説明

化学反応装置の加熱冷却機構、及び加熱冷却機能に優れた化学反応装置

【課題】 液剤の加熱・冷却効率を高めることができ、しかも、ヒートショックによる器具の破損も防止できる化学反応装置の加熱冷却機構、及び加熱冷却機能に優れた化学反応装置を提供すること。
【解決手段】 反応槽1と;温度センサ2と;ヒーター装置3と;ジャケット4と;チラーユニット5と;エアブロー装置6と;制御装置7とを含んで構成すると共に、
前記制御装置7には、液剤Lを加熱するときにヒーター装置3への始動命令に応じて冷却液Cの給液弁V1を閉じ、ジャケット4内に残った冷却液Cを開放された排気弁V4或いは排液弁V2から排出する第一の制御機能と、液剤Lを冷却するときに温度センサ2から送られた液剤Lの温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エアAの給気弁V3を閉じ、冷却液Cの給液弁V1を開いてジャケット4内を冷却液Cで満たす第二の制御機能とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応装置の改良、詳しくは、反応槽内の液剤の加熱・冷却効率を向上することができ、しかも、ヒートショックによる器具の破損も防止できる化学反応装置の加熱冷却機構、及び加熱冷却機能に優れた化学反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、医薬品や化学物質の多くは、複数の薬剤を混ぜ合わせこれらを化学反応させることによって製造されている。しかし、化学反応の反応速度や反応後の生成物は、薬剤の温度や圧力、また触媒の有無等によって大きく変わるため、生産効率や歩留等の視点から工業生産に適した反応条件を調べる必要がある。
【0003】
また、上記反応条件を調べる試験研究においては、薬剤の温度を調節可能な反応装置が使用され、この種の装置としては、薬剤を収容する反応槽の周囲にジャケットを設け、このジャケット内に高温または低温の熱媒液を循環供給することにより薬剤の加熱冷却を行うものが知られている。
【0004】
しかしながら、上記反応装置は、単一の熱媒液によって加熱と冷却の両方を行わなければならなかったため、加熱から冷却(または冷却から加熱)に切り替える際に熱媒液の温度を昇降させる必要が生じ、これが結果的に時間のロスとなって加熱・冷却の切り替えを迅速に行うことができなかった。
【0005】
そこで、従来においては、ジャケット内の熱媒液を冷却にのみ使用し、加熱手段を別に設けた反応装置も開発されたが(特許文献1参照)、この装置についても、冷却液の液量調節は可能であるものの、基本的にジャケット内に冷却液を残した状態で加熱が行われるため、熱が冷却液に吸収されて効率良く加熱を行うことができなかった。
【0006】
しかも、上記反応装置において、ジャケットや反応槽に内部を透視可能なガラスを使用し、更に加熱手段に薬剤を100℃以上の高温まで加熱可能な電熱ヒーター等を用いた場合には、加熱後に薬剤をいきなり低温の冷却液で冷やすと、薬剤と一緒に反応槽やジャケットの温度も急激に低下して、ヒートショックによりガラスが破損する危険もあった。
【0007】
一方、従来においては、高温に加熱された薬剤をエアブローによって冷却する技術も公知となっているが(例えば、特許文献2参照)、このようなエアブローによる冷却は一般的に温度降下が非常に緩やかであるため、冷却に時間がかかり、特に100℃以上の高温から0℃以下の低温まで冷却する場合に冷却効率が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−131817号公報(第1−8頁、第1図)
【特許文献2】特表平7−507490号公報(第1−9頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、反応槽内に収容した液剤の加熱・冷却効率を高めることができ、しかも、ヒートショックによる器具の破損も防止できる化学反応装置の加熱冷却機構、及び加熱冷却機能に優れた化学反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、化学反応させる液剤Lを収容可能な反応槽1と;前記反応槽1内の液剤Lの温度を検知するための温度センサ2と;前記反応槽1内の液剤Lを加熱するためのヒーター装置3と;前記反応槽1の胴部を被覆するように設けられ、かつ、内部に冷却液Cを収容可能なジャケット4と;前記ジャケット4に循環路52を介して接続された貯溜タンク51を有し、かつ、ジャケット4内に冷却液Cを送り出すための循環ポンプ53、およびジャケット4内から回収した冷却液Cを再冷却するための冷却手段54を備えたチラーユニット5と;前記ジャケット4に接続されてジャケット4内に圧縮エアAを供給可能なエアブロー装置6と;前記ヒーター装置3の始動・停止、及び冷却液Cの給排液弁V1・V2と圧縮エアAの給排気弁V3・V4の開閉を制御可能な制御装置7とを含んで構成する一方、
