医用画像診断装置
【課題】複数種類の装置が一体型で形成され、各々の装置を用いた検査の際に単一の天板が共用されるとともに、この天板を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、位置ずれによる画像劣化が防止された医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】トンネル部22内に挿入された被検体Hから放出された放射線を検出する放射線検出部3を有する核医学診断装置と、トンネル部22内に挿入された被検体HをX線でスキャンするX線スキャン部41を有するX線CT装置と、被検体Hを載せた天板12をトンネル部22内に挿入するベッド装置11とを備えた。そして、核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、放射線検出部31が有する検出器32と、X線スキャン部41が有するX線管42及びX線検出器43とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えた。
【解決手段】トンネル部22内に挿入された被検体Hから放出された放射線を検出する放射線検出部3を有する核医学診断装置と、トンネル部22内に挿入された被検体HをX線でスキャンするX線スキャン部41を有するX線CT装置と、被検体Hを載せた天板12をトンネル部22内に挿入するベッド装置11とを備えた。そして、核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、放射線検出部31が有する検出器32と、X線スキャン部41が有するX線管42及びX線検出器43とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SPECT装置やPET装置などの核医学診断装置とX線CT装置とを一体型に組み合わせた医用画像診断装置に係り、具体的には、核医学診断装置の検出器とX線CT装置の検出器とが同一のガントリに収納された医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学診断装置やX線CT装置などの医用画像診断装置は、各々の装置の原理や特長からそれぞれに一長一短がある。そこで最近では、核医学診断装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置のように、それらの各々の機能を補完し合う目的で複合型・融合型の機器が開発されて、それらが一般的になりつつある。
【0003】
核医学診断装置として、PET(positron emission tomography)装置やSPECT(Single photon emission computed tomography)装置あるいはガンマカメラなどが知られている。これらの装置はいずれも放射性薬剤を被検者(患者)に投与し、その被検者の体内から発せられる放射線を体外で検出して画像(放射性薬剤の濃度分布像)を得るものである。すなわち、癌の病巣に集まる性質を有する薬剤を用い、これに放射性の核種で標識しておけば、癌病巣そのものの大きさ・形状が表現された画像を得ることができ、医学的な診断に役立てることができる。
【0004】
しかし、これらの画像は核種の集積・分布状態を表わすのみであるため、それが人体内組織のどこに存在するかについては、必ずしも明確にならない。たとえばPET装置について説明すると、癌の病巣に集まる性質を有する薬剤にポジトロン放出性核種で標識した上で、この薬剤を人体内に投与する。ポジトロン消滅時に180°反対方向にガンマ線が放出されるので、人体を囲む360°の円周上の各位置においてそのガンマ線を検出し、その2つのガンマ線の同時入射をとらえる。それらの入射位置を結ぶ線上に核種が位置するのであるから、それら入射位置を結ぶ線のデータを位置データとして得る。こうした位置データを一定時間収集し、演算処理することにより、核種の分布像を再構成する。この分布像によると、上記360°の検出位置の平面が人体を横切る断層面での核種の濃度分布が表されるが、人体内組織の各々の部位との関連性が明瞭にならない。
【0005】
一方、X線CT装置は、X線管及びX線検出器を被検者の体軸の周囲に回転させるなどして体軸に垂直な断層面において被検者の体をX線でスキャンすることによって、断層面内各方向からのX線投影データを収集し、この投影データを逆投影することによってその断面におけるX線吸収率分布の画像を再構成する。このX線CT画像はその断層面における人体内部の組織形状を表わす。
【0006】
そこで、医療従事者が確実な診断を下すため、従来、PET装置などの核医学診断装置とX線CT装置とを組み合わせたPET−CT装置などにより同一患者に対して核医学検査とX線CT検査との双方を連続して行い、それらで得たPET画像などの核医学画像とX線CT画像とを併用して診断を行うようにしている。
【0007】
ところで、核医学診断装置とX線CT装置とを組み合わせた従来の医用画像診断装置において、天板送出方向(天板長さ方向)にPET装置のガントリ(放射線検出部)とX線CT装置のガントリ(X線スキャン部)とが順に並ぶような縦列的な位置関係になるように構成されていて、天板上に被検者を載せる単一のベッド装置がPET装置とX線CT装置とで共用されていた。そして、このような医用画像診断装置は、天板上の被検者が各々のガントリのトンネル部に順次挿入されるように、天板が送出されたり各々のガントリが天板長さ方向に移動したりするように構成されている。
【0008】
この場合、天板がガントリのトンネル部内に挿入される関係上、ベッド装置により片持ち梁状態で支持されることになり、ベッド装置から離れた側に設置されたガントリのトンネル部に被検者を挿入させた場合に、片持ち梁の長さが長くなってしまうため、その撓みが大きくなってしまう。天板の撓み量が大きくなると、被検者の重力方向の位置が大きくずれてしまい、画像の位置精度が劣化してしまう。また、天板が移動するときの患者の精神的負担も大きくなってしまう。
【0009】
そこで、患者の精神的な負担を軽減するとともに天板の撓みを少なくしさらにベッド装置の小型化をも図られた医用画像診断装置が提案されている(特許文献1参照)。この医用画像診断装置は、ベッド装置の患者を載せる天板の長さ方向での送出方向延長上にガントリを位置させ、この一つのガントリ内にトンネル部の軸合わせをしたPET検出部とCTスキャン部とを密接配置し、ガントリを回転機構に配置し、鉛直方向のガントリ中心軸周りに回転可能に保持し、PET検査を行う場合にはPET検出部がベッド装置に近い側に、X線CT検査を行う場合にはCTスキャン部がベッド装置に近い側になるように180°回転させることにより、いずれの場合にも被検者のトンネル部への挿入量が少なくて済むように設計されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−255082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、核医学診断装置とX線CT装置とが一体化された医用画像診断装置を用いて検査を行う際、医療従事者は、患者セッティング後に、天板の位置を間違えてしまうなどの操作ミスや操作をやり直しせざるを得ない状況を防止するために、X線CT検査での撮影であるかPET検査での撮影であるかを常に意識して操作する必要があった。また、PET装置とX線CT装置とが並列に設置されているため、占有空間も大きい上、操作しづらく、並列配置方向でのPET検査の撮影断面での中心とX線CT検査の撮影断面の中心を一致させるために、Z軸方向における調整が必要であった。さらに、天板を各々の検出器の位置へ移動させるための動作や時間により、検査スループットが低下してしまっていた。
【0012】
PET装置及びX線CT装置の各々の検出器は数十cmから1m弱程度の間隔をおいて設置されているため、天板が長大になってしまう傾向があり、取り回し負荷増大とともに患者体重加重により天板が重力方向に撓り、融合画像の画質への悪影響が発生してしまうという問題もあった。
【0013】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、たとえば核医学診断装置及びX線CT装置などの複数種類の装置が一体型で形成された医用画像診断装置であって、各々の装置を用いた検査の際に単一の天板が共用されるとともに、この天板を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれによる画像劣化が防止された医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る医用画像診断装置は、トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、前記核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、前記放射線検出部が有する検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る医用画像診断装置によると、たとえば核医学診断装置及びX線CT装置などの複数種類の装置が一体型で形成され、各々の装置を用いた検査の際に単一の天板が共用されるとともに、この天板を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれによる画像劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の医用画像診断装置を示す構成図。
【図2】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が備えているPET装置を正面から見た様子を示す概略図、(B)は、このPET装置を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図、(C)は、このPET装置の検出器を示す斜視図。
【図3】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が備えているX線CT装置を正面から見た様子を示す概略図、(B)は、このX線CT装置を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図、(C)は、このX線CT装置のX線管及び検出器を示す斜視図。
【図4】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が被検体を撮影する様子を示す概略図、(B)は、第1実施形態の用画像診断装置におけるPET装置とX線CT装置との配置例を示す概略図。
