説明

化粧組成物

本発明は、(i)少なくとも1個の両親媒性コポリマーと、(ii)1種または複数の化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体とを含み、該両親媒性コポリマーが、結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含むグラフトコポリマー;結合している少なくとも1個の疎水性側鎖を有する親水性直鎖または分枝鎖骨格を含むグラフトコポリマー;直鎖または分枝鎖骨格中に少なくとも1個の親水性ブロックおよび少なくとも1個の疎水性ブロックを含むブロックコポリマー;ならびに架橋/網状コポリマーからなる群から選択される化粧組成物、ならびに、そのような組成物の調製のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両親媒性コポリマーを含む化粧組成物およびその調製のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能性能パーソナル製品に対する消費者の需要はますます高まっている。これは、製品がいくつかの異なる特性を保有することがしばしば望まれる化粧用製品に特に当てはまる。例えば、高光沢および優れた美容的外観を保持しながら、口唇上で長時間持続し、かつ良好な保湿および皮膚感触を有する口紅に対する需要がある。典型的には、これらの効果を達成するために、若干数の異なる成分が配合物に添加される。しかしながら、製造の経済上の理由で、成分の数を最小に低減させることが望ましい。配合不適合により、所望の成分すべてを組み合わせることが困難な場合もしばしばある。化粧またはメイクアップ用製品は、口唇、顔または目のメイクアップ用製品としてさらに定義され得る。
【0003】
大まかに述べると、口唇上で使用することが意図される製品は、主として口唇の美容的外観を変化させるために使用されるもの、すなわちメイクアップ用製品、ならびに口唇および口唇組織の健康を確保することが意図されるものという2つのカテゴリーに分類される。
【0004】
その外観を向上させるために口唇に化粧品を塗布するという概念は、長年にわたって公知である。例えば、古代エジプト人は、おそらく昆虫原料に由来する簡単な形態の口紅をつけていたと考えられている(例えば、Chemical&Engineering News、1999年7月12日、77巻、28号、31頁を参照)。口唇のメイクアップは、それ以来頻繁に使用され、近年にわたって主要な消費者製品へと成長してきた。中でも最も典型的な口唇のメイクアップ用製品は、口紅、リップグロス、リップライナー、リッププランパー、リップバーム、リップシアー、リップインク、リップコンディショナー、リッププライマーおよびリップブースターである。
【0005】
歴史上、最も重要な口唇化粧品は、特別に設計された筒から小出しにされる可変直径の円筒状製品として通常作られる、典型的には口唇の色を向上させるために使用される固体スティック製品の、口紅である。多くの異なる製品が市販されており、様々な異なる効果、例えば、向上した光沢の提供、保湿、長時間持続する配合物および/または色移り耐性フィルムを有すると主張している。リップグロスは、主として口唇の光沢を増大させるために、および潜在的に色を定着させるために使用される粘性液体製品である。それ故に、リップグロス配合物中の顔料の量は比較的少なく、いくつかの配合物は口唇に輝きを与えるための真珠光沢顔料を含有しているにすぎない。リップライナーは通常、ペンシル型で販売されており、口紅の塗布後、口唇の外縁上の凹凸のあるエリアを埋めて、より均一な形状を与えるために塗布される。リップステインは、口唇上に色を提供する色素で調製される。製品は、典型的には小型ボトルで販売されており、アプリケーターまたは手指のいずれかによって塗布される。製品は、典型的には耐水性の長時間持続する色を提供するように配合されている。リッププランパーは、口唇にふっくらした外観を与えるように配合されている。典型的には、これは、口唇表面の刺激を引き起こして、ふっくらした、またはぽってりした口唇をもたらす有効成分の使用によって達成される。リップバームは、時に化粧品に類別され、口唇の荒れまたは乾燥、口角炎または口内炎、およびヘルペスを治療するために使用される。多くの口唇製品は、日焼け止め等の追加機能性も組み込んでいる。
【0006】
顔用化粧品は、多様な製品にさらに分けることができる。顔のメイクアップの典型的な形態は、ファンデーション、フェイスパウダー、コンシーラー、頬紅およびブロンザーを含む。ファンデーションは、均一な顔色を作るため、またはおそらく皮膚の色を変えるために、顔に付加される。フェイスパウダーは、時に、ファンデーションを顔に固定させるために使用され、オイルコントロールするために終日にわたって塗布し直されることもある。コンシーラーは、顔全体を覆うよりも、斑点、吹き出物および瘢痕を含む多様な局所的欠陥を隠すことが意図されているという点において、ファンデーションとは異なる。頬紅(ブラッシュまたはルージュとも呼ばれる)は、若々しいまたは健康的な外観を付加するためおよび頬骨を強調するために頬に塗布される赤色または同様の色の化粧品である。ブロンザーは、UV光への暴露から期待されるものに似たブロンズまたはゴールドの色調を付加するために塗布される。
【0007】
目の化粧品は、典型的には、アイシャドウ、アイライナーまたはマスカラの形態で塗布される。アイシャドウは、典型的には、目の周囲、眼瞼の上、および眉毛の下に、目をより魅力的にするまたは目立たせることを意図して塗布される。アイライナーは、輪郭を明確にするために目の周囲に塗布される。マスカラは、睫毛の色、濃淡、ボリュームまたは長さを変化させるために睫毛に塗布される。化粧品は、眉毛にも塗布されて、その色を変化させ、それらを明確にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、化粧組成物、より具体的には、顔のメイクアップ、目のメイクアップおよび口唇のメイクアップおよびケア用製品において使用するための多機能剤を提供しようと努めるものである。より具体的には、しかし排他的にではなく、本発明は、通常つけている間の口唇への密着性の増大、保湿感の向上、および/または感覚刺激(すなわち、皮膚感触)特性の向上の1つまたは複数を呈する化粧組成物(例えば、口紅、リップバームおよびファンデーション)を提供しようと努めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(i)少なくとも1個の両親媒性コポリマーと、
(ii)1種または複数の化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体とを含み、
該両親媒性コポリマーが、結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含むグラフトコポリマー;結合している少なくとも1個の疎水性側鎖を有する親水性直鎖または分枝鎖骨格を含むグラフトコポリマー;直鎖または分枝鎖骨格中に少なくとも1個の親水性ブロックおよび少なくとも1個の疎水性ブロックを含むブロックコポリマー;ならびに架橋/網状コポリマーからなる群から選択される、化粧組成物に関する。
【0010】
有利なことに、本発明による化粧組成物は、通常つけている間の密着性の増大を呈し、長時間持続させる。加えて、本発明の化粧組成物は、保湿感の向上および感覚刺激(すなわち皮膚感触)特性の向上を提供する。
【0011】
本発明の第二の態様は、上記で述べた種類の化粧組成物を調製するための方法であって、両親媒性コポリマーを、1種または複数の化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体とともに溶融させて、均質な生成物を形成するステップを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】PG1有りおよび無しの口紅配合物の感覚刺激特性の比較を示す図である。
【図2】PG1有り対PG1無しの口紅配合物の嗜好性の比較を示す図である。
【図3】PG1有りおよび無しのリップバーム配合物の感覚刺激特性の比較を示す図である。
【図4】PG1有り対PG1無しのリップバーム配合物の嗜好性の比較を示す図である。
【図5】配合物が長時間持続することを指摘した個人のパーセンテージを示す図である。
【図6】種々の口紅配合物の感覚刺激特性の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において使用される場合、用語「コポリマー」は、2個以上の異なるモノマーが一緒に重合されているポリマー系を指す。
【0014】
本明細書において使用される場合、用語「両親媒性コポリマー」は、その中に明らかに定義可能な親水性および疎水性部分があるコポリマーを指す。
【0015】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、約1から約20個の炭素原子、好ましくは約1から約10個の炭素原子、より好ましくは約1から約5個の炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキル基を包括する。例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基またはペンチル基。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「アリール」は、芳香族環または芳香族複素環、好ましくはC6からC20芳香族環から誘導される任意の官能基または置換基、例えば、フェニル、ベンジル、トリルまたはナフチル(napthyl)を包括する。
【0017】
本発明の化粧組成物は、少なくとも1個の両親媒性コポリマーを含む。一実施形態において、本発明の組成物は、約1および約4個の間の両親媒性コポリマー、例えば、1、2、3または4個のコポリマー、好ましくは1または2個のコポリマー、最も好ましくは1個のコポリマーを含む。
【0018】
本発明の任意の実施形態において、両親媒性コポリマーは、グリフィン法によって計測した際に、約15以下、好ましくは約10以下、より好ましくは約1および約10の間、より一層好ましくは約2および約9の間、例えば、約3および約8の間の親水性−親油性(lyphophilic)(または疎水性)バランス(HLB)を有し得る。グリフィン法の値は、親水性−親油性バランス=20×親水性部分の分子質量/全分子の分子質量によって算出される。
【0019】
ポリマーの親水性および疎水性部分の分子質量は、両親媒性コポリマーの製造および反応速度論の理解において、供給原料として投入される関連モノマーの分量から推定できる。最終生成物の組成は、1H核磁気共鳴分光法を使用し、各ブロックまたは部分からの関連シグナル強度を比較することによって調べることができる。代替として、赤外分光法または紫外・可視分光法等、任意の他の定量的分光技術を使用して構造を確認することもでき、但し、異なる部分は得られるスペクトルに明らかに同定可能かつ計測可能な寄与を与える。参照方法Aにおいて記述されている通り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して、得られた材料の分子量を計測することができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、両親媒性コポリマーは、結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含むグラフトコポリマーである。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、グラフトコポリマーの親水性側鎖は、それぞれ独立に、式(I)
【0022】
【化1】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、H、−C(O)WR4または−C(O)Qであり、
但し、R1およびR2の少なくとも一方は、基−C(O)Qであるか、
あるいは、R1およびR2は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、式(II)の環式構造
【0023】
【化2】

{式中、
3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルである}
を形成し、
Wは、OまたはNR4であり、
Qは、式−X1−Y−X2Pの基であり、
Tは、式−N−Y−X2−Pの基であり、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である]
のものである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、親水性ポリマー基Yは、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(スチレンスルホネート)またはポリ(アクリル酸)である。より好ましくは、親水性ポリマー基Yは、ポリ(エチレンオキシド)等のポリ(アルキレンオキシド)またはそのコポリマーである。
【0025】
本発明のさらに好ましい実施形態において、親水性ポリマー基Yは、式−(Alk1−O)b−(Alk−O)c−[式中、Alk1およびAlk2は、それぞれ独立に、2から4個までの炭素原子を有するアルキレン基であり、かつ、bおよびcは、それぞれ独立に、1から125までの整数であり、但し、和b+cは、約10から約250まで、より好ましくは約10から約120までの範囲内の値を有する]のものである。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施形態において、グラフトコポリマーは、1から5000まで、好ましくは約1から約300まで、より好ましくは約1から約150までの、それに結合しているペンダント親水性基を有する。例えば、グラフトコポリマーは、約1から約10の間、約1から約5の間、または約2から約8の間の、それに結合しているペンダント親水性基を有し得る。
【0027】
両親媒性コポリマーがグラフトコポリマーである場合、グラフトポリマーの各側鎖は、好ましくは、約800から約10,000までの分子量を有する。例えば、各側鎖は、約1000から約7500の間、約2500から約5000の間、または約6000および約9000の間の分子量を有し得る。
【0028】
グラフトコポリマーは、典型的には、親水性グラフトと炭素−炭素骨格上の単一の反応部位との反応、すなわち、単官能性グラフトを使用する反応によって生成される。架橋または鎖伸長コポリマーを作成するために、炭素−炭素骨格と反応する2つの部位を有する親水性グラフト、すなわち、架橋剤を使用した際に作用し得る二官能性親水性グラフトを組み込むことが必要である。
【0029】
好ましくは、架橋または鎖伸長コポリマーは、直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格および二官能性グラフト、または単官能性および二官能性グラフトの混合物を含む。より好ましくは、架橋または鎖伸長コポリマーは、マレイン酸無水物またはその誘導体(本明細書において記述されている通り)で官能化された炭素−炭素骨格および式(II)に記述されているもの等のアルキレンオキシドを含む。最も好ましくは、架橋または鎖伸長コポリマーは、マレイン酸無水物またはその誘導体で官能化されたポリイソプレンまたはポリブタジエンから誘導される炭素−炭素骨格を含み、ポリエチレンオキシドまたはそのコポリマーである親水性グラフトをさらに含む。
【0030】
本発明の1つの好ましい実施形態において、炭素−炭素ポリマー骨格は、エチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのホモポリマーから、または2個以上のエチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのコポリマーから誘導される。
【0031】
より好ましくは、炭素−炭素ポリマー骨格は、4または5個の炭素原子を含有するエチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーから誘導される。
【0032】
本発明の1つの高度に好ましい実施形態において、炭素−炭素ポリマー骨格は、イソブチレン、1,3−ブタジエン、イソプレンもしくはオクタデセン、またはそれらの混合物から誘導される。
【0033】
本発明の1つの好ましい実施形態において、コポリマーは、マレイン酸無水物またはマレイン酸無水物酸/エステル基がグラフトされた炭素−炭素骨格(例えば、ポリイソプレンまたはポリブタジエン)を含む。好ましくは、炭素−炭素骨格は、約1から約50mol%までのマレイン酸無水物基を含む。本明細書において使用される場合、マレイン酸無水物(MA)基という用語は、マレイン酸無水物、マレイン酸およびその塩、ならびにマレイン酸エステルおよびその塩、ならびにそれらの混合物を包括する。
【0034】
マレイン酸無水物基のカップリング化学は、グラフトをコポリマー骨格に結合させるための好都合な方法を提供する。しかしながら、当業者であれば、他の官能基がこの点において等しく有効となることを理解するであろう。
【0035】
例として、別のアシル基(例えば適切なカルボン酸またはアシルクロリド)とヒドロキシル官能化ポリマーとの反応は、グラフトと骨格との間にエステル結合を形成するために適切となる。カップリング反応またはクリック化学を実施するための種々の戦略も当技術分野において公知であり、おそらく適切な触媒の存在下、骨格を適切な基で官能化することによって利用され得る。例えば、骨格上のアルキルもしくはアシルクロリド基と例えばヒドロキシル基との反応(すなわちウィリアムソンカップリング)または水素化ケイ素とアリル基との反応(ヒドロシリル化(hydrosilyation)反応)が利用され得る。
【0036】
好ましくは、炭素−炭素骨格は、約1から約50mol%までのマレイン酸無水物を含む。
【0037】
1つの好ましい実施形態において、両親媒性ポリマーの骨格は、約1,000から約10,000までの分子量を有する。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施形態において、炭素−炭素骨格は、
(i)マレイン酸無水物、マレイン酸もしくはその塩、またはマレイン酸エステルもしくはその塩、あるいはそれらの混合物と、
(ii)1個または複数のエチレン性不飽和重合性モノマーと
のコポリマーである。
【0039】
故に、MA基モノマーは、実際の骨格にペンダントしているのではなく、その中に存在する。
【0040】
若干数のそのような材料は、市販されており、最も典型的には(typicaly)、マレイン酸無水物基と1個または複数の他のエチレン性不飽和モノマーとの混合物のラジカル重合によって取得される。最も典型的には、マレイン酸無水物基と1個の他のモノマー(バイポリマーを作製するため)または2個の他のポリマー(ターポリマーを作製するため)との混合物であるが、任意の数のモノマーが使用されることになると想定されるであろう。
【0041】
好ましくは、マレイン酸無水物基モノマーはマレイン酸無水物である。
【0042】
好ましくは、他のモノマーは、エチレン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、オクタデセン等のC10〜C20末端アルケン、スチレン、またはそれらの混合物である。最も好ましくは、他のモノマーはイソブチレンまたはオクタデセンである。
【0043】
モノマーのパーセンテージおよび故に得られるポリマーにおける機能性を変えて、その用途への最適な適合を提供することができる。そのような方法によって調製される骨格の1つの利点は、ヒドロキシ、アミンまたはスルフィド(sufide)官能化グラフトとの反応に潜在的に利用可能な高充填のマレイン酸無水物の可能性を持っていることである(例えば、適切なPEO、MPEO、またはある特定のJeffamineのようなアミン官能化アルキルエトキシレート(ethxoylates))。
【0044】
本発明の一態様において、骨格は、等モル量のMA基と別のモノマーとを混合し、その後(susbsequently)重合することによって調製される交互コポリマーである。
【0045】
特に好ましい(preffered)骨格コポリマーは、ポリ(イソブチレン−alt−マレイン酸無水物)(PIB−alt−MA):
【0046】
【化3】

