説明

化粧剤

【化1】


本発明は、a)アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、式(A2−I)で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシド、および式(A2−II)で示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン[式A2−Iおよび式A2−II中、Rは、HまたはCHを表し、RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、nは、1〜20の整数を表す]から選択される少なくとも1種の両性モノマーA2から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、およびb)コポリマーAと異なる、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、およびc)式(C1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(C2)で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、RおよびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す〔式中、Aは、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、Rは、(C〜C30)アルキル基を表す〕]から形成させた、少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーCを、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤、特にゲルまたはクリーム形態のスタイリング剤、および上記の剤の毛髪を一時的に整形するための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の組合せのポリマーを含有する化粧剤、および、特にケラチン性繊維を一時的に整形するための、上記の剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性繊維は、原則として、全ての動物の毛、例えば、ウール、馬毛、アンゴラ毛、毛皮、羽毛およびそれらから製造した製品または繊維製品を含むと理解される。しかしながら、ケラチン性繊維は、好ましくは、人毛である。
【0003】
多種多様の化粧剤におけるポリマーの使用は広く普及している。それらは、皮膚を処理するための剤および毛髪を処理するための剤、使用直後に洗い流されるまたは再び取り除かれる剤(いわゆるリンスオフ製品)、ならびに皮膚または毛髪上に残る剤(いわゆるリーブオン剤)において、使用される。ここで、ポリマーは多種多様の理由で使用され、それぞれの場合に、ポリマーの特定の特性が利用される。皮膚を処理するための剤において、シャンプー、ヘアリンスおよびヘアトリートメントにおいて、ポリマーの増粘特性またはケア特性に、主な関心が持たれることが多い。これらの特性に加えて、特に、フィルム形成効果および/または毛髪セット効果が、ケラチン性繊維を一時的に整形するための剤(以下、スタイリング剤とも称される)において求められる。ポリマーは、他の活性成分および原料が皮膚または毛髪上に析出および固着することを改善するため、または、それを全てにおいて可能にするための補助手段にもなることが多い。例えば、適当なポリマーをヘアカラー剤に添加することにより、摩擦堅牢度および被膜の安定性が増大し得る。
【0004】
化粧剤は、通常、極めて独特の効果を達成するために具体的に目的に適合させた、個々のポリマーを含有する。種々の効果が達成される場合、いくつかのポリマーを添加する必要がある。しかしながら、あまりにも多くの異なるポリマーを使用する場合、数多くの欠点を伴い得る。例えば、ポリマーが互いに、または、ポリマーが剤の他の成分と反応するために、例えば、沈殿または分解が製剤中に生じ得る。ある種のポリマーは、皮膚上に、特に毛髪上に付着する傾向もあるため、それらはもはや通常の洗浄では完全に除去されず、ポリマーの望ましくない蓄積が生じ、そのため、最終的には毛髪または皮膚上に負荷がかかる。
【0005】
したがって、ポリマーに対する、または、できるだけ多くの所望の特性を同時に有する数種のポリマーの適当な組合せに対する要求が、常に存在する。
【0006】
例えば、スタイリング剤の場合、使用するポリマーは、できる限り最も強固な保持をそれによって処理した毛髪に付与することが必要とされる。しかしながら、高い保持に加えて、スタイリング剤は多くの他の要求も満たさねばならない。これらは毛髪に関与する特性、個別の製剤に関する特性(例えば、フォーム、ゲルまたはエアゾールスプレーの特性)、およびスタイリング剤のハンドリングに影響する特性に大別してよく、毛髪に関与する特性が重視される。特に、耐湿性、低粘着性およびバランスのよいコンディショニング効果が挙げられ得る。さらに、スタイリング剤は、可能ならば、毛髪の全てのタイプに、全般的に使用可能であるべきである。スタイリング剤がゲルまたはペーストである場合、ポリマーは、増粘特性も有するべきである。
【0007】
国際公開第2008/052886号パンフレットから、特定の双性イオン性ポリマーとフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーの組合せが、自己増粘特性を有し、個々のポリマーのフィルム形成特性および/または毛髪セット特性が増大したことが知られていた。しかしながら、それにもかかわらず、増粘する際に、特に増粘させた剤(すなわちこのポリマーの組合せを使用する高粘性の化粧剤)を提供する際において、問題が生じる。特に増粘させた化粧剤の貯蔵安定性、および、このポリマーの組合せを含有する増粘させた透明の剤を提供することは、改良を必要とする分野である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2008/052886号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、さらなる活性成分を添加しなくても、化粧剤に最適化された特性を付与する、適当なポリマーの組合せを提供することであった。特に、化粧剤は、上記のポリマーの組合せでいくぶん増粘するため、良好なフィルム形成特性および/または毛髪セット特性を有すると同時に、貯蔵安定である。これらのポリマーを含有するスタイリング剤は、柔軟性なしに有することのない極めて強固な保持および良好な耐湿性(特に汗および水に対する耐性)を有すべきである。特に、このポリマーの組合せを使用する、安定な粘性化粧品組成物および安定な透明化粧品組成物の製造が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、上記の課題は、特定の両性ポリマーと特定の両親媒性のアニオン性ポリマーとの組合せによって達成できることが明らかとなった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明の第1の主題は、
a)・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および
・式A2−I:
【化1】

