化粧品ケース
【課題】利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手の良い化粧品ケースを得る。
【解決手段】パレット14がケース16内に収納されたとき、パレット14に設けられた爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止される。また、ぜんまいばね58は巻締った状態となっており、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積された状態となっている。この状態で、釦部38を押圧すると、釦部38の突設部44を介して爪部62が押圧され、ケース16の長孔部36の内縁部から係止解除され、ぜんまいばね58の復元力により、ギヤ56が回転し、ピニオン54を介して、パレット14がケース16から押し出される。このように、釦部38を押圧するだけで、自動的にパレット14がスライドしてケース16から押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【解決手段】パレット14がケース16内に収納されたとき、パレット14に設けられた爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止される。また、ぜんまいばね58は巻締った状態となっており、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積された状態となっている。この状態で、釦部38を押圧すると、釦部38の突設部44を介して爪部62が押圧され、ケース16の長孔部36の内縁部から係止解除され、ぜんまいばね58の復元力により、ギヤ56が回転し、ピニオン54を介して、パレット14がケース16から押し出される。このように、釦部38を押圧するだけで、自動的にパレット14がスライドしてケース16から押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容するパレット状の化粧品ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容するパレット状の化粧品ケースは、複数の口紅やアイシャドー等を収容する本体部と、ヒンジ部を中心に本体部に対して開閉可能に設けられた蓋体と、で構成されており、蓋体が閉止された状態で蓋体は本体部に対してロックされた状態となる。そして、ロック状態を解除すると、蓋体が開放可能となり、本体部に収容された口紅やアイシャドー等が使用可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1では、本体側と蓋側にそれぞれ突起部を設け、蓋体側の突起部が本体側の突起部の下部に位置した状態(係合された状態)で、蓋体が閉止される。この状態から、蓋体を開放させるときは、本体側では下方向への外力を作用させ、蓋体側では上方向の外力を作用させると共に、本体側と蓋体側とで左右方向への捩り力を作用させる。これにより、本体側と蓋側の突起部同士の係合状態が解除される。
【0004】
しかしながら、本体側と蓋体側とで押圧する部位は、蓋体の自由端部側を手前に置いた状態で、本体側が右側、蓋体側が左側に位置している。このため、左利きの人がこの蓋体を開放させようとした場合、本体側には下方向への外力、蓋体側には上方向への外力を作用させようとすると、蓋体の移動軌跡上に左手が位置することとなり、蓋体の開放が容易ではなく、使い勝手が良くない。
【0005】
このため、特許文献2では、複数の口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容する本体部に対して、蓋体をスライド式に係合させている。蓋体の外面には、滑り止めが設けられており、蓋体を指で開け閉めしやすくしている。このように、本体部に対して蓋体をスライドさせるだけなので、利き手に関係なく使用することができるが、本体部を一方の手で把持した状態で、他方の手で蓋体をスライドさせるため、少なくとも本体部の開放時には両手が塞がってしまう。
【特許文献1】特許2003−289936号公報
【特許文献2】実開平7−20111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手の良い化粧品ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、化粧品ケースにおいて、携帯ケースに対してスライドして収納され、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットと、前記携帯ケースと前記パレットとの間に設けられ、前記パレットを前記携帯ケースから押し出す方向へ付勢する付勢手段と、前記パレットが前記携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によって前記パレットのロック状態を解除するロック手段と、前記ロック手段によるロック状態が解除されたとき、前記パレットを所定位置で停止させるストッパーと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットをスライドさせて携帯ケース内に収納可能としている。また、携帯ケースとパレットとの間には付勢手段を設けており、パレットを携帯ケースから押し出す方向へ付勢している。さらに、パレットが携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によってパレットのロック状態を解除するロック手段を設けている。
【0009】
そして、ロック手段によるロック状態が解除されると、付勢手段によって、パレットが携帯ケースから押し出されることとなるが、ストッパーによって、パレットが所定位置で停止し、パレットの携帯ケースからの抜け出しを防止する。
【0010】
このように、押圧力によってパレットのロック状態を解除させるため、化粧品の使用時に、ロック手段を押圧するだけで、付勢手段によって自動的にパレットがスライドして携帯ケースから押し出されることとなり、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の化粧品ケースにおいて、前記携帯ケースにラックを形成し、前記パレットに前記ラックとかみ合って回転するギヤを設け、前記付勢手段が、一端部が前記パレットに固定され、他端部が前記ギヤに装着されて、パレットが前記携帯ケース内に収納されると巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与するぜんまいばねであることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、携帯ケースにラックを形成し、パレットには該ラックとかみ合って回転するギヤを設けている。ここで、付勢手段をぜんまいばねとし、ぜんまいばねの一端部をパレットに固定して、ぜんまいばねの他端部を、ギヤに装着する。