前記制御装置7には、液剤Lを加熱するときにヒーター装置3への始動命令に応じて冷却液Cの給液弁V1を閉じ、ジャケット4内に残った冷却液Cを開放された排気弁V4或いは排液弁V2から排出する第一の制御機能と、液剤Lを冷却するときに温度センサ2から送られた液剤Lの温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エアAの給気弁V3を閉じ、冷却液Cの給液弁V1を開いてジャケット4内を冷却液Cで満たす第二の制御機能とを備えた点に特徴がある。
【0012】
なお、本明細書中で使用する「チラーユニット」とは、冷却液を循環させて対象物の冷却を行う液冷却装置を意味する。
【0013】
また、上記ヒーター装置3については、反応槽1内に設置したインナーコイル31に直接電流を流して発熱させる抵抗加熱型、或いは反応槽1の下方に配置した電磁誘導コイル32に電流を流して、導電体から成る反応槽1本体または反応槽1内の攪拌翼11を渦電流により発熱させる誘導加熱型を採用することができる。
【0014】
また本発明では、上記ジャケット4の上側に圧縮エアAの給気口43を設けると共に、ジャケット4の下側に排気口44を設け、更に第一の制御機能において圧縮エアAの給排気弁V3・V4を一定時間だけ開放する機能を制御装置7に備えることにより、ジャケット4内に残った冷却液Cを圧縮エアAによって強制排出可能とすることもできる。
【0015】
また更に、本発明では、上記チラーユニット5の循環路52を、給排液弁V1・V2よりもジャケット4寄りの位置で分岐させて、エアブロー装置6を接続する圧縮エアAの給気路61および排気路62を設けることにより、ジャケット4に設けた冷却液Cの給排液口41・42を圧縮エアAの給排気口43・44として兼用することもできる。
【0016】
そしてまた、本発明では、上記ヒーター装置3への始動・停止命令の送信、および第二の制御機能の閾値の設定を行うための入力手段と、液剤Lの温度変化をモニタリングするための出力手段とを備えた入出力装置8を、有線または無線の伝送路81を介して制御装置7に接続することにより、反応装置から離れた場所での管理を可能とすることもできる。
【0017】
また、上記反応装置の入出力に関しては、複数の反応装置に個別に配設された制御装置7・7…を共通の入出力装置8にまとめて接続することにより、複数の装置を一括して管理することもできる。
【0018】
一方、本発明では、上記ヒーター装置3を、反応槽1が嵌装されるアルミブロックBに付設して、アルミブロックBを介して反応槽1内の液剤Lを加熱可能とすると共に、前記アルミブロックBの内部に冷却液C或いは圧縮エアAを通過させるための冷却流路Pを設けてこれを液剤Lの冷却手段とすることもできる。なお、その場合には、チラーユニット5の循環路52、およびエアブロー装置6を冷却流路Pの出入口に接続する。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、液剤を収容する反応槽の周囲に設けたジャケットに、冷却液を循環供給するためのチラーユニットと、圧縮エアを供給するためのエアブロー装置とを接続し、更にヒーター装置およびバルブ類を制御する制御装置に、加熱時にジャケット内に残った冷却液を排出する機能を付与したことにより、ジャケット内を完全に空にした状態で液剤の加熱を行うことができるため、熱の分散を防いで加熱効率を向上することができる。
【0020】
また本発明では、上記制御装置に、冷却時における冷却方式の切り替え機能も付与していることから、液剤をヒートショックが起こらない温度までエアブローで緩やかに冷却した後、冷却液に切り替えれば、液剤を設定温度まで高速に冷却することが可能となり、これによって冷却効率を損なわずにヒートショックの防止を図ることができる。
【0021】
したがって、本発明により、実験対象となる液剤の加熱・冷却を短時間で行うことができ、しかも、作業者が怪我をする虞れのあるヒートショックによる器具の破損も防止できる機能性および安全性に優れた化学反応装置を提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1における化学反応装置の加熱冷却機構を表わす装置概要図である。
【図2】本発明の実施例1における冷却機構を表わす概略図である。
【図3】本発明の実施例1における冷却機構を表わす概略図である。
【図4】本発明の実施例1における制御装置の第一の制御機能を表わす状態説明図である。
【図5】本発明の実施例1における制御装置の第二の制御機能を表わす状態説明図である。
【図6】本発明の実施例1における制御装置の機能および接続関係を表わす配線図である。
【図7】本発明の実施例1における加熱時における液剤の温度変化を表わす実験データである。