[式中、nは5および4000の間、より好ましくは10および1200の間である]
である。
【0047】
このポリマーは、Sigma−AldrichおよびKuraray Co.Ltdから市販(commercialy)されており、Kurarayは、該材料をISOBAMの商品名で供給している。
【0048】
さらに好ましい骨格コポリマーは、ポリ(マレイン酸無水物−alt−1−オクタデセン)(C18−alt−MA)(Chevron Philips Chemical Company LLCから入手可能)
【0049】
【化4】

[式中、nは5および500の間、より好ましくは10および150の間である]
である。
【0050】
Chevron Philipsは、本発明における好ましい骨格であるそれらのPA18ポリ無水物樹脂の範囲内の多様な材料(高粘度および低粘度両方)を作製している。PA18は、1:1モル比の1−オクタデセンおよびマレイン酸無水物から誘導される固体線形ポリ無水物樹脂である。
【0051】
当業者であれば、マレイン酸無水物を付加物としてグラフトすること、またはマレイン酸無水物を1個または複数の他のモノマーと共重合させることのいずれかによってマレイン酸無水物が骨格中に含まれる若干数の他の骨格が、本発明において有用であることを理解するであろう。
【0052】
マレイン酸無水物で官能化された多様なポリブタジエンポリマーは、SartomerによってRiconの商品名で(例えばRicon 130MA8)およびSynthomerによってLitheneの商品名で(例えばN4−9000−10MA)販売されている。若干数の有用な骨格は、Kraton(例えばKraton FG)およびLyondell(例えばPlexar 1000シリーズ)によっても製造されており、ここで、マレイン酸無水物が、エチレン、プロピレン、ブチレン、スチレンおよび/または酢酸ビニル等のモノマーのポリマーまたはコポリマーにグラフトされる。
【0053】
ポリ(スチレン−alt−マレイン酸無水物)は、Sartomerを含む若干数の供給業者からSMAの商品名で入手可能である。ポリ(エチレン−alt−マレイン酸無水物)は、Vertellusを含む若干数の供給業者からZeMacの商品名で入手可能である。ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)は、International Speciality ProductsからGantrezの商品名で入手可能である。ポリ(エチレン−co−アクリル酸ブチル−co−マレイン酸無水物)材料は、Arkemaから取得することができ、Lotaderの商品名で販売されている(例えば、2210、3210、4210および3410グレード)。アクリル酸ブチルが他のアクリル酸アルキル(アクリル酸メチル[グレード3430、4404および4503]およびアクリル酸エチル[グレード6200、8200、3300、TX8030、7500、5500、4700および4720]を含む)によって置き換えられているコポリマーも利用可能であり、またロタダーの範囲内で販売されている。若干数のオレバック材料(グレード9309、9314、9307Y、9318、9304、9305)は、適切なエチレン−酢酸ビニル−マレイン酸無水物ターポリマーである。
【0054】
多くの事例において、マレイン酸無水物官能化材料に加えて、またはその代わりに、誘導体である二酸モノエステル形態または塩が提供される。当業者には明白となるように、これらの多くは本発明においても適切である。
【0055】
同様に、適切な側鎖前駆体は、モノメトキシポリ(エチレンオキシド)(MPEO)、ポリ(ビニルアルコール)およびポリ(アクリル酸)等、以下で論じるものである。これらは、例えば、Sigma−Aldrich companyから購入することができる。適切なポリエチレンイミンは、BASFからLupasolの商品名で入手可能である。
【0056】
1つの好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、式(III)の化合物
【0057】
【化5】

[式中、Zは、式(IV)の基
【0058】
【化6】

{式中、R3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルであり、かつ、R6およびR7は、それぞれ独立に、Hまたはアシル基であり、但し、R6およびR7の少なくとも一方はアシル基であるか、あるいは、R6およびR7は、それらが結合した炭素原子と一緒に連結して、式(V)の基
【0059】
【化7】

を形成する}であり、ここで、nおよびmは、それぞれ独立に、1から20000までの整数である。好ましくは、mは1から1000、より好ましくは1から100、より一層好ましくは10から50である。好ましくは、nは1から5000、より好ましくは5から2000、より一層好ましくは10から1000である。好ましくは、mは1から100であり、かつnは5から2000である]
を、式(VI)の側鎖前駆体
HX1−Y−X2P (VI)
[式中、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である]、
と反応させることによって調製される。
【0060】
1つの好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、式(IIIa)の化合物
【0061】
【化8】

[式中、nおよびmは上記で定義された通りである]を、上記で定義された通りの式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される。
【0062】
1つの好ましい実施形態において、側鎖前駆体は、式(VIa)
【0063】
【化9】

[式中、X1はOまたはNHであり、X2は(CH2Pであり、かつ、oは5から250、好ましくは10から100までの整数である]
のものである。
【0064】
別の好ましい実施形態において、側鎖前駆体は、式(VIb)
【0065】
【化10】

[式中、RはHまたはアルキルであり、X1はOまたはNHであり、X2は(CH2Pであり、かつ、aおよびbの和は、5から600、好ましくは10から100までの整数である]
のものである。
【0066】
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、コポリマーは、ポリ(エチレングリコール)/ポリ(エチレンオキシド)等の単官能性親水性ポリマーを、炭素−炭素骨格上のマレイン酸無水物残基にグラフトして、式(VII)の両親媒性コポリマー
【0067】
【化11】

[式中、mおよびnのそれぞれは、独立に、1から20000までの整数である]を形成することによって調製される。好ましくは、mは1から1000、より好ましくは1から100、より一層好ましくは10から50である。好ましくは、nは1から5000、より好ましくは5から2000、より一層好ましくは10から1000である。好ましくは、mは1から100であり、かつnは5から2000である。好ましくは、oは5から600、好ましくは10から100までの整数である。
【0068】
上記の例は、PIP−g−MA骨格上のマレイン酸無水物と反応するアルコール官能化PEOを示す。適切なPIP−g−MA骨格は、市販されている(例えば、鎖当たりおよそ3.5MA単位を有する、Kuraray製のLIR−403グレード)。
【0069】
ポリイソプレンをマレイン酸無水物で官能化することについてのさらなる詳細は、WO06/016179、WO08/104546、WO08/104547、WO09/68569およびWO09/68570において見ることができ、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、コポリマーは、2:8当量の比率のMPEGを各マレイン酸無水物(MA)基に対して添加することによって調製される。これは、マレイン酸無水物基からPEG官能化エステルへの完全変換を本質的に可能にする。
【0071】
別の好ましい実施形態において、コポリマーは、1:1比率のメトキシポリ(エチレンオキシド)(MPEO)をマレイン酸無水物に添加することによって調製される。MPEOの完全反応後、任意の分子量(例えば、2000、4000、6000、8000および10000)の別の(第二の)(ジヒドロキシ)ポリ(エチレンオキシド)(PEO)を添加してよい。MPEO、ポリ(エチレンオキシド)メチルエーテル、メトキシポリ(エチレングリコール)(MPEG)およびポリ(エチレングリコール)メチルエーテルは、同じ構造を命名する代替的な方法であることが当業者には理解されよう。同様に、PEOは、当技術分野において、時にポリ(エチレングリコール)(PEG)とも称される。
【0072】
未反応のマレイン酸無水物単位を官能化することに加えて、PEGまたは別のグラフトをMAの対応する二酸またはモノエステル誘導体にグラフトすることも可能である。これは、COOH官能基の代わりに新たなPEGエステル結合をもたらすことになる。2つの適切な骨格を以下に例証する。
【0073】
【化12】

【0074】
故に、1つの好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、式(IIIb)のポリマー前駆体
【0075】
【化13】

[式中、nおよびmは上記で定義された通りである]を、上記で定義された通りの式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される。
【0076】
別の好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、式(IIIc)のポリマー前駆体
【0077】
【化14】

[式中、nおよびmは上記で定義された通りである]を、上記で定義された通りの式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される。
【0078】
代替的な好ましい実施形態において、本発明のコポリマーは、−SHまたは窒素ベースの(NH2またはNHR)部分から誘導される。
【0079】
1つの特に好ましい実施形態において、コポリマーは、NH2官能化材料を含む。好ましくは、この実施形態について、両親媒性コポリマーは、式(VIc)の側鎖前駆体
【0080】
【化15】

[式中、RはHまたはアルキル、より好ましくはHまたはMeであり、かつ、aおよびbの和は、5から250、好ましくは10から100までの整数である]
から調製される。
【0081】
より好ましくは、両親媒性コポリマーは、式(VIIIa)または(VIIIb)のものであり、下記の反応:
【0082】
【化16】

[式中、mおよびnのそれぞれは、独立に、1から20000までの整数である]によって調製される。好ましくは、mは1から1000、より好ましくは1から100、より一層好ましくは10から50である。好ましくは、nは1から5000、より好ましくは5から2000、より一層好ましくは10から1000である。好ましくは、mは1から100であり、かつnは5から2000である。好ましくは、oは5から600、好ましくは10から100までの整数である。
【0083】
上記で描写したNH2官能化材料は、各MA上に2つのグラフトを含み、これはMPEOでは不可能である。これは、OHと比較して大きいNH2基の反応性による。マレイン酸無水物単位当たり2本の鎖をグラフトすることに加えて、NH2単位のOHに比して大きい反応性は、ごく少量の遊離グラフトを含有する生成物につながる。
【0084】
上記実施形態のいずれかにおいて、式(III)の化合物は、式(IX)および(X)の化合物:
【0085】
【化17】

[式中、n’は5から4000であり、かつ、R3、R5、R6およびR7は先に定義した通りである]
によって置き換えられてよい。
【0086】
同様に、上記実施形態のいずれかにおける式(IIIa)、(IIIb)および(IIIc)の化合物は、それぞれ式(IXa)または(Xa);(IXb)または(Xb);および(IXc)または(Xc)の化合物:
【0087】
【化18】

[式中、n’は、式(IX)および(X)の化合物について定義した通りである]
によって置き換えられてよい。
【0088】
1つの好ましい実施形態において、マレイン酸無水物基にグラフトされる親水性基は、プロピレンオキシドと共重合したエチレンオキシドのポリマー(すなわちPEO)である。この実施形態において、プロピレンオキシドの量は、好ましくは1および95モルパーセントの間のコポリマー、より好ましくは2から50モルパーセントの間のコポリマー、最も好ましくは5から30モルパーセントの間のコポリマーである。
【0089】
好ましくは、側鎖前駆体は、式
【0090】
【化19】

