説明

化合物及びそれを用いた素子

【課題】光電変換素子に用いた場合、光電変換効率が高くなる化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される構造を含み、光吸収端波長が600nm以上である化合物。


さらに、式(1)で表される構造とは異なる構造を含むことが好ましく、式(1)で表される構造とは異なる構造が、芳香族7員環、芳香族6員環及び芳香族5員環からなる群から選ばれる芳香族環が二つ以上縮合した芳香族縮合環から水素原子を2個除いた2価の芳香族基であり、該2価の芳香族基において、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合手を有する原子を含め、3個又は4個であることがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有する化合物及びそれを用いた素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のため、大気中に放出されるCO2の削減が求められている。例えば、家屋の屋根にpn接合型のシリコン系太陽電池などを用いるソーラーシステムへの切り替えが提唱されているが、上記シリコン系太陽電池に用いられる単結晶、多結晶及びアモルファスシリコンは、その製造過程において高温、高真空条件が必要であるという問題がある。
【0003】
一方、有機薄膜電子素子は、その製造工程において、シリコン系電子素子の製造工程のような高温、高真空プロセスを経ることなく、塗布プロセスのみで安価に製造できる可能性があり、近年注目されてきている。例えば、繰り返し単位(A)及び繰り返し単位(B)からなる共重合体を有機太陽電池に用いることが記載されている(非特許文献1)。
【0004】

繰り返し単位(A) 繰り返し単位(B)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Applied Physics Letters Vol.84, No.10 1653-1655 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記共重合体を用いて製造した光電変換素子は、変換効率が必ずしも十分ではないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は第一に、式(1)で表される構造を含み、光吸収末端波長が600nm以上である化合物を提供する。

【0008】
本発明は第二に、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に前記化合物を含む素子を提供する。
【0009】
本発明は第三に、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に前記化合物と溶媒とを含む溶液を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化合物を用いて製造した光電変換素子は、高い変換効率を示すため、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、式(1)で表される構造を含み、光吸収端波長が600nm以上である化合物に関するものである。

【0013】
本発明の化合物は、式(1)で表される構造が1つ含まれている化合物であってもよく、式(1)で表される構造が複数個含まれている化合物であってもよい。本発明の化合物は、光吸収端波長が600nm以上となるよう、式(1)で表される構造以外の構造を含みうる。本発明の化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。
【0014】
本発明に用いられる化合物は、光電変換素子に用いられる場合、変換効率の観点からは、光吸収端波長が650nm以上であることが好ましく、700nm以上であることがより好ましく、720nm以上であることがさらに好ましい。
【0015】
また、本発明の化合物は、式(1)で表される構造と式(1)で表される構造とは異なる構造とが直接結合していてもよく、共役を形成する単位を介して結合していてもよい。
ここで、本発明における共役とは、不飽和結合−単結合−不飽和結合の順に連鎖し、π軌道の2個のπ結合が隣り合い、それぞれのπ電子が平行に配置して、π電子がある二重結合又は三重結合上に局在するのではなく、隣の単結合上に広がって非局在化している状態のことを指す。ここで不飽和結合とは二重結合や三重結合を指す。
【0016】
本発明の化合物は、式(1)で表される構造とは異なる構造を有していてもよく、該式(1)で表される構造とは異なる構造としては、好ましくは2価の芳香族基である。2価の芳香族基としては、式8〜式131で表される基等が挙げられる。
【0017】

【0018】

【0019】

【0020】

【0021】

【0022】

【0023】

【0024】

【0025】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】

【0032】

【0033】
式8〜式131中、Rは、水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なっていてもよい。Rが置換基である場合、該置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。これらの置換基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。Y5は、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y5は、好ましくは窒素原子である。
【0034】
アルキル基としては、通常炭素数が1〜30の基が用いられ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル墓、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2一メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0035】
アルコキシ基としては、通常炭素数が1〜30個の基が用いられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0036】
アルキルチオ基としては、通常炭素数1〜24の基が用いられ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、テトラデシルチオ基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基、アイコシルチオ基、ドコシルチオ基、テトラコシルチオ基が挙げられる。
【0037】
アリール基としては、通常炭素数6〜20の基が用いられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレン基が挙げられる。
【0038】
アリールオキシ基としては、通常炭素数6〜20の基が用いられ、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基が挙げられる。
【0039】
アリールチオ基としては、通常炭素数6〜20の基が用いられ、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基が挙げられる。
【0040】
アリールアルキル基としては、通常炭素数が6〜20個の基が用いられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基が挙げられる。
【0041】
アリールアルコキシ基としては、通常炭素数6〜20の基が用いられ、例えば、フェノキシ基、o−、m−、p−トリロキシ基、1−及び2−ナフトキシ基、アントロキシ基が挙げられる。
【0042】
アリールアルキルチオ基としては、通常炭素数6〜20の基が用いられ、例えば、ベンジルチオ基、フェニルエチルチオ基が挙げられる。
【0043】
アリールアルケニル基としては、通常炭素数7〜20の基が用いられ、例えば、スチリル基が挙げられる。
【0044】
アリールアルキニル基としては、通常炭素数7〜20の基が用いられ、例えば、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
【0045】
置換アミノ基としては、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。置換アミノ基中に含まれるアルキル基やアリール基としては、前述と同じ基を挙げることができる。
【0046】
置換シリル基としては、アルキル基やアリール基などで置換されたシリル基が挙げられる。置換シリル基中に含まれるアルキル基やアリール基としては、前述と同じ基を挙げることができる。
【0047】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0048】
アシル基としては、通常炭素数2〜20の基が用いられ、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基が挙げられる。
【0049】
アシルオキシ基としては、通常炭素数2〜20の基が用いられ、例えば、ブチリルオキシエチル基が挙げられる。
【0050】
アミド基としては、無置換のアミド基や、アルキル基やアリール基で置換されたアミド基などを用いることができる。アミド基が有しているアルキル基やアリール基としては、前述と同じ基を挙げることができる。
【0051】
1価の複素環基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、プラゾリジン、フラザン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、モルホリン、トリアジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、クロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾピラン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キナゾリジン、シンノリン、フタラジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、キサンテン、フェナントリジン、アクリジン、β−カルボリン、ペリミジン、フェナントロリン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン等の複素環化合物から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
【0052】
置換カルボキシル基としては、通常炭素数2〜20の基が用いられ、例えば、メトキシカルボニル基(メチルエステル)、エトキシカルボニル基(エチルエステル)、ブトキシカルボニル基(ブチルエステル)が挙げられる。
【0053】
a、bは、同一又は相異なり、繰り返しの数を表し、通常1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1である。
【0054】
2価の芳香族基の中でも、光吸収端波長を長波長化するための観点からは、芳香族7員環、芳香族6員環及び芳香族5員環からなる群から選ばれる芳香族環が二つ以上縮合した芳香族縮合環から水素原子を2個除いた2価の芳香族基が好ましく、該2価の芳香族基において、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め、3個又は4個である2価の芳香族基がより好ましい。該2価の芳香族基の具体例としては、式(A)〜式(C)で表される基が例示される。図中の環H〜Kには、すべての結合のπ結合を省略してσ結合のみで表記している。


