説明

医用画像診断装置

【課題】SPECT−CT装置の小型化を実現すること。
【解決手段】X線管2bとX線検出器2cとを支持する回転フレーム2aを回転させるための回転駆動部21を、ガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体1aを回転させる機能として共有させる。X線CT画像撮影時には、回転駆動力伝送ユニットである結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aから切り離された状態にて、回転駆動部21が高速回転することで、回転フレーム2aが回転する。一方、SPECT画像撮影時には、結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aと結合された状態にて、回転駆動部21が低速回転することで、回転フレーム2aとともにガンマ線検出器支持体1aが回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、SPECT装置およびX線CT装置が一体化された医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、代謝機能画像を再構成するSPECT(Single Photon Emission computed Tomography)装置と形態画像を再構成するX線CT(Computed Tomography)装置とを一体化した装置(以下、SPECT−CT装置と記載する)が製品化されている。
【0003】
ここで、SPECT装置は、被検体の生体組織に選択的に取り込まれた放射性医薬品から放射されるガンマ線を、当該被検体の周囲を回転するガンマ線検出器により多方向にて検出し、検出したガンマ線の線量分布から投影データを生成する。そして、SPECT装置は、生成した投影データを、例えば、逆投影処理することで、被検体に投与した放射性医薬品の体内分布が描出された代謝機能画像(SPECT画像)を再構成する。なお、SPECT装置では、ガンマ線検出器が、被検体に対して接近および離間可能に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、X線CT装置は、X線管とX線検出器とを被検体の体軸を中心に回転させながら、X線管から被検体に対してX線を照射する。そして、X線CT装置は、被検体を透過したX線をX線検出器により多方向にて検出し、検出したX線の線量分布から投影データを生成する。そして、X線CT装置は、生成した投影データを、例えば、逆投影処理することで、X線照射部位における被検体の組織形態が描出された形態画像(X線CT画像)を再構成する。
【0005】
なお、SPECT装置では、架台装置においてガンマ線検出器の回転および投影データの生成が行なわれ、コンソール装置においてSPECT画像の再構成が行なわれる。また、X線CT装置では、架台装置においてX線管とX線検出器との回転および投影データの生成が行なわれ、コンソール装置においてX線CT画像の再構成処置が行なわれる。
【0006】
かかるX線CT装置とSPECT装置とを一体化させたSPECT−CT装置では、SPECT検査およびX線CT検査を同時に実施するために、SPECT装置用の架台装置とX線CT装置用の架台装置とが、被検体を載せる寝台に対して前後に並べられて構成される。図9は、従来のSPECT−CT装置の構成例を説明するための図である。
【0007】
例えば、SPECT−CT装置は、図9に示すように、寝台に対して、SPECT装置用架台装置が前に配置され、X線CT装置用架台装置が後ろに配置された構成となっている。なお、SPECT−CT装置は、寝台に対して、X線CT装置用架台装置が前に配置され、SPECT装置用架台装置が後ろに配置された構成である場合であってもよい。しかし、ガンマ線検出器のサイズは大きく、また、上述したように、ガンマ線検出器は被検体に対して近づく動作を行なうため、安全上の観点から、SPECT装置用架台装置は、図9に示すように設置されることが望ましい。なお、SPECT−CT装置では、SPECT装置用およびX線CT装置用のコンソール装置がそれぞれ設けられる構成である場合であってもよいし、SPECT装置用およびX線CT装置用のコンソール装置が一体化された構成である場合であってもよい。
【0008】
このようなSPECT−CT装置を用いることで、被検体は、一度の検査で2種類の検査を受けることができ、検査にかかる負担が軽減される。また、医師は、SPECT−CT装置により被検体の同一部位における代謝機能画像と形態画像とを同時に参照することができるため、精度の高い画像診断を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−211833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記したSPECT−CT装置では、2つの架台装置が必要となるため、必然的に装置サイズが大きくなってしまうという課題があった。
