を意味することが意図されている。従って、例えば、式Iの化合物、またはその医薬的に許容可能な塩の治療的有効量は、それを必要とするヒトに投与された場合、TNNI3Kの活性を調節または阻害し、その結果、その活性によって媒介される病態が、低減され、軽減され、または予防されるのに十分な本発明の薬剤の量である。そのような量に相当する所定の化合物の量は、特定の化合物(例えば、特定の化合物の効力(pXC50)、効果(EC50)、および生物学的半減期)、病態およびその重症度、治療の必要のある患者の特性(例えば、年齢、大きさおよび体重)などの要因に応じて変化するであろうが、それにも関わらず、当業者により慣用的に決定され得る。同様に、化合物の治療期間および投与時間(投与と投与の間の時間および投与のタイミング、例えば食前/食中/食後)は、治療を必要とする哺乳動物の特性(例えば体重)、特定の化合物およびその特性(例えば医薬的特徴)、疾患または病態およびその重症度ならびに使用される特定の組成物および方法に応じて変化するであろうが、それにも関わらず、当業者により慣用的に決定され得る。
【0026】
「治療する」または「治療」は、TNNI3Kにより引き起こされるか、または媒介される患者における病態を少なくとも緩和することを意味することが意図されている。病態を緩和するための治療方法は、例えば、疾患の防止、遅延、予防、治療または治癒のために、任意の従来的に許容可能な方法による本発明の化合物の使用を含む。本発明の式Iの化合物は、心不全、特に鬱血性心不全の治療に有用であり得る。本発明の式Iの化合物は、心臓肥大、および心臓肥大、心筋虚血または心筋梗塞から生じる心不全または鬱血性心不全の治療に有用であり得る。
【0027】
本発明の化合物は、全身投与および局所投与の両方を含む、任意の適切な投与経路によって投与されてもよい。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、および吸入による投与が含まれる。非経口投与とは、腸、経皮、または吸入による投与以外の投与経路を指し、典型的には注射または注入による。非経口投与には、静脈内、筋肉内、および皮下注射または注入が含まれる。吸入とは、口を介してまたは鼻道を介して吸入されるか否かに関わらず、患者の肺への投与を指す。局所投与には皮膚による塗布が含まれる。
【0028】
本発明の化合物は、1回投与されてもよいし、または投与計画に従って投与されてもよく、ここで、投与回数は、所定の期間、様々な時間間隔で投与される。例えば、1日に1回、2回、3回または4回、用量が投与されてもよい。所望の治療効果が達成されるまで、または所望の治療効果を維持するまで無制限に用量は投与されてもよい。本発明の化合物についての適切な投与計画は、吸収、分布、および半減期などのその化合物の薬物動態特性に依存し、当業者により決定され得る。加えて、本発明の化合物についての適切な投与計画(そのような計画が施される期間を含む)は、治療される病態、治療される病態の重症度、治療される患者の年齢および健康状態、治療される患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、および当業者の知識および見解の範囲内の同様の要因に依存する。適切な投与計画は、個々の患者が変更を必要とする場合、その投与計画または時間経過に対する個々の患者の反応を考慮して調節を要求し得ることが、そのような当業者にはさらに理解されるだろう。
【0029】
TNNI3Kにより媒介される病態の治療は、本発明の化合物を用いて単独療法として達成できるし、または当該技術分野で知られている有効量を用いて投与される、他の心臓血管作用薬との併用、例えば以下の薬剤:ベータ遮断剤、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)、カルシウムチャネル遮断剤、利尿薬、レニン阻害剤、中枢作動性降圧薬、二重ACE/NEP阻害剤、アルドステロンシンターゼ阻害剤、およびアルドステロン受容体アンタゴニストのうちの1つ以上との併用などの二重もしくは多重併用療法によっても達成され得る。
【0030】
適切なベータ遮断剤の例としては、チモロール(例えばBLOCARDEN(商標))、カルテオロール(例えばCARTROL(商標))、カルベジロール(例えばCOREG(商標))、ナドロール(例えばCORGARD(商標))、プロパノロール(propanolol)(例えばINNOPRAN XL(商標))、ベタキソロール(例えばKERLONE(商標))、ペンブトロール(例えばLEVATOL(商標))、メトプロロール(例えばLOPRESSOR(商標)およびTOPROL−XL(商標))、アテノロール(例えばTENORMIN(商標))、ピンドロール(例えばVISKEN(商標))、ビソプロロール、ブシンドロール、エスモロール、アセブトロール、ラベタロール、ネビボロール、セリプロロール、ソタロール、およびオクスプレノロールが挙げられる。適切なACE阻害剤の例としては、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナザプリラート(benazaprilat)、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシピリル(moexipiril)、モベルトプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリルが挙げられる。好適なACE阻害剤は、ベナゼプリル、エナルプリル(enalpril)、リシノプリル、およびラミプリルである。適切なアンジオテンシン受容体遮断剤の例としては、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、タソサルタン、テルミサルタン、およびバルサルタンが挙げられる。適切なカルシウムチャネル遮断剤の例としては、ジヒドロピリジン(DHP)および非DHPが挙げられる。適切なDHPとしては、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン(ryosidine)、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルピジン(nigulpidine)、ニルジピン、ニモジフィン(nimodiphine)、ニソルジピン、ニトレンジピン、およびニバルジピンならびにそれらの医薬的に許容可能な塩が挙げられる。適切な非DHPは、フルナリジン、プレニラミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミル、およびベランピミル(verampimil)ならびにそれらの医薬的に許容可能な塩である。適切な利尿薬は、アミロライド、クロロサイアザイド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロジアジド、およびクロロタリドン(chlorothalidon)から選択されるチアジド誘導体である。適切なレニン阻害剤はアリスキレンである。適切な中枢作動性降圧薬の例としては、クロニジン、グアナベンズ、グアンファシンおよびメチルドーパが挙げられる。適切な二重ACE/NEP阻害剤の例としては、オマパトリラート、ファシドトリル、およびファシドトリラート(fasidotrilat)が挙げられる。適切なアルドステロンシンターゼ阻害剤の例としては、アナストロゾール、ファドロゾール、およびエキセメスタンが挙げられる。適切なアルドステロン受容体アンタゴニストの例としては、スピロノラクトンおよびエプレレノンが挙げられる。
【0031】