【図5】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図6】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図7】第1実施形態の医用画像診断装置がX線CT装置を用いて被検体を撮影する様子を示す図。
【図8】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図9】第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前の様子を示す図。
【図10】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図11】第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後でPET装置を用いて被検体を撮影する前の様子を示す図。
【図12】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させた後のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させた後のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図13】第1実施形態の医用画像診断装置においてPET装置を用いて被検体を撮影するときの様子を示す図。
【図14】(A)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図15】(A)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させるときのPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させるときのPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図16】(A)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図、(C)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影が終了した後にPET装置による撮影が行われる前のPET検出器やCT検出器を側面から見た配置例を示す概略図。
【図17】(A)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図18】(A)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図19】(A)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第1実施形態について図1乃至図13を参照して説明する。図1は、第1実施形態の医用画像装置1を示す構成図である。医用画像診断装置1は、核医学診断装置とX線CT装置を一体型に備えた装置である。核医学診断装置は、PET装置、SPECT装置、ガンマカメラなどであり、ここでは、医用画像診断装置1がPET装置を備えている場合について説明する。
【0018】
図1に示すように、医用画像診断装置1は、主に、患者(被検者H)が載置されるベッド装置11、検出器により検出データが取得されるガントリ21、医療従事者がベッド装置11やガントリ21を操作するためのコンソール51を備えている。
【0019】
ベッド装置11はベッド天板12を備えていて、上部に被検者Hが載置されたベッド天板12を被検者Hの体軸方向(図1に矢印で示す)に移動させることによって被検者Hをガントリ21に対する進退方向に移動させる。このガントリ21は、たとえば円筒状に形成されているとともに、ベッド天板12の長さ方向延長上(ベッド天板12の送出方向)に軸方向が位置するように設置され、内部にはPET検出部(PET装置)31とCTスキャン部(X線CT装置)41とが収納されている。
【0020】
ガントリ21は軸付近にトンネル部22が設けられ、このトンネル部22内にベッド天板12(及び被検者H)が挿入されるように、トンネル部22の長さ方向がベッド天板12の長さ方向(被検体Hの体軸方向)に位置するようにガントリ21が配置されている。
【0021】
PET装置31は、このトンネル部22の周囲を囲むように360°リング型に配置された多数の放射線検出器32を備えている。またX線CT装置41では、X線管42とX線検出器43とがトンネル部22を挟んで対向する位置を保ちながらトンネル部22の周囲を回転することによって、X線で被検者Hの体をスキャンする。すなわち、医用画像診断装置1は、PET装置31及びX線CT装置41が、トンネル部22の中心軸が同一の中心軸となるように配置されていることにより、PET検査及びX線CT検査の双方の検査を連続して行うことができる。
【0022】
ガントリ21は、ガントリ回転機構23によって水平面内で回転するよう、鉛直方向のガントリ中心軸回りに回転可能に保持されている。その回転機構23としては、ターンテーブル式の機構やリング型レールによるものなどが考えられる。この回転機構23により、ガントリ21を回転させることができる。
【0023】
ガントリ21はガントリ回転機構23を備えている。ガントリ回転機構23内にはモータなどの回転駆動装置24が収められ、ガントリ21の側面に設けた回転操作部(操作ボタンとコントローラなど)25によってその回転駆動装置24の制御がなされる。また、ガントリ21から離れた場所に設置されたコンソール(操作卓)51にも回転操作部(操作ボタンとコントローラなど)52が設けられ、コンソール51からも回転駆動装置24の制御が可能である。なお、このコンソール51には、PET装置31及びX線CT装置41の各種設定や入力を行うキーボードなどの操作部や、その入力に応じてPET装置31及びX線CT装置41をそれぞれ制御する制御部や、PET装置31及びX線CT装置41から得たデータを収集して画像再構成演算を行う演算部や、再構成された画像を表示する画像表示部などが備えられている。
【0024】
図2(A)は、医用画像診断装置1が備えているPET装置31を正面から見た様子を示す概略図であり、図2(B)は、このPET装置31を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図であり、図2(C)は、このPET装置31の検出器を示す斜視図である。PET装置31は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ガントリ21の外周に複数のPET検出器32を備えている。PET検出器32は、図2(C)に示すように、放射線を受けたときに蛍光するシンチレータと、このシンチレータの光を電子に変換して増幅させる光電子倍増管(PMT)を備えている。医用画像診断装置1は、ガントリ21のトンネル部22の内部に設置された被検体Hから放出された放射線を、これらのPET検出器32で検出する。
【0025】
図3(A)は、医用画像診断装置1が備えているX線CT装置41を正面から見た様子を示す概略図であり、図3(B)は、このX線CT装置41を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図であり、図3(C)は、このX線CT装置41のX線管42及びCT検出器43を示す斜視図である。X線CT装置41は、図3(A)及び図3(B)に示すように、X線を出力するX線管42と、このX線管42から出力されたX線を検出する複数のCT検出器43とを備えている。CT検出器43は、図3(C)に示すように、放射線を受けたときに蛍光するシンチレータと、このシンチレータの光により電子を励起させるフォトダイオードとを備えている。医用画像診断装置1は、X線管42から出力されたX線を、これらのCT検出器43で検出する。なお、X線管42から出力されたX線の一部は、ガントリ21のトンネル部22の内部に設置された被検体Hを通過する際に吸収されて減衰している。
【0026】
図4(A)は、医用画像診断装置1が被検体Hを撮影する様子を示す概略図であり、図4(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31とX線CT装置41との配置例を示す概略図である。図4(A)及び図4(B)に示すように、医用画像診断装置1において、PET装置31とX線CT装置41とは、撮影の際の中心軸がほぼ一致するように設置されていて、PET検出器32とCT検出器43を備えたガントリ21が被検体Hの体軸方向に移動することにより、被検体Hの位置を移動させることなく、PET装置31による撮影、X線CT装置41による撮影を行うことができる。
【0027】
ここで、医用画像診断装置1がPET検出器32とCT検出器43とを備えている場合に、これらの検出器の配置によっては、PET装置31による撮影がCT検出器43により妨げられたり、逆にX線CT装置41による撮影がPET検出器32により妨げられたりする可能性がある。そこで医用画像診断装置1は、PET検出器32とCT検出器43がそれぞれの撮影のときに相互に妨げないように構成されている。
【0028】
図5(A)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図5(B)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。図5(A)に示すように、PET検出器32とCT検出器43とは正面視で同様の位置に設置されるが、図5(B)に示すように、PET検出器32がガントリ21の軸方向に対して垂直に、X線管42及びCT検出器43がPET検出器32の配置方向に対して角度θだけ傾斜するように配置される。これにより、PET検出器32及びCT検出器43が相互に検出を妨げることなく、PET装置31及びX線CT装置41による撮影が行われる。
【0029】
図6(A)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図6(B)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。医用画像診断装置1において、図6(A)及び図6(B)に示すように、CT検出器43を列数の変更や材質加工により小型に形成しても良い。これにより、X線管42及びCT検出器43のガントリ21に対する傾斜を小さくした場合であっても、PET検査の際にCT検出器43により撮影が妨げられることが防止される。