【0011】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、装置の小型化を実現することが可能となる医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、X線を照射するX線管および当該X線管に対向する位置にて被検体を透過したX線を検出するX線検出器を回転させてX線検出データを収集する第一架台部と、前記被検体に投与した放射性同位体から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出器を回転させてガンマ線検出データを収集する第二架台部と、前記第一架台部にて収集された前記X線検出データから生成した投影データを用いてX線CT画像を再構成し、前記第二架台部にて収集された前記放射線検出データから生成された投影データを用いて核医学画像を再構成する画像再構成部と、前記第一架台部と前記第二架台部との間で共有可能な一つまたは複数の機能を統合させる共有機能統合部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、装置の小型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施例1に係るSPECT−CT装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係るSPECT−CT装置の回転駆動力伝送ユニットを説明するための図である。
【図3】図3は、回転駆動力伝送ユニットの変形例を説明するための図である。
【図4】図4は、実施例2に係るSPECT−CT装置のデータ伝送ユニットを説明するための図(1)である。
【図5】図5は、実施例2に係るSPECT−CT装置のデータ伝送ユニットを説明するための図(2)である。
【図6】図6は、スリップリングを説明するための図である。
【図7】図7は、実施例3に係るSPECT−CT装置の電力供給ユニットを説明するための図(1)である。
【図8】図8は、実施例3に係るSPECT−CT装置の電力供給ユニットを説明するための図(2)である。
【図9】図9は、従来のSPECT−CT装置の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医用画像診断装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、代謝機能画像を再構成するSPECT(Single Photon Emission computed Tomography)装置と形態画像を再構成するX線CT(Computed Tomography)装置を一体化させた医用画像診断装置であるSPECT−CT装置に、本発明を適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0016】
まず、実施例1に係るSPECT−CT装置の構成について、図1を用いて説明する。なお、図1は、実施例1に係るSPECT−CT装置の構成を説明するための図である。
【0017】
図1に示すように、実施例1に係るSPECT−CT装置は、SPECT用架台装置1と、X線CT用架台装置2と、寝台3と、コンソール装置4とを有する。
【0018】
SPECT用架台装置1は、被検体に投与した放射性同位体から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出器を回転させてガンマ線検出データを収集する装置である。例えば、図1に示すように、SPECT用架台装置1は、ガンマ線検出器1bおよびガンマ線検出器1cからなる2台のガンマ線検出器を有する。なお、SPECT用架台装置1が1台または3台以上のガンマ線検出器を有する場合であっても、本発明は適用可能である。
【0019】
ガンマ線検出器1bおよびガンマ線検出器1cは、被検体の生体組織に選択的に取り込まれた放射性同位体から放射されるガンマ線の強度分布を2次元的に検出し、検出した2次元ガンマ線強度分布データを、例えば、増幅処理、A/D変換処理することでガンマ線の投影データを生成する。また、ガンマ線検出器1bおよびガンマ線検出器1cは、SPECT用架台装置1の撮影口内に沿って回転駆動することで、被検体の周囲を回転して、多方向におけるガンマ線の投影データを生成する。なお、ガンマ線検出器1bおよびガンマ線検出器1cは、SPECT用架台装置1内に設置された支持体(ガンマ線検出器支持体)により支持されている。また、SPECT用架台装置1は、ガンマ線検出器1b、ガンマ線検出器1cおよびガンマ線検出器支持体などの回転駆動される回転部と、固定されている固定部との二箇所に分けられる。
【0020】
