説明

化合物

【課題】光を照射して機能性薄膜の微細パターニングを行う場合に、光を照射する層の下地層の特性低下及び機能性薄膜の特性低下を抑制すること。
【解決手段】感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、親液性を有する基とを含む化合物(A)と、感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、撥液性を有する基とを含む化合物(B)とを、光の照射により、二量化反応させて得られる化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親液性を有する基を含む化合物と、撥液性を有する基を含む化合物とを、光の照射により、二量化反応させて得られた化合物に関する。より詳しくは、機能性薄膜をパターニングする際に用いられる前記化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜トランジスタ素子、有機薄膜太陽電池、有機ELディスプレイなどの分野において、多くの機能性薄膜が検討されている。機能性薄膜は、様々な機能を発現する材料を含み、デバイス中において該機能の発現を必要とする場所に、該機能の発現のために必要とする精度で配置される、いわゆる微細パターニングを行なった薄膜である。パターニングによって発現させる機能としては、配線、電極、絶縁層、発光層、電荷輸送層などの機能が例示できる。これらのパターニングを行なう手法としては、例えばフォトリソグラフィー法がある。即ち、薄膜を基板等の上一面に成膜した後、フォトレジスト材を含む層を該薄膜上に成膜し、フォトレジスト材の感光性を利用して、下地の薄膜を微細パターニングし、機能性薄膜を形成する方法である。しかし、フォトリソグラフィー法により形成した機能性薄膜は、フォトリソグラフィー法における紫外線照射、現像、洗浄などの工程を行うことにより、該機能性薄膜の機能が大きく低下することが多く、特に、機能性薄膜が機能性有機薄膜である場合には、現像や洗浄の工程を行うことにより、該機能性有機薄膜の機能が大きく損傷を受ける場合が多い。
【0003】
フォトリソグラフィー法の問題を解決する方法としては、機能性薄膜をインクジェット法やノズル法、あるいは種々のロール印刷法、例えばフレキソ印刷や反転印刷などを用いて、基板上に直接パターニングする方法が提案されている。これらの印刷法は、一般的に濃度及び粘度が比較的低いインクを用いるため、インクを基板へ接触転写した後、必要とする場所にのみ正確に機能性薄膜を形成する方法には、インクの流動を防止するための隔壁を機能性薄膜を形成する領域の周囲に設ける方法、基板表面にインクを受容する親液性の領域とインクを受容しない撥液性の領域とを形成する方法がある。
【0004】
基板表面に親液性の領域と撥液性の領域とを形成する方法としては、具体的には、親液性の薄膜の表面に含フッ素シランカップリング剤等の撥液性物質を塗布して撥液性の薄膜を形成し、波長が200nm未満の光を撥液性の薄膜の一部に照射して該撥液性物質を分解し、次いで分解物を除去する方法が知られている。該方法で得られた基板は、光照射部位のみが親液性表面になる(特許文献1)。
【0005】
また、比較的長波長の波長の光を用いる方法としては、親液性の基板上に撥液性基を有する化合物と光重合開始剤とを含む撥液性組成物の薄膜を形成し、該薄膜の一部に光を照射することで、該撥液性の組成物を重合して溶媒に不溶化し、溶媒を用いて未重合部分を除去することで親液性領域をパターニングする方法が挙げられる(特許文献2)。
【0006】
長波長の紫外線を用いる方法としては、親液性の層上に酸化チタン等の光触媒を含む撥液性の薄膜を形成し、該薄膜の一部に光を照射し、撥液性の薄膜を分解して親液性の領域をパターニングする方法も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−282240号公報
【特許文献2】国際公開第2007−102487号
【特許文献3】特開平11−344804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、波長が200nm未満の光を照射する方法は、高エネルギー光を長時間照射する方法であり、該方法は大規模な設備、真空装置、高エネルギー光源などの特別な装置が必要になり製造コストが高くなるという問題がある。また、高エネルギーの光の照射によって、光を照射する層の下地層の特性を低下させる場合がある。比較的長波長の波長の光を用いる方法は、比較的エネルギーの低い光を用いるため、光を照射する層の下地層の特性の低下は低減できるが、撥液性組成物中には光重合開始剤が含まれ、該光重合開始剤の反応残基が、その上に成膜される機能性薄膜の特性を低下させるという問題がある。長波長の紫外線を用いる方法も、光触媒が、その上に成膜される機能性薄膜の特性を低下させるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は第一に、感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、親液性を有する基とを含む化合物(A)と、感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、撥液性を有する基とを含む化合物(B)とを、光の照射により、二量化反応させて得られる化合物を提供する。
【0010】
本発明は第二に、化合物(A)に含まれる感光性基が、二重結合又は芳香族縮合環を含むことを特徴とする前記化合物を提供する。
【0011】
本発明は第三に、化合物(B)に含まれる感光性基が、二重結合又は芳香族縮合環を含むことを特徴とする前記化合物を提供する。
【0012】
本発明は第四に、化合物(A)が、式(1−1)で表される化合物である前記化合物を提供する。
【0013】
【化1】

(1−1)
【0014】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、親液性を有する基である。n1は0以上の整数を表す。)
【0015】
本発明は第五に、化合物(A)が、式(1−2)で表される化合物である前記化合物を提供する。
【0016】
【化2】

