説明

化学方法

本発明はアミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた窒素含有前駆体とエピハロヒドリンの反応を伴って窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液を生成する前記エピハロヒドリンポリマーの製造方法であって、その方法がエピハロヒドリンポリマーの生成された溶液から有機不純物を除去するための精製工程を含み、前記精製工程がエピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触させて前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から流体への有機不純物の抽出を行ない、有機不純物に富む流体をエピハロヒドリンポリマーの溶液から取り出し、抽出された不純物を取り出された流体から分離することを含み、前記流体が大気圧かつ室温(約25℃)でガス状である物質を含むことを特徴とする上記製造方法に関する。また、本発明は窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液の精製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機不純物、特にエピハロヒドリンの反応生成物を除去するための精製工程を含む窒素含有前駆体からの窒素含有エピハロヒドリンポリマーの製造方法に関する。更に、本発明は有機不純物からの窒素含有前駆体からつくられた窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素含有前駆体からのエピハロヒドリンポリマーの調製時に、有機副生物が得られるかもしれず、これらの幾つかは頻繁にハロゲン化されている。更に、未反応のエピハロヒドリンがまた最終生成物中に残るかもしれない。典型例は抄紙における湿潤強度増強樹脂として有益であるポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマーの調製である。しかしながら、多くのハロゲン化有機化合物は環境上の観点から、また多くの適用、例えば、抄紙について毒性かつ/又は問題であり、これらの含量を低減することが望ましい。
【0003】
塩素化汚染物をポリアミノアミドエピハロヒドリンポリマーから除去するための種々の精製方法、例えば、イオン交換が米国特許第5516885号に、電気透析が米国特許第5643430号に、限外濾過がWO 00/34358に、活性炭による処理がWO 01/18093に、塩基による処理がWO 99/33901に、また酵素作用がWO 02/50163に開示されていた。米国特許第6576687号は有機塩素化合物の非常に低い含量を有すると主張されているポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂をベースとする重縮合体溶液の製造方法を開示している。しかしながら、これらの調製方法及び精製方法は作業するのに複雑であり、又は不十分に有効である。
【0004】
二酸化炭素で抽出することにより不純物又は残留モノマーをポリマーから除去することが開示されていた(例えば、米国特許第5034132号及び同第6180755号を参照のこと)。また、EP 374879に記載されたように、不純物を二酸化炭素でポリマー分散液から抽出することがまた開示されていた。
【0005】
CN 1350795は液化又は超臨界二酸化炭素で処理することによる植物タンパク質の加水分解液体からのDCP及びMCPの除去を開示している。
【0006】
米国特許第2005/0037932号はペルフルオロポリエーテル潤滑剤を開示しており、その調製は超臨界流体抽出精製工程を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は有機不純物、特にハロゲン含有不純物を除去するのに有効な精製工程を含む窒素含有前駆体からの窒素含有エピハロヒドリンポリマーの製造方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は窒素含有前駆体からつくられた窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液から、有機不純物、特にハロゲン含有不純物を有効に除去するための方法を提供することである。
【0009】
本発明の更に別の目的は所望の性質に重大に悪影響しないで窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液からのエピハロヒドリン又はその反応生成物の有効な除去を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は所望の性質に重大に悪影響しないでポリアミノアミドエピハロヒドリンポリマーからの1,2-ジハロ-2-プロパノールもしくは1,3-ジハロ-2-プロパノール又は3-ハロ-1,2-プロパンジオールの有効な除去を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、これらの目的を達成することが可能とわかった。
【0012】