で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび式A2−II:
【化2】

で示される(メタ)アクリロイルアルキルベタインから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
[式A2−Iおよび式A2−II中、
・Rは、HまたはCHを表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜20の整数を表す]
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、および
b)コポリマーAと異なる、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化3】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0012】
フィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーBは既知である。同じことはコポリマーAおよびそれらのフィルム形成用および/または毛髪セット用ポリマーとしての使用にも当てはまる。
【0013】
本発明の化粧剤は、第1必須成分として、少なくとも1種のコポリマーAを含有する。
【0014】
上記のモノマーから形成させたコポリマーAは、本発明での意味において、上記のモノマーA1およびA2をコポリマー中に組み込んで得られるポリマー単位に加えて、他のモノマーを組み込むことによるポリマー単位を最大5重量%、好ましくは最大1重量%含有するコポリマーのみを含むと理解される。コポリマーAは、もっぱら、上記のモノマーA1およびA2をコポリマー中に組み込んで得られるポリマー単位のみからなる。
【0015】
好ましいモノマーA1は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸C1-20アルキルエステルおよびメタクリル酸C1-20アルキルエステルを含む。
【0016】
モノマーA1を、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸ラウリルエステル、メタクリル酸ラウリルエステル、アクリル酸セチルエステル、メタクリル酸セチルエステル、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択することが特に好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ラウリルエステル、メタクリル酸ラウリルエステル、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択することが極めて好ましい。
【0017】
好ましいモノマーA2は、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび/または式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタインを含み、ここで、RおよびRは、互いに独立して、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、イソブチルまたはtert-ブチルを表し、特に好ましくはメチルを表す。
【0018】
好ましいモノマーA2は、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび/または式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン(式中、nは、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは2を表す)から形成される群の少なくとも1種のモノマーからも選択される。
【0019】
モノマーA2を、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび/または式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン(式中、RはCHを表す)から形成される群の少なくとも1種のモノマーから選択することも好ましい。
【0020】
モノマーA2を、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび/または式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン(式中、RおよびRは、互いに独立して、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはtert-ブチル、特に好ましくはメチルを表し、nは、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは2を表し、RはCHを表す)から形成される群の少なくとも1種のモノマーから選択することが特に好ましい。
【0021】
モノマーA2を、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび/または式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン(式中、R、RおよびRは、それぞれ、CHを表し、nは2を表す)から形成される群の少なくとも1種のモノマーから選択することが極めて好ましい。
【0022】
上記の全ての態様において、コポリマー(A)を、(特にもっぱら)個々の態様に相当する式(A1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(A2−I)で示される少なくとも1種のモノマーから形成させることが、また好ましい。
【0023】
好ましい態様において、本発明の剤は、
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルベタイン
から形成させた少なくとも1種のコポリマーAを含有する。
【0024】
対応するコポリマーは既知であり、例えば、Diaformer Z-400、Diaformer Z-AT、Diaformer Z-301N、Diaformer Z-SMおよびDiaformer Z-Wの称号でClariant社から、およびユカフォーマー(登録商標)202、ユカフォーマー(登録商標)204、ユカフォーマー(登録商標)206およびユカフォーマー(登録商標)301の称号で三菱化学株式会社から市販されているが、Diformer Z-301Nを使用することが特に好ましい。
【0025】
特に好ましい態様において、本発明の剤は、
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーAを含有する。
【0026】
これらのコポリマーも既知であり、例えば、Diaformer Z-632の商品名でClariant社から市販されているが、Z-632を使用することが特に好ましい。
【0027】
好ましい態様において、本発明の剤は、
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ラウリルエステルおよびメタクリル酸ラウリルエステルから選択され、第3モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも3種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式(A2−I)中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーAを含有する。
【0028】
対応するコポリマーも既知であり、例えば、Diaformer Z-611、Diaformer Z-612、Diaformer Z-613、Diaformer Z-631、Diaformer Z-633、Diaformer Z-651、Diaformer Z-711N、Diaformer Z-712N および Diaformer Z-731Nの商品名でClariant社から市販されているが、Diaformer Z-712N および Diaformer Z-651を使用することが好ましい。
【0029】
本発明の剤が、まさに上記に記載した3つの好ましい態様により使用される、少なくとも2種のコポリマーAの混合物を含有することも、当然可能である。
【0030】
本発明の剤は、コポリマーAを、剤全体に基づいて0.01〜20重量%、特に好ましくは0.05〜10重量%、極めて好ましくは0.1〜5重量%の量で含有することが好ましい。
【0031】
本発明の剤は、数種のコポリマーAを含有して当然よいが、コポリマーAの総量は、最大20重量%であることが好ましい。
【0032】
コポリマーAを、既知の重合方法を用いて上記のモノマーから製造することができ、通常、市販されている。
【0033】
ケラチン性繊維を一時的に整形するための本発明の剤は、第2必須成分として、コポリマーAと異なる、少なくとも1種のフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBを含有する。
【0034】
フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBを、カルボキシル基および/またはスルホン酸基を有するモノマー(特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸)と、アミノ基を有するモノマー(特にモノアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、モノアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド)とのコポリマー、および、N−オクチルアクリルアミド、メチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−tert−ブチルアミノエチルメタクリレートと、アクリル酸とのコポリマーの群から選択することが好ましい。
【0035】
本発明の剤は、フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBとして、N−オクチルアクリルアミド/アクリル酸/tert-ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーを含有することがとりわけ好ましく、Amphomer(登録商標)(INCI名 octylacrylamide/acrylates/butylaminoethyl methacrylate copolymer)の商品名でNational Starch社より市販されているコポリマーを含有することが特に好ましい。
【0036】
フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBは、剤全体に基づいて0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは1.0〜10重量%の量で存在することが好ましい。複数のフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBが存在しても当然よいが、フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBの総量は、最大20重量%であることが好ましい。
【0037】
本発明の剤の所望の特性を得るために、剤は、コポリマーA、および、コポリマーAと異なるフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBの両方を含有せねばならない。特に、スタイリング剤に対して求められる極めて強固な保持と優れた耐湿性の両立は、このようにして得ることができる。剤が、コポリマーAおよびフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBを、1:50〜20:1、好ましくは1:30〜10:1、特に好ましくは1:20〜5:1、極めて好ましくは1:10〜2:1の重量比で含有する場合、特性の最適プロフィールが得られることが明らかになった。過剰のコポリマーAは、ポリマー混合物の増粘特性を改善する。
【0038】
さらに、本発明の剤は、第3必須成分として、少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーCを含有する。この両親媒性のアニオン性ポリマーCは、コポリマーAおよびフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーBと異なる。
【0039】