【0013】
そして、パレットのスライド移動によって、ラックを介してギヤが回転し、これに伴って、ぜんまいばねが巻締まり、或いは巻弛みすることとなる。
【0014】
具体的には、パレットを携帯ケース内に収納した状態で、ぜんまいばねは巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与する弾性力が蓄積される。そして、ロック手段によるロック状態を解除すると、ぜんまいばねは復元して巻弛み、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤを回転させ、ラックを介してパレットを携帯ケースから押し出す。
【0015】
このように、付勢手段として、ぜんまいばねを使用することで、例えば、コイルばねや板バネと比較して、パレットのストロークを増大させることができる。
【0016】
また、ぜんまいばねの他端部をギヤに装着することで、ギヤとラックによる歯面間の接触によりトルクを増大させることができる。このため、ぜんまいばねの復元時に減衰力を作用させることができ、パレットを静かにスライド移動させ、高級感を与えることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の化粧品ケースにおいて、前記ギヤに前記パレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせたことを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明では、ギヤにパレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせることで、請求項2に記載の発明と比較して、パレットをさらに静かにスライド移動させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧品ケースにおいて、前記ロック手段が、箱状の前記携帯ケースの側面に形成された第1孔部と、前記第1孔部内に、携帯ケースの内側へ揺動可能に設けられた釦部と、前記パレットの側面に形成された第2孔部と、前記第2孔部内に設けられ、パレットが前記携帯ケース内に収納されたとき、前記第1孔部の内壁面に係止されてパレットをロックし、前記釦部に押されてパレットの内側へ揺動し、前記第1孔部の内壁面とのロック状態から解除される爪部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明では、携帯ケースの側面には第1孔部を形成し、該第1孔部内には釦部を設けて、携帯ケースの内側へ揺動可能としている。一方、パレットの側面には第2孔部を形成し、該第2孔部内には爪部を設けて、パレットの内側へ揺動可能としている。
【0021】
この爪部は、パレットが携帯ケース内に収納されたとき、第1孔部の内壁面に係止され、パレットの移動を規制している。そして、この状態で、釦部を押すと、爪部はパレットの内側へ揺動し、第1孔部の内壁面とのロック状態が解除され、ぜんまいばねの付勢力によって、パレットが携帯ケースから押し出される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記構成としたので、化粧品の使用時に、ロック手段を押圧するだけで、付勢手段によって自動的にパレットがスライドして携帯ケースから押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る化粧品ケースについて説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、化粧品ケース10は、口紅、アイシャドー等の化粧剤を収容する収容部12を有する略直方体状のパレット14と、該パレット14をスライド可能に収納するケース(携帯ケース)16と、に大別される。
【0025】
ケース16は、断面が略コ字状に形成されたアッパーケース16Aとロアケース16Bとで構成されており、ロアケース16Bの中央部には、ロアケース16Bの長手方向の略全域に渡って矩形凹部18が形成されている。そして、矩形凹部18の長手方向に沿った内縁部の一辺には、複数の装着ボス20が立設している。
【0026】
矩形凹部18内には、矩形凹部18の長手方向に沿って、ラック22が形成された角状のラック部材24が装着可能となっている。このラック部材24には、装着ボス20が嵌合可能な嵌合穴26が形成されており、装着ボス20に嵌合穴26を嵌合させると、ラック部材24がロアケース16Bと一体になる。
【0027】
ロアケース16Bの両側壁の近傍には、側壁と平行にガイドリブ21が長手方向の全域に渡って立設しており、パレット14に形成されたガイド溝23が係合可能となっている。このガイド溝23をガイドリブ21に係合させた状態でパレット14はケース16内をガイドリブ21に沿ってスライドすることとなる。
【0028】
また、アッパーケース16Aとロアケース16Bの一端側には、位置決め溝25が形成されている。この位置決め溝25には、両端部が角丸めされた長板状の閉塞カバー32の裏面側に形成された係合リブ27が係合可能となっており、アッパーケース16Aとロアケース16Bが一体になった状態で、ケース16の一端側を塞ぐようにしている。
【0029】
ここで、ロアケース16Bの両側壁の先端面には、側壁の両端側に孔部28が形成されており、孔部28と孔部28の間には、2つの溝部29がそれぞれ形成されている。一方、アッパーケース16Aの両側壁の先端面には、ロアケース16Bの、孔部28と嵌合可能なボス30と、溝部29と嵌合可能なリブ31がそれぞれ立設している。このボス30及びリブ31を孔部28及び溝部29に嵌合させた状態で、アッパーケース16Aとロアケース16Bが一体となり、ケース16の他端側は、開口部34となる。
【0030】
ケース16の側壁の開口部34側には、長手方向の両端部を円弧状とした長孔部36がアッパーケース16A及びロアケース16Bに渡って形成されており、長孔部36には、該長孔部36の形状に合わせて形成された釦部38が配置可能となっている。