本発明の一つの側面はアミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた窒素含有前駆体とエピハロヒドリンの反応を伴って窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液を生成する前記エピハロヒドリンポリマーの製造方法であって、その方法が前記エピハロヒドリンポリマーの生成された溶液から有機不純物を除去するための精製工程を含み、前記精製工程が前記エピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触させて前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から流体への有機不純物の抽出を行ない、有機不純物に富む流体を前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から取り出し、抽出された不純物を取り出された流体から分離することを含み、前記流体が大気圧かつ室温(約25℃)でガス状である物質を含むことを特徴とする上記製造方法に関する。
【0013】
本発明の別の側面はアミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた窒素含有前駆体とエピハロヒドリンの反応により生成された窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液の精製方法であって、前記エピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触させて前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から流体への有機不純物の抽出を行なう工程、有機不純物に富む流体を前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から取り出す工程、及び抽出された不純物を取り出された流体から分離する工程を含み、前記流体が大気圧かつ室温(約25℃)でガス状である物質を含むことを特徴とする上記精製方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
超臨界条件又は近超臨界条件下の流体による抽出は、例えば、抄紙における添加剤、特に湿潤強度増強樹脂としての、所望の性質に重大に悪影響しないで比較的簡単な作業で望ましくない有機化合物、特にハロゲン含有化合物をポリマーから有効に除去することがわかった。通常、このような流体はまた抽出された不純物の分離後に再使用し得る。好ましい流体は約20℃から約100℃まで、最も好ましくは約30℃から約60℃までの臨界温度(Tcr)及び約30バールから約500バールまで、最も好ましくは約70バールから約300バールまでの臨界圧力(Pcr)を有する流体である。これらの流体の例として、二酸化炭素、亜酸化窒素、メタン、エタン及びプロパンが挙げられる。二酸化炭素が特に好ましい。何とならば、それが容易に入手でき、無毒性かつ不燃性であるからである。更に、二酸化炭素は処理されたポリマーに悪影響を生じないことがわかった。前記流体は実質的に純粋な形態で使用されてもよく、又は少量の一種以上の補助溶媒、表面活性剤、錯生成剤等と混合されてもよい。
【0015】
本発明の方法における窒素含有エピハロヒドリンポリマーとして、重合中又は既存のポリマーの変性中に、反応体として、エピハロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリンを用いて調製されたものが挙げられる。本発明は水溶性である窒素含有エピハロヒドリンポリマーに特に有利である。
【0016】
窒素含有エピハロヒドリンポリマーとして、アミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物から選ばれた窒素含有前駆体の反応により生成されたものが挙げられる。これらのポリマーはポリアミノアミド-エピハロヒドリンポリマーであることが最も好ましく、これらはまたポリアミドアミン-エピハロヒドリンポリマーと称されることがあり、抄紙における湿潤強度増強樹脂として有益である。使用し得るエピハロヒドリンとして、エピブロモヒドリン及びエピクロロヒドリン、好ましくはエピクロロヒドリンが挙げられる。これらのポリマーは窒素含有前駆体中の塩基性窒素1モル当り約0.5モルから約2モルまでのエピハロヒドリンを使用して製造されることが好適である。
【0017】
前記窒素含有前駆体はポリカルボン酸又はその誘導体、好適にはジカルボン酸もしくはその誘導体と、ポリアミンのポリアミノアミド反応生成物であることが好ましい。カルボン酸の誘導体として、例えば、酸無水物、エステル及びハーフエステルが挙げられる。好適なポリカルボン酸として、飽和又は不飽和脂肪族又は芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらのポリカルボン酸は10個以下の炭素原子を含むことが好ましい。
【0018】
好ましいポリカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられ、これらの中でアジピン酸が特に好ましい。
【0019】
好ましいポリアミンとして、下記の式:
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、R1-R5は水素又は低級アルキル、好ましくはC3までの低級アルキルであり、かつa-dは0から4までの整数を表す)
を有する、ポリアルキレンポリアミン、又はこれらの混合物が挙げられる。好ましいポリアルキレンポリアミンとして、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジプロピレントリアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
前記式(I)のポリアミンはその他のポリアミン又はその他のアミンの混合物と組み合わせ得る。これらのアミンは下記の式II-VII:
【0023】
【化2】

【0024】
(式中、R6-R14は水素又は低級アルキル、好ましくはC3までの低級アルキルを表し、e-lは0から4までの整数を表し、かつmは0から5までの整数を表す)
のいずれかを有することが好ましい。
【0025】
前記ポリカルボン酸及びポリアミンは、例えば、約1:0.5から約1:1.5までのモル比で適用されてもよい。
【0026】
前記窒素含有エピハロヒドリンをベースとするポリマーは水溶液(これは更に水混和性溶媒、例えば、メタノール、エタノール又はジメチルホルムアミドを含んでもよい)中に存在することが好ましい。このポリマー水溶液は窒素含有前駆体の水溶液から調製されることが好ましい。このポリマーの分子量は重要ではなく、例えば、約50000から約1000000まで、又はそれ以上までの範囲内であってもよい。
【0027】
エピハロヒドリンポリマーの調製はあらゆる既知の方法、例えば、米国特許第4450045号、同第3311594号、同第4336835号、同第3891589号、同第2926154号、同第4857586号、同第4975499号、同第5017642号、同第5019606号、同第5093470号及び同第5516885号のいずれか一つに開示された方法により行ない得るが、更に本明細書に記載された超臨界条件又は近超臨界条件下の流体による抽出を含む精製工程を含む。本発明によれば、商業上又はそれ以外に容易に入手し得る窒素含有エピハロヒドリンポリマーをこのような精製工程にかけることがまた可能である。
【0028】
前記エピハロヒドリンポリマーの溶液は水溶液であることが好ましく、ごく少量の水が精製工程で取り出されることがわかった。
【0029】
精製すべき溶液の固形分は取扱上の問題を生じないでできるだけ高いことが好ましく、多くの場合には約35重量%以上程に高くてもよいが、好ましくは約5重量%から約30重量%まで、最も好ましくは約10重量%から約25重量%までである。この溶液の粘度は好ましくは約1mPasから約250mPasまで、最も好ましくは約5mPasから約200mPasまでである。例えば、この粘度は約1mPasから約100mPasまで、又は約5mPasから約60mPasまでであってもよい。
【0030】
本発明はハロゲン含有有機不純物を除去するのに特に有利である。除去し得るハロゲン含有不純物として、エピハロヒドリンそのもの、特にエピクロロヒドリン、及びその反応生成物、例えば、1,2-ジハロ-2-プロパノール及び1,3-ジハロ-2-プロパノール(DXP)並びに3-ハロ-1,2-プロパンジオール(XPD)、特に1,2-ジクロロ-2-プロパノール及び1,3-ジクロロ-2-プロパノール(DCP)並びに3-クロロ-1,2-プロパンジオール(CPD)が挙げられる。本発明による精製により、DXP及びXPDだけでなく、あらゆる残存エピハロヒドリンが除去でき、最終的に破壊し得る。例えば、約0.01重量%以下、更には約0.0001重量%以下の有機塩素の含量を有するポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマーを得ることが可能である。
【0031】
前記抽出は流体が液体状態、超臨界状態又は近超臨界状態にある条件下で起こる。近臨界は温度がTcrよりもわずかに下であり、かつ/又は圧力がPcrよりもわずかに下であることを意味するが、流体の性質は温度及び圧力が夫々Tcr及びPcrを超える場合に実質的に均等である。この温度(K)は好ましくは少なくとも0.9xTcr、最も好ましくは少なくとも0.95xTcrである。前記圧力は好ましくは少なくとも約0.9xPcr、最も好ましくは少なくとも0.95xPcrである。実用的な理由のため、またエピハロヒドリンポリマーの分解を避けるために、約10℃から約200℃まで、最も好ましくは約40℃から約120℃までの温度で作業することが通常好ましい。同じ理由のために、約40バールから約500バールまで、最も好ましくは約75バールから約400バールまでの圧力で作業することが通常好ましい。最適条件は精製されるのがどのエピハロヒドリンポリマーであるのか、また除去するのが最も望ましいのはどの不純物であるのかに応じて変化し得る。例えば、DCPが約30℃から約180℃まで、最も好ましくは約40℃から約100℃までの好ましい温度及び約60バールから約500バールまで、最も好ましくは約75バールから約300バールまでの好ましい圧力でポリアミノアミドエピクロロヒドリンから有効に除去され、一方、CPDが約30℃から約180℃まで、最も好ましくは約50℃から約100℃までの好ましい温度及び約60バールから約500バールまで、最も好ましくは約150バールから約400バールまでの好ましい圧力でポリアミノアミドエピクロロヒドリンから有効に除去されることがわかった。
