説明

化粧部材及びそれを用いた下地材化粧構造

【課題】本発明は意匠性の乏しい下地材に使用することにより、下地材の意匠性の付加価値を向上させる化粧部材、及びそれを用いた下地材化粧構造を提供する。
【解決手段】表面層と裏面層から構成された合成樹脂からなる化粧部材であって、表面層に模様層を有し、裏面層には少なくとも1以上の折り曲げ溝を設けた厚さ1.0mm〜5.0mmである等を特徴とする化粧部材、及びそれを用いた下地材化粧構造を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は意匠性の乏しい下地材に使用することにより、下地材の意匠性の付加価値を向上させる化粧部材、及びそれを用いた下地材化粧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用としてマンション、又は住宅等で部屋、廊下等の意匠性向上を目的として、壁面の施工が行われてきた。その壁面素材の殆どが印刷シートを展着した合板、又はパーティクルボード等が主素材として用いられ、主素材と同様の印刷シートを展着した素材からなる巾木、天端見切り材、腰見切り材、ジョイナー等の補助部材がそれと併用して用いられてきた。
【0003】
しかし、かかる壁面材料として主素材である印刷シートを展着した合板を施工する際、当該施工について特別な技能を要するため、大工職人が壁に隠し釘等を打ち付けることにより固定するという方法が採られていた。一方、改装等により、かかる壁面材料を交換する際の取り外し作業も同様に大掛かりで工期を必要とした。従って、壁面材料の材料費が比較的高価であったため、かなりの費用を要していた。
【0004】
そこで、木質板材による基材の一面に突き板を貼着し、同基材の他面に屈曲部となる断面視略V字状の切削溝を設けた化粧材で、前記切削溝を突き板側にその巾寸法を0.2〜0.5mmの範囲とする薄肉部を形成するようその底部を略平坦状に形成してなる化粧材、が提供されている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
【特許文献1】特開2000−337037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の発明では、主素材に印刷シート等を展着した合板が用いられているため、当該主素材から発散されるホルムアルデヒド等の化学物質により、いわゆるハウスシック症状を引き起こす原因の一つとして指摘されていた。さらに、昨今問題となっている森林伐採等への環境負荷も少なくない。
【0007】
また、上記の発明では基材が木質材料であることから、下地材の湾曲面に施工した場合に、滑らかな局面を形成することは困難であり、下地材の形状によって施工箇所が制限されることは不可避である。
【0008】
また、合板、その他木質材料は運搬中に破損しやすく、施工時の寸法取りや切断作業に労力が要するため、作業効率面でよくない。
【0009】
さらに、意匠面において、昨今では需要者のニーズから、床面と壁面(腰壁や巾木等も含む)とが、一体的にコーディネートされることが多いが、従来の発明では、例えば、床材と同じ意匠を壁面に付与する等により、床面、壁面の意匠のコーディネートをすることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は上記問題点を解決したものであり、請求項1記載の発明は表面層と裏面層から構成された合成樹脂からなる化粧部材であって、表面層に模様層を有し、裏面層には少なくとも1以上の折り曲げ溝を設けた厚さ1.0mm〜5.0mmであることを特徴とする化粧部材を提供するものである。表面層に有する模様層は印刷層、又はスルーチップによって形成されている。模様層が印刷層の場合、木質調模様、石目調模様、その他リノリューム調の模様等任意に意匠を選択することができ、後述する下地材の表面に本発明化粧部材を設ける場合に、意匠性の自由度の向上という観点から非常に有用である。
また、裏面層に1以上の折り曲げ溝を設けることにより、下地材に貼着する場合の湾曲部の施工性を向上させることができ、さらに、貼着材として接着剤を使用したときには接着強度を向上させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は請求項1記載の特徴に加え、折り曲げ溝が縦横に設けられていることを特徴とする化粧部材を提供するものである。折り曲げ溝が縦横に設けられることによって、本発明化粧部材は模様の方向に関わらず出隅部、入隅部に施工することができ、作業性面、及び意匠性面から非常に有用である。
【0012】