【0030】
また、医用画像診断装置1は、PET装置31を用いて検査するかX線CT装置41を用いて検査するかによってPET検出器32及びCT検出器43の配置を変更できる機能(移動駆動手段)を備えるようにしても良い。これにより、医用画像診断装置1は、被検体Hの体軸方向の位置を移動させることなく、PET検出器32またはCT検出器43を移動させることによって、PET検査、X線CT検査の双方を、場合によっては撮影対象とする断面を一致させつつ撮影することができる。
【0031】
図7は、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて被検体Hを撮影する様子を示す図である。図8(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図8(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0032】
図7に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hの頭から足に向けて撮影する際、図8(A)、図8(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32よりも内周側に位置させることにより、PET検出器32により撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32は使用されないので、被検体HとPET検出器32との間にCT検出器43があっても問題ない。
【0033】
図9は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前の様子を示す図である。図10(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図10(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0034】
図9に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図10(A)、図10(B)に示すように、PET検出器32をX線CT装置41による撮影対象面から外れるようにスライドさせてX線CT検出器43が通過できる程度の空きスペースを形成し、この空きスペースを通過するようにしてCT検出器43をPET検出器32よりも外周側に移動させる。
【0035】
図11は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後でPET装置31を用いて被検体Hを撮影する前の様子を示す図である。図12(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させた後のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図12(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させた後のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0036】
図11に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図12(A)、図12(B)に示すように、スライドさせたPET検出器32を再びスライドさせて元の位置に戻すことにより、CT検出器43のPET検出器32の外周側への設置を完了する。
【0037】
図13は、医用画像診断装置1においてPET装置31を用いて被検体Hを撮影するときの様子を示す図である。図13に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、図12(A)、図12(B)に示すように、CT検出器43がPET検出器32の外周側に設置された状態で、撮影を行う。PET装置31を用いて撮影するときにはCT検出器43は使用されないので、X線管42とCT検出器43との間にPET検出器32があっても問題ない。
【0038】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32とCT検出器43とを同一のガントリに収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32が撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を連続して行うことができる。
【0039】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。さらに、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤って撮影してしまうことが防止される。その上、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0040】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0041】
第1実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、複数の検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0042】
〔第2実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第2実施形態について図14及び図15を参照して説明する。第2実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32とCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
図14(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図14(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0044】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図14(A)及び図14(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32よりも内周側に位置させることにより、PET検出器32により撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32は使用されないので、被検体HとPET検出器32との間にCT検出器43があっても問題ない。
【0045】
図15(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させるときのPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図15(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させるときのPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0046】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図15(A)、図15(B)に示すように、CT検出器43をガントリ21の回転軸の軸方向に移動させて、相対するPET検出器32間の外側に移動させる。そして、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、CT検出器43がPET検出器32の外側に設置された状態で、撮影を行う。
【0047】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32とCT検出器43とを同一のガントリ12内に収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32が撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0048】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0049】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0050】
第2実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0051】
〔第3実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第3実施形態について図16及び図17を参照して説明する。第3実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32cとCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
図16(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図16(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図であり、図16(C)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影が終了した後にPET装置31による撮影が行われる前のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0053】
第3実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1のPET検出器32に比べて小型のPET検出器32cが使用されており、これらの小型のPET検出器32cが他列されて配列されることにより形成されている。また、これらの複数の小型のPET検出器32cは、ガントリ21の厚さ方向(トンネル部22の軸方向)に2分して移動できる(半数が正方向に、残りの半数が逆方向に移動できる)ようにそれぞれ配置されている。
【0054】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図16(A)及び図16(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32cよりも内周側に位置させることにより、PET検出器32cにより撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32cは使用されないので、被検体HとPET検出器32cとの間にCT検出器43があっても問題ない。