本発明はさらに、特にTNNI3Kによって媒介される疾患の治療における活性治療剤としての本発明の化合物の使用を含む。具体的には、本発明は、心不全、特に鬱血性心不全;心臓肥大;心臓肥大から生じる心不全または鬱血性心不全;および心筋虚血または心筋梗塞から生じる心不全または鬱血性心不全の治療における本発明の化合物の使用を含む。
【0032】
別の態様において、本発明は上記障害の治療に使用するための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0033】
組成物
本発明の化合物は、必ずしも必要ではないが、通常、患者に投与する前に医薬組成物に製剤化される。従って、別の態様において、本発明は、本発明の化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物に関する。
【0034】
本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の化合物が抽出され、次いで粉末、シロップ、および注射用溶液などで患者に与えられ得るバルク形態で調製され、パッケージ化されてもよい。代替として、本発明の医薬組成物は、単位投薬形態で調製され、パッケージ化されてもよい。経口投与に関して、例えば、1つ以上の錠剤またはカプセル剤が投与されてもよい。医薬組成物の用量は、少なくとも治療的有効量の本発明の化合物(すなわち、式Iの化合物またはその塩、特にその医薬的に許容可能な塩)を含む。単位投薬形態で調製される場合、医薬組成物は1mg〜1000mgの本発明の化合物を含んでもよい。
【0035】
本発明の医薬組成物は典型的に本発明の1つの化合物を含む。しかしながら、特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は1種より多い本発明の化合物を含む。加えて、本発明の医薬組成物は必要に応じて、1種以上のさらなる医薬的に活性な化合物を含んでもよい。
【0036】
本明細書で用いる、「医薬的に許容可能な賦形剤」とは、組成物に形態または粘稠度を付与することに関与する物質、組成物またはビヒクルを意味する。各々の賦形剤は、患者に投与される場合の本発明の化合物の効果を実質的に減少させる相互作用および医薬的に許容可能でない医薬組成物を生じる相互作用が回避されるように、混合される場合、医薬組成物の他の成分と適合可能でなければならない。加えて、各々の賦形剤はもちろん、医薬的に許容可能であるように十分高い純度でなければならない。
【0037】
本発明の化合物および医薬的に許容可能な賦形剤(複数も含む)は典型的に、所望の投与経路による患者への投与に適合した投薬形態に製剤化される。従来の投薬形態としては、(1)錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸薬、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、溶剤、乳剤、サシェ剤およびカシェ剤などの経口投与;(2)滅菌溶剤、懸濁剤、および復元用散剤などの非経口投与;(3)経皮パッチ剤などの経皮投与;(4)座剤などの直腸投与;(5)エアゾール剤および液剤などの吸入;ならびに(6)クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、溶剤、ペースト剤、スプレー剤、フォーム剤、およびゲル剤などの局所投与に適したものが挙げられる。
【0038】
適切な医薬的に許容可能な賦形剤は、選択された特定の投与形態に依存して変わるであろう。加えて、適切な医薬的に許容可能な賦形剤は、それらが組成物の中で果たし得る特定の機能に基づいて選ぶことができる。例えば、ある医薬的に許容可能な賦形剤は、それらの均一な投与形態の製造を容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬的に許容可能な賦形剤は、それらの安定な投与形態の製造を容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬的に許容可能な賦形剤は、患者へ投与された本発明の化合物(複数も含む)が一つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の別の部分へ運搬または輸送されるのを容易にする能力で選ぶことができる。ある医薬的に許容可能な賦形剤は、患者の服薬遵守を高める能力で選ぶことができる。
【0039】
適切な医薬的に許容可能な賦形剤としては、以下の種類の賦形剤が挙げられる:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、フレーバー剤、フレーバーマスキング剤、着色料、アンチケーキング剤、保湿剤、キレート化剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者にとって当然のことながら、ある医薬上許容される賦形剤は、2つ以上の機能を果たすことがあり、製剤中に存在する該賦形剤の量および製剤中に存在する他の成分に依存して別の機能を果たすことがある。
【0040】
当業者は、本発明で使用される適切な量の医薬的に許容可能な適切な賦形剤を選択する当該技術分野の知識およびスキルを有している。加えて、医薬的に許容可能な賦形剤を記載している、当業者が利用可能であり、医薬的に許容可能な適切な賦形剤を選択するのに有用であり得る多くの資料がある。例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0041】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を使用して調製される。当該技術分野で一般的に使用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0042】
一態様において、本発明は、本発明の化合物の有効量および希釈剤または充填剤を含む錠剤またはカプセル剤のような固体経口投与形態を対象とする。適切な希釈剤および充填剤としては、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファ澱粉)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)、硫酸カルシウムおよび第二リン酸カルシウムが挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、結合剤を含むことができる。適切な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびアルファ澱粉)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびそれらの誘導体(例えば、微結晶性セルロース)が挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、崩壊剤を含むことができる。適切な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。固体経口投与形態は、さらに、滑沢剤を含むことができる。適切な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクが挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例は本発明を例示する。これらの実施例は本発明の範囲を限定することを意図せず、むしろ、本発明の化合物、組成物、および方法を調製および使用するために当業者に指針を与える。本発明の特定の実施形態を記載するが、当業者は種々の変更および改変が本発明の精神および範囲から逸脱せずになされてもよいことは理解するだろう。
【0044】
以下の実験的記述において、以下の略語が使用され得る。
【0045】
【表1−1】