請求項3記載の発明は請求項1、又は2記載の特徴に加え、表面層が模様層と前記模様層の表面を覆う厚さ0.1mm〜1.0mmの透明又は半透明の合成樹脂表面保護層(以下、表面保護層と記す。)で構成されている化粧部材を提供するものである。本発明化粧部材の表面保護層は模様層を保護することを目的とし、或いは、意匠性向上を目的として設けられる。例えば、模様層が印刷シートによって形成されている場合には当該外部からの衝撃により、極めて容易に破損してしまうことがあり、かかる事態を未然に防止し、印刷シートを保護することで美観を維持するために表面保護層が設けられる。また、表面保護層は意匠性向上を目的として設けてもよい。例えば、模様層が印刷シートの場合、透視可能な程度に顔料等により半透明に着色した表面保護層を設けることにより、その下部に位置する印刷シートに付与された模様とのコンビネーションにより、立体的な意匠をも実現することもでき、意匠付与の自由度を向上させることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は下地材の表面に、請求項1乃至3のいずれか一に記載の化粧部材を設けたことを特徴とする下地材化粧構造(以下、化粧構造と記す。)を提供するものである。本発明化粧構造は意匠性が付与された請求項1乃至3記載の化粧部材を、何ら意匠付与されていない下地材に貼着することにより、極めて容易に意匠を付与することができる。また、従来はMDF等予め意匠付与された木質化粧材を使用しなければならず、付与できる意匠もごく限られたものだった。しかし、本発明化粧構造により、請求項1乃至3に記載の化粧部材を下地材に貼着するだけで、多様性に富んだ意匠を容易に付与することができる。また、請求項1乃至3に記載の化粧部材は床用タイル、又は床用シートとしても使用可能であるため、床面と壁面の意匠のトータルコーディネートが極めて容易にすることができる。
【0014】
請求項5記載の発明は請求項4記載の特徴に加え、化粧部材の出隅部及び/又は入隅部に接着剤、又はシーリング゛材で充填したことを特徴とする下地材化粧構造を提供するものである。本発明化粧部材の出隅部、入隅部は上記の裏面に設けた折り曲げ溝の部分で実際の施工現場では空洞になることが多い。当該空洞部は経時的に変形の恐れがあり、また、外部からの衝撃により、変形や破損することが多い。そこで、かかる問題を未然に防止するため、施工時に下地材の出隅部、入隅部に接着剤、又はシーリング剤により充填することで、形状安定性、外部からの衝撃の強度を向上させることができ、より長期間美観を保つことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明化粧部材により、化粧合板を用いることなく、下地材に拘わらず、木質調模様、石目調模様、その他リノリューム調の模様等任意に意匠を選択し、付与することができる。また、スルーチップの模様をも付与することができ、意匠付与の自由度は従来の化粧合板と比較して大幅に向上させることができる。
【0016】
また、本発明化粧部材の裏面に設けられた1以上の折り曲げ溝により、下地材に貼着する場合の湾曲部の施工性を向上させることができ、さらに、貼着材として接着剤を使用したときには接着強度が向上させることができる。また、本発明化粧部材の折り曲げ溝を縦横に設けることにより、方向性を有する模様の場合、当該方向性を施工部位に適した方向で施工することができ、施工性、及び意匠性の自由度を非常に向上させることができる。
【0017】
本発明化粧部材の模様層の表面に厚さ0.1mm〜1.0mmの透明又は半透明の表面保護層を設けることにより、模様層の保護とともに、及び意匠付与の自由度を向上させることができる。即ち、前記表面保護層を半透明に着色したり、或いは合成樹脂製のチップを練りこむことにより、下層の模様層とのコンビネーションにより、様々な意匠を付与することができる。
【0018】
本発明化粧構造により、安価な下地材であっても、従来の化粧合板と遜色のない高度な意匠を付与できるばかりでなく、化粧合板では表現できなかった意匠をも容易に付与することができる。
【0019】
また、本発明化粧部材は下地材の表面に貼着できるばかりでなく、床用タイル、又は床用シートとしても使用可能であるため、本発明化粧構造は床面と壁面の意匠のトータルコーディネートが極めて容易にすることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳述する。図1は本発明化粧部材の一例の部分断面図を示す。本発明化粧部材1は表面層3、及び裏面層4から構成される。表面層3は模様層から構成されている。表面層3を構成する模様層は木目調、石目調等種々の柄を付与した印刷シート、チップを散布してカレンダーロール等で圧延することにより、チップ模様を形成したシート、或いはポリ塩化ビニルペースト樹脂等によって柄付けした模様であってもよい。尚、ポリ塩化ビニルペースト樹脂等によって柄付けする場合には、予め転写紙に模様を形成したものを転写することにより柄付けしてもよいし、直接ポリ塩化ビニルペースト樹脂等を裏面層表面に適宜塗布することにより柄付けしてもよい。