[式中、xは5から500、より好ましくは10から100であり、かつ、yは、独立に、1から125、より好ましくは3から30である]のものである。好ましくは、x+y=6から600、より好ましくは13から130である。エチレンおよびプロピレンオキシド単位の分布は、上記で描写した通りのまたは統計的混合物のようなブロックの形態であってよい。いずれの場合も、コポリマー中のエチレンオキシド対プロピレンオキシドのモル比は、エチレンオキシドに好適となるであろう。そのような側鎖前駆体は、HuntsmanによりJeffamineの名称で市販されている。
【0091】
代替として、両方の基がマレイン酸無水物と反応し得るポリマー以外に、1つではなく2つの官能性(例えば、OH、NH2)単位を有するポリマーを使用することが可能である。これらのマレイン酸無水物基が異なる骨格上にある場合、架橋(または網状)ポリマーが形成され得る。グラフト対骨格の比率を制御することにより、または単官能化材料との混合物を使用することにより、架橋度を制御することができる。故に、主にMPEOを含むPEOとMPEOとの混合物を使用することにより、網状ではなく鎖伸長グラフトコポリマー(すなわち2または3個のグラフトコポリマー)に類似する材料を生成することが可能である。
【0092】
1つの特に好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、PIP−g−MA(マレイン酸無水物がグラフトされたポリイソプレン)をMPEO(メトキシポリ(エチレンオキシド)および/またはPEOポリ(エチレンオキシド)と一緒にした混合物から調製される。好ましくは、MPEOおよびPEOは、約2000の分子量を有する。
【0093】
1つの特に好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、PIP−g−MaMme(マレイン酸モノ酸(maleic monoacid)モノエステルがグラフトされたポリイソプレン)をMPEO(メトキシポリ(エチレンオキシド))および/またはPEO(ポリ(エチレンオキシド))と一緒にした混合物から調製される。好ましくは、MPEOおよびPEOは、約2000の分子量を有する。
【0094】
本発明の代替的な実施形態において、両親媒性コポリマーは、結合している少なくとも1個の疎水性側鎖を有する親水性直鎖または分枝鎖骨格を含むグラフトコポリマーである。
【0095】
本発明の好ましい実施形態において、親水性直鎖または分枝鎖骨格は、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(スチレンスルホネート)またはポリ(アクリル酸)である。より好ましくは、親水性直鎖または分枝鎖骨格は、ポリ(エチレンオキシド)またはそのコポリマー等のポリ(アルキレンオキシド)またはそのコポリマーである。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、疎水性側鎖は、炭化水素ポリマー、すなわち、炭素および水素原子のみを含有する側鎖である。
【0097】
より好ましくは、疎水性側鎖は、エチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのホモポリマーから、または2個以上のエチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのコポリマーから誘導される。
【0098】
高度に好ましい実施形態において、疎水性側鎖は、約2から約30個までの炭素原子を有する、好ましくは約3から約20個までの炭素原子を有する、さらに一層好ましくは約4から約10個までの炭素原子を有する、最も好ましくは約4もしくは約5個の炭素原子を有するエチレン性不飽和炭化水素モノマー、またはそれらの混合物から誘導され得る。例えば、疎水性側鎖は、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、イソプレン、オクタデセン等のC10〜C20末端アルケン、スチレン、またはそれらの混合物から誘導され得る。
【0099】
最も好ましくは、疎水性側鎖は、ポリイソプレン、ポリブタジエンまたはそのコポリマーである。
【0100】
本発明のさらに好ましい実施形態において、グラフトコポリマーは、1から5000まで、好ましくは約1から約300まで、より好ましくは約1から約150までの、それに結合しているペンダント疎水性基を有する。例えば、グラフトコポリマーは、約1から約10の間、約1から約5の間、または約2から約8の間の、それに結合しているペンダント疎水性基を有し得る。
【0101】
両親媒性コポリマーがグラフトコポリマーである場合、グラフトポリマーの各側鎖は、好ましくは、約300から約10,000までの分子量を有する。例えば、各側鎖は、約300から約600の間、約1000から約7500の間、約2500から約5000の間、または約6000および約9000の間の分子量を有し得る。
【0102】
疎水性側鎖は、親水性側鎖を上述した通りの疎水性骨格に結合するために用いたのと同じ結合方法を使用して、親水性骨格に結合され得る。
【0103】
グラフトコポリマーは、典型的には、疎水性グラフトと親水性骨格上の単一の反応部位との反応、すなわち、単官能性グラフトを使用する反応によって生成される。架橋または鎖伸長コポリマーを作成するために、親水性骨格と反応する2つの部位を有する疎水性グラフト、すなわち、架橋剤を使用した際に作用し得る二官能性疎水性グラフトを組み込むことが必要である。
【0104】
好ましくは、架橋または鎖伸長コポリマーは、直鎖または分枝鎖親水性骨格および二官能性グラフト、または単官能性および二官能性グラフトの混合物を含む。より好ましくは、架橋または鎖伸長コポリマーは、マレイン酸無水物またはその誘導体で官能化されたポリ(エチレンオキシド)またはそのコポリマーである親水性骨格を含み、ポリイソプレン、ポリブタジエンまたはそのコポリマーである疎水性グラフトをさらに含む。
【0105】
本発明の1つの好ましい実施形態において、コポリマーは、親水性骨格、例えば、マレイン酸無水物またはマレイン酸無水物酸/エステル基がグラフトされたポリ(エチレンオキシド)を含む。好ましくは、親水性骨格は、約1から約50mol%までのマレイン酸無水物基を含む。本明細書において使用される場合、マレイン酸無水物(MA)基という用語は、マレイン酸無水物、マレイン酸およびその塩、ならびにマレイン酸エステルおよびその塩、ならびにそれらの混合物を包括する。例えば、コポリマーは、前記骨格を、OH、NH2、NHRまたはSH官能化疎水性側鎖と反応させることにより、マレイン酸無水物、酸、またはその塩もしくはエステルのグラフトを有するポリ(エチレンオキシド)骨格から調製され得る。
【0106】
マレイン酸無水物基のカップリング化学は、グラフトをコポリマー骨格に結合させるための好都合な方法を提供する。しかしながら、当業者であれば、他の官能基がこの点において等しく有効となることを理解するであろう。
【0107】
例として、別のアシル基(例えば適切なカルボン酸またはアシルクロリド)とヒドロキシル官能化ポリマーとの反応は、グラフトと骨格との間にエステル結合を形成するために適切となる。カップリング反応またはクリック化学を実施するための種々の戦略も当技術分野において公知であり、おそらく適切な触媒の存在下、骨格を適切な基で官能化することによって利用され得る。例えば、骨格上のアルキルもしくはアシルクロリド基と例えばヒドロキシル基との反応(すなわちウィリアムソンカップリング)または水素化ケイ素とアリル基との反応(ヒドロシリル化反応)が利用され得る。
【0108】
好ましくは、親水性骨格は、約1から約50mol%までのマレイン酸無水物を含む。
【0109】
1つの好ましい実施形態において、両親媒性ポリマーの骨格は、約1,000から約100,000までの分子量を有する。
【0110】
本発明の一態様において、骨格は、等モル量のMA基と別のモノマーとを混合し、その後重合することによって調製される交互コポリマーである。
【0111】
当業者であれば、マレイン酸無水物を付加物としてグラフトすること、またはマレイン酸無水物を1個または複数の他の適切なモノマーと共重合させることのいずれかによってマレイン酸無水物が骨格中に含まれる若干数の他の骨格が、本発明において有用であることを理解するであろう。マレイン酸無水物との共重合を受けることができるモノマーは、典型的には、不飽和、例えばアクリル酸を含有することが、当業者には理解されよう。
【0112】
多くの事例において、マレイン酸無水物官能化材料に加えて、またはその代わりに、誘導体である二酸モノエステル形態または塩が提供される。当業者には明白となるように、これらの多くは本発明においても適切である。
【0113】
本発明のさらなる実施形態において、両親媒性コポリマーは、直鎖または分枝鎖骨格中に親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含むブロックコポリマーである。
【0114】
本発明の一実施形態において、直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格は、それに結合している少なくとも1個の側鎖を有する。側鎖(複数可)は、疎水性であっても親水性であってもよい。適切な側鎖の例は、両親媒性グラフトコポリマーに関して上述したものを含む。好ましくは、ブロックコポリマーは、親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含む直鎖骨格を有する。さらに好ましい実施形態において、最終組成物中の親水性ポリマーの量は、重量で約5から約60%の間である。
【0115】
ブロックコポリマーは、同じ重合技術を使用して1つの重合機構を別の該機構に変換する2個以上のモノマーの逐次重合を含む若干数の経路によって、または2つの異なるポリマーブロックを一緒にカップリングすることによって合成され得る。若干数の適した材料が市販されており、本発明における使用に適切である。
【0116】
1つの好ましい実施形態において、ブロックコポリマーは、構造:
【0117】
【化20】

[式中、Rxは、アルキル、アリールまたはHであり、かつ、Ryは、O、NRXSi(Rx)2である]
を有する。
【0118】
好ましくは、ブロックコポリマーは、エチレンオキシドと、アルケン、ジエンまたはポリエンとの;好ましくは、エチレン、プロピレン、イソプレンまたはブタジエンとのコポリマーである。1つの好ましい実施形態において、ブロックコポリマーは、構造:
【0119】
【化21】

[式中、mは3から100、最も好ましくは10から30であり、かつ、nは、独立に、3から100、最も好ましくは4から40である]
を有する。
【0120】
代替的な実施形態において、ブロックポリマーは、構造:
【0121】
【化22】

[式中、mは3から100、より好ましくは10から30であり、かつ、nは3から100、より好ましくは5から40である]
を有する。
【0122】
Baker Petroliteによって生成されたUnithox範囲の材料は、本発明におけるブロックコポリマーとして役立つことが分かった。そのようなブロックコポリマーの例は、Unithox(登録商標)720(875の分子量および4のHLB値を有するポリエチレンおよびポリエチレンオキシドのブロックコポリマー)、Unithox(登録商標)750(1400の分子量および10のHLB値を有するポリエチレンおよびポリエチレンオキシドのブロックコポリマー)ならびに/またはX10044(1300の分子量および4のHLB値を有するポリプロピレンおよびポリエチレンオキシドのブロックコポリマー)を含む。
【0123】
本発明の代替的な実施形態において、両親媒性コポリマーは、架橋/網状(または鎖伸長)コポリマーである。この種のコポリマーは、両親媒性グラフトコポリマーに関して上述したものと同じまたは同様のポリマー骨格を使用して調製され得る。
【0124】
本発明の一実施形態において、両親媒性コポリマーは、それに結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含む架橋/網状コポリマーである。
【0125】
合成方法
典型的には、本発明のある特定の実施形態において使用されるコポリマーは、骨格およびグラフトを有機溶媒(例えばトルエン)に溶解し、反応を確実にするのに十分な時間にわたり混合物を還流で維持することによって合成される。
【0126】
別の好ましい実施形態において、合成は、溶媒の非存在下、すなわち、(依然として粘性の)溶融MPEO/PEO側鎖と骨格とを一緒に混合することができる任意の混合装置を使用する無溶媒アプローチを使用して行われる。好ましくは、反応温度は、約160から約180℃までである。
【0127】
反応は、好ましくは、ポリマーの酸化およびマレイン酸/無水物基の加水分解を回避するために、不活性ガス下で行われる。
【0128】
1つの好ましい実施形態において、合成は、約1から約4まで、より好ましくは約3当量の側鎖前駆体を、各アシル化基に対して反応させることを伴う。合成のさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれるWO09/068569において記述されている。
【0129】
好ましくは、アシル化基は、マレイン酸無水物単位(骨格にペンダントしているもの、または骨格中にあるもののいずれか)から誘導される。ポリエーテルアミンである適切な側鎖前駆体は、市販されており、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)の多様な単官能化および二官能化アミンポリマーが、HuntsmanによってJeffamineの商品名で販売されている。アミン官能化ポリマーとマレイン酸無水物誘導単位との間の反応は、例えば、下記の構造:
【0130】
【化23】

のいずれかを産生することができる。
【0131】
Cと表示されている構造はAの分子内反応によって形成され得、H2Oの脱離が付随して起こり得る。この反応は、触媒の助けにより(例えば酸の添加によって)発生する可能性が高い。単官能性および二官能性アミンポリマーの両方が本発明において使用するのに適切である。反応条件に応じて、親水性二官能性アミン側鎖前駆体の使用は、架橋または鎖伸長両親媒性ポリマー材料につながり得る。代替として、単官能性および二官能性側鎖前駆体を合わせて、得られるポリマー材料の特性を、必要に応じ修正することができる。Jeffamine M−1000およびM−2070が特に好ましい。
【0132】
【化24】

[式中、R=(EO)についてはH、または(PO)についてはCH3であり;x=6(純粋なEO)であり;y≒35(EOおよびPO)である]
【0133】
Jeffamine M−1000は、19:3のEO:PO比およびおよそ1000の分子量を持つモノアミンポリエーテルである。M−2070は、31:10のEO:PO比およびおよそ2000の分子量を持つモノアミンポリエーテルである。それらの比較的高レベルのエチレンオキシドにより、該モノアミンポリエーテルは親水性材料とみなされる。M−1000およびM−2070はいずれも、PIP−g−MAと効率的に反応することが分かっている。
【0134】
別の好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、骨格前駆体とマレイン酸無水物のモノエステルとの反応から調製されて、例えば、以下に示す一般式:
【0135】
【化25】

を持つPIP−g−MaMme(Kuraray Co.Ltdによって供給され、LIR−410として販売されているポリイソプレン−グラフト−モノ酸モノメチルエステル)を形成する。
【0136】
PIP−g−MaMmeは、およそ10の官能基(すなわちn)、約25,000の平均分子量、および−59℃のガラス転移温度を有する。各モノメチルエステルは、単一のアミン官能基と反応し得る。
【0137】
上述の通り、両親媒性コポリマーの特性は、炭素−炭素骨格にグラフトされた側鎖の特徴だけでなく、グラフトされた側鎖の数にも依存する。本発明において、1個または複数の鎖前駆体が、各骨格前駆体と反応する。より好ましくは、複数個の側鎖前駆体が、各骨格前駆体と反応する。用語「複数個」は、本明細書において、1個を超えるグラフトされた側鎖を意味するとして定義され、すなわち、1個を超える側鎖前駆体が各骨格前駆体と反応する。
【0138】
両親媒性コポリマーにおける所望の親水性度を達成するために、結果として生じるポリマー材料における側鎖対骨格繰り返し単位の比率は、約1:500から約1:2まで、より好ましくは約1:350から約1:30までの範囲内であることが好ましい。骨格上の側鎖の結合場所は、製造において使用される炭化水素ポリマーの骨格中の適切な結合場所の位置に依存することになるため、側鎖は、好ましくは炭素−炭素骨格に沿って統計的に分布している。
【0139】
グラフトされたマレイン酸無水物単位を介して側鎖がポリマー骨格に連結される場合、ポリマー骨格中の各マレイン酸無水物単位は、0、1または2本いずれかの側鎖で誘導体化されていてよい。
【0140】
1つの好ましい実施形態において、一般式(I)または(II)の側鎖前駆体は、アミンである少なくとも1個の求核基を含む。両親媒性ポリマー材料を形成するための反応において、求核基は、アシル化基であるポリマー骨格上のペンダント単位と反応して、上記で定義された通りのポリマー材料を形成する。好ましくは、ペンダント単位は、マレイン酸無水物から誘導される。
【0141】
本発明の一実施形態において、各側鎖前駆体は、異なる骨格前駆体分子上の2個のアシル化基と反応し、それによって架橋構造を形成することができる2つの求核基(例えば、X1はOまたはNR4である)を有する。例えば、ポリエチレンオキシド側鎖は、概して、誘導体化の前に各端をアルコールで終端される。各アルコールは、マレイン酸無水物単位にグラフトされ得る。
【0142】
本発明のいくつかの実施形態において、アシル化基がマレイン酸無水物から誘導される場合、マレイン酸無水物モノマー当たり1個の側鎖前駆体のみが反応する。これにより、マレイン酸無水物から誘導された単位に遊離カルボン酸基が残り、これが方法の後期段階において誘導体化され得る。この基を脱プロトン化して、ポリマー材料中にイオン性ペンダント基を生じさせることもできる。
【0143】
骨格前駆体(例えばPIP−g−MA)と側鎖前駆体との間の反応は、トルエン等の有機溶媒中で行われ得る。典型的には、該反応は、場合により活性化剤、例えばトリエチルアミンの存在下、昇温で起こる。トルエンおよび水が、個々の成分のいずれよりも低い温度で沸騰する共沸混合物を形成するため、収量は、共沸蒸留による反応混合物からの水の除去によって増大し得る。
【0144】
側鎖前駆体を、PIP−g−MAのモノエステル誘導体、例えば、上記で詳述したPIP−g−MaMmeと反応させてもよい。このモノメチルエステルと側鎖前駆体との反応は、典型的には、トルエン等の有機溶媒中、昇温で行われる。ここでも、エステルの収量は、共沸蒸留により反応混合物から水を除去することによって増大し得る。
【0145】
代替として、両親媒性コポリマーの合成は、意図される側鎖前駆体を骨格前駆体と、溶媒の非存在下で混合することによって達成され得る。この「無溶媒」過程は、有機溶媒の購入および取扱い、ならびにポリマーから有害物質を別様にして除去することに関連するコストをなくす。このアプローチは、環境に有害となり得る揮発性有機化合物をなくす点でも望ましいことが理解されよう。無溶媒合成のさらなる詳細は、WO09/050203において見ることができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
側鎖および骨格前駆体は、固体の形態または流体形態(例えば、液体またはゲルの形態)のいずれであってもよいが、容易に混合できることが条件である。より好ましくは、側鎖および骨格前駆体は、液体または微粉化固体の形態のいずれかである。本発明の一実施形態において、側鎖前駆体は液体形態であり、骨格前駆体は微粉化固体の形態である。より好ましくは、側鎖および骨格前駆体のいずれも、アシル化反応が起こる温度では液体の形態である。
【0147】
本発明の1つの好ましい実施形態において、骨格前駆体は、骨格前駆体を溶融側鎖前駆体に溶解することによって、側鎖前駆体と混合される。
【0148】
当業者には、反応過程は、十分な混合を提供することができる任意の装置を使用して実施され得ることが理解されよう。これは、反応器、または、例えばオーバーヘッドスターラーもしくは磁気スターラーによってかき混ぜが提供される他の任意の容器を含む。より好ましくは、混合は、適した押出機、Zブレードミキサー、バッチミキサー、Uトラフミキサー、RTミキサー、コンパウンダー、内部ミキサー、バンバリー型ミキサー、二段圧延機、ブラベンダー型ミキサー、ワイドブレードミキサー(または水中翼ブレードミキサー)、水平(デルタまたはヘリカル)ブレードミキサー、ニーダー反応器、または、二重Zブレードミキサーもしくは二軸スクリュー押出機等のそれらの変形形態を使用して達成される。
【0149】
反応混合物の温度を増大させると、概して側鎖前駆体が溶融してより効率的な混合を可能にし、これが今度は反応速度の増大に寄与する。反応温度は、好ましくは約50℃から約300℃まで、より好ましくは約100から約250℃まで、さらに一層好ましくは約120℃から約200℃まで、またさらに好ましくは、約140℃から約180℃までである。好ましくは、混合装置は、ポリマー材料の分解を防止するために不活性ガスでフラッシュされる。代替として、空気が排除されることを確実にするために、反応器を真空下に置いてもよい。酸または塩基の添加によって反応を触媒してもよい。場合により、反応の終わりに反応器に水を添加して、任意の未反応のアシル化基を加水分解してよい。有利なことに、未反応のアシル化基の加水分解は、材料の親水性、および故に水相溶性または溶解性を増大させることができる。
【0150】
あらゆる残ったアシル化基は、好ましくは、材料への水の添加によって、またはエージング過程によって酸基に変換される。エージング過程は、典型的には、大気中水分による、あらゆる残留マレイン酸無水物の加水分解を確実にするために、材料を大気中に放置することを伴う。代替として、残ったアシル化基は、塩基触媒の助けにより、またはアルコール(ヒドロキシル)もしくはアミンの添加により、塩基有りまたは無しで加水分解される。一例として、あらゆる残ったマレイン酸無水物基は、好ましくは、材料への水の添加によって、二酸基に変換される。
【0151】
反応の終わりに、反応混合物は通常、遊離側鎖前駆体および骨格前駆体を含み得る未反応の出発材料を含む。これが反応において使用された場合は、いくらかの残留触媒がある場合もある。反応は、概して副生成物を生成しない。最終組成物中に遊離側鎖前駆体を有することが有利となり得るため、両親媒性ポリマー材料を反応混合物から精製する必要はない。遊離側鎖前駆体は、両親媒性ポリマー材料と相互作用し、それによってその特性を改善することができる。
【0152】
適した分子量分布およびマレイン酸無水物含有量の任意のPIP−g−MAは、ポリマー材料の合成に適切となる。代替として、マレイン酸無水物が開環されて二酸またはモノ酸/モノメチルエステルを形成するカルボキシル化PIP−g−MA材料も適切である。
【0153】
好ましくは、ポリマー材料の骨格前駆体は、マレイン酸無水物がグラフトされたポリイソプレンから誘導される。例証として、MAのグラフティングのレベルは、典型的には、PIP−g−MA中1.0mol%前後である。PIP−g−MaMmeにおいて、該レベルは、MAのモノ酸モノメチルエステルの2.7mol%であった。グラフティングのレベルは、ポリイソプレンの官能化度に依存する。例えば、PG1(以下参照)において、鎖当たりのグラフトの数は、概して1および7の間であるのに対し、PG2(以下参照)においては1および10の間である。
【0154】
1つの好ましい実施形態において、好ましくは約1から約4まで、より好ましくは約2から約3当量までの側鎖前駆体が、各マレイン酸無水物基に対して反応する。反応効率は、PG1を合成するために使用されるPIP−g−MAを、ポリエーテルアミンである側鎖前駆体と反応させることによって増大し得る。これらは市販されており、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)の多様な単官能化および二官能化アミンポリマーが、HuntsmanによってJeffamineの商品名で販売されている。
【0155】
両親媒性ポリマー材料の骨格前駆体が、マレイン酸無水物をエチレン性不飽和モノマーと一緒にしたコポリマーである場合、側鎖前駆体は、典型的には、一端をアルコールまたはアミン求核基で、他端をアルキルオキシ基で終端される。MeO−PEO−OH(MPEO)は、好ましい側鎖前駆体の例である。ポリマー材料の形成方法において、そのような側鎖は、無水物のアルコール分解を介しマレイン酸無水物誘導単位と反応して、カルボン酸エステルおよびカルボン酸を生じさせる。
【0156】
マレイン酸無水物とアルコールとの反応は、エステルおよびカルボン酸の形成をもたらすアルコール分解反応である。該反応はエステル化としても公知である。該反応は比較的高速であり、触媒を必要としないが、酸または塩基触媒を使用してもよい。
【0157】
正味の反応は以下に示す通りに表され得る。PxおよびPyはコポリマー/ターポリマーの残部を表し、ROHは代表的な側鎖前駆体である。
【0158】
【化26】