【0032】
前記抽出は一段階方法であってもよいが、また同じ又は異なる条件で二つ以上の段階で行なうことができ、異なる種類のハロゲン含有不純物を抽出するのに異なる最適条件が適用される場合には後者が重要である。超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触する前記エピハロヒドリンポリマーの溶液についての平均滞留時間は好ましくは約5分から約120分まで、最も好ましくは約15分から約60分までである。
【0033】
抽出による前記精製は回分式、連続的又はこれらの組み合わせで行なわれてもよい。
【0034】
一実施態様において、前記抽出は前記エピハロヒドリンポリマーの溶液を、好ましくは撹拌下で容器中で維持し、それを満足な程度までのハロゲン含有不純物の除去を得るのに充分な時間中に液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体の連続流と接触させることにより行なわれる。この温度及び圧力は全時間中に実質的に一定に留まってもよいが、また段階的又は連続的に変化されてもよい。次いでこのポリマーの精製された溶液は生成物として取り出されることができ、又は更なる抽出工程もしくはあらゆるその他の処理に移し得る。
【0035】
別の実施態様において、前記抽出は夫々の場合に包装して、又は包装しないで、前記エピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下でスルー-フロー(through-flow)容器又はカラム中で前記流体と接触させることにより行なわれる。前記ポリマーの溶液及び流体の両方が、好ましくは向流で、容器又はカラム中を連続的に流れるが、また並流が問題となり得る。適当な場合、精製されたポリマー溶液の一部が循環されてもよい。この温度及び圧力は容器又はカラムの種々の部分中で同じであってもよく、また異なっていてもよい。抽出に普通使用されるあらゆる種類の容器又はカラム、例えば、トレイ型カラム又は、例えば、ガラス、金属材料もしくはセラミック材料からつくられた構造パッキングもしくは非構造パッキングで充填されたカラムが使用し得る。
【0036】
取り出された流体からの抽出された不純物の分離はその温度及び/又は圧力を変えて不純物が沈殿されるように溶解性特性を変化することにより行なわれることが好適である。通常これは圧力をPcrより下のレベルに低下することにより最も容易に行なわれる。必要な場合、抽出された不純物は水又は活性炭による精製により二酸化炭素から除去し得る。この分離後に、前記流体は温度及び圧力を抽出に適した条件に回復した後に再使用し得る。この分離された不純物はあらゆる好適な手段により分解し得る。
【0037】
本発明が以下の実施例に関して更に記載されるが、これらはその範囲を限定することを目的とするものではない。特にことわらない限り、全ての部数及びパーセントは重量部及び重量%を表す。
【実施例】
【0038】
実施例1:20.7重量%の乾燥固形分を有するポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマー(PAAE)の水溶液を図1記載の実験セットアップで超臨界二酸化炭素による回分式抽出により精製した。この精製の前に、DCPの濃度は267μg/gであり、CPDの濃度は289μg/gであった。PAAEの溶液を250mlの抽出容器4中で撹拌下に維持し、温度、圧力及び時間に関して種々の条件下でクーラー1、ポンプ2及び熱交換器3を経て容器から運ばれた超臨界二酸化炭素CO2の連続流に暴露した。セパレーター5中で、圧力を開放し、二酸化炭素からの抽出された成分の沈殿を生じた。この抽出後に、精製されたPAAE溶液中のDCP及びCPDの含量をガスクロマトグラフィーにより測定した。これらの結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例2-4:21.2重量%の乾燥固形分を有するポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマー(PAAE)の水溶液を図2記載の実験セットアップで超臨界二酸化炭素による連続抽出により精製した。この精製の前に、DCPの濃度は269.7μg/gであり、CPDの濃度は308.1μg/gであった。このポリマー溶液Fをポンプ6、及び予熱器7を経て充填されたカラム4に運び、そこでそれをクーラー1、ポンプ2、熱交換器3そして、カラム4の後に、セパレーター5を経て循環している二酸化炭素の向流により接触させた。この精製されたポリマー溶液をカラム4からラフィネート(raffinate)容器Rに運んだ。セパレーター5中で、圧力を開放し、活性炭による精製後に二酸化炭素を循環した。実施例2及び3をポリマー溶液で充填されたカラム4によるバブル抽出として実施し、一方、実施例4をカラム4中のパッキング上で膜のように流れるポリマー溶液による膜抽出として実施した。これらの結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例5:実施例3及び4で得られた処理されたポリマーだけでなく、市販のポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマー溶液Eka WS 320をパイロット抄紙機による抄紙の際の湿潤強度増強剤として試験した。下記の条件を適用した。