[式(A)〜式(C)中、環H及び環Iは、同一又は相異なり、2個以上の5〜7員環からなる多環式芳香環を表し、置換基を有していてもよい。環J及び環Kは、同一又は相異なり、単環式芳香環又は多環式芳香環を表す。X50は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は−N(R60)−を表す。R60は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R50及びR51は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。また、R50とR51は、連結して環状構造を形成してもよい。]
【0055】
ここで、結合手を有する2個の原子間の最短の経路について説明する。
例えば式(A)の場合、結合手を有する原子とは、下記の1と3の炭素原子である。その最短経路とは、1−2−3であり、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め3個となる。

式(B)の場合、結合手を有する原子とは、下記の1と4の炭素原子である。その最短経路とは、1−2−3−4であり、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め4個となる。

式(C)の場合、結合手を有する原子とは、下記の1と4の炭素原子である。その最短経路とは、1−2−3−4であり、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め4個となる。

【0056】
環J及び環Kが単環式芳香環である場合、単環式芳香環の例としては、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、トリアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環などの芳香環が挙げられる。
【0057】
環J及び環Kが多環式芳香環である場合、多環式芳香環としては、前記単環式芳香環に任意の環が縮合した芳香環が挙げられる。単環式芳香環に縮合する環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、プラゾリジン環、フラザン環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、テトラゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピペリジン環、チオピラン環、リダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、モルホリン環、トリアジン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、イソインドール環、インドリジン環、インドリン環、イソインドリン環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、ベンゾピラン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、キナゾリジン環、シンノリン環、フタラジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、キサンテン環、フェナントリジン環、アクリジン環、β−カルボリン環、ペリミジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環などが挙げられる。
【0058】
環H、環Iは、同一又は相異なり、多環式芳香環である。多環式芳香環としては、前述の環J、環Kで表される多環式芳香環と同様の環が挙げられる。
【0059】
式(B)中、R50及びR51は、水素原子又は置換基を表す。R50及びR51が置換基である場合、炭素数1〜30の基が好ましい。置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、フェニル、ナフチルなどのアリール基等が挙げられる。
50とR51が連結して形成した環状構造の具体例としては、以下の式(イ)〜式(ハ)で表される構造等が挙げられる。

【0060】
式(イ)〜式(ハ)中、R30及びR31は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R30及びR31が置換基の場合、該置換基としては、炭素数1〜30の基が好ましい。
該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、フェニル、ナフチルなどのアリール基が挙げられる。
30は、硫黄原子またはセレン原子を表す。X30は、好ましくは硫黄原子である。Y30〜Y35は、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y30〜Y35は、好ましくは窒素原子である。X31は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R10)−又は−CR11=CR12−を表す。X31は、好ましくは硫黄原子である。R10、R11及びR12は、水素原子又は置換基を表す。R10、R11及びR12が置換基である場合、置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基等が挙げられる。
【0061】
環Iは、R50、R51以外の置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、フェニル、ナフチルなどのアリール基が挙げられる。また、環H、環J及び環Kは、置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、環Iが有していてもよいR50、R51以外の置換基の例と同様の置換基が挙げられる。
【0062】
60は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R60が置換基である場合、該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基等が挙げられる。
【0063】
式(A)〜式(C)で表される2価の芳香族基としては、好ましくは式(2)〜式(4)のいずれかで表される基である。

【0064】
式(2)〜式(4)中、X1〜X4は、同一又は相異なり、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R10)−又は−CR11=CR12−を表す。R10、R11及びR12は、前述と同じ意味を表す。X1〜X4は、好ましくは硫黄原子である。Y1〜Y8は、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y1〜Y4は、好ましくは窒素原子である。
1〜R6は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R1〜R6が置換基である場合、該置換基は、炭素数1〜30の基が好ましい。該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基などのアルコキシ基、フェニル、ナフチルなどのアリール基が挙げられる。また、R1とR2連結して環状構造を形成してもよい。R3とR4は、連結して環状構造を形成してもよい。
【0065】
1とR2が連結、又は3とR4が連結して形成した環状構造の具体例としては、式(二)で表される環状構造、式(ホ)で表される環状構造が挙げられる。