【0055】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図16(C)に示すように、ガントリ21の厚さ方向における中心付近に空きスペースができるように、複数のPET検出器32cをガントリ21の厚さ方向に対して2分されるようにそれぞれ移動させ、この空きスペースを用いて、CT検出器43をPET検出器32cの外周側に移動させる。
【0056】
図17(A)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図17(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0057】
図17(A)及び図17(B)に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、CT検出器43がPET検出器32cの外周側に設置された状態で、撮影を行う。
【0058】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32cとCT検出器43とを同一のガントリ21内に収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32cが撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0059】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0060】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32c及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0061】
第3実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0062】
〔第4実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第4実施形態について図18及び図19を参照して説明する。第4実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態乃至第3実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32cとCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態乃至第3実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
図18(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図18(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0064】
第4実施形態の医用画像診断装置1は、第3実施形態の医用画像診断装置1と同様に、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1に比べて小型のPET検出器32cが使用されており、これらの小型のPET検出器32cが他列されて配列されることにより形成されている。また、これらの複数の小型のPET検出器32cは、ガントリ21の厚さ方向(トンネル部22の軸方向)に2分して移動できる(半数が正方向に、残りの半数が逆方向に移動できる)ようにそれぞれ配置されている。
【0065】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図18(A)及び図18(B)に示すように、複数のPET検出器32cをガントリ21の厚さ方向の両方向にそれぞれ移動させて空きスペースを作った状態で、CT検出器43が、X線管42から出力されてこの空きスペースを通過してきた放射線を検出するように配置することにより、PET検出器32cにより撮影が妨げられることが防止される。
【0066】
そして、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、ガントリ21のトンネル22内に設置された被検体Hから出力された放射線をPET検出器32cが検出できるように、複数のPET検出器32cをガントリ21の元の位置(中心付近)にそれぞれ移動させる。
【0067】
図19(A)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図19(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0068】
図19(A)及び図19(B)に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、複数がPET検出器32がガントリ21の中心付近に移動されて、CT検出器43がPET検出器32cの外周側に設置された状態で、撮影を行う。
【0069】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32cとCT検出器43とを同一のガントリに収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32cが撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0070】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0071】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32c及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0072】
第4実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1…医用画像診断装置,11…ベッド装置,12…ベッド天板,21…ガントリ,22…トンネル部,23…ガントリ回転機構,24…回転駆動装置,25…回転操作部,31…PET検出部(PET装置),32、32c…PET検出器、32a、43a…シンチレータ,32b…光電子倍増管,41…CTスキャン部(X線CT装置),42…X線管,43…CT検出器,51…コンソール,52…回転操作部,H…被検体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、SPECT装置やPET装置などの核医学診断装置とX線CT装置とを一体型に組み合わせた医用画像診断装置に係り、具体的には、核医学診断装置の検出器とX線CT装置の検出器とが同一のガントリに収納された医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
核医学診断装置やX線CT装置などの医用画像診断装置は、各々の装置の原理や特長からそれぞれに一長一短がある。そこで最近では、核医学診断装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置のように、それらの各々の機能を補完し合う目的で複合型・融合型の機器が開発されて、それらが一般的になりつつある。
【0003】
核医学診断装置として、PET(positron emission tomography)装置やSPECT(Single photon emission computed tomography)装置あるいはガンマカメラなどが知られている。これらの装置はいずれも放射性薬剤を被検者(患者)に投与し、その被検者の体内から発せられる放射線を体外で検出して画像(放射性薬剤の濃度分布像)を得るものである。すなわち、癌の病巣に集まる性質を有する薬剤を用い、これに放射性の核種で標識しておけば、癌病巣そのものの大きさ・形状が表現された画像を得ることができ、医学的な診断に役立てることができる。
【0004】
しかし、これらの画像は核種の集積・分布状態を表わすのみであるため、それが人体内組織のどこに存在するかについては、必ずしも明確にならない。たとえばPET装置について説明すると、癌の病巣に集まる性質を有する薬剤にポジトロン放出性核種で標識した上で、この薬剤を人体内に投与する。ポジトロン消滅時に180°反対方向にガンマ線が放出されるので、人体を囲む360°の円周上の各位置においてそのガンマ線を検出し、その2つのガンマ線の同時入射をとらえる。それらの入射位置を結ぶ線上に核種が位置するのであるから、それら入射位置を結ぶ線のデータを位置データとして得る。こうした位置データを一定時間収集し、演算処理することにより、核種の分布像を再構成する。この分布像によると、上記360°の検出位置の平面が人体を横切る断層面での核種の濃度分布が表されるが、人体内組織の各々の部位との関連性が明瞭にならない。
【0005】
一方、X線CT装置は、X線管及びX線検出器を被検者の体軸の周囲に回転させるなどして体軸に垂直な断層面において被検者の体をX線でスキャンすることによって、断層面内各方向からのX線投影データを収集し、この投影データを逆投影することによってその断面におけるX線吸収率分布の画像を再構成する。このX線CT画像はその断層面における人体内部の組織形状を表わす。
【0006】
そこで、医療従事者が確実な診断を下すため、従来、PET装置などの核医学診断装置とX線CT装置とを組み合わせたPET−CT装置などにより同一患者に対して核医学検査とX線CT検査との双方を連続して行い、それらで得たPET画像などの核医学画像とX線CT画像とを併用して診断を行うようにしている。
【0007】
ところで、核医学診断装置とX線CT装置とを組み合わせた従来の医用画像診断装置において、天板送出方向(天板長さ方向)にPET装置のガントリ(放射線検出部)とX線CT装置のガントリ(X線スキャン部)とが順に並ぶような縦列的な位置関係になるように構成されていて、天板上に被検者を載せる単一のベッド装置がPET装置とX線CT装置とで共用されていた。そして、このような医用画像診断装置は、天板上の被検者が各々のガントリのトンネル部に順次挿入されるように、天板が送出されたり各々のガントリが天板長さ方向に移動したりするように構成されている。
【0008】