【0021】
本発明化粧部材1の裏面層4には折り曲げ溝5が設けられている。前記折り曲げ溝5は本発明化粧部材1を下地材の表面形状に円滑に適合させるためのものである。従って、本発明化粧部材の折り曲げ溝の形状としては、その断面形状は化粧部材が支障なく折り曲げることができれば特に限定はされず、例えば、三角形でも良いし、半円形、半楕円形であってもかまわない。また、本発明化粧部材1に設けられる折り曲げ溝5の深さは化粧部材を下地材に沿わせて折り曲げるという観点から、厚さの50%以上の深さがあるほうが好ましい。また、本発明化粧部材の折り曲げ溝の幅も前記と同様、当該化粧部材を下地材に沿わせて折り曲げるという観点から、折り曲げ溝の深さの0.8倍〜1.5倍が好ましく、より好ましくは1.0倍〜1.25倍である。
【0022】
また、本発明化粧部材に設ける折り曲げ溝を縦横に設けても良い。縦横に設けることにより、表面に付与する柄によって、意匠の方向性がある場合に本発明化粧部材の施工部位によって適した意匠の方向性を保持しながら施工することができ、意匠性付与、及び施工性の自由度を著しく向上させることができる。
【0023】
本発明化粧部材の厚みは1.0mm〜5.0mmが好ましい。厚みが1.0mm未満である場合には十分な強度が得られない可能性があり、5.0mmを超えると下地材に施工する際のハンドリング性が悪くなるからである。
【0024】
また、本発明化粧部材を構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等の種々の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、表面層と裏面層は化粧部材を下地材に貼着することが可能である程度に接合していればよい。接合方法としては公知の方法を用いることができ、表面層、及び裏面層を融着させても良いし、接着剤等の貼着剤で接合させてもよい。
【0025】
また、模様層を保護する目的から、模様層を覆う表面保護層を設けても良い。図2に模様層の表面に表面保護層を設けた本発明化粧部材の一例の部分断面図を示す。本実施形態の場合、表面層は表面保護層22、及び模様層23から構成される。表面保護層22は模様層23と安定的に接合できるものであれば特に限定はされず、模様層23を構成する合成樹脂と同様、ポリ塩化ビニル樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等の種々の熱可塑性樹脂を使用することができる。また、例えば、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート等の電離放射線硬化樹脂を使用してもよい。
【0026】
また、本発明化粧部材21の表面保護層22の厚みについては、0.1mm〜1.0mmが好ましい。当該表面保護層22が0.1mm未満になると、表面保護層22自体の強度に問題が生じる可能性があり、一方、1.0mmを越えると、下地材に折り曲げて貼着、固定する際、表面保護層22による反撥力で前記下地材にうまく追随しないことがあるからである。
【0027】
さらに、本発明化粧部材21の表面保護層22に意匠を付与してもよい。具体的には表面保護層22を構成する樹脂に顔料等を混入して、当該顔料の色彩を通して、下部に位置する模様層を透視できるようにすると、意匠をより立体的に表現することができ、意匠性を向上させることもできる。また、例えば、表面保護層22に不溶性、即ち、表面保護層22の加工の際、当該表面保護層22に溶融しない微細なチップや繊維を混入させ、かつ下部の模様層を透視可能にすることにより、意匠付与の自由度を大幅に向上させることができる。また、本発明化粧部材21に表面保護層22を設けることにより、床材としても使用可能となり、本発明化粧部材22によって床面、及び壁面、さらには天井面を含むトータル的な意匠のコーディネートが可能となる。
【0028】
本発明化粧部材を下地材に貼着剤等により固定することにより、容易に所望の意匠を付与することができる。例えば、模様を何ら付与されていない木材の表面に石目調の柄の模様層を有した本発明化粧部材21を接着剤等の貼着剤により固定することにより、前記木材に石目調の柄を付与することができる。換言すれば、下地材の素材の如何にかかわらず、本発明化粧部材の意匠を付与することができる。また、本発明化粧部材は例えば曲面であっても下地材に追従させて貼着、固定することができるため、従来の合成樹脂パネルでは不可能であった細部にわたって施工することができる。
【0029】
