説明

医用レポート作成支援システム、プログラム及び方法

【課題】医用レポートに含まれる複数の所見毎に、それぞれの所見を入力するレポート作成者の思考過程を、従来よりも詳細に把握できるようにする。
【解決手段】レポート作成支援システムは、編集画面内の各入力欄に入力される所見の所見入力履歴51と、画像表示画面に表示された検査画像の画像表示履歴52を記録する。所見入力履歴51は、各所見のそれぞれの入力開始時刻及び入力終了時刻を含む。画像表示履歴52には、レポート作成者によって閲覧される検査画像の表示履歴を所見単位で記録する。所見入力履歴51と画像表示履歴52は、作成されたレポート24と関連付けが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用レポートの作成を支援する医用レポート作成支援システム、医用レポート作成支援プログラム及び医用レポート作成支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置といった医療検査機器(モダリティ)で撮影した検査画像を読影して、その読影結果をまとめた医用レポート(以下、単にレポートという)を作成する医用レポート作成支援システム(以下、単にレポートシステムという)が知られている。レポートは、例えば、画像診断を専門とする読影医によって作成される。
【0003】
レポートシステムは、レポートを作成するレポート作成端末と、作成したレポートのデータが格納されるレポートサーバからなる。レポート作成端末は、所見を入力してレポートを編集する機能を備えている。所見には、検査画像を観察して認識した病変の状態や、その認識に基づいて下された診断病名などの診断結果が含まれる。検査画像は、レポート作成端末、あるいは、専用の画像表示用端末など、検査画像を表示するための画像表示機能を備えた端末に表示されて、読影医によって観察される。
【0004】
特許文献1に記載のレポートシステムでは、検査画像を表示する表示画面内に、所見を入力するための入力ボックスを挿入し、検査画像上で所見の入力が行えるようにしている。入力ボックスは、1つの検査画像に複数個挿入することも可能である。検査画像上で入力された複数の所見のデータは、1つのレポートにまとめられ、レポートの表示画面において、一覧表示される。検査画像の観察と所見の入力を並行して行う場合には、読影医は、検査画像の表示画面と所見を入力する編集画面を交互に見なければならない。特許文献1のレポートシステムのように、検査画像上で所見を入力できるようにすることで、表示画面と編集画面間の視点移動を軽減することができる。
【0005】
また、特許文献1の医用レポート作成支援システムでは、所見と、所見の入力ボックスを挿入した検査画像とのリンク情報を記録するとともに、所見を入力した時点の検査画像の表示サイズ、表示倍率、表示位置といった表示状態を記録する機能も備えている。これによれば、読影医が、どの検査画像を、どういった表示状態で観察しながら所見を入力したのかを再現することができる。
【0006】
特許文献2及び3に記載のレポートシステムも、読影医が、レポート作成に際して観察した複数の検査画像の表示履歴を記録する機能を備えている。表示履歴には、検査画像毎の表示状態も含まれる。特許文献2のレポートシステムでは、所見の入力に先立って、検査画像の観察を行う場合に、観察時における複数の検査画像の表示履歴を記録しておくことで、所見の入力時に、観察した検査画像やその表示状態を再現できるようにしている。特許文献3に記載のレポートシステムでは、複数の検査画像単位で表示時間を記録し、その表示時間に基づいて、観察漏れや観察が不十分な検査画像の有無を判定している。
【特許文献1】特開2005−025669号公報
【特許文献2】特開平9−198453号公報
【特許文献3】特開2007−260064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療現場においては、診断精度の向上や研修医の教育を目的として、同一の患者の検査画像について、複数人で読影作業を行うことが増加する傾向にある。その場合、読影医毎に、複数の所見が入力されることになるが、各所見が異なる場合には、それぞれの所見の妥当性を検討したり、あるいは、明らかに誤っている所見に対しては、その所見に至った経緯を把握するなど、各所見についての詳細な検討作業が必要になる。こうした所見の検討作業に際しては、各読影医が、どのような検査画像を観察して、どのような認識を持ち、どのような診断を下したかといった、各読影医の思考過程を、できるだけ詳細に把握することが重要となる。
【0008】
上記特許文献1〜3のレポートシステムは、レポート作成に際して、読影医が観察した検査画像の表示状態や表示履歴を記録する機能を備えてはいるが、それらの機能は、所見毎に、各読影医の思考過程を把握するには、いずれも不十分なものであった。
【0009】
特許文献1のレポートシステムでは、所見と検査画像のリンク情報と、その検査画像の表示状態を記録しているが、リンク情報は、所見と検査画像を1対1で対応させるものでしかない。読影医は、複数の検査画像を観察しながら、様々な思考をめぐらせて、その結果を所見にまとめる。特許文献1のレポートシステムでは、所見と対応付けられた1つの検査画像は、いわば、結果のみを端的に表す検査画像でしかないため、読影医の思考過程を把握するには不十分である。
【0010】
特許文献2及び3のレポートシステムでは、検査画像の表示状態を含む表示履歴を記録しているが、表示履歴は、レポート単位で記録されるものである。そのため、レポート内に複数の所見が入力された場合には、所見と、検査画像の表示履歴との対応関係が分からないため、所見毎に、各読影医の思考過程を把握することはできない。
【0011】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、医用レポートに複数の所見が入力された場合に、所見を入力する医用レポートの作成者の思考過程を、従来よりも詳細に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の医用レポート作成支援システムは、医用レポートの作成を支援する医用レポート作成支援システムにおいて、少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される前記医用レポートを編集する編集処理手段と、前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御手段と、前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録手段と、前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録手段と、前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付け手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
前記閲覧データ表示履歴記録手段は、前記表示時刻として、前記閲覧画面に前記閲覧データの表示が開始された開始時刻、及びその表示が終了した終了時刻を、前記閲覧データ単位で記録することが好ましい。
【0014】