【0031】
長孔部36の長手方向の一端側(閉塞カバー32側)には、軸支穴42が形成されており、釦部38の長手方向の一端部に凸設された軸部40が係合可能となっている。この軸部40が軸支穴42内で軸支された状態で、軸部40を中心に、釦部38が揺動可能となる。
【0032】
また、釦部38の裏面側には、長手方向の他端側に、円柱状の突設部44(図5(A)参照)が凸設している。さらに、釦部38の表面には、釦部38の幅方向に沿って3本のリブ46(図5(A)参照)が形成され、指で触ったときの滑り止めとなっている。
【0033】
なお、この釦部38は、アッパーケース16Aとロアケース16Bとを一体にさせる前に、一方の軸部40をロアケース16B側の軸支穴42に係合させ、アッパーケース16Aとロアケース16Bを一体にするときに、他方の軸部40をアッパーケース16A側の軸支穴42に係合させる。
【0034】
一方、パレット14の一端側には、ケース16の外形と略同一の大きさに形成された前面カバー48が設けられている。この前面カバー48によってケース16の開口部34が塞がれることとなる。また、パレット14の上面には、パレット14の長手方向に沿って、略直方体状の収容部12A、12Bが平行に凹設されている。この収容部12A、12B内に口紅やアイシャドー等の化粧剤が収容可能となる。
【0035】
また、パレット14の上面の他端側は、フラット面となっており、裏面側には空洞部50が設けられている。この空洞部50にはギヤボックス52が収納され、パレット14に取付けられるようになっている。
【0036】
ギヤボックス52は平面視にて略正方形状の上ケース52Aと下ケース52Bとを備えており、ギヤボックス52内には回転可能に軸支されたシャフト53、55が配設されている。シャフト33には、ラック22とかみ合い可能なピニオン(ギヤ)54が固定されており、シャフト35にはピニオン54とかみ合うギヤ(減速ギヤ)56が固定されている。
【0037】
また、下ケース52Bの一辺には切欠き部57が形成されており、切欠き部57からはピニオン54の一部が露出可能となっている。このピニオン54の回転によって、ラック22を介して、ギヤボックス52がケース16の矩形凹部18内を摺動する。そして、このギヤボックス52を介して、パレット14がケース16に対してスライドすることとなる。
【0038】
ここで、ピニオン54及びギヤ56の上面には、板材59が載置される。ギヤ56のハブには、一対の弓形部67Aが立設し該弓形部67Aの下部を互いに架け渡した状態で形成された装着部67が設けられており、板材59には該装着部67が挿通可能な挿通穴59Aやシャフト53が挿通可能な挿通穴59Bが形成されている。
【0039】
また、下ケース52Bには上ケース52Aに形成された嵌合穴(図示省略)との嵌合のため、嵌合ボス61が立設しているが、この嵌合ボス61が挿通可能な挿通穴59Cも板材59には形成されている。
【0040】
そして、ピニオン54及びギヤ56の上面に板材59が載置された状態で、板材59の上面には、ぜんまいばね58が配置される。このぜんまいばね58の一端部は、ギヤ56の装着部67の弓形部67Aとシャフト55との間に装着され、ぜんまいばね58の他端部は、上ケース52Aに形成され平面視にて略コ字状に形成された装着部63に装着される。
【0041】
そして、ピニオン54の回転によって、ギヤ56が回転すると、これに伴って、ぜんまいばね58が巻締まり(図4(A)参照)、或いは巻弛み(図4(B)参照)することとなる。
【0042】
一方、パレット14の側壁には、パレット14がケース16内に収納された状態で、ケース16の長孔部36と対応する位置に矩形穴60が形成されており、該矩形穴60内には,平面視にて略L字状を成す爪部62が配置可能となっている。
【0043】
この矩形穴60の一端側(閉塞カバー32側)には、装着凹部64が設けられており、該装着凹部64には爪部62の一端部が装着され、爪部62の他端側(自由端部)がフリーとなっている。この爪部62の自由端側を押圧すると、爪部62には弾性力が蓄積され、押圧力を解除すると、復元して元の位置に戻る。
【0044】
ここで、爪部62の表面は、爪部62の自由端側へ行くに従って外側に張り出しており、図5(A)に示すように、パレット14をケース16内に収納した状態で、爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止されるようになっている。このため、パレット14はケース16に対するスライド移動が規制される。
【0045】
この状態から、図5(B)に示すように、釦部38を押圧すると、釦部38の裏面側に凸設された突設部44が爪部62に当接する(なお、図5(A)に示すように、初めから釦部38の突設部44が爪部62に当接した状態であっても良い)。そして、突設部44を介して爪部62を押圧すると、爪部62の自由端部が長孔部36の内縁部から係止解除される。これにより、パレット14はケース16に対してスライド可能となる。
【0046】
ここで、パレット14の裏面側には、パレット14の幅方向に沿って、ロアケース16Bの矩形凹部18の内縁部に当接可能なストッパー65が突出しており、該ストッパー65が、矩形凹部18の内縁部に当接した状態で、パレット14は移動規制される。
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る化粧品ケースの作用について説明する。
【0048】
図3(B)及び図4(B)に示すように、パレット14をケース16内に収納するとき、パレット14の前面カバー48を押圧する。これにより、ピニオン54がラック22に沿って移動して回転し、ギヤ56を回転させると共に、パレット14がケース16内へスライド移動する。このギヤ56の回転により、ぜんまいばね58が巻締まり、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積される(図4(A)参照)。
【0049】
このとき、パレット14に設けられた爪部62は、ケース16の内側に当接し、矩形穴60を通じてパレット14の内側へ押圧される。そして、パレット14がケース16内に収納されると、矩形穴60内の爪部62と長孔部36内の釦部38とが対向して配置されることとなるが、爪部62が長孔部36に到達すると、爪部62は復元して、長孔部36の内縁部に係止される。これにより、パレット14はロック状態となる(図5(A)参照)。
【0050】