当業者は、用語「両親媒性」が、一般に、1つのおよび同一の分子が、親水性構造要素および親油性構造要素を含むことを意味することを理解する。「両親媒性のポリマー」は、ポリマー骨格に結合した親水性構造要素およびポリマー骨格に結合した親油性の構造要素を有するポリマーであると理解される。
【0040】
式(C2)で示されるイタコン酸エステルモノマーの−A−R基は、もちろん、Aの炭素原子を介して残基分子に結合し、RはAの末端の酸素に結合する。
【0041】
好ましい両親媒性のアニオン性ポリマーCは、もっぱら、上記の式C1で示される少なくとも1種モノマーおよび上記の式C2で示される少なくとも1種のモノマーのみから形成される。
【0042】
好ましい両親媒性のアニオン性ポリマーCは、これらを含み、ここで、RおよびRの、少なくとも1つの基は基−A−Rを表し、その他の基は水素原子を表す(ここで、AおよびRは上記で定義したものである)。
【0043】
ここで、使用するのに特に好ましい両親媒性のアニオン性ポリマーCは、式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステル:
【化4】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRの、少なくとも1種の基は基−A−Rを表し、その他の基は水素原子を表し
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕、
は、生理学的に許容性のカチオンの等価物を表す]
から形成されるという特徴を有する。
【0044】
さらに、両親媒性のアニオン性ポリマーCは、アクリレート/セテス−20イタコン酸コポリマー(例えば、Akzo Nobel社から、Structure(登録商標)3001として入手可能)、アクリレート/パルメス−25イタコン酸コポリマー(例えば、3V Sigma社から、Polygel W30(登録商標)または Polygel W40(登録商標)として入手可能)、アクリレート/ステアレス−20イタコン酸コポリマー(例えば、Akzo Nobel社から、Structure(登録商標)2001として入手可能)から形成される群の少なくとも1種のポリマーから選択することが好ましい。
【0045】
好ましい剤は、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有するという特徴を有する。
【0046】
好ましい剤は、両親媒性のアニオン性ポリマーCを、剤の重量に基づいて0.1〜10重量%の量で含有する。
【0047】
したがって、本発明の特に好ましい態様は、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および
・式A2−I:
【化5】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、および
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化6】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0048】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化7】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0049】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および
・式A2−I:
【化8】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、および
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式(C1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(C2)で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化9】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0050】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式(C1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(C2)で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化10】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0051】
したがって、本発明の特に好ましい態様は、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化11】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式(C1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(C2)で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化12】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0052】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化13】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0053】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化14】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化15】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0054】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化16】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0055】
全ての上記の好ましい態様は、同じく、透明であることが好ましい。
【0056】
コポリマーAおよび両親媒性のアニオン性ポリマーCおよびフィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBに加えて、剤は、他のいずれの既知のフィルム形成用および/または毛髪セット用ポリマーを、さらに含有してもよい。これらのフィルム形成用および/または毛髪セット用ポリマーは、永続的にまたは一時的に、カチオン性、アニオン性または非イオン性のいずれであってもよい。
【0057】
ポリマーは、多官能性である場合が多いが、常にそれらの機能を明確にはっきりと互いに区別することができるとは限らない。特に、フィルム形成用ポリマーおよび毛髪セット用ポリマーにも、これは当てはまる。しかしながら、ここで、本発明の範囲において、フィルム形成用および毛髪セット用ポリマーの両方が必須であることを明確に指摘する。これらの2つの特性は、互いに完全に独立ではないため、用語「毛髪セット用ポリマー」は、常に「フィルム形成用ポリマー」とも理解されるべきであり、逆もまた同様である。
【0058】
フィルム形成用ポリマーの好ましい特性は、フィルムの形成が挙げられる。フィルム形成特性は、乾燥する際に、皮膚、毛髪または爪上に、連続性のフィルムを残すポリマーであると理解される。このようなフィルム形成物質を、多種多様の化粧品、例えば、顔用マスク、メーキャップ、毛髪セット製品、ヘアスプレー、ヘアゲル、ヘアワックス、ヘアトリートメント、シャンプーまたはネイルポリッシュにおいて使用してよい。特にアルコールまたは水/アルコール混合物中に十分な溶解性を有するこれらのポリマーは、本発明の剤において、完全に溶解した状態で存在することが好ましい。フィルム形成用ポリマーは、合成または天然由来であってよい。
【0059】
本発明によれば、フィルム形成用ポリマーは、さらに、0.01〜20重量%の水性、アルコール性または水性−アルコール性溶液で使用した場合に、毛髪上に透明なポリマーフィルムを残すことができるポリマーを含むと理解される。
【0060】
さらなる適当な、合成のフィルム形成用毛髪セット用ポリマーは、例えば、以下のモノマーの少なくとも1種からなるホモポリマーまたはコポリマーを含む:ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルアクリルアミドおよびジアルキルアクリルアミド、アルキルメタクリルアミドおよびジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、プロピレングリコールまたはエチレングリコール、ここで、これらのモノマーのアルキル基は、好ましくはC〜Cアルキル基であり、特に好ましくはC〜Cアルキル基である。
【0061】
挙げられうる例としては、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドンまたはN−ビニルホルムアミドのホモポリマーが含まれる。他の適当な合成の、フィルム形成用毛髪セット用ポリマーは、例えば、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドンのターポリマー、酢酸ビニルおよびビニルプロピオネート、ポリアクリルアミド(これらを分散させ、例えば、CHEM-Y社よりAkypomine(登録商標)P 191、Seppic社よりEmmerich または Sepigel(登録商標)305の製品名で市販されている);ポリビニルアルコール(分散させ、例えば、Du Pont社よりElvanol(登録商標)の製品名で、または、Air Products社よりVinol(登録商標)523/540の製品名で市販されている)、ならびにポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールコポリマー(分散させ、例えば、Union Carbide社よりUcon(登録商標)の製品名で市販されている)を含む。
【0062】
適当な天然のフィルム形成用ポリマーは、例えば、セルロース誘導体、例えば、30,000〜50,000g/molの分子量を有するヒドロキシプロピルセルロースであり、例えば、Lehmann & Voss社(ハンブルク)より、Nisso SI(登録商標)の製品名で市販されている。
【0063】
毛髪セット用ポリマーは、全体としてのヘアスタイルにおける毛髪のボリュームおよび毛髪自体の維持および/または構築に寄与する。上記の毛髪セット用ポリマーは、同時に、フィルム形成用ポリマーでもあり、したがって、スタイリングヘアトリートメント剤、例えば毛髪セット用剤、ヘアムース、ヘアワックス、ヘアスプレーに、一般に典型的な物質である。したがって、フィルム形成は、局所的であってもよく、または、少しの繊維のみを互いに結合してもよい。
【0064】
ここで、毛髪に疎水性の特性をも付与する物質は、毛髪が吸湿する(すなわち水を吸収する)傾向を減らすため、好ましい。したがって、柔弱な毛束が減るため、長時間持続するヘアスタイルの構築および固定が確立される。このためによく用いられる試験方法は、いわゆる、カール保持試験である。これらのポリマー物質を、リーブオンおよび洗い流すヘアトリートメントまたはシャンプー中に、うまく導入しても良い。ポリマーは多機能性であること、すなわち応用技術のために所望される複数の効果を示すことが多いため、CTFAハンドブックにおいて、それらの作用に応じていくつかの群に分けられた多数のポリマーがある。
【0065】
本発明の剤がさらなるフィルム形成用および/または毛髪セット用ポリマーを含有する場合、それらを、毛髪セット剤の全体に基づいて、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%の量で使用することが好ましい。複数のフィルム形成用および/または毛髪セット用ポリマーが存在しても当然よく、しかしながら、その場合、他のフィルム形成用ポリマーおよび毛髪セット用ポリマーの総量は、最大20重量%であることが好ましい。
【0066】
本発明の特に好ましい態様は、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化17】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式(C1)で示される少なくとも1種のモノマーおよび式(C2)で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化18】