【図8】本発明の実施例1における冷却時における液剤の温度変化を表わす実験データである。
【図9】本発明の実施例2における化学反応装置の加熱冷却機構を表わす装置概要図である。
【図10】本発明の実施例3における化学反応装置の加熱冷却機構を表わす装置概要図である。
【図11】本発明の実施例3における冷却機構を表わす概略図である。
【図12】本発明の実施例4における化学反応装置の加熱冷却機構を表わす装置概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
『実施例1』
まず、本発明の実施例1について、図1から図8に基いて説明する。同図において、符号1で指示するものは、反応槽であり、符号2で指示するものは、温度センサである。また符号3で指示するものは、ヒーター装置であり、符号4で指示するものは、ジャケットである。また、符号5で指示するものは、チラーユニットであり、符号6で指示するものは、エアブロー装置である。また符号7で指示するものは、制御装置であり、符号8で指示するものは、入出力装置である。
【0024】
この実施例1では、化学反応させる液剤Lを収容可能で、かつ、内部に駆動源Mにより回転する攪拌翼11を備えた反応槽1(材質:耐熱ガラス)に対して、槽内の液剤Lの温度を検知するための温度センサ2、および反応槽1内の液剤Lを加熱するためのヒーター装置3を付設している(図1参照)。また、ヒーター装置3に関しては、反応槽1内に設置したインナーコイル31に直接電流を流して発熱させる抵抗加熱型のものを使用している。
【0025】
そしてまた、上記反応槽1には、図2に示すように冷却液Cを収容可能なスペースを内側に有するジャケット4(材質:ステンレス)を胴部を被覆するように設け、更にこのジャケット4に設けた給排液口41・42には、冷却液Cの貯溜タンク51を備えたチラーユニット5を循環路52を介して接続している。
【0026】
なお、上記チラーユニット5の貯溜タンク51は、ジャケット4内に冷却液Cを送り出すための循環ポンプ53、およびジャケット4内から回収した冷却液Cを再冷却するための冷却手段54を備えており、設定された所定温度の冷却液Cをジャケット4内に常時供給することができる。
【0027】
一方、上記ジャケット4に設けた給排気口43・44には、図3に示すようにジャケット4内に圧縮エアAを供給可能なエアブロー装置6を接続している。なお本実施例では、チラーユニット5の循環路52を、給排液弁V1・V2よりもジャケット4寄りの位置で分岐させて、圧縮エアAの給気路61および排気路62を設けており、これによってジャケット4の給排液口41・42を圧縮エアAの給排気口43・44としても使用できるようにしている。
【0028】
また更に、上記反応装置には、ヒーター装置3の始動・停止、及びチラーユニット5の循環路52に設けた冷却液Cの給排液弁V1・V2と圧縮エアAの給排気路61・62に設けた給排気弁V3・V4の開閉を制御可能な制御装置7を付設している。
【0029】
そして、上記制御装置7には、液剤Lを加熱するときにヒーター装置3への始動命令に応じて冷却液Cの給液弁V1を閉じ、ジャケット4内に残った冷却液Cを開放された排気弁V4或いは排液弁V2から排出する第一の制御機能を付与している。
【0030】
また実施例1では、上記第一の制御機能において圧縮エアAの給排気弁V3・V4を一定時間だけ開放する機能を制御装置7に備え、更にジャケット4の上側に圧縮エアAの給気口43を、ジャケット4の下側に排気口44を設けることにより、図4に示すようにジャケット4内に残った冷却液Cを圧縮エアAによって強制排出可能としている。
【0031】
また更に、上記制御装置7には、第一の制御機能に加え、液剤Lを冷却するときに温度センサ2から送られた液剤Lの温度が所定の閾値を下回ったところで、図5に示すように圧縮エアAの給気弁V3を閉じ、冷却液Cの給液弁V1を開いてジャケット4内を冷却液Cで満たす第二の制御機能を付与している。
【0032】
また、上記反応装置には、ヒーター装置3への始動・停止命令の送信、および第二の制御機能の閾値の設定を行うための入力手段と、液剤Lの温度変化をモニタリングするための出力手段とを備えた入出力装置8(本実施例では、「パソコン」)を、有線または無線の伝送路81を介して制御装置7に接続している。これにより、反応装置から離れた場所での管理が可能となる。
【0033】
なお、図6の配線図は、本実施例における制御装置7の第一の制御機能や第二の制御機能、および他の機器との接続関係を示す資料である。
【0034】
[効果の検証試験(I)]
次に、上記反応装置を使用して行った効果の検証試験(I)について説明する。この検証試験(I)では、反応槽1に収容する液剤Lに水(200ml)を使用し、この液剤Lをヒーター装置3を用いて出力100Wで加熱した。また検証試験(I)では、一方の装置をジャケット4内から冷却液Cを抜いた状態で加熱し、もう一方の装置をジャケット4内に冷却液C(冷水)を入れたままの状態で加熱した。