このように、パレット14がケース16内に収納された状態(パレット14のロック状態)では、図5(A)に示すように、パレット14に設けられた爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止されている。また、ぜんまいばね58は巻締った状態となっており、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積された状態となっている。
【0051】
この状態で、図5(B)に示すように、釦部38を押圧すると、釦部38の裏面側の突設部44を介して爪部62が押圧され、ケース16の長孔部36の内縁部から係止解除される(パレット14のロック解除の状態)。
【0052】
これにより、パレット14は移動規制された状態が解除され、ぜんまいばね58の復元力により、パレット14がケース16から押し出される方向へギヤ56が回転する。このギヤ56の回転に伴って、ピニオン54が回転して、ラック22に沿って移動し、該ピニオン54を介して、図3(B)に示すように、パレット14がケース16から押し出される。
【0053】
そして、パレット14が所定位置へスライド移動すると、パレット14の裏面側に設けられたストッパー65(図2参照)がロアケース16Bの矩形凹部18の内縁部に当接して、パレット14が移動規制される。この状態で、収容部12A、12Bは露出し、収容部12A、12B内の化粧剤が使用可能となる。
【0054】
以上のように、釦部38を押圧するだけで、パレット14のロック状態が解除され、ぜんまいばね58によって自動的にパレット14がスライドしてケース16から押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【0055】
また、ぜんまいばね58を設け、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56の装着部67に装着し、ぜんまいばね58の他端部を、ギヤボックス52の上ケース52Aに装着している。これにより、パレット14のスライド移動によって、ラック22を介してピニオン54及びギヤ56が回転し、これに伴って、ぜんまいばね58が巻締まり、或いは巻弛みすることとなる。
【0056】
このように、付勢手段として、ぜんまいばね58を使用することで、例えば、コイルばねや板バネと比較して、パレット14のストロークを増大させることができる。但し、付勢手段として、コイルばねや板バネを用いても良いのは勿論のことである。コイルばねや板バネを用いた場合、ケース16の奥方にコイルばねや板バネの一端部を装着し、他端部をパレット14の奥壁に装着しても良い。
【0057】
また、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56に装着することで、ピニオン54とギヤ56の歯面の接触によりトルクを増大させることができるため、ぜんまいばね58の復元時に減衰力を作用させることができる。このため、パレット14を静かにスライド移動させ、高級感を与えることができるが、必ずしもギヤ56を設ける必要はなく、また、さらに別のギヤをピニオン54とギヤ56の間に噛み合わせるようにしても良い。
【0058】
なお、本形態はあくまでも一実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0059】
例えば、本形態では、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56に装着し、ぜんまいばね58の他端部を、ギヤボックス52の上ケース52Aに装着したが、ピニオン54やギヤ56を用いない状態で、ぜんまいばね58の一端部をパレット14側に装着し、他端部をケース16側に装着しても良い。この場合、ぜんまいばね58の付勢力に対して、ピニオン54とギヤ56とのかみ合いによる減衰力は得られないが、パレット14とケース16の摺動面の摺動抵抗を上げることで減衰力を得るようにしても良い。
【0060】
また、釦部38を押圧することで、爪部62を押圧したが、釦部38のスライド移動によって爪部62を押圧する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの平面図であり、(A)はパレットがケース内に収納された状態を示し、(B)はパレットがケースから押し出された状態を示している。
【図4】(A)、(B)は、本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの平面図であり、図3の(A)、(B)に対応する部分拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの横断面図であり、(A)はパレットがケース内に収納された状態の釦部と爪部の関係を示し、(B)はパレットをケースから押し出すときの釦部と爪部の関係を示している。
【符号の説明】
【0062】
10 化粧品ケース
12 収容部
14 パレット
16 ケース(携帯ケース)
22 ラック
36 長孔部(第1孔部、ロック手段)
38 釦部(ロック手段)
54 ピニオン(ギヤ)
56 ギヤ(減速ギヤ)
58 ぜんまいばね(付勢手段)
60 矩形穴(第2孔部)
62 爪部(ロック手段)
65 ストッパー
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容するパレット状の化粧品ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容するパレット状の化粧品ケースは、複数の口紅やアイシャドー等を収容する本体部と、ヒンジ部を中心に本体部に対して開閉可能に設けられた蓋体と、で構成されており、蓋体が閉止された状態で蓋体は本体部に対してロックされた状態となる。そして、ロック状態を解除すると、蓋体が開放可能となり、本体部に収容された口紅やアイシャドー等が使用可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1では、本体側と蓋側にそれぞれ突起部を設け、蓋体側の突起部が本体側の突起部の下部に位置した状態(係合された状態)で、蓋体が閉止される。この状態から、蓋体を開放させるときは、本体側では下方向への外力を作用させ、蓋体側では上方向の外力を作用させると共に、本体側と蓋体側とで左右方向への捩り力を作用させる。これにより、本体側と蓋側の突起部同士の係合状態が解除される。
【0004】