(1−2)
【0017】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは親液性を有する基である。p1及びm1は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【0018】
本発明は第六に、親液性を有する基が、周期表の4族、5族、6族、13族、14族、15族又は16族に属する原子を含む基である前記化合物を提供する。
【0019】
本発明は第七に、親液性を有する基が、ケイ素原子を含む基である前記化合物を提供する。
【0020】
本発明は第八に、親液性を有する基が式(1−3)で表される基である前記化合物を提供する。
【0021】
【化3】

(1−3)
【0022】
(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Arは(1+y1)価の芳香族炭化水素基又は(1+y1)価の複素環基を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Ra1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。t1は0又は1を表し、x1は0又は1を表し、y1は1以上の整数を表す。複数個あるRa1は、同一でも相異なっていてもよい。Akが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0023】
本発明は第九に、化合物(B)が、式(2−1)で表される化合物である前記化合物を提供する。
【0024】
【化4】

(2−1)
【0025】
(式中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、撥液性を有する基である。n2は0以上の整数を表す。)
【0026】
本発明は第十に、化合物(B)が、式(2−2)で表される化合物である前記化合物を提供する。
【0027】
【化5】

(2−2)
【0028】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは撥液性を有する基である。p2及びm2は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【0029】
本発明は第十一に、撥液性を有する基が下記式で表される基である前記化合物を提供する。
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Arは(1+y2)価の芳香族炭化水素基又は(1+y2)価の複素環基を表し、Rb1はフッ素原子を含む1価の有機基を表し、t2は0又は1を表し、x2は0又は1を表し、y2は1以上の整数を表す。Rb1が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0032】
本発明は第十二に、撥液性を有する基が下記式で表される基である前記化合物を提供する。
【0033】
【化7】

【0034】
(式中、Ar、Rb1、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。))
【0035】
本発明は第十三に、撥液性を有する基が下記式で表される基である前記化合物を提供する。
【0036】
【化8】

