説明

医用画像の読影管理システム

【課題】読影医の指定に関して読影システムの運営面の一層の効率化及び省力化を図る。
【解決手段】医用画像の読影管理システムは、医用画像診断装置により取得された医用画像を医用画像保管装置31に送信する手段と、前記医用画像保管装置31に送信された前記医用画像を画像観察装置41に送信する手段と、前記医用画像保管装置31に送信された前記医用画像に関して、当該医用画像に対応する読影医に関する医師情報を付した検査依頼情報を入力するための入力手段と、前記入力手段により入力された前記検査依頼情報を前記画像観察装置41に送信する送信手段と、前記画像観察装置41に送信された前記画像情報について、当該画像情報に対応する前記検査依頼情報に基づいて、前記読影医の操作により作成された読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像の読影管理システムに係り、とくに、病院、診療所などの医療施設と読影サービスを行う読影施設とに通信ネットワークを介して結ばれた読影管理施設に設けられ、読影施設での読影支援用の各種の管理やサービスを行う医用画像の読影管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X−CTスキャナやMRI(磁気共鳴イメージング)装置など、短時間に大量の画像を収集できる医用モダリティが普及しており、診断に威力を発揮している。これに伴って、収集される医用画像の量も爆発的に増えつつある。このため、読影しなければならない医用画像も増大していることから、各病院から依頼を受けて読影サービスを行う、いわゆる読影ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)が始まりつつある。
【0003】
この読影ASPを含む読影システムの一例として、病院、読影センタ(又は診断センタ)、及び読影管理センタとしてのデータセンタを相互に通信ネットワークで結んだシステムが提案されている。病院で発生した医用画像データをオンラインでデータセンタに集め、この画像データを専門の読影医が待機している読影センタに送り、読影を依頼するシステムである。読影医は読影結果を読影レポートにまとめ、これをオンラインでデータセンタに送る。データセンタでは、この読影レポートを管理保管するとともに、病院にオンラインで返送するものである。これにより、病院から画像が送信され、その読影レポートが病院に返信されるまでの時間を大幅に短縮した遠隔診断が可能になるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の読影システムにあっては、遠隔診断による時間効率の良い読影は可能にはなると思われるが、その運営面及び使い勝手の面において手間が掛かり且つ不安の残るシステムとなっている。
【0005】
具体的には、医療施設の情報端末、診断センタの読影用ワークステーション、及びネットワーク回線に関するハード及びソフト両面からのメインテナンス及びサポートの体制が従来のまま、未整備となっている。
【0006】
このため、何れかの施設において読影を行う上でトラブルが発生したとき、又は、定期的なメインテナンスを行うとき、予め契約しているサービス会社に依頼して又はそのサービス会社から出向してきたサービスエンジニアによるトラブル解消又はメインテナンスのサービスを受ける必要がある。このとき、サービスエンジニアは故障などの情報をユーザから聞き取り、通信ログを読み出し、それらの結果をマニュアルなどに照合させながら、ハード的な問題なのかソフト的な問題なのかを切り分け、且つ対処していく。つまり、サービスエンジニアはトラブル発生やメインテナンスの度に、外部から出向き、故障や不具合の情報を得てトラブル解消のための作業を行うことになるので、作業に余分な手間が掛かり、作業効率が良くなかった。
【0007】
本発明は、このような従来の医用画像の遠隔診断システムに鑑みてなされたもので、システムの運営面において一層の効率化及び省力化が図られた遠隔読影のためのシステムを提供することを、その目的とする。
【0008】
また、本発明は、従来の医用画像の遠隔診断システムに鑑みてなされたもので、とくに、カスタムサポートに関して、システムの運営面において一層の効率化及び省力化が図られた遠隔読影のためのシステムを提供することを、別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、医用画像の読影管理システムは、医用画像診断装置により取得された医用画像を医用画像保管装置に送信する手段と、前記医用画像保管装置に送信された前記医用画像を画像観察装置に送信する手段と、前記医用画像保管装置に送信された前記医用画像に関して、当該医用画像に対応する読影医に関する医師情報を付した検査依頼情報を入力するための入力手段と、前記入力手段により入力された前記検査依頼情報を前記画像観察装置に送信する送信手段と、前記画像観察装置に送信された前記画像情報について、当該画像情報に対応する前記検査依頼情報に基づいて、前記読影医の操作により作成された読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、を備えた。
