説明

化粧用隠蔽シールの製造システム

【課題】本発明は皮膚上の凹凸やしみ、ソバカス等を隠すために用いる化粧用隠蔽シールの化粧用隠蔽シールの製造システムに関し、短時間かつ低コストで顧客の要望に対応した化粧用隠蔽シールを製造することを課題とする。
【解決手段】顧客Aの肌に付されて被隠蔽部位を隠蔽する化粧用隠蔽シール5の製造システムであって、顧客Aの顔画像を撮像する撮像カメラ2と、撮像カメラ2により得られた顔画像に基づき化粧用隠蔽シール5を特定するための属性を決定する属性決定手段(ステップ16〜34)と、この属性決定手段(ステップ16〜34)により決定された属性に対応した化粧用隠蔽シール5を印刷するプリンター3とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧用隠蔽シールの製造システムに係り、特に皮膚上の凹凸やしみ、ソバカス等を隠すために用いる化粧用隠蔽シールの化粧用隠蔽シールの製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肌の凹凸及び濃色部分を隠すためには、ファンデーション、その他塗布方式の化粧品が使われていた。しかし、このような塗布方式の化粧品で隠すためには、肌色との調和など化粧に手間と時間を要し、簡便性に欠けるほか、その隠蔽性が不足するため、ある程度目立たなくすることはできても十分にその目的を達成することはできなかった。特に、顔のしわは一般的に年齢が高くなるほどできやすく、しかもしわの深さも深くなる傾向があり、塗布方式の化粧品で隠すには限界がある場合が多い。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、肌色に着色したフィルムを隠したい部分に貼る方法が考えられるが、肌色にフィルムを貼った場合には次のような問題がある。即ち、フィルムに厚さがあるためその端部が目立ちやすいこと、表面にテカリ(艶)が出やすく肌の状態に近づけることが難しいこと、伸縮性を肌に合わせることが難しいこと(曲げ伸ばしなど動きのある身体の部位に貼着する場合、皮膚の動きに追随する必要がある)、水分透過性が低く汗によるムレを生じること等である。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されているような、化粧用隠蔽シールを用いて、ニキビ等による皮膚上の凹凸部分、熱傷によるケロイド跡や植皮跡、手術跡や傷跡、毛穴、皺等の皮膚の凹凸、しみ、ソバカス等を隠すことが考えられている。
【特許文献1】特開2001−278739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように化粧用隠蔽シールを用いることにより、肌の凹凸及び濃色部分等を確実に隠すことができ、また柔らかく伸縮性があって肌にフィットしやすく、水分透過性(透湿度)が高くて蒸れることがなく、また、表面に「テカリ」がなく、その上に化粧品が付きやすく、化粧用として簡便、かつ良好に使用することができる。
【0006】
ところで、化粧水或はファンデーション等の化粧品においては、顧客に最適な商品を提供する手法の一つとして、肌状態診断システムおよび美容のためのカウンセリングシステム等の開発が行われている。これに対して、化粧用隠蔽シールにおいては、顧客の肌に対応した化粧用隠蔽シールを選定或は製造するためのカウンセリングシステムは構築されていないのが現状である。このため、顧客の肌の状態に最適な化粧用隠蔽シールを顧客に提供することができないという問題点があった。
【0007】
また、顧客の肌の状態に対応した化粧用隠蔽シールを製造しようとした場合、従来の手法では、転写パターン作成、刷版作成、印刷という通常の印刷工程を実施する必要があり、製造に時間が係ると共に製造コストが上昇してしまうという問題点があった。更に、この個々の顧客に対応するカウンセリングシステムでは、必然的に製造され化粧用隠蔽シールはオーダーメード的な小ロットでの調達となり、これによっても化粧用隠蔽シールの製造が長時間化し、また高コスト化してしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、短時間かつ低コストで顧客の要望に対応した化粧用隠蔽シールを製造しうる化粧用隠蔽シールの製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項1記載の発明は、
被装着者の肌に付されて被隠蔽部位を隠蔽する化粧用隠蔽シールの製造システムであって、
被対象者の顔画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により得られた顔画像に基づき前記化粧用隠蔽シールを特定するための属性を決定する属性決定手段と、