【0043】
パルプ: 40重量%のユーカリ、40重量%のカバ、
20重量%の硫酸マツ
紙密度: 70g/m2
ろ水度: 約34°SR
コンシステンシー(チェスト):1.5%
添加レベル: 6、9及び12kg/トン紙
pH(ヘッドボックス): 7.2-7.5
原料温度: 30℃
【0044】
100℃で30分間硬化した後、つくられた異なる紙の湿潤強度を試験し、差が湿潤強度増強剤の間に見られなかった。こうして、ポリアミノアミドエピクロロヒドリンポリマー溶液中のDCP及びCPDの含量が抄紙における湿潤強度増強剤としてのその性質に影響しないで有意に減少し得ることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】回分式抽出に関するフローシートである。
【図2】連続抽出に関するフローシートである。
【符号の説明】
【0046】
1−クーラー
2、6−ポンプ
3−熱交換器
4−抽出容器
5−セパレーター
7−予熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた窒素含有前駆体とエピハロヒドリンの反応を伴って窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液を生成する前記エピハロヒドリンポリマーの製造方法であって、その方法がエピハロヒドリンポリマーの生成された溶液から有機不純物を除去するための精製工程を含み、前記精製工程がエピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触させて前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から流体への有機不純物の抽出を行ない、有機不純物に富む流体をエピハロヒドリンポリマーの溶液から取り出し、抽出された不純物を取り出された流体から分離することを含み、前記流体が大気圧かつ室温(約25℃)でガス状である物質を含むことを特徴とする上記製造方法。
【請求項2】
アミン、ポリ-アミン、ポリアミノアミド、ポリウレタン及びこれらの混合物からなる群から選ばれた窒素含有前駆体とエピハロヒドリンの反応により生成された窒素含有エピハロヒドリンポリマーの溶液の精製方法であって、前記エピハロヒドリンポリマーの溶液を液体条件、超臨界条件又は近超臨界条件下で流体と接触させて前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から流体への有機不純物の抽出を行なう工程、有機不純物に富む流体を前記エピハロヒドリンポリマーの溶液から取り出す工程、及び抽出された不純物を取り出された流体から分離する工程を含み、前記流体が大気圧かつ室温(約25℃)でガス状である物質を含むことを特徴とする上記精製方法。
【請求項3】
前記流体が二酸化炭素である、請求項1から2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
前記エピハロヒドリンポリマーがポリアミノアミド-エピハロヒドリンポリマーである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記有機不純物が有機ハロゲン含有不純物を含む、請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン含有不純物がエピハロヒドリンとその反応生成物の少なくとも一種を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エピハロヒドリンの反応生成物が1,2-ジクロロ-2-プロパノール及び1,3-ジクロロ-2-プロパノール並びに3-クロロ-1,2-プロパンジオールの少なくとも一種を含む、請求項5から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記エピハロヒドリンポリマーの溶液が水溶液である、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
抽出が約10℃から約200℃までの温度で起こる、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
抽出が約40バールから約500バールまでの圧力で起こる、請求項1から9のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−545041(P2008−545041A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519231(P2008−519231)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050188
【国際公開番号】WO2007/004972
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(595024087)アクゾ ノーベル エヌ.ブイ. (38)
【出願人】(507383552)フラウンフォファー−ゲゼルシャフト ツーア フォルデルング デア アンゲヴァンデン フォルシュング エー.ファウ. (3)
【Fターム(参考)】