前記所見入力履歴記録手段は、前記入力時刻として、前記所見の入力が開始された開始時刻、及びその入力が終了した終了時刻を、前記所見単位で記録することが好ましい。
【0015】
前記所見入力履歴記録手段は、前記作成者のIDを前記所見単位で記録することが好ましい。
【0016】
前記閲覧データ表示履歴記録手段は、前記閲覧画面に表示される前記閲覧データの表示状態を前記表示時刻とともに記録することが好ましい。
【0017】
前記閲覧データ表示履歴に基づいて、その内容を表示する履歴表示画面を生成する履歴表示画面生成手段を備えることが好ましい。
【0018】
前記履歴表示画面には、前記所見入力履歴に含まれる前記入力時刻が表示されることが好ましい。
【0019】
前記履歴表示画面には、複数の前記閲覧データのリストが含まれることが好ましい。前記閲覧データのリストは、前記閲覧画面に前記閲覧データの表示が開始された開始時刻、又は、前記閲覧画面に前記閲覧データが表示されている間の表示時間のいずれかの順番で配列されることが好ましい。
【0020】
前記履歴表示画面には、前記閲覧画面の表示状態を再現した再現画像が含まれることが好ましい。
【0021】
前記履歴表示画面において、前記閲覧データ表示履歴が表示される表示形式を選択する表示形式選択手段を有しており、選択可能な表示形式には、前記閲覧画面の表示状態を再現した再現画像を時系列で表示する第1形式と、複数の前記閲覧データのリストを表示する第2形式の少なくとも2つの表示形式が含まれることが好ましい。
【0022】
前記閲覧データには、医療検査の検査結果である検査データが含まれることが好ましく、さらに、前記検査データには、検査画像が含まれることが好ましい。
【0023】
本発明の医用レポート作成支援プログラムは、医用レポートの作成を支援する機能をコンピュータに実現させる医用レポート作成支援プログラムにおいて、少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される医用レポートを編集する編集処理機能と、前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御機能と、前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録機能と、前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録機能と、前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付け機能とを前記コンピュータに実現させることを特徴とする。
【0024】
本発明の医用レポート作成支援方法は、医用レポートの作成を支援する医用レポート作成支援方法において、少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される医用レポートを編集する編集処理ステップと、前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御ステップと、前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録ステップと、前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録ステップと、前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付けステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数の所見の入力に際して、前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録するとともに、各所見を入力する作成者によって閲覧される複数の閲覧データが閲覧画面に表示された表示履歴を所見単位で記録し、所見が入力される医用レポートと関連付けるようにしたから、医用レポートに含まれる所見毎に、医用レポートの作成者の思考過程を、従来よりも詳細に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1に示す医療情報システムは、例えば、病院などの医療施設に構築される。医療情報システムは、診療科10に設置されるカルテシステム11と、放射線検査科(以下、単に検査科という)12に設置されるレポートシステム13からなる。これらはネットワーク14を通じて通信可能に接続される。ネットワーク14は、例えば、院内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
【0027】
カルテシステム11は、カルテサーバ16と、内科や外科といった各診療科10にそれぞれ配置された診療科端末17とからなる。カルテサーバ16には、患者毎のカルテデータが検索可能に格納されるカルテDB(Data Base)18が構築されている。診療科端末17は、診療科10の医師や看護師などの診療科10のスタッフによって操作され、カルテの閲覧や入力の他、検査科12に対して検査を依頼するためのオーダの発行に利用される。また、診療科端末17は、検査科12から提供される、検査画像やレポートといった検査結果の閲覧にも利用される。
【0028】
レポートシステム13は、レポート作成端末21、レポートサーバ22、画像サーバ23からなり、読影医によるレポート作成を支援する医用レポート作成支援システムを構成する。読影医は、レポート作成端末21で、診療科端末17からの読影のオーダを確認して、そのオーダに従って、画像サーバ23から読影の対象となる検査画像を読み出し、その検査画像の読影結果をレポート24にまとめる。作成されたレポート24のデータは、レポートサーバ22に格納される。レポートサーバ22には、レポートを検索可能に格納するためのレポートDB26が構築されている。
【0029】
レポート24の作成が完了すると、依頼元の診療科端末17に対して、完了通知が送信される。完了通知には、検査画像やレポート24が格納される、画像サーバ23やレポートサーバ22内のアドレスが含まれている。診療科10の医師は、診療科端末17を通じてそのアドレスにアクセスして、検査画像やレポート24を閲覧する。
【0030】
画像サーバ23は、CR装置、CT装置、MRI装置といったモダリティ27とともにPACS(Picture Archiving and Communication Systems)を構成し、モダリティ27が取得したデータを、ネットワーク14を通じて受信して格納する、いわゆるPACSサーバである。画像サーバ23には、検査画像を格納する画像DB28が構築されている。検査画像には、個々の検査画像を識別するための画像IDが与えられる。検査画像は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)に準拠したファイル形式で格納され、ファイル内には、患者ID、検査日、検査種といった項目を含む付帯情報を記録したDICOMタグが付与される。画像DB28に格納された検査画像は、DICOMタグに含まれる項目を検索キーとして、検索が可能になっている。
【0031】
これらの各サーバ16、22、23、各端末17、21は、それぞれ、サーバ用コンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステムなどの制御プログラムや、クライアントプログラム又はサーバプログラムといったアプリケーションプログラムをインストールして構成される。