この場合、天板がガントリのトンネル部内に挿入される関係上、ベッド装置により片持ち梁状態で支持されることになり、ベッド装置から離れた側に設置されたガントリのトンネル部に被検者を挿入させた場合に、片持ち梁の長さが長くなってしまうため、その撓みが大きくなってしまう。天板の撓み量が大きくなると、被検者の重力方向の位置が大きくずれてしまい、画像の位置精度が劣化してしまう。また、天板が移動するときの患者の精神的負担も大きくなってしまう。
【0009】
そこで、患者の精神的な負担を軽減するとともに天板の撓みを少なくしさらにベッド装置の小型化をも図られた医用画像診断装置が提案されている(特許文献1参照)。この医用画像診断装置は、ベッド装置の患者を載せる天板の長さ方向での送出方向延長上にガントリを位置させ、この一つのガントリ内にトンネル部の軸合わせをしたPET検出部とCTスキャン部とを密接配置し、ガントリを回転機構に配置し、鉛直方向のガントリ中心軸周りに回転可能に保持し、PET検査を行う場合にはPET検出部がベッド装置に近い側に、X線CT検査を行う場合にはCTスキャン部がベッド装置に近い側になるように180°回転させることにより、いずれの場合にも被検者のトンネル部への挿入量が少なくて済むように設計されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−255082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、核医学診断装置とX線CT装置とが一体化された医用画像診断装置を用いて検査を行う際、医療従事者は、患者セッティング後に、天板の位置を間違えてしまうなどの操作ミスや操作をやり直しせざるを得ない状況を防止するために、X線CT検査での撮影であるかPET検査での撮影であるかを常に意識して操作する必要があった。また、PET装置とX線CT装置とが並列に設置されているため、占有空間も大きい上、操作しづらく、並列配置方向でのPET検査の撮影断面での中心とX線CT検査の撮影断面の中心を一致させるために、Z軸方向における調整が必要であった。さらに、天板を各々の検出器の位置へ移動させるための動作や時間により、検査スループットが低下してしまっていた。
【0012】
PET装置及びX線CT装置の各々の検出器は数十cmから1m弱程度の間隔をおいて設置されているため、天板が長大になってしまう傾向があり、取り回し負荷増大とともに患者体重加重により天板が重力方向に撓り、融合画像の画質への悪影響が発生してしまうという問題もあった。
【0013】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、たとえば核医学診断装置及びX線CT装置などの複数種類の装置が一体型で形成された医用画像診断装置であって、各々の装置を用いた検査の際に単一の天板が共用されるとともに、この天板を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれによる画像劣化が防止された医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る医用画像診断装置は、トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、前記核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、前記放射線検出部が有する検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る医用画像診断装置によると、たとえば核医学診断装置及びX線CT装置などの複数種類の装置が一体型で形成され、各々の装置を用いた検査の際に単一の天板が共用されるとともに、この天板を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれによる画像劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の医用画像診断装置を示す構成図。
【図2】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が備えているPET装置を正面から見た様子を示す概略図、(B)は、このPET装置を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図、(C)は、このPET装置の検出器を示す斜視図。
【図3】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が備えているX線CT装置を正面から見た様子を示す概略図、(B)は、このX線CT装置を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図、(C)は、このX線CT装置のX線管及び検出器を示す斜視図。
【図4】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置が被検体を撮影する様子を示す概略図、(B)は、第1実施形態の用画像診断装置におけるPET装置とX線CT装置との配置例を示す概略図。
【図5】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図6】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図7】第1実施形態の医用画像診断装置がX線CT装置を用いて被検体を撮影する様子を示す図。
【図8】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図9】第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前の様子を示す図。
【図10】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させる前のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図11】第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後でPET装置を用いて被検体を撮影する前の様子を示す図。
【図12】(A)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させた後のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第1実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させた後のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図13】第1実施形態の医用画像診断装置においてPET装置を用いて被検体を撮影するときの様子を示す図。
【図14】(A)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図15】(A)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させるときのPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第2実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置を用いた撮影が終了した後にCT検出器を移動させるときのPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図16】(A)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図、(C)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影が終了した後にPET装置による撮影が行われる前のPET検出器やCT検出器を側面から見た配置例を示す概略図。
【図17】(A)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第3実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図18】(A)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるX線CT装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【図19】(A)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を正面から見た配置例を示す概略図、(B)は、第4実施形態の医用画像診断装置におけるPET装置による撮影時のPET検出器やCT検出器を側面((A)に示すA方向)から見た配置例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第1実施形態について図1乃至図13を参照して説明する。図1は、第1実施形態の医用画像装置1を示す構成図である。医用画像診断装置1は、核医学診断装置とX線CT装置を一体型に備えた装置である。核医学診断装置は、PET装置、SPECT装置、ガンマカメラなどであり、ここでは、医用画像診断装置1がPET装置を備えている場合について説明する。
【0018】
図1に示すように、医用画像診断装置1は、主に、患者(被検者H)が載置されるベッド装置11、検出器により検出データが取得されるガントリ21、医療従事者がベッド装置11やガントリ21を操作するためのコンソール51を備えている。
【0019】
ベッド装置11はベッド天板12を備えていて、上部に被検者Hが載置されたベッド天板12を被検者Hの体軸方向(図1に矢印で示す)に移動させることによって被検者Hをガントリ21に対する進退方向に移動させる。このガントリ21は、たとえば円筒状に形成されているとともに、ベッド天板12の長さ方向延長上(ベッド天板12の送出方向)に軸方向が位置するように設置され、内部にはPET検出部(PET装置)31とCTスキャン部(X線CT装置)41とが収納されている。
【0020】
ガントリ21は軸付近にトンネル部22が設けられ、このトンネル部22内にベッド天板12(及び被検者H)が挿入されるように、トンネル部22の長さ方向がベッド天板12の長さ方向(被検体Hの体軸方向)に位置するようにガントリ21が配置されている。
【0021】