該属性決定手段により決定された属性に対応した処方を決定し、該処方に基づき前記化粧用隠蔽シールを印刷する印刷手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記顔画像から得られる肌診断データに基づき、前記化粧用隠蔽シールの転写パターンを決定する転写パターン決定手段を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、
請求項2記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記転写パターン決定手段で生成される前記転写パターンに基づき印刷条件を決定する印刷条件決定手段を有することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記顔画像から得られる肌診断データに基づき、前記化粧用隠蔽シールの色調の決定を行う色調決定手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
上述の如く本発明によれば、容易かつ迅速に顧客に最適な隠蔽シールを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施例である化粧用隠蔽シールの製造システムを示すハード構成図である。同図では、顧客Aが化粧用隠蔽シール5を購入する際、化粧品販売店の美容部員が顧客Aに対してカウンセリングを行うときに用いられるシステムを例に挙げている。このシステムは、化粧用隠蔽シール5が販売される化粧品販売店の店頭に設けられる。
【0017】
本実施例に係る化粧用隠蔽シールの製造システムは、大略するとパーソナルコンピータ1,撮像カメラ2,及びプリンター3とにより構成されている。パーソナルコンピータ1は、表示装置(以下、CRTという)12,キーボード13,及び装置本体14等により構成されている。撮像カメラ2は顧客Aの顔画像をパーソナルコンピータ1に入力するものであり、高解像度のCCDカメラが採用されている。また、プリンター3は、パーソナルコンピータ1から制御動作によりカラー印刷を行い得る構成とされており、化粧用隠蔽シール5はプリンター3により印刷される。
【0018】
装置本体14は、内部に各種プログラムの実行を行う制御装置及び記憶装置等が設けられている。後述する化粧用隠蔽シール製造処理のプログラム及びこの処理に用いる各種データベースは記憶装置内に格納されており、制御装置はデータベースに格納されているデータを用いて化粧用隠蔽シール製造処理のプログラムを実行し、これにより顧客Aに適した化粧用隠蔽シール5を製造する構成とされている。
【0019】
本実施例では装置本体14の記憶装置に、肌診断DB6、基本転写パターンDB7、配置パターンDB8、印刷条件DB9、モジュール処理DB10、及び商品DB11の6種類のデータベース(以下、DBと略称する)を有している。肌診断DB6は、過去の肌診断処理により経験的に得られた肌診断データと、この各肌診断データに適合した化粧用隠蔽シールの属性データとが対応付けられた状態で格納されている。
【0020】
基本転写パターンDB7は、過去に経験的に得られた肌診断データ及び年齢、肌状態別に基づき作製された化粧用隠蔽シール5の基本転写パターンが格納されている。ここで転写パターンとは、化粧用隠蔽シール5に印刷される最小の印刷単位の形状をいい、例えば三角形,ひし形等の形状のパターンである。
【0021】
配置パターンDB8は、予め定められた複数の基本配置パターンが格納されている。この基本配置パターンは、上記した転写パターンを組み合わせることにより生成されるものである。具体的には、転写パターンの等間隔,チェーンドット,ランダムな並びや、或はグラデーション等である。印刷条件DB9は、実際にプリンター3を用いて化粧用隠蔽シール5を印刷する際の印刷条件が格納されている。
【0022】
モジュール処理DB10は、主に化粧用隠蔽シール5を印刷するのに用いられる基本色(これを組み合わせることにより所望の色を生成する)が格納されている。更に、商品DB11には、既に販売されている化粧用隠蔽シール5の各種データ(転写パターン,基本配置パターン,色等)が、化粧用隠蔽シール5の種類毎に格納されている。
【0023】
続いて、制御装置が実行する化粧用隠蔽シール製造処理について説明する。図2及び図3は化粧用隠蔽シール製造処理を示すフローチャートであるが、この具体的な化粧用隠蔽シール製造処理を説明する前に、図4を用いて本実施例における化粧用隠蔽シール5の製造方法の基本原理について説明する。
【0024】
本実施例では、撮像カメラ2により撮像される顧客Aの顔画像に基づき、顧客Aに最も適した化粧用隠蔽シール5の製造を行う。撮像カメラ2により撮像される顧客Aの顔画像から肌診断データを生成し、この肌診断データに基づき化粧用隠蔽シール5の形状、配置方法、印刷条件、及び色合いを決定する。
【0025】