図3は本発明化粧部材を下地材の出隅部に接着剤で貼着、固定した状態の一例の部分断面図を示す。図3に示す通り、本発明化粧部材32は下地材34に接着剤33で貼着されており、出隅部に折り曲げ溝が位置することとなる。このとき、出隅部は壁面等の立面の場合には、例えば台車等による運搬中に当ててしまったりする等何らかの衝撃を受けることが多く、変形や下地材からの剥離、さらには化粧材自体を破損してしまうことがある。これは、出隅部は平面部と比較してより強い衝撃を受けやすいことに加え、必然的に本発明化粧材の折り曲げ溝が位置することなる。従って、本発明化粧部材を下地材に追随させやすい反面、当該折り曲げ部の位置する部分は接着剤等が存在しない状態となるため、強度的には平面部分と比較して弱くなるからである。そこで、出隅部に位置する折り曲げ溝に接着剤、又はシーリング材を充填して施工することにより、上記の本発明化粧部材の問題点を解消することができる。図3に一例として示すように本発明化粧材32の出隅部に位置する折り曲げ溝に接着剤33を充填させるのである。このように接着剤、又はシーリンク゛材を本発明化粧部材の出隅部に位置する折り曲げ溝に充填させることにより、前記化粧部材の折り曲げ溝によって形成される空洞が接着剤、又はシーリンク゛材によって埋められることとなり、加えて、前記化粧部材の接着している表面積が広くなるため、接着強度の向上し、その結果として外部からの衝撃による本発明化粧部材の変形や下地材からの剥離、さらには、化粧部材自体の破損も有効に防止することができる。
【0030】
また、入隅部においては出隅部ほど外部からの衝撃を受けにくい反面、折り曲げ溝が出隅部と異なり、大きく広がり、場合によっては経時的に割れが生じることがあり、最悪の場合には模様層にまで割れが達することもあり、意匠性面で好ましくない影響を及ぼすことがある。従って、入隅部を施工する場合にも、接着剤、又はシーリンク゛材を折り曲げ溝と入隅部間に充填することが好ましく、このように接着剤等を行うことで、接着剤等が硬化する前は、万一、割れが入った場合でも接着剤等が割れ部分に入り込み割れの進行を防止し、接着剤等が硬化した後は割れの発生を未然に防止することができる。

【実施例】
【0031】
(裏面層用シートの作製)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度:1000〜1500)、可塑剤(DOP)、充填剤(商品名 エスカロン100 三共製粉社製)、安定剤(Ba−Zn系)を表1に示す配合比率でバンバリーミキサーで混練し、ミキシングロール(フロントロール:110〜140℃)、で約30mmの厚さに圧延した。次いで、カレンダーロール(150℃〜170℃)で圧延し、約2mmの厚みに仕上げ、裏面層用シートとして巻き取った。
(表1)

(模様層用シートの作製)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度:1000〜1500)、可塑剤(DOP)、充填剤(炭酸カルシウム:商品名 エスカロン100 三共製粉社製)、安定剤(Ba−Zn系)、及び着色用顔料(酸化チタン、カーボン、弁柄の混合物)を表2に示す配合比率でバンバリーミキサーで混練し、ミキシングロール(フロントロール:110〜140℃)、で約30mmの厚さに圧延した。次いで、カレンダーロール(150℃〜180℃)で圧延し約5mmの厚みに仕上げ、水冷後、ペレタイザーで約5mm角の大きさに粉砕し、着色ペレットを作製した。さらに、同様の方法で上記と着色顔料のみを変えて、さらに相異なる色の2色の着色ペレットを作製した。次に上記作製した3色のペレットを1:1:1で混合し、オーブンで加熱後、カレンダーロール(150℃〜180℃)で約1mmの厚さに圧延し、チップ模様を有したシートを作製し模様層用シートとして巻き取った。
(表2)

(表面保護層用シートの作製)
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度:1000〜1500)、可塑剤(DOP)、安定剤(Ba−Zn系)を表3に示す配合比率でバンバリーミキサーにより混練し、ミキシングロール(フロントロール:130〜160℃)、で約20mmの厚さに圧延した。次いで、ストレーナー(150℃)を通した後、カレンダーロール(150℃〜180℃)で圧延し約0.5mmの厚みに仕上げ、表面保護層用シートとして巻き取った。
(表3)

(その他)
印刷シート(木目調柄 凸版印刷株式会社製)
転写紙(ポリ塩化ビニルペースト樹脂により剥離紙に模様付けしたもの 東リ株式会社製)
紫外線硬化樹脂(商品名:RC5127A、大日本インキ株式会社製)

【0032】
(実施例1)
上記の裏面層用シートを繰出し、加熱オーブン1(140℃〜170℃)により加熱し、繰出した印刷シートをラミネートした。さらに、溝彫り機で裏面に幅2.5mm、深さ1.8mmの折り曲げ溝を約20mm幅で形成し、1尺×3尺の大きさに打ち抜き、本発明化粧部材を得た。
前記本発明化粧部材を、模様を付与していない木材表面にビニル共重合系接着剤(商品名:ゴーセイF 東リ株式会社製)により貼着した。