PET装置31は、このトンネル部22の周囲を囲むように360°リング型に配置された多数の放射線検出器32を備えている。またX線CT装置41では、X線管42とX線検出器43とがトンネル部22を挟んで対向する位置を保ちながらトンネル部22の周囲を回転することによって、X線で被検者Hの体をスキャンする。すなわち、医用画像診断装置1は、PET装置31及びX線CT装置41が、トンネル部22の中心軸が同一の中心軸となるように配置されていることにより、PET検査及びX線CT検査の双方の検査を連続して行うことができる。
【0022】
ガントリ21は、ガントリ回転機構23によって水平面内で回転するよう、鉛直方向のガントリ中心軸回りに回転可能に保持されている。その回転機構23としては、ターンテーブル式の機構やリング型レールによるものなどが考えられる。この回転機構23により、ガントリ21を回転させることができる。
【0023】
ガントリ21はガントリ回転機構23を備えている。ガントリ回転機構23内にはモータなどの回転駆動装置24が収められ、ガントリ21の側面に設けた回転操作部(操作ボタンとコントローラなど)25によってその回転駆動装置24の制御がなされる。また、ガントリ21から離れた場所に設置されたコンソール(操作卓)51にも回転操作部(操作ボタンとコントローラなど)52が設けられ、コンソール51からも回転駆動装置24の制御が可能である。なお、このコンソール51には、PET装置31及びX線CT装置41の各種設定や入力を行うキーボードなどの操作部や、その入力に応じてPET装置31及びX線CT装置41をそれぞれ制御する制御部や、PET装置31及びX線CT装置41から得たデータを収集して画像再構成演算を行う演算部や、再構成された画像を表示する画像表示部などが備えられている。
【0024】
図2(A)は、医用画像診断装置1が備えているPET装置31を正面から見た様子を示す概略図であり、図2(B)は、このPET装置31を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図であり、図2(C)は、このPET装置31の検出器を示す斜視図である。PET装置31は、図2(A)及び図2(B)に示すように、ガントリ21の外周に複数のPET検出器32を備えている。PET検出器32は、図2(C)に示すように、放射線を受けたときに蛍光するシンチレータと、このシンチレータの光を電子に変換して増幅させる光電子倍増管(PMT)を備えている。医用画像診断装置1は、ガントリ21のトンネル部22の内部に設置された被検体Hから放出された放射線を、これらのPET検出器32で検出する。
【0025】
図3(A)は、医用画像診断装置1が備えているX線CT装置41を正面から見た様子を示す概略図であり、図3(B)は、このX線CT装置41を側面((A)に示すA方向)から見た様子を示す概略図であり、図3(C)は、このX線CT装置41のX線管42及びCT検出器43を示す斜視図である。X線CT装置41は、図3(A)及び図3(B)に示すように、X線を出力するX線管42と、このX線管42から出力されたX線を検出する複数のCT検出器43とを備えている。CT検出器43は、図3(C)に示すように、放射線を受けたときに蛍光するシンチレータと、このシンチレータの光により電子を励起させるフォトダイオードとを備えている。医用画像診断装置1は、X線管42から出力されたX線を、これらのCT検出器43で検出する。なお、X線管42から出力されたX線の一部は、ガントリ21のトンネル部22の内部に設置された被検体Hを通過する際に吸収されて減衰している。
【0026】
図4(A)は、医用画像診断装置1が被検体Hを撮影する様子を示す概略図であり、図4(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31とX線CT装置41との配置例を示す概略図である。図4(A)及び図4(B)に示すように、医用画像診断装置1において、PET装置31とX線CT装置41とは、撮影の際の中心軸がほぼ一致するように設置されていて、PET検出器32とCT検出器43を備えたガントリ21が被検体Hの体軸方向に移動することにより、被検体Hの位置を移動させることなく、PET装置31による撮影、X線CT装置41による撮影を行うことができる。
【0027】
ここで、医用画像診断装置1がPET検出器32とCT検出器43とを備えている場合に、これらの検出器の配置によっては、PET装置31による撮影がCT検出器43により妨げられたり、逆にX線CT装置41による撮影がPET検出器32により妨げられたりする可能性がある。そこで医用画像診断装置1は、PET検出器32とCT検出器43がそれぞれの撮影のときに相互に妨げないように構成されている。
【0028】
図5(A)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図5(B)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。図5(A)に示すように、PET検出器32とCT検出器43とは正面視で同様の位置に設置されるが、図5(B)に示すように、PET検出器32がガントリ21の軸方向に対して垂直に、X線管42及びCT検出器43がPET検出器32の配置方向に対して角度θだけ傾斜するように配置される。これにより、PET検出器32及びCT検出器43が相互に検出を妨げることなく、PET装置31及びX線CT装置41による撮影が行われる。
【0029】
図6(A)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図6(B)は、医用画像診断装置1におけるPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。医用画像診断装置1において、図6(A)及び図6(B)に示すように、CT検出器43を列数の変更や材質加工により小型に形成しても良い。これにより、X線管42及びCT検出器43のガントリ21に対する傾斜を小さくした場合であっても、PET検査の際にCT検出器43により撮影が妨げられることが防止される。
【0030】
また、医用画像診断装置1は、PET装置31を用いて検査するかX線CT装置41を用いて検査するかによってPET検出器32及びCT検出器43の配置を変更できる機能(移動駆動手段)を備えるようにしても良い。これにより、医用画像診断装置1は、被検体Hの体軸方向の位置を移動させることなく、PET検出器32またはCT検出器43を移動させることによって、PET検査、X線CT検査の双方を、場合によっては撮影対象とする断面を一致させつつ撮影することができる。
【0031】
図7は、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて被検体Hを撮影する様子を示す図である。図8(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図8(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0032】
図7に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hの頭から足に向けて撮影する際、図8(A)、図8(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32よりも内周側に位置させることにより、PET検出器32により撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32は使用されないので、被検体HとPET検出器32との間にCT検出器43があっても問題ない。
【0033】
図9は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前の様子を示す図である。図10(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図10(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させる前のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0034】
図9に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図10(A)、図10(B)に示すように、PET検出器32をX線CT装置41による撮影対象面から外れるようにスライドさせてX線CT検出器43が通過できる程度の空きスペースを形成し、この空きスペースを通過するようにしてCT検出器43をPET検出器32よりも外周側に移動させる。
【0035】
図11は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後でPET装置31を用いて被検体Hを撮影する前の様子を示す図である。図12(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させた後のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図12(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させた後のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0036】
図11に示すように、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図12(A)、図12(B)に示すように、スライドさせたPET検出器32を再びスライドさせて元の位置に戻すことにより、CT検出器43のPET検出器32の外周側への設置を完了する。
【0037】
図13は、医用画像診断装置1においてPET装置31を用いて被検体Hを撮影するときの様子を示す図である。図13に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、図12(A)、図12(B)に示すように、CT検出器43がPET検出器32の外周側に設置された状態で、撮影を行う。PET装置31を用いて撮影するときにはCT検出器43は使用されないので、X線管42とCT検出器43との間にPET検出器32があっても問題ない。
【0038】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32とCT検出器43とを同一のガントリに収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32が撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を連続して行うことができる。