化粧用隠蔽シール5の形状の決定は、基本転写パターンDB7に格納されている転写パターンを用いて行われる。この転写パターンは、前記のように化粧用隠蔽シール5に印刷される最小の印刷単位の形状をいい、例えば三角形,ひし形等の形状のパターンである。化粧用隠蔽シール5を肌に付した場合、この転写パターンが肌の状態に適応してると被隠蔽部位を効果的に隠蔽することができる。このため、転写パターンの選定は重要である。
【0026】
また、化粧用隠蔽シール5の配置方法の決定は、配置パターンDB8に格納された基本配置パターンから選択することにより行なわれる。この配置パターンも肌の状態に適応している場合、被隠蔽部位を効果的に隠蔽することができる。
【0027】
更に、化粧用隠蔽シール5の印刷条件及び色合いの決定は、化粧用隠蔽シール5を印刷により製造するのに必要な条件であって、転写パターン及び配置パターンが肌に適合していても、色合いが肌に適合していない場合には被隠蔽部位を効果的に隠蔽することができない。また、印刷条件が適正でない場合には、各パターンや色合いが適正であっても被隠蔽部位を効果的に隠蔽する化粧用隠蔽シール5を印刷することができない。このため、印刷条件及び色合いの決定も、被隠蔽部位を効果的に隠蔽するのに重要な条件となる。尚、上記した化粧用隠蔽シール5の形状、配置方法、印刷条件、及び色合いを総称して、化粧用隠蔽シール5の属性というものとする。
【0028】
次に、上記の原理を参考にしつつ、図2及び図3を用いて化粧用隠蔽シール製造処理について説明する。
【0029】
化粧用隠蔽シール製造処理が開始されると、先ずステップ10(図では、ステップをSと略称している)において、撮像カメラ2を用いて顧客Aの顔画像を撮像する。続いて、ステップ12において、取り込まれた顔画像の内で肌診断用画像として使用する対象部位を決定する。この対象部位の決定では、CRT12に映し出された顧客Aの顔画像を参照し、化粧用隠蔽シール5の属性の決定に最も効果的である部位(以下、対象部位という)の選定が行われる。
【0030】
ステップ12で顔画像から対象部位が決定されると、続いてステップ14において、この対象部位に対して肌診断が行われる。この肌診断では主に肌の「きめ」の診断が行われ、この「きめ」の診断結果、年齢、及び「きめ」以外の肌状態等を含む肌診断データが作成される。
【0031】
続くステップ16では、ステップ14で生成された肌診断データと前記した肌診断DB6に格納されているデータとを比較し、ステップ14で生成された肌診断データと類維持した肌診断データが肌診断DB6内に格納されているかどうかの検索処理を行う。そして、ステップ装置本体14において肯定判断(YES)がされると、即ち顧客Aの肌診断データが肌診断DB6に格納されている過去の肌診断データと同一或は近似していると判断された場合には、当該肌診断データに対応した化粧用隠蔽シールの属性を抽出し、その中の転写パターンを今回顧客Aの化粧用隠蔽シール5として用いる転写パターンとする。
【0032】
ここで、前記したように肌診断DB6は、過去の肌診断処理により経験的に得られた肌診断データと、この各肌診断データに適合した化粧用隠蔽シールの属性データとが対応付けられた状態で格納されている。このため、顧客Aの肌診断データがこの肌診断DB6に格納されている過去の肌診断データと同一或は近似している場合には、後述するステップ18〜24の処理を実施するまでもなく、直ちに顧客Aの肌診断データに対応した化粧用隠蔽シール5の属性を決定することができる。従って、ステップ16で肯定判断がされた場合には、処理はステップ28に進む構成としている。
【0033】
一方、ステップ16で否定判断(NO)がされた場合には、ステップ18において顧客Aの肌診断データに基づき顧客Aに最適な転写パターン分析処理が実施され、続くステップ20では基本転写パターンDB7に格納されている既存の転写データから、ステップ18で分析処理された最適転写パターンの形状の抽出処理が行われる。ステップ18及びステップ20で実施される具体的な処理としては、ステップ14で得られた肌診断データの内、特に肌の「きめ」に注目し、この肌の「きめ」に適合した転写パターンの抽出を行う。また、肌の「きめ」は年齢等によっても変化するものであるため、これらの要件も考慮して最適転写パターンの抽出処理を行う。
【0034】
即ち、皮膚表面は、例えば20代の肌の状態は、三角形状の凸状部が集合した状態にあり、所謂キメの細かい肌であるが、年齢を経るにつれその三角形状は大きくなり、また、凸状部間の溝は浅くなる傾向にある。よって、これを考慮して最適転写パターンの抽出処理を行う際、転写パターンの形状として三角形状、菱形形状を選定することにより肌との違和感がない化粧用隠蔽シール5を製造できる。また、肌の「きめ」に基づき転写パターンの配列に規則性を無したり、その大きさやその厚みを適宜に設定したりすることにより、年齢に応じた肌との馴染みの良好な化粧用隠蔽シール5を製造することが可能となる。
【0035】