しかしながら、本体側と蓋体側とで押圧する部位は、蓋体の自由端部側を手前に置いた状態で、本体側が右側、蓋体側が左側に位置している。このため、左利きの人がこの蓋体を開放させようとした場合、本体側には下方向への外力、蓋体側には上方向への外力を作用させようとすると、蓋体の移動軌跡上に左手が位置することとなり、蓋体の開放が容易ではなく、使い勝手が良くない。
【0005】
このため、特許文献2では、複数の口紅やアイシャドー等の化粧剤を収容する本体部に対して、蓋体をスライド式に係合させている。蓋体の外面には、滑り止めが設けられており、蓋体を指で開け閉めしやすくしている。このように、本体部に対して蓋体をスライドさせるだけなので、利き手に関係なく使用することができるが、本体部を一方の手で把持した状態で、他方の手で蓋体をスライドさせるため、少なくとも本体部の開放時には両手が塞がってしまう。
【特許文献1】特許2003−289936号公報
【特許文献2】実開平7−20111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手の良い化粧品ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、化粧品ケースにおいて、携帯ケースに対してスライドして収納され、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットと、前記携帯ケースと前記パレットとの間に設けられ、前記パレットを前記携帯ケースから押し出す方向へ付勢する付勢手段と、前記パレットが前記携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によって前記パレットのロック状態を解除するロック手段と、前記ロック手段によるロック状態が解除されたとき、前記パレットを所定位置で停止させるストッパーと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットをスライドさせて携帯ケース内に収納可能としている。また、携帯ケースとパレットとの間には付勢手段を設けており、パレットを携帯ケースから押し出す方向へ付勢している。さらに、パレットが携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によってパレットのロック状態を解除するロック手段を設けている。
【0009】
そして、ロック手段によるロック状態が解除されると、付勢手段によって、パレットが携帯ケースから押し出されることとなるが、ストッパーによって、パレットが所定位置で停止し、パレットの携帯ケースからの抜け出しを防止する。
【0010】
このように、押圧力によってパレットのロック状態を解除させるため、化粧品の使用時に、ロック手段を押圧するだけで、付勢手段によって自動的にパレットがスライドして携帯ケースから押し出されることとなり、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の化粧品ケースにおいて、前記携帯ケースにラックを形成し、前記パレットに前記ラックとかみ合って回転するギヤを設け、前記付勢手段が、一端部が前記パレットに固定され、他端部が前記ギヤに装着されて、パレットが前記携帯ケース内に収納されると巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与するぜんまいばねであることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明では、携帯ケースにラックを形成し、パレットには該ラックとかみ合って回転するギヤを設けている。ここで、付勢手段をぜんまいばねとし、ぜんまいばねの一端部をパレットに固定して、ぜんまいばねの他端部を、ギヤに装着する。
【0013】
そして、パレットのスライド移動によって、ラックを介してギヤが回転し、これに伴って、ぜんまいばねが巻締まり、或いは巻弛みすることとなる。
【0014】
具体的には、パレットを携帯ケース内に収納した状態で、ぜんまいばねは巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与する弾性力が蓄積される。そして、ロック手段によるロック状態を解除すると、ぜんまいばねは復元して巻弛み、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤを回転させ、ラックを介してパレットを携帯ケースから押し出す。
【0015】
このように、付勢手段として、ぜんまいばねを使用することで、例えば、コイルばねや板バネと比較して、パレットのストロークを増大させることができる。
【0016】
また、ぜんまいばねの他端部をギヤに装着することで、ギヤとラックによる歯面間の接触によりトルクを増大させることができる。このため、ぜんまいばねの復元時に減衰力を作用させることができ、パレットを静かにスライド移動させ、高級感を与えることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の化粧品ケースにおいて、前記ギヤに前記パレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせたことを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明では、ギヤにパレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせることで、請求項2に記載の発明と比較して、パレットをさらに静かにスライド移動させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧品ケースにおいて、前記ロック手段が、箱状の前記携帯ケースの側面に形成された第1孔部と、前記第1孔部内に、携帯ケースの内側へ揺動可能に設けられた釦部と、前記パレットの側面に形成された第2孔部と、前記第2孔部内に設けられ、パレットが前記携帯ケース内に収納されたとき、前記第1孔部の内壁面に係止されてパレットをロックし、前記釦部に押されてパレットの内側へ揺動し、前記第1孔部の内壁面とのロック状態から解除される爪部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明では、携帯ケースの側面には第1孔部を形成し、該第1孔部内には釦部を設けて、携帯ケースの内側へ揺動可能としている。一方、パレットの側面には第2孔部を形成し、該第2孔部内には爪部を設けて、パレットの内側へ揺動可能としている。
【0021】
