説明

化粧シート

【課題】化粧シートの汚染防止性能を大幅に向上するために、化粧シートの表面保護層の撥水性を、水を弾き、水滴が化粧シート表面を転がるようになる程までに高め、且つ優れた撥水機能保持性を有する化粧シートを提供する。
【解決手段】少なくとも基材2と硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる表面保護層5とからなる化粧シート1であって、該硬化性樹脂組成物中の、硬化性樹脂を含む樹脂成分(A)と疎水化処理を施したシリカ(B)との質量比[(A)/(B)]が(30/70)〜(70/30)であり、且つ該硬化性樹脂組成物全量中に含フッ素重合体を0.5〜5質量%含むことを特徴とする化粧シート1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水滴を弾く撥水性化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から化粧シートの汚染防止のため、化粧シート表面の防汚性や撥水性を高める提案がなされている。
例えば、特許文献1においては、表面層として、高分子量シリコーンポリマーを化学的に結合してなるシリコーンポリマー導入オレフィン系樹脂を含むオレフィン系樹脂層を有する化粧シートが提案されている。
また、特許文献2は、(メタ)アクリル系樹脂組成物の水性エマルションとイソシアネートの水分散体とを含む水性組成物から形成される透明性表面保護層を有する、優れた耐汚染性を有する化粧シートを提案している。
さらに、特許文献3は、耐汚染性及び撥水性能に優れ、かつ、経時的に撥水性能が低下しない化粧シートを提供すべく、平均分子量100〜3000の単官能シリコーン(メタ)アクリレートを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化して得られた表面保護層を有する化粧シートを提案している。
これらの技術により、化粧シートの汚染を一定程度抑えることには成功したが、さらに、化粧シートの汚染防止性能を大幅に向上することが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−129420号公報
【特許文献2】特開2007−98660号公報
【特許文献3】特開2007−276464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる状況下において、化粧シートの汚染防止性能を大幅に向上するために、化粧シートの表面保護層の撥水性を、水を弾き、水滴が化粧シート表面を転がるようになる程までに高め、且つ優れた撥水機能保持性をも得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、化粧シートの表面保護層に特定のシリカを特定量配合した硬化性樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも基材と硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる表面保護層とからなる化粧シートであって、該硬化性樹脂組成物中の、硬化性樹脂を含む樹脂成分(A)と疎水化処理を施したシリカ(B)との質量比[(A)/(B)]が(30/70)〜(70/30)であり、且つ該硬化性樹脂組成物全量中に含フッ素重合体を0.5〜5質量%含むことを特徴とする化粧シートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、化粧シート表面が水を弾き、水滴が化粧シート表面を転がるようになることにより、化粧シート表面への水系物質の付着を防止し、さらに優れた撥水機能保持性をも得られるので、汚染防止性能を大幅に向上し得る化粧シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の化粧シートの断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化粧シートは、少なくとも基材と硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる表面保護層とからなる化粧シートであって、該硬化性樹脂組成物中の、硬化性樹脂を含む樹脂成分(A)と疎水化処理を施したシリカ(B)との質量比[(A)/(B)]が(30/70)〜(70/30)であり、且つ該硬化性樹脂組成物全量中に含フッ素重合体を0.5〜5質量%含むことを特徴とする。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に、所望により配設される着色層3、所望により配設されるプライマー層4、硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層5がこの順に積層された構成を有する。
【0010】
本発明の化粧シート1に用いられる基材2は、通常化粧シートとして用いられるものであれば、特に限定されず、各種のプラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、各種繊維の織布や不織布、紙類、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用しても良いが、プラスチックフィルム同士の複合体、プラスチックフィルムと金属シートとの複合体、プラスチックフィルムと紙類との複合体等、任意の組み合わせによる積層体であっても良い。
【0011】
基材として用いられる各種のプラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0012】
上記した中で、基材としては、コスト、耐熱性、基板との密着性、電子線照射適性、耐久性等の観点から、ポリエステル樹脂からなるプラスチックフィルムが好ましく、表面保護層5の伸びを抑制することができ、表面保護層5のクラック発生を抑制する観点から2軸延伸ポリエステルフィルムが更に好ましい。
ここで用いられるポリエステル樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエステル樹脂は各種ホモポリマーの他、樹脂の柔軟化等の目的で各種の共重合成分又は改質成分を添加した共重合ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が使用できる。
本発明において、基材2として好ましく用いられる2軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム化され、2軸延伸することで調製される。
【0013】