【0035】
その結果、図7に示すように、ジャケット4内から冷却液Cを抜いた状態で加熱した方が、ジャケット4内に冷却液Cを入れた状態のまま加熱するよりも液剤Lの加熱効率が向上することが検証された。
【0036】
[効果の検証試験(II)]
次に、上記反応装置を使用して行った効果の検証試験(II)について説明する。この検証試験(II)では、制御装置7の第二の制御機能における、エア冷却から液冷却に切り替える閾値を60℃に設定した。また、液剤Lには水を、冷却液Cには冷水を使用した。
【0037】
その結果、図8に示すように、液剤Lが120℃から50℃までは平均-1.7℃/minのスピードで冷却が緩やかに進み、その後、50℃から-20℃までは平均-4.7℃/minのスピードで高速に冷却が進んだ。また、ヒートショックの予兆は全くなかった。
【0038】
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について、図9に基いて説明する。この実施例2では、ヒーター装置3に、反応槽1の下方に配置した電磁誘導コイル32に電流を流して、導電体から成る反応槽1本体を渦電流により発熱させる誘導加熱型のものを使用している(図9参照)。
【0039】
『実施例3』
次に、本発明の実施例3について、図10及び図11に基いて説明する。この実施例3では、ヒーター装置3に、反応槽1を嵌装可能な窪みを有するアルミブロックBにヒーター装置3を付設して、アルミブロックBを介して反応槽1内の液剤Lを加熱できるように構成している(図10参照)。
【0040】
また、上記アルミブロックBの内部には、図11(a)及び(b)に示すように冷却液C或いは圧縮エアAを通過させるための冷却流路Pを螺旋状に設け、この冷却流路Pの出入口にチラーユニット5の循環路52、およびエアブロー装置6を接続している。
【0041】
『実施例4』
次に、本発明の実施例3について、図12に基いて説明する。この実施例1では、複数の反応装置に個別に配設した制御装置7・7…を共通の入出力装置8にまとめて接続しており、これによって複数の反応装置を一括して管理することが可能となる(図12参照)。
【0042】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものではなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、反応槽1及びジャケット4の材質には、ガラス等の無機材料またはステンレス等の金属材料を適宜選択して使用することができ、特に反応槽1及びジャケット4の両方を透明なガラス製とした場合には、液剤Lの反応を目で見て確認することができる。
【0043】
また、反応槽1内で液剤Lを攪拌する手段としては、攪拌翼11の代わりに磁気で攪拌子を回転させるマグネティックスターラーを使用することもできる。また更に、ヒーター装置3に誘導加熱型のものを使用する場合には、反応槽1をガラス製とし攪拌翼11をステンレス製として、攪拌翼11を電磁誘導コイル32により発熱させることもできる。
【0044】
そしてまた、ジャケット4に設ける冷却液Cの給排液口41・42と圧縮エアAの給排気口43・44は別々に設けることもでき、また、ジャケット4内に残った冷却液Cの排出に関しても、圧縮エアAによって排気口44から強制排出しなくても、排液口42から自然排出することもできる。
【0045】
他方また、チラーユニット5において循環させる冷却液Cには、冷水だけでなくHFCやHCFCなどの冷媒を使用することもでき、上記何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
近年、製薬業界や化学業界において、開発研究を目的とした薬剤の反応試験が頻繁に行われており、研究者からは機能性に優れた反応装置が求められている。また、反応装置には、化学反応を目視するために透明なガラス材を用いることも多いため、ヒートショック対策は実験作業を安全に行うための必須の課題である。
【0047】
そのような中で、本発明の化学反応装置の加熱冷却機構、及び加熱冷却機能に優れた化学反応装置は、薬剤の加熱・冷却を迅速に行うことができ、しかも、ヒートショックによって器具が破損する心配もない有用な技術であるため、その産業上の利用価値は非常に高い。
【符号の説明】
【0048】
1 反応槽
11 攪拌翼
2 温度センサ
3 ヒーター装置
31 インナーコイル
32 電磁誘導コイル
4 ジャケット
41 給液口
42 排液口
43 給気口
44 排気口
5 チラーユニット
51 貯溜タンク
52 循環路
53 循環ポンプ
54 冷却手段
6 エアブロー装置
61 給気路
62 排気路
7 制御装置
8 入出力装置
81 伝送路
L 液剤
M 駆動源
C 冷却液
A 圧縮エア
V 給排出弁
B アルミブロック