[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0067】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化19】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0068】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化20】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化21】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0069】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタ−アクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化22】


[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0070】
したがって、本発明の特に好ましい態様は、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化23】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化24】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0071】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化25】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0072】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および、
・式A2−I:
【化26】

[式A2−I中、
・Rは、HまたはCH(特にCH)を表し、
・RおよびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、および
・nは、1〜4(特に2)の整数を表す]
で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化27】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0073】
本発明の特に好ましい態様は、同じく、1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する化粧剤であって、
a)
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・モノマーA2としてのメタクリロイルエチルアミンオキシド、特にメタクリロイルエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド(式A2−I中、R=CH、n=2、RおよびR=CH
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なり、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーから選択される、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化28】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC、
d)ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤である。
【0074】
全ての上記の好ましい態様は、同じく、透明であることが好ましい。
【0075】
本発明の剤は、化粧用に許容性の媒体中に、ポリマーを含有する。
【0076】
好ましい化粧用に許容性の媒体は、水性、アルコール性または水性アルコール性媒体を含み、好ましくは、剤全体に基づいて少なくとも10重量%の水を含有する。存在するアルコールは、特に、1〜4個の炭素原子を有する低級アルコール、例えば、エタノールおよびイソプロパノールを含んでよく、これらは特に化粧品用途に通常用いられる。
【0077】
使用してよい追加の共溶媒として、剤全体に基づいて0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の、400℃以下の沸点を有する有機溶媒または溶媒の混合物が挙げられる。追加の共溶媒として、非分枝状または分枝状の炭化水素(例えばペンタン、ヘキサン、イソペンタン)および環状の炭化水素(例えばシクロペンタンおよびシクロヘキサン)が、特に適当である。追加の、特に好ましい、水溶性溶媒としては、剤全体に基づいて30重量%以下の量の、グリセロール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールが挙げられる。
【0078】
これらの剤は、4.5〜6.9のpHを有することが好ましい。上記のpH範囲は、特に好ましくは、6〜6.9である。pH値についての記載は、本発明の意味する範囲において、特に記載のない限り、25℃でのpH値に関する。これらの好ましいpH値を有する剤は、セットしたヘアスタイルの特に良好な耐湿性を有する。
【0079】
本発明の剤は、個々の化粧剤に通常添加される、賦形剤および添加剤を含有してもよい。
【0080】
適当な賦形剤および添加剤は、特に、ケア物質を含む。これは、毛髪トリートメント剤および皮膚トリートメント剤の両方に使用され、例えばクリーム、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ゲル、ポンプおよびエアゾールスプレーおよびフォーム製品中に導入してよく、ケア物質の適当な選択をもたらし得る。
【0081】
本発明の剤は、従前のスタイリング剤に通常添加される賦形剤および添加剤を含有しても良い。
【0082】
特に、適当な賦形剤および添加剤として、追加のケア物質が挙げられる。
【0083】
使用してよいケア物質の例は、シリコーン油および/またはシリコーンガムである。
【0084】
本発明に適当なシリコーン油またはシリコーンガムとしては、特に、ジアルキルおよびアルキルアリールシロキサン、例えばジメチルポリシロキサンおよびメチルフェニルポリシロキサン、ならびにそれらのアルコキシ化誘導体、4級化誘導体またはアニオン性誘導体が挙げられる。環状および直鎖状ポリジアルキルシロキサン、それらのアルコキシ化誘導体および/またはアミノ化誘導体、ジヒドロキシポリジメチルシロキサンおよびポリフェニルアルキルシロキサンが好ましい。
【0085】
シリコーン油は、多種多様の効果を生じる。例えば、乾燥櫛通り性および湿潤櫛通り性、乾燥した毛髪および湿潤した毛髪の感触ならびにその艶のいずれもに、同時に影響する。当業者は、シリコーン油という用語は、有機シリコン化合物のいくつかの構造を含むことを理解する。第1に、これは、ジメチコノールを含むと理解される。
【0086】
以下の商品が、このような製品の例として挙げられる:Botanisil NU150M(Botanigenics)、Dow Corning 1-1254 Fluid、Dow Corning 2-9023 Fluid、Dow Corning 2-9026 Fluid、Ultrapure Dimethiconol(Ultra Chemical)、Unisil SF-R(Universal Preserve)、X-21-5619(ShinEtsu Chemical Co.)、Abil OSW 5(Degussa Care Specialties)、ACC DL-9430 Emulsion(Taylor Chemical Company)、AEC Dimethiconol & Sodium Dodecylbenzeneスルホネート(A & E Connock(Perfumery & Cosmetics)Ltd.)、B C Dimethiconol Emulsion 95(Basildon Chemical Company、Ltd.)、Cosmetic Fluid 1401、Cosmetic Fluid 1403、Cosmetic Fluid 1501、Cosmetic Fluid 1401DC(上記のものは全てChemsil Silicones,Inc.製)、Dow Corning 1401 Fluid、Dow Corning 1403 Fluid、Dow Corning 1501 Fluid、Dow Corning 1784 HVF Emulsion、Dow Corning 9546 Silicone Elastomer Blend(上記のものはすべてDow Corning Corporation製)、Dub Gel SI 1400(Stearinerie Dubois Fils)、HVM 4852 Emulsion(Crompton Corporation)、Jeesilc 6056(Jeen International Corporation)、Lubrasil、Lubrasil DS(いずれもGuardian Laboratories製)、Nonychosine E、Nonychosine V(いずれもExsymol製)、SanSurf Petrolatum-25、Satin Finish(いずれもCollaborative Laboratories、Inc.製)、Silatex-D30(Cosmetic Ingredient Resources)、Silsoft 148、Silsoft E-50、Silsoft E-623(上記のものはすべてCrompton Corporation製)、SM555、SM2725、SM2765、SM2785(上記のものはすべてGE Silicones製)、Taylor T-Sil CD-1、Taylor TME-4050E(すべてTaylor Chemical Company製)、TH V 148(Crompton Corporation)、Tixogel CYD-1429(Sud-Chemie Performance Additives)、Wacker-Belsil CM 1000、Wacker-Belsil CM 3092、Wacker-Belsil CM 5040、Wacker-Belsil DM 3096、Wacker-Belsil DM 3112 VP、Wacker-Belsil DM 8005 VP、Wacker-Belsil DM 60081 VP(上記のものはすべてWackerChemie GmbH製)。
【0087】
ジメチコーンは、本発明により存在し得るシリコーンの第2の群を形成する。それらは、直鎖状および分枝状の両方であってよく、ならびに、環状または環状および分枝状であってよい。
【0088】
ジメチコーンポリオールは、適当なシリコーンの別の群を形成する。対応するジメチコーンコポリオールは、市販されており、例えば、Dow Corning社からDow Corning(登録商標)5330 Fluidの製品名で流通している。
【0089】
本発明の教示は、ジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリマーが、エマルジョンの形態ですでに存在してもよいということも、当然に含む。対応するジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールを製造した後、ジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールの対応するエマルジョンを、それらから、当業者が精通している通常の方法で製造することができる。ここで、カチオン性、アニオン性、非イオン性または双性イオン性の界面活性剤および乳化剤のいずれもを、対応するエマルジョンを製造するための賦形剤として使用してよい。ジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールのエマルジョンを、エマルジョン重合法により直接製造しても当然よい。当業者は、このような方法に極めて精通している。
【0090】
ジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールをエマルジョンとして使用する場合、本発明の乳化させた粒子の液滴粒度は、0.01〜10,000μm、好ましくは0.01〜100μm、特に好ましくは0.01〜20μm、極めて好ましくは0.01〜10μmである。粒径は、光散乱法により測定される。
【0091】
分枝状のジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールを使用する場合、これは、分枝が個々のモノマー中の不純物のために不規則に生じるランダム分枝より大きいことを意味すると理解される。したがって、本発明の意味するところにおいて、分枝状のジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールは、分枝度が0.01%より大きいことを意味すると理解される。分枝度が、0.1%より大きいこと、極めて好ましくは0.5%より大きいことが好ましい。分枝度は、非分枝モノマーの分枝モノマー、すなわち3官能性および4官能性シロキサンの量に対する割合から求められる。本発明によれば、低分枝状のジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールおよび高分枝状のジメチコノール、ジメチコーンおよび/またはジメチコーンコポリオールの両方が、極めて好ましくあり得る。