【0010】
本発明の医用画像の読影管理システムは、好適には、前記画像観察装置に前記読影医がログインした場合、前記検査依頼情報に付された医師情報に基づいて、前記読影医に検査依頼されている前記医用画像を表示する手段を更に備えた。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、読影に関する故障診断を行う仕組みを設けたので、システムの運営面及び使い勝手において作業の一層の効率化及び省力化が図られ、また安定した高いレベルの読影サービスを受けることができる遠隔読影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る読影システムの構成の概要を説明するブロック図。
【図2】実施形態に係る読影システムにおける各プレーヤの処理の概要を、図3と共に示す概略フローチャート。
【図3】実施形態に係る読影システムにおける各プレーヤの処理の概要を、図2と共に示す概略フローチャート。
【図4】読影医の指定を含む、画像収集から読影レポート取得までの処理の概要を説明する模式図。
【図5】カスタムサポートのための故障診断及びサービス料金の代行回収の処理の概要を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る1つの実施の形態を図1〜5に基づき説明する。
【0014】
図1に、本実施形態に係る医用画像の読影システムの概要を示す。この読影システムは、医療施設としての病院11、読影管理施設としての機能を持つデータセンタ12、読影施設としての読影センタ13、及び決済システム14が通信手段としての通信ネットワーク15を介して相互に接続されている。これにより、読影センタ13から遠隔の地に在る病院11であっても、読影サービスを受けることができる遠隔読影システムが構築される。データセンタ12及び読影センタ13はASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)として設置されている。
【0015】
各種の高速及び高機能のモダリティが病院で普及するにつれて、扱う医用情報(画像データ及び付帯情報)の量も急速に増え、且つ、その読影の高度化、専門性などが求められている現状に鑑みると、医用情報の保管、画像の読影、読影に必要な各種の情報処理を病院の外部に求めることは必然である。これに応えるためにも、本実施形態に係る遠隔読影システムは有効である。
【0016】
読影センタ13は、好適な一例として、大学の医局内又は物理的に大学医局に近い場所に設置される。このため、大学の読影医の読影センタ13へのアクセスは非常に容易で、同センタ13の読影室には常に読影医を待機させることができる。
【0017】
なお、図1には、病院11は1つしか示されていないが、複数存在していてもよく、その場合にも、各病院11は通信ネットワーク15を介して同一のサービスセンタ12及び読影センタ13に通信可能に接続される。
【0018】
病院11には、X−CTスキャナ、MRI(磁気共鳴イメージング)装置などの医用モダリティ21を備える。このモダリティ21により被検体の医用画像(デジタル画像)が収集される。この画像データは、図示しないLANなどの通信ラインを経由してルータ22に至り、このルータ22から通信ネットワーク15上に例えばDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)規格に従って送り出される。この画像データはデータセンタ12に送信される。また、モダリティ21のコンソールから入力された、受信者の医用画像に付随する付帯情報(基本情報及び検査情報を含む)も所定の通信プロトコルに従ってルータ22から通信ネットワーク15を介してデータセンタ12に送信される。
【0019】
また、このルータ22には検査依頼・レポート参照端末23が接続されている。この端末23は、検査予約、撮影室業務、読影結果である読影レポートの参照、帳票出力、読影医の指定、システムにおける故障情報の入力などに使用される。この内、読影医の指定及び故障情報の入力は、夫々、本実施形態の特徴の一部を成す処理である。この端末23は、所定の通信プロトコルの基に通信ネットワーク15を介してデータセンタ12との間で情報の送受信ができるようになっている。