本発明において、基材2の厚さについては特に制限はないが、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは25〜100μmの範囲である。厚さが上記範囲内であれば、化粧シートとして十分な強度を確保することができ、表面保護層5にかかる張力を十分に緩和することができる。
また、基材2に好ましく用いられる2軸延伸されたポリエステル樹脂フィルムは、JIS C2151に準拠して測定した引張強度が150MPa以上であることが好ましい。
引張強度が150MPa以上であると、高剛性であるため、曲げ加工部において発生する局部的な伸びが抑制でき、その上層の表面保護層の伸びも抑制することができる。
【0014】
また、基材2は、所望により、着色剤を含有していても良い。これにより後述する着色層を配設しないようにすることができる。
基材2は、他の層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法(コロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等)や凹凸化法(サンドブラスト法、溶剤処理法等)などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
【0015】
本発明における表面保護層5は、硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるもので構成される。この硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含む樹脂成分(A)と疎水化処理を施したシリカ(以下、「疎水化シリカ」と称することがある。)(B)とを含み、質量比[(A)/(B)]が(30/70)〜(70/30)であり、好ましくは(35/65)〜(70/30)、より好ましくは(35/65)〜(65/35)である。質量比[(A)/(B)]が(30/70)以上であれば[即ち、樹脂成分(A)が30以上であれば]疎水化シリカ(B)が化粧シート表面から脱落しにくく撥水機能保持性が良好であり、樹脂成分(A)が35以上であれば更に脱落しにくく撥水機能保持性に優れるので好ましい。また、質量比[(A)/(B)]が(70/30)以下であれば[即ち、疎水化シリカ(B)が30以上であれば]水を弾き、水滴が化粧シート表面を転がるようになることができ、疎水化シリカ(B)が35以上であれば、水滴が化粧シート表面を更に転がるようになるので好ましい。
【0016】
疎水化シリカ(B)に用いられるシリカは、湿式シリカ、乾式シリカのいずれでも良い。湿式シリカとしては、例えば、株式会社トクヤマ製、商品名「トクシール」シリーズ、東ソウ・シリカ株式会社製、商品名「ニプシル」シリーズ、エボニック・インダストリーズ社製、商品名「カープレックス」シリーズ、高純度シリコンアルコキシドから合成された、粒径(0.2〜12.0μm)の揃った真球状シリカ微粒子である、宇部日東化成株式会社製、商品名「ハイプレシカ」シリーズ等が挙げられ、乾式シリカとしては、例えば、株式会社トクヤマ製、商品名「エクセリカ」シリーズ等が挙げられる。
粒度分布の広いシリカは、疎水化処理前又は処理後に、分級等により粒径を揃えることが好ましい。
【0017】
本発明に係る疎水化シリカ(B)は、上述のシリカを公知の疎水化処理方法により処理することにより得られる。疎水化処理方法には種々の方法が知られている。
例えば、特開昭58−60754号、特開昭59−201063号、特開平2−287459号等にはシリコーンオイル系処理剤によってシリカ粉末を疎水化処理すること、あるいはアルキルシラザン系処理剤、トリメチルシリル化剤又はアルコキシシランで処理した後に上述のシリコーンオイル系処理剤で処理してシリカ粉末を疎水化処理することが記載されている。
また、特開2002−256170、特開2004−168559等には、シリカ粉末をシリコーンオイル系処理剤で処理した後にトリメチルシリル化剤又はアルキルシラザン系処理剤で処理する二段処理によって疎水性を高めたシリカ粉末が記載されている。
そして、特開2003−149855、特開2003−261321等には、アルコキシシランによってシリカ表面を疎水化する処理方法やアルコキシシランにより処理した後に更にシリコーンオイル系処理剤、又はシリコーンオイル系処理剤とアルコキシシランの併用で処理する処理方法が記載されている。
さらに、特開2003−171117、特開2003−171118等には、シリカの疎水化処理剤として、1,3−ジメチル−1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3−ジヒドロキシジシロキサン等のダイマージオールシロキサン、及び/又はトリメチルシラノールもしくは環状シロキサン(ヘキサメチルシクロトリシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサン等)を用いた処理方法が記載されている。
【0018】
シリコーンオイル系処理剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルといったストレートシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、片末端反応性変性シリコーンオイル、異種官能基変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、親水性特殊変性シリコーンオイル、高級アルコキシ変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイルを用いることができる。
トリメチルシリル化剤としては、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、アミノメチルトリメチルシラン、ジメチルアミノトリメチルシラン、ジエチルアミノトリメチルシランが挙げられ、アルキルシラザン系処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、ビニルシラザン等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシランが挙げられる。
【0019】
本発明に係る疎水化シリカ(B)に施される疎水化処理方法として、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコアルミニウム系カップリング剤等の各種カップリング剤、りん酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス、ステアリン酸等による処理も包含される。
しかし、シランカップリング剤等のように疎水化処理後に樹脂との反応性を有するものは、反応性を有する箇所が目的の疎水性を有さず、シリカ内で疎水処理された箇所の割合が低下することにより、シート全体での疎水効果を低下させるため、疎水化処理後に樹脂との反応性を有しない疎水化剤を用いることが好ましい。