【0159】
1つの好ましい実施形態において、ROHによって表される2個の側鎖前駆体は、同じマレイン酸無水物モノマーで反応して、一般式
【0160】
【化27】

の化合物を生じさせることができる。
【0161】
代替として、マレイン酸無水物モノマー当たり1個の側鎖前駆体のみが反応する。これにより、マレイン酸無水物から誘導された単位に遊離カルボン酸基が残り、これが方法の後期段階において誘導体化され得る。この基を脱プロトン化して、ポリマー材料中にイオン性骨格を生じさせることもできる。
【0162】
1つの好ましい実施形態において、側鎖前駆体は、その末端のそれぞれにヒドロキシルまたはアミン基を有し得、各末端は、異なる骨格中のマレイン酸無水物から誘導された単位と反応して、架橋ポリマー材料を形成する。
【0163】
側鎖前駆体と、骨格中のマレイン酸無水物から誘導された単位を含む骨格前駆体との反応の後、骨格中のマレイン酸無水物から誘導された任意の未反応の単位を開環させてよい。これは、加水分解によって、または塩基を使用して実施され得る。得られる生成物はイオン化可能となり得る。このさらなる反応ステップは、骨格中、例えば交互コポリマー中に大きい割合のマレイン酸無水物がある場合に、特に有用性がある。
【0164】
本発明の1つの好ましい態様において、骨格前駆体は、一般式(IV)のペンダント単位
【0165】
【化28】

[式中、R3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルであり、かつ、R6およびR7は、それぞれ独立に、Hまたはアシル基であり、但し、R6およびR7の少なくとも一方はアシル基であるか、あるいは、R6およびR7は、それらが結合した炭素原子と一緒に連結して、式(V)の基
【0166】
【化29】

を形成する]
を、式(VI)の側鎖前駆体
HX1−Y−X2P (VI)
[式中、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である]
とともに含み、
方法において、式(VI)の化合物中の基HX1は、一般式(IV)または(V)の単位と反応して、その側鎖が一般式(I)
【0167】
【化30】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、H、−C(O)WR4または−C(O)Qであり、
但し、R1およびR2の少なくとも一方は、基−C(O)Qであるか、
あるいは、R1およびR2は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、式(II)の環式構造
【0168】
【化31】

{式中、
3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルであり、
Wは、OまたはNR4であり、
Qは、式−X1−Y−X2Pの基であり、
Tは、式−N−Y−X2−Pの基であり、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である}
を形成する]
のものである両親媒性ポリマー材料を生じさせる。
【0169】
本発明の1つの好ましい態様において、骨格前駆体は、骨格自体の一部(例えば、マレイン酸無水物が骨格の一部である場合)、すなわち、
【0170】
【化32】