【0020】
データセンタ12は、医用画像の読影管理システムを成す画像保管装置31、予約・レポートサーバ32、カスタムサポートサーバ33、及び料金計算サーバ34を備える。画像保管装置31は通信ネットワーク15を介して病院11から送信されてきた医用情報(画像データ及びその付帯情報を含む)を記憶保管する。付帯情報には、病院ID、検査ID、患者氏名、収集モダリティ、収集部位、検査日付、検査条件などが含まれる。このため、付帯情報は患者のID、氏名などの基本情報及び検査条件を表す検査情報を含む。
【0021】
予約・レポートサーバ32は、患者の検査の予約登録及び読影結果である読影レポートを管理するサーバである。実際には、この図1に示す読影システムにおいて、前述した病院11の端末23、後述する読影センタ13の画像観察装置及びレポート端末、及び、この予約・レポートサーバ32により、検査予約・レポートシステムが構成されている。即ち、この読影システムには、かかる検査予約・レポートシステムが一体に組み込まれている。
【0022】
この検査予約・レポートシステムにより、X−CTやMRIの検査予約(検査予約業務)、予約検査に基いた検査の実施(撮影室業務)、実施された検査(画像)に関する検査報告書(読影レポート)の作成(所見作成業務)、各種集計表の出力(帳票出力業務)、読影医の指定などを行うことができる。予約・レポートサーバ32の記憶装置には、それらの業務を実現させるソフトウェア、及び、端末とのデータ送受信のための所定通信プロトコルに基づく通信ソフトウェアのプログラムデータが予め記憶されている。後述する図2、3の読影処理の一例を示すフローチャートには、この予約・レポートサーバ32による処理が含まれている。
【0023】
カスタムサポートサーバ33は、本読影システムのメインテナンス(システム管理、保守業務)を担うサーバである。本実施形態は、このようにカスタムサポートサーバ33をデータセンタ12に設置し、このカスタムサポートサーバ33に、後述する如く、画像の付帯情報(病院ID、検査ID、患者氏名、収集モダリティ、収集部位、検査日付、検査条件など)を流用してメインテナンス業務を実行させることを特徴の一つとしている。
【0024】
具体的には、このカスタムサポートは故障情報を受けて故障診断するモードと、定期的に自己診断するモードとが設定されている。
【0025】
前者の故障診断モードの場合、前述した検査依頼・レポート参照端末23が流用される。この端末23において、オペレータがサポート用の入力画面を読み出し、故障の状況を例えばテキストデータで入力する。この入力情報には例えば画像の有無、読影レポートの有無、システムのステータスが含まれる。この故障情報はカスタムサポートサーバ33にオンライン送信される。この送信に呼応して、サーバ33は自動的に故障診断プログラムを起動させる。この起動に伴って、サーバ33により、検査画像の付帯情報が予約・レポートサーバ32から読み出されるとともに、画像保管装置31の画像保管状況が参照されて、所定アルゴリズムで故障診断される。この結果、読影システムのハード的なエラーなのか、ソフト的なエラーなのかを切り分け、さらにその故障又は不具合の原因又はその候補要因を端末23の画面上に表示して知らせる。この診断結果に応じて、オペレータは必要な処置を採ることができる。
【0026】
一方、定期的な自己診断モードのタイミングに至ると、カスタムサポートサーバ33は上述した故障診断プログラムを自動的に起動させ、上述したと同様に、予約・レポートサーバ32及び画像保管装置31の格納情報を流用した自己診断を行う。この診断結果は、例えば検査依頼・レポート参照端末23の電源投入時に表示される。
【0027】
後述する図2、3の読影処理の一例を示すフローチャートには、このカスタムサポートサーバ33によるメインテナンス処理が含まれている。このカスタムサポートサーバ33の記憶装置には、かかるメインテナンス処理を実行するためのソフトウェアがプログラムデータとして予め格納されている。
【0028】
料金計算サーバ34は、読影センタ13における読影医による読影のサービス料金を例えば読影毎に計算するとともに、このデータセンタ12によるサービス料金を付加した料金を計算するサーバである。この料金計算サーバ34も検査の付帯情報を用いて料金を計算する。
【0029】