【0066】
式(ニ)及び式(ホ)中、R32及びR33は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R32及びR33が置換基である場合、該置換基の例としては、前述のR1〜R6で表される置換基と同様の基が挙げられる。X32は、硫黄原子またはセレン原子を表す。X32は、好ましくは硫黄原子である。Y36〜Y39は、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。Y36〜Y39は、好ましくは窒素原子である。
【0067】
式(2)〜(4)で表される基としては、好ましくは式(500)〜式(513)で表される基である。

(式中、Rは前記式8〜131中のRと同じ意味を表す)
【0068】
本発明の化合物は、式(1)で表される構造と2種類以上の式(1)とは異なる2価の芳香族基を有していてもよく、式(300)で表される繰り返し単位と式(A)〜式(C)で表される基とを有することが好ましく、式(300)で表される繰り返し単位と式(2)〜式(4)で表される基とを有することがより好ましい。

[式中、環A及び環Bは、同一又は相異なり、芳香環を表す。Z1は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R20)−、−Si(R2122)−又は−C(R2324)−を表す。
20〜R24は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R21とR22連結して環状構造を形成してもよい。R23とR24は、連結して環状構造を形成してもよい。]
【0069】
20〜R24が置換基である場合、該置換基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。R20〜R24は、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることがさらに好ましい。また、R20〜R24が置換基である場合、該置換基は、炭素数が4以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。
1は、−Si(R2122)−又は−C(R2324)−が好ましく、−C(R2324)−がさらに好ましい。
【0070】
環A及び環Bとしては、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族炭化水素環、チオフェンなどの芳香族複素環等が挙げられる。環A、環Bは、4〜7員環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがさらに好ましい。
【0071】
式(300)で表される繰り返し単位のなかでも、式(300−1)で表される繰り返し単位が好ましい。

(式中、R23及びR24は、前述と同じ意味を表す。)
【0072】
本発明の化合物は、どのような分子量の化合物であっても使用することができるが、高分子化合物であることが好ましい。本発明における高分子化合物とは、重量平均分子量が3000以上のものを指すが、重量平均分子量で3000〜10000000の高分子化合物が好ましく用いられる。重量平均分子量が3000より低いとデバイス作成時の膜形成に欠陥が生じることがあり、10000000より大きいと溶媒への溶解性や素子作成時の塗布性が低下することがある。重量平均分子量としてさらに好ましくは8000〜5000000であり、特に好ましくは10000〜1000000である。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出したポリスチレン換算の重量平均分子量のことを指す。
【0073】
本発明の化合物中の式(1)で表される構造の含有量は、化合物中に少なくとも1つ含まれていればよい。本発明の化合物が高分子化合物である場合、好ましくは高分子化合物中、高分子鎖一本あたり平均2個以上、さらに好ましくは高分子鎖一本あたり平均3個以上含まれる。
【0074】
また、本発明の化合物は、素子に用いられる場合、デバイス作成の容易性から、溶媒への溶解度が高いことが望ましい。具体的には、本発明の化合物が、該化合物を0.01wt%以上含む溶液を作成できる溶解性を有することが好ましく、0.1wt%以上含む溶液を作成できる溶解性を有することがより好ましく、0.4wt%以上含む溶液を作成できる溶解性を有することがさらに好ましい。
【0075】
本発明の化合物が高分子化合物である場合、該高分子化合物の製造方法としては、特に制限されるものではないが、高分子化合物の合成の容易さからは、Suzukiカップリング反応を用いる方法が好ましい。
【0076】
Suzukiカップリング反応を用いる方法としては、例えば、式(100):
1−E1−Q2 (100)
〔式中、E1は、式(A)〜式(C)の構造を含む構造単位を表す。Q1及びQ2は、同一又は相異なり、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、式(200):
1−E2−T2 (200)
〔式中、E2は、式(1)で表される基を含む構造単位を表す。T1及びT2は、同一又は相異なり、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する製造方法が挙げられる。
この場合、反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計に対して、過剰であることが好ましい。反応に用いる式(200)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計を1モルとすると、式(100)で表わされる1種類以上の化合物のモル数の合計が0.6〜0.99モルであることが好ましく、0.7〜0.95モルであることがさらに好ましい。
【0077】
ホウ酸エステル残基としては、下記式:

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基等が例示される。
【0078】
式(200)における、T1及びT2におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0079】
式(200)における、T1及びT2におけるアルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基等が例示される。
【0080】
触媒としては、例えば、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等を用い、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等の無機塩基、トリエチルアミン等の有機塩基、フッ化セシウム等の無機塩を原料となるモノマーに対して当量以上、好ましくは1〜20当量加えて反応させる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。なお、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。反応温度は、溶媒にもよるが、50〜160℃程度の温度が好適に用いられる。溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。反応時間は、0.1〜200時間程度である。なお、反応は、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性雰囲気下、触媒が失活しない条件で行う。
【0081】
前記高分子化合物の製造方法で用いるパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等を含めて、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等が挙げられるが、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、パラジウムアセテート類が好ましい。
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0082】
前記高分子化合物の製造方法で用いる塩基は、無機塩基、有機塩基、無機塩等である。
無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。
塩基の添加量は、式(100)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0083】
前記パラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0084】
前記高分子化合物の製造方法において、前記反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。本発明に用いられる高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加えて反応させる。
なお、塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩などの相間移動触媒を加えてもよい。
【0085】
前記反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点からは、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度である。1時間〜30時間程度が効率的で好ましい。
【0086】
前記反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、式(100)で表される化合物、式(200)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより、脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0087】
前記高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは1×103〜1×108であり、より好ましくは2×103〜1×107である。ポリスチレン換算の数平均分子量が1×103以上である場合には、強靭な薄膜が得られやすくなる。一方、108以下である場合には、溶解性が高く、薄膜の作製が容易である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3.0×103以上であり、より好ましくは、1.0×10以上である。また、好ましくは、1.0×10〜1.0×106である。
【0088】
本発明に用いる高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子の作製に用いたときに得られる素子の特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、また、例えば、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造であってもよい。具体的には、特開平9-45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0089】
本発明における光吸収端波長とは以下の方法で求められた値のことを意味する。
測定には、紫外、可視、近赤外の波長領域で動作する分光光度計(例えば、日本分光製、紫外可視近赤外分光光度計JASCO−V670)を用いる。JASCO−V670を用いる場合、測定可能な波長範囲が200〜1500nmであるため、該波長範囲で測定を行う。まず、測定に用いる基板の吸収スペクトルを測定する。基板としては、石英基板、ガラス基板等を用いる。次いで、その基板の上に第1の化合物を含む溶液若しくは第1の化合物を含む溶融体から第1の化合物を含む薄膜を形成する。溶液からの製膜では、製膜後乾燥を行う。その後、薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルを得る。薄膜と基板との積層体の吸収スペクトルと基板の吸収スペクトルとの差を、薄膜の吸収スペクトルとして得る。
該薄膜の吸収スペクトルは、縦軸が第1の化合物の吸光度を、横軸が波長を示す。最も大きい吸収ピークの吸光度が0.5〜2程度になるよう、薄膜の膜厚を調整することが望ましい。吸収ピークの中で一番長波長の吸収ピークの吸光度を100%とし、その50%の吸光度を含む横軸(波長軸)に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第1の点とする。その25%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークとの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点を第2の点とする。第1の点と第2の点とを結ぶ直線と基準線の交点を光吸収端波長と定義する。ここで、基準線とは、最も長波長の吸収ピークにおいて、該吸収ピークの吸光度を100%とし、その10%の吸光度を含む波長軸に平行な直線と該吸収ピークの交点であって、該吸収ピークのピーク波長よりも長波長である交点の波長を基準として、基準となる波長より100nm長波長である吸収スペクトル上の第3の点と、基準となる波長より150nm長波長である吸収スペクトル上と第4の点を結んだ直線をいう。
【0090】
光吸収端波長を長波長にする観点からは、本発明の化合物が、式(1)で表される構造の他に、2価の芳香族基を有することが好ましい。2価の芳香族基としては、前述の芳香族7員環、芳香族6員環及び芳香族5員環からなる群から選ばれる芳香族環が二つ以上縮合した芳香族縮合環から水素原子を2個除いた2価の芳香族基が好ましく、該2価の芳香族基において、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め、3個又は4個である2価の芳香族基であることが好ましい。結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合位置を有する原子を含め、3個又は4個である2価の芳香族基を有することで、化合物のHOMOとLUMOのバンドギャップが狭くなり、光吸収端波長が長波長になる。
【0091】
光電変換素子に好適に用いられる化合物としては、式(1−1)で表される繰り返し単位を含む、かつ、式(2−1)、式(3−1)及び式(4−1)のいずれかで表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

【0092】


(式中、R〜R、X〜X、Y〜Yは、前述と同じ意味を表す。)
【0093】
本発明の化合物は、高いキャリア(電子又はホール)輸送性を発揮し得ることから、該化合物を含む有機薄膜を素子に用いた場合、電極から注入された電子やホール、或いは、光吸収によって発生した電荷を輸送することができる。これらの特性を活かして光電変換素子、有機薄膜トランジスタ等の種々の素子に好適に用いることができる。以下、これらの素子について個々に説明する。
【0094】
<素子>
本発明の素子は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層が本発明の化合物を含む素子である。
本発明の素子としては、活性層の少なくとも一層が、本発明の化合物のみからなる層である素子があげられる。
本発明の素子としては、光電変換素子、有機薄膜トランジスタ(素子)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)があげられる。
【0095】
本発明の素子は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の化合物と溶媒とを含む溶液を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する製造方法により、製造できる。
【0096】
<光電変換素子>
本発明の光電変換素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の化合物を含む1層以上の活性層を有する。
本発明の光電変換素子の好ましい形態としては、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極と、p型の有機半導体とn型の有機半導体との有機組成物から形成される活性層を有する。本発明の化合物は、p型の有機半導体として用いることが好ましい。この形態の光電変換素子の動作機構を説明する。透明又は半透明の電極から入射した光エネルギーがフラーレン誘導体等の電子受容性化合物(n型の有機半導体)及び/又は本発明の化合物等の電子供与性化合物(p型の有機半導体)で吸収され、電子とホールが結合した励起子を生成する。生成した励起子が移動して、電子受容性化合物と電子供与性化合物が隣接しているヘテロ接合界面に達すると、界面でのそれぞれのHOMOエネルギー及びLUMOエネルギーの違いにより電子とホールが分離し、独立に動くことができる電荷(電子とホール)が発生する。発生した電荷は、それぞれ電極へ移動することにより外部へ電気エネルギー(電流)として取り出すことができる。
本発明の光電変換素子は、通常、基板上に形成される。この基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよい。基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等が挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極(即ち、基板から遠い方の電極)が透明又は半透明であることが好ましい。
【0097】
本発明の光電変換素子の他の態様は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に、本発明の化合物を含む第1の活性層と、該第1の活性層に隣接して、フラーレン誘導体等の電子受容性化合物を含む第2の活性層を含む光電変換素子である。
【0098】
前記の透明又は半透明の電極材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性材料を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、電極材料として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。さらに電極材料としては、金属、導電性高分子等を用いることができ、好ましくは一対の電極のうち一方の電極は仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。
合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
光電変換効率を向上させるための手段として活性層以外の付加的な中間層を使用してもよい。中間層として用いられる材料としては、フッ化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化チタン等の酸化物、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが挙げられる。
【0099】
<活性層>
前記活性層は、本発明の化合物を一種単独で含んでいても二種以上を組み合わせて含んでいてもよい。また、前記活性層のホール輸送性を高めるため、前記活性層中に電子供与性化合物及び/又は電子受容性化合物として、本発明の化合物以外の化合物を混合して用いることもできる。なお、前記電子供与性化合物、前記電子受容性化合物は、これらの化合物のエネルギー準位のエネルギーレベルから相対的に決定される。
【0100】
前記電子供与性化合物としては、本発明の化合物のほか、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体等が挙げられる。
【0101】
前記電子受容性化合物としては、本発明の化合物のほか、例えば、炭素材料、酸化チタン等の金属酸化物、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン(バソクプロイン)等のフェナントレン誘導体、フラーレン、フラーレン誘導体等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、カーボンナノチューブ、フラーレン、フラーレン誘導体であり、特に好ましくはフラーレン、フラーレン誘導体である。フラーレン、フラーレン誘導体としてはC60、C70、C76、C78、C84及びその誘導体が挙げられる。フラーレンの誘導体の具体的構造としては、以下のようなものが挙げられる。
【0102】