【0037】
(式中、Ar、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。Kは、−O−、−S−、−NH−又は−NR−を表す。Rはアルキル基又はアリール基を表す。kは0又は1を表し、rは0〜3の整数を表し、sは0〜15の整数を表す。kが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。sが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0038】
本発明の化合物は、基板表面に親液性の領域と撥液性の領域とを形成する方法に用いることができる。該方法は低エネルギーの光を用いることが可能であるため、製造コストが低く、光を照射する層の下地層の特性低下を抑制できる。また、光重合開始剤及び光触媒を用いないため、機能性薄膜の特性低下を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<用語の説明>
【0040】
以下、本明細書において共通して用いられる用語を説明する。本明細書において、<Cm〜Cn>(m、nはm<nを満たす正の整数である)という用語は、この用語とともに記載された基の炭素数がm〜nであることを表す。
【0041】
置換基とは、特に断りのない限り以下に示すハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、複素環チオ基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、カルボキシル基、水酸基、アルケニル基、アルキニル基を意味する。
【0042】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。
【0043】
アルキル基は、非置換のアルキル基及びハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基等で置換されたアルキル基を意味し、直鎖状アルキル基及び環状アルキル基(シクロアルキル基)の両方を含む。アルキル基は分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10程度である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、トリフルオロプロピル基、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル基、アミノプロピル基、アミノオクチル基、アミノデシル基、メルカプトプロピル基、メルカプトオクチル基、メルカプトデシル基等が例示される。C1〜C12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0044】
アルコキシ基は、非置換のアルコキシ基及びハロゲン原子、アルコキシ基等で置換されたアルコキシ基を意味し、直鎖状アルコキシ基及び環状アルコキシ基(シクロアルコキシ基)の両方を含む。アルコキシ基は分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10程度である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が例示される。C1〜C12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
【0045】
アルキルチオ基は、非置換のアルキルチオ基及びハロゲン原子等で置換されたアルキルチオ基を意味し、直鎖状アルキルチオ基及び環状アルキルチオ基(シクロアルキルチオ基)の両方を含む。アルキルチオ基は分岐を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10程度である。具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が例示される。C1〜C12アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられる。
【0046】
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団であり、非置換のアリール基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリール基を意味する。アリール基には、ベンゼン環をもつもの、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合したものも含まれる。アリール基の炭素数は、通常6〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が例示され、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0047】
C1〜C12アルコキシフェニル基として具体的には、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、i−プロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が例示される。
【0048】
C1〜C12アルキルフェニル基として具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が例示される。
【0049】
アリールオキシ基は、非置換のアリールオキシ基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールオキシ基を意味する。アリールオキシ基の炭素数は、通常6〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。その具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0050】
C1〜C12アルコキシフェノキシ基として具体的には、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、i−プロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、i−ブトキシフェノキシ基、s−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が例示される。
【0051】
C1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的には、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が例示される。
【0052】
アリールチオ基は、非置換のアリールチオ基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールチオ基を意味する。アリールチオ基の炭素数は、通常6〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。具体的には、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が例示される。
【0053】
アリールアルキル基は、非置換のアリールアルキル基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキル基を意味する。アリールアルキル基の炭素数は、通常7〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。
具体的には、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が例示される。
【0054】
アリールアルコキシ基は、非置換のアリールアルコキシ基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルコキシ基を意味する。アリールアルコキシ基の炭素数は、通常7〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が例示される。
【0055】
アリールアルキルチオ基は、非置換のアリールアルキルチオ基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキルチオ基を意味する。アリールアルキルチオ基の炭素数は、通常7〜60、好ましくは7〜48、より好ましくは7〜30程度である。具体的には、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が例示される。
【0056】
アリールアルケニル基は、非置換のアリールアルケニル基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルケニル基を意味する。アリールアルケニル基の炭素数は、通常8〜60、好ましくは8〜48、より好ましくは8〜30程度である。その具体例としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。
【0057】
C2〜C12アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基等が挙げられる。
【0058】
アリールアルキニル基は、非置換のアリールアルキニル基及びハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基等で置換されたアリールアルキニル基を意味する。アリールアルキニル基の炭素数は、通常8〜60、好ましくは8〜48、より好ましくは8〜30程度である。その具体例としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0059】
C2〜C12アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。
【0060】
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、非置換の1価の複素環基及びアルキル基等の置換基で置換された1価の複素環基を意味する。1価の複素環基の炭素数は、置換基の炭素数を含めないで、通常3〜60、好ましくは3〜30、より好ましくは3〜20程度である。ここに複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含むものをいう。1価の複素環基の中でも、1価の芳香族複素環基が好ましい。1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられ、中でもチエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0061】
複素環チオ基は、メルカプト基の水素原子が1価の複素環基で置換された基を意味する。複素環チオ基としては、例えば、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジルチオ基、ピラジニルチオ基、トリアジニルチオ基等のヘテロアリールチオ基等が挙げられる。
【0062】
アミノ基は、非置換のアミノ基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1又は2個の置換基で置換されたアミノ基(以下、置換アミノ基という。)を意味する。置換基は更に置換基(以下、二次置換基という場合がある。)を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は、二次置換基の炭素数を含めないで、通常1〜60、好ましくは2〜48、より好ましくは2〜40程度である。置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、C1〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0063】
シリル基は、非置換のシリル基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基から選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されたシリル基(以下、置換シリル基という。)を意味する。置換基は二次置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素数は、二次置換基の炭素数を含めないで、通常1〜60、好ましくは3〜48、より好ましくは3〜40程度である。置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0064】
アシル基は、非置換のアシル基及びハロゲン原子等で置換されたアシル基を意味する。
アシル基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜16程度である。アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0065】
アシルオキシ基は、非置換のアシルオキシ基及びハロゲン原子等で置換されたアシルオキシ基を意味する。アシルオキシ基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜16程度である。アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0066】
イミン残基は、式:H−N=C<及び式:−N=CH−の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、この構造中の水素原子1個を除いた残基を意味する。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン及びアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素数は、通常2〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜16程度である。イミン残基としては、例えば、一般式:−CR'=N−R''又は一般式:−N=C(R'')(式中、R'は水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基を表し、R''は、同一又は相異なり、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基を表し、ただし、R''が2個存在する場合、2個のR''は相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。)で表される基等が挙げられる。
【0067】
アミド基は、非置換のアミド基及びハロゲン原子等で置換されたアミド基を意味する。
アミド基の炭素数は、通常2〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜16程度である。アミド基としては、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
【0068】
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基を意味する。酸イミド基の炭素数は、通常4〜20、好ましくは4〜18、より好ましくは4〜16程度である。
【0069】
カルボキシル基は、非置換のカルボキシル基並びにアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基等の置換基で置換されたカルボキシル基(以下、置換カルボキシル基という。)を意味する。置換基は二次置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数は、二次置換基の炭素数を含めないで、通常1〜60、好ましくは2〜48、より好ましくは2〜45程度である。置換カルボキシル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0070】
X価の芳香族炭化水素基は、芳香族炭化水素から水素原子X個を除いてなる原子団を意味し、独立したベンゼン環又は縮合環を持つものを含む。前記芳香族炭化水素基は、炭素原子数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、更に好ましくは6〜18である。該炭素原子数は置換基の炭素原子数は含まない。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば2価の芳香族炭化水素基(アリーレン基)であれば、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等の非置換又は置換のフェニレン基;1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等の非置換又は置換のナフタレンジイル基;1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等の非置換又は置換のアントラセンジイル基;2,7−フェナントレンジイル基等の非置換又は置換のフェナントレンジイル基;1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等の非置換又は置換のナフタセンジイル基;2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等の非置換又は置換のフルオレンジイル基;1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等の非置換又は置換のピレンジイル基;3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等の非置換又は置換のペリレンジイル基等が挙げられ、好ましくは、非置換又は置換のフェニレン基、非置換又は置換のフルオレンジイル基である。
【0071】
X価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子X個を除いた残りの原子団をいい、炭素原子数が通常4〜60程度、好ましくは4〜30であり、特に好ましくは6〜12である。該炭素原子数は置換基の炭素原子数は含まない。前記X価の複素環基の具体例としては、例えば2価の複素環基であれば、2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等の非置換又は置換のピリジンジイル基;2,5−チオフェンジイル基等の非置換又は置換のチオフェンジイル基;2,5−フランジイル基等の非置換又は置換のフランジイル基;2,6−キノリンジイル基等の非置換又は置換のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等の非置換又は置換のイソキノリンジイル基;5,8−キノキサリンジイル基等の非置換又は置換のキノキサリンジイル基;4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基等の非置換又は置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基;4,7−ベンゾチアゾールジイル基等の非置換又は置換のベンゾチアゾールジイル基;2,7−カルバゾールジイル基、3,6−カルバゾールジイル基等の非置換又は置換のカルバゾールジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等の非置換又は置換のフェノキサジンジイル基;3,7−フェノチアジンジイル基等の非置換又は置換のフェノチアジンジイル基;2,7−ジベンゾシロールジイル基等の非置換又は置換のジベンゾシロールジイル基等が挙げられ、好ましくは、非置換又は置換のベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、非置換又は置換のフェノキサジンジイル基、非置換又は置換のフェノチアジンジイル基である。
【0072】
感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基は、紫外線領域から可視光領域の光エネルギーを吸収して二量化反応を起こす官能基であれば、特に限定なく用いることができる。光エネルギーの吸収を要する理由は、いわゆる微細パターニングを行う際には、化合物の感光性(光官能性)が利用されるからである。官能基が吸収する光エネルギーは、高エネルギーであると、光照射に要するコストが高くなり、また、周辺の有機材料が高エネルギーに晒されて劣化する可能性が生じるために、好ましくない。官能基が吸収するのに好ましい光は、波長が200nm以上、好ましくは200〜380nmである。
【0073】
ここでいう二量化とは、有機化合物の分子2個が化学的に結合することをいう。結合する分子同士は同種でも異種でもよい。2個の分子中の官能基同士の化学構造も同一であっても異なっていてもよい。但し、当該官能基は、触媒及び開始剤等の反応助剤を用いることなく光二量化反応を生じる構造、および組合せであることが好ましい。反応助剤の残基に接触すると周辺の有機材料が劣化する可能性があるからである。
【0074】
これらの官能基としては、光二量化反応をしうる二重結合、あるいは光二量化反応をしうる部位を有する芳香族縮合環を有する基が好ましく用いられる。中でも、芳香族縮合環基は、比較的低エネルギーの光を吸収するため、より好ましく用いられる。好ましく用いられる官能基の具体例としては、桂皮酸エステル構造を有する基、カルコン構造を有する基、スチリルピリジニウム構造を有する基、α−フェニルマレイミド構造を有する基、アントリル基、クマリン構造を有する基などが挙げられる。
【0075】
本発明において、撥液性を有する基および親液性を有する基は、相対的な意味で用いられる用語である。撥液性を有する基は親液性を有する基よりも撥液性の程度が高いものであれば足りる。撥液性を有する基は、該基を含む化合物からなる薄膜に撥液性を与える。例えば、撥液性を有する基を含む化合物からなる薄膜は、表面に水系インクの液滴を形成した場合に、接触角が80°以上であり、かつ、該基を含む化合物からなる薄膜に塗布した有機溶媒系インクの液滴の接触角が40°以上であることが好ましい。
【0076】
親液性を有する基は、該基を含む化合物からなる薄膜に親液性を与える。例えば、親液性を有する基を含む化合物からなる薄膜は、表面に有機溶媒系インクの液滴を形成した場合に、接触角が5°以下であることが好ましい。
【0077】
化合物(A)としては、式(1−1)で表わされる化合物、式(1−2)で表される化合物が好適に用いられる。
【0078】
【化9】