この爪部は、パレットが携帯ケース内に収納されたとき、第1孔部の内壁面に係止され、パレットの移動を規制している。そして、この状態で、釦部を押すと、爪部はパレットの内側へ揺動し、第1孔部の内壁面とのロック状態が解除され、ぜんまいばねの付勢力によって、パレットが携帯ケースから押し出される。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記構成としたので、化粧品の使用時に、ロック手段を押圧するだけで、付勢手段によって自動的にパレットがスライドして携帯ケースから押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る化粧品ケースについて説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、化粧品ケース10は、口紅、アイシャドー等の化粧剤を収容する収容部12を有する略直方体状のパレット14と、該パレット14をスライド可能に収納するケース(携帯ケース)16と、に大別される。
【0025】
ケース16は、断面が略コ字状に形成されたアッパーケース16Aとロアケース16Bとで構成されており、ロアケース16Bの中央部には、ロアケース16Bの長手方向の略全域に渡って矩形凹部18が形成されている。そして、矩形凹部18の長手方向に沿った内縁部の一辺には、複数の装着ボス20が立設している。
【0026】
矩形凹部18内には、矩形凹部18の長手方向に沿って、ラック22が形成された角状のラック部材24が装着可能となっている。このラック部材24には、装着ボス20が嵌合可能な嵌合穴26が形成されており、装着ボス20に嵌合穴26を嵌合させると、ラック部材24がロアケース16Bと一体になる。
【0027】
ロアケース16Bの両側壁の近傍には、側壁と平行にガイドリブ21が長手方向の全域に渡って立設しており、パレット14に形成されたガイド溝23が係合可能となっている。このガイド溝23をガイドリブ21に係合させた状態でパレット14はケース16内をガイドリブ21に沿ってスライドすることとなる。
【0028】
また、アッパーケース16Aとロアケース16Bの一端側には、位置決め溝25が形成されている。この位置決め溝25には、両端部が角丸めされた長板状の閉塞カバー32の裏面側に形成された係合リブ27が係合可能となっており、アッパーケース16Aとロアケース16Bが一体になった状態で、ケース16の一端側を塞ぐようにしている。
【0029】
ここで、ロアケース16Bの両側壁の先端面には、側壁の両端側に孔部28が形成されており、孔部28と孔部28の間には、2つの溝部29がそれぞれ形成されている。一方、アッパーケース16Aの両側壁の先端面には、ロアケース16Bの、孔部28と嵌合可能なボス30と、溝部29と嵌合可能なリブ31がそれぞれ立設している。このボス30及びリブ31を孔部28及び溝部29に嵌合させた状態で、アッパーケース16Aとロアケース16Bが一体となり、ケース16の他端側は、開口部34となる。
【0030】
ケース16の側壁の開口部34側には、長手方向の両端部を円弧状とした長孔部36がアッパーケース16A及びロアケース16Bに渡って形成されており、長孔部36には、該長孔部36の形状に合わせて形成された釦部38が配置可能となっている。
【0031】
長孔部36の長手方向の一端側(閉塞カバー32側)には、軸支穴42が形成されており、釦部38の長手方向の一端部に凸設された軸部40が係合可能となっている。この軸部40が軸支穴42内で軸支された状態で、軸部40を中心に、釦部38が揺動可能となる。
【0032】
また、釦部38の裏面側には、長手方向の他端側に、円柱状の突設部44(図5(A)参照)が凸設している。さらに、釦部38の表面には、釦部38の幅方向に沿って3本のリブ46(図5(A)参照)が形成され、指で触ったときの滑り止めとなっている。
【0033】
なお、この釦部38は、アッパーケース16Aとロアケース16Bとを一体にさせる前に、一方の軸部40をロアケース16B側の軸支穴42に係合させ、アッパーケース16Aとロアケース16Bを一体にするときに、他方の軸部40をアッパーケース16A側の軸支穴42に係合させる。
【0034】
一方、パレット14の一端側には、ケース16の外形と略同一の大きさに形成された前面カバー48が設けられている。この前面カバー48によってケース16の開口部34が塞がれることとなる。また、パレット14の上面には、パレット14の長手方向に沿って、略直方体状の収容部12A、12Bが平行に凹設されている。この収容部12A、12B内に口紅やアイシャドー等の化粧剤が収容可能となる。
【0035】
また、パレット14の上面の他端側は、フラット面となっており、裏面側には空洞部50が設けられている。この空洞部50にはギヤボックス52が収納され、パレット14に取付けられるようになっている。
【0036】
ギヤボックス52は平面視にて略正方形状の上ケース52Aと下ケース52Bとを備えており、ギヤボックス52内には回転可能に軸支されたシャフト53、55が配設されている。シャフト33には、ラック22とかみ合い可能なピニオン(ギヤ)54が固定されており、シャフト35にはピニオン54とかみ合うギヤ(減速ギヤ)56が固定されている。
【0037】
また、下ケース52Bの一辺には切欠き部57が形成されており、切欠き部57からはピニオン54の一部が露出可能となっている。このピニオン54の回転によって、ラック22を介して、ギヤボックス52がケース16の矩形凹部18内を摺動する。そして、このギヤボックス52を介して、パレット14がケース16に対してスライドすることとなる。
【0038】
ここで、ピニオン54及びギヤ56の上面には、板材59が載置される。ギヤ56のハブには、一対の弓形部67Aが立設し該弓形部67Aの下部を互いに架け渡した状態で形成された装着部67が設けられており、板材59には該装着部67が挿通可能な挿通穴59Aやシャフト53が挿通可能な挿通穴59Bが形成されている。
【0039】
また、下ケース52Bには上ケース52Aに形成された嵌合穴(図示省略)との嵌合のため、嵌合ボス61が立設しているが、この嵌合ボス61が挿通可能な挿通穴59Cも板材59には形成されている。
【0040】
そして、ピニオン54及びギヤ56の上面に板材59が載置された状態で、板材59の上面には、ぜんまいばね58が配置される。このぜんまいばね58の一端部は、ギヤ56の装着部67の弓形部67Aとシャフト55との間に装着され、ぜんまいばね58の他端部は、上ケース52Aに形成され平面視にて略コ字状に形成された装着部63に装着される。