【0020】
上述の疎水化処理方法により得られた疎水化シリカ(B)の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。平均粒径は、硬化性樹脂組成物の塗工量(g/m2)との関係で、表面保護層の表面にシリカが現出し、凹凸構造を形成するように選択される。この観点から疎水化シリカ(B)の平均粒径は、2〜15μmであることがより好ましい。ここで、平均粒径とは、一次粒子が二次凝集構造を有する場合は、平均二次粒子径(平均凝集粒径)をいい、一次粒子が二次凝集構造を有しない場合は、平均一次粒子径をいう。
【0021】
本発明に係る硬化性樹脂組成物に用いられる含フッ素重合体は、撥水性を向上し得る含フッ素重合体であれば良く、特に制限されないが、含フッ素(メタ)アクリレート重合体及びフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体であることが好ましい。
この含フッ素重合体は、硬化性樹脂組成物全量中に0.5〜5質量%含まれるものである。0.5質量%未満であると、表面保護層5の撥水性向上効果が低下し、5質量%を超えると、配合量の増加に比べて撥水性効果の向上が鈍化し、経済性の点で不利となる。
【0022】
上記の含フッ素(メタ)アクリレート重合体としては、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、これらと共重合可能な他の単量体とを乳化重合して得られる共重合体であることが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は双方をいう。
【0023】
上記のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、フルオロアルキル基の炭素数が3〜21であることが好ましく、フルオロアルキル基の炭素数が6〜18であることがより好ましい。このようなフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記の一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Rf1−XOCOCR1=CH2 ・・・(1)
〔式中、Rf1 はフルオロアルキル基である。R1 は水素原子又はメチル基である。Xは炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、一般式(2):−SO2NR3−R4− ・・・(2)
(式中、R3 は水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、R4 は炭素数1〜10、好ましくは1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である)で表される基、及び一般式(3):−CH2CH(OR5)CH2− ・・・(3)
(式中、R5 は水素原子又は炭素数1〜10のアシル基である)からなる群から選ばれる二価の有機基である。〕
【0024】
前記Rf1 で示されるフルオロアルキル基としては、例えば、CF3(CF24− 、CF3(CF25− 、CF3(CF26− 、CF3(CF27− 、CF3(CF28− 、CF3(CF29− 、(CF32CFCF2− 、(CF32CF(CF22− 、(CF32CF(CF23− 、(CF32CF(CF25− 、(CF32CF(CF26− 、(CF32CF(CF28− 、(CF32CF(CF210− 、H(CF210− 及び CF2Cl(CF210− が挙げられる。
前記Xで示される二価の有機基のうちのアルキレン基及びR4 で示されるアルキレン基としては、具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。
前記R3 で示されるアルキル基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
前記一般式(3)中のR5 は、具体的にはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基等が挙げられる。
【0025】
上記の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記のような化合物を挙げることができる。
CF3(CF24CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF27(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF27(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF26CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF26CH2OCOCH=CH2
(CF32CF(CF24(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF27SO2N(C37)(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF27(CH24OCOCH=CH2
CF3(CF27SO2N(CH3)(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF27SO2N(C25)(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF27CONH(CH22OCOCH=CH2
(CF32CF(CF26(CH23OCOCH=CH2
(CF32CF(CF26CH2CH(OCOCH3)OCOC(CH3)=CH2
(CF32CF(CF26CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
CF3(CF27(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF27(CH22OCOCH=CH2
(CF32CF(CH28(CH22OCOC(CH3)=CH2
(CF32CF(CH28(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF29(CH22OCOCH=CH2
CF3(CF29(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF29CONH(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3CF(CF2Cl)(CF27CONH(CH22OCOCH=CH2