(1−1)
【0079】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、親液性を有する基である。n1は0以上の整数を表す。)
【0080】
【化10】

(1−2)
【0081】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは親液性を有する基である。p1及びm1は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【0082】
としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、アクリル酸エステル基が好ましい。n1としては、0〜4が好ましい。Xとしては、−C(R−、−N(R)−が好ましい。Yとしては、−C(R−、−N(R)−が好ましい。p1としては、0〜2が好ましい。m1としては、0〜2が好ましい。
【0083】
式(1−1)、式(1−2)で表わされる化合物の具体的な例示は、以下の化合物等が挙げられる。
【0084】
【化11】

【0085】
親液性を有する基中には、Wで表される基を含むことが好ましい。Wとしては、水酸基、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、ハロカルボニル基(式:−C(=O)−E(式中、Eはハロゲン原子を表す)で表される基を意味し、式:−C(=O)−Clで表される基及び式:−C(=O)−Brで表される基が好ましい。)、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、リン酸基(式:(HO)P(=O)−O−で表される基)、リン酸エステル構造を有する基(式:(RO)P(=O)−O−又は式:(RO)(HO)P(=O)−O−(式中、Rは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を表す)で表される基)、亜リン酸基(式:(HO)P−O−で表される基)、亜リン酸エステル構造を有する基(式:(RO)P−O−又は式:(RO)(HO)P−O−(式中、Rは前記のとおりである)で表される基)、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基、複素環チオ基、アミノ基等が例示される。これらの中で、ハロゲン原子、アルコキシ基、リン酸基、アミノ基又は水酸基であることが好ましい。
【0086】
親液性を有する基は、周期表の4族、5族、6族、13族、14族、15族又は16族に属する原子を含む基であることが好ましい。4族、5族、6族、13族、14族、15族又は16族に属する原子としては、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子等の4族に属する原子;バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子等の5族に属する原子;クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子等の6族に属する原子;ホウ素原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、インジウム原子、タリウム原子等の13族に属する原子;ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子等の14族に属する原子;リン原子、ヒ素原子、アンチモン原子、ビスマス原子等の15族に属する原子;酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、ポロニウム原子等の16族に属する原子等が挙げられるが、スズ原子、チタン原子、ジルコニウム原子、アルミニウム原子、ニオブ原子、ホウ素原子、ケイ素原子、リン原子又は硫黄原子であることが好ましく、ジルコニウム原子、アルミニウム原子、チタン原子、ケイ素原子、リン原子又は硫黄原子であることがより好ましく、チタン原子又はケイ素原子であることがさらに好ましく、ケイ素原子であることが特に好ましい。
【0087】
親液性を有する基は、式(3)で表わされる構造を含む基が好ましく、式(3)で表わされる構造からなる基がより好ましい。
【0088】
【化12】