【0092】
特に適当なシリコーンは、アミノ官能性シリコーン、特にamodimethicone のINCI名でまとめられるジメチコーンである。したがって、本発明の剤が少なくとも1種のアミノ官能性シリコーンをさらに含有する場合が、本発明によれば好ましい。これらは、少なくとも1種の任意に置換されたアミノ基を有するシリコーンを含むと理解される。これらのシリコーンは、amodimethiconのINCI名称で称され、例えば、エマルジョンの形態で、市販製品Dow Corning(登録商標)939として、またはカチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤との混合物で、市販製品Dow Corning(登録商標)949として入手できる。
【0093】
0.25meq/gより大きい、好ましくは0.3meq/gより大きい、特に好ましくは0.4meq/gより大きいアミン価を有するアミノ官能性シリコーンが好ましい。アミン化は、アミノ官能性シリコーン1gあたりのアミンのミリ当量を表し、滴定により測定することができ、mgKOH/gの単位でも示され得る。
【0094】
これらの剤は、シリコーンを、剤全体に基づいて、好ましくは0.01重量%〜15重量%、特に好ましくは0.05〜2重量%の量で含有する。
【0095】
剤は、例えば、少なくとも1種のタンパク質加水分解物および/または別の誘導体を、化合物の別の種類のケア物質物質として含有してよい。
【0096】
タンパク質加水分解物は、タンパク質の酸触媒分解、塩基触媒分解または酵素触媒分解により得られる生成混合物である。用語「タンパク質加水分解物」は、本発明によれば、全ての加水分解物、ならびに個々のアミノ酸およびそれらの誘導体、ならびに異なるアミノ酸の混合物を表すとも理解される。本発明に使用可能なタンパク質加水分解物の分子量は、75ダルトン(グリシンの分子量である)〜200,000ダルトンであるが、分子は、好ましくは75〜50,000ダルトン、極めて好ましくは75〜20,000ダルトンである。
【0097】
本発明によれば、植物由来または動物由来または海洋物由来または合成由来の、いずれのタンパク質加水分解物を使用してもよい。
【0098】
動物タンパク質加水分解物としては、例えば、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、絹および乳のタンパク質加水分解物が挙げられ、これらは塩の形態で存在してもよい。このような製品は、例えば、Dehylan(登録商標)(Cognis)、Promois(登録商標)(Interorgana)、Collapuron(登録商標)(Cognis)、Nutrilan(登録商標)(Cognis)、Gelita-Sol(登録商標)(Deutsche Gelatine Fabriken Stoess & Co.)、Lexein(登録商標)(Inolex)、Sericin(Pentapharm)および Kerasol(登録商標)(Croda)の製品名で市販されている。
【0099】
タンパク質加水分解物は、本発明の剤中に、それぞれ、適用製剤の全体に基づいて、例えば、0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.05重量%〜15重量%、極めて好ましくは0.05重量%〜5重量%の濃度で存在する。
【0100】
本発明の剤は、少なくとも1種のビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆体および/またはそれらの誘導体の1種を、ケア物質として含有してもよい。
【0101】
本発明によれば、通常、A、B、C、E、FおよびHの群に帰属されるビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体が好ましい。
【0102】
本発明の剤は、A、B、C、EおよびHの群から選択されるビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体を含有することが好ましい。パンテノール、パントラクトン、ピリドキシンおよびその誘導体ならびにニコチンアミドおよびビオチンが特に好ましい。
【0103】
任意に前記のシリコーン誘導体の少なくとも1種と組み合わせた、D−パンテノールが、ケア物質として極めて好ましい。
【0104】
パンテノールの添加は、グリセロールおよび/またはプロピレングリコールの添加と同様に、本発明の剤の使用において形成させたポリマーフィルムの柔軟性を増加させる。したがって、特に柔軟な保持を所望する場合、本発明の剤は、グリセロールおよび/またはプロピレングリコールの代わりに、または、これらに加えて、パンテノールを含有してよい。好ましい態様において、本発明の剤は、パンテノールを、それぞれ、剤全体に基づいて、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の量で含有する。
【0105】
本発明の剤は、少なくとも1種の植物抽出物を、ケア物質として、さらに含有してよい。
【0106】
これらの抽出物は、通常、植物全体を抽出することにより製造する。しかしながら、個々の場合において、植物の花および/または葉のみから抽出物を生成することも好ましくあり得る。
【0107】
特に、緑茶、樫皮、イラクサ、ウィッチヘーゼル、ホップ、ヘンナ、カモミール、ゴボウ根、トクサ、サンザシ、菩提樹花、アーモンド、アロエベラ、マツ、セイヨウトチノキ、ビャクダン、ジュニパーベリー、ココナツ、マンゴー、アプリコット、ライム、小麦、キウイ、メロン、オレンジ、グレープフルーツ、セージ、ローズマリー、カバノキ、ゼニアオイ、タネツケバナ、ワイルドタイム、ノコギリソウ、タイム、メリッサ、ハリモクシュク類、フキタンポポ、ウスベニタチアオイ、meristem、チョウセンニンジンおよび根生姜からの抽出物が、本発明によれば好ましい。
【0108】
加えて、本発明の剤において、いくつかの異なる植物抽出物の混合物、特に2種の異なる植物抽出物の混合物を使用することが好ましくあり得る。
【0109】
単糖および/またはオリゴ糖を、本発明の剤において、ケア物質として使用してもよい。
【0110】
単糖およびオリゴ糖の両方を、例えばショ糖、ラクトースおよびラフィノースを使用してよい。本発明によれば、単糖を使用することが好ましい。単糖は、同様に、5または6個の炭素原子を有するこれらの化合物を含むと理解される。
【0111】
適当な五炭糖および六炭糖としては、例えばリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコースおよびフルクトースが挙げられる。アラビノース、グルコース、ガラクトースおよびフルクトースが、ここで使用するのに、好ましい炭水化物である。ここで、グルコースは極めて好ましく、D−(+)−およびL−(−)−配位の両方が、またはラセミ体としてのものが、適当である。
【0112】
これらの五炭糖および六炭糖の誘導体に加えて、対応するオン−酸およびウロン酸(糖酸)、糖アルコールおよびグリコシドを、本発明により使用してもよい。好ましい糖酸としては、グルコン酸、グルクロン酸、糖酸、マンノース糖酸および粘液酸が挙げられる。好ましい糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトールおよびズルシトールが挙げられる。好ましいグリコシドは、メチルグリコシドである。
【0113】
使用される単糖および/またはオリゴ糖は、通常、デンプンなどの天然原料から得られるため、通常、これらの原料に対応する配位を有する(例えば、D−グルコース、D−フルクトースおよびD−ガラクトース)。
【0114】
単糖および/またはオリゴ糖を、本発明の剤において、適用製剤の全体に基づいて0.1〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%の量で使用することが好ましい。
【0115】
これらの剤は、ケア物質として、少なくとも1種の脂質を含有してもよい。
【0116】
本発明の適当な脂質としては、リン脂質、例えば大豆レシチン、卵レシチンおよびケファリン、ならびにLinoleamidopropyl PG-Dimonium Chloride Phosphate、Cocamidopropyl PG Dimonium Chloride Phosphate および Stearamidopropyl PG Dimonium Chloride PhosphateのINCI名で知られている物質が挙げられる。これらの製品は、例えば、Mona社より、Phospholipid EFA(登録商標)、Phospholipid PTC(登録商標)および Phospholipid SV(登録商標)の製品名で市販されている。本発明の剤は、脂質を、適用製剤の全体に基づいて0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%の量で含有することが好ましい。
【0117】
油物質も、ケア物質として適当である。
【0118】
天然および合成の化粧用油物質としては、例えば、以下が挙げられる。
・植物油。このような油の例としては、ヒマワリ油、オリーブ油、大豆油、キャノーラ油、アーモンド油、ホホバ油、オレンジ油、小麦胚芽油、ピーチピット油およびヤシ油の液状留分が挙げられる。しかしながら、例えば牛脂の液状留分などの他のトリグリセリド油および合成トリグリセリド油も適当である。
・流動パラフィン油、イソパラフィン油および合成炭化水素ならびに12〜36個の炭素原子(特に12〜24個の炭素原子)を有するジ-n-アルキルエーテル、例えば、ジ-n-オクチルエーテル、ジ-n-デシルエーテル、ジ-n-ノニルエーテル、ジ-n-ウンデシルエーテル、ジ-n-ドデシルエーテル、n-ヘキシル-n-オクチルエーテル、n-オクチル-n-デシルエーテル、n-デシル-n-ウンデシルエーテル、n-ウンデシル-n-ウンデシルエーテル、n-ウンデシル-n-ドデシルエーテルおよびn-ヘキシル-n-ウンデシルエーテル、ならびにジ-tert-ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-3-エチルデシルエーテル、tert-ブチル-n-オクチルエーテル、イソペンチル-n-オクチルエーテルおよび2-メチルペンチル-n-オクチルエーテル。市販製品として入手可能な1,3-ジ-(2-エチルヘキシル)-シクロヘキサン(Cetiol(登録商標)S)およびジ-n-オクチルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)の化合物が好ましくあり得る。
・エステル油。エステル油は、C〜C30脂肪酸とC〜C30脂肪アルコールとのエステルを含むと理解される。脂肪酸と2〜24個の炭素原子を有するアルコールとのモノエステルが好ましい。ミリスチン酸イソプロピル(Rilanit(登録商標)IPM)、イソノナン酸C16−18アルキルエステル(Cetiol(登録商標)SN)、パルミチン酸2−エチルヘキシル(Cegesoft(登録商標)24)、ステアリン酸2−エチルヘキシルエステル(Cetiol(登録商標)868)、オレイン酸セチル、グリセロールトリカプリレート、ヤシ脂肪アルコールカプリネート/カプリレート(Cetiol(登録商標)LC)、ステアリン酸n−ブチル、エルカ酸オレイル(Cetiol(登録商標)J 600)、パルミチン酸イソプロピル(Rilanit(登録商標)IPP)、オレイン酸オレイル(Cetiol(登録商標))、ラウリン酸ヘキシルエステル(Cetiol(登録商標)A)、ジ-n-ブチルアジペート(Cetiol(登録商標)B)、ミリスチン酸ミリスチル(Cetiol(登録商標)MM)、イソノナン酸セテアリル(Cetiol(登録商標)SN)、オレイン酸デシルエステル(Cetiol(登録商標)V)が、本発明によれば特に好ましい。
・ジカルボン酸エステル、例えばジ-n-ブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート、ジ(2-エチルヘキシル)スクシネートおよびジイソトリデシルアセテートならびにジオールエステル、例えばジオレイン酸エチレングリコール、ジイソトリデカン酸エチレングリコール、ジ(2−エチルヘキサン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジぺラルゴン酸プロピレングリコール、ジイソステアリン酸ブタンジオール、ジカプリル酸ネオペンチルグリコール。
・炭酸と脂肪アルコールとの対照、非対称または環状エステル、例えば、未審査の独国特許DE-OS 197,56,454号に記載されるような、炭酸グリセロールまたは炭酸ジカプリリル(Cetiol(登録商標)CC)。
・飽和および/または不飽和、直鎖状および/または分枝状脂肪酸とグリセロールとのトリ脂肪酸エステル。
・モノグリセリド、ジグリセリドおよびそれらの工業用グレード混合物を含む脂肪酸部分グリセリド。工業用グレードの製品を使用する際、製造工程のために、少量のトリグリセリドがなお存在し得る。部分グリセリドは、式(D4−I):
【化29】