(CF32CF(CF)8CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF32CF(CF)8CH2CH(OCOCH3)CH2OCOCH=CH2
H(CF210CH2OCOCH=CH2
CF2Cl(CF210CH2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF25(CH22O(CH22OCOCH=CH2
CF3CF(CF2Cl)(CF27CONH(CH22OCOC(CH3)=CH2
CF3CF2CH2CH(OH)CH2OCH2CH2OCOCH=CH2
【0026】
上記の一般式(1)で表されるフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと共重合可能な他の単量体としては、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アルキレンジオール(メタ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチルロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸アルキルエステル、フタル酸アルキルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン、シクロへキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、無水マレイン酸、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等を挙げることができる。
【0027】
本発明に係る含フッ素(メタ)アクリレート重合体において、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、これらと共重合可能な他の単量体の量比は、共重合に用いる全単量体の中で、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートの合計が40質量%以上であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、これらと共重合可能な他の単量体とは、通常、乳化重合により、共重合体である含フッ素(メタ)アクリレート重合体が得られる。
【0028】
本発明に係る含フッ素(メタ)アクリレート重合体として好適な共重合体は、常法に従った乳化重合、すなわち、前記フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートと、これらと共重合可能な他の単量体とを、界面活性剤を用いて水性媒体中に乳化させ(好ましくは、撹拌しつつ超音波を伝達することにより単量体混合物を乳化分散させ)、重合開始剤を添加して撹拌しながら重合させる方法により得ることができる。前記界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性界面活性剤として公知のものを特に制限なく使用することができ、特に陽イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との併用が好ましい。前記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を使用することができ、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物;アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等のアゾ系化合物;並びに(NH4228 、K228 等の過硫酸系化合物が挙げられる。重合時の反応温度は、通常、10〜150℃でよく、好ましくは40〜100℃である。反応時間は、製造規模、界面活性剤及び重合開始剤の種類に応じて適宜決めればよい。
乳化重合する際の媒体に特に制限はないが、水に水溶性有機溶媒を添加した水性溶媒を用いることが好ましい。水に水溶性有機溶媒を添加した水性溶媒を用いると、単量体や共重合体が凝集しにくく、安定した乳化物を得ることができる。
【0029】
本発明に係る含フッ素重合体として好適なフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体は、例えば、下記一般式(4)で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物を、過剰の水中、又は含フッ素系溶媒中で加水分解・縮合反応することにより得られる。
【化1】

[式中、Rf2は、
【0030】
【化2】

(pは1〜20の整数、mは1以上、好ましくは1〜20、特に1〜10の整数)で表されるエーテル結合を1個以上含んでいても良いポリフルオロアルキル基を示し、X1は−CH2−、−CH2O−、−NR8−、−COO−、−CONR8−、−S−、−SO3−又はSO2NR8−(R8 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基)の1種又は2種以上の結合基を示し、R6 は炭素数1〜4のアルキル基、R7 は炭素数1〜4のアルキル基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数、cは0又は1である。]
【0031】
上記一般式(4)のRf2 において、Cp2p+1としては、CF3−、C25−、C37−、C49−、C613−、C817−、C1021−、C1225−、C1429−、C1633−、C1837−、C2041−等が挙げられる。
【0032】
上記一般式(4)で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物としては、下記のものを例示することができる。
【0033】
Rf2(CH22Si(OCH33
Rf2(CH22SiCH3(OCH32
Rf2(CH22Si(CH32(OCH3)、
Rf2(CH22Si(OCH2CH33
Rf2(CH22SiCH3(OCH2CH32
Rf2(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
Rf2(CH23Si(OCH33
Rf2(CH23SiCH3(OCH32
Rf2(CH23Si(CH32(OCH3)、
Rf2(CH23Si(OCH2CH33
Rf2(CH23SiCH3(OCH2CH32
Rf2(CH23Si(CH32(OCH2CH3)、
Rf2NH(CH22Si(OCH33
Rf2NH(CH22SiCH3(OCH32
Rf2NH(CH22Si(CH32(OCH3)、
Rf2NH(CH22Si(OCH2CH33
Rf2NH(CH22SiCH3(OCH2CH32