【0089】
(式中、Mは、周期表の4族、5族、6族、13族、14族又は15族に属する原子を表す。Wは、2価の有機基を表す。Wは前述と同じ意味を表す。Ra’は、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を表す。v1は、1以上(u−1)以下の整数である。uはMの原子価を表す。Wが複数個存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。Ra’が複数個存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0090】
式(3)中、Ra’は、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基を表わし、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子、アリール基又はアリールアルキル基である。Ra’で表される基は、置換基を有していてもよい。
【0091】
式(3)中、uは、Mの原子価を表す。Mが、例えば、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子等である場合、uは4であり、Mが、ホウ素原子、アルミニウム原子等である場合、uは3である。
【0092】
式(3)中、v1は1以上(u−1)以下の整数である。好ましくは2以上の整数であり、より好ましくは3以上の整数である。
【0093】
親液性を有する基のさらに好ましい態様としては、以下の式で表わされる基が挙げられる。
【0094】
【化13】

【0095】
(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Arは(1+y1)価の芳香族炭化水素基又は(1+y1)価の複素環基を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Ra1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。t1は0又は1を表し、x1は0又は1を表し、y1は1以上の整数を表す。複数個あるRa1は、同一でも相異なっていてもよい。Akが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0096】
a1としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子が好ましい。Akとしては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。Zとしては、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−O−、−Ak−が好ましい。x1としては、1が好ましい。y1としては、1〜3が好ましい。
【0097】
親液性を有する基を含む化合物の具体的な例示は、以下の化合物等が挙げられる。
【0098】
【化14】

【0099】
【化15】

【0100】
【化16】

【0101】
【化17】

【0102】
化合物(B)としては、式(2−1)で表わされる化合物、式(2−2)で表される化合物が好適に用いられる。
【0103】
【化18】

(2−1)
【0104】
(式中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、撥液性を有する基である。n2は0以上の整数を表す。)
また、下記式で表わされる部分構造(2−2)を有するものも好適に用いられる。
【0105】
【化19】

(2−2)
【0106】
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは撥液性を有する基である。p2及びm2は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【0107】
としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、1価の複素環基、アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、アルケニル基、アルキニル基、アクリル酸エステル基が好ましい。n2としては、0〜4が好ましい。Xとしては、−C(R−、−N(R)−が好ましい。Yとしては、−C(R−、−N(R)−が好ましい。p2としては、0〜2が好ましい。m2としては、0〜2が好ましい。
【0108】
式(2−1)、式(2−2)で表わされる化合物の具体的な例示は、以下の化合物等が挙げられる。
【0109】
【化20】

【0110】
撥液性を有する基としては、フッ素原子を含む以下の構造を含む基が例示される。
【0111】
【化21】

【0112】
ここで、Bはフッ素以外の原子からなる2価の基を表す。また、Rb1はフッ素原子を含む1価の有機基を表す。
n3は0〜3の整数を表し、Bが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Bは−O−、芳香族炭化水素基、複素環基、アルキル基、又はアルキルオキシ基が好ましい。
【0113】
撥液性を有する基の好ましい態様としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0114】
【化22】

【0115】
(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Arは(1+y2)価の芳香族炭化水素基又は(1+y2)価の複素環基を表し、Rb1はフッ素原子を含む1価の有機基を表し、t2は0又は1を表し、x2は0又は1を表し、y2は1以上の整数を表す。Rb1が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0116】
撥液性を有する基の好ましい態様としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0117】
【化23】

【0118】
(式中、Ar、Rb1、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。)
【0119】
フッ素原子を含む1価の有機基であるRb1は、有機基の中の水素原子の1個以上がフッ素原子で置換された基である。特に、有機基としてはアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアリールアルキニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数としては、撥液性の観点からは、1〜20個が好ましく、4〜18個がより好ましく、6〜17個がさらに好ましい。
【0120】
b1中のフッ素原子の数は、Rb1中のフッ素原子の数とRb1中の水素原子の数との和でRb1中のフッ素原子の数を割った値(置換率)が、撥液性の観点からは、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。また、特に、有機基がアルキル基である場合、その全ての水素原子がフッ素原子で置換された、いわゆるパーフルオロアルキル基が、撥液性の観点からは好ましい。
【0121】
Arとしては、フェニレン基、フェニルトリイル基、フェニルテトライル基、ナフタレンジイル基、ナフタレントリイル基、ナフタレンテトライル基、アントラセンジイル基、アントラセンテトライル基、フルオレンジイル基、フルオレントリイル基が好ましい。t2としては、1が好ましい。x2としては、1が好ましい。y2としては、1〜5が好ましい。
【0122】
撥液性を有する基のさらに好ましい態様としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0123】
【化24】

【0124】
(式中、Ar、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。Kは、−O−、−S−、−NH−又は−NR−を表す。Rはアルキル基又はアリール基を表す。kは0又は1を表し、rは0〜6の整数を表し、sは0〜16の整数を表す。kが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。sが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【0125】
Kとしては、−O−、−S−、−NR−が好ましい。kとしては、1が好ましい。rとしては、0〜3が好ましい。sとしては、1〜10が好ましい。
【0126】
撥液性を有する基を含む化合物の具体的な例示は、以下の化合物等が挙げられる。
【0127】
【化25】