続くステップ22では、転写パターンの配置方法の設定が行なわれる。この転写パターンの配置方法の設定は、配置パターンDB8もステップ14で得られた肌診断データに基づき実施される。配置パターンDB8は、予め定められた複数の基本配置パターンが肌診断データ(過去の経験的なデータ)に関連付けられて格納されている。このため、配置パターンDB8に格納されている顧客Aの肌情報データに近似した肌診断データに対応した基本配置パターンを抽出することにより、顧客Aの肌に対応した基本配置パターンを選定することができる。
【0036】
尚、基本配置パターンとは、前記したように転写パターンを組み合わせることにより生成されるもの(簡単にいうと並べ方)である。具体的には、等間隔,チェーンドット,ランダム、或はグラデーション等である。
【0037】
ステップ22で転写パターンの配置方法(配置パターン)が決定されると、続くステップ24では適切な既存印刷条件があるか否かが判断される。これは、上記のステップ18〜ステップ22で決定された転写パターン及び配置パターンに基づき、印刷条件DB9を参照することにより行われる。印刷条件DB9は、実際にプリンター3を用いて化粧用隠蔽シール5を印刷する際の印刷条件が、転写パターン及び配置パターン(基本条件)に対応付けて格納されている。従って、ステップ24では、ステップ18〜ステップ22で決定された転写パターン及び配置パターンに対応する印刷条件が印刷条件DB9に格納されているかどうかが判断される。
【0038】
ステップ24において肯定判断(YES)がされた場合は、処理はステップ26に進み、予め印刷条件DB9に格納されている印刷条件をそのまま今回の顧客Aの化粧用隠蔽シール5を印刷する条件として選択する。一方、否定判断(NO)がされた場合は、印刷条件DB9に格納されている印刷条件を用いることができないため、ステップ28において印刷条件を新規に設定する。この際、ステップ18〜ステップ22で決定された転写パターン及び配置パターンを考慮して印刷条件が設定される。
【0039】
ステップ26或はステップ28の処理により印刷条件が設定されると、続くステップ30において色調(色合い)の設定処理が行なわれる。具体的には、ステップ14で求められた肌診断データの内、特に肌の色に注目し、顧客Aの肌の色に適合した化粧用隠蔽シール5の色合いを個別に調整する。この際、色素配合量も決定する。
【0040】
続くステップ32では、モジュール処理DB10を参照し、ステップ30で決定された色調を実現するのに必要な基本色の選定処理を行う。モジュール処理DB10は、化粧用隠蔽シール5を印刷するのに用いられる基本色(これを組み合わせることにより所望の色を生成する)が格納されると共に、多数の基本的な肌の色を実現するための基本色の組み合わせレシピ(以下、モジュール化処方という)が格納されている。
【0041】
そこで、ステップ32では、ステップ30で決定された色調を実現するモジュール化処方がモジュール処理DB10内に格納されているか否かを判断する。ステップ32で否定判断(NO)がされた場合は、モジュール処理DB10内にステップ30で決定された色調を実現するモジュール化処方が存在しているため、このモジュール化処方をそのまま使用する(ステップ36)。これに対し、ステップ32で肯定判断(YES)がされた場合は、モジュール処理DB10内にステップ30で決定された色調を実現するモジュール化処方が存在しないため、新たにステップ30で決定された色調を実現するための処方(基本色の組み合わせ)を設計する(ステップ34)。
【0042】
続くステップ38では、上記のように属性が決定された化粧用隠蔽シール5、換言すると顧客Aの肌に適合した化粧用隠蔽シール5が、既存の商品(既に製品化されている化粧用隠蔽シール)に存在するか否かが判断される。ステップ38で肯定判断(YES)がされた場合は、プリンター3を用いて印刷する必要はなく、既存の商品を顧客Aに提供すればよい。
【0043】
このため、先ずステップ40で当該化粧用隠蔽シール5の店頭在庫があるか否かを判断し、ある場合(肯定判断の場合)にはこれを顧客に引き渡す。これに対し、ステップ40で否定判断(NO)がされた場合は、ステップ42に進み在庫倉庫へ出庫指示を行い、在庫倉庫から当該化粧用隠蔽シール5が届いた後、これを顧客に引き渡す。
【0044】
一方、ステップ38において、否定判断(NO)がされた場合には、ステップ10〜ステップ34において決定された属性に合った既存商品が存在しないため、プリンター3を用いて当該属性を有する化粧用隠蔽シール5を印刷する。具体的には、ステップ44においてプリンター3に対して印刷指示(属性の指示を含む)を行い、プリンター3ではこの指示に従い印刷処理を行うことにより化粧用隠蔽シール5を製造する(ステップ46)。
【0045】