【表1−2】

【0046】
調製例1
2−ブロモ−6−(メチルオキシ)−4−ニトロフェノール
【化4】

2−(メチルオキシ)−4−ニトロフェノール(1g、5.91mmol)を超音波処理を用いて氷酢酸(11.82mL)に溶解した。臭素(0.305ml、5.91mmol)を、空気に対する隔壁およびニードル開口を用いて、室温で10分にわたってシリンジによってそのまま(neat)滴下した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。粗反応物を、よくかき混ぜた水(200mL)に注意深くゆっくりとピペットで入れ、得られた混合物を10分間攪拌した。得られた固体を濾過し、水(2×50mL)で十分に洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて、2−ブロモ−6−(メチルオキシ)−4−ニトロフェノール(1.16g、75%収率)を得た。H NMR(400MHz,メタノール−d)δ8.09(d,J=2.76Hz,1H),7.81(d,J=2.51Hz,1H),4.00(s,3H);MS(m/z)248.7(M+H)。
【0047】
以下のクロロ−ニトロ−フェノールを、出発物質として指定したニトロ−フェノールを用いて調製例1に記載したものと同様の手順を用いて調製し、純粋な(neat)Brを加えるのではなく反応混合物にClガスを泡立てた。
【0048】
【表2】

【0049】
調製例2
4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルアニリン
【化5】

工程1.4−クロロ−6−[(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)オキシ]ピリミジン
アセトン(20mL)中の4,6−ジクロロピリミジン(3g、20.14mmol)および2,6−ジメチル−4−アミノフェノール(3.37g、20.14mmol)に、NaOH(0.805g、20.14mmol)および20mLの水を加えた。次いで得られた溶液を45℃まで加熱した。45℃にて18時間後、出発物質は残っていた。次いで反応混合物を18時間、65℃まで加熱した。アセトンを真空中で除去し、残留物を水で希釈し、濾過し、濾過ケーキを水で洗浄した。次いで固体を10%の炭酸ナトリウム(3回)、次いで水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて、4−クロロ−6−[(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)オキシ]ピリミジン(3.81g、66%収率)を茶色の固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ8.63(s,1H),8.13(s,2H),7.63(s,1H),2.17(s,6H);MS(m/z)279.9(M+H)。
【0050】
工程2.4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルアニリン
80%エタノール(26.8mL)中の4−クロロ−6−[(2,6−ジメチル−4−ニトロフェニル)オキシ]ピリミジン(1.5g、5.36mmol)に、鉄粉(10ミクロン未満、1.498g、26.8mmol)および塩化アンモニウム(1.5g、28.0mmol)を加えた。得られた混合物をNでフラッシュし、21時間、加熱還流した。次いで反応混合物をEtOHで希釈し、セライト(登録商標)で濾過した。次いで大部分のEtOHを真空中で除去し、残留物を酢酸エチルおよび水で処理した。次いでNaHCOを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。次いで合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(ISCO、40gシリカララム、0〜100%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルアニリン(0.635g、61%収率)を黄褐色の固体として得た。MS(m/z)249.9(M+H)。
【0051】
以下のアニリンを、工程1における出発物質として指定したフェノールおよび4,6−ジクロロピリミジン、ならびに工程1および2に関して記載した条件を用いて調製例2に記載したものと同様の手順を用いて調製した。
【0052】
【表3】

【0053】
調製例3
3−クロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−5−(メチルオキシ)アニリン
【化6】

工程1.4−アミノ−2−クロロ−6−(メチルオキシ)フェノール
エタノール(200mL)中の2−クロロ−6−(メチルオキシ)−4−ニトロフェノール(8.0g、39.3mmol)、Fe(11.0g、196.5mmol)、およびCu(1.3g、19.6mmol)の混合物に、濃HCl(10mL)を加えた。得られた混合物を3時間、加熱還流し、濾過した。濾液を酢酸エチル(1L)で希釈し、ブライン(2×500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、4−アミノ−2−クロロ−6−(メチルオキシ)フェノール(5.7g、71%収率)をオフホワイトの固体として得た。MS(m/z)174.1(M+H)。
【0054】
工程2.3−クロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−5−(メチルオキシ)アニリン
DMF中の4−アミノ−2−クロロ−6−(メチルオキシ)フェノール(4.7g、27.1mmol)の混合物に、0℃にて、NaH(1.28g、27.1mmol)を加えた。次いで混合物を0℃にて30分間攪拌し、その後、4,6−ジクロロピリミジン(4.03g、27.1mmol)を加えた。次いで得られた混合物を0℃にて30分間攪拌し、その後、20℃まで加温し、17時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチし、同一の条件下で行ったさらなる実験(5.76mmolスケール)からの粗物質と合わせた。次いで合わせた反応混合物を酢酸エチル(1L)で希釈し、水(500mL)、次いでブライン(500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、茶色の油を得た。粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、3−クロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−5−(メチルオキシ)アニリン(合計4.89g、52%の合わせた収率)を茶色の固体として得た。MS(m/z)286.0(M+H)。3−クロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−5−(メチルオキシ)アニリンを調製例3と同様の方法で調製した。MS(m/z)340.0(M+H)。
【0055】
実施例1
N−(3,5−ジクロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
【化7】