【0032】
図2に示すように、上記サーバや端末などを構成するコンピュータは、基本的な構成は略同じであり、それぞれ、CPU31、メモリ32、ストレージデバイス33、LANポート34、及びコンソール36を備えている。これらはデータバス37を介して接続されている。コンソール36は、ディスプレイ38と、キーボードやマウスなどの入力デバイス39とからなる。
【0033】
ストレージデバイス33は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)であり、制御プログラムやアプリケーションプログラム(AP)40が格納される。また、DBが構築されるサーバには、プログラムを格納するHDDとは別に、DB用のストレージデバイス33として、例えば、HDDを複数台連装したディスクアレイが設けられる。ディスクアレイは、サーバ本体に内蔵されるものでもよいし、サーバ本体とは別に設けられ、サーバ本体にケーブルやネットワークを通じて接続されるものでもよい。
【0034】
メモリ32は、CPU31が処理を実行するためのワークメモリであるRAMや、ディスプレイ38に出力するデータを描画するためのビデオメモリ(VRAM)からなる。CPU31は、ストレージデバイス33に格納された制御プログラムをRAMへロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。LANポート34は、ネットワーク14との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースである。
【0035】
診療科端末17には、AP40として、カルテの閲覧や編集を行うカルテ用ソフトウエアや、レポート24や検査画像の閲覧を行うブラウザといったクライアントプログラムがインストールされている。クライアントプログラムが起動されると、診療科端末17のディスプレイには、GUI(Graphical User Interface)による操作画面が表示される。操作画面には、入力デバイスによって選択され、カルテDB18から読み出された患者のカルテデータが表示される。
【0036】
診療科端末17には、コンソールを通じて、カルテの入力・編集の指示や、オーダの入力・発行の指示といった操作指示が入力される。入力されたカルテやオーダのデータは、カルテDB18に格納される。また、診療科端末17は、カルテ用ソフトウエアやブラウザを通じて、レポートサーバ22や画像サーバ23にアクセスして、レポート24や検査画像を読み出して、ディスプレイに表示する。
【0037】
診療科10の医師は、検査依頼を行う場合には、診療科端末17で、検査依頼の内容、具体的には、患者ID、患者名、検査種(CTやMRIなど)、撮影部位、読影依頼の要否といった情報を入力して、オーダ発行の指示を行う。診療科端末17が発行したオーダは検査科12のオーダ受付端末(図示せず)に送信されて、受け付けられる。検査科12のスタッフは、受信したオーダに従って、モダリティ27による撮影を行う。読影医は、撮影によって得られた検査画像に基づいて、レポート作成端末21を使用して、レポート24を作成する。
【0038】
レポートサーバ22及び画像サーバ23には、AP40として、クライアントからの要求に応じて処理を実行し、処理結果を応答するサーバプログラムがインストールされている。レポートサーバ22及び画像サーバ23のサーバプログラムは、レポート作成端末21やモダリティ27といったクライアントからのデータ(レポート24、検査画像)の格納要求に応じて、各DB26、28への格納処理を実行する。また、レポートサーバ22及び画像サーバ23は、診療科端末17、レポート作成端末21からのレポート24や検査画像の配信要求に応答して、要求されたレポート24や検査画像をそれぞれのDB26、28から検索して、検索されたデータを要求元へ配信する。
【0039】
レポート作成端末21には、AP40として、レポート作成支援を行うレポート編集用のクライアントプログラムがインストールされている。レポート作成端末21は、レポート編集用のクライアントプログラムによって、レポートの編集処理に加えて、検査画像の表示処理を行う。
【0040】
図3に示すように、レポート作成端末21のCPUは、レポート編集用のクライアントプログラムを起動すると、コンソール制御部21a、画像取得部21b、編集処理部21c、履歴記録部21d、履歴表示画面生成部21eとして機能する。
【0041】
レポート作成端末21は、例えば、端末本体に2台のディスプレイ38を接続したマルチディスプレイが採用される。1台のディスプレイ38は、検査画像の表示用に使用され、画像表示画面46を表示する。もう1台のディスプレイ38は、レポート編集用に使用され、レポート編集画面47を表示する。
【0042】
画像表示画面46及びレポート編集画面47は、GUI(Graphical User Interface)による操作画面を構成する。コンソール制御部21aは、これらの操作画面を各ディスプレイ38に出力し、操作画面を通じて、入力デバイス39からの操作指示の入力を受け付ける。
【0043】
画像表示画面46とレポート編集画面47は、連動して起動するようになっている。例えば、レポート編集画面47から、読影対象の検査画像が含まれる検査IDが入力されると、画像取得部21bが、画像サーバ23にアクセスして、その検査IDに対応する検査画像を取得する。コンソール制御部21aは、取得した検査画像をディスプレイ38に出力する際に、画像表示画面46を起動する。
【0044】
また、コンソール制御部21aは、操作指示の入力に応じて、画像表示画面46内の検査画像の表示サイズ、画面内の表示位置、拡大又は縮小の表示倍率といった表示状態を、検査画像単位で制御する。操作画面や検査画像のデータは、VRAMに描画されてディスプレイ38に出力される。コンソール制御部21aは、例えば、VRAMに描画された検査画像のアドレス情報に基づいて、前記表示状態を把握する。
【0045】
画像表示画面46には、CR装置で撮影された放射線による透視画像や、CT装置やMRI装置で撮影された断層画像、断層画像に基づいて生成される3次元画像といった検査画像が表示される。画像表示画面46には、例えば、1画面に6コマの断層画像を配列して表示するというように、複数の検査画像を同時に表示することが可能である。画像表示画面46には、操作ボタン、リストボックス、アイコンといった、GUIを構成する各種の操作ツールが設けられている。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス39からの各種の操作指示が入力される。
【0046】
操作指示には、画像の選択指示や、表示した画像に対する表示状態の変更指示が含まれる。表示状態の変更指示には、例えば、配列表示された6コマの断層画像のうちの1コマについて、その画像全体の表示サイズを拡縮する指示、1コマの断層画像内の一部の表示倍率を上げて拡大表示する指示、また、それぞれのコマを画像表示画面46内で移動させて表示位置を変更するといった指示といったものがある。読影医は、入力デバイス39からこうした指示を入力しながら、検査画像の表示状態を変化させて、検査画像を観察する。
【0047】