P 冷却流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学反応させる液剤(L)を収容可能な反応槽(1)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)の温度を検知するための温度センサ(2)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)を加熱するためのヒーター装置(3)と;前記反応槽(1)の胴部を被覆するように設けられ、かつ、内部に冷却液(C)を収容可能なジャケット(4)と;前記ジャケット(4)に循環路(52)を介して接続された貯溜タンク(51)を有し、かつ、ジャケット(4)内に冷却液(C)を送り出すための循環ポンプ(53)、およびジャケット(4)内から回収した冷却液(C)を再冷却するための冷却手段(54)を備えたチラーユニット(5)と;前記ジャケット(4)に接続されてジャケット(4)内に圧縮エア(A)を供給可能なエアブロー装置(6)と;前記ヒーター装置(3)の始動・停止、及び冷却液(C)の給排液弁(V1)(V2)と圧縮エア(A)の給排気弁(V3)(V4)の開閉を制御可能な制御装置(7)とを含んで構成される一方、
前記制御装置(7)には、液剤(L)を加熱するときにヒーター装置(3)への始動命令に応じて冷却液(C)の給液弁(V1)を閉じ、ジャケット(4)内に残った冷却液(C)を開放された排気弁(V4)或いは排液弁(V2)から排出する第一の制御機能と、液剤(L)を冷却するときに温度センサ(2)から送られた液剤(L)の温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エア(A)の給気弁(V3)を閉じ、冷却液(C)の給液弁(V1)を開いてジャケット(4)内を冷却液(C)で満たす第二の制御機能とを備えたことを特徴とする化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項2】
ジャケット(4)の上側に圧縮エア(A)の給気口(43)を設け、かつ、ジャケット(4)の下側に排気口(44)を設けると共に、第一の制御機能において圧縮エア(A)の給排気弁(V3)・(V4)を一定時間だけ開放する機能を制御装置(7)に備えたことにより、ジャケット(4)内に残った冷却液(C)を圧縮エア(A)により強制排出可能としたことを特徴とする請求項1記載の化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項3】
チラーユニット(5)の循環路(52)を、給排液弁(V1)(V2)よりもジャケット(4)寄りの位置で分岐させて、エアブロー装置(6)を接続する圧縮エア(A)の給気路(61)および排気路(62)を設けたことにより、ジャケット(4)に設けた冷却液(C)の給排液口(41)(42)を圧縮エア(A)の給排気口(43)(44)としても兼用可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項4】
ヒーター装置(3)への始動・停止命令の送信、および第二の制御機能の閾値の設定を行うための入力手段と、液剤(L)の温度変化をモニタリングするための出力手段とを備えた入出力装置(8)が、有線または無線の伝送路(81)を介して制御装置(7)に接続されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項5】
複数の反応装置に個別に配設された制御装置(7・7…)が、共通の入出力装置(8)に一括的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項6】
ヒーター装置(3)に、反応槽(1)内に設置したインナーコイル(31)に直接電流を流して発熱させる抵抗加熱型、或いは反応槽(1)の下方に配置した電磁誘導コイル(32)に電流を流して、導電体から成る反応槽(1)本体または反応槽(1)内の攪拌翼(11)を渦電流により発熱させる誘導加熱型を採用したことを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項7】
化学反応させる液剤(L)を収容可能な反応槽(1)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)の温度を検知するための温度センサ(2)と;前記反応槽(1)が嵌装されるアルミブロック(B)に付設されて、アルミブロック(B)を介して反応槽(1)内の液剤(L)を加熱可能なヒーター装置(3)と;前記アルミブロック(B)の内部に設けられた冷却液(C)或いは圧縮エア(A)を通過させるための冷却流路(P)と;前記アルミブロック(B)の冷却流路(P)に循環路(52)を介して接続された貯溜タンク(51)を有し、かつ、冷却流路(P)内に冷却液(C)を送り出すための循環ポンプ(53)、および冷却流路(P)内から回収した冷却液(C)を再冷却するための冷却手段(54)を備えたチラーユニット(5)と;前記アルミブロック(B)の冷却流路(P)に接続されて流路内に圧縮エア(A)を供給可能なエアブロー装置(6)と;前記ヒーター装置(3)の始動・停止、及び冷却液(C)の給排液弁(V1)(V2)と圧縮エア(A)の給排気弁(V3)(V4)の開閉を制御可能な制御装置(7)とを含んで構成される一方、
