説明

化粧料

【課題】 化粧料として、基材の液に小さなカプセルが浮遊しているタイプのものが知られている。これは、水相の外液に対して、カプセルに内包させることによって、油性の成分を混合することができるというメリットがある。このようなカプセルタイプの化粧料では、カプセルが簡単に潰れて、皮膚に均一に延びて綺麗に広がって塗布できる必要がある。しかし、従来のものはこれが難しく、どうしてもカプセルが皮膚上で滑るため潰れにくく均一に塗布できなかった。そこで、皮膚上でカプセルが滑らず、その位置で簡単に潰れ、均一に塗布できる化粧料を提供する。
【解決手段】 水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、化粧液に混合したものであって、該化粧液には不溶性粉体を該化粧液に対して0.05〜1.0重量%混合したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料として、基材の液に小さなカプセルが浮遊しているタイプのものが知られている。これは、水相の外液に対して、カプセルに内包させることによって、油性の成分を混合することができるというメリットがある。特許文献1参照。
更に、カプセルの色を変えることによって美観の優れたものになり置いておくだけでも綺麗なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3151169号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカプセルタイプの化粧料では、カプセルが簡単に潰れて、皮膚に均一に延びて綺麗に広がって塗布できる必要がある。しかし、従来のものはこれが難しく、どうしてもカプセルが皮膚上で滑るため潰れにくく均一に塗布できなかった。
【0005】
そこで、皮膚上でカプセルが滑らず、その位置で簡単に潰れ、均一に塗布できる化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明化粧料を完成したものであり、その特徴とするところは、水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、化粧液に混合したものであって、該化粧液には1〜20μmのサイズが90重量%を占める不溶性粉体を該化粧液に対して0.05〜1.0重量%混合した点にある。
【0007】
本発明化粧料は、いわゆる化粧品だけでなく、医薬部外品や香水等も含む概念として使用する。
【0008】
アルギン酸塩のカプセルとは、水に不溶のアルギン酸塩で構成されたカプセルであり、アルギン酸カルシウムやアルギン酸バリウムがある。
【0009】
次にカプセルの製造方法について説明する。
カプセルは、滴下液を、それを受ける反応液に滴下することによって生成する。滴下液は、例えば、アルギン酸、グリセリン、水、顔料を混合して製造する。反応液は、アルギン酸と不溶性の塩をつくる水溶液である。例えば、0.2〜1%の塩化カルシウムの液である。
【0010】
この滴下液を細いパイプ(内径が0.1〜2mm程度)から、1滴づつ滴下する。反応液に入ると、アルギン酸がカルシウム塩等と直ちに反応し不溶性のアルギン酸塩を作り、球状のカプセルになる。滴下された液は周囲が反応して不溶化するため、滴下した液はそのまま内包されてカプセルになる。カプセルの大きさは前記した滴下パイプの内径で決まるが、0.2〜5mm程度である。
【0011】
このカプセルを反応液から出し、水で適当に洗浄すればよい。勿論、他の工程を加えてもよい。これを網等ですくい水を切ればよい。
【0012】
また、滴下液と反応液を逆にしてもよい。例えば、塩化カルシウムの水溶液をアルギン酸ナトリウムの水溶液に滴下するのである。これも同じようにカプセル化する。
【0013】
カプセル化する液をエマルジョンにしてもよい。このようにすると油性の成分が混合できる。
【0014】
ここでいう添加剤とは、カプセル内の水に含まれるものであって、比重調整剤、保湿剤、種々のエキス、油剤(界面活性剤と共に)、香料、ビタミン類、薬効成分、防腐剤、着色料のうちの1つ又は任意の複数である。即ち、このなかのどれかは必ず含まれているが、必ずしも1つとは限らないのである。
【0015】
比重調整剤は、本体となる液に浮遊させるため、その液とほぼ同等の比重(密度)にするためのものである。例えば、グリセリン、その他の高級アルコール等である。比重調整剤は、液によっては比重が1以下の場合も1以上の場合もある。また、浮遊といってもどちらかといえば浮かす方向にするのか、沈ませるのか、また中間に浮かせるのかによっても使用するものや混合量が異なる。
【0016】
本発明化粧料は、このカプセルを多数、化粧液(外液)に混合したものである。
【0017】
次に本発明化粧料の本体ともいうべき外液(化粧液)について説明する。
化粧液は、肌を清潔にし、潤いを補給し、皮膚を健やかに保つものである。基本成分は水であり、精製水、アルコール、保湿剤、柔軟剤、増粘剤、香料、防腐剤、色材、褪色防止剤、ビタミン等の薬効成分等のうち1種又は複数が混合される。
【0018】
更に、本発明では、この化粧液に、1〜20μmのサイズが90重量%を占める不溶性粉体を混合している。
ここでいう不溶性粉体とは、シリカ(二酸化ケイ素)の粉体、炭酸カルシウムの粉体、その他の無機系の粉体をいう。中でも、真球状多孔性ファインシリカ(非晶質二酸化ケイ素)が好適であった。
サイズ的には、平均粒径が3〜15μm程度であり、なかでも5〜12μmが好適であった。粒度分布はシャープなものが好ましい。例えば、平均粒径が半分から倍までのもので90重量%以上を占めるもの等である。平均粒径が5μmの場合、2.5μmから10μmまでのもので全体の90重量%を占めるということである。
【0019】
この粉体の混合量は、化粧液全体の0.05〜1.0重量%である。0.05%以下では効果がほとんどなく、1.0%以上では、ざらついてかえって塗布しずらいためである。
【0020】
更に、化粧液には、カプセルを膨潤させて、手で簡単に潰れるようにするため、カプセル膨潤剤を混合する。膨潤剤としては、膨潤効果があればどのようなものでもよいが、カルボキシビニルポリマー等が好適である。この量は、0.05〜1.0重量%が好適である。
【0021】
化粧液の中でのカプセルの状態は、カプセルが完全にどの位置でも浮かんで停止するというような浮遊状態だけでなく、少しカプセルが軽くてほとんどすべてが液面に浮いていても、また逆にすべてが沈んでいてもよい。カプセルの量(数)が多ければ、全体として容器の中では浮いたように見える。
【0022】
また、カプセルを浮かせるために、化粧液の粘度や比重が小さい場合には、増粘剤(アルカラン等)を加えてもよい。これはカプセルの比重によっても、また浮かせるか沈ませるか等によって、混合するか否か等は自由に決めればよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明化粧料には次のような利点がある。
(1) カプセルが浮遊して見た目に非常に綺麗である。
(2) カプセル側と化粧液側と異なるものを含有させることができ便利である。
(3) 外液に無機系粉体が混合されているため、カプセルが滑らず、適当な摩擦によって容易に潰れる。
(4) 化粧液に無機系粉体があるため、塗布する場合液としての延びや滑りがよい。よって、塗布しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
実施例1
カプセルの調整
滴下する液
1 アルギン酸ナトリウム2%水溶液:20重量%
2 コラーゲン(保湿剤):0.1重量%
3 ヒアルロン酸ナトリウム:0.01重量%
4 加水分解エラスチン:0.1重量%
5 水:79.79重量%
滴下を受ける液(反応液)
塩化カルシウムの1重量%水溶液
【0026】
滴下液を反応液中に、内径0.5mmのノズルからゆっくりと1滴づつ落下させた。受ける液中では、すぐに約1mm径のカプセルになった。このカプセルを網ですくい上げて、精製水の中に入れさっと洗った。これでカプセルは完成である。
【0027】
上記のカプセルを使用して、実施例及び比較例を作成し種々の効果を調べた。
【表1】

