説明

化粧料用顔料およびそれを含有する化粧料

【課題】感触が良く、しかも撥水性、撥水撥油性または親水性を発現させることのできる化粧料用顔料を提供し、併せてその化粧料用顔料を含有する化粧料を提供する。
【解決手段】顔料粉体表面に、下記一般式(1)または下記一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースとを被覆処理する。
(R−C2nSi(OC2m+1 ・・・・(1)
(式中、n,m,a,bは1〜3の整数であり、a+b=4である。Rは飽和炭化水素基もしくは不飽和炭化水素基またはフッ素置換されたパーフルオロアルキル基を示す。)
【化4】


(式中、a,b,kは1〜3の整数であり、a+b=4である。mは2〜18の整数である。RおよびRは水素もしくは炭素数1〜18の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばファンデーション、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧料、またはサンスクリーン化粧料に配合される化粧料用顔料とその化粧料用顔料を含有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に撥水性、撥水撥油性または親水性などを発現させるために、その化粧料に配合される顔料粉体に下記一般式(1)にて示されるシラン化合物または下記一般式(2)にて示されるシラン化合物を表面処理することが行われている(特許文献1,2参照)。
(R−C2nSi(OC2m+1 ・・・・(1)
(式中、n,m,a,bは1〜3の整数であり、a+b=4である。Rは飽和炭化水素基もしくは不飽和炭化水素基またはフッ素置換されたパーフルオロアルキル基を示す。)
【化1】

(式中、a,b,kは1〜3の整数であり、a+b=4である。mは2〜18の整数である。RおよびRは水素もしくは炭素数1〜18の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を示す。)
【0003】
しかしながら、上述のシラン化合物を表面処理する場合に、特に酸化チタンや酸化鉄に代表される金属酸化物からなる顔料粉体においては、元来の感触の悪さがそのまま残ってしまう欠点がある。
【0004】
一方、酸化チタンや酸化鉄に代表される金属酸化物からなる顔料粉体においては、元来の感触の悪さをなくすためにセルロースや寒天などの天然由来高分子やポリアルキルアクリレートのような高分子化合物により感触にやわらかさを発現させるような処理がなされている。
【0005】
しかしながら、このようなセルロース等の高分子化合物による顔料粉体への表面処理によって感触の改善はなされるが、化粧料に撥水性、撥水撥油性または親水性を発現させるのが容易ではないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−26958号公報
【特許文献2】特開2008−169177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、感触が良く、しかも撥水性、撥水撥油性または親水性を発現させることのできる化粧料用顔料を提供し、併せてその化粧料用顔料を含有する化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明による化粧料用顔料は、
顔料粉体表面に、下記一般式(1)または下記一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースとを被覆処理してなること特徴とするものである。
(R−C2nSi(OC2m+1 ・・・・(1)
(式中、n,m,a,bは1〜3の整数であり、a+b=4である。Rは飽和炭化水素基もしくは不飽和炭化水素基またはフッ素置換されたパーフルオロアルキル基を示す。)
【化2】