画像取得部21bは、画像表示画面46を通じて入力された画像の選択指示に基づいて、検査画像の配信要求を画像サーバ23に送信して、要求した検査画像を取得する。画像取得部21bは、画像サーバ23から配信された検査画像を受信すると、受信した画像をコンソール制御部21aに引き渡す。
【0048】
レポート編集画面47には、読影医の所見を入力するための複数の入力欄47a、47bが設けられている。各入力欄47a、47bには、例えば、研修中の読影医と指導的立場の読影医、あるいは、一次読影を担当する読影医と、二次読影を担当する読影医といった複数の読影医の所見が入力される。
【0049】
レポート編集画面47には、各入力欄47a、47bの他に、画像表示画面46と同様に、操作ボタン、リストボックス、アイコンといった、GUIを構成する各種の操作ツールが設けられている。こうした操作ツールを通じて、入力デバイス39からの各種の操作指示が入力される。
【0050】
操作指示には、レポートDB26から編集するレポート24のファイルを読み出すファイル読み出し指示、ファイルを保存する指示、入力欄47a、47bのいずれかを選択してアクティブ(テキストの入力が可能な状態)にする指示、入力した所見のデータを保存する指示などが含まれる。
【0051】
入力欄47a、47bは、例えば、マウスのポインタ48によって、その一方を指定して、クリック操作を行うことにより、アクティブになる。各入力欄47a、47bのうちアクティブにされた入力欄には、テキストの入力位置を示すポインタであるキャレットが点滅表示する。読影医は、入力欄をアクティブにして、入力デバイス39から所見のテキストを入力する。
【0052】
入力した所見のデータを保存する指示には、編集途中のデータを保存する一時保存指示と、入力した内容を確定する確定保存指示の2種類がある。これらの保存指示を行う操作ボタンは、例えば、入力欄47a、47b毎に設けられており、それぞれの所見のデータを異なるタイミングで、一時保存や確定保存を行うことが可能である。
【0053】
編集処理部21cは、コンソール制御部21aを通じて、レポート24の編集に関する指示や、各入力欄47a、47bへ入力された所見を受け付ける。編集処理部21cは、各入力欄47a、47bから入力されたそれぞれの所見のデータを区別してブロック化して、ブロック化したデータに対して、「所見1」、「所見2」(図4参照)というように所見IDを付与する。編集処理部21cは、各所見のデータを、所見単位で取り扱うことができるように、レポート24のデータファイルに格納する。
【0054】
編集処理部21cは、所見IDを付与したそれぞれの所見のデータに対して、それぞれの所見を入力した読影医を識別するための医師ID(図4参照)を付与する。医師IDは、レポート作成端末21の起動時など、ユーザ認証時に読影医によって入力される。編集処理部21cは、各所見のデータに対して、所見IDと医師IDを付与し、それぞれをレポート24のデータファイルに格納する。また、それぞれのデータファイルには、レポート24単位で、検査IDが付与される。
【0055】
履歴記録部21dは、レポート編集画面47の各入力欄47a、47bから入力される所見の入力履歴(所見入力履歴)51と、画像表示画面46に表示される検査画像の表示履歴(画像表示履歴)52を、レポート24単位で記録する。履歴記録部21dは、コンソール制御部21aを通じて、入力デバイス39からの操作指示や、画像表示画面46に表示中の検査画像の画像ID、及びそれぞれの検査画像の表示状態に関する情報を逐次取得して、所見入力履歴51及び画像表示履歴52を記録する。
【0056】
履歴記録部21dは、所見入力履歴51と画像表示履歴52のデータファイルを、レポートDB26に出力して保存する。所見入力履歴51と画像表示履歴52のデータファイルには、それぞれ、レポート24に付与される検査IDと同じ検査IDが、履歴記録部21dによって付与される。これにより、レポート24、所見入力履歴51、画像表示履歴52の3つのデータファイルが関連付けられる。
【0057】
履歴表示画面生成部21eは、所見入力履歴51と画像表示履歴52をレポートDB26から読み出して、それらに基づいて、後述する履歴表示画面66(図5参照)を生成する。履歴表示画面生成部21eが生成した履歴表示画面66のデータは、コンソール制御部21aを介してディスプレイ38に出力される。
【0058】
図4に示すように、所見入力履歴51には、各入力欄47a、47bのそれぞれの入力履歴51a、51bが記録される。入力履歴51a、51bには、それぞれの所見を入力した読影医の医師IDと、少なくとも入力開始時刻及び入力終了時刻を含む、所見の入力時刻とが記録される。入力開始時刻は、例えば、レポート24の新規作成が指示された後、それぞれの入力欄47a、47bが最初にアクティブにされた時刻である。入力終了時刻は、例えば、入力された所見のデータの確定保存が指示された時刻である。入力開始時刻と入力終了時刻は、入力欄47a、47b毎に記録される。これにより、読影医が、所見の入力作業を開始した時刻と、所見の入力作業を終了した時刻のおおよその時刻が推定される。
【0059】
なお、入力開始時刻から入力終了時刻までの間にも、一時保存が指示されたり、予め設定した時間間隔でデータの自動保存が実行されることがある。これらの保存時刻を、入力開始時刻と入力終了時刻に加えて、所見入力履歴51に記録してもよい。さらに、それぞれの保存時刻における入力途中の所見のデータを所見入力履歴51に記録してもよい。これにより、どの時点でどこまでの内容が入力されたかといった、所見の入力経過を把握することが可能となる。
【0060】
画像表示履歴52は、各所見(「所見1」、「所見2」)の入力中に、画像表示画面46に表示された検査画像の表示履歴52a、52bであり、所見単位で記録される。各表示履歴52a、52bには、それぞれ、操作履歴と表示状態の各項目を記録するフィールドが設けられている。操作履歴は、検査画像の表示開始、表示終了、拡大、縮小、移動といった、画像表示画面46の内容を変化させる表示に関する操作指示(入力デバイス39から入力される)の履歴である。コンソール制御部21aは、それぞれの操作指示に応じた表示処理を実行する。操作履歴の項目には、各操作指示に対応する表示処理の内容が、処理時刻とともに記録される。
【0061】
操作履歴の項目には、例えば、「所見1」の表示履歴52aに示すように、画像IDが「CT01〜CT06」の6コマの検査画像の表示の開始及び終了、画像IDが「CT01」の拡大の開始及び終了、画像IDが「CR11」の検査画像の表示の開始といった表示処理の内容が記録される。ここで、「CT01〜CT06」の検査画像は、CT装置で撮影された断層画像であり、「CR11」の検査画像は、CR装置で撮影された胸部単純画像である。
【0062】
表示状態の内容は、上述したとおり、画像表示画面46内の各検査画像の表示サイズ、画面内の表示位置、拡大又は縮小の表示倍率によって表される。表示状態の項目には、これらの情報を記録した表示状態データが、1つの操作指示に応じた表示処理が実行される毎に記録される。表示状態データは、各表示処理を実行した時点における画像表示画面46の表示内容を再現するために使用される。
【0063】
履歴記録部21dは、操作履歴や表示状態に関する情報を、コンソール制御部21aから取得する。コンソール制御部21aは、入力デバイス39から操作指示が入力されると、その操作指示を、履歴記録部21dへ送る。履歴記録部21dは、その操作指示に基づいて表示処理の内容を、操作履歴のフィールドに記録する。