Rf2NH(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
Rf2NH(CH22NH(CH22Si(OCH33
Rf2NH(CH22NH(CH22SiCH3(OCH32
Rf2NH(CH22NH(CH22Si(CH32(OCH3)、
Rf2NH(CH22NH(CH22Si(OCH2CH33
Rf2NH(CH22NH(CH22SiCH3(OCH2CH32
Rf2NH(CH22NH(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
Rf2CONH(CH22Si(OCH33
Rf2CONH(CH22SiCH3(OCH32
Rf2CONH(CH22Si(CH32(OCH3)、
Rf2CONH(CH22Si(OCH2CH33
Rf2CONH(CH22SiCH3(OCH2CH32
Rf2CONH(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
Rf2SO2NH(CH22Si(OCH33
Rf2SO2NH(CH22SiCH3(OCH32
Rf2SO2NH(CH22Si(CH32(OCH3)、
Rf2SO2NH(CH22Si(OCH2CH33
Rf2SO2NH(CH22SiCH3(OCH2CH32
Rf2SO2NH(CH22Si(CH32(OCH2CH3
【0034】
好ましいものとして下記のものが挙げられる。
CF3(CH22Si(OCH33
CF3(CH22SiCH3(OCH32
CF3(CH22Si(CH32(OCH3)、
CF3(CH22Si(OCH2CH33
CF3(CH22SiCH3(OCH2CH32
CF3(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
817(CH22Si(OCH33
817(CH22SiCH3(OCH32
817(CH22Si(CH32(OCH3)、
817(CH22Si(OCH2CH33
817(CH22SiCH3(OCH2CH32
817(CH22Si(CH32(OCH2CH3)、
37(CF(CF3)CF2O)3CF(CF3)CH2O(CH23Si(OCH33
これらのアルコキシシラン化合物は1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0035】
上記のフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体は、上記一般式(4)で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物と下記一般式(5)で示されるシラン化合物との混合物を、過剰の水中、又は含フッ素系溶媒中で加水分解・縮合反応することにより得られるものあっても良い。
9dSi(OR10 4-d ・・・(5)
(式中、R9 は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基又はアルケニル基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、メルカプト基、アミノ基もしくはシアノ基置換アルキル基、アリール基又はアルケニル基を示す。R10 は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシアルキル基又はアシル基を示す。dは0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数である。)
【0036】
ここで、R9 は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、フェニル基、フェネチル基等のアリール基、ビニル基、アリル基、9−デセニル基、p−ビニルベンジル基等のアルケニル基、3−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、9,10−エポキシデシル基等のエポキシ基含有有機基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−アクリロイルオキシプロピル基等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有有機基、γ−メルカプトプロピル基、p−メルカプトメチルフェニルエチル基等のメルカプト基含有有機基、γ−アミノプロピル基、(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基等のアミノ基含有有機基、β−シアノエチル基等のシアノ基含有有機基等を例示することができる。
また、R10 は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、フェニル基、イソプロペニル基、メトキシエチル基、アセチル基等が例示される。
【0037】
上記一般式(5)で示されるシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシ又はトリアシルオキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロペノキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジイソプロペノキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−シアノエチルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン又はジアシルオキシシラン類;メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート及びt−ブチルシリケート等のテトラアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0038】
上記のフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体を電離放射線硬化性樹脂組成物に配合する場合は、フッ化アルキル基含有アルコキシシラン−(メタ)アクリロイル基含有シラン共重合体であることが好ましい。すなわち、上記一般式(5)で示されるシラン化合物として(メタ)アクリロイル基含有シラン化合物が好ましく、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。なお、これらのシラン化合物を部分加水分解したものを使用してもよい。
更にこれらのシラン化合物或いは部分加水分解物は1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0039】