【0128】
【化26】

【0129】
【化27】

【0130】
【化28】

【0131】
【化29】

【0132】
本発明において、化合物(A)と化合物(B)とを二量化反応させる方法は、光の照射による。光照射に用いる光は、当該化合物がその光エネルギーを吸収して二量化反応を起こす波長領域であれば特に限定されない。例示するならば、200nm以上かつ380nm以下の波長の光が好ましい。200nm未満の光は非常に強力なエネルギーを有するので、基材や化合物の分解を引き起こす恐れがある。また380nmより長い波長の光は、当該化合物が吸収しない領域の光となる可能性が大きい。照射時間は、光の波長、光の強度、光源の種類、当該化合物の種類等に応じて、適宜変更される。
【0133】
光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、窒素等の気体レーザー、有機色素溶液の液体レーザー、無機単結晶に希土類イオンを含有させた固体レーザー等が挙げられる。また、単色光が得られるレーザー以外の光源としては、広帯域の線スペクトル、連続スペクトルをバンドパスフィルター、カットオフフィルター等の光学フィルターを使用して取出した特定波長の光を使用してもよい。一度に大きな面積を照射することができることから、光源としては高圧水銀ランプまたは超高圧水銀ランプが好ましい。
【0134】
本発明において、化合物(A)と化合物(B)とを光の照射により二量化反応させる方法によって形成される化合物の一態様として、飽和の環状構造または不飽和の環状構造で結合された化合物が挙げられる。飽和の環状構造または不飽和の環状構造で結合された化合物としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造またはシクロアルカジエン構造で結合された化合物等が挙げられる。
【0135】
本発明の具体的な例示は、以下の化合物等が挙げられる。
【0136】
【化30】

【0137】
(式中、RAは化合物(A)に由来する基であり、RBは化合物(B)に由来する基である)
【0138】
【化31】

【0139】
(式中、R、Rは前述と同じ意味を表す。)
【0140】
【化32】

【0141】
(式中、R、Rは前述と同じ意味を表す。)
【0142】
本発明の化合物を、光の照射によって親液性領域と撥液性領域とをパターニングするために用いる方法を以下に説明する。
【0143】
まず、ガラス、ITO(インジウム・スズ・オキサイド)つきの基板、シリコンウェハーなどの基板を、通常の湿式洗浄・乾式洗浄法を用いて洗浄する。次に化合物(A)を有機溶媒に溶解した溶液を該基板上に塗布する。用いる溶媒としては、化合物(A)が溶解するものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン等の炭化水素類、トルエンやキシレンなどの芳香族類が好ましい。溶液中の化合物(A)の濃度は0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。
【0144】
塗布する方法としては特に限定はないが、スピンコート、ディップコート、ワイヤーバーコート、ブレードコート、ロールコートなどのコーティング、あるいはインクジェットやフレキソ印刷などの各種印刷方法などの方法が採用できる。塗布は、室温下で行なうことが好ましい。次に、基板上に膜を形成した基材を大気中、または窒素気流中で加熱乾燥する。この加熱乾燥により、基板の表面にOH基を有し、かつ、化合物(A)がチタンやケイ素を有する基を有し、所謂チタンカップリング剤、あるいはシランカップリング剤として機能する基を有する場合には、該基と基板上のOH基が反応し、化合物(A)が基板上に固定されることとなる。
【0145】
基板の加熱乾燥後、化合物(A)を塗布し、膜を形成した面に、化合物(B)を有機溶媒に溶解した溶液を塗布する。用いる溶媒としては、化合物(B)が溶解するものであれば特に限定はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ヘキサン等の炭化水素類、トルエンやキシレンなどの芳香族類が好ましく、これらの中でもフッ素原子を有する溶媒を用いることがより好ましい。溶液中の化合物(B)の濃度は0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。
【0146】
化合物(B)を塗布後、基材を窒素気流中で加熱乾燥し、その後光照射を行なう。光照射に用いる光としては、前述した通りである。光の照射はフォトマスクを介して行うことが好ましい。この方法により、膜の表面の所望の領域でのみ光二量化反応を起こすことが可能であり、親液性領域と撥液性領域が所望のパターンを形成した処理基材を得ることができる。光照射する雰囲気は任意に選択することができるが、窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で光照射するのがより好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等から選ばれるガスが挙げられ、安価に入手できるため窒素ガスが最も好ましい。
【0147】
光照射を行なった後、基材の表面に存在する未反応の化合物(B)を除去する。除去の方法としては、未反応の化合物(B)が溶解する溶媒で洗浄するのが好ましい。洗浄に用いる溶媒としては、化合物(A)を溶解せず、かつ、化合物(B)が溶解するものであれば特に限定はないが、フッ素原子を有する溶媒が好ましい。
【0148】
このようにして、光照射した領域には、化合物(A)と化合物(B)が二量化した化合物が存在するため、その領域は化合物(B)が有する撥液性の基の効果により、撥液性を示す。一方、光照射しなかった領域は、化合物(B)は洗浄によって除去されるため、化合物(A)が基板に結合した状態となり、撥液性を示さず、相対的に親液性となる。
【0149】
本発明の化合物を用いることによって、大規模な装置や光源を用いることなく、親液性領域と撥液性領域とを光の照射によってパターニングすることができる。例えば該パターニング面に、スロットコート法やスプレイ法などで機能性材料を塗布した場合、撥液性領域では溶液は塗布されず、親液性領域のみに溶液が保持されるので、乾燥後には機能性材料が精緻にパターニングされた薄膜が得られる。このようにして得られるパターニングされた機能性薄膜は、有機薄膜トランジスタ素子、有機薄膜太陽電池、有機ELディスプレイなどの分野において有用に用いることができる。
【実施例】
【0150】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0151】
合成例1
化合物1の合成
【0152】
【化33】