【0064】
また、画像表示画面46がディスプレイ38に出力される際には、その画面データがVRAM上に描画される。コンソール制御部21aは、VRAM上に描画される画面データのアドレスを、検査画像単位で履歴記録部21dへ送る。履歴記録部21dは、そのアドレスに基づいて、画像表示画面46内の検査画像毎の表示位置及び表示サイズを、表示状態のフィールドに記録する。検査画像内の一部が拡大される場合には、履歴記録部21dは、コンソール制御部21aから、拡大する部分を表す検査画像内の座標を取得して、取得した座標を、前記表示位置及び表示サイズに加えて、表示状態のフィールドに記録する。
【0065】
なお、VRAM上のアドレスに基づいて表示状態データを記録する代わりに、VRAMに描画された画像表示画面46の全体を表す画面データをキャプチャして、キャプチャした画面データを表示状態データとして記録してもよい。
【0066】
また、履歴記録部21dは、各入力欄47a、47bのいずれかがアクティブになっているときに、画像表示履歴52を記録するが、逆に言えば、両方がアクティブになっていないと、画像表示履歴52は記録されない。そこで、履歴記録部21dは、各入力欄47a、47bの両方がアクティブになっていない場合には、所見を入力する入力欄をアクティブにするように促す警告処理を実行する。
【0067】
上述したように、レポート編集画面47を起動すると、それに連動して画像表示画面46が起動する。警告のタイミングとしては、画像表示画面46が起動したとき、あるいは、画像表示画面46が起動した後、画像表示画面46を通じて入力デバイス39から最初の操作指示が入力されたとき、といったタイミングが好ましい。
【0068】
警告の方法としては、ディスプレイ38に警告メッセージを出力する方法や音声で出力する方法などがあり、いずれでもよい。ディスプレイ38に出力する場合には、画像表示画面46あるいはレポート編集画面47のいずれでもよいが、警告の目的は、画像表示画面46を注視している読影医に対して、レポート編集画面47の方に注意を向けさせるものであるから、画像表示画面46に出力することが好ましい。このような警告を行うことで、履歴の記録漏れを防止することができる。
【0069】
また、警告に加えて、または、その代わりに、入力欄47a、47bのいずれかがアクティブになっていない場合には、画像表示画面46の表示に関する操作指示の受け付けを禁止してもよい。また、警告に加えて、または、その代わりに、入力欄47a、47bのいずれかがアクティブになっていない場合には、例えば、一方の入力欄を自動的にアクティブにしてもよい。アクティブにする入力欄としては、例えば、レポート編集画面47の先頭の入力欄47a、あるいは、レポート編集画面47を前回終了したときにアクティブになっていた入力欄といった特定の入力欄が予め設定される。このように、操作指示の受け付けを禁止したり、入力欄を自動的にアクティブにすれば、履歴の記録漏れをより確実に防止することができる。
【0070】
なお、自動的に一つの入力欄をアクティブにする場合には、警告の内容に、どの入力欄をアクティブにしたかを読影医に知らせるメッセージを入れることが好ましい。こうしたメッセージを通知することにより、読影医が意図する入力欄(入力しようとする方の入力欄)と、自動的にアクティブにされた入力欄が異なっていた場合には、読影医が意図する入力欄への変更を促すことができる。
【0071】
履歴記録部21dによって、各入力欄47a、47bのそれぞれの表示履歴52a、52bを記録することで、例えば、画面56a〜56cに示すように、画像表示画面46の表示内容の推移を記録することができる。この表示内容の推移は、読影医が、各入力欄47a、47bのいずれかに所見を入力中に、どのような検査画像を、どのような表示状態で観察したかを表す情報であり、読影医の思考過程を把握する上での重要な手がかりとなる。
【0072】
図5に示す履歴表示画面66は、履歴表示画面生成部21eが、所見画像表示履歴51及び画像表示履歴52に基づいて生成する画面の例である。レポート編集画面47には、各入力欄47a、47bの傍らに、履歴ボタン67が設けられる。履歴ボタン67は、それぞれの所見に対応する履歴内容を履歴表示画面66に表示させるための操作ツールである。マウスのポインタ48を履歴ボタン67に合わせてクリック操作すると、履歴表示画面66が開き、各所見の履歴内容が表示される。
【0073】
履歴表示画面66は、レポート編集画面47と対照できるように、例えば、レポート編集画面47のディスプレイ38とは別の画像表示画面46のディスプレイ38に表示される。なお、履歴表示画面66を、レポート編集画面47と同じディスプレイに表示してもよい。その場合には、1つのディスプレイの画面内で、レポート編集画面47と並べて表示できるようにしておくとよい。もちろん、画像表示画面46とレポート編集画面47を1つの画面で構成し、その画面内にそれぞれに対応する画像表示領域とレポート編集領域を設けてもよい。
【0074】
履歴表示画面66には、上方に、検査ID、所見ID、医師ID、及び所見入力履歴51に記録された所見の入力時刻(開始及び終了)が表示される。その下方には、画像表示履歴52に基づいて生成された履歴内容が表示される。履歴内容には、画像表示履歴52に記録された操作履歴と、操作履歴に対応させて、画像69a〜69cが表示される。画像69a〜69cは、操作指示に応じた表示処理が実行された時点における、画像表示画面46の表示内容を表す画像である。画像69a〜69cは、図4に示した画面56a〜56cに対応しており、それぞれの画面のイメージを再現した画像である。
【0075】
履歴表示画面生成部21eが、各画像69a〜69cを生成する手順は、次の通りである。まず、履歴表示画面生成部21eは、画像表示履歴52内の操作履歴の項目から画像ID(「CT01」など)を読み出し、その画像IDに対応する検査画像を、画像取得部21bを介して、画像サーバ23から取得する。次に、取得した検査画像を、画像表示履歴52に記録された表示状態データに基づいて配列することにより、各画像69a〜69cを生成する。なお、上述したとおり、表示状態データとして、キャプチャした画面データを記録しておく方法は、画像表示履歴52のデータ量が大きくなるというデメリットはあるが、こうした生成処理は不要となる。
【0076】
図5に示す履歴表示画面66には、表示に関する操作履歴と、画面のイメージを再現した画像69a〜69cが表示されるので、この履歴表示画面66によって、履歴内容の詳細を確認することができる。履歴内容の表示形式は、図5に示す「詳細表示」以外にも、「画像リスト(時系列)」や「画像リスト(表示時間順)」を選択することが可能である。メニューボックス71は、履歴内容の表示形式を選択するための操作ツール(表示形式選択手段に相当)の例である。メニューボックス71は、履歴ボタン67をポインタ48でポイントして、例えば、マウスの右クリック操作を行うことで表示される。
【0077】