この計算は、例えば病院11から検査画像を受信したタイミング、定期的(例えば1日毎、1週間毎、1ヶ月毎)な所定時刻、予約・レポートサーバ32が検査依頼・レポート参照端末23からの通知に応じて読影レポートを発注したタイミング、又は予約・レポートサーバ32が読影センタ33から読影レポートを受信したタイミングなどの適宜なタイミングで病院毎、検査毎(読影毎)になされた上で、それらが一定期間毎に集計される。例えば、病院名、計算日付範囲(yy年mm月dd日〜yy年mm月dd日)、依頼のトータル件数とその内訳(CTのノーマル読影:xx回、アドバンス読影:yy回など)、単価(システム内に予め記憶されてある単価、計算毎に指定する単価)、読影医などをファクタとして計算される。
【0030】
後述する図2、3の読影処理の一例を示すフローチャートには、この料金計算サーバ34による料金計算処理が含まれている。この料金計算サーバ34の記憶装置には、かかる料金計算のためのソフトウェアがプログラムデータとして予め格納されている。
【0031】
この料金計算サーバ34により計算されたサービス料金の情報は、通信ネットワーク15を介して決済システム14に送信される。
【0032】
なお、データセンタ12は、上述のように読影を管理するための施設としての各種の機能を有するものであるが、その呼び名は必ずしも「データセンタ」に限定されるものではない。上述の機能を有する施設又はセンタであればよく、例えば管理センタ、読影管理センタ、読影サービスセンタ、サービスセンタなどと呼ばれてもよい。
【0033】
決済システム14は、一例としては、病院11に通信回線を提供している回線提供者が運営するシステムである。これにより、回線提供者は、病院11の電話の通話料金などの回線使用料に、料金計算サーバ34から送信されてきたサービス料金を加算して病院に課金する。つまり、この回線提供者が、上述のサービス料金の回収を代行するシステムになっており、この回収代行サービスを提供できることが本実施形態の別に特徴になっている。
【0034】
ところで、本実施形態では回収代行を行うことができればよく、決済システム14は必ずしも回線提供者でなくてもよく、回線提供者から委託を受けた回収サービス専門のASPであってもよい。
【0035】
読影センタ13は、読影のための読影観察装置41、レポート端末42、レポート用レーザプリンタ43、及びルータ44を備える。読影観察装置41は、読影画像の表示に供するディスプレイ41aと画像データ及び検査依頼情報を記憶する記憶装置41bとを備えている。レポート端末42は、この端末42にログインした読影医が画像観察装置41を見ながら読影した結果を読影レポートとして記入するために使用される。この読影結果はルータ44を介してレーザプリンタ43に送信し、印刷させることができる。
【0036】
通信ネットワーク15は、一般の公衆電話回線や専用回線であってもよいし、ISDN(サービス統合デジタル通信網)やインターネットであってもよい。
【0037】
次いで、図2,3を参照して、この読影システムにおける読影処理の一例を説明する。
【0038】
まず、病院11において、モダリティ(検査装置)21のコンソールから受信者の基本情報が入力された後、撮影が行われる(図1、ステップS1、S2)。この撮影によって収集されるデジタル量の画像データはデータセンタ12の画像保管装置31にオンライン送信されるとともに、その付帯情報も予約・レポートサーバ32にオンライン送信される(ステップS3)。これに呼応して、画像保管装置31は、送信されてきた画像データを自動的に読影センタ13の画像観察装置41に転送される(ステップS4)。
【0039】
次いで、病院11の検査依頼・レポート参照端末23から検査依頼(読影依頼:病院ID、受信者ID、氏名、コメントなど)の情報入力及び読影医師の指定がある(ステップS5,S6)。
【0040】
この内、読影医師の指定は、どの読影医師にどの画像を読影してもらうかを定義することで行われる。読影対象画像を指定するには、検査IDを指定する又は患者IDと検査日付・時刻とを指定すればよい。読影医師は医師名又は医師IDで指定すればよい。なお、読影担当の医師IDを最初から埋めこんだ検査IDを発生させ、基本情報の一部として予約・レポートサーバ32に送信される検査IDを読影医の指定に兼用するようにしてもよい。
【0041】
なお、読影医師の指定は必ずしも行わなくてもよい。この指定を行わないときは、読影センタ13側で決めた適宜な医師が読影にあたることになる。これらの端末23からの入力情報は、オンラインで予約・レポートサーバ32に送信され、さらにこのサーバ32から画像観察装置41に転送される(ステップS7,S8)。これにより、読影対象の画像データ、その付帯情報、及び読影依頼情報の配信が完了し、それらが画像観察装置41に揃うことになる。
【0042】
読影センタ13に居る読影医はレポート端末42からログインする(ステップS9)。このログインに呼応して、レポート端末42には読影対象画像が一覧表示される(ステップS10)。この一覧表示において、読影医が指定されている場合、ログインした読影医のIDに合致する読影対象画像が表示される。読影医の指定が無い場合、予め決めてあるアルゴリズムに従って選択された、ログインした読影医が専門とするモダリティの種別や検査部位の種別に応じた読影対象画像が表示される。