本発明に係る含フッ素重合体として好適なフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体を、上記一般式(4)で示されるフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物[以下、成分(M)と略称することがある。]と上記一般式(5)で示されるシラン化合物[以下、成分(N)と略称することがある。]との混合物により得る場合の配合比率は、成分(M)100質量部に対し、成分(N)0〜1,000質量部であることが好ましい。より好ましくは、成分(N)が0〜300質量部である。なお、成分(N)を配合する場合、その効果を有効に発揮させるためには、5質量部以上配合することが好ましい。
【0040】
上記のフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物単独、又はフッ化アルキル基含有アルコキシシラン化合物とシラン化合物との混合物を、過剰の水中、又は含フッ素系溶媒中で加水分解・縮合反応する場合の条件(溶媒、触媒、温度、時間等)の詳細は、例えば、特開2002−53805、特開2007−9216に記載されている。
【0041】
本発明における硬化性樹脂組成物とは、電離放射線硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物等が挙げられるが、常温で架橋硬化できる点から電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましい。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋硬化する樹脂組成物を指す。
【0042】
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートが更に好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、シリコンジアクリレート、シリコンヘキサアクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0043】
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、単官能性(メタ)アクリレートは、本発明に係る硬化性樹脂に含まれる。
【0044】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
【0045】
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
【0046】
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、架橋硬化の制御がし易く安定な硬化特性が得られるからである。
【0047】
本発明に係る硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂であっても良い。この熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型樹脂又は単独硬化型樹脂のいずれでも良く、具体的にはフェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等があり、これらに必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤、体質顔料等を添加したものが用いられる。上記硬化剤は、通常イソシアネートが不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル系樹脂等によく使用される。又、上記イソシアネートとしては、2価以上の脂肪族イソシアネート又は芳香族イソシアネートを使用することが出来るが、熱変色防止、耐候性等の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。
【0048】
本発明に係る硬化性樹脂組成物の樹脂成分(A)は硬化性樹脂のみからなるものであっても良いが、以上述べた硬化性樹脂以外に、各種熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いても良い。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でも良いし、それぞれの樹脂を混合して用いても良い。
架橋硬化する観点から、本発明に係る硬化性樹脂組成物の樹脂成分(A)中、質量比(硬化性樹脂/熱可塑性樹脂)は、(50/50)〜(100/0)であることが好ましい。
【0049】
また本発明における硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
【0050】
本発明においては、前記の硬化性樹脂、所望により加えられる熱可塑性樹脂及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜10μmになるように、用いる疎水化シリカの種類や平均粒径に応じて適宜決定され、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。塗工液の塗工量としては、通常、1〜20g/m2である。
【0051】
硬化性樹脂組成物として、電子線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、上述のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGyの範囲で選定される。
【0052】
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
【0053】
本発明の化粧シートは、所望により、基材2の上に、化粧シートの意匠性を高めるために着色層3を設けても良い。着色層3は、絵柄模様層及び/又は隠蔽層からなる。
絵柄模様層の絵柄の種類等は特に制限はない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。隠蔽層は全面ベタ層である。
絵柄模様層及び隠蔽層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着剤樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法や塗工法等により形成すれば良い。
【0054】
結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
着色剤としては、各種無機顔料、各種有機顔料(染料も含む)、金属顔料、真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