【0103】

【0104】
また、フラーレン誘導体の例としては、[6,6]フェニル−C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6]フェニル−C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、[6,6]チェニル−C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)などが挙げられる。
【0105】
活性層中に本発明の化合物とフラーレン誘導体とを含む場合、フラーレン誘導体の割合が、本発明の化合物100重量部に対して、10〜1000重量部であることが好ましく、20〜500重量部であることがより好ましい。
【0106】
活性層の厚さは、通常、1nm〜100μmが好ましく、より好ましくは2nm〜1000nmであり、さらに好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは20nm〜200nmである。
【0107】
前記活性層の製造方法は、如何なる方法で製造してもよく、例えば、高分子化合物を含む溶液からの成膜や、真空蒸着法による成膜方法が挙げられる。
【0108】
<光電変換素子の製造方法>
本発明の光電変換素子の好ましい製造方法は、第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に本発明の化合物と溶媒とを含む溶液を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法である。
【0109】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、本発明の化合物を溶解させるものであればよい。この溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、ビシクロヘキシル、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒等が挙げられる。本発明の化合物は、通常、前記溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0110】
溶液を用いて成膜する場合、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いることができ、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法、スピンコート法が好ましい。
成膜性の観点からは、25℃における溶媒の表面張力が15mN/mより大きいことが好ましく、15mN/mより大きく100mN/mよりも小さいことがより好ましく、25mN/mより大きく60mN/mよりも小さいことがさらに好ましい。
【0111】
本発明の化合物は、有機薄膜トランジスタにも用いることができる。有機薄膜トランジスタとしては、ソース電極及びドレイン電極と、これらの電極間の電流経路となる有機半導体層(活性層)と、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極とを備えた構成を有するものが挙げられ、有機半導体層が上述した有機薄膜によって構成されるものである。このような有機薄膜トランジスタとしては、電界効果型、静電誘導型等が挙げられる。
【0112】
電界効果型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、この電流経路を通る電流量を制御するゲート電極、並びに、有機半導体層とゲート電極との間に配置される絶縁層を備えることが好ましい。
特に、ソース電極及びドレイン電極が、有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていることが好ましい。電界効果型有機薄膜トランジスタにおいては、有機半導体層が、本発明の化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0113】
静電誘導型有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びドレイン電極、これらの間の電流経路となる有機半導体層(活性層)、並びに電流経路を通る電流量を制御するゲート電極を有し、このゲート電極が有機半導体層中に設けられていることが好ましい。特に、ソース電極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設けられたゲート電極が、有機半導体層に接して設けられていることが好ましい。ここで、ゲート電極の構造としては、ソース電極からドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、且つゲート電極に印加した電圧で電流経路を流れる電流量が制御できる構造であればよく、例えば、くし形電極が挙げられる。静電誘導型有機薄膜トランジスタにおいても、有機半導体層が、本発明の化合物を含む有機薄膜によって構成される。
【0114】
<素子の用途>
本発明の光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生し、有機薄膜太陽電池として動作させることができる。有機薄膜太陽電池を複数集積することにより有機薄膜太陽電池モジュールとして用いることもできる。
【0115】
また、電極間に電圧を印加した状態、あるいは無印加の状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れ、有機光センサーとして動作させることができる。有機光センサーを複数集積することにより有機イメージセンサーとして用いることもできる。
上述の有機薄膜トランジスタは、例えば電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画面輝度の均一性や画面書き換え速度を制御するために用いられる画素駆動素子等として用いることができる。
<太陽電池モジュール>
有機薄膜太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の有機薄膜太陽電池も使用目的や使用場所及び環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0116】
代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側又は両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード又はフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルム又は充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、又は上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。
支持基板の周囲は、内部の密封及びモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料及び封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0117】