[式中、各置換基は、上記で説明した定義を有する]
である。
【0171】
故に、側鎖は、上記で定義された通りのR1およびR2の一般式を有する。
【0172】
故に、両親媒性ポリマー材料中の側鎖は、骨格前駆体のアシル基から誘導される単位を含む。
【0173】
好ましい置換基は、ポリマー材料中の好ましい側鎖について上記に記したものと同じである。
【0174】
化粧用製品の配合
本発明の化粧組成物は、化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体を含む。
【0175】
本発明の両親媒性コポリマーは、公知のあらゆる種類の化粧組成物に添加され得る。好ましくは、本発明において使用される両親媒性コポリマーは、標準的な化粧配合物中の任意のロウ、油またはそれらの混合物の一部または全部を置き換える。
【0176】
本発明の化粧組成物は、口唇ケア用製品(例えば、口紅、リップグロス、リップライナー、リッププランパー、リップバーム、リップシアー、リップインク、リップコンディショナー、リッププライマーまたはリップブースター)、顔のメイクアップ用製品(例えば、ファンデーション、フェイスパウダー、コンシーラー、頬紅およびブロンザー)、ならびに目のメイクアップ用製品(例えば、アイシャドウ、アイライナーまたはマスカラ)を包括する。
【0177】
化粧組成物を生成する場合、安全であり、かつ市場における規制要件および法的要件に現在適合している材料を使用して生成すべきであるということが重要である。化粧品材料は、化粧品原料国際命名法(INCI)システムを使用して類別される。INCIシステム(2009年11月時点、米国化粧品工業会による管理)は、パーソナルケアおよび化粧用製品において使用される原料の同定を容易にするように設計されている。一般的に言えば、得られる生成物を著しく変化させることなく、同一のINCI名を持つ異なる製造業者製のもので材料を置き換えることが可能となることが、当業者には理解されよう。
【0178】
好ましくは、本発明の化粧組成物は、皮膚軟化剤、着色剤、保湿剤、UV遮断剤、活性剤、酸化防止剤、ビタミン、リッププランピング剤(口唇製品の場合のみ)、香料、フレーバーもしくは香味剤、甘味剤、植物もしくはハーブ抽出物、および/または保存剤の1つまたは複数をさらに含む。
【0179】
1つの好ましい実施形態において、本発明の配合物に着色剤が組み込まれる。好ましくは、着色剤は、製品および口唇に色を付与するために配合物に添加される無機顔料(例えば金属酸化物)または色素の形態である。
【0180】
口唇製品では、口唇の光沢を(例えばその反射率を増大させることによって)増大させるために、追加の作用物質が配合物に添加され得る。これらは、典型的には、口唇に光沢を加えるように設計されたリップグロス口紅またはさらにリップバーム製品における使用を見出すことができ、例として、真珠母、および適した粒子形態の酸化鉄もしくは二酸化チタン等の金属酸化物でコーティングされたマイカもしくはカルシウムナトリウムホウケイ酸ガラス、または代替として、この効果を実現する油およびロウもしくはそれらの組合せを含み得る。口唇用配合物は、場合により、一時的または永続的なリッププランピング効果を有する任意の作用物質、例えば、メントール、チリペパー、バニリルブチルエーテルまたはペプチドベースの材料、例えばヘキサペプチド−3等を含み得る。一時的なリッププランピング剤は、場合により、口唇組織に刺激を引き起こすことによって働き得るのに対し、長時間持続するまたはより永続的な効果は、例えば口唇のコラーゲンまたは水分組成を修正する作用物質から観察され得る。場合により、化粧組成物への添加前に両親媒性グラフトコポリマーをリッププランピング(plumpling)剤と混合して、口唇上での作用物質の挙動を修正してよく、例えば、時間を延長することにより、一時的なリッププランピング剤は検出可能な有益性を生じさせることになる。配合物は、不透明または真珠光沢材料も含有し得る。
【0181】
製品が提供し得る有益性の範囲を増大させるために、若干数の他の成分を化粧組成物に組み込んでよい。これらは、アロエベラ等の皮膚軟化剤および保湿剤、ココアバター、スクアラン、コエンザイムQ−10、アラントイン、サンスクリーン剤および太陽光の有害な影響を遮断する、または遮断するのを助けることができる他の作用物質(オキシベンゾン、パディメートOもしくはオクチノキサートのような有機材料、または代替として、亜鉛もしくは二酸化チタンのような無機材料、あるいは無機および有機材料両方の組合せを含む)、ならびに、皮膚の健康もしくは外観に有益となるまたは疾患を治療することができるまたはそのような認識されている有効成分を含む。これらの原料は、酸化防止剤および/またはビタミン(例えばビタミンEおよびその誘導体)、ヒアルロン酸、鎮痛薬(例えば、ショウノウ、メントール、フェノール)、コラーゲンおよびその誘導体を含むがこれらに限定されない。その成分の酸化的分解によって組成物が損なわれるまたは変質するのを回避するために、ビタミンEまたはブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化防止剤を添加してもよい。
【0182】
場合により、しかし好ましくは、配合物は、製品の感覚プロフィールを向上させてその塗布または使用をより快適にし、消費者または使用者に訴求するために、香料および/もしくはフレーバー(果実、ハーブ、野菜、香辛または菓子フレーバー等)、ならびに/または甘味剤(例えばサッカリン)も含み得る。例えば、フレーバーまたは香料は、組成物において使用される油およびロウの本来のフレーバーまたは香料を相殺しマスキングするために使用され得、あるいは、口唇上でのフレーバーの知覚を使用者に与えるために使用されるかもしれない。植物、特にハーブ抽出物がしばしば添加される。配合物は、場合により卵白を含み得る。配合物は、組成物中における細菌および/または真菌の成長を防止するための保存剤、例えば、メチル、エチル、プロピルおよびブチルパラベンを含むアルキルパラベンのファミリー、ジアゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウムまたはカリウムの使用を含んでもよい。組成物を保存するため、またはその保存を助けるために添加され得るいくつかの原料は、例えば皮膚軟化剤としての、別の一次的または二次的な役割を有することが、当業者には理解されよう。配合物は、口唇製品構造の安定性またはその中の作用物質の相溶性を増大させるための作用物質を含み得る。配合物は、フィルム形成剤、例えば粘土または改質粘土、ならびにステアラルコニウムヘクトライトおよびポリブテンを含むポリマーを含有してもよい。
【0183】
アルコールおよび水ベースの配合物、例えば、ある特定のファンデーションおよびリップインク配合物の事例において、ポリマーは、典型的には相の1つに溶解または分散され、次いで配合物の他の成分と混合される。多くの事例において、混合物の温度を、例えば水の場合には80℃に上げることにより、この過程を達成することがさらに容易になる。混合物とのより良好な相溶性を確実にするために乳化剤を添加することも有利となり得る。より疎水性のコポリマーの事例においては、多くの場合、存在するならば最初にエタノール相にそれらを溶解または分散することが有利である。水ベースのファンデーション配合物は粘土を含んでもよく、ポリマーは、場合により、その性能を増大させるために最初に粘土と予混合され得る。その色移り耐性をさらに増大させるために、追加のポリマー系を水ベースの配合物(例えば口唇のメイクアップまたはファンデーション)に添加してよい。配合物は、場合により、種々の天然または合成の粘度調整剤または増粘剤、例えば、ポリ(アクリル酸)(カルボマーとして市場に出ている)のようなポリマー、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系材料、キサンタンおよびグァーガムのような天然ガム、または粘土もしくはステアラルコニウムヘクトライト等の粘土誘導体を含み得る。
【0184】
典型的には両親媒性コポリマーを使用するように適合され得る配合物への有用な指針は、「A Formulary of Cosmetic Preparations」、1巻:Decorative Cosmetics、Anthony L.L.Hunting編、第2版、2003、Micelle Press、Weymouth、Englandにおいて見ることができ、その内容は一例として組み込まれる。
【0185】
本発明の1つの好ましい実施形態において、化粧組成物は、エマルション、好ましくは、油中水型または水中油型エマルションの形態である。
【0186】
本発明のさらなる態様は、化粧組成物の調製における、上述した通りの両親媒性ポリマーの使用に関する。
【0187】
口唇製品の配合
好ましくは、口唇製品では、化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体は、油、脂肪およびロウ、または最も好ましくはそれらの混合物から選択される。
【0188】
ほとんどの口唇製品(リップステインを除く)は、時に構造化剤または原料と称される、油、脂肪および/またはロウをベースとする混合物を使用する。
【0189】
本発明の化粧組成物は、典型的には、上述のポリマーを1種または複数の油および/またはロウとともに溶融させ、生成物に期待されるすべての望ましい特性を持つ均質な生成物をもたらすことによって調製される。
【0190】
したがって、本発明のさらなる態様は、化粧組成物を調製するための方法であって、上述した通りの両親媒性コポリマーを1種または複数の油および/またはロウとともに溶融させて、均質な生成物を形成するステップを含む方法に関する。
【0191】
本発明のさらなる態様は、上述の方法によって取得できる化粧組成物に関する。
【0192】
本発明の文脈において、油は、室温(約21℃から約25℃の間)では非水液体および脂肪としてペースト状または流体から半流体の稠度で存在しているのに対し、ロウは、通常の周囲温度におけるいくらかの可塑性および約45℃から50℃を超える融点を有する材料である。本発明の配合物において使用される材料は、最終生成物において必要とされる濃度で使用され得る十分に非毒性性質のものである。いくつかの問題(例えば、劣悪な味もしくはにおい、または望ましくない色)は、当業者による慎重な配合によって克服され得るが、材料は化粧的に許容されるものであることも必要である。
【0193】
適切なロウは、植物、動物、石油、合成または鉱物源から誘導されるものを含むがこれらに限定されない。好ましい例は、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ、カルナウバ、ラノリンおよびカンデリラ(candelila)ロウを含む。
【0194】
適切な油、脂肪およびロウは、植物、動物、石油、合成または鉱物源から誘導されるものを含むがこれらに限定されない。好ましい例は、ヒマシ、オリーブ、ホホバ、ココナツ、ゴマ、ベニバナ、オレンジ、鉱物、キャノーラおよび種々のシリコーン/メチコーン油、ラノリンならびにワセリンを含む。これらの油の多くは、通常の使用中に口唇上に残ることになる。シアバターまたはラノリンのようないくつかの脂肪原料は、皮膚軟化特性も保有し得る。場合により、他の油の代わりにまたはそれと併せて、揮発性油(例えばしばしばジメチコンをベースとしたもの)を使用してよい。これらの油は、口唇の表面上で蒸発して、口唇製品の、最も典型的には口紅の色移り耐性を増大させる。
【0195】
これらの材料のいくつかは多機能性であり、他の有益性も付与する。例えば、ラノリン、ワセリン、ジメチコンは、皮膚の保護においてその有益性が認められている。概して、材料は、口唇製品の必要とされる物理的特性を構築するように調整される。これは、典型的には、硬質(より高い融点/滴下点)および軟質(より低い融点)のロウおよび油の割合を変動させることによって達成される。例えば、口紅のような製品においては、より硬い物理的形態が必要とされ、ロウに対してより高い比率の油が使用される。リップグロスのようなより流動的な製品においては、より高い割合の油または軟質ロウが使用される。
【0196】
リップライナーは、例えば外面として木のような材料で作製された固形ペンシルから小出しにされ得る。両親媒性コポリマーおよび他の原料は、場合により、材料を一緒に顆粒化形態に混合し、それらを一緒に圧縮することによって形成され得る。優先的には、材料は、それらを一緒に溶融させ、一緒に緊密に混合することによって混合されることになる。成分を押出機へ連続的に通過させ、反対側から送出する方法によって成分を合わせてもよい。
【0197】
好ましい両親媒性グラフトコポリマー(例えばPG1)は、典型的には周囲温度で存在しているよりも上に集中した融点を有するため、その物理的特性はロウの物理的特性に最も類似しているとみなされ得る。口紅のような口唇製品は、典型的には、関連の油、脂肪およびロウを昇温で一緒に合わせ、その後、ロウが十分に軟らかくなったら適切なスターラーで混合することによって製造される。グラフトコポリマーを同様の方式で混合物に添加してよい。材料の分散を助けるために、グラフトコポリマーは、典型的にはペレットまたは顆粒化もしくは粉末化形態のいずれかで使用される。いくつかの事例においては、混合物への添加前に温度を上昇させて、均質化をさらに容易にすることが有利となり得る。コポリマーを適切な油(例えばヒマシ油)またはロウ(例えば蜜ロウ)と合わせ、より扱いを容易にすることもできる。例えば、油を加えた生成物はペーストとなり得るのに対し、ロウを加えると生成物はより速く溶融する固体となり得る。
【0198】
温度およびミキサーは、エネルギーを浪費することも成分を実質的に分解することもなく、原料の本質的に均質な混合物が効率的に形成され得るように選択される。場合により、特別に設計された口紅用のケトルが使用され得る。好ましくは、温度は、約50℃から約120℃まで、より好ましくは約70から約90℃の領域内である。他の原料(顔料、活性物質等)が添加され混合される間、この温度が維持され得る。必要ならば、添加した香料または有効成分の過剰な蒸発または分解を回避するために、温度を低減させてよい。代替として、混合物を加熱する前に、香料または有効成分を構造成分と予混合することが可能である。例えば、両親媒性コポリマーを、香料、フレーバーまたは有効成分と予混合して、最終生成物内における作用物質の良好な分布および口唇上における成分の長時間持続する固着を確実にすることが可能である。
【0199】
多くの、例えばリップバームに関する事例において、最終混合物は、好ましくは、製品を消費者に売り出すために使用される最終パッケージに溶融形態で注ぎ込まれる。口紅の事例においては、混合物は、好ましくは、特別に設計された鋳型に注ぎ込まれる。これらは、典型的には、金属等の熱的に強固な材料から構成され、多くの設計が容量を変動させて市販されている。鋳型は、典型的には、最終的な口紅に円筒形状を付与するように設計される。鋳型は、当業者によく知られている異なった設計を用い、口紅の先端部を要望通りに成形するように設計され得る。口紅鋳型は、急激過ぎる凝固および得られたスティックにおける欠陥を回避するために、注ぎ込まれる混合物に合わせてしばしば加熱される。加熱混合物の添加後、次いでそれを冷却させて、混合物の凝固をもたらす。場合により、鋳型および混合物を周囲温度未満に冷却し、それによって固化する速度を増大させてよい。次いで、口紅を鋳型から除去し、筒内に入れてこれを市場に出す。
【0200】
好ましくは、重量で約1から約20%まで、より好ましくは約2.5から約15%まで、より好ましくは約2.5から約12%までのポリマーが、口紅のような硬質口唇製品において使用される。リップバームのような軟質口唇製品においては、重量で好ましくは約1から約50%まで、より好ましくは約5から約40%まで、またさらに好ましくは約5から約35%までのポリマーが添加される。軟質リップバーム製品の硬度の低さにより、より多くのポリマーを配合物に組み込む能力を活用することが有利となり得る。しかしながら、いくつかの事例においては、より多くの油の組み込みを可能にするためにより少ない量のポリマーを使用することが好ましいであろう。
【0201】
好ましくは、本発明の化粧組成物は、口唇製品、より好ましくは、口紅、リップグロス、リップライナー、リッププランパー、リップバーム、リップシアー、リップインク、リップコンディショナー、リッププライマーまたはリップブースターである。
【0202】
本発明の好ましい実施形態において、
(i)約1重量%から約40重量%までの量の、本明細書において定義される通りのPG1、PG2、PG3、PG4、PG5、PG6またはPG7、好ましくはPG1等の両親媒性グラフトコポリマー;
(ii)約10重量%から約50重量%までの量の、1種または複数のロウ、油および脂肪。最も好ましくは、これらは、典型的には、オゾケライトロウ、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ、カルナウバロウまたはカンデリラロウ;ラノリン、シアバター、ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、ココナツ油、ゴマ油、ベニバナ油、オレンジ油、鉱物油、キャノーラ油、シリコーン/メチコーン油またはパラフィン油等の天然、鉱物または合成起源由来であり;ならびに場合により、
(iii)約0.1重量%から約1重量%までの量の、何らかの形態の酸化防止剤、および/または殺菌/保存作用、例えば、ビタミンE、酢酸ビタミンE、ビタミンC、BHT、プロピルパラベン、メチルパラベン等のアルキルパラベンもしくはパラベンの混合物、ジアゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウムおよび/またはカリウムを加えた1種または複数の原料
を含む、口紅、リップグロスまたはリップバームベースが提供される。
【0203】
本発明の好ましい実施形態において、
(i)約1重量%から約40重量%までの量の、本明細書において定義される通りのPB1、PB2またはPB3、好ましくはPB1等の両親媒性ブロックコポリマー;
(ii)約10重量%から約50重量%までの量の、1種または複数のロウ、油および脂肪。最も好ましくは、これらは、典型的には、オゾケライトロウ、マイクロクリスタリンワックス、蜜ロウ、カルナウバロウまたはカンデリラロウ;ラノリン、シアバター;ヒマシ油、オリーブ油、ホホバ油、ココナツ油、ゴマ油、ベニバナ油、オレンジ油、鉱物油、キャノーラ油、シリコーン/メチコーン油またはパラフィン油等の天然、鉱物または合成起源由来であり;ならびに場合により、
(iii)約0.1重量%から約1重量%までの量の、何らかの形態の酸化防止剤、および/または殺菌/保存作用、例えば、ビタミンE、酢酸ビタミンE、ビタミンC、BHT、プロピルパラベン、メチルパラベン等のアルキルパラベンもしくはパラベンの混合物、ジアゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウムおよび/またはカリウムを加えた1種または複数の原料
を含む、口紅、リップグロスまたはリップバームベースが提供される。
【0204】
場合により、口紅、リップグロス、リップバームは、顔料、フレーバー、香料、甘味剤、UV活性物質および/または光沢向上剤等、1種または複数の追加の適切な添加剤をさらに含む。
【0205】
顔用製品の配合
両親媒性コポリマーを含有する顔用化粧品は、要望に従って、液体、粉末、クリーム、スティックまたはゲルを含む様々な形式に配合され得る。油、ロウ、顔料および香料を含む、口唇製品において使用される先に論じた化粧品原料の多くが使用され得る。
【0206】
ファンデーション配合物は、最終生成物の必要とされる物理的形式に応じて、多様な異なる成分を含有し得る。流体の事例においては、先に論じた油または皮膚軟化剤(emolients)のいずれかである。故に、ポリマーは、昇温にて、口唇製品について先に記述したものと同様の方式で混合され得る。
【0207】
水および油のエマルションであるファンデーションの事例において、ポリマーは、典型的には、好ましくは混合物への添加前にわずかなロウを加えて、油相に混合されることになる。代替として、ポリマーは、好ましくは油およびロウが添加される際に配合物に添加され得る。クリームのような粘性の高い製品の事例においては、得られる配合物の粘度を増大させるために、粘度調整剤を添加してよい。
【0208】
粉末配合物の事例において、ファンデーションは、典型的にはタルクをベースとし、場合により、カオリン、沈降白亜、二酸化チタン、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オキシ塩化ビスマス、炭酸マグネシウムおよびステアリン酸マグネシウムのような多様な粉末化原料と混合されることになる。これらの粉末化材料の多くは、増量剤として作用することに加えて、生成物(ステアリン酸マグネシウムおよび亜鉛)または乳白剤(炭酸マグネシウム)におけるケーキングを防止する等の二次的な有益性を有する。溶融物として添加し、得られた材料を所望のサイズに粉砕することによって、または材料を揮発性媒質中で合わせ、噴霧乾燥等の適切な過程でそれらをコーティングすることによってのいずれかで、ポリマーをタルクまたは粉末化材料と予混合することが好ましい。
【0209】
ポリマーを、ファンデーションに添加する前に、存在するならば油またはロウと混合することは、好ましい実施形態である。
【0210】
得られる生成物をミネラルファンデーションとして市場に出すことが望ましい場合、典型的には、酸化亜鉛、二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスのような無機材料が添加されることになる。
【0211】
コンシーラーの事例において、典型的には液体形式が好ましい。典型的には、前に述べた油およびロウの混合物が使用されることになる。故に、ファンデーションと同様に、両親媒性コポリマーは典型的にはロウおよび油に混合され得る。配合物は、典型的には、シミをカバーできるようにするために、他の化粧用製品について典型的であるよりも多いレベルの顔料と配合されることになる。これは、好ましくは、比較的大きい量、典型的には配合物の10から30重量パーセントの二酸化チタンを使用するのが最も一般的である。
【0212】
ルージュまたは頬紅は、粉末、クリームまたは流体を含む多様な形式で売られていることがある。両親媒性コポリマーは、典型的には、ファンデーションにおけるものと同様の方法で混合され得る。頬および顔にかすかな赤色を与えるために、しばしば赤色顔料(例えば酸化鉄、好ましくは0から15%)が組み込まれる。
【0213】
これらの材料および両親媒性ポリマーに加えて、配合物は、場合により、ロウ、油、乳化剤、密着性を制御するためのさらなる作用物質、皮膚に紫外線放射からの保護を与えるための作用物質、酸化防止剤、保存剤、香料および顔料を含むがこれらに限定されない、本特許に収載されている他の種類の化粧的に許容される材料のいずれかを含み得る。
【0214】
好ましくは、重量で約1から約20%まで、より好ましくは約1から約15%まで、より好ましくは約2から約12%までのポリマーが、顔用製品において使用される。
【0215】
目用製品の配合
両親媒性コポリマーを含有する目の化粧品は、典型的には、要望に従って、液体、粉末またはゲル形式に配合される。油、ロウ、顔料および香料を含む、口唇製品において使用される先に論じた化粧品原料の多くが使用され得る。1つの例外は、すべての成分、特に顔料の純度および安全性が非常に重要なことである。
【0216】
マスカラは、概して、水ベースおよび非水ベースの色移り耐性配合物に分けられ得る。水ベースの配合物は、典型的には、システムの疎水性成分の可溶化を補助するための界面活性剤を含むことになる。色移り耐性配合物は、比較的急速に蒸発して色移り耐性フィルムをもたらす揮発性油を含有する。場合により、マスカラ配合物は、睫毛の長さを増大させるためにナイロンまたはレーヨンのような繊維を含有してよく、両親媒性ポリマーを繊維と予混合してその密着性を増大させ得ることは、本発明の好ましい態様である。好ましくは、両親媒性ポリマーを、相溶性の油およびロウの混合物に昇温で配合し、次いで、よく撹拌しながら配合物に添加する。
【0217】
アイシャドウは、優先的には、リキッドファンデーションで使用したものと同様の方式で、着色無機顔料を液体またはクリームベースに激しく分散させることによって配合される。別の好ましい方法においては、パウダーファンデーションを作製するために論じた方法を使用して、両親媒性コポリマーをタルクのような固体原料に混合して、粉末配合物を作製する。
【0218】
アイライナーは、例えば外面として木のような材料で作製された固形ペンシルから小出しにされ得る。両親媒性コポリマーおよび他の原料は、場合により、材料を一緒に顆粒化形態に混合し、それらを一緒に圧縮することによって形成され得る。優先的には、材料は、それらを一緒に溶融させ、一緒に緊密に混合することによって混合されることになる。成分を押出機へ連続的に通過させ、反対側から送出する方法によって成分を合わせてもよい。
【0219】
これらの材料および両親媒性ポリマーに加えて、配合物は、場合により、ロウ、油、乳化剤、密着性を制御するためのさらなる作用物質、皮膚に紫外線放射からの保護を与えるための作用物質、酸化防止剤、保存剤、香料および顔料を含むがこれらに限定されない、本特許に収載されている他の種類の化粧的に許容される材料のいずれかを含み得る。
【0220】
好ましくは、重量で約1から約20%まで、より好ましくは約1から約15%まで、より好ましくは約2から約12%までのポリマーが、目用製品において使用される。
【0221】
本発明の好ましいコポリマー
下記のコポリマーは、以下で説明する方法論に従って調製した。
【0222】
【表1】