前記制御装置(7)には、液剤(L)を加熱するときにヒーター装置(3)への始動命令に応じて冷却液(C)の給液弁(V1)を閉じ、アルミブロック(B)の冷却流路(P)内に残った冷却液(C)を開放された排気弁(V4)或いは排液弁(V2)から排出する第一の制御機能と、液剤(L)を冷却するときに温度センサ(2)から送られた液剤(L)の温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エア(A)の給気弁(V3)を閉じ、更に冷却液(C)の給液弁(V1)を開いて冷却流路(P)内を冷却液(C)で満たす第二の制御機能とを備えたことを特徴とする化学反応装置の加熱冷却機構。
【請求項8】
化学反応させる液剤(L)を収容可能な反応槽(1)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)の温度を検知するための温度センサ(2)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)を加熱するためのヒーター装置(3)と;前記反応槽(1)の胴部を被覆するように設けられ、かつ、内部に冷却液(C)を収容可能なスペースを有し、更に冷却液(C)の循環供給に用いるチラーユニット(5)を接続可能な給排液口(41)(42)、および圧縮エア(A)の供給に用いるエアブロー装置(6)を接続可能な給気口(43)を備えたジャケット(4)と;前記ヒーター装置(3)の始動・停止、及び冷却液(C)の給排液弁(V1)(V2)と圧縮エア(A)の給排気弁(V3)(V4)の開閉を制御可能な制御装置(7)とを含んで構成される一方、
前記制御装置(7)には、液剤(L)を加熱するときにヒーター装置(3)への始動命令に応じて冷却液(C)の給液弁(V1)を閉じ、ジャケット(4)内に残った冷却液(C)を開放された排気弁(V4)或いは排液弁(V2)から排出する第一の制御機能と、液剤(L)を冷却するときに温度センサ(2)から送られた液剤(L)の温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エア(A)の給気弁(V3)を閉じ、冷却液(C)の給液弁(V1)を開いてジャケット(4)内を冷却液(C)で満たす第二の制御機能とを備えたことを特徴とする加熱冷却機能に優れた化学反応装置。
【請求項9】
化学反応させる液剤(L)を収容可能な反応槽(1)と;前記反応槽(1)内の液剤(L)の温度を検知するための温度センサ(2)と;前記反応槽(1)が嵌装されるアルミブロック(B)を有し、このアルミブロック(B)を介して反応槽(1)内の液剤(L)を加熱可能なヒーター装置(3)と;前記アルミブロック(B)の内部に設けられた冷却液(C)或いは圧縮エア(A)を通過させるための貫通孔であって、その出入口に冷却液(C)の循環供給に用いるチラーユニット(5)を接続可能な給排液口(41)(42)、および圧縮エア(A)の供給に用いるエアブロー装置(6)を接続可能な給気口(43)を備えた冷却流路(P)と;前記ヒーター装置(3)の始動・停止、及び冷却液(C)の給排液弁(V1)(V2)と圧縮エア(A)の給排気弁(V3)(V4)の開閉を制御可能な制御装置(7)とを含んで構成される一方、
前記制御装置(7)には、液剤(L)を加熱するときにヒーター装置(3)への始動命令に応じて冷却液(C)の給液弁(V1)を閉じ、アルミブロック(B)の冷却流路(P)内に残った冷却液(C)を開放された排気弁(V4)或いは排液弁(V2)から排出する第一の制御機能と、液剤(L)を冷却するときに温度センサ(2)から送られた液剤(L)の温度が所定の閾値を下回ったところで圧縮エア(A)の給気弁(V3)を閉じ、更に冷却液(C)の給液弁(V1)を開いて冷却流路(P)内を冷却液(C)で満たす第二の制御機能とを備えたことを特徴とする加熱冷却機能に優れた化学反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−166181(P2012−166181A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31571(P2011−31571)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(391026531)轟産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】