本発明の化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に用いることもできる。有機EL素子は、少なくとも一方が透明又は半透明である一対の電極間に発光層を有し、該発光層中に本発明の化合物が含まれることが好ましい。発光層中には、本発明の化合物の他にも、電荷輸送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味する)を含んでいてもよい。有機EL素子としては、陽極と発光層と陰極とを有する素子、さらに陰極と発光層の間に、該発光層に隣接して電子輸送材料を含有する電子輸送層を有する陽極と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子、さらに陽極と発光層の間に、該発光層に隣接して正孔輸送材料を含む正孔輸送層を有する陽極と正孔輸送層と発光層と陰極とを有する素子、陽極と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と陰極とを有する素子等が例示される。本発明の化合物は、正孔輸送層、電子輸送層に用いることもできる。
【実施例】
【0118】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
参考例1
(2−ブロモ−3−ドデシルチオフェンの製造)
アルゴン雰囲気下で、200mlの3つ口フラスコに3−ドデシルチオフェン15.0 g (59.4 mmol)(アルドリッチ社製)と脱水N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼称する場合がある) 50 mlを入れて均一溶液とした。フラスコを0 ℃に保ったままN−ブロモスクシンイミド(以下、NBSと呼称する場合がある)10.6g(59.3 mmol)のDMF 100ml溶液を1時間かけて滴下した。滴下後、フラスコを0 ℃に保ったまま6時間攪拌を行った。その後、水400ml に反応溶液を注ぎ、ジエチルエーテル50 mlで5回抽出し、油層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して目的物である2−ブロモ−3−ドデシルチオフェンを17.8g得た。1H NMR: δ 7.18 (d、 1H)、 6.79 (d、 1H)、 2.57 (t、 2H)、 1.57−1.29 (m、 20H)、 0.88 (t、 3H)。
【0120】
参考例2
(3−ドデシルチオフェン−2−カルボアルデヒドの製造)
アルゴン雰囲気下で、500mlの3つ口フラスコに金属マグネシウム2.40g(98.7 mmol)を入れてスターラーチップで攪拌しながら150 ℃に加熱して1時間マグネシウムの活性化を行った。室温まで冷却後、脱水テトラヒドロフラン(THF)(96 ml)を入れ、ヨウ素を50mg添加し、さらに参考例1で合成した2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン 24.0 g(72.4 mmol)をTHF 96 mlに溶解した溶液を室温で30分かけて滴下した。滴下後、30分還流し、その後、室温に冷却し、DMF 10.5 g(144 mmol)を15分かけて滴下した。室温で2時間攪拌した後、反応系に塩酸をpHが約2になるまで加え、酢酸エチルで5回抽出した。油層を水、飽和食塩水、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒をエバポレーターで留去して粗生成物20.4 gを得た。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比))で精製し、18.2 g(64.9 mmol、収率89.6%)の目的物である3−ドデシルチオフェン−2−カルボアルデヒドを得た。1H NMR: δ=10.0(s、1H)、7.64(d、1H)、7.01(d、1H)、2.96(t、2H)、1.69−1.26(m、20H)、0.88(t、3H)。
【0121】
参考例3
(2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾールの製造)
100 mlフラスコに参考例2で合成した3−ドデシルチオフェン−2−カルボアルデヒド 18.0 g(64.0mmol)とルベアン酸(東京化成製)2.56gを入れて200℃で6時間加熱した。反応後室温まで冷却し、ヘキサン/酢酸エチル=10/1(体積比)の溶媒に希釈し、セライトでろ過を行った。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラム(トルエン/ヘキサン=5/5(vol/vol)で精製し、目的物である2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾールを5.2 g(8.08 mmol)得た。1H NMR: δ=7.35(d、2H)、6.99(d、2H)、2.97(t、4H)、1.72−1.26(m、40H)、0.88(t、6H)。
【0122】
参考例4
(2,5−ビス(5−ブロモ−3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾールの製造)
アルゴン雰囲気下で100ml3つ口フラスコに上記で合成した2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾール 3.28g(5.10 mmol)、脱水DMF 140 ml、を入れて50 ℃で攪拌溶解した。この溶液にNBS 1.91 g(5.10mmol)の脱水DMF50mlの溶液を50 ℃で30分かけて滴下し、50℃で4時間攪拌した。反応後、溶液を室温まで冷却し、クロロホルムで5回抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をエバポレーターで留去して粗製物を得た。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/トルエン=7/3(体積比))で精製し、目的物である2,5−ビス(5−ブロモ−3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾールを3.80g (4.74 mmol)得た。1H NMR: δ=6.93(s、2H)、2.86(t、4H)、1.68−1.26(m、40H)、0.88(t、6H)。
【0123】
実施例1
(重合体Aの製造)
上記参考例4で製造した2,5−ビス(5−ブロモ−3−ドデシルチオフェン−2−イル)チアゾロ[5,4−d]チアゾール(単量体A)、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ビス(ボロン酸ピナコールエステル)(単量体B)(アルドリッチ社製)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジボロン酸エチレングリコールエステル(単量体C)(アメリカン・ダイ・ソース社製)を用いて以下のように重合体Aの製造を行った。