上記の表中のグラフト(例えば、MPEO、PEOまたはJeffamine)の当量数により、グラフト対骨格中のマレイン酸無水物の各単位の比率が指示されていることを理解すべきである。例えば、PG1の事例においては、2.8当量のMPEO 2Kがマレイン酸無水物の各単位に対して添加された。したがって、過剰のMPEOが最終生成物中に存在することになる。PG6の事例においては、0.3当量のMPEO 2Kが各マレイン酸無水物単位に添加されたため、マレイン酸無水物の最大30%がグラフトと反応することになる。PIP−g−MAは鎖当たり平均2〜5のマレイン酸無水物単位を有し、または典型的には2重量%未満がグラフトとの反応に利用可能である。PIB−alt−MA骨格は、イソブチレンおよびマレイン酸無水物の交互コポリマーであり、故に、対照的に、60および70重量パーセントの間のマレイン酸無水物を有する。故に、PG1よりもPG6により多くのMPEOが実際に添加され、得られるポリマーは、PG1よりも高いHLBを有すること、換言すれば、より親水性であることが期待されるであろう。
【0223】
本発明の好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、PG1、PG2、PG3、PG4、PG5、PG6もしくはPG7、またはそれらの混合物である。
【0224】
Baker Hughes製の、エチレンおよびエチレンオキシド(Unithox 720、ポリマーPB1)および(Unithox 750、ポリマーPB2)、またはプロピレンおよびエチレンオキシド(X10044、ポリマーPB3)のブロックコポリマーを、化粧組成物に入れた。PB1は、106℃の融点(m.p.)、4のHLB(疎水性親油性バランス)および875の分子量を有する。Unithoxは、107℃の融点、10のHLBおよび1400の分子量を有する。X10044は、107℃の融点、4のHLBおよび1300の分子量を有する。
【0225】
【表2】

【0226】
本発明の好ましい実施形態において、両親媒性コポリマーは、PB1、PB2もしくはPB3、またはそれらの混合物である。
【0227】
本発明において使用されるポリマー材料の分子量を計測する好ましい方法を、以下で説明する。代替的な方法は当技術分野において周知であり、J.M.G.Cowie、Polymers:Chemistry and Physics of Modern Materialsにおいて見ることができる。
【0228】
参照方法A:ポリマー材料および遊離MPEOの分子量の決定
Polymer Labs製のPL−GPC50プラスGPCシステムを使用して、ポリマー試料を分析した。下記の条件を使用した。
溶離液:250ppmのBHTで安定化させたTHF
溶離液RI:1.408
流速(ml/分):1
温度:40℃
カラムセット名:2カラム30mm PLゲル5um MIXED−D
検出器名:DRI
検出器較正曲線:ポリスチレン標準(538Da〜265000Da)
【0229】
この装置を使用して、すべてのコポリマーの分子量を決定した。
【0230】
試料中に存在する任意の遊離MPEOの量を決定するために、公知の濃度のTHF中MPEO2000(0.05〜2mg/mL)の10種の異なる溶液を正確に調製し、該装置で分析した。次いで、試料の関連強度を使用して較正曲線を生成し、これを使用して、試料中の遊離MPEOの濃度を生成した。
【0231】
参照方法B:FT−IRを使用するPEGによるグラフティング度の決定
この分析は、PerkinElmerパラゴン2000赤外分光計で行った。分析用の試料を分光グレードのクロロホルムに溶解し、公知のセル光路長を持つIRビーム中、取り付けブラケット/キャリッジ内の液体セル(PTFEスペーサーによって分離されたフッ化バリウムプレート)に入れた。
【0232】
グラフトコポリマーを合成するために使用した骨格のバッチの試料を、共栓三角フラスコに正確に約0.1g(±0.05g)検量し、10gの正確に検量したクロロホルムに溶解した。試料のFT−IRを収集し、1830cm-1および1790cm-1で計測した透過パーセントの値を記録した。最終グラフトコポリマーの試料を、共栓三角フラスコに正確に約1.5g(±0.5g)検量し、10gの正確に検量したクロロホルムに溶解し、FT−IRによって同様の方式で調査した。次いで、各試料中のマレイン酸無水物濃度を、下記の式:
μモル/g(試料中)=33600×Log10%T(1830.0cm-1で)
C %T(1790.0cm-1で)
[ここで、Cは、試験液中における濃度(単位:mg g-1)である]を使用して算出した。次いで、骨格とグラフトコポリマーとの値を比較することにより、マレイン酸無水物の変換パーセントを決定することができる。
【0233】
参照方法C:口紅の強度の決定
先に述べた通り、最終生成物に必要とされるものに合致する最終生成物の物理的状態を確実にするためには、製品中における油およびロウの分量の慎重な選択が必要である。より堅固な製品(例えば口紅および硬質リップバーム)では、通常の使用中に破損しないことを確実にするように、最終生成物の強度も計測される。配合された口唇製品の強度を試験するための種々の装置が当業者に公知であり、多くのそのようなデバイスが、スティックの強度を計測するように適合され得る(例えば張力計)。下記の実施例において記述される口紅試料またはスティック形式のリップバームの強度は、以下で記述する通りの簡単な方法を使用して計測した。
【0234】
試験対象の試料は、後述する方法を使用して製造された口紅筒内の最終生成物でなくてはならない。温度がスティックの硬度に影響を及ぼすため、25℃に維持されているオーブンに試料を最低1時間入れて、試験前に平衡化した。被験口紅を筒から完全に伸長させ、金属のレトルトスタンドを使用して筒自体を固定した。重量の分かっているプラスチックバケツを、完全に伸長させた口紅の上端に置き、バケツをゆっくり水で満たした。口紅が折れた時点で試験は完了とした。バケツの重量および添加した水の量から、バケツの全質量を決定する。試験を合計3回繰り返し、スティックを折るために必要とされる平均重量を、その硬度の計測値として記録した。
【0235】
概して、混合物への両親媒性コポリマーの添加は、得られるスティックの強度に悪影響を及ぼさないことが分かった。口紅の特性が最適でないことが分かった場合には、配合物中のロウまたは油の割合を変動させることによって、例えば、配合物が軟らか過ぎる場合には多量のより硬質なロウを、または硬過ぎる場合には油を添加することによって、強度を一層調整することができる。
【0236】
下記の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに記述する。
【0237】
実施例
実施例において算出される任意のパラメーターまたは行われる調査は、上記で説明されている適した参照方法を使用して為される。
【実施例1】
【0238】
反応フラスコ中でのポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG1の調製)
CAS No.139948−75−7、およそ25,000の平均Mwおよび1.0mol%前後の典型的なレベルのMAのグラフティングを有するPIP−g−MA(300g、Kurarayから入手したポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物、LIR−403グレード)と、2000の平均分子量を有するメトキシポリ(エチレンオキシド)(MPEO)(212g、Clariantから購入したもの)とを検量し、オーバーヘッドスターラーを備えた1L容量の反応フラスコに添加した。窒素ガス流を容器に通過させ、次いで、油浴を使用してこれを120℃に加熱した。次いで、溶融混合物の撹拌を開始し、容器を160℃に加熱した。
【0239】
反応混合物を、この温度で合計およそ24時間維持した。これに続いて、混合物を100℃未満に冷却させ、次いで水(400ml)を添加した。混合物を室温に冷却させ、水を濾過によって除去し、その後、生成物を真空下40〜50℃で乾燥させた。
【0240】
GPCおよびFTIRを使用して、生成物を調査した。
【実施例2】
【0241】
高せん断造粒機ミキサー中でのポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG1の調製)
CAS No.139948−75−7、およそ25,000の平均Mwおよび1.0mol%前後の典型的なレベルのMAのグラフティングを有するPIP−g−MA(738g、Kurarayから入手したポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物、LIR−403グレード)と、2000の平均分子量を有するメトキシポリ(エチレングリコール)(MPEO)(526g、Clariantから購入したもの)とを検量し、オーバーヘッドスターラーを備えたLodige 3Lバッチミキサーに添加した。窒素ガス流を容器に通過させ、次いで、油浴を使用してこれを120℃に加熱した。次いで、溶融混合物の撹拌を開始し、容器を160℃に加熱した。
【0242】
反応混合物を、この温度で合計およそ24時間維持した。これに続いて、混合物を100℃未満に冷却させ、次いで水(1L)を添加した。混合物を室温に冷却させ、水を濾過によって除去し、その後、生成物を真空下40〜50℃で乾燥させた。
【0243】
GPCおよびFTIRを使用して、生成物を調査した。
【実施例3】
【0244】
Zブレードミキサー中でのポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とメトキシポリ(エチレングリコール)との反応(PG1の調製)
CAS No.139948−75−7、およそ25,000の平均Mwおよび1.0mol%前後の典型的なレベルのMAのグラフティングを有するPIP−g−MA(738g、Kurarayから入手したポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物、LIR−403グレード)と、2000の平均分子量を有するメトキシポリ(エチレンオキシド)(MPEO)(526g、Clariantから購入したもの)とを検量し、オーバーヘッドスターラーを備えたLodige 3Lバッチミキサーに添加した。窒素ガス流を容器に通過させ、次いで、油浴を使用してこれを120℃に加熱した。次いで、溶融混合物の撹拌を開始し、容器を160℃に加熱した。
【0245】
反応混合物を、この温度で合計およそ24時間維持した。これに続いて、混合物を100℃未満に冷却させ、次いで水(0.5L)を添加した。混合物を室温に冷却させ、水を濾過によって除去し、その後、生成物を真空下40〜50℃で乾燥させた。
【0246】
GPCおよびFTIRを使用して、生成物を調査した。
【実施例4】
【0247】
Zブレードミキサー中でのポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG2の調製)
ポリマーPG2は、PIP−g−MA(4.0Kg)およびMPEO(1.23Kg)を使用し、実施例3と同様の方式で調製した。反応物を150℃の温度で2時間維持し、次いで、反応混合物を90℃に冷却させ、混合をさらに5時間維持した。合計7時間後、生成物を約80℃で排出し、周囲温度に冷却させた。
【0248】
GPCおよびFTIRを使用して、構造を確認した。
【実施例5】
【0249】
Zブレードミキサー中でのポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG3の調製)およびポリ(エチレンオキシド)との組合せ
ポリマーPG3は、PIP−g−MA(3.2Kg、ポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物)およびMPEO(1.03Kg)を使用し、実施例4のものと同様の方式で調製した。しかしながら、MPEOの反応が完了した後、ポリ(エチレンオキシド)(PEO、1.86Kg)を導入し、混合物を90℃でさらに4時間撹拌させた後、周囲温度に冷却させた。
【0250】
GPCおよびFTIRを使用して、構造を確認した。
【実施例6】
【0251】
Zブレードミキサー中でのポリイソプレン−グラフト−モノ酸モノメチルエステルとポリ(エチレングリコール)メチルエーテルとの反応(PG4の調製)
ポリマーPG4は、実施例4において使用したものと同様の方式で調製した。CAS No.139948−75−7、およそ25,000の平均Mwおよび10mol%前後の典型的なレベルのマレイン酸無水物のグラフティングを有するPIP−g−MaMe(300g、Kurarayから入手したポリイソプレン−グラフト−マレイン酸メチルエステル、LIR−410グレード)と、2000の平均分子量を有するMPEO(240g、Clariantから購入したもの)とを検量し、Zブレードミキサーに添加した。窒素ガス流を容器に通過させ、次いで、熱油ジャケットを使用してこれを120℃に加熱した。次いで、溶融混合物の混合を開始し、その後、容器を160℃に5時間加熱し、次いで、反応混合物を90℃に冷却させ、混合をさらに2時間維持した。合計7時間後、生成物を約80℃でZブレードミキサーから排出し、周囲温度に平衡化した。
【実施例7】
【0252】
2:1比のグラフト対各マレイン酸無水物基を用いるポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物とアミン官能化ポリエーテル(Jeffamine M−2070)との反応(PG5の調製)
この生成物は、LIR−403(500g)およびアミン官能化ポリエーテル(Jeffamine M−2070、290.0g)、ならびに1L反応フラスコを使用し、実施例1と同じ方法論を使用して調製した。GPCおよびFTIRを使用して、構造を確認した。
【0253】
CAS No.139948−75−7、およそ25,000の平均Mwおよび1.0mol%前後の典型的なレベルのMAのグラフティングを有するPIP−g−MA(500g、Kurarayから入手したポリイソプレン−グラフト−マレイン酸無水物、LIR−403グレード)と、1000の平均分子量を有するアミン官能化ポリエーテル(Jeffamine M−2070、290.0g、Huntsmanから入手したもの)とを、オーバーヘッドスターラーを備えた1L容量の反応フラスコに添加した。窒素ガス流を容器に通過させ、次いで、油浴を使用してこれを120℃に加熱した。次いで、溶融混合物の撹拌を開始し、その後、容器を160℃に加熱した。
【0254】
反応混合物を、この温度で合計およそ24時間維持した。これに続いて、混合物を室温に冷却させた。
【0255】
GPCおよびFTIRを使用して、構造を確認した。
【実施例8】
【0256】
ポリ(イソブチレン−alt−マレイン酸無水物)とMn:2000gmol-1のメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG6の調製)
溶媒は、Fisher Scientificから入手し、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)または同様の品質のものであった。
【0257】
ポリ(イソブチレン−alt−マレイン酸無水物)(Mn:6000gmol-1、60g、Sigma−Aldrichによって供給されたもの)およびメトキシポリ(エチレンオキシド)(Mn:2000gmol-1、220g、Clariant製)を、反応フラスコ中のジメチルホルムアミド(DMF、200mL)およびトルエン(200mL)の混合物に溶解した。フラスコを窒素ガス下還流温度で48時間加熱し、共沸蒸留およびディーンスターク装置への収集を利用して、存在するあらゆる水を反応物から除去した。次いで、得られたポリマー溶液を室温に冷却させ、追加のトルエン(200mL)で希釈し、ジエチルエーテル(500mL)に沈殿させた。次いで、濾過を使用してポリマーを回収し、追加のジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて微量の溶媒を除去し、固体PG6を生み出した。
【0258】
赤外分光法を使用して、骨格へのMPEOのグラフティングを確認した。
【実施例9】
【0259】
ポリ(マレイン酸無水物−alt−1−オクタデセン)とMn:350gmol-1のメトキシポリ(エチレンオキシド)との反応(PG7の調製)
ポリ(マレイン酸無水物−alt−1−オクタデセン)(PA18−LVグレード、20〜25000gmol-1、116.7g、Chevron−Philips International製)およびメトキシ(methxoy)ポリ(エチレンオキシド)(Mn:350gmol-1、58.3g、Sigma−Aldrichによって供給されたもの)を、反応フラスコ中のトルエン(400mL、HPLCグレード、Fisher Scientific)に溶解した。フラスコを窒素ガス下還流温度で60時間加熱し、共沸蒸留およびディーンスターク装置への収集を利用して、存在するあらゆる水を反応物から除去した。次いで、得られたポリマー溶液を、安全に丸底フラスコに添加できる程度まで冷却させた。次いで、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で溶媒を除去した。次いで、ポリマーを真空オーブン内で乾燥させて微量の溶媒を除去し、PG7を生み出した。
【0260】
赤外分光法を使用して、骨格へのMPEOのグラフティングを確認した。
【0261】
化粧配合物
ポリマーPG1〜7およびPB1〜3を化粧配合物において使用して、本発明を例証した。
【0262】
化粧組成物の配合
組成物を製造する際に使用される原料を、便宜上、製造業者の商品名で、INCIシステムにより割り当てられた名称と一緒に本項に収載する。本発明において使用した商業的に供給される材料は、化粧品または食品グレードのものであった。
【0263】
ヒマシ油BP(ヒマシ油、INCI:ricinus communis油)およびバニラ香料(INCI:パルファム)は、William Hodgson&Co.によって供給された。Cerilla raffinee(精製カンデリラロウ、INCI:カンデリラセラ)、Cerabeil bio−D(蜜ロウ、INCI:Cera alba)、Cerabeil White(蜜ロウ、INCI:Cera alba)、Cerauba T1(プライムイエローカルナウバロウ、INCI:Copernicia Cerifera[カルナウバ]ロウ)、Cerozo D306(オゾケライトロウ、INCI:オゾケライト)およびCerozo E626(オゾケライトロウ、INCI:オゾケライト)は、Baerlocherによって製造された。マイクロクリスタリンワックス(INCI:マイクロクリスタリンワックス)は、Pothe Hille&Co.によって製造された。Anhydrous Protalan Lanolin(INCI:ラノリン)およびビタミンE−USP(ビタミンEアルコール、INCI:酢酸DL−α−トコフェロール)は、Protameen Chemicals inc.によって供給された。Softisan 100P(飽和脂肪酸グリセリド、INCI:水添ココグリセリル)、Mygliol 812N(脂肪酸エステル、INCI:トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)およびSoftisan 645(グリセロール脂肪酸エステル、INCI:ビスジグリセリルポリアシルアジペート−1)は、Sasolによって製造された。Versagel M500(ゲル化鉱油、INCI:ミネラルオイル(および)(エチレン/プロピレン/スチレン)コポリマー(および)(ブチレン/エチレン/スチレン)コポリマー)およびSnow White Petrolatum USP(INCI:ワセリン)は、Penrecoによって製造された。Dow Corning 5562 Carbino fluid(INCI:ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ジメチコン)、Dow Corning 9701 Cosmetic Powder(INCI:(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー(および)シリカ)、Dow Corning 2−1184 FLUID(INCI:ジメチコン(および)トリシロキサン)およびDow Corning BY11−030(INCI:シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG−19/19ジメチコン)は、Dow Corningによって製造された。Microma 100(INCI:ポリメタクリル酸メチル)は、池田物産株式会社によって製造された。J−68−BC(INCI:タルク)は、US Cosmetic Corporationによって製造された。(INCI:未精製アボカド油(以後、アボカド油と称する、INCI:persea gratissima、Blanova shea nut butter(以後、シアバターと称する、INCI:Butyrospermum Parkii[シアバター])。LEXGARD O(INCI:カプリリルグリコール)は、Inolexによって製造された。流動パラフィン(INCI:パラッフィヌムリクイドゥム)は、Merckによって製造された。脱イオン水(INCI:アクア)は、標準的な実験技術を使用して入手した。
【0264】
例として、化粧組成物への色の添加を例証するために、以下の顔料を着色のために添加した。本発明はこれらの色に限定されるものではなく、当業者には、色を所望のものに変化させるために別の化粧的に許容される着色剤を使用することが可能であると理解されよう。
【0265】
Ronastar Noble Sparks(INCI:ホウケイ酸(Ca/Al)、シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ)、Dichrona RY(INCI:マイカおよび二酸化チタン(CI 77891)およびカルミン(CI 75470)、Ronaflair Mica M(INCI:マイカ)およびColorona Carmine Red(マイカコーティング二酸化チタンおよびカルミン、INCI:マイカおよび二酸化チタンおよびカルミン)は、Merckによって製造された。COD 8002(FD&C[食品・医薬品・化粧品]ヒマシ油中赤色6号分散液、INCI:Ricinus CommunisおよびCI15850およびBHT)、COD 8006(ヒマシ油中に分散させた赤色酸化鉄、INCI:Ricinus CommunisおよびCI 77491およびBHT)、COD 8007(FD&C青色1号レーキヒマシ油分散液、INCI:Ricinus CommunisおよびCI 42090およびBHT)およびCOD 8008(白色二酸化チタンヒマシ油分散液、INCI:Ricinus CommunisおよびCI 77891およびBHT)は、Sun Chemicalによって製造された。SA−C47051−10(INCI:CI 77891およびジメチコン)、SA−C331700−10(INCI:CI 77492およびジメチコン)、SA−C332199−10(INCI:CI 77491およびジメチコン)およびSA−C335000−10(INCI:CI77499およびジメチコン)は、三好化成工業株式会社によって製造された。
【実施例10】
【0266】
いくつかの両親媒性コポリマーと口唇製品原料との相溶性の検査
(i)ポリマーの熱的特性
口唇製品配合物は、原料の混合物を一緒に溶融させ、それらを混合することによって作成されるため、ポリマーの熱的特性を試験した。ポリマー(PG1〜3およびPG6〜7)の試料を90℃のオーブンに入れた。30分後、ポリマーがすべて軟らかくなり、PG2が溶融して粘性ゲルを形成したことが観察された。
【0267】
(ii)口紅ベース
口紅ベースを代表する基本配合物において、最初にPG1を試験した。
【0268】
以下の表中の原料をビーカー中に検量し、105℃に1時間加熱した。この期間の後、95℃に維持されている水浴にビーカーを入れ、混合物を実験用ホモジナイザー(IKA Ultra−Turax)で均質な混合物が取得されるまで混合した。配合物10Aおよび10Bを口紅鋳型に注ぎ込んだ。口紅鋳型は、Kemwall Engineeringによって製造され、一度に合計20本のスティックを製造するように設計されたものであった。口紅鋳型の内面にシリコーン油(DC 200 fluid、Dow)を噴霧して、製造後のスティックの除去しやすさを確実にした。ビーカー中の配合物を65℃に冷却させ、40℃に予熱した口紅鋳型に注ぎ込んだ。鋳型を周囲温度に冷却させ、次いでプラスチック袋に、その後4℃の冷蔵庫に2時間入れた。次いで、スティックを口紅筒に押し込んだ。次いで、配合物10Cを小型の化粧ジャーに入れた。
【0269】
配合物中のロウをPG1で置き換えることにより、口唇製品の強度の減少につながった。配合物10Aおよび10Bは口紅を生成した。最大量のPG1(33.3%)の事例において、得られた配合物はバターのような質感を持つ軟質リップバームであった。しかしながら、PG1の添加により、配合物の感覚刺激特性は顕著に増大した。
【0270】
【表3】