工程1.N−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
下で、無水ピリジン(5.62mL)中の4−アミノ−2,6−ジクロロフェノール(1g、5.62mmol)の溶液に、純粋な3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(0.740mL、5.62mmol)をゆっくりと滴下した。2日後、反応混合物を150mLの1N HClおよび50mLのCHClに注いだ。次いで混合物を一晩静置すると、その間に生成物が完全に沈殿した。固体を濾過し、CHClで洗浄し、乾燥させて、N−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(2.10g、94%収率)を紫色の粉末として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.76(s,1H),9.15(s,1H),8.82(s,1H),8.00(s,1H),7.55−7.61(m,1H),7.46−7.55(m,3H),7.32(d,J=7.53Hz,1H)。
【0056】
工程2.N−{3,5−ジクロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]フェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
N−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.500g、1.369mmol)および4,6−ジクロロピリミジン(0.408g、2.74mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4.57mL)の混合物に、カリウムtert−ブトキシド(0.154g、1.369mmol)および炭酸ナトリウム(325メッシュ、0.145g、1.369mmol)を加えた。次いで混合物を室温で18時間攪拌した。
【0057】
混合物を水(50mL)で希釈し、CHCl(3×50mL)で抽出した。次いで合わせた有機抽出物を水(2×50mL)およびブライン(1×50mL)で洗浄した。CHCl層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで粗物質をカラムクロマトグラフィー(ISCO、40gシリカカラム、15分にわたって0〜50%EtOAc/ヘキサン)により精製して、N−{3,5−ジクロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]フェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.440g、66%収率)をオフホワイトのパリパリした(crispy)泡状物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.36(s,1H),9.25(s,1H),8.71(s,1H),8.02(s,1H),7.72−7.77(m,3H),7.60−7.67(m,1H),7.54(t,J=7.91Hz,1H),7.36(d,J=7.53Hz,1H);MS(m/z)366.8(M+H)。
【0058】
工程3.N−(3,5−ジクロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
N−{3,5−ジクロロ−4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]フェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.150g、0.314mmol)に、THF中の2Mメチルアミン(1.00mL、2.00mmol)を加えた。次いで混合物を2.5時間、50℃まで密閉チューブ中で加熱した。次いで揮発性物質を、キャップを外した状態で激しく攪拌することによって一晩かけて蒸発させた。残留物をDMFおよびMeOHに溶解し、濾過し、次いで逆相HPLC(Waters、Sunfire、30×100mmカラム、0.1%TFAを含む44〜78%CHCN/HO)により精製して、N−(3,5−ジクロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート(0.051g、26%収率)を得た。
【0059】
以下の化合物を、1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンおよび工程1において出発物質として指定したアミンを用いて実施例1に記載したものと同様の手順を用いて調製した。
【0060】
【表4】

【0061】
実施例4
N−(3,5−ジフルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
【化8】

工程1.N−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
無水ピリジン(8mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)中の4−アミノ−2,6−ジフルオロフェノール(1.6g、11.03mmol)の溶液に、3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(1.236mL、8.82mmol)をゆっくりと滴下した。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。
【0062】
反応混合物を200mLの2N HCl中にピペットで取り、100mLのCHClで希釈し、粗いフリットで濾過し、水で一度洗浄した。濾過物を1N HClおよびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いで粗物質を、カラムクロマトグラフィー(ISCO、40gのシリカカラム、0〜85%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、N−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.498g、13%収率)を白色の固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ=9.71(s,1H),9.10(s,1H),8.82(s,1H),7.99(s,1H),7.58(d,J=8.5Hz,1H),7.51(t,J=7.8Hz,1H),7.32(d,J=7.5Hz,1H),7.23−7.11(m,2H);MS(m/z)332.9(M+H)。
【0063】
工程2.N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジフルオロメチル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
N,N−ジメチルホルムアミド(5.996mL)中のN−(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.498g、1.499mmol)および4,6−ジクロロピリミジン(0.447g、3.00mmol)の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(0.210g、1.874mmol)および炭酸カリウム(0.207g、1.499mmol)を加えた。混合物を1時間攪拌し、その後さらに1.25当量のカリウムtert−ブトキシド(0.210g、1.874mmol)を加えた。次いで反応混合物を一晩攪拌した。
【0064】
混合物を酢酸エチル/エーテル(1:1、50mL)で希釈し、水(2×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をフロリジル上で吸収し、カラムクロマトグラフィー(ISCO、12gのシリカカラム、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジフルオロフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.408g、58%収率)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ=9.30(d,J=7.3Hz,2H),8.72(s,1H),8.01(s,1H),7.74(s,1H),7.62(d,J=8.3Hz,1H),7.54(t,J=7.9Hz,1H),7.42(s,1H),7.44(s,1H),7.36(d,J=7.8Hz,1H);MS(m/z)445.0(M+H)。
【0065】
工程3.N−(3,5−ジフルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジフルオロフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(408mg、0.917mmol)およびTHF中の2Mメチルアミン(2.293mL、4.59mmol)をイソプロパノール(1mL)中で合わせ、120℃にて20分間、マイクロ波反応器中で加熱した。次いで粗反応混合物をフロロジル(florosil)上で吸収し、カラムクロマトグラフィー(ISCO、12gのシリカ、10〜100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、N−(3,5−ジフルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.177g、42%)を得た。
【0066】
実施例5
N−(3,5−ジメチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
【化9】