X線CT用架台装置2は、X線を照射するX線管および当該X線管に対向する位置にて被検体を透過したX線を検出するX線検出器を回転させてX線検出データを収集する装置である。X線管は、X線ビームを発生し、発生したX線ビームを被検体に照射する。また、X線検出器は、X線管から照射され被検体を透過したX線の2次元強度分布を示す2次元X線強度分布データを検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)である。なお、X線管およびX線検出器は、X線CT用架台装置2の内部にて回転フレームにより支持されている。
【0021】
ここで、X線検出器により検出された2次元X線強度分布データは、X線CT用架台装置2に配置されているDAS(Data Acquisition System)により、増幅処理やA/D変換処理などが行なわれることでX線の投影データとして生成される。また、X線管およびX線検出器は、回転フレームの回転にともなって、X線CT用架台装置2の撮影口内に沿って回転駆動することで、被検体の周囲を回転して、多方向におけるX線の投影データを生成する。
【0022】
なお、DASは、X線CT用架台装置2において、回転駆動される回転フレームなどの回転部と、回転せずに固定されている固定部との二箇所に設置されており、回転部DASにより生成されたX線の投影データは、固定部DASに伝送される。
【0023】
寝台3は、被検体を載せるベッドであり、コンソール装置4を介して受付けたSPECT−CT装置の操作者からの指示に基づいて、SPECT用架台装置1およびX線CT用架台装置2それぞれの撮影口に順次移動される。これにより、被検体の撮像部位におけるガンマ線の投影データおよびX線の投影データそれぞれがSPECT用架台装置1およびX線CT用架台装置2それぞれにて収集される。
【0024】
コンソール装置4は、操作者からの指示を受け付けてSPECT−CT装置における撮影処理を制御する装置である。具体的には、コンソール装置4は、SPECT用架台装置1にて収集されたガンマ線の投影データを、例えば、逆投影処理することによりSPECT画像を再構成し、X線CT用架台装置2にて収集されたX線の投影データを、例えば、逆投影処理することによりX線CT画像を再構成する。そして、コンソール装置4は、再構成したSPECT画像およびX線CT画像をモニタに表示する。なお、コンソール装置4は、ガンマ線の投影データおよびX線の投影データそれぞれに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正などの補正処理を行なったのちにX線CT画像を再構成する。
【0025】
なお、以下では、SPECT用架台装置1にて回転する部分を「SPECT回転部」、SPECT用架台装置1にて回転せずに固定されている部分を「SPECT固定部」、X線CT用架台装置2にて回転する部分を「X線CT回転部」、X線CT用架台装置2にて回転せずに固定されている部分を「X線CT固定部」として記載する場合がある。
【0026】
このように、実施例1のSPECT−CT装置は、SPECT画像およびX線CT画像を一度に撮影することが可能な装置であるが、さらに、SPECT用架台装置1とX線CT用架台装置2との間で共有可能な一つまたは複数の機能を統合させることで、装置の小型化を実現可能なように構成されている。
【0027】
具体的には、実施例1におけるSPECT−CT装置は、X線CT用架台装置2にてX線管およびX線検出器を支持する回転フレームを回転させる回転駆動力を、SPECT用架台装置1にてガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体を回転させるための回転駆動力として伝送するための回転駆動力伝送ユニットを有する。
【0028】
ここで、従来のSPECT−CT装置では、回転フレームを回転させる回転駆動部と、ガンマ線検出器支持体を回転させる回転駆動部とがそれぞれ設置されていた。X線CT画像撮影時における回転フレームの回転速度は、例えば、1回転に0.3秒以下と高速化されている。このため、回転フレームの回転には、大きな起動力を有するモータが必要となっており、近年、X線CT用架台装置2には、一般的なサーボモータやモータベルトよりも、DD(Direct Drive)モータを採用する装置が多い。
【0029】
一方、SPECT画像撮影時におけるガンマ線検出器支持体の回転速度は、例えば、1回転に数十秒と、非常に遅いため、大きな起動力を必要としない。したがって、能力的には、X線CT用架台装置2にて回転フレームを回転させるための回転駆動部をSPECT用架台装置1にてガンマ線検出器支持体を回転させるための回転駆動力に使用することができる。
【0030】
ただし、SPECT画像撮影時において、ガンマ線検出器支持体は、X線CT画像撮影時のように高速で回転する必要がなく、また、ガンマ線検出器1bおよび1cが被検体に近づく動作をするため、安全上、高速で回転してはならない。そのため、本実施例1に係るSPECT−CT装置によるX線CT画像撮影時には、X線CT回転部とSPECT回転部を切り離す必要がある。
【0031】