【0043】
この一覧から読影医が読影対象画像を選択すると(ステップS11)、その検査情報及び読影依頼内容、並びに、その画像も自動的に連動して表示される(ステップS12、S13)。
【0044】
次いで、読影医は、表示された画像を観察しながら読影レポートを作成する(ステップS14)。この読影に際し、過去の読影レポートを参照したいときには、レポート端末42はデータセンタ12の予約・レポートサーバ32にアクセスする(ステップS14a)。また、読影医の操作により、読影レポートにはキーとなる画像が貼り付けられる(ステップS14b)。作成された読影レポートは、予約・レポートサーバ32にオンラインで返信・保管され、さらに必要に応じてプリンタ43で印刷される(ステップS15,S16)。
【0045】
これに対して、病院11では、検査依頼・レポート参照端末23を介してデータセンタ12の予約・レポートサーバ32に読影レポートの作成が完了したか否かを問い合わせることができ、完了している場合、そのレポートを参照又はダウンロードすることができる(ステップS17)。
【0046】
このように簡単な操作で読影医を病院側で指定できるので、モダリティ21や診断部位の種別が多くなっても、また検査条件が複雑になっても、病院側が意図した最適レベルの読影サービスを受けることが可能になる。従って、読影品質を高いレベルで安定させ、診断の信頼性向上に寄与できる。
【0047】
なお、予約・レポートサーバ32は、読影が完了して読影レポートの返信があったときには、その読影レポートに該当する検査IDを示して、読影完了の通知を例えば電子メールで検査依頼・レポート参照端末23に送るようにしてもよい(ステップS17)。これにより、病院11では読影完了問い合わせの手間が省けて、作業を省力化できる。
【0048】
以上の読影それ自体に関わる処理の概略を図4に模式的に示す。
【0049】
このように読影処理を実行しているときに、病院11においてオペレータが読影システムの不具合を感じたとする。これにより、オペレータは検査依頼・レポート参照端末23にカスタムサポートサーバ33に拠るテクニカルサポート用の入力画面を読み出し、不具合の情報(故障情報)を、例えばテキストデータの打込み又は該当故障状況項目のボタンチェックで入力する(ステップS18)。この故障情報はオンラインでカスタムサポートサーバ33に送信される(ステップS19)。
【0050】
これに応答して、カスタムサポートサーバ33は自動的に故障診断プログラムを起動させて故障診断に入る(ステップS20)。この診断過程において、サーバ33は画像保管装置31及び/又は予約・レポートサーバ32から画像情報及び/又は付帯情報を読み出して診断に用いる(ステップS20a)。
【0051】
上述の故障情報の入力から故障診断までの一例を説明する。端末23の入力画面上で、オペレータは例えば「画像表示の有無」及び「レポート表示の有無」をチェックすることで故障情報を与えたとする。例えば読影レポートは表示できるが、画像が表示されないという故障状況の場合、前者を「無」に、後者を「有」にチェックする。この故障情報を受信したカスタムサポートサーバ33は予約・レポートサーバ32にアクセスして当該検査の読影レポート情報に添付された画像情報(この画像情報も同サーバ32内に圧縮・添付されて格納されている)の表示を試みる。この表示ができれば、予約・レポートサーバ32の動作に問題は無く、通信ネットワーク15による通信がビジー状態であったか、ネットワーク回線の一時的ダウンであったという診断を下すことができる。反対に、予約・レポートーバ32内の画像情報にアクセスできなかった場合(表示不可の場合)、同サーバ32内の画像格納部分に問題があるという診断を下すことができる。この画像格納部分の問題がソフト的か又はハード的かは、更に別の故障情報又は診断パラメータを与えて、故障診断プログラムにより診断を深め、最終的な故障原因を突き止めることができる。
【0052】
この故障診断のプロセスの概略を図5の矢印A1〜A4に模式的に示す。このように、データセンタ12内の共通の付帯情報(基本情報及び検査情報を含む)を診断に用いているので、診断に必要な情報収集のための処理が簡単になり、安定した且つ確実な故障判断を行うことができる。この結果、故障原因がハード的なものか、ソフト的なエラーかを切り分けるとともに、その故障原因それ自体又は可能性の最も高い故障原因の候補を提示することができる。この故障診断結果は病院の端末23にオンラインで返される(ステップS21)。なお、事前の設定に拠って、カスタムサポートサーバ33は定期的に自己診断を行うこともできる。