図6に示すように、「画像リスト(時系列)」が選択されると、履歴表示画面66には、画像表示画面46に表示したすべての検査画像のサムネイル画像がマトリックス形式で配列されて一覧表示される。各検査画像の並び順は、表示開始時刻が早い順である。各検査画像の周囲には、それぞれの画像ID、表示開始及び終了の時刻が表示される。表示形式として、図5に示す「詳細表示」を選択した場合には、操作履歴に応じた画像表示画面46の表示内容が再現されるので、同一の検査画像が複数回表示された場合には、同じ検査画像が繰り返し表示されることになる。「画像リスト(時系列)」の表示形式では、同じ検査画像が繰り返し表示されることはない。そのため、「画像リスト(時系列)」の表示形式は、画像表示画面46に表示した検査画像のインデックスとして利用できる。
【0078】
「画像リスト(表示時間順)」の表示形式(図示せず)は、「画像リスト(時系列)」の表示形式と同様に、画像表示画面46に表示された検査画像の一覧を表示する表示形式である。「画像リスト(時系列)」の表示形式とは、検査画像の並び順が異なり、「画像リスト(表示時間順)」の表示形式では、その並び順は、各検査画像の表示時間順である。
【0079】
ここで、表示時間とは、画像表示画面46に検査画像が表示されている間の時間である。表示時間としては、例えば、所見の入力開始時刻から終了時刻までの間に、各検査画像が画像表示画面46に表示された積算時間が使用される。したがって、例えば、検査画像の1回目の表示が終了し、表示が再開された場合には、1回目と2回目の表示時間が合計される。なお、表示時間として、1回の表示時間を使用してもよい。
【0080】
履歴表示画面生成部21eは、画像表示履歴52に含まれる、検査画像の表示開始及び終了の時刻に基づいて、各検査画像の表示時間を算出し、算出された表示時間が長い方から順に、検査画像を配列する。算出された表示時間は、各検査画像の周囲に表示される。
【0081】
表示時間が長いほど、その検査画像に対する読影医の観察時間は長いと推定されるので、表示時間が長い検査画像は、読影医が所見を入力する際に、特に注目した検査画像であると考えられる。図5や図6に示すように、表示の開始時刻と終了時刻を表示すれば、その表示から表示時間を計算して、表示時間の長い検査画像を探し出すことはできるが、表示時間を自動計算して検査画像を表示時間順に配列することで、読影医が注目した検査画像を簡単に見つけることができる。
【0082】
なお、本例の画像リストの表示形式では、検査画像のサムネイル画像を表示した例で説明しているが、サムネイル画像を表示せずに、画像IDやファイル名など検査画像を識別する識別情報だけを一覧表示してもよい。
【0083】
このように、履歴表示画面66の履歴内容の表示形式を選択できるようにすることで、どの検査画像を、どのような表示状態で、どのような順番で、どの程度の時間をかけて読影を行ったかといった読影作業の経過を把握することができる。また、履歴内容の表示形式を変えることで、読影作業の経過に関する多角的な分析を、簡単に行うことができる。これにより、読影医の所見入力に際しての思考過程を把握することが容易になる。
【0084】
以下、上記構成による作用について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。読影医が、レポート24を作成する場合には、レポート作成端末21でレポート編集画面47を起動する(ステップ(S)101)。レポート編集画面47から、読影対象の患者の検査IDが入力されると、画像取得部21bが、検査IDに対応する検査画像を画像サーバ23から取得する。S102において、コンソール制御部21aは、画像表示画面46を起動して、画像取得部21bが取得した検査画像を画像表示画面46に表示する。
【0085】
S103において、履歴記録部21dは、画像表示画面46が起動したときに、レポート編集画面47の入力欄47a、47bのいずれかがアクティブになっているかを判定する(S103)。入力欄47a、47bのいずれかがアクティブになっている場合には、アクティブになっている方の入力欄に対応する所見入力履歴51及び画像表示履歴52の各履歴の記録を開始する(S104)。アクティブになっていない場合には、アクティブにする旨の警告処理を行う(S105)。これにより、履歴の記録漏れが防止される。
【0086】
読影医は、画像表示画面46で検査画像を観察しながら、レポート編集画面47の入力欄47a、47bのいずれかに所見を入力してレポート24を作成する。編集処理部21cは、所見の入力に応じてレポート24の編集処理を実行する(S106)。入力欄47a、47b毎に設けられた確定ボタンがクリックされて、所見の入力が終了すると、編集処理部21cは、入力された所見のデータをレポート24のデータファイルに保存して、編集処理を終了する(S107)。
【0087】
履歴記録部21dは、入力欄がアクティブになったときの時刻を入力開始時刻、及び、入力欄に入力された所見のデータが確定保存されたときの時刻を入力終了時刻として、各入力欄47a、47b単位で所見入力履歴51に記録する。また、履歴記録部21dは、画像表示画面46を通じて入力される操作指示に基づいて、画像表示履歴52を記録する。履歴記録部21dは、所見のデータが確定保存されると、所見入力履歴51及び画像表示履歴52の記録を終了する(S108)。
【0088】
履歴記録部21dは、所見入力履歴51及び画像表示履歴52の記録を終了すると、それぞれのデータファイルに、所見ID、医師ID、検査IDを付与し、レポート24のデータファイルには、検査IDを付与して、関連付けを行う(S109)。関連付けが行われた所見入力履歴51、画像表示履歴52、レポート24の各データファイルがレポートDB26に保存される。既に入力済みの入力欄とは別の入力欄に所見が入力される場合には、上記手順によって、その入力欄に対応する所見入力履歴51及び画像表示履歴52が記録される。
【0089】
S110において、レポート編集画面47の履歴ボタン67がクリックされて履歴表示が指示されると、履歴表示画面生成部21eが、クリックされた履歴ボタン67に対応する入力欄47aの履歴内容を表示する履歴表示画面66を生成する。この履歴表示画面66が、コンソール制御部21aによってディスプレイ38に出力される(S111)。
【0090】
履歴表示画面66には、所見の入力時刻と終了時刻とともに、検査画像の表示時刻が表示される。そのため、両者の対応関係が明確になり、所見の入力中に、読影医が、どのような検査画像を、どのような順番で観察したのかを把握することができる。これにより、従来と比較して、所見を入力した読影医の思考過程を詳細に把握することができる。
【0091】
また、検査画像の表示開始時刻と表示終了時刻を表示することで、各検査画像にどの程度の時間を掛けて観察したのかを確認することができる。また、検査画像を表示時間順に並べた画像リストを表示すれば、読影医が特に注目した検査画像を簡単に確認することができる。
【0092】
また、画像69a〜69cを表示することで、読影医が観察した画面のイメージを確認することができる。さらに、画像69a〜69cを時系列で、かつ、表示時刻とともに表示することで、読影医が、どのような検査画像を、どのような表示状態で、どの程度の時間を掛けて観察したかといった読影作業をトレースする作業を簡単に行うことができる。これにより、読影の思考過程を、簡単かつ明瞭に、把握することが可能となる。また、履歴表示画面66の表示形式を、選択できるようにしたことで、読影医の思考過程を把握するための読影作業の多角的な分析を、簡単に行うことができる。