工程1.N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
室温にて、無水テトラヒドロフラン(THF)(8mL)中の4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルアニリン(0.635g、2.54mmol)に、3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(0.374mL、2.80mmol)をゆっくり滴下した。得られた混合物を一晩攪拌した。翌朝、MeOHを加えて、形成した固体を溶解し、すべての過剰なイソシアネートをクエンチした。溶媒を真空中で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(ISCO、40gのシリカカラム、0〜50%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.914g、77%収率)を白色の固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.08(s,1H),8.76(s,1H),8.63(s,1H),8.06(s,1H),7.48−7.60(m,2H),7.40(s,1H),7.32(d,J=7.03Hz,1H),7.26(s,2H),2.02(s,7H);MS(m/z)436.9(M+H)。
【0067】
工程2.N−(3,5−ジメチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
THF中の2Mメチルアミン(2mL、4.00mmol)中のN−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3,5−ジメチルフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.200g、0.458mmol)を50℃で3時間、密閉チューブ中で加熱した。過剰なメチルアミンおよび溶媒を一晩かけて蒸発させた。次いで粗物質をDMFおよびMeOH(全量3mL)で処理し、濾過し、Waters逆相HPLC(Sunfire C−18 150×30mmカラム、0.1%TFAを有する30〜70%アセトニトリル/水)により精製した。次いで適切な画分を濃縮して、N−(3,5−ジメチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート(0.120g、47%)を白色の固体/無色の薄膜として得た。
【0068】
以下の化合物を、工程1における出発物質として1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンおよび指定したアニリンを用いて実施例5に記載したものと同様の手順を用いて調製した。
【0069】
【表5】

【0070】
実施例11
N−(3−フルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
【化10】

工程1.N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3−フルオロフェニル}―N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
ジクロロメタン(4.17mL)中の4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3−フルオロアニリン(0.100g、0.417mmol)の溶液に、3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(0.160g、0.356mmol)を加えた。得られた混合物を3日間攪拌した。溶媒を除去し、2mLのエーテルに固体を懸濁し、濾過し、濾過ケーキをエーテル(3×0.5mL)で洗浄した。次いで得られた固体を減圧下で乾燥させて、N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.178g、85%収率)を得た。H NMR (400MHz,DMSO−d)δ9.17(s,1H),9.11(s,1H),8.68(s,1H),8.02(s,1H),7.68(dd,J=2.27,13.09Hz,1H),7.50−7.64(m,3H),7.30−7.37(m,2H),7.20−7.27(m,1H);MS(m/z)426.8(M+H)。
【0071】
工程2.N−(3−フルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテート
N−{4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素(0.145g、0.340mmol)と、THF中のCHNH(1.699mL、3.40mmol)との混合物のイソプロパノール(0.680mL)溶液を、100℃にて20分間、マイクロ波反応器中で加熱した。次いで混合物を半分の体積まで濃縮してメチルアミンを除去し、濾過し、HPLC(Agilent、30×150mm Sunfire C18カラム、0.1%TFAを含む25〜55%CHCN/HO)により精製して、N−(3−フルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素トリフルオロアセテートを得た。
【0072】
以下の化合物を、工程1における出発物質として1−イソシアネート−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンおよび指定したアニリンを用いて実施例11に記載したものと同様の手順を用いて調製した。実施例14に関して、工程1はCHClの代わりの溶媒としてピリジンを用いて調製した。実施例13および14の両方に関して、工程2は50℃にて2時間、エタノール中のCHNHを用いて実施した。
【0073】
【表6】

【0074】
実施例1〜14に関する分光分析データ
【0075】
【表7−1】

【表7−2】

【表7−3】

LCMS法:以下の溶離勾配:1.0mL/分の流速で2.5分にわたって10%〜100%(溶媒B)および1.7分間100%に保持を用いて水中0.05%TFA(溶媒A)およびアセトニトリル中0.05%TFA(溶媒B)で溶離するSunfire C18 5.0μmカラム(3.0mm×50mm内径)を備えたエレクトロスプレーポジティブ[M+Hを与えるためにES+ve]を用いるAgilent 1100 Series LC/MSD SLまたはVL。
LCMS法:以下の溶離勾配:1.0mL/分の流速で10.0分にわたって10%〜100%(溶媒B)および1.7分間100%に保持を用いて水中0.05%TFA(溶媒A)およびアセトニトリル中0.05%TFA(溶媒B)で溶離するSunfire C18 5.0μmカラム(3.0mm×50mm内径)を備えたエレクトロスプレーポジティブ[M+Hを与えるためにES+ve]を用いるAgilent 1100 Series LC/MSD SLまたはVL。
LCMS法:以下の溶離勾配:1.2mL/分の流速で0.9分にわたって10%〜80%(溶媒B)および0.6分間80%に保持を用いて水中0.0375%TFA(溶媒A)およびアセトニトリル中0.01875%TFA(溶媒B)で溶離するshim−pack XR−ODS 2.2μmカラム(3.0mm×30mm、3.0mm内径)を備えたエレクトロスプレーポジティブ[M+Hを与えるためにES+ve]を用いるAgilent 1200 Series LC/MSD VL上。
【0076】
医薬組成物
実施例A
錠剤は従来の方法を用いて調製し、以下のように製剤化する。
【0077】
【表8】