また、溶剤(又は分散媒)としては、石油系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、塩素系有機溶剤等が挙げられる。
【0055】
絵柄模様層や隠蔽層の形成に用いる印刷法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられ、コーティング法としては、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が挙げられる。
絵柄模様層や隠蔽層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚で0.1〜10μm程度である。
【0056】
本発明の化粧シートは、基材2と表面保護層5との接着性を高めるため、又は基材2と所望により設けられる着色層3との接着性を高めるため、所望により、プライマー層4を設けても良い。
プライマー層4の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、エステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン−アクリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができ、これらの樹脂は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。プライマー層4の塗工方法としては、上記の各種コーティング法や各種印刷法が挙げられる。
プライマー層4の厚さは0.5〜20μmの範囲であることが好ましい。
【0057】
本発明の化粧シートは、化粧シートとその被着体との良好な接着を確保するため、表面保護層5の反対側の基材2の表面(即ち、基材2の裏面)に、所望により、接着剤層を積層することができる。
接着剤層に用いる材料としては特に制限はなく、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。具体的にはポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常、乾燥後の厚さが1〜100μmの範囲である。
【0058】
本発明の化粧シートは、被着体である木質系基板に貼着して化粧板として使用され、鋼板に貼着して化粧鋼板として使用される。
木質系基板としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)等の木質系基材やフラッシュ構造からなる基材を挙げることができる。木質系基板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜5mm程度である。
また、被着体となる鋼板としては、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛メッキ処理や電気亜鉛メッキ処理等の表面処理が施されていても良い。また、被着体の形状は特に限定されず、例えば、平板、曲面板、多角柱等の形状を任意に採用できる。鋼板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜1mm程度である。なお、被着体である鋼板は隠蔽性を付与するために、鋼板に直接着色してコーティング層を設けても良い。
【0059】
本発明の化粧シート1を用いた化粧板は、厨房の壁材、浴室の壁材、ユニットバス壁材、ユニットバス内装材、ドア材、AV機器、エアコンカバー等に用いることができるが、特に、水回りの濡れや湿気に対する耐性が要求される厨房の壁材、浴室の壁材、ユニットバス壁材、ユニットバス内装材等として好適に用いられる。
本発明の化粧シートを貼付した化粧鋼板は、同様に、水回りの濡れや湿気に対する耐性が要求され、且つ汚れ易い、キッチンセット材、厨房の壁材、浴室の壁材、ユニットバス壁材、ユニットバス内装材等に好適に用いられる。その他、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材等にも使用できる。また、被着材である木質系基板や鋼板を用いずに、化粧シート自体を壁材、建材部材に対するラミネート材、ラッピング材等として使用することもできる。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)接触角
接触角測定機(協和界面科学製 接触角計CA−X型)を用いて測定したJIS R 3257:1999で規定される接触角(測定水温25℃)を測定した。
(2)水滴挙動評価
表面に水滴を滴下したときの挙動を下記基準で4段階評価した。評価点が大きい程、良好である。
◎: 化粧シートを5°に傾けた時に、化粧シート表面上を水滴が転がり落ちた。
○: 化粧シートを30°に傾けた時に、化粧シート表面上を水滴が転がり落ちた。
△: 化粧シートを30°に傾けた時に、化粧シート表面上を水滴が転がらなかったが、化粧シート表面を伝って水滴がゆっくりと滑り落ちた。
×: 化粧シートを30°に傾けた時に、化粧シート表面上を水滴が転がらず、ゆっくりと滑り落ちもしなかった。
(3)撥水機能保持性
化粧シートにコインスクラッチ(500g荷重1往復)した後、又は指の掌側で擦った後、化粧シートの表面に水滴を滴下し、外観変化と水滴の挙動を評価すると共に、接触角の変化の有無を評価した。
◎:コインスクラッチ(500g荷重1往復)した後の外観変化及び水滴の挙動の変化がないか又は軽微であり、接触角の変化もないか又はわずかであった。
○:指の掌側で擦った後の外観変化及び水滴の挙動の変化がないか又は軽微であり、接触角の変化も小さかった。
×:指の掌側で擦った後の外観変化及び水滴の挙動の変化が大きく認められ、接触角の変化も大きかった。
【0061】
合成例1
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた0.5リットルフラスコに、
817(CH22Si(OCH33
で示されるヘプタデカフロロオクチルエチルトリメトキシシラン50g(0.088モル)、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン41.2g(0.176モル)、m−キシレンヘキサフロライド(MXHF)30g及びペルフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン(PBTF)70gを仕込み、撹拌しているところに、0.25規定の酢酸水溶液7.1gを仕込んだ滴下ロートにより5分間で滴下した。そのまま3時間室温下に反応させ、引き続き80℃で2時間反応させた。反応後、反応液は2層分離していた。これを分液し、上層をボウ硝により乾燥させた。これを濾過し、減圧下MXHF、PBTFを揮発させ、透明液状樹脂67gを得た。このもののGPCによる分子量は約2,200であった。また、屈折率は1.3733であった。