【0041】
そして、ピニオン54の回転によって、ギヤ56が回転すると、これに伴って、ぜんまいばね58が巻締まり(図4(A)参照)、或いは巻弛み(図4(B)参照)することとなる。
【0042】
一方、パレット14の側壁には、パレット14がケース16内に収納された状態で、ケース16の長孔部36と対応する位置に矩形穴60が形成されており、該矩形穴60内には,平面視にて略L字状を成す爪部62が配置可能となっている。
【0043】
この矩形穴60の一端側(閉塞カバー32側)には、装着凹部64が設けられており、該装着凹部64には爪部62の一端部が装着され、爪部62の他端側(自由端部)がフリーとなっている。この爪部62の自由端側を押圧すると、爪部62には弾性力が蓄積され、押圧力を解除すると、復元して元の位置に戻る。
【0044】
ここで、爪部62の表面は、爪部62の自由端側へ行くに従って外側に張り出しており、図5(A)に示すように、パレット14をケース16内に収納した状態で、爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止されるようになっている。このため、パレット14はケース16に対するスライド移動が規制される。
【0045】
この状態から、図5(B)に示すように、釦部38を押圧すると、釦部38の裏面側に凸設された突設部44が爪部62に当接する(なお、図5(A)に示すように、初めから釦部38の突設部44が爪部62に当接した状態であっても良い)。そして、突設部44を介して爪部62を押圧すると、爪部62の自由端部が長孔部36の内縁部から係止解除される。これにより、パレット14はケース16に対してスライド可能となる。
【0046】
ここで、パレット14の裏面側には、パレット14の幅方向に沿って、ロアケース16Bの矩形凹部18の内縁部に当接可能なストッパー65が突出しており、該ストッパー65が、矩形凹部18の内縁部に当接した状態で、パレット14は移動規制される。
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る化粧品ケースの作用について説明する。
【0048】
図3(B)及び図4(B)に示すように、パレット14をケース16内に収納するとき、パレット14の前面カバー48を押圧する。これにより、ピニオン54がラック22に沿って移動して回転し、ギヤ56を回転させると共に、パレット14がケース16内へスライド移動する。このギヤ56の回転により、ぜんまいばね58が巻締まり、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積される(図4(A)参照)。
【0049】
このとき、パレット14に設けられた爪部62は、ケース16の内側に当接し、矩形穴60を通じてパレット14の内側へ押圧される。そして、パレット14がケース16内に収納されると、矩形穴60内の爪部62と長孔部36内の釦部38とが対向して配置されることとなるが、爪部62が長孔部36に到達すると、爪部62は復元して、長孔部36の内縁部に係止される。これにより、パレット14はロック状態となる(図5(A)参照)。
【0050】
このように、パレット14がケース16内に収納された状態(パレット14のロック状態)では、図5(A)に示すように、パレット14に設けられた爪部62の自由端部は、ケース16の長孔部36の内縁部に係止されている。また、ぜんまいばね58は巻締った状態となっており、パレット14がケース16から押し出される方向にギヤ56へ回転力を付与する弾性力が蓄積された状態となっている。
【0051】
この状態で、図5(B)に示すように、釦部38を押圧すると、釦部38の裏面側の突設部44を介して爪部62が押圧され、ケース16の長孔部36の内縁部から係止解除される(パレット14のロック解除の状態)。
【0052】
これにより、パレット14は移動規制された状態が解除され、ぜんまいばね58の復元力により、パレット14がケース16から押し出される方向へギヤ56が回転する。このギヤ56の回転に伴って、ピニオン54が回転して、ラック22に沿って移動し、該ピニオン54を介して、図3(B)に示すように、パレット14がケース16から押し出される。
【0053】
そして、パレット14が所定位置へスライド移動すると、パレット14の裏面側に設けられたストッパー65(図2参照)がロアケース16Bの矩形凹部18の内縁部に当接して、パレット14が移動規制される。この状態で、収容部12A、12Bは露出し、収容部12A、12B内の化粧剤が使用可能となる。
【0054】
以上のように、釦部38を押圧するだけで、パレット14のロック状態が解除され、ぜんまいばね58によって自動的にパレット14がスライドしてケース16から押し出されるため、操作が簡単であると共に、利き手に関係なく片手で操作でき、使い勝手が良い。
【0055】
また、ぜんまいばね58を設け、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56の装着部67に装着し、ぜんまいばね58の他端部を、ギヤボックス52の上ケース52Aに装着している。これにより、パレット14のスライド移動によって、ラック22を介してピニオン54及びギヤ56が回転し、これに伴って、ぜんまいばね58が巻締まり、或いは巻弛みすることとなる。
【0056】
このように、付勢手段として、ぜんまいばね58を使用することで、例えば、コイルばねや板バネと比較して、パレット14のストロークを増大させることができる。但し、付勢手段として、コイルばねや板バネを用いても良いのは勿論のことである。コイルばねや板バネを用いた場合、ケース16の奥方にコイルばねや板バネの一端部を装着し、他端部をパレット14の奥壁に装着しても良い。
【0057】
また、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56に装着することで、ピニオン54とギヤ56の歯面の接触によりトルクを増大させることができるため、ぜんまいばね58の復元時に減衰力を作用させることができる。このため、パレット14を静かにスライド移動させ、高級感を与えることができるが、必ずしもギヤ56を設ける必要はなく、また、さらに別のギヤをピニオン54とギヤ56の間に噛み合わせるようにしても良い。
【0058】
なお、本形態はあくまでも一実施例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0059】