【0078】
実施例B
カプセル剤は従来の方法を用いて調製し、以下のように製剤化する。
【0079】
【表9】

【0080】
生物学的アッセイ
物質:His−MBP−TEV−完全長ヒトTNNI3K(hTNNI3K)をバキュロキナーゼ(Baculokinase)系で発現させ、アミラーゼ親和性カラム、続いてSuperdex200から精製した。蛍光リガンド5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸を用いた。MgCl(カタログ番号M1028)、Bis−Tris(カタログ番号B7535)、DTT(カタログ番号D9779)およびChaps(カタログ番号C3023)を含む他の緩衝剤成分はSigma−Aldrichから購入した。
【0081】
5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸の調製
工程1.1−メチル−2−ニトロ−4−(2−プロペン−1−イルオキシ)ベンゼン
アセトン(278mL)中の4−メチル−3−ニトロフェノール(20g、131mmol)、炭酸カリウム(27.1g、196mmol)、ヨウ化ナトリウム(21.53g、144mmol)、および臭化アリル(12.43mL、144mmol)の混合物を、3日間55℃で加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、真空中で濃縮した。残留物を200mLエーテルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2×100mL)、次いでブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、1−メチル−2−ニトロ−4−(2−プロペン−1−イルオキシ)ベンゼン(25.8g、97%収率)を橙色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.54(d,J=2.77Hz,1H),7.25(d,J=8.56Hz,1H),7.10(dd,J=2.77,8.56Hz,1H),6.00−6.11(m,J=5.26,5.26,10.48,17.28Hz,1H),5.42−5.49(m,1H),5.31−5.38(m,1H),4.60(dt,J=1.51,5.29Hz,2H),2.55(s,3H);MS(m/z)194.2(M+H)。
【0082】
工程2.2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)アニリン
エタノール(280mL)、水(28mL)、および酢酸(5.6mL、98mmol)中の1−メチル−2−ニトロ−4−(2−プロペン−1−イルオキシ)ベンゼン(25.2g、130mmol)の混合物に、鉄(29.1g、522mmol)を6回に分けて加えた。得られた混合物を室温にて3日間攪拌した。次いでさらに酢酸(5.6ml、98mmol)および鉄(7.28g)を加えた。6時間後、さらに3当量の鉄(21.82g)を加え、混合物を17時間攪拌した。混合物をセライト(登録商標)で濾過し、エタノール、次いで水で洗浄し、真空中で濃縮して、エタノールを除去した。次いで得られた水性混合物をエーテル(300mL)と2N HCl(100mL)との間に分配した。層を分離し、エーテル層を2N HCl(2×100mL)で抽出した。溶液がpH9に到達するまで、合わせた水層をNaOHで処理した。この混合物を塩化メチレン(300mL)で希釈し、濾過した。次いで層を分離した。次いで水層を塩化メチレン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(ISCO、120gのシリカカラム、5〜30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)アニリン(11.8g、50%収率)を暗赤色の油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.28(s,1H),7.02(d,J=8.31Hz,1H),6.59(d,J=2.52Hz,1H),6.49(dd,J=2.52,8.31Hz,1H),5.98−6.13(m,1H),5.42(dq,J=1.53,17.31Hz,1H),5.29(dq,J=1.38,10.45Hz,1H),4.51(dt,J=1.51,5.29Hz,2H),2.24(s,3H);MS(m/z)164.1(M+H)。
【0083】
工程3.2−クロロ−N−[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]−4−ピリミジンアミン
tert−ブタノール(103mL)中の2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)アニリン(11.8g、72.3mmol)の溶液に、2,4−ジクロロピリミジン(10.77g、72.3mmol)、続いて炭酸水素ナトリウム(18.22g、217mmol)を加えた。得られた混合物を17時間、80℃で加熱した。次いでさらに2,4−ジクロロピリミジン(0.25当量、2.69g)を加え、反応混合物を6時間攪拌した。さらに2,4−ジクロロピリミジン(0.25当量、2.69g)を加え、混合物を6日間攪拌した。次いで2,4−ジクロロピリミジン(0.25当量、2.69g)の第3部分を加え、混合物をさらに3日間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(200mL)および水(200mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィ−(ISCO、330gのシリカカラム、1〜20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、2−クロロ−N−[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]−4−ピリミジンアミン(15.1g、72%収率)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.10(d,J=5.79Hz,1H),7.21(d,J=8.56Hz,1H),7.14(br.s.,1H),6.89(d,J=2.52Hz,1H),6.83(dd,J=2.64,8.44Hz,1H),6.36(d,J=5.79Hz,1H),5.99−6.11(m,1H),5.42(dd,J=1.51,17.37Hz,1H),5.32(dd,J=1.26,10.32Hz,1H),4.54(d,J=5.29Hz,2H),2.20(s,3H);MS(m/z)276.1(M+H)。
【0084】
工程4.3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]安息香酸
アセトン(58.0mL)および水(58.0mL)中の2−クロロ−N−[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]−4−ピリミジンアミン(8g、29.0mmol)、3−アミノ安息香酸(3.98g、29.0mmol)、およびHCl(14.51mL、29.0mmol)の混合物を2日間、60℃で加熱した。混合物を室温まで冷却した。空気のストリームを1分間溶液に通過させ、厚い固体を形成させた。混合物を水(150mL)で希釈し、濾過し、水(3×50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]安息香酸(7.4g、10.92g)を得た。H NMR(400MHz,メタノール−d)δ8.02(br.s.,1H),7.79−7.88(m,2H),7.77(d,J=8.03Hz,1H),7.38(t,J=7.40Hz,1H),7.24(d,J=8.28Hz,1H),6.96(d,J=2.51Hz,1H),6.89(dd,J=2.51,8.53Hz,1H),6.35(br.s.,1H),5.97−6.09(m,1H),5.37(dd,J=1.63,17.19Hz,1H),5.24(dd,J=1.25,10.54Hz,1H),4.48(d,J=5.27Hz,2H),2.21(s,3H);MS(m/z)377.1(M+H)。
【0085】
工程5.1,1−ジメチルエチル{2−[({3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}カルバメート
N,N−ジメチルホルムアミド(51.8mL)中の3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]安息香酸(6.83g、18.15mmol)の混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.51mL、54.4mmol)、続いてN−(2−アミノエチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.20g、19.96mmol)およびHATU(8.28g、21.77mmol)を加えた。次いで得られた混合物を室温にて18時間攪拌した。次いで混合物を酢酸エチル/エーテル(400mL、1:1)で希釈し、水(3×300mL)、次いでブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、1,1−ジメチルエチル{2−[({3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}カルバメート(8.3g、84%収率)を得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.17(s,1H),8.66(s,1H),8.26(t,J=5.40Hz,1H),7.93−8.04(m,3H),7.28(d,J=7.78Hz,1H),7.12−7.22(m,2H),7.09(d,J=2.51Hz,1H),6.90(t,J=5.65Hz,1H),6.73(dd,J=2.64,8.41Hz,1H),6.13(d,J=5.77Hz,1H),5.94−6.08(m,1H),5.37(dd,J=1.76,17.32Hz,1H),5.24(dd,J=1.51,10.54Hz,1H),4.51(d,J=5.27Hz,2H),3.27(q,J=6.19Hz,2H),3.09(q,J=6.19Hz,2H),2.15(s,3H),1.38(s,9H);MS(m/z)519.2(M+H)。