(式中、a,b,kは1〜3の整数であり、a+b=4である。mは2〜18の整数である。RおよびRは水素もしくは炭素数1〜18の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を示す。)
【0009】
また、本発明による化粧料は、前記化粧料用顔料を含有してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明による化粧料用顔料を得る際に、上記一般式(1)または一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースの被覆処理は同時被覆処理されても良いし、2段階の工程で被覆処理されても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料用顔料によれば、上記一般式(1)または上記一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースとを被覆処理することにより、撥水性、撥水撥油性または親水性を発現させることができるとともに、未処理顔料の持つ感触の悪さを改善することができる。また、本発明の表面処理顔料を配合した化粧料によれば、感触および仕上がりの評価を向上させた、より良い化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明による化粧料用顔料およびそれを含有する化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0013】
本発明による化粧料用顔料を得るのに、シラン化合物とセルロースとを同時被覆処理する場合には、例えばヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等のミキサーによって、被覆されるべき顔料粉体と、上記一般式(1)または上記一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースとを適当な溶媒中で溶解または分散した液と混合したのち、溶媒を除去して解砕することにより所望の化粧料用顔料を得ることができる。
【0014】
また、2段階の工程で被覆処理する場合には、まず、被覆処理されるべき顔料とセルロースとを水中で良く分散させ、その後スプレードライヤー等の熱風噴霧式ドライヤーや減圧加熱乾燥等の方法により水分を除去してセルロース被覆処理顔料を得る。次いで、このセルロース被覆処理顔料と、上記一般式(1)または上記一般式(2)にて示されるシラン化合物とを適当な溶媒に溶解または分散させた液と混合したのち、溶媒を除去して解砕することにより所望の化粧料用顔料を得ることができる。
【0015】
本発明で用いられるミキサーとしては、上述のヘンシェルミキサー、レディゲミキサーのほか、ナウタミキサー等の粉体混合に用いられる一般的なミキサー混合機を使用することができる。
【0016】
一般式(1)または一般式(2)にて示されるシラン化合物を溶解または分散させる溶剤としては、水、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の極性溶媒や、ヘキサン、オクタン、イソドデカン、トルエン、キシレンのような有機溶剤を用いることが可能である。
溶剤の除去および乾燥方法としては加熱により行うのが一般的であるが、必要に応じて減圧を行ったのちスプレードライ等の噴霧式の乾燥を行っても良い。また、解砕の方法としては、アトマイザー、ピンミル等の一般的な解砕機や送風分級装置を備えた微粉砕機等を用いることができる。
【0017】
上記一般式(1)に示されるシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン等のアルキルアルコキシシランや、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカデシルトリエトキシシラン等のパーフルオロアルキルアルコキシシラン等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(2)に示されるシラン化合物としては、エボニックデグサ(株)からDYNASILAN4140の名称で市販されているポリエーテルシラン、信越化学工業(株)からKBM−641、KBM−713の名称で市販されているポリエーテルシラン化合物等や、3−アミノプロピルトリメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いられるセルロースは種々の市販のものを使用することができる。それらの粒子径は表面被覆される顔料の粒子径や目的の性能評価により適時選択されうるものである。
【0020】
本発明に用いられる化粧料顔料としては、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、またはパール顔料等が挙げられる。
【0021】
無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等が挙げられる。
【0022】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、アクリルパウダー、アクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、微粒子酸化チタン、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化亜鉛等の微粒子粉体、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0025】
パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等から選ばれる粉体が挙げられる。
本発明の効果を上げる目的で、被覆処理に際して塩化アルミニウムや塩化鉄のようなハロゲン化金属およびその水和物等を少量用いることができる。
【実施例】
【0026】
次に、本発明による化粧料用顔料およびそれを含有する化粧料の代表的な実施例について説明する。なお、これらの実施例は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0027】
(製造実施例1)
固形分5%セルロース(セルロース粒子径1μm以下)水分散液200gと、塩化アルミニウム六水塩1gと、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン30gと、イソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、ホモジナイザーで良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて90℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、目的の撥水撥油性を有するセルロース処理された酸化チタンを得た。
【0028】
(製造実施例2)
製造実施例1においてトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの使用量を50gに変更して、同様の方法で目的の撥水撥油性を有するセルロース処理された酸化チタンを得た。
【0029】
(製造実施例3)
製造実施例2において酸化チタンをセリサイトに変更した以外は同様にして、目的の撥水撥油性を有するセルロース処理されたセリサイトを得た。
【0030】
(製造実施例4)
固形分5%セルロース水分散液200gと、塩化アルミニウム六水塩1gと、オクチルトリエトキシシラン20gと、イソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、ホモジナイザーで良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて90℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、目的の撥水性を有するセルロース処理された酸化チタンを得た。
【0031】
(製造実施例5)
固形分5%セルロース水分散液200gと、エボニックデグサ(株)製のDYNASYLAN4140を20gと、イソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、ホモジナイザーで良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて80℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、目的の親水性を有するセルロース処理された酸化チタンを得た。
【0032】
(製造比較例1)
トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン30gとイソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて90℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、撥水撥油性を有する酸化チタンを得た。
【0033】
(製造比較例2)
製造比較例1においてトリデカフルオロオクチルトリエトキシシランの仕込み量を30gから50gに変更した以外は同様にして、撥水撥油性を有する酸化チタンを得た。
【0034】
(製造比較例3)
製造比較例2において酸化チタンをセリサイトに変更した以外は同様にして、撥水撥油性を有するセリサイトを得た。
【0035】
(製造比較例4)
オクチルトリエトキシシラン20gとイソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて90℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、撥水性を有する酸化チタンを得た。
【0036】
(製造比較例5)
エボニックデグサ(株)製のDYNASYLAN4140を20gとイソプロピルアルコール300gとをステンレス製ビーカに入れ、良く撹拌して処理剤分散溶液を作成した。この分散溶液と酸化チタン1000gとをヘンシェルミキサーに投入し撹拌した。撹拌を続けながらヘンシェルミキサーを加温および減圧して溶剤を除去した。処理粉体をヘンシェルミキサーから取り出し、乾燥機にて80℃で乾燥した後アトマイザー粉砕を行い、親水性を有するセルロース処理された酸化チタンを得た。
【0037】
上記製造実施例1〜5および製造比較例1〜5で得られた顔料の評価が表1および表2にまとめて示されている。なお、撥水性および撥油性は水および流動パラフィンの接触角の値で示し、感触評価は未処理原料との比較を評価した。
【0038】
【表1】