例えば、本形態では、ぜんまいばね58の一端部をギヤ56に装着し、ぜんまいばね58の他端部を、ギヤボックス52の上ケース52Aに装着したが、ピニオン54やギヤ56を用いない状態で、ぜんまいばね58の一端部をパレット14側に装着し、他端部をケース16側に装着しても良い。この場合、ぜんまいばね58の付勢力に対して、ピニオン54とギヤ56とのかみ合いによる減衰力は得られないが、パレット14とケース16の摺動面の摺動抵抗を上げることで減衰力を得るようにしても良い。
【0060】
また、釦部38を押圧することで、爪部62を押圧したが、釦部38のスライド移動によって爪部62を押圧する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの平面図であり、(A)はパレットがケース内に収納された状態を示し、(B)はパレットがケースから押し出された状態を示している。
【図4】(A)、(B)は、本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの平面図であり、図3の(A)、(B)に対応する部分拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る化粧品ケースの横断面図であり、(A)はパレットがケース内に収納された状態の釦部と爪部の関係を示し、(B)はパレットをケースから押し出すときの釦部と爪部の関係を示している。
【符号の説明】
【0062】
10 化粧品ケース
12 収容部
14 パレット
16 ケース(携帯ケース)
22 ラック
36 長孔部(第1孔部、ロック手段)
38 釦部(ロック手段)
54 ピニオン(ギヤ)
56 ギヤ(減速ギヤ)
58 ぜんまいばね(付勢手段)
60 矩形穴(第2孔部)
62 爪部(ロック手段)
65 ストッパー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯ケースに対してスライドして収納され、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットと、
前記携帯ケースと前記パレットとの間に設けられ、前記パレットを前記携帯ケースから押し出す方向へ付勢する付勢手段と、
前記パレットが前記携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によって前記パレットのロック状態を解除するロック手段と、
前記ロック手段によるロック状態が解除されたとき、前記パレットを所定位置で停止させるストッパーと、
を有することを特徴とする化粧品ケース。
【請求項2】
前記携帯ケースにラックを形成し、前記パレットに前記ラックとかみ合って回転するギヤを設け、
前記付勢手段が、一端部が前記パレットに固定され、他端部が前記ギヤに装着されて、パレットが前記携帯ケース内に収納されると巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与するぜんまいばねであることを特徴とする請求項1に記載の化粧品ケース。
【請求項3】
前記ギヤに前記パレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせたことを特徴とする請求項2に記載の化粧品ケース。
【請求項4】
前記ロック手段が、
箱状の前記携帯ケースの側面に形成された第1孔部と、
前記第1孔部内に、携帯ケースの内側へ揺動可能に設けられた釦部と、
前記パレットの側面に形成された第2孔部と、
前記第2孔部内に設けられ、パレットが前記携帯ケース内に収納されたとき、前記第1孔部の内壁面に係止されてパレットをロックし、前記釦部に押されてパレットの内側へ揺動し、前記第1孔部の内壁面とのロック状態から解除される爪部と、
を含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧品ケース。
【請求項1】
携帯ケースに対してスライドして収納され、化粧剤が収容される収容部が凹設されたパレットと、
前記携帯ケースと前記パレットとの間に設けられ、前記パレットを前記携帯ケースから押し出す方向へ付勢する付勢手段と、
前記パレットが前記携帯ケース内へ収納された状態でパレットをロックし、押圧力によって前記パレットのロック状態を解除するロック手段と、
前記ロック手段によるロック状態が解除されたとき、前記パレットを所定位置で停止させるストッパーと、
を有することを特徴とする化粧品ケース。
【請求項2】
前記携帯ケースにラックを形成し、前記パレットに前記ラックとかみ合って回転するギヤを設け、
前記付勢手段が、一端部が前記パレットに固定され、他端部が前記ギヤに装着されて、パレットが前記携帯ケース内に収納されると巻締まり、パレットが携帯ケースから押し出される方向にギヤへ回転力を付与するぜんまいばねであることを特徴とする請求項1に記載の化粧品ケース。
【請求項3】
前記ギヤに前記パレットのスライド移動を減速させる減速ギヤを噛み合わせたことを特徴とする請求項2に記載の化粧品ケース。
【請求項4】
前記ロック手段が、
箱状の前記携帯ケースの側面に形成された第1孔部と、
前記第1孔部内に、携帯ケースの内側へ揺動可能に設けられた釦部と、
前記パレットの側面に形成された第2孔部と、
前記第2孔部内に設けられ、パレットが前記携帯ケース内に収納されたとき、前記第1孔部の内壁面に係止されてパレットをロックし、前記釦部に押されてパレットの内側へ揺動し、前記第1孔部の内壁面とのロック状態から解除される爪部と、
を含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の化粧品ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−175427(P2007−175427A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380158(P2005−380158)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(500470840)アサヌマ コーポレーション株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(500470840)アサヌマ コーポレーション株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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