(化合物1)
【0153】
200ml二口ナス型フラスコに9-Anthracenecarboxilic acid(9−アントラセンカルボン酸) 1.0 g (4.5 mmol)、DCC(N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド) 0.93 g (4.5 mmol)、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)0.61 g (4.5 mmol)を入れ、脱気アルゴン置換した。dry CH2Cl2(脱水塩化メチレン)360 ml、APS(3−アミノプロピルトリメトキシシラン) 1.0 g (4.5 mmol)、Et3N(トリエチルアミン) 0.45 g (4.5 mmol)を加え、室温にて24時間磁気攪拌した。TLC (展開溶媒:クロロホルム)にて反応の進行を確認したため反応を停止し、溶媒を減圧留去したのち、カラムクロマトグラフィー (シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム)にて精製した。 収量は 360 mg (0.85 mmol、 収率20 %) であった。
【0154】
1H NMR (CDCl3):δ= 8.46 (s, 1H), 8.07 (d, 2H), 7.99 (d, 2H), 7.48 (m, 4H), 6.42 (s, 1H), 3.75 (m, 6H), 1.90 (m, 2H), 1.25 (m, 2H), 1.12 (m, 9H), 0.77 (t, 2H)
【0155】
合成例2
化合物2−1の合成
【0156】
【化34】

(化合物2−1)
【0157】
ジムロート管、セプタムカバー付き三口丸底フラスコに没食子酸メチル268mg (1.5 mmol,1.0eq.)、ヘプタデカフルオロウンデシルアイオド3.0 g (0.51mmol、3.5eq.)、18−クラウン−6−エーテル115mg(0.043mmol、0.3eq.)、炭酸カリウム760mgを加え脱気アルゴン置換した。脱水アセトン20mlを加え3日間還流した。TLC(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて原料の消失を確認した後に、蒸留水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥後、溶媒を減圧留去した。精製は再結晶(アセトン)によって行った。化合物2−1の収量は 2.0 g(1.3 mmol、 収率89 %)であった。
【0158】
1H NMR (CDCl3):δ= 7.28 (s, 2H), 4.11 (t, 3H), 4.05 (t, 2H), 3.89 (s, 3H), 2.33 (m, 6H), 2.15 (m, 4H), 2.08 (m, 2H)
【0159】
合成例3
化合物2−2の合成
【0160】
【化35】

(化合物2−1) (化合物2−2)
【0161】
ジムロート管、セプタムカバー付き三100ml三口丸底フラスコにリチウムアルミニウムハイドライド49.5 mg (1.9 mmol、2.0eq.)を入れ脱気アルゴン置換した。そこへ脱水THF(テトラヒドロフラン)10ml、化合物2−1 1.5 g(1.0mmol)を入れ2時間還流した。TLC(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にて原料の消失を確認した後に、溶媒を減圧留去した。精製は再結晶(アセトン)によって行った。化合物2−2の収量は 1.4 g(0.91 mmol, 収率91%)であった。
【0162】
1H NMR (CDCl3):δ= 6.59 (s, 2H), 4.60 (d, 2H), 4.06 (t, 4H), 3.97 (t, 2H), 2.33 (m, 6H), 2.15 (m, 4H), 2.08 (m, 2H)
【0163】
合成例4
化合物2の合成
【0164】
【化36】

(化合物2)
【0165】
ジムロート冷却管付き100 ml二口ナス型フラスコに9-Anthracenecarboxilic acid(9−アントラセンカルボン酸) 17.3 mg (0.078 mmol)を入れ、脱気アルゴン置換した。dry CH2Cl2(脱水ジクロロメタン)5 ml、DMF(N、N−ジメチルホルムアミド) 50 ml、塩化チオニル 13mg (16.7 mmol) を加え室温にて0.5時間、その後4時間還流した。攪拌後溶媒を減圧留去し、化合物2−2 100mg (0.065 mmol)、脱水トリフルオロトルエン 10 ml、ピリジン 0.5 mlを加え室温にて24時間磁気攪拌した。反応後蒸留水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥させたのち再結晶(アセトン)によって精製した。化合物2の収量は 31 mg (0.018 mmol、収率27 %)であった。
【0166】
実施例1
次に、実施例について説明する。先ず、ガラス基板を以下の手順にて洗浄した。即ち、アセトンによる30分間の超音波洗浄を行い、その後15分間のUVオゾン洗浄を行った。
【0167】
次に、上記で得た化合物1を脱水ジクロロエチレンと脱水トルエンの等量混合溶媒に対し、4mMの濃度で溶解した。この化合物1の溶液中に、洗浄が終了したガラス基板を20分間浸漬した。
【0168】
その後、ガラス基板を取り出し、ホットプレートによって、大気中、110℃、20分の条件で乾燥を行った。乾燥後、ガラス基板にクロロホルムをかけ流して、過剰の化合物1を除去し、化合物1を含む膜を形成した。
【0169】
次に、上記で得た化合物2を、クロロホルムに対し1mMの濃度で溶解した。この化合物2の溶液中に、化合物1を塗布した基板を20分間浸漬した。その後取り出し、大気中にて自然乾燥させ、化合物1を含む膜上に化合物2を含む膜を形成した。
【0170】
次に、化合物2を含む膜に紫外線を照射した。紫外線は通常の光源を用い、波長365nmの光を51mW/cmの強度で20分間照射した。照射後、トリフルオロトルエンを基板全体にかけ流し、未反応の化合物2を除去した。光照射部において、化合物1と化合物2が光二量化反応し、下記化合物が生成した。下記化合物は、撥液性を有する基を有するため、撥液性領域を形成する。
【0171】
【化37】

