説明

化粧塗装板

【課題】断熱性・防音性を備え、かつ、高い強度と生産性・経済性を持った化粧塗装板を提供する。
【解決手段】厚さ方向に細長い紡錘形の発泡層を形成したオレフィン系樹脂発泡板1(例えばポリプロピレン発泡板)の少なくとも片面に天然繊維、ガラス繊維または、合成繊維を素材とする織布、不織布、または紙の中から選ばれ繊維層2を形成し、上記繊維層2を介して例えば水性アクリル樹脂塗料により化粧塗装層3を形成した構成を採用し、必要ならば上記オレフィン系樹脂発泡板の要所に磁石を埋め込んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は化粧塗装板、詳しくは少なくとも片面に繊維層を形成したオレフィン系樹脂発泡板に化粧塗装層を形成した化粧塗装板に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特願2004−215589号で特定の密度をもったコルクと化粧板とを貼り合せた化粧塗装板を提案し、市場において一定の評価を得るに至っている。
【0003】
一方、上記化粧塗装板を市場に紹介する過程で、これと同程度の断熱性・防音(吸音)性を備え、かつ、より高い強度と生産性を持った化粧塗装板が求められるに至った。
【0004】
こうした要求に応える素材として調査していたところ、特開2000−062068号で「発泡性複合シート」が提案されており、この発泡性複合シートの特性を調べてみたところ上記要求をすべて叶えるものであることが分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記「発泡性複合シート」を素材に採用することにより、本出願人が先に提案した化粧塗装板より高い特性を有する化粧塗装板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明は、厚さ方向に細長い紡錘形の発泡層を形成したオレフィン系樹脂発泡板(1)(例えばポリプロピレン発泡板)の少なくとも片面に天然繊維、ガラス繊維または、合成繊維を素材とする織布、不織布、または紙の中から選ばれた繊維層(2)を形成し、上記繊維層(2)の上にエチレン・アクリル酸エステル共重合体を主剤とする水性エマルジョンの下地塗装(31)を介して例えば水性アクリル樹脂塗料により化粧塗装層(32)を形成してなる構成を採用し、必要ならば上記オレフィン系樹脂発泡板の要所に磁石(5)を埋め込んだものである。
【発明の効果】
【0007】
上記のごとく構成するこの発明によれば断熱性、防音(吸音)性はもとより生産性とコストダウンを図り、さらに強度を大幅に改善した化粧塗装板を提供できるようになった。また、上記化粧塗装層は、例えばローラーコーター法を採用することにより波、扇、松など種々の模様仕上げることができ、ドクタナイフ法や鏝塗装法を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0008】
次に本発明の実施例1を、図1を参照しながら説明する。表面に繊維層2である不織布を配した長さ2m×幅1m×厚さ5mmのポリプロピレン発泡板1(例えば積水化学工業株式会社製の商品名「ゼットロン」)の表面に、下記(a)の下地塗装(31)(例えばアイカ工業株式会社製、商品記号=JS−500)を介して下記(b)の化粧塗料(32)(例えば、アイカ工業株式会社製、商品記号=JP−100)をローラーコーター法により1.5〜3kg/mになるように塗付して塗装層3を形成して本実施例に係る化粧塗装板を試作した。なお、上記実施例ではポリプロピレン発泡板の片面にのみ化粧塗装を施したが、ポリプロピレン発泡板の両面に化粧塗装を施すことができる。また、上記繊維層は、天然繊維、無機(ガラス)繊維または、合成繊維を素材とすることができる。また、上記ポリプロピレン発泡板1に積水化学工業株式会社製を用いたが、これに限るものではなく、また、化粧塗料にアイカ工業株式会社製のものを用いたがこれに限るものではない。
【0009】


【0010】
(b)
* アクリル樹脂・・・・・・・・・・・・・・・・・10〜15重量%
* シリカ・酸化チタンを含む充填剤・骨剤 ・・・40〜50重量%
シリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜 5重量%
酸化チタン・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1〜 5重量%
寒水石粉末・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30〜48重量%
* 水 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25〜30重量%
【0011】
上記のごとく試作した化粧塗装板をホルマリン放出試験、断熱・防音(吸音)効果、生産性、経済性について検討した結果、いずれも良好な結果を得た。
【利用例】
【0012】
上記本発明の化粧塗装板は、通常の壁材、間仕切り材として好適であるのは当然であるほか、図2に示すようにポリプロピレン発泡板1内に強力な永久磁石5を埋め込むことにより簡単に壁面や間仕切りの模様替えを行うことができる。
【0013】
図2において、壁9は、地板6の表面に磁性金属板7が重ねられ壁紙8で覆われ、壁紙8の表面には図示してないが目立たないように位置決めマークが付けられ、このマークに合わせて本発明に係る化粧塗装板4を重ねる。こうするとプロピレン発泡板1内に埋め込んだ永久磁石5が磁性金属板7に吸着し、化粧塗装板4が壁9に簡単に取り付けられる。
【0014】
図2において、磁性金属板7は地板6の全面に配置されているが、帯状のもの、短冊状のものを地板6に埋め込むようにしてもよく、また、埋め込む永久磁石5の配置や数は貼り付ける化粧塗装板4の大きさ、重さによって適宜変えるのは当然である。また、使用する磁石は希土類磁性金属粉をベースとする公知の組成のものを、公知の結合材で結合または焼成したものである。
【0015】
上記のように本発明の化粧塗装板4を利用するならば、化粧板3の色合い・柄を適当に選択して季節感のある部屋を演出することができる。
【産業上の利用可能性】
以上説明したようにこの発明に係る化粧塗装板は、断熱性、防音性が良好で、軽量であり生産性、経済性が大幅に改良されるので産業上の利用価値が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明に係る化粧塗装板の断面図
【図2】 同化粧塗装板の利用例を示す斜視図
【符号の説明】
【0017】
1 ポリプロピレン発泡板
11:発泡層
2 不織布
3 塗装層
31 下地塗装
32 化粧塗装
4 化粧塗装板
5 永久磁石
6 地板(壁の)
7 磁性金属板
8 壁紙
9 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に細長い紡錘形の発泡層を形成したオレフィン系樹脂発泡板(1)の少なくとも片面に天然繊維、ガラス繊維または、合成繊維を素材とする織布、不織布、または紙の中から選ばれた繊維層(2)を形成し、その上に下地塗装(31)を介して化粧塗装層(32)を形成してなる化粧塗装板。
【請求項2】
上記オレフィン系樹脂発泡板(1)は、ポリプロピレン発泡板である請求項1に記載の化粧塗装板。
【請求項3】
上記下地塗装(31)に使用する塗料は、エチレン・アクリル酸エステル共重合体を主剤とする水性エマルジョンであり、化粧塗装層(32)は、水性アクリル樹脂系であり、樹脂固形分を10〜15%、シリカ、酸化チタンおよび寒水石の粉末を含む充填材・骨材を40〜50%、水25〜30%の組成からなる請求項1または2に記載の化粧塗装板。
【請求項4】
上記オレフィン系樹脂発泡板(1)の要所に磁石(5)を埋め込んでなる請求項1乃至6のいずれかに記載の化粧塗装板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−58488(P2010−58488A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260140(P2008−260140)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(504281673)高槻成型株式会社 (5)
【Fターム(参考)】