【0086】
工程6.1,1−ジメチルエチル[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]カルバメート
N,N−ジメチルホルムアミド(42.4mL)中の1,1−ジメチルエチル{2−[({3−[(4−{[2−メチル−5−(2−プロペン−1−イルオキシ)フェニル]アミノ}−2−ピリミジニル)アミノ]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}カルバメート(5.5g、10.61mmol)およびモルホリン(1.016ml、11.67mmol)の溶液を窒素で脱気した。次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.226g、1.061mmol)を加えた。得られた混合物を80℃で3時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(250mL)で希釈し、水(3×200mL)、次いでブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、約50mLの酢酸エチルが残存するまで真空中で濃縮した。次いで混合物を一晩静置すると、その間に、生成物が沈殿した。混合物をエーテル(50mL)で希釈し、濾過し、次いでエーテルで洗浄して、1,1−ジメチルエチル[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]カルバメート(4.75g、84%収率)を橙色の粘性の固体として得た。さらに0.359g(7%収率)を漏斗側から単離した。H NMR(400MHz,メタノール−d)δ8.11(s,1H),7.91(d,J=6.04Hz,1H),7.75(d,J=7.30Hz,1H),7.35−7.41(m,1H),7.30(t,J=7.81Hz,1H),7.10(d,J=8.31Hz,1H),6.87(d,J=2.52Hz,1H),6.65(dd,J=2.64,8.18Hz,1H),6.05(d,J=6.04Hz,1H),3.46(t,J=6.04Hz,2H),3.29(t,J=6.17Hz,2H),2.17(s,3H),1.42(s,9H);MS(m/z)479.2(M+H)。
【0087】
工程7.N−(2−アミノエチル)−3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)ベンズアミド
塩化メチレン(28.6mL)およびトリフルオロ酢酸(TFA)(7.15mL)中の1,1−ジメチルエチル[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]カルバメート(4.75g、8.93mmol)の溶液を室温にて18時間攪拌した。次いで溶媒を減圧下で除去して、N−(2−アミノエチル)−3−({4−[5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)ベンズアミド(6.5g、96%収率)を茶色の泡状物として得た。H NMR(400MHz,DMSO−d)δ10.69(br.s.,1H),10.25(br.s.,1H),8.60(t,J=5.54Hz,1H),7.98(d,J=7.05Hz,1H),7.86(br.s.,4H),7.75(br.s.,1H),7.56(d,J=7.55Hz,1H),7.30(t,J=6.67Hz,1H),7.10(d,J=8.31Hz,1H),6.77(s,1H),6.68(dd,J=2.39,8.18Hz,1H),6.32(br.s.,1H),3.50(q,J=6.13Hz,2H),2.93−3.04(m,2H),2.08(s,3H);MS(m/z)379.1(M+H)。
【0088】
工程8.5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸
DMF(13.19mL)中のN−(2−アミノエチル)−3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)ベンズアミド(1g、1.319mmol)、4−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)−1,3−ベンゼンジカルボン酸(0.397g、1.055mmol)、トリエチルアミン(0.919mL、6.60mmol)、EDC(0.506g、2.64mmol)、およびHOBT(0.202g、1.319mmol)の混合物を室温にて一晩攪拌した。次いで反応混合物をpH3まで2N HClで酸性にし、酢酸エチル(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水(1×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。次いでこの物質を同一の条件下で実施した別の実験(0.132mmolスケール)からのものと合わせ、逆相HPLC(Agilent、30×75mm Sunfire C18カラム、0.1%TFAを含む10〜40%CHCN/HO)により精製した。次いでこの物質を逆相HPLC(Restek 30×100mm PFPp(ペンタフルオロフェニルプロピル)カラム、10〜90%MeCN/HO)によって2回目の精製を行い、5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸(0.055g、5%収率)を明るい橙色の固体として得た。H NMR(400MHz,メタノール−d)δ8.46(s,1H),8.17(dd,J=1.51,8.06Hz,1H),8.14(br.s.,1H),7.88(d,J=6.04Hz,1H),7.71−7.77(m,1H),7.38−7.45(m,1H),7.26−7.36(m,2H),7.08(d,J=8.31Hz,1H),6.84(d,J=2.52Hz,1H),6.70(d,J=2.27Hz,2H),6.62−6.67(m,3H),6.55(dd,J=2.27,8.81Hz,2H),6.02(d,J=6.04Hz,1H),3.69(br.s.,4H),2.14(s,3H);MS(m/z)737.2(M+H)。
【0089】
生物学的アッセイ方法I
蛍光偏向アッセイを使用して、hTNNI3K ATP結合に対する化合物阻害の用量反応を測定した。hTNNI3K ATP結合ポケットに対する5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸の結合により、蛍光偏向の増加が生じ、競合化合物による5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸の置換は、蛍光偏向の減少を導く。
【0090】
溶液1:十(10)mlの5nM 5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸溶液(溶液1)を、9910μLの緩衝液(20mM Tris、15mM MgCl、pH7.5)中で5μLの1M DTTおよび80μLの10%(w/v)Chapsおよび5μLの10μM 5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸ストック溶液を混合することによって調製した(ストック溶液:100%DMSO中の5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸の10μM溶液)。
【0091】
溶液2:53.8μLの2.6μM hTNNI3Kと6946.2μLアリコートの溶液1(上記の5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸溶液)とを混合することにより、hTNNI3Kと5−({[2−({[3−({4−[(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)アミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)フェニル]カルボニル}アミノ)エチル]アミノ}カルボニル)−2−(6−ヒドロキシ−3−オキソ−3H−キサンテン−9−イル)安息香酸との7mlの混合物(溶液2)を作製した。
【0092】
DMSO(またはDMSOコントロール)中の五十(50)nLの阻害剤を、384ウェルの低容量Greinerブラックプレート中にスタンプし、続いて、5μLの溶液1をプレートのカラム18に、そして5μLの溶液2をプレートのカラム1〜17および19〜24に加えた。次いでプレートを500rpmにて30秒間回転させ、室温にて60分間インキュベートした。その後、蛍光偏向をAnalyst(ex/em:485/530nm、二色性:505)で測定した。用量反応実験に関して、正規化データをABASE/XC50およびpXC50=(log((b−y)/(y−a)))/d−log(x)(式中、xは化合物濃度であり、yは指定した化合物濃度における活性%であり、aは最小活性%であり、bは最大活性%であり、dはHillスロープである)にフィットさせた。
【0093】
最低2回の実験に関して、pXC50を平均して平均値を測定した。上記の方法を用いて測定した場合、実施例1〜14の化合物は6.0より大きいpXC50を示した。例えば、実施例5および実施例11の化合物の各々は、上記の方法において、7.6の平均pXC50によりhTNNI3Kを阻害した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iによる化合物またはその塩:
【化1】