単量体A 単量体B 単量体C

アルゴン雰囲気において反応容器に単量体A200mg(0.250mmol)、単量体B48.5mg(0.125mmol)、単量体C66.2mg(0.125mmol)、メチルトリアルキルアンモニウムクロリド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)108mg、トルエン11mLを入れ、反応容器内をアルゴンを用いてバブリングし、十分に脱気を行った。さらに酢酸パラジウム1.20mg(0.00534mmol)、トリス(メトキシフェニル)ホスフィン6.10mg(0.0173mmol)、脱気した炭酸ナトリウム水溶液(16.7wt%)2.4mLを加えて5時間還流した。次に、得られた反応溶液に、フェニルホウ酸60.0mgを加えた後、2時間還流した。さらにチエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液(9.1wt%)10ml加え、2時間還流した。
【0124】
反応終了後、反応溶液を室温(25℃)付近まで冷却した後、得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン層を回収した。該トルエン層を水10mLで2回、3%酢酸水10mLで2回、さらに水10mLで2回洗浄し、得られたトルエン層をメタノール中に注ぎ込み、析出した沈殿物を回収した。この沈殿物を減圧乾燥した後、クロロホルムに溶解した。次に、得られたクロロホルム溶液をろ過し、不溶物を除去した後、アルミナカラムに通し、精製した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、沈殿させ、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体101mgを得た。以下、この重合体を重合体Aという。重合体Aは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が20700であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が7000であった。重合体Aの光吸収端波長は738nmであった。
【0125】
実施例2
(重合体Bの製造)
実施例1において単量体Aを200mg(0.250mmol)、単量体Bを63mg(0.162mmol)、単量体Cを46mg(0.0873mmol)使用した以外は同様に操作して重合体Bを製造した。重合体Bはポリスチレン換算の重量平均分子量が11000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が4300であった。重合体Bの光吸収端波長は734nmであった。
【0126】
実施例3
(重合体Cの製造)
実施例1において単量体Aを200mg(0.250mmol)、単量体Bを48.5mg(0.125mmol)使用し、単量体Cの代わりに9,9−ジドデシルフルオレン−2,7−ジボロン酸(単量体D)(アルドリッチ社製)

単量体D

を73.9mg(0.125mmol)使用した以外は同様に操作して重合体Cを製造した。重合体Cはポリスチレン換算の重量平均分子量が11000であり、ポリスチレン換算の数平均分子量が4900であった。重合体Cの光吸収端波長は738nmであった。
【0127】
実施例4
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った。次に、重合体A及びフラーレンC60PCBM(フェニルC61−酪酸メチルエステル)(phenyl C61-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)(重合体A/C60PCBMの重量比=1/3)をオルトジクロロベンゼンに溶解し(重合体AとC60PCBMとの重量の合計は2.0重量%)、組成物インク1を製造した。該組成物インク1を用い、スピンコートにより基板上に塗布して、重合体Aを含む有機膜を作製した(膜厚約100nm)。スピンコーターの回転数は1500rpmであった。このようにして作製した有機膜の光吸収端波長は745nmであった。その後、有機膜上に真空蒸着機によりフッ化リチウムを厚さ2nmで蒸着し、次いでAlを厚さ100nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池にソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。Jsc(短絡電流密度)=5.12mA/cm2、Voc(開放電圧)=0.85V、ff(フィルファクター(曲線因子))=0.57、光電変換効率(η)は、2.48%であった。
【0128】
実施例5
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体AとC60PCBMとを混合する重量比を1/1にした以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表1に示す。
【0129】
実施例6
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体AとC60PCBMとを混合する重量比を1/2にした以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表1に示す。
【0130】
実施例7
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体AとC60PCBMとを混合する重量比を1/4にした以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表1に示す。
【0131】
実施例8
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体AとC60PCBMとを混合する重量比を1/5にした以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表1に示す。
【0132】
表1 光電変換素子評価結果


【0133】
実施例9
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体Aにかえて重合体Bを用いた以外は実施例5と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表2に示す。
【0134】
実施例10
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体BとC60PCBMとを混合する重量比を1/3にした以外は、実施例9と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表2に示す。
【0135】
実施例11
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体BとC60PCBMとを混合する重量比を1/5にした以外は、実施例9と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、有機薄膜太陽電池の光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表2に示す。
【0136】
表2 光電変換素子評価結果


【0137】
実施例12
(有機薄膜太陽電池の作製、評価)
重合体Aにかえて重合体Cを用いた以外は実施例5と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表3に示す。
【0138】
表3 光電変換素子評価結果


【0139】
実施例13
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
C60PCBMにかえてC70PCBM(フェニルC71−酪酸メチルエステル)(phenyl C71-butyric acid methyl ester、フロンティアカーボン社製)を用いた以外は実施例6と同様に有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表4に示す。
【0140】
表4 光電変換素子評価結果


【0141】
参考例5
(重合体Eの合成)

化合物(E) 0.949gと化合物(F) 1.253gとメチルトリアルキルアンモニウムクロライド(商品名Aliquat336(登録商標)、アルドリッチ社製)0.30gと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 3.4mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスをバブリングして、脱気したトルエン 45mlを加えた。次に、この溶液に、攪拌下、予めアルゴンガスでバブリングして、脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 10mlを滴下し、12時間還流した。次に、反応溶液を冷却し、フェニルホウ酸0.1g/テトラヒドロフラン0.5ml混合溶液を加え、2時間還流した。なお、反応はアルゴンガス雰囲気下で行った。反応終了後、反応溶液を冷却した後、この反応溶液にトルエン60gを加えた。この反応溶液を静置し、分液して、トルエン溶液を回収した。次に、このトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した。次に、このトルエン溶液を、アルミナカラムを通し、精製した。次に、このトルエン溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製し、生成した沈殿を回収した。次に、この沈殿を、減圧乾燥した後、再びトルエンに溶解した。次に、このトルエン溶液をろ過した後、このトルエン溶液を、アルミナカラムを通し、精製した。次に、このトルエン溶液をメタノール中に注ぎ込み、再沈精製し、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して重合体E 0.5gを得た。重合体Eのポリスチレン換算の重量平均分子量は9.9×104であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は6.1×104であった。仕込みから推定される重合体Eに含まれる繰り返し単位は、下記のとおりである。