【0172】
このようにして得られた基板について、アニソールに対する接触角を接触角測定器(dataphysics社製 OCA−30)を用いて測定したところ、25度であった。
【0173】
実施例2
先ず、ガラス基板を以下の手順にて洗浄した。即ち、アセトンによる30分間の超音波洗浄を行い、その後15分間のUVオゾン洗浄を行った。
【0174】
次に、上記で得た化合物1を脱水ジクロロエチレンと脱水トルエンの等量混合溶媒に対し、4mMの濃度で溶解した。この化合物1の溶液中に、洗浄が終了したガラス基板を20分間浸漬した。
【0175】
その後、ガラス基板を取り出し、ホットプレートによって、大気中、110℃、20分の条件で乾燥を行った。乾燥後、ガラス基板にクロロホルムをかけ流して、過剰の化合物1を除去し、化合物1を含む膜を形成した。
【0176】
次に、上記で得た化合物2を、クロロホルムに対し1mMの濃度で溶解した。この化合物2の溶液中に、化合物1を塗布した基板を20分間浸漬した。その後取り出し、大気中にて自然乾燥させ、化合物1を含む膜上に化合物2を含む膜を形成した。
【0177】
次に、トリフルオロトルエンを基板全体にかけ流し、未反応の化合物2を除去した。光照射を行わない場合、化合物2を含む膜が除去され、該部の表面に化合物1を含む膜が存在するため、親液性領域となる。
【0178】
このようにして得られた基板について、アニソールに対する接触角を接触角測定器(dataphysics社製 OCA−30)を用いて測定したところ、5度であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、親液性を有する基とを含む化合物(A)と、感光性を有する基であって光二量化反応をしうる基と、撥液性を有する基とを含む化合物(B)とを、光の照射により、二量化反応させて得られる化合物。
【請求項2】
化合物(A)に含まれる感光性基が、二重結合又は芳香族縮合環を含むことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物(B)に含まれる感光性基が、二重結合又は芳香族縮合環を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
化合物(A)が、式(1−1)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【化1】

(1−1)
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、親液性を有する基である。n1は0以上の整数を表す。)
【請求項5】
化合物(A)が、式(1−2)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【化2】

(1−2)
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また、隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは親液性を有する基である。p1及びm1は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【請求項6】
親液性を有する基が、周期表の4族、5族、6族、13族、14族、15族又は16族に属する原子を含む基である請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
親液性を有する基が、ケイ素原子を含む基である請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
親液性を有する基が式(1−3)で表される基である請求項7に記載の化合物。
【化3】

(1−3)
(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Arは(1+y1)価の芳香族炭化水素基又は(1+y1)価の複素環基を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Ra1は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。t1は0又は1を表し、x1は0又は1を表し、y1は1以上の整数を表す。複数個あるRa1は、同一でも相異なっていてもよい。Akが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【請求項9】
化合物(B)が、式(2−1)で表される化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【化4】

(2−1)
(式中、Rは水素原子又は置換基を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは、撥液性を有する基である。n2は0以上の整数を表す。)
【請求項10】
化合物(B)が、式(2−2)で表される化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【化5】

(2−2)
(式中、Rは、水素原子又は置換基を表す。X及びYは、同一でも相異なっていてもよく、−C(R−、−N(R)−、−O−、−S−、−Si(R−、−B(R)−又は−C(R)=C(R)−を表す。複数個あるRは、同一でも相異なってもよい。また隣り合うRは、それぞれ連結して、飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環を形成していてもよく、これらの環は置換基を有していてもよい。ただし、Rの少なくとも1つは撥液性を有する基である。p2及びm2は、同一又は相異なり、0以上の整数を表す。)
【請求項11】
撥液性を有する基が下記式で表される基である請求項9又は10に記載の化合物。
【化6】

(式中、Zは−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)−、−N(R)−、−C(=O)N(R)−、−N(R)C(=O)−、−N(R)C(=O)N(R)−、−Ak−C(=O)O−、−Ak−OC(=O)−、−Ak−OC(=O)O−、−Ak−C(=O)−、−Ak−N(R)−、−Ak−C(=O)N(R)−、−Ak−N(R)C(=O)−、−Ak−N(R)C(=O)N(R)−、−O−、−S−又は−Ak−を表し、Akは炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Arは(1+y2)価の芳香族炭化水素基又は(1+y2)価の複素環基を表し、Rb1はフッ素原子を含む1価の有機基を表し、t2は0又は1を表し、x2は0又は1を表し、y2は1以上の整数を表す。Rb1が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)
【請求項12】
撥液性を有する基が下記式で表される基である請求項11に記載の化合物。
【化7】


(式中、Ar、Rb1、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。)
【請求項13】
撥液性を有する基が下記式で表される基である請求項12に記載の化合物。
【化8】

(式中、Ar、Ak、t2、x2、y2は前述と同じ意味を表す。Kは、−O−、−S−、−NH−又は−NR−を表す。Rはアルキル基又はアリール基を表す。kは0又は1を表し、rは0〜6の整数を表し、sは0〜16の整数を表す。kが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。rが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。sが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。)

【公開番号】特開2011−105655(P2011−105655A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263203(P2009−263203)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(596134367)財団法人九州先端科学技術研究所 (12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】