【実施例11】
【0271】
いくつかの両親媒性ブロックコポリマーと口唇製品原料との相溶性の検査
一連のブロックコポリマーを口唇製品配合物において試験した。これらの材料は、Baker Hughes製の、エチレンおよびエチレンオキシド(Unithox 720、ポリマーPB1)(Ulnithox 750、ポリマーPB2)、またはプロピレンおよびエチレンオキシド(X10044、ポリマーPB3)のブロックコポリマーであった。
【0272】
ポリマーPB1を、ロウおよび油と2.5および5.0の比率で合わせて、固体化粧組成物を作製した。表に収載されている原料を相次いで添加することにより、実施例10(ii)と同じ方法論を使用した。配合物を75〜80℃で口紅鋳型に注ぎ込んだ。
【0273】
【表4】

【0274】
5重量%のPB1(11A)を含有する配合物は、いかなる顔料も含有していなかったため、リップバームとして市場に出される製品には最も適切であろう。5%のポリマーを加えた配合物は、配合物中の大部分の原料よりも硬質な材料をさらに多く添加したことから期待できる通り、2.5%のポリマーを加えたもの(11B)よりも硬質であった。
【0275】
化粧組成物を、以下の表中の配合物で例証されるのと同じ方法論およびポリマーPB2を使用しても配合した。
【0276】
【表5】

【0277】
色の無い配合物は、十分な強度のリップバーム製品を形成した。
【0278】
両親媒性コポリマーPB3も使用して、同じ実験を繰り返した。
【0279】
【表6】

【0280】
先の結果から予測されるように、ポリマーは、残りの原料と比較して高いその融点により、より硬質なスティックを形成するポリマーをより多量に持つ妥当な硬度のスティックを形成した。PB3は、試験したヒマシ油中の顔料と良好な相溶性を有することが分かった。故に、このポリマーは多様な口唇製品における使用に適切である。
【実施例12】
【0281】
リップグロスへのポリマーPG1の配合
実施例10(ii)において記述されている方法論を使用して、PG1を高油リップグロス配合物に混合した。最終生成物を小型ジャーに注ぎ込んだ。
【0282】
【表7】

【0283】
ボランティアの口唇に塗ることにより、配合物を分析した。PG1を含有する配合物は、ポリマーの無いものよりも優れた感覚刺激特性を有することが分かった。該製品は、油っぽさが少なく、非常に軟らかいと認識された。特に、密着性が向上したフィルムを形成し、長時間持続する配合物を生成することが認められた。
【実施例13】
【0284】
硬質リップバームへのポリマーPG1の配合
この配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論を使用し、以下の表中の原料を収載されている順序で添加することによって調製した。
【0285】
【表8】

【0286】
得られた生成物をボランティアの口唇および手首の背側で試験し、硬質リップバーム製品としての使用に適切であることが分かった。ポリマーPG1の添加は、(13B)の無いものと比べて向上した 感覚刺激特性および密着性の知覚を生じさせた。
【実施例14】
【0287】
軟質リップバームへのポリマーPG1の配合
この配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および以下の表中の原料を使用して調製した。
【0288】
【表9】

【0289】
ポリマーPG1の添加は、配合物の感覚刺激特性において著しい改善を生じさせることが分かった。得られた生成物は、クリーミーで快適な質感を持つ軟質リップバームであった。標準14Aにおいては、有益な密着性を持つ油(ソフチザン645)の存在にもかかわらず、ソフチザン645をPG1で完全に置き換えることにより、標準14Aと比べて密着性が増大した生成物につながった。
【実施例15】
【0290】
口紅へのポリマーPG1の配合およびパネル試験による調査
口紅配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および 以下の表中の原料を使用して調製した。
【0291】
【表10】

【0292】
リップバーム配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および以下の表中の原料を使用して調製した。
【0293】
【表11】

【0294】
配合物がまだ温かいうちに、リップバームを小型ジャーに注ぎ込んだ。
【0295】
パネル試験
口唇製品配合物の主要特性、すなわちそれらの感触および美容的外観を評価するためには、それらの感覚的特性を直接ヒトの皮膚上で計測することが望ましい。これは例えば、製品をその適合性および望ましさの迅速な計測として、腕に直接塗布することによって達成できる。製造された口唇製品は、手首の背側に製品を塗布することによって試験され、両親媒性コポリマーを含有する口紅、リップグロスおよびリップバーム配合物の試験により、生成物が化粧的に望ましい配合物を形成することが明らかになった。製品のいくつかをヒトボランティアの口唇上でさらに徹底的に試験して、両親媒性コポリマーを製品に添加することの効果を比較した。
【0296】
トライアルは、試験者および試料配布者には試験している試料の組成が分からないよう無作為にラベルが付けられた試料を用いて、盲検トライアルとして実施した。試験者に、各配合物を順次に試験し、試料に関する一連の質問に回答するように求めた。試験者には、必要に応じて、スティックを少なくとも1日に2回以上塗布するように依頼した。最初の質問群は、特性のいくつかに関する自らの大まかな感触についてパネルに記述させるものであった。この試験の第二部は、特性を比較して0から10まででパネルに採点させるものであった。口唇製品を格付けした特性の性状を以下に概説する。
【0297】
伸びのよさ:口紅の均一な塗布を得ることを可能にする容易さとして定義され、これは、塗布中に口唇に付与される材料の量にいくらか関係する(ペイオフ(pay−off)またはデポジット(deposit)とも記述される)。
【0298】
軟らかさ:最初の塗布時に軟らかいと感じる製品の傾向。点数の低い製品は、塗布すると硬く乾燥していると感じる。
【0299】
クリーミーさ:塗布の瞬間およびつけている間、口唇製品が口唇上で、クリーミー、乾燥しているまたは油っぽいと認識され得る。
【0300】
輝き/光沢:口唇にのせた際に、審美的に満足な方式で光を反射する製品の傾向。
【0301】
保湿:これは、より多量の水分またはより大きな保湿の知覚を口唇に残す製品の傾向である。パネル試験では、水分レベルにおける試験者の知覚変化を計測する。
【0302】
密着性:製品とつけている人の口唇との間の相互作用の知覚される強度。密着性は、製品の色移り耐性、すなわち、製品が口唇から接触する二次基質へ移動することに対するそれらの耐性を増大させるために必要である。この特性は、つけている人の口唇上に製品が留まる時間の長さを増大させるのに、換言すれば、長時間持続する配合物を作成するのに重要である。
【0303】
加えて、試験者に、どの配合物を好むかを含む他の所見を依頼した。
【0304】
結果:
データを照合したものを、レーダー(またはスパイダー)チャートの形態で描写する(図1)。ほとんどの面において、PG1を加えた配合物は標準のものより優れているかそれと同等であった。保湿および密着性の両方においてわずかな増大が認められ、後者は、配合物が標準と比較して長く口唇上に留まったという知覚と相関するものであった。
【0305】
PG1を含有する口紅配合物は、大多数の試験者に好まれたことも明らかであり(図2)、大部分の応答者が標準(33%)と比較してPG1含有配合物(50%)を好んでいた。
【0306】
同様の事例は、PG1有り(配合物15D)および無し(15C)のリップバームの感覚刺激特性を比較した場合にも観察された。ほとんどの事例において、特性はPG1を加えた配合物の場合と同様またはそれより優れているのいずれかであり、密着性における注目すべき増大がデータにおいて観察される(図3)。
【0307】
口紅の場合と同様に、最大割合(45%)の試験者がPG1を加えた配合物を好んだ(図4)。
【0308】
口紅およびリップバーム配合物の両方を試験した個人に、配合物の最も注目すべき特性は何であったかを尋ねた。いずれの配合物の場合も、標準の事例では指摘した個人がいなかったのに比較し、PG1を含有する配合物が長時間持続したことを大部分の個人が指摘した(図5)。
【実施例16】
【0309】
口紅へのポリマーPG1、PG2およびPG3の配合
この配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および以下の表中の原料を使用して調製した。
【0310】
【表12】