【0039】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。さらに、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤って撮影してしまうことが防止される。その上、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0040】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0041】
第1実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、複数の検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0042】
〔第2実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第2実施形態について図14及び図15を参照して説明する。第2実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32とCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
図14(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図14(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0044】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図14(A)及び図14(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32よりも内周側に位置させることにより、PET検出器32により撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32は使用されないので、被検体HとPET検出器32との間にCT検出器43があっても問題ない。
【0045】
図15(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させるときのPET検出器32やCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図15(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41を用いた撮影が終了した後にCT検出器43を移動させるときのPET検出器32やCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0046】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図15(A)、図15(B)に示すように、CT検出器43をガントリ21の回転軸の軸方向に移動させて、相対するPET検出器32間の外側に移動させる。そして、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、CT検出器43がPET検出器32の外側に設置された状態で、撮影を行う。
【0047】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32とCT検出器43とを同一のガントリ12内に収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32が撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0048】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0049】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0050】
第2実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0051】
〔第3実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第3実施形態について図16及び図17を参照して説明する。第3実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32cとCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態または第2実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
図16(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図16(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図であり、図16(C)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影が終了した後にPET装置31による撮影が行われる前のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0053】
第3実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1のPET検出器32に比べて小型のPET検出器32cが使用されており、これらの小型のPET検出器32cが他列されて配列されることにより形成されている。また、これらの複数の小型のPET検出器32cは、ガントリ21の厚さ方向(トンネル部22の軸方向)に2分して移動できる(半数が正方向に、残りの半数が逆方向に移動できる)ようにそれぞれ配置されている。
【0054】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図16(A)及び図16(B)に示すように、CT検出器43をPET検出器32cよりも内周側に位置させることにより、PET検出器32cにより撮影が妨げられることが防止される。X線CT装置41を用いて撮影するときにはPET検出器32cは使用されないので、被検体HとPET検出器32cとの間にCT検出器43があっても問題ない。
【0055】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、図16(C)に示すように、ガントリ21の厚さ方向における中心付近に空きスペースができるように、複数のPET検出器32cをガントリ21の厚さ方向に対して2分されるようにそれぞれ移動させ、この空きスペースを用いて、CT検出器43をPET検出器32cの外周側に移動させる。
【0056】
図17(A)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図17(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0057】
図17(A)及び図17(B)に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、CT検出器43がPET検出器32cの外周側に設置された状態で、撮影を行う。
【0058】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32cとCT検出器43とを同一のガントリ21内に収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32cが撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0059】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0060】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32c及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0061】
第3実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【0062】
〔第4実施形態〕
本発明に係る医用画像診断装置の第4実施形態について図18及び図19を参照して説明する。第4実施形態の医用画像診断装置1は、第1実施形態乃至第3実施形態の医用画像診断装置1と同様に、PET装置31とX線CT装置41とを備えていて、PET検出器32cとCT検出器43とが同一の軸に設置されることにより、PET装置31による撮影とX線CT装置41による撮影を連続して行うことができる。なお、第1実施形態乃至第3実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0063】
図18(A)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図18(B)は、医用画像診断装置1におけるX線CT装置41による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0064】
第4実施形態の医用画像診断装置1は、第3実施形態の医用画像診断装置1と同様に、第1実施形態の医用画像診断装置1や第2実施形態の医用画像診断装置1に比べて小型のPET検出器32cが使用されており、これらの小型のPET検出器32cが他列されて配列されることにより形成されている。また、これらの複数の小型のPET検出器32cは、ガントリ21の厚さ方向(トンネル部22の軸方向)に2分して移動できる(半数が正方向に、残りの半数が逆方向に移動できる)ようにそれぞれ配置されている。
【0065】
医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いて、被検体Hを撮影する際、図18(A)及び図18(B)に示すように、複数のPET検出器32cをガントリ21の厚さ方向の両方向にそれぞれ移動させて空きスペースを作った状態で、CT検出器43が、X線管42から出力されてこの空きスペースを通過してきた放射線を検出するように配置することにより、PET検出器32cにより撮影が妨げられることが防止される。
【0066】
そして、医用画像診断装置1がX線CT装置41を用いた撮影を終了した後でPET装置31を用いた撮影を行う前に、ガントリ21の回転を停止させた状態で、ガントリ21のトンネル22内に設置された被検体Hから出力された放射線をPET検出器32cが検出できるように、複数のPET検出器32cをガントリ21の元の位置(中心付近)にそれぞれ移動させる。