【0028】
表1で使用したエキスは、ビタミン等0016段落で記載したもの等であり、本発明の効果にはあまり関係がないため詳細は記載していない。
また、「SiO径:5μm」とは、二酸化ケイ素で平均粒径が5μmのものである。粒度分布としては、3μm〜8μmで全体の90重量%を占めている。同様に、「SiO径:12μm」では、9μm〜15μmで全体の90重量%を占めている。「CaCO径:5μm」も同様である。
【0029】
表1の効果の「塗布しやすさ」は、カプセルが滑らずに容易に潰れる程度を示すもので、◎は非常によい、○は比較的よい、△は粉体のないものよりは少しはまし、×は粉体のないものと同じである。
外観は、見た目であり、◎は粉体の存在を意識させないもの、○は少し見える、×は白濁してほとんどカプセルが見えなくなるもの。
【0030】
官能評価は、皮膚に塗布したときの滑らかさであり、「きしきし」とする不快感がない程度であり、◎は非常に滑らか、○は滑らか、×はきしきしする感じである。
【0031】
比較例1は粉体をまったく混合しないもので、比較例2は粉体の混合量が少なすぎ、比較例3は粉体の混合量が多すぎる例である。
粉体が無いか少なすぎると、カプセルが潰れにくく、カプセルがころころと逃げて塗布しにくいものであった。また、混合しすぎるとそれが邪魔になりかえって逆効果であった。さらに、多すぎるとその粉体が外観を損なう。
【0032】
実施例ではすべて良好であったが、炭酸カルシウムよりは二酸化ケイ素の方がよかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び添加剤を内包したアルギン酸塩のカプセルを、化粧液に混合したものであって、該化粧液には不溶性粉体を該化粧液に対して0.05〜1.0重量%混合したことを特徴とする化粧料。
【請求項2】
該不溶性粉体のサイズは、1〜20μmのものが90重量%を占めるものである請求項1記載の化粧料。


【公開番号】特開2010−189361(P2010−189361A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37894(P2009−37894)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(391027929)三粧化研株式会社 (17)
【Fターム(参考)】