[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素、または、6〜22個の炭素原子(好ましくは12〜18個の炭素原子)を有する、直鎖状または分枝状、飽和および/または不飽和アシル基を表し、ただし、これらの基の少なくとも1つはアシル基を表し、これらの基の少なくとも1つは水素を表す]
であることが好ましい。(m+n+q)の合計は、0または1〜100、好ましくは0または5〜25の数を表す。Rがアシル基を表し、RおよびRが水素を表し、かつ、(m+n+q)の合計が0であることが好ましい。例としては、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルモレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ペトロセリン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ベヘン酸およびエルカ酸(erucaic acid)ならびにそれらの工業用グレード混合物に基づくモノグリセリドおよび/またはジグリセリドが挙げられる。ここでの使用に対し、オレイン酸モノグリセリドが好ましい。
【0119】
本発明の剤における天然および合成の化粧用油物質の使用量は、通常、使用できる状態の製剤全体に基づいて、0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、特に0.1〜15重量%である。
【0120】
上記のケア物質のそれぞれが、単独で使用した際に、満足な結果を与えるが、たとえ異なる群からのケア物質であっても、剤が複数のケア物質を含有する全ての態様が、本発明の意味する範囲に含まれる。
【0121】
UVフィルターの添加により、製剤自体ならびに処理する繊維の両方をUV照射の悪影響から保護することができる。したがって、少なくとも1種のUVフィルターを剤に添加することが好ましい。適当なUVフィルターに、その構造および物理特性に関して何ら一般な限定はない。それどころか、吸収極大がUVA(315-400nm)、UVB(280-315nm)またはUVC(<280nm)の範囲である、化粧品分野用に使用可能な全てのUVフィルターを使用してよい。UVB範囲、特に約280〜約300nmの範囲に吸収極大を有するUVフィルターが特に好ましい。
【0122】
本発明の好ましいUVフィルターを、置換ベンゾフェノン、p-アミノ安息香酸エステル、ジフェニルアクリル酸エステル、ケイ皮酸エステル、サリチル酸エステル、ベンズイミダゾールおよびo-アミノ安息香酸エステルから選択してよい。
【0123】
UVフィルターは、通常、使用できる状態の製剤全体に基づいて、0.01〜5重量%の量で存在する。0.1〜2.5重量%の量が好ましい。
【0124】
特定の態様において、本発明の剤は、1種以上の直接染料も含有する。このため、処理したケラチン繊維を、一時的に整形するだけでなく、剤を使用する際に、同時に染色もすることが可能となる。例えば目立つ流行色での、特に一時的な着色のみが望ましい場合に、単に洗うことによりケラチン繊維から再び取り除くことができ、特に望ましくあり得る。
【0125】
直接染料は、通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、またはインドフェノールである。好ましい直接染料としては、国際称号、すなわち製品名、HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー12、アシッドイエロー1、アシッドイエロー10、アシッドイエロー23、アシッドイエロー36、HCオレンジ1、ディスパースオレンジ3、アシッドオレンジ7、HCレッド1、HCレッド3、HCレッド10、HCレッド11、HCレッド13、アシッドレッド33、アシッドレッド52、HCレッドBN、ピグメントレッド57:1、HCブルー2、HCブルー11、HCブルー12、ディスパースブルー3、アシッドブルー7、アシッドグリーン50、HCバイオレット1、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、アシッドバイオレット43、ディスパースブラック9、アシッドブラック1およびアシッドブラック52で知られている化合物、ならびに、1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、1,4−ビス−(6−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、13−ニトロ−4−(6−ヒドロキシエチル)アミノフェノール、2−(2'−ヒドロキシエチル)アミノ−4,6−ジニトロフェノール、1−(2'−ヒドロキシエチル)アミノ−4−メチル−2−ニトロベンゼン、1−アミノ−4−(2'−ヒドロキシエチル)アミノ−5−クロロ−2−ニトロベンゼン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、1−(2'−ウレイドエチル)アミノ−4−ニトロベンゼン、4−アミノ−2−ニトロジフェニルアミン−2'−カルボン酸、6−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−エチルアミノ−3−ニトロ安息香酸および2−クロロ−6−エチルアミノ−1−ヒドロキシ−4−ニトロベンゼンが挙げられる。カチオン性直接染料が好ましい。ここで、特に好ましくは、
(a)カチオン性トリフェニルメタン染料、例えば、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックバイオレット2およびベーシックバイオレット14、
(b)第4級窒素基で置換した芳香族系、例えば、ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16およびベーシックブラウン17、ならびに
(c)少なくとも1個の第4級窒素原子を有する複素環を含有する直接染料、例えば、欧州特許出願公開第2−998908号(この文献を、ここで明示的に引用する)の請求項6〜11に記載されているもの。
【0126】
ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31およびベーシックレッド51の名称でも知られている染料は、群(c)の極めて好ましいカチオン性直接染料である。Arianor(登録商標)の製品名で流通するカチオン性直接染料も、本発明のカチオン性直接染料として最も極めて好ましい。
【0127】
この態様の本発明の剤は、直接染料を、剤全体に基づいて0.001〜20重量%の量で含有することが好ましい。
【0128】
本発明によれば、本発明の剤が、酸化染料前駆体を含有しないことが好ましい。酸化染料前駆体は、いわゆる顕色剤成分およびカプラー成分に分けられる。顕色剤成分は、酸化剤または空気中の酸素の影響を受けて、互いにまたはカプラー成分の1種以上とカップリングすることにより、実際の染料を作る。
【0129】
本発明の剤の種類に応じて、剤に、少なくとも1種の界面活性剤を含有させる必要があり得る。これは特に、皮膚洗浄剤およびシャンプーに当てはまる。しかしながら、他の剤、例えばヘアリンス、毛髪矯正剤および特定のスタイリング剤(特にスタイリングフォーム)も、界面活性剤を含有し得る。
【0130】
例えば、適当なケア物質として上記に既に述べたようなカチオン性界面活性剤を使用してもよい。好ましいカチオン性界面活性剤および使用量に関して、上記に述べたことが、適宜当てはまる。
【0131】
カチオン性界面活性剤に加えてまたはその代わりに、これらの剤がさらなる界面活性剤または乳化剤を含有してもよいが、原則として、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤、ならびに非イオン性界面活性剤のいずれも、および既知の乳化剤の全ての種類が、適当である。両性(ampholytic)または両性(amphoteric)界面活性剤の群は、双性イオン性界面活性剤および両性電解質を含む。界面活性剤が、すでに乳化作用を有してもよい。
【0132】
適当なアニオン性界面活性剤には、原則として、人体への使用に適する、全てのアニオン性の界面活性な物質が含まれる。これらは、水に可溶性にするアニオン性基、例えば、カルボキシレート基、サルフェート基、スルホネート基またはホスフェート基および約8〜30個の炭素原子を有する親油性アルキル基に特徴付けられる。その上、グリコールエーテル基またはポリグリコールエーテル基、エステル基、エーテル基およびアミド基ならびにヒドロキシル基が、分子内に存在してもよい。適当なアニオン性界面活性剤の例は、それぞれ、ナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩ならびにアルカノール基に2〜4個の炭素原子を有するモノ−、ジ−およびトリアルカノールアンモニウム塩の形態における以下である:
・8〜30個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状脂肪酸(石鹸)、
・式R−O−(CHCHO)−CH−COOH[式中、Rは8〜30個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基であり、x=0または1〜16である]で示されるエーテルカルボン酸、
・アシル基において8〜24個の炭素原子を有するアシルサルコシド、
・アシル基において8〜24個の炭素原子を有するアシルタウリド、
・アシル基において8〜24個の炭素原子を有するアシルイセチオネート、
・アルキル基において8〜24個の炭素原子を有するスルホコハク酸モノ−およびジアルキルエステルおよびアルキル基において8〜24個の炭素原子を有し、1〜6個のオキシエチル基を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、
・8〜24個の炭素原子を有する直鎖状アルカンスルホネート、
・8〜24個の炭素原子を有する直鎖状α-オレフィンスルホネート、
・8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸のα−スルホ脂肪酸エチルエステル、
・式R−O(CHCHO)−OSOH[式中、Rは、好ましくは、8〜30個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基を表し、xは0または1〜12を表す]で示されるアルキルサルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルサルフェート、
・界面活性なヒドロキシスルホネートの混合物、
・硫酸化ヒドロキシアルキルポリエチレングリコールエーテルおよび/または硫酸化ヒドロキシアルキレンプロピレングリコールエーテル、
・8〜24個の炭素原子および1〜6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホネート、
・酒石酸およびクエン酸とアルコールとのエステル、これは、約2〜15分子のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの、8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールへの、付加生成物である、
・式E1−I:
【化30】