【0093】
履歴表示画面66は、1つのレポート24に含まれる複数の所見単位で表示されるので、例えば、研修医とその指導医、あるいは、一次読影医と二次読影医のそれぞれの思考過程を対照することができる。こうした対照は、研修医の教育や診断精度の向上に大きく貢献する。
【0094】
上記実施形態では、画像表示画面とは別のレポート編集画面で所見を入力するようにしているが、特許文献1に記載されているように、画像表示画面上に所見を入力するための入力ボックスを表示して所見を入力するようにしてもよい。
【0095】
上記実施形態では、レポート編集画面47に履歴ボタン67を設けた例で説明しているが、図8に示すように、レポート24を閲覧するためのレポート表示画面73に履歴ボタン67を設けて、レポート表示画面73から履歴表示画面66を表示できるようにしてもよい。
【0096】
レポート表示画面73には、レポート編集画面47の入力欄47a、47bに入力されたそれぞれの所見を表示する表示欄73a、73bと、それぞれに対応する複数の履歴ボタン67が設けられている。レポート表示画面73で履歴を表示できるようにすることで、例えば、読影の依頼元となる診療科10の医師が、診療科端末17でレポート24を閲覧する際に、履歴表示画面66を閲覧することも可能となる。
【0097】
この場合には、上記履歴表示画面生成部21eが実行する処理を、レポートサーバ22のCPUに実行させる。レポートサーバ22は、診療科端末17へレポート24を配信後、診療科端末17から履歴表示画面66の配信要求を受信した場合には、履歴表示画面生成部21eと同様の処理を実行して、履歴表示画面66を生成する。この履歴表示画面66を、XML(Extensible Markup Language)などのマークアップ言語で作成されたWebページの形式に加工して、ネットワーク14を介して診療科端末17へ配信する。これにより、診療科端末17は、専用の表示ソフトを使用することなく、レポート24閲覧用のブラウザを使用して、ディスプレイに表示することができる。
【0098】
上記実施形態では、所見入力履歴と画像表示履歴のデータファイルをレポートDBへ格納した例で説明したが、所見入力履歴をレポートDBに、画像表示履歴を画像DBというように、各履歴を別々の格納手段に格納してもよい。こうしても各履歴とレポートは検査IDによって関連付けられているので、一方から他方を検索することが可能である。なお、検査IDによって関連付けを行っているが、検査IDの代わりにレポートIDなど他のデータによって関連付けを行ってもよい。
【0099】
上記実施形態では、所見入力履歴と画像表示履歴の記録開始の契機として、入力欄をアクティブにする例で説明したが、この例に限定されるものではなく、入力欄とは別に記録開始ボタンといった操作ツールを設けてもよい。記録開始ボタンを設けた場合でも、画像表示画面において、表示操作が開始される際に、記録が開始されているか否かを判定して、記録が開始されていない場合には、上記警告処理を実行するようにするとよい。
【0100】
上記実施形態では、レポートに所見の入力欄が2つ設けられている例で説明したが、もちろん、入力欄は2つ以上でもよい。また、各入力欄に対して異なる読影医がそれぞれ所見を入力して、レポートを複数人で共同作成する例で説明したが、レポートの作成者が1人である場合に、その作成者が複数の入力欄に所見を入力してもよい。例えば、病変毎に所見を分けたり、検査種毎に所見を分けたり、検査目的毎に所見を分けるというように、複数の所見を区別する必要性が有る場合には、1人の作成者によって、区別すべき各所見が各入力欄に入力される。
【0101】
また、入力デバイスとして、キーボードやマウスを例に説明したが、入力デバイスとしてマイクを用いてもよく、所見や操作指示の入力を音声によって受け付けてもよい。
【0102】
上記実施形態では、検査画像を、CT検査及びCR検査で得られた検査画像を例に説明したが、もちろん、検査種はこれらに限定されるものではなく、MRI検査、PET(positron emission tomography)検査、超音波検査、内視鏡検査といった他の検査で得た検査画像でもよい。また、検査データは、画像でなくてもよく、病理検査などの検体検査や、生理検査などで得られる数値データや心電図などの波形図などでもよい。
【0103】
また、検査データとしては、過去の検査結果をまとめたレポートや、他の検査で作成されたレポートなどでもよい。また、経過観察に際してレポートを作成する場合には、過去の検査データを閲覧することも多いので、検査データとしては、過去の検査データでもよい。
【0104】
また、本発明の閲覧データは、検査データ以外でもよく、例えば、患者のカルテ、理学療法士によるリハビリテーションの指導記録といったデータでもよく、所見の入力に際して、レポートの作成者が閲覧するデータであればよい。上記実施形態で示したとおり、閲覧データには、異なる検査種の検査データなど、種々のデータを組み合わせることが可能である。
【0105】
また、本発明の医用レポートは、読影結果をまとめた読影レポートを例に説明したが、読影レポートに限らず、患者の診療に関する所見をまとめた医用レポートであればよい。したがって、医用レポートの作成者についても、読影医に限定されるものではない。また、例えば、リハビリテーションの指導に携わる理学療法士が作成する医用レポートのように、医師以外が作成する医用レポートの作成に際しても、本発明の適用が可能である。
【0106】
上記実施形態では、レポートシステムを、1台のレポート作成端末と1台のレポートサーバから構成した例で説明したが、レポート作成端末及びレポートサーバを複数台で構成してもよい。また、1台のコンピュータにレポート作成端末の機能とレポートサーバの機能を統合してもよい。この場合には、レポート作成端末にインストールされたクライアントプログラムとサーバプログラムを統合したプログラムが、レポート作成支援プログラムを構成する。また、画像DBとレポートDBを、それぞれ別々のサーバに構築する代わりに、両DBを1つのサーバに統合してもよい。また、DBを構築するストレージデバイスとしては、NAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)といったネットワークを介して接続するストレージデバイスを使用してもよい。このように、コンピュータシステムの物理構成は適宜変更が可能である。
【0107】
上記実施形態では、ネットワークとしてLANを例に説明しているが、診療科と検査科が複数の拠点に分散しているような場合には、ネットワークとしてLANとWAN(Wide Area Network)を組み合わせて使用してもよい。
【0108】
なお、上記実施形態で示したとおり、本発明は、プログラムの形態、さらにはプログラムを記憶する記憶媒体にも及ぶことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】医療情報システムの構成図である。
【図2】各サーバ及び各端末を構成するコンピュータの概略を示す構成図である。
【図3】レポートシステムの概略を示す構成図である。
【図4】所見入力履歴及び画像表示履歴の説明図である。
【図5】履歴表示画面の説明図である。
【図6】履歴表示画面の別の表示形式の説明図である。
【図7】レポート作成手順を示すフローチャートである。