上記したように本実施例に係る化粧用隠蔽シール製造処理を実施することにより、容易かつ迅速に顧客Aに最適な隠蔽シール5を提供することが可能となる。また、化粧用隠蔽シール5の属性は、顧客A自身の肌診断データに基づき設定されるため、顧客に最適な化粧用隠蔽シール5を提供することができる。更に、顧客Aに適合した化粧用隠蔽シール5が既存商品として存在する場合には、これを直ちに顧客Aに商品引き渡しすることができ、また存在しない場合にはオンデマンドで店頭のプリンター3を用いて直ちに化粧用隠蔽シール5を印刷できるため、顧客Aに対する化粧用隠蔽シール5の提供を迅速に行うことができる。
【0046】
尚、上記した実施例ではパーソナルコンピータ1を店頭に置き、各DB6〜11をパーソナルコンピータ1の装置本体14内に搭載された記憶装置に搭載した構成とした。しかしながら、パーソナルコンピータ1を端末装置として用い、例えば化粧品会社に各DB6〜11を有したサーバーを設け、このサーバーと端末装置とをインターネット等の通信手段で接続した構成しとてもよい。この構成とした場合には、DB6〜11の大容量化が実現でき、化粧用隠蔽シール5の選定精度をより高めることができる。
【0047】
また、上記実施例において、ステップ10〜ステップ34の処理により顧客Aにパーソナルコンピータ1の処理上、最も適した化粧用隠蔽シール5の属性が決定された後、当該属性を有する化粧用隠蔽シール5を画像形成すると共にこれをステップ10で取り込まれた顧客Aの顔画像に重畳させ、この合成画像をCRT12に表示する構成としてもよい。この構成とした場合には、顧客Aは化粧用隠蔽シール5の仕様状態をシミュレーション画像としてCRT12で確認することができ、顧客Aの希望により化粧用隠蔽シール5の属性を変更させうる構成としてもよい。この構成とした場合には、美容部員によるカウンセリングをより有効に行うことができ、また顧客Aの満足度を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の一実施例である化粧用隠蔽シールの製造システムのシステム構成図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例である化粧用隠蔽シールの製造システムで実施される化粧用隠蔽シール製造処理を示すフローチャートである(その1)。
【図3】図3は、本発明の一実施例である化粧用隠蔽シールの製造システムで実施される化粧用隠蔽シール製造処理を示すフローチャートである(その2)。
【図4】図4は、化粧用隠蔽シールの属性を決定する処理を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1 パーソナルコンピータ
2 撮像カメラ
3 プリンター
5 化粧用隠蔽シール
6 肌診断DB
7 基本転写パターンDB
8 配置パターンDB
9 印刷条件DB
10 モジュール処理DB
11 商品DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着者の肌に付されて被隠蔽部位を隠蔽する化粧用隠蔽シールの製造システムであって、
被対象者の顔画像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段により得られた顔画像に基づき前記化粧用隠蔽シールを特定するための属性を決定する属性決定手段と、
該属性決定手段により決定された属性に対応した処方を決定し、該処方に基づき前記化粧用隠蔽シールを印刷する印刷手段とを有することを特徴とする化粧用隠蔽シールの製造システム。
【請求項2】
請求項1記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記顔画像から得られる肌診断データに基づき、前記化粧用隠蔽シールの転写パターンを決定する転写パターン決定手段を有することを特徴とする化粧用隠蔽シールの製造システム。
【請求項3】
請求項2記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記転写パターン決定手段で生成される前記転写パターンに基づき印刷条件を決定する印刷条件決定手段を有することを特徴とする化粧用隠蔽シールの製造システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化粧用隠蔽シールの製造システムにおいて、
前記属性決定手段は、
前記顔画像から得られる肌診断データに基づき、前記化粧用隠蔽シールの色調の決定を行う色調決定手段を有することを特徴とする化粧用隠蔽シールの製造システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−100851(P2009−100851A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273598(P2007−273598)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】