【0142】
比較例1
(重合体Eの光電変換素子評価)
重合体Eを0.75%(重量%)の濃度でキシレンに溶解させた。その後、重合体Eの重量に対して3倍重量のC60PCBMを溶液に混合した。ついで、1.0μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過し、塗布溶液を作製した。
【0143】
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った。次に、前記塗布液を用い、スピンコートにより基板上に塗布して、重合体EとC60PCBMとを含む有機膜を作成した(膜厚約80nm)。その後、有機膜上に真空蒸着機により、フッ化リチウムを厚さ4nmで蒸着し、次いで、Alを厚さ100nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池の光電変換効率をソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率を求めた。測定結果を表5に示す。
【0144】
表5

【0145】
実施例14
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例4においてオルトジクロロベンゼンの代わりにクロロベンゼンを用いた以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表6に示す。
【0146】
実施例15
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例4においてオルトジクロロベンゼンの代わりに1、2、4−トリクロロベンゼンを用いた以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表6に示す。
【0147】
実施例16
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例4においてスピンコーターの回転数を800rpmにして有機膜の膜厚を152nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表6に示す。
【0148】
実施例17
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例4においてスピンコーターの回転数を650rpmにして有機膜の膜厚を198nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表6に示す。
【0149】
実施例18
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例4においてスピンコーターの回転数を450rpmにして有機膜の膜厚を253nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表6に示す。
【0150】
表6


【0151】
実施例19
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例10においてスピンコーターの回転数を850rpmにして有機膜の膜厚を151nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表7に示す。
【0152】
実施例20
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例10においてスピンコーターの回転数を700rpmにして有機膜の膜厚を205nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表7に示す。
【0153】
実施例21
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例10においてスピンコーターの回転数を500rpmにして有機膜の膜厚を249nmとした以外は同様にして組成物インク、有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表7に示す。
【0154】
表7


【0155】
実施例22
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板をオゾンUV処理して表面処理を行った。次に、重合体Aをオルトジクロロベンゼンに溶解させた溶液(濃度:0.5wt%)をスピンコートにより基板上に塗布して、第1の活性層として重合体Aからなる有機膜を作成した(膜厚30nm)。その後、有機膜上に真空蒸着機により、第2の活性層としてフラーレンC60を厚さ28nmで蒸着した。更に、フッ化リチウムを厚さ4nmで蒸着し、次いで、Alを厚さ70nmで蒸着した。得られた有機薄膜太陽電池の形状は、2mm×2mmの正方形であった。得られた有機薄膜太陽電池の光電変換効率をソーラシミュレーター(分光計器製、商品名OTENTO-SUNII:AM1.5Gフィルター、放射照度100mW/cm2)を用いて一定の光を照射し、発生する電流と電圧を測定して光電変換効率を求めた。測定結果を表8に示す。
【0156】
比較例2
(組成物及び有機薄膜太陽電池の作製、評価)
実施例22において重合体Aの代わりに重合体Eを用いた以外は同様にして有機薄膜太陽電池を作製し、光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧、フィルファクターを求めた。結果を表8に示す。
【0157】
表8



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構造を含み、光吸収端波長が600nm以上である化合物。

【請求項2】
さらに、式(1)で表される構造とは異なる構造を含む請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(1)で表される構造とは異なる構造が、芳香族7員環、芳香族6員環及び芳香族5員環からなる群から選ばれる芳香族環が二つ以上縮合した芳香族縮合環から水素原子を2個除いた2価の芳香族基であり、該2価の芳香族基において、結合手を有する2個の原子間の最短の経路に存在する該芳香族縮合環を構成する原子の数が、結合手を有する原子を含め、3個又は4個である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(2)〜式(4)のいずれかで表される2価の芳香族基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。

(式(2)〜式(4)中、X1〜Xは、同一又は相異なり、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、−N(R10)−又は−CR11=CR12−を表す。R10、R11及びR12は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。R1〜R6は、同一又は相異なり、水素原子又は置換基を表す。また、R1とR2は、連結して環状構造を形成してもよい。R3とR4は、連結して環状構造を形成してもよい。Y1〜Yは、同一又は相異なり、窒素原子又は=CH−を表す。)
【請求項5】
高分子化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
重量平均分子量が10000以上である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、該活性層に請求項1〜6のいずれかに記載の化合物を含む素子。
【請求項8】
第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有し、活性層の少なくとも1層が、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物のみからなる層である素子。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の素子を含む太陽電池モジュール
【請求項10】
請求項7又は8に記載の素子を含むイメージセンサー
【請求項11】
第1の電極と第2の電極とを有し、該第1の電極と該第2の電極との間に活性層を有する素子の製造方法であって、該第1の電極上に請求項1〜6のいずれかに記載の化合物と溶媒とを含む溶液を塗布法により塗布して活性層を形成する工程、該活性層上に第2の電極を形成する工程を有する素子の製造方法。
【請求項12】
塗布法が、スリットコート法、キャピラリーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ノズルコート法、インクジェットコート法又はスピンコート法である請求項11に記載の素子の製造方法。

【公開番号】特開2010−242073(P2010−242073A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60449(P2010−60449)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】