【0067】
図19(A)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を正面から見た配置例を示す概略図であり、図19(B)は、医用画像診断装置1におけるPET装置31による撮影時のPET検出器32cやCT検出器43を側面から見た配置例を示す概略図である。
【0068】
図19(A)及び図19(B)に示すように、医用画像診断装置1がPET装置31を用いた撮影を行うときに、複数がPET検出器32がガントリ21の中心付近に移動されて、CT検出器43がPET検出器32cの外周側に設置された状態で、撮影を行う。
【0069】
このように、医用画像診断装置1は、PET装置31またはX線CT装置41を用いた検査を行う際に、単一のベッド天板12が共用されるとともに、PET検出器32cとCT検出器43とを同一のガントリに収納し、PET検査を行う場合にはCT検出器43が撮影の妨げられないように、X線CT検査を行う場合にはPET検出器32cが撮影の妨げにならないようにそれぞれ構成されることにより、ベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行うことができる。
【0070】
これにより、ベッド天板12の移動による患者の精神的負担を軽減することができる。また、ベッド天板12の撓みによる画像劣化を防止することができる。また、医療従事者がPET検査の際のベッド天板12の位置、X線CT検査の際のベッド天板12の位置を誤った状態で撮影してしまうことが防止される。また、医療従事者は、撮影の際にベッド天板12の挿入方向や検査開始位置に気を取られることがなく、被検体Hの検査部位に集中することができる。
【0071】
また、医用画像診断装置1は、PET検出器32c及びX線CT検出器43が同一のガントリ21内に収納されたことにより、占有体積を小さくして小型化を実現できる。さらに、医用画像診断装置1の構造によってはPET検査及びX線CT検査における撮影断面の中心を一致させるための調整が不要となる。
【0072】
第4実施形態によると、たとえば核医学診断装置(PET装置31)及びX線CT装置41などの複数種類の装置が一体型で形成され、可動型検出器(PET検出器32、X線CT検出器43)を備え、各々の装置を用いた検査の際に単一のベッド天板12が共用されるとともに、このベッド天板12を移動させることなく双方の検査を行えるように構成されたことにより、各々の検査間の位置ずれ(特にベッド天板12の撓みによる位置ずれ)による画像劣化を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1…医用画像診断装置,11…ベッド装置,12…ベッド天板,21…ガントリ,22…トンネル部,23…ガントリ回転機構,24…回転駆動装置,25…回転操作部,31…PET検出部(PET装置),32、32c…PET検出器、32a、43a…シンチレータ,32b…光電子倍増管,41…CTスキャン部(X線CT装置),42…X線管,43…CT検出器,51…コンソール,52…回転操作部,H…被検体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、
前記核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、前記放射線検出部が有する検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記放射線検出部が有する放射線検出器の内周側に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記放射線検出部が有する放射線検出器の外周側に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って移動させて移動用領域を形成することにより、前記X線スキャン部が有するX線検出器を移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記放射線検出部が有する放射線検出器は、複数の検出器が他列されることにより形成され、
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する前記複数の検出器に対して、一部を前記トンネル部の軸方向の正方向に、他部を前記トンネル部の軸方向の逆方向に移動させて移動用領域を形成することにより、前記X線スキャン部が有するX線検出器を移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記放射線検出部による検出経路上に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記放射線検出部による検出経路の外部に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記X線スキャン部による検出経路の外部に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記X線スキャン部による検出経路の上に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記放射線検出部が有する放射線検出器は、複数の検出器が他列されることにより形成され、
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する前記複数の検出器に対して、一部を前記トンネル部の軸方向の正方向に、他部を前記トンネル部の軸方向の逆方向に移動させることにより、前記X線スキャン部による検出経路の外部に移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、前記放射線検出部が有する放射線検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とが、相互に検出経路に位置しないように配置されたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項1】
トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、
前記核医学診断装置による診断の際、または前記X線CT装置による診断の際に、前記放射線検出部が有する検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とを、相互に検出経路に位置しない位置に移動させる移動駆動手段を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記放射線検出部が有する放射線検出器の内周側に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記放射線検出部が有する放射線検出器の外周側に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って移動させて移動用領域を形成することにより、前記X線スキャン部が有するX線検出器を移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記放射線検出部が有する放射線検出器は、複数の検出器が他列されることにより形成され、
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する前記複数の検出器に対して、一部を前記トンネル部の軸方向の正方向に、他部を前記トンネル部の軸方向の逆方向に移動させて移動用領域を形成することにより、前記X線スキャン部が有するX線検出器を移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記放射線検出部による検出経路上に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記X線スキャン部が有するX線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記放射線検出部による検出経路の外部に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、
前記移動駆動手段は、前記X線CT装置による診断を行う場合、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記X線スキャン部による検出経路の外部に移動させ、前記核医学診断装置による診断を行う場合、前記放射線検出部が有する放射線検出器を前記トンネル部の軸方向に沿って前記X線スキャン部による検出経路の上に移動させることを特徴とする請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記放射線検出部が有する放射線検出器は、複数の検出器が他列されることにより形成され、
前記移動駆動手段は、前記放射線検出部が有する前記複数の検出器に対して、一部を前記トンネル部の軸方向の正方向に、他部を前記トンネル部の軸方向の逆方向に移動させることにより、前記X線スキャン部による検出経路の外部に移動させることを特徴とする請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
トンネル部内に挿入された被検体から放出された放射線を検出する放射線検出部を有する核医学診断装置と、前記トンネル部内に挿入された被検体をX線でスキャンするX線スキャン部を有するX線CT装置と、被検体を載せた天板を前記トンネル部内に挿入するベッド装置とを備えた医用画像診断装置であって、
前記放射線検出部による検出対象面、及び、前記X線スキャン部によるスキャン対象面が相互に傾斜し、前記放射線検出部が有する放射線検出器と、前記X線スキャン部が有するX線管及びX線検出器とが、相互に検出経路に位置しないように配置されたことを特徴とする医用画像診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−259498(P2010−259498A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110910(P2009−110910)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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