【図8】レポート表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0110】
10 診療科
11 カルテシステム
12 放射線検査科(検査科)
13 レポートシステム
21 レポート作成端末
21a コンソール制御部(表示制御手段)
21b 画像取得部
21c 編集処理部
21d 履歴記録部(所見入力履歴記録手段、画像表示履歴記録手段)
21e 履歴表示画面生成部
22 レポートサーバ
23 画像サーバ
24 レポートDB
26 画像DB
38 ディスプレイ
39 入力デバイス
46 画像表示画面(閲覧画面)
47 レポート編集画面
47a 入力欄
51 所見入力履歴
52 画像表示履歴
66 履歴表示画面
67 履歴ボタン
69a〜69c 画像(再現画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用レポートの作成を支援する医用レポート作成支援システムにおいて、
少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される前記医用レポートを編集する編集処理手段と、
前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを、閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御手段と、
前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録手段と、
前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録手段と、
前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付け手段とを備えたことを特徴とする医用レポート作成支援システム。
【請求項2】
前記閲覧データ履歴記録手段は、前記表示時刻として、前記閲覧画面に前記閲覧データの表示が開始された開始時刻、及びその表示が終了した終了時刻を、前記閲覧データ単位で記録することを特徴とする請求項1記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項3】
前記所見入力履歴記録手段は、前記入力時刻として、前記所見の入力が開始された開始時刻、及びその入力が終了した終了時刻を、前記所見単位で記録することを特徴とする請求項1又は2記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項4】
前記所見入力履歴記録手段は、前記作成者のIDを前記所見単位で記録することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項5】
前記閲覧データ表示履歴記録手段は、前記閲覧画面に表示される前記閲覧データの表示状態を前記表示時刻とともに記録することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項6】
前記閲覧データ表示履歴に基づいて、その内容を表示する履歴表示画面を生成する履歴表示画面生成手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項7】
前記履歴表示画面には、前記所見入力履歴に含まれる前記入力時刻が表示されることを特徴とする請求項6記載の医用レポート作成支援システム
【請求項8】
前記履歴表示画面には、複数の前記閲覧データのリストが含まれることを特徴とする請求項6又は7記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項9】
前記閲覧データのリストは、前記閲覧画面に前記閲覧データの表示が開始された開始時刻、又は、前記閲覧画面に前記閲覧データが表示されている間の表示時間のいずれかの順番で配列されることを特徴とする請求項8記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項10】
前記履歴表示画面には、前記閲覧画面の表示状態を再現した再現画像が含まれることを特徴とする請求項6〜8いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項11】
前記履歴表示画面において、前記閲覧データ表示履歴が表示される表示形式を選択する表示形式選択手段を有しており、
選択可能な表示形式には、前記閲覧画面の表示状態を再現した再現画像を時系列で表示する第1形式と、複数の前記閲覧データのリストを表示する第2形式の少なくとも2つの表示形式が含まれることを特徴とする請求項6〜10いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項12】
前記閲覧データには、医療検査の検査結果である検査データが含まれることを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項13】
前記検査データには、検査画像が含まれることを特徴とする請求項12記載の医用レポート作成支援システム。
【請求項14】
医用レポートの作成を支援する機能をコンピュータに実現させる医用レポート作成支援プログラムにおいて、
少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される医用レポートを編集する編集処理機能と、
前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御機能と、
前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録機能と、
前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録機能と、
前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付け機能とを前記コンピュータに実現させることを特徴とする医用レポート作成支援プログラム。
【請求項15】
医用レポートの作成を支援する医用レポート作成支援方法において、
少なくとも第1及び第2の複数の所見が入力される医用レポートを編集する編集処理ステップと、
前記各所見の入力に際して、前記各所見の入力を行う前記医用レポートの作成者によって閲覧される複数の閲覧データを閲覧画面に表示する表示制御を行う閲覧データ表示制御ステップと、
前記各所見のそれぞれの入力時刻を含む所見入力履歴を記録する所見入力履歴記録ステップと、
前記各所見の入力中に前記閲覧画面に表示された前記閲覧データの表示時刻を含む閲覧データ表示履歴を、前記所見単位で記録する閲覧データ表示履歴記録ステップと、
前記所見入力履歴及び前記閲覧データ表示履歴を、前記医用レポートと関連付ける関連付けステップとを備えたことを特徴とする医用レポート作成支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−230304(P2009−230304A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72879(P2008−72879)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】