【0311】
配合物は、実施例15において記述されているパネル試験方法論を使用して試験した。本発明を例証するのを補助するために、結果をレーダーチャートにプロットした(図6)。チャートから明白となるように、ポリマーの性質への微細な変化が、化粧組成物の感覚刺激特性の最適化を可能にする。配合物は、ほとんどの点で標準をしのぐかまたはそれと同等である。特に、標準と比較して向上したPG1およびPG2の密着性は、可視的なものである。ほとんどの参加者は、両親媒性グラフトコポリマーを含有する3種すべての配合物は、無しのもの(配合物16A)よりも長時間持続すると指摘した。
【実施例17】
【0312】
リップグロスへのポリマーPG2およびPG3の配合
この配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および以下の表中の原料を使用して調製した。
【0313】
【表13】

【0314】
配合物をまだ温かいうちにジャーに注ぎ込んだ。
【実施例18】
【0315】
リップグロスへのポリマーPG4の配合
実施例10(ii)において記述されている方法論を使用して、ポリマーPG4を高油リップグロス配合物に混合した。
【0316】
【表14】

【0317】
最終生成物を小型ジャーに注ぎ込んだ。得られた生成物は、ポリマーPG4の存在という有益性により、リップグロスの形態で均質な化粧組成物となることが分かった。
【実施例19】
【0318】
リップグロスへのポリマーPG5の配合
実施例10(ii)において記述されている方法論を使用して、ポリマーPG5を高油リップグロス配合物に混合した。
【0319】
【表15】

【0320】
最終生成物を小型ジャーに注ぎ込んだ。得られた生成物は、ポリマーPG5の存在という有益性により、リップグロスの形態で均質な化粧組成物となることが分かった。
【実施例20】
【0321】
ポリマーPG6およびPG7の配合
この配合物は、実施例10(ii)において記述されているのと同じ方法論および以下の表中の原料を使用して調製した。
【0322】
【表16】

【0323】
生成された2種の配合物は、リップバームとしての使用に適切であるとみなされ得る。
【0324】
実施例10(ii)において概説したものと同様の方法論において概説した方法論を使用して、ポリマーPG6およびPG7を口紅配合物に入れることにより、両者を比較した。
【0325】
【表17】

【0326】
PG7は、特に均質な口紅配合物を生成することが分かった。親水性ポリマーPG6は、リップバームのような顔料を含有しない化粧組成物に特に適切である。
【実施例21】
【0327】
コンパクトファンデーションへのポリマーPG1の配合
この配合物は、顔のメイクアップとしての塗布用に設計されたファンデーションである。該ファンデーションは、以下の配合物(Dow CorningはDCと略す)および以下で記述する方法を使用して組み立てた。
【0328】
【表18】

【0329】
相Aに収載されている原料をビーカーに秤量し、合わせた混合物を、コーヒー豆および食品での使用のために設計された粉砕機に入れた。次いで、原料を粉砕して均質な混合物としたが、当業者には、顔料の混合物に適切な任意の混合物が適切となり得ることが理解されよう。
【0330】
穏やかに加熱しながらレックスガードOを水に溶解することにより、相Dを調製した。
【0331】
相B中の原料をビーカーに秤量し、その後50℃に維持されている油浴に入れ、オーバーヘッドスターラーで混合した。混合物が均質になったら、混合を続けながら相Aをゆっくり添加した。次いで、水浴の温度を85℃まで増大させ、撹拌を中止した。
【0332】
相C中のロウを検量し、配合物中に混合した。ロウが完全に溶融したら撹拌を再開し、混合物の温度を60℃まで下げながら、混合物が均質になるまで続けた。次いで、相Dを配合物にゆっくり添加し、配合物が均質になるまで化粧品を徹底的に混合した。次いでこれを適したパッケージングに注ぎ込んだ。
【0333】
皮膚にこすりつけた後、ポリマーPG1を加えた配合物(配合物21B)は、PG1無しのものと同様の特性を保有し、密着性の感触の向上というさらなる有益性を持つことが分かった。
【0334】
本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明の記述されている態様について種々の修正形態および変形形態が当業者に明らかとなるであろう。具体的な好ましい実施形態との関連で本発明を記述してきたが、特許請求される通りの本発明は、そのような具体的な実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解すべできある。実際に、本発明を行う記述されているモードの、当業者には明白である種々の修正形態は、下記の請求項の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1個の両親媒性コポリマーと、
(ii)1種または複数の化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体とを含み、
両親媒性コポリマーが、結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含むグラフトコポリマー;結合している少なくとも1個の疎水性側鎖を有する親水性直鎖または分枝鎖骨格を含むグラフトコポリマー;直鎖または分枝鎖骨格中に少なくとも1個の親水性ブロックおよび少なくとも1個の疎水性ブロックを含むブロックコポリマー;ならびに架橋/網状コポリマーからなる群から選択される、
化粧組成物。
【請求項2】
両親媒性コポリマーが、結合している少なくとも1個の親水性側鎖を有する疎水性直鎖または分枝鎖炭素−炭素骨格を含むグラフトコポリマーである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項3】
親水性側鎖が、それぞれ独立に、式(I)
【化1】

[式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、H、−C(O)WR4または−C(O)Qであり、
但し、R1およびR2の少なくとも一方は、基−C(O)Qであるか、
あるいは、R1およびR2は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、式(II)の環式構造
【化2】

{式中、
3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルである}
を形成し、
Wは、OまたはNR4であり、
Qは、式−X1−Y−X2Pの基であり、
Tは、式−N−Y−X2−Pの基であり、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である]、
のものである、請求項2に記載の化粧組成物。
【請求項4】
グラフトコポリマーが、約1から約5000個まで、より好ましくは約1から約300個まで、最も好ましくは約1から約150個までの、それに結合しているペンダント親水性側鎖を有する、請求項2または請求項3に記載の化粧組成物。
【請求項5】
親水性ポリマー基Yが、ポリアルキレンオキシド、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(スチレンスルホネート)またはポリ(アクリル酸)、より好ましくはポリアルキレンオキシドである、請求項3または請求項4に記載の化粧組成物。
【請求項6】
親水性ポリマー基Yが、式−(Alk1−O)b−(Alk2−O)c−[式中、Alk1およびAlk2は、それぞれ独立に、2から4個までの炭素原子を有するアルキレン基であり、かつ、bおよびcは、それぞれ独立に、1から125までの整数であり、但し、b+cの和は、約10から約600まで、より好ましくは約10から約120までの範囲内の値を有する]のものである、請求項3から5のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項7】
炭素−炭素骨格が、エチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのホモポリマーから、または、2個以上のエチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのコポリマーから誘導される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項8】
炭素−炭素骨格が、エチレン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、オクタデセン等のC10〜C20末端アルケン、スチレン、またはそれらの混合物から誘導される、請求項7に記載の化粧組成物。
【請求項9】
前記炭素−炭素骨格が、それにペンダントしている、マレイン酸無水物、マレイン酸もしくはその塩、またはマレイン酸エステルもしくはその塩、あるいはそれらの混合物を有する、請求項7または請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
炭素−炭素骨格が、約1から約50mol%までのマレイン酸無水物を含む、請求項9に記載の化粧組成物。
【請求項11】
炭素−炭素骨格が、
(i)マレイン酸無水物、マレイン酸もしくはその塩、またはマレイン酸エステルもしくはその塩、あるいはそれらの混合物と、
(ii)エチレン性不飽和重合性モノマー、または、2個以上のエチレン性不飽和重合性モノマーのコポリマーと
のコポリマーである、請求項1から6のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項12】
エチレン性不飽和重合性モノマーが、エチレン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、オクタデセン等のC10〜C20末端アルケン、スチレン、またはそれらの混合物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
両親媒性コポリマー骨格が、マレイン酸無水物、マレイン酸もしくはその塩、またはマレイン酸エステルもしくはその塩と、エチレン性不飽和重合性モノマーとの交互コポリマーである、請求項11または請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
両親媒性コポリマーが、式(III)、(IX)または(X)の化合物
【化3】

【化4】

{式中、R3およびR5は、それぞれ独立に、Hまたはアルキルであり、かつ、R6およびR7は、それぞれ独立に、Hまたはアシル基であり、但し、R6およびR7の少なくとも一方はアシル基であるか、あるいは、R6およびR7は、それらが結合した炭素原子と一緒に連結して、式(V)の基
【化5】

を形成する}であり、ここで、nおよびmは、それぞれ独立に、1から20000までの整数であり、かつ、n’は、5から4000までの整数である]
を、式(VI)の側鎖前駆体
HX1−Y−X2P (VI)
[式中、
1は、O、SまたはNR4であり、
2は、O、S、(CH2pまたはNR4であり、
pは、0から6であり、
各R4は、独立に、Hまたはアルキルであり、
Pは、Hまたは別の骨格であり、かつ
Yは、親水性ポリマー基である]、
と反応させることによって調製される、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項15】
両親媒性コポリマーが、式(IIIa)、(IXa)または(Xa)の化合物
【化6】

[式中、n、n’およびmは、請求項14において定義した通りである]を、請求項14に記載の式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される、請求項14に記載の化粧組成物。
【請求項16】
両親媒性コポリマーが、式(IIIb)、(IXb)または(Xb)のポリマー前駆体
【化7】

[式中、n、n’およびmは、請求項14において定義した通りである]を、請求項14に記載の式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される、請求項14に記載の化粧組成物。
【請求項17】
両親媒性コポリマーが、式(IIIc)、(IXc)または(Xc)のポリマー前駆体を、
【化8】

[式中、n、n’およびmは、請求項14において定義した通りである]を、請求項14に記載の式(VI)の側鎖前駆体と反応させることによって調製される、請求項14に記載の化粧組成物。
【請求項18】
前記側鎖前駆体が、式(VIa)
【化9】

[式中、X1はOまたはNHであり、X2は(CH2Pであり、かつ、oは5から600までの整数である]
のものである、請求項14から17のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項19】
前記側鎖前駆体が、式(VIb)
【化10】

[式中、RはHまたはアルキルであり、X1はOまたはNHであり、X2はCH2であり、かつ、aおよびbの和は、5から600までの整数である]
のものである、請求項14から17のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項20】
前記側鎖前駆体が、式(VIc)
【化11】

[式中、RはHまたはアルキル、より好ましくはHまたはMeであり、かつ、aおよびbの和は、5から600までの整数である]
のものである、請求項19に記載の化粧組成物。
【請求項21】
両親媒性コポリマーが、式(VII):
【化12】

[式中、mおよびnのそれぞれは、独立に、1から20000までの整数であり、かつ、oは5から600までの整数である]
のものである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項22】
両親媒性コポリマーが、式(VIII):
【化13】

[式中、mおよびnのそれぞれは、独立に、1から20000までの整数であり、かつ、oは5から600までの整数である]
のものである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項23】
両親媒性コポリマーが、直鎖または分枝鎖骨格中に親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含むブロックである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項24】
直鎖または分枝鎖骨格が、それに結合している少なくとも1個の側鎖を有する、請求項23に記載の化粧組成物。
【請求項25】
ブロックコポリマーが、構造:
【化14】

[式中、Rxは、アルキル、アリールまたはHであり、かつ、Ryは、O、NRXSi(Rx)2である]
を有する、請求項23に記載の化粧組成物。
【請求項26】
ブロックコポリマーが、エチレンオキシドと、アルケン、ジエンまたはポリエンとのコポリマーである、請求項23に記載の化粧組成物。
【請求項27】
ブロックコポリマーが、エチレンオキシドと、エチレン、プロピレン、イソプレンまたはブタジエンとのコポリマーである、請求項26に記載の化粧組成物。
【請求項28】
前記ブロックコポリマーが、構造:
【化15】

[式中、mは3から100、最も好ましくは10から30であり、かつ、nは、独立に、3から100、最も好ましくは4から40である]
を有する、請求項23に記載の化粧組成物。
【請求項29】
ブロックポリマーが、構造:
【化16】

[式中、mは3から100、より好ましくは10から30であり、かつ、nは3から100、より好ましくは5から40である]
を有する、請求項23に記載の化粧組成物。
【請求項30】
両親媒性コポリマーが、結合している少なくとも1個の疎水性側鎖を有する親水性直鎖または分枝鎖骨格を含むグラフトコポリマーである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項31】
親水性直鎖または分枝鎖骨格が、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリグリシドール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(スチレンスルホネート)またはポリ(アクリル酸)、より好ましくはポリ(アルキレンオキシド)である、請求項30に記載の化粧組成物。
【請求項32】
疎水性側鎖が炭化水素であり、より好ましくは、疎水性側鎖が、エチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのホモポリマーから、または、2個以上のエチレン性不飽和重合性炭化水素モノマーのコポリマーから誘導される、請求項30または請求項31に記載の化粧組成物。
【請求項33】
疎水性側鎖が、エチレン、イソブチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、オクタデセン等のC10〜C20末端アルケン、スチレン、またはそれらの混合物から誘導される、請求項32に記載の化粧組成物。
【請求項34】
グラフトコポリマーが、約1から約5000個まで、より好ましくは約1から約300個まで、最も好ましくは約1から約150個までの、それに結合しているペンダント疎水性側鎖を有する、請求項30から33のいずれか一項に記載の化粧組成物。
【請求項35】
両親媒性コポリマーが架橋/網状コポリマーである、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項36】
口唇ケアおよび化粧用製品、顔の化粧およびメイクアップ用製品、ならびに目のメイクアップ用製品からなる群から選択される、請求項1〜35のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項37】
化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体が、油、脂肪およびロウ、またはそれらの混合物から選択される、請求項1〜36のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項38】
皮膚軟化剤、着色剤、保湿剤、UV遮断剤、活性剤、酸化防止剤、ビタミン、香料、香味剤、甘味剤、植物もしくはハーブ抽出物および/または保存剤の1つまたは複数をさらに含む、請求項1〜37のいずれかに記載の化粧組成物。
【請求項39】
口唇ケアまたは化粧用製品、より好ましくは、口紅、リップグロス、リップライナー、リッププランパー、リップバーム、リップシアー、リップインク、リップコンディショナー、リッププライマーまたはリップブースターである、請求項36に記載の化粧組成物。
【請求項40】
リッププランピング剤をさらに含む、請求項39に記載の化粧組成物。
【請求項41】
顔の化粧またはメイクアップ用製品、好ましくは、ファンデーション、フェイスパウダー、コンシーラー、頬紅またはブロンザーである、請求項36に記載の化粧組成物。
【請求項42】
目の化粧用製品、好ましくは、アイシャドウ、アイライナーまたはマスカラである、請求項36に記載の化粧組成物。
【請求項43】
請求項1〜42のいずれかに記載の化粧組成物を調製するための方法であって、請求項1から35のいずれかに記載の両親媒性コポリマーを溶融させるステップと、前記両親媒性コポリマーを1種または複数の化粧的に許容される賦形剤、添加剤または担体と混合して、均質な生成物を形成するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−512233(P2013−512233A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540492(P2012−540492)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002193
【国際公開番号】WO2011/064555
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(507369154)リヴォリマー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】