【表2】

【0039】
表1および表2より、セルロースと複合化処理しても酸化チタンにおいては十分な撥水性もしくは撥水撥油性を有し、原料特有のパサツキ感が減少していることがわかる。一方、セリサイトにおいては原料よりしっとり感が向上し、十分な撥水撥油性を有していた。また、製造実施例5および製造比較例5における親水化処理酸化チタンは感触以外に違いがなく、水への分散は同程度に分散していた。
【0040】
次に、化粧品への配合実施例を示す。
(配合実施例)
製造実施例1で得られた表面処理酸化チタンおよび製造実施例4で得られたセリサイトを用いて以下の配合にてパウダーファンデーションを調製した。他の顔料粉体としては、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランを3%表面処理したフッ素処理顔料を用いた。
まずパウダーベースを以下の配合にて調製した。
<パウダーベース配合>
製造実施例4の表面処理セリサイト 60.0
フッ素表面処理タルク 27.0
製造実施例1の表面処理酸化チタン 10.0
フッ素表面処理黄酸化鉄 2.0
フッ素表面処理ベンガラ 0.6
フッ素表面処理黒酸化鉄 0.3
メチルパラベン 0.1
合計 100.0
次にバインダーベースを以下の配合で調製した。
<バインダーベース配合>
ジメチコン トリメトキシシリケート 29.85
ジメチコン(20) 70.00
フェノキシエタノール 0.10
トコフェノール 0.05
合計 100.00
前記パウダーベースおよびバインダーベースをそれぞれ90%および10%になるようにミキサーで混合してパウダーファンデーションを得た。
【0041】
(配合比較例)
すべての顔料粉体について、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランのみを3%表面処理したフッ素処理顔料を用い、配合実施例と同様の配合比でパウダーファンデーションを作成した。
【0042】
配合実施例および配合比較例で得られたファンデーションの評価が表3にまとめて示されている。
【0043】
【表3】

【0044】
表3に示される結果より、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランによる表面処理時にセルロースを同時に表面処理した顔料を配合してなるパウダーファンデーションは、セルロースを用いない顔料からなるパウダーファンデーションよりも塗布時の滑らかさや仕上がりが良くなり、しかも十分に撥水性能を保持していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の化粧料用顔料は、感触が良く、しかも撥水性、撥水撥油性または親水性を発現させることができるので、ファンデーション、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧料、またはサンスクリーン化粧料に配合して好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料粉体表面に、下記一般式(1)または下記一般式(2)にて示されるシラン化合物とセルロースとを被覆処理してなること特徴とする化粧料用顔料。
(R−C2nSi(OC2m+1 ・・・・(1)
(式中、n,m,a,bは1〜3の整数であり、a+b=4である。Rは飽和炭化水素基もしくは不飽和炭化水素基またはフッ素置換されたパーフルオロアルキル基を示す。)
【化3】

(式中、a,b,kは1〜3の整数であり、a+b=4である。mは2〜18の整数である。RおよびRは水素もしくは炭素数1〜18の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基を示す。)
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料用顔料を含有してなることを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2011−111398(P2011−111398A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267168(P2009−267168)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(391015373)大東化成工業株式会社 (97)
【Fターム(参考)】