[式中、
は、ハロゲン、C−Cアルキル、または−ORであり;
は、H、ハロゲン、C−Cアルキル、または−ORであり;および
は、1〜3回ハロゲンにより置換されていてもよいC−Cアルキルであり;
ただし、RがHである場合、Rはメチルではない]。
【請求項2】
が、クロロ、フルオロ、ブロモ、メチル、エチル、メトキシ、およびトリフルオロメトキシから選択され;
が、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびメチルから選択される、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
が、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびメチルから選択される、請求項1または2に記載の化合物または塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または塩と1種以上の医薬的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項5】
TNNI3Kと、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または塩とを接触させることを含んでなる、TNNI3Kを阻害する方法。
【請求項6】
鬱血性心不全を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物または塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項7】
鬱血性心不全を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、請求項4に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。
【請求項8】
N−(3,5−ジクロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジブロモ−4−{[6,−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−ブロモ−5−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジフルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3,5−ジメチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[3−ブロモ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−ブロモ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−3−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−[3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−(メチルオキシ)フェニル]−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−フルオロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−5−メチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、
N−(3−クロロ−5−エチル−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}フェニル)−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素、および
N−{3−クロロ−4−{[6−(メチルアミノ)−4−ピリミジニル]オキシ}−5−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}−N’−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]尿素
から選択される化合物およびその医薬的に許容可能な塩。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物または塩と1種以上の医薬的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項10】
TNNI3Kと、請求項8に記載の化合物または塩とを接触させることを含んでなる、TNNI3Kを阻害する方法。
【請求項11】
鬱血性心不全を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項8に記載の化合物または塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項12】
鬱血性心不全を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、請求項9に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる、方法。

【公表番号】特表2013−503170(P2013−503170A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526933(P2012−526933)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/046564
【国際公開番号】WO2011/025798
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】