[式中、Rは、好ましくは、8〜30個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を表し、Rは、水素、(CHCHO)基またはXを表し、nは1〜10の数を表し、Xは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはNR〔式中、R〜Rは、互いに独立して、水素またはC〜C炭化水素基を表す〕を表す]
で示されるアルキルエーテルホスフェートおよび/またはアルケニルエーテルホスフェート、
・式E1-IIで示される硫酸化脂肪酸アルキレングリコールエステル
【化31】

[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状脂肪族、飽和または不飽和アシル基を表し、Alkは、CHCH、CHCHCHおよび/またはCHCHCHを表し、nは0.5〜5の数を表し、Mは、独国特許出願公開DE-OS第19736906号に記載されるようなカチオンを表す]
・アミドエーテルカルボン酸、
・C〜C30脂肪アルコールと、タンパク質加水分解物および/またはアミノ酸との縮合生成物およびそれらの誘導体(これらは、Lamepon(登録商標)製品、Gluadin(登録商標)製品、Hostapon(登録商標)KCGまたはAmisoft(登録商標)製品などのタンパク質脂肪酸縮合物として当業者に既知である)。
【0133】
好ましいアニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート、アルキルポリグリコールエーテルサルフェート、および、アルキル基において10〜18個の炭素原子を有し、分子内に12個以下のグリコールエーテル基を有するエーテルカルボン酸、アルキル基において8〜18個の炭素原子を有するスルホコハク酸モノ−およびジアルキルエステル、および、アルキル基において8〜18個の炭素原子を有し、1〜6個のオキシエチル基を有するスルホコハク酸モノアルキルポリオキシエチルエステル、モノグリセロールジサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルケニルエーテルホスフェートならびにタンパク質脂肪酸縮合物が挙げられる。
【0134】
双性イオン性界面活性剤は、少なくとも1個の第4級アンモニウム基および少なくとも1種のCOOまたはSO基を分子内に有する、界面活性化合物を含む。特に適当な双性イオン性界面活性剤としては、いわゆるベタイン、例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ヤシアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ヤシアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン(それぞれ、アルキル基またはアシル基において8〜18個の炭素原子を有する)およびヤシアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートが挙げられる。好ましい双性イオン性界面活性剤は、cocamidopropyl betaineのINCI名で知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0135】
両性電解質は、分子内にC〜C24アルキル基またはアシル基を有することに加えて、少なくとも1個の遊離のアミノ基および少なくとも1個のCOOHまたはSOH基をも有し、分子内塩を形成することができる界面活性化合物であると理解される。適当な両性電解質の例としては、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(それぞれ、アルキル基において約8〜24個の炭素原子を有する)が挙げられる。特に好ましい両性電解質としては、N−ヤシアルキルアミノプロピオネート、ヤシアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12〜C18アシルサルコシンが挙げられる。
【0136】
非イオン性界面活性剤は、親水性基として、例えばポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基またはポリオール基およびポリグリコールエーテル基の組合せを含有する。このような化合物としては、例えば、以下が挙げられる:
・8〜30個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状脂肪アルコールへの、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸への、およびアルキル基において8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜100molエチレンオキシドおよび/または1〜5molプロピレンオキシド付加生成物、
・メチル基またはC〜Cアルキル基でキャップする末端基を有する、8〜30個の炭素原子を有する直鎖状および分枝状脂肪アルコールへの、8〜30個の炭素原子を有する脂肪酸への、およびアルキル基において8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、2〜50molエチレンオキシドおよび/または1〜5molプロピレンオキシドの末端基キャップされた付加生成物、例えばDehydol(登録商標)LS、Dehydol(登録商標)LT(Cognis)の製品名で入手可能な製品、
・グリセロールへの1〜30molエチレンオキシド付加生成物のC12〜C30脂肪酸モノエステルおよびジエステル、
・ヒマシ油および水素添加ヒマシ油への5〜60molエチレンオキシド付加生成物、
・ポリオール脂肪酸エステル、例えば、市販製品Hydagen(登録商標)HSP(Cognis)またはSovermol製品(Cognis)、
・アルコキシ化トリグリセリド、
・式E4−I:
【化32】

[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状、飽和および/または不飽和のアシル基を表し、Rは水素またはメチルを表し、Rは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を表し、wは1〜20の数を表す]
で示されるアルコキシ化脂肪酸アルキルエステル、
・アミンオキシド、
・ヒドロキシ混合エーテル、例えば独国特許出願公開DE-OS第19738866号明細書に記載されているもの、
・ソルビタン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルへのエチレンオキシド付加生成物、例えばポリソルベート、
・糖脂肪酸エステルおよび糖脂肪酸エステルへのエチレンオキシド付加生成物、
・脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへのエチレンオキシド付加生成物、
・式E4−II:
【化33】