本発明化粧部材を貼着することにより、本物の木目柄の有する木材と意匠性面で遜色がなかった。
【0033】
(実施例2)
「実施例1」と同様、裏面層用シートと印刷シートをラミネートした後、さらに、表面保護層用シートを繰り出し、加熱オーブン2(150℃〜180℃)により加熱してラミネートした。さらに、溝彫り機で裏面に幅2.5mm、深さ1.8mmの折り曲げ溝を約20mm幅で形成し、1尺×3尺の大きさに打ち抜き本発明化粧部材を得た。
前記本発明化粧部材を、模様を付与していない木材で形成された高さが約900mm、出隅を形成する面の幅が各々約100mm、前記2つの出隅を形成する面に続いて入隅を形成する面の幅が各々約100mmの幅を有する各面にビニル共重合系接着剤(商品名:ゴーセイF 東リ株式会社製)により貼着した。前記貼着方法としては、前記木材の面に櫛目ごてにより、前記接着剤を塗布し、予め決めておいた本発明化粧部材の出隅に位置する折り曲げ溝に前記接着剤を充填し、オープンタイム経過後貼着した。出隅部、及び入隅部は本発明化粧部材との空洞が接着剤の充填により生じておらず、安定した形状を保つことができた。
【0034】
(実施例3)
「実施例1」と同様、裏面層用シートを繰出し、印刷シートをラミネートした後、紫外線硬化樹脂(商品名:RC5127A、大日本インキ株式会社製)をロールコーターで塗布し、紫外線を照射して硬化させた。さらに、溝彫り機で裏面に幅2.5mm、深さ1.8mmの折り曲げ溝を約20mm幅で形成し、1尺×3尺の大きさに打ち抜いた。
前記本発明化粧部材を高さ約2700mm、幅約3000mmの壁面に、及び約3000mm四方の床面にアクリルエマルジョン系接着剤(商品名:エコAR200 東リ株式会社製)で貼着した。床面と壁面との入隅部分は「実施例2」と同様、本発明化粧部材の折り曲げ溝に前記接着剤を充填して施工した。
当該実施により、床面と壁面が連続、一体となった意匠を得ることができ、本物の化粧木材で形成したものと遜色のない優れた意匠性を体現することができた。
【0035】
(実施例4)
裏面層用シートを「裏面層用シートの作製」と同様にカレンダーロール等で圧延、シート化し、一方で模様層用シートを加熱オーブン1(140℃〜170℃)により加熱し、前記シート化した裏面層用シートとラミネートし、さらに、裏面層表面をエンボスロールで押圧することにより、裏面に幅2.5mm、深さ1.8mmの折り曲げ溝を約20mm幅で縦横に形成し、当該シートの幅を1820mmにトリミングして巻き取り、本発明化粧部材を得た。
前記本発明化粧部材を高さ約2700mm、幅約3000mmのモルタル製の壁面と約3000mm四方のモルタル製の床面にアクリルエマルジョン系接着剤(商品名:エコAR200 東リ株式会社製)で貼着した。床面と壁面との入隅部分は「実施例2」と同様、本発明化粧部材の折り曲げ溝に前記接着剤を充填して施工した。
当該実施により、床面と壁面が連続、一体となった意匠を得ることができた。

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明化粧部材の一例の部分断面図を示す。
【図2】本発明化粧部材の模様層の表面に表面保護層を設けた一例の部分断面図を示す。
【図3】本発明化粧部材を下地材の出隅部に接着剤で貼着、固定した状態の一例の部分断面図を示す。
【符号の説明】
【0037】
1、21 本発明化粧部材
22 表面保護層
3、23 模様層
4 、24 裏面層
33 貼着剤
34 下地材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層と裏面層から構成された合成樹脂からなる化粧部材であって、表面層に模様層を有し、裏面層には少なくとも1以上の折り曲げ溝を設けた厚さ1.0mm〜5.0mmであることを特徴とする化粧部材。
【請求項2】
折り曲げ溝が縦横に設けられていることを特徴とする請求項1記載の化粧部材。
【請求項3】
表面層が模様層と前記模様層の表面を覆う厚さ0.1mm〜1.0mmの透明又は半透明の合成樹脂表面保護層で構成されていることを特徴とする請求項1、又は2に記載の化粧部材。
【請求項4】
下地材の表面に、請求項1乃至3のいずれか一に記載の化粧部材を設けたことを特徴とする下地材化粧構造。
【請求項5】
化粧部材の出隅部及び/又は入隅部に接着剤、又はシーリング゛材で充填したことを特徴とする請求項4記載の下地材化粧構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−9438(P2006−9438A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189015(P2004−189015)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】