【0062】
製造例1
宇部日東化成株式会社製、商品名「ハイプレシカTS」を平均粒径3μmになるように分級して得られたシリカを150℃にて3時間乾燥処して、吸着水分量を0.23質量%に調節した。この調節後のシリカ微粉体200gを振動流動層(中央化工機株式会社製振動流動相装置)に仕込み、水分量0.38質量%に除湿された空気によって、振動流動させながらn−オクチルトリエトキシシラン12gを噴霧した後、更にジメチルシリコーンオイル15gを噴霧し30分間流動混合した。その後、速やかに、温度25℃、湿度90%に保持された恒温恒湿槽中に入れ、72時間保持して疎水化シリカを製造した。
【0063】
製造例2
3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレート60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部とから構成される硬化性樹脂からなる樹脂成分(A)60質量%、及び製造例1で得られた平均粒径3μmの疎水化シリカ40質量%からなる混合物に、合成例1で得られた含フッ素重合体を樹脂組成物全量中1質量%になるように加えて電子線硬化性樹脂組成物を製造した。
【0064】
実施例1
基材2として、厚さ50μmの2軸延伸透明PETフィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4300」)を用い、その表面に、ウレタンをバインダーとし、酸化チタン、キナクリドンレッド、及びイソインドリノンイエローを主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、隠蔽層と抽象柄模様の絵柄模様層とをその順にグラビア印刷して着色層3を形成した。その着色層3の上に、ウレタン−アクリル共重合体樹脂(共重合比5:5)をバインダーとするインキ組成物を用いて、塗工量2g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施してプライマー層4とした。プライマー層4の厚さは2μmであった。
次に、プライマー層4の上に、製造例2で得られた電子線硬化性樹脂組成物をグラビアダイレクトコータ法により2g/m2塗工した。塗工後、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて、表面保護層5とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シート1を得た。なお、表面保護層5の厚さは3.0μmであった。
得られた化粧シート1を上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
【0065】
実施例2〜4及び比較例1〜5
第1表に示すように硬化性樹脂と疎水化シリカとの質量比及び硬化性樹脂組成物の塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜2の化粧シート1を得た。
また、第1表に示すように、疎水化シリカを未処理シリカに変更し、硬化性樹脂と未処理シリカとの質量比及び硬化性樹脂組成物の塗工量を変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3〜5の化粧シート1を得た。なお、未処理シリカとして、宇部日東化成株式会社製、商品名「ハイプレシカTS」を平均粒径3μmになるように分級して得られたシリカを用いた。
得られた化粧シート1を上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
本発明の実施例1〜4の化粧シートは、比較例1〜5の化粧シートと比較して、水を弾き、水滴が化粧シート表面を転がるようになったばかりでなく、優れた撥水機能保持性をも得られたので、汚染防止性能を大幅に向上し得ることとなった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の化粧シートは、化粧板として、化粧鋼板として、又は化粧シート自体として、キッチンセット材、厨房の壁材、浴室の壁材、ユニットバス壁材、ユニットバス内装材、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材、AV機器、エアコンカバー、建材部材に対するラミネート材、ラッピング材等に用いることができるが、特に、水回りの濡れや湿気に対する耐性が要求される厨房の壁材、浴室の壁材、ユニットバス壁材、ユニットバス内装材等として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0069】
1.化粧シート
2.基材
3.着色層
4.プライマー層
5.表面保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材と硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる表面保護層とからなる化粧シートであって、該硬化性樹脂組成物中の、硬化性樹脂を含む樹脂成分(A)と疎水化処理を施したシリカ(B)との質量比[(A)/(B)]が(30/70)〜(70/30)であり、且つ該硬化性樹脂組成物全量中に含フッ素重合体を0.5〜5質量%含むことを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
疎水性処理を施したシリカ(B)の粒子径が、1〜20μmである請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
含フッ素重合体が、含フッ素(メタ)アクリレート重合体及びフッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体から選ばれる少なくとも一種の重合体である請求項1又は2に記載の化粧シート。
【請求項4】
フッ化アルキル基含有アルコキシシラン重合体が、フッ化アルキル基含有アルコキシシラン−(メタ)アクリロイル基含有シラン共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
【請求項5】
硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。

【図1】
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【公開番号】特開2011−213002(P2011−213002A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84291(P2010−84291)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】