【0053】
さらに、データセンタ12の料金計算サーバ34は、例えば、予約・レポートサーバ32が病院のモダリティ21から読影依頼情報を受信した旨の配信ログの送信を当該サーバ32から受けると(ステップS22)、予約・レポートサーバ32から検査の基本情報を取得する(ステップS23)。この基本情報を用いて、料金計算サーバ34は病院毎に且つ依頼読影毎に、読影レベルの内容、読影単価などに応じて読影サービスの料金を計算するとともに、この料金を各病院について一定期間(例えば1ヶ月)毎に集計する(ステップS24)。
【0054】
この料金計算情報はオンラインで決済システム14に自動送信される(ステップS25)。決済システム14は、各病院毎に、各病院で上記一定期間毎に使用した電話通話料にこの読影サービス料金及び予め決めてあるデータセンタ12のサービス料金を加算したサービス料金を計算し、課金する(ステップS26)。これにより、電話通話料と共にサービス料金が代行回収される。回収された料金は夫々、データセンタ12及び読影センタ13に払われる。なお、この読影のサービス料金のみを代行回収するようにしてもよい。
【0055】
この回収代行のプロセスの概略を図5の矢印B1〜B4に模式的に示す。この回収代行により、各病院11では、読影依頼に伴うサービス料金の支払手数が増えることはなく、事務量の省力化が図られる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態で説明した、病院側で読影医を指定する構成、データセンタの共有情報を用いたシステム故障診断の構成、及びサービス料金の回収代行の構成について、任意の1つ又は2つの構成のみを実施することができる。
【0057】
また、上述の実施形態における回収代行の構成において、各病院毎に、サービス料金を電話通話料に加算して回収する構成を説明したが、電話のみならず、病院で使用しているファクシミリ、インターネット、パソコン通信を含む回線使用料を意味している。
【0058】
またなお、本発明は上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、当業者であれば、特許請求の範囲に記載の要旨の範囲内で更に適宜に変更及び変形して実施することもできる。
【符号の説明】
【0059】
11 病院(医療施設)
12 データセンタ
13 読影センタ
14 決済システム
15 通信ネットワーク
21 モダリティ
22、44 ルータ
23 検査依頼・レポート参照端末
31 画像保管装置
32 予約・レポートサーバ
33 カスタムサポートサーバ
34 料金計算サーバ
41 画像観察装置
42 レポート端末
43 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像診断装置により取得された医用画像を医用画像保管装置に送信する手段と、
前記医用画像保管装置に送信された前記医用画像を画像観察装置に送信する手段と、
前記医用画像保管装置に送信された前記医用画像に関して、当該医用画像に対応する読影医に関する医師情報を付した検査依頼情報を入力するための入力手段と、
前記入力手段により入力された前記検査依頼情報を前記画像観察装置に送信する送信手段と、
前記画像観察装置に送信された前記画像情報について、当該画像情報に対応する前記検査依頼情報に基づいて、前記読影医の操作により作成された読影レポートを記憶する読影レポート記憶手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像の読影管理システム。
【請求項2】
前記画像観察装置に前記読影医がログインした場合、前記検査依頼情報に付された医師情報に基づいて、前記読影医に検査依頼されている前記医用画像を表示する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の医用画像の読影管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−54194(P2011−54194A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241171(P2010−241171)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【分割の表示】特願2000−297224(P2000−297224)の分割
【原出願日】平成12年9月28日(2000.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】