[式中、Rは4〜22個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基を表し、Gは5または6個の炭素原子を有する糖基を表し、pは1〜10の数を表す]
で示されるアルキルおよびアルケニルオリゴグリコシド型の糖界面活性剤。これらは、関連する有機化学の調製方法によって得ることができる。
【0137】
極めて好ましい非イオン性界面活性剤は、それぞれの脂肪アルコールおよび/または脂肪酸1モルあたり、2〜100molのエチレンオキシドを有する、飽和直鎖状脂肪アルコールおよび脂肪酸へのアルキレンオキシド付加生成物である。優れた特性を有する製剤は、製剤が、非イオン性界面活性剤として、グリセロールへのエチレンオキシド1〜30mol付加生成物および/またはヒマシ油および水素添加ヒマシ油へのエチレンオキシド5〜60mol付加生成物の、C12〜C30脂肪酸モノエステルおよびC12〜C30脂肪酸ジエステルを含有する場合にも得られる。
【0138】
本発明の剤は、界面活性剤として、8〜22個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状(特に直鎖状)脂肪アルコールへの、エチレンオキシド15〜100mol、特にエチレンオキシド15〜50molの付加生成物の少なくとも1種を含有することが極めて好ましい。これらは、セテアレス−15、セテアレス−25 またはセテアレス−50(Eumulgin(登録商標)CS 15(Cognis)、Cremophor A25(BASF SE)および/または Eumulgin(登録商標)CS 50(Cognis)として市販されている)を含むことが極めて好ましい。
【0139】
本発明の剤は、従来化粧剤用に使用されている製品において製剤化してよく、例えば、皮膚または毛髪に適用され得る溶液の形態で、顔用製剤またはヘアウォーターまたはポンプまたはエアゾールスプレーとして、クリーム、エマルジョン、ワックス、ゲルまたは界面活性剤を含有する発泡性溶液または皮膚または毛髪に適用するのに適当な他の製剤の形態であってよい。本発明の剤は、ゲル形態またはクリーム形態で存在することが好ましく、透明なゲルであることが特に好ましい。
【0140】
本発明の剤は、好ましくは、ケラチン性繊維を一時的に整形するための剤、すなわち、スタイリング剤である。好ましいスタイリング剤としては、スタイリングゲルおよびスタイリングクリームが挙げられる。透明なスタイリングゲルが特に好ましい。
【0141】
本発明の第1の主題であるケラチン性繊維を一時的に整形するための本発明の剤の使用は、本発明の第2の主題である。
【0142】
これらの本発明の剤を含有する剤および製品は、特に、処理した毛髪に、非常に強固な、かつ、耐湿性のスタイリング保持を付与するという特徴を有する。
【0143】
整形の保持も、しなやかさ、弾力性および柔軟性と同様に、スタイリング保持として知られており、これらは、本発明の意味するところにおいて、オメガループ法により測定される。
【0144】
本発明の製剤の透明性の質は、ガラスのシート上へ加工したフィルムの視覚的観察によって評価することができる。
【0145】
以下の実施例は、本発明の主題を、何ら限定することなく説明するものである。
【実施例】
【0146】
以下の量データは、特に記載しない限り、重量%であると理解される。
【0147】
本発明によるスタイリングゲルE1〜E5を、次に示す表にしたがって製造した。
【表1】

INCI名:octylacrylamide/acrylates/butylaminoethyl methacrylate copolymer(Akzo Nobel)
1,3-ジヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントイン(水中、活性物質、約54〜56重量%;INCI名:DMDM hydantoin)(Jan Dekker)
ステアリルアクリレート、メタクリロイルエチルアミンオキシドおよびアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの単純エステルの1種以上のモノマーの共重合体(エタノール中、固形物質28〜32重量%;INCI名:acrylates/stearyl acrylate/ethylamine oxide methacrylate copolymer)(Clariant)
ポリビニルピロリドン(水中、固形物質、約20%、約250ppmのポリアミノプロピルビグアニドで保存;INCI名:PVP)(BASF SE)
2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(2−フェノキシエタノール中、約1.55%;INCI名:phenoxyethanol、methyl isothiazolinone)(Rohm and Haas)
INCI名:acrylates/palmeth-25 itaconate copolymer(3V Sigma)
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよびステアレス−20メタクリル酸エステルのコポリマー(水中、固形物質、29.5〜30.5重量%;INCI名:acrylates/steareth-20 methacrylate copolymer(Rohm and Haas)
4−アミノ安息香酸エチルエステル+25molエチレンオキシド(INCI名:PEG-25 PABA)(BASF SE)
【0148】
通常の増粘剤または構造剤を添加しない場合でさえ、水性および/またはエタノール性ベースのスタイリング剤は、所望の透明なゲル形態を有し、表中に記載する原料の通常の混合によって、優れた保持が得られる。その上、これらのゲルは優れた透明性を有し、それらの粘度および透明性は、−15℃から+45℃までの温度での貯蔵において安定である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)・アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選択される少なくとも1種のモノマーA1、および
・式A2−I:
【化1】

で示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび式A2−II:
【化2】

で示される(メタ)アクリロイルアルキルベタインから選択される少なくとも1種の両性モノマーA2
[式A2−Iおよび式A2−II中、
は、HまたはCHを表し
およびRは、それぞれ互いに独立して、任意に分枝状のC1-10アルキルを表し、
nは、1〜20の整数を表す]
から形成させた少なくとも1種のコポリマーA、
b)コポリマーAと異なる、少なくとも1種のフィルム形成用両性および/または毛髪セット用両性ポリマーB、および
c)式C1で示される少なくとも1種のモノマーおよび式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー:
【化3】

[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRは、水素原子を表し、ただし、RおよびRの少なくとも1つの基は、基−A−Rを表す
〔式中、
は、基−(CHCHO)(式中、xは5〜35の整数を表す)、基−(CHCHMeO)(式中、yは5〜35の整数を表す)または基−(CHCHO)−(CHCHMeO)(式中、x+yの合計は5〜35の整数を表し、xおよびyはゼロより大きい)を表し、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕]
から形成させた少なくとも1種の両親媒性のアニオン性ポリマーC
を、化粧用に許容性の媒体中に含有する化粧剤。
【請求項2】
モノマーA1が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸C1−20アルキルエステルおよびメタクリル酸C1−20アルキルエステルから選択される、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
モノマーA1が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステル、メタクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸ラウリルエステル、メタクリル酸ラウリルエステル、アクリル酸セチルエステル、メタクリル酸セチルエステル、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
モノマーA2は、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン[式中、RおよびRはそれぞれメチルを表す]からなる群の少なくとも1種のモノマーから選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
モノマーA2は、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン[式中、それぞれのnは、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数、特に好ましくは2を表す]からなる群の少なくとも1種のモノマーから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
モノマーA2は、式A2−Iで示される(メタ)アクリロイルアルキルアミンオキシドおよび式A2−IIで示される(メタ)アクリロイルアルキルベタイン[式中、それぞれのRはCHを表す]からなる群の少なくとも1種のモノマーから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
コポリマーAは、
・第1モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸イソプロピルエステルおよびメタクリル酸イソプロピルエステルから選択され、第2モノマーが、アクリル酸ステアリルエステルおよびメタクリル酸ステアリルエステルから選択される、少なくとも2種のモノマーA1、および
・メタクリロイルエチルアミンオキシド
から形成される、請求項1に記載の剤。
【請求項8】
コポリマーAを、剤全体に基づいて、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の量で含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBは、カルボキシル基および/またはスルホン酸基を有するモノマー、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸と、アミノ基を有するモノマー、特にモノアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、モノアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとのコポリマー、および、N−オクチルアクリルアミド、メチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−tert-ブチルアミノエチルメタクリレートと、アクリル酸とのコポリマーを含む群から選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBとして、N−オクチルアクリルアミド/アクリル酸/tert−ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーを含有する、請求項1〜9のいずれかに記載の剤。
【請求項11】
フィルム形成用および/または毛髪セット用両性ポリマーBを、剤全体に基づいて、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは1.0〜10重量%の量で含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
両親媒性のアニオン性ポリマーCは、式C1で示される少なくとも1種のモノマーならびに式C2で示される少なくとも1種のイタコン酸エステルモノマー
[式中、
は、水素原子またはメチル基を表し、
は、水素原子または(C〜C)アルキル基を表し、
およびRの、少なくとも1つの基は基−A−R
〔式中、
は、基−(CHCHO)を表し(式中、xは、5〜35の整数、特に10〜30の整数を表す)、
は、(C〜C30)アルキル基を表す〕
を表し、その他の基は水素原子を表す]
から形成される、請求項1〜11のいずれかに記載の剤。
【請求項13】
両親媒性のアニオン性ポリマーCを、0.1〜10重量%の量で含有する、請求項1〜12のいずれかに記載の剤。
【請求項14】
1000〜500,000mPa・s、好ましくは5000〜300,000mPa・s、特に好ましくは10,000〜150,000mPa・s(それぞれ、ヘリパスを備えたBrookfield RVDV II+を用いて、スピンドルT-E、5rpm、20℃で測定)の粘度を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の剤。
【請求項15】
ポリビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーをさらに含有する、請求項1〜14のいずれかに記載の剤。

【公表番号】特表2013−505895(P2013−505895A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522094(P2012−522094)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060296
【国際公開番号】WO2011/012464
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】