図2は、実施例1に係るSPECT−CT装置の回転駆動力伝送ユニットを説明するための図である。図2の(A)に示すように、実施例1に係るSPECT−CT装置においては、X線CT用架台装置2内に、X線管2bとX線検出器2cとを支持する回転フレーム2aを回転させるための回転駆動部21として、例えば、DDモータが設置されている。一方、実施例1に係るSPECT−CT装置においては、SPECT用架台装置1内には、ガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体1aを回転させるための回転駆動部は設置されていない。
【0032】
その代わり、実施例1に係るSPECT−CT装置においては、図2の(A)に示すように、回転フレーム2aにX線CT回転部とSPECT回転部とを結合する結合ユニット22が回転駆動力伝送ユニットとして追加されている。
【0033】
すなわち、実施例1に係るSPECT−CT装置によるX線CT画像撮影時には、図2の(A)に示すように、結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aから切り離された状態にて、回転駆動部21が高速回転することで、回転フレーム2aが回転する。
【0034】
一方、実施例1に係るSPECT−CT装置によるSPECT画像撮影時には、図2の(B)に示すように、結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aと結合された状態にて、回転駆動部21が低速回転することで、回転フレーム2aとともにガンマ線検出器支持体1aが回転する。
【0035】
なお、結合ユニット22によるX線CT回転部とSPECT回転部との結合様式は、磁石などの磁力を用いた結合様式である場合であってもよいし、歯車、クラッチなどを用いた結合様式である場合であってもよい。また、回転駆動部21は、DDモータの他に、サーボモータやモータベルトである場合であってもよい。
【0036】
上述したように、実施例1では、X線管2bとX線検出器2cとを支持する回転フレーム2aを回転させるための回転駆動部21を、ガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体1aを回転させる機能として共有させる。すなわち、X線CT画像撮影時には、回転駆動力伝送ユニットである結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aから切り離された状態にて、回転駆動部21が高速回転することで、回転フレーム2aが回転する。一方、SPECT画像撮影時には、結合ユニット22がガンマ線検出器支持体1aと結合された状態にて、回転駆動部21が低速回転することで、回転フレーム2aとともにガンマ線検出器支持体1aが回転する。
【0037】
したがって、実施例1に係るSPECT−CT装置では、ガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体1aを回転させるための回転駆動部を削除することができ、装置の小型化を実現することが可能となる。また、実施例1に係るSPECT−CT装置では、装置構成に必要となる部品を削減することができるので、装置製造に要するコストを低減することが可能となる。
【0038】
なお、回転駆動力伝送ユニットは、上述した結合ユニット22を用いた方法以外の他にも、図3に示す方法により実現される場合であってもよい。図3は、回転駆動力伝送ユニットの変形例を説明するための図である。
【0039】
回転駆動力伝送ユニットの変形例においては、図3の(A)に示すように、サーボモータやモータベルトなどの回転駆動部21にベルト24aが伸縮自在の回転軸23を介して設置される。そして、回転フレーム2aのSPECT用架台装置1側の側面には、ベルト24bが、また、ガンマ線検出器支持体1aのX線CT用架台装置2側の側面には、ベルト11が設置される。
【0040】
そして、X線CT画像撮影時には、図3の(A)に示すように、ベルト24aがベルト24bと接触するように回転軸23の伸縮度合いを調整することで、回転駆動部21の回転駆動力が回転フレーム2aに供給される。
【0041】
一方、SPECT画像撮影時には、図3の(B)に示すように、ベルト24aがベルト11と接触するように回転軸23の伸縮度合いを調整することで、回転駆動部21の回転駆動力がガンマ線検出器支持体1aに供給される。すなわち、本変形例においては、ベルト24aと接続されるベルトをベルト11またはベルト24bのいずれかに切り替えることで、SPECT回転部またはX線CT回転部のいずれかのみを回転させる。
【0042】
したがって、本変形例においても、ガンマ線検出器(1bおよび1c)を支持するガンマ線検出器支持体1aを回転させるための回転駆動部を不要とすることができ、装置の小型化を実現し、装置製造に要するコストを低減することが可能となる。
【0043】
なお、本変形例では、ベルト(24a、24bおよび11)により回転駆動部21の回転駆動力を伝送する対象を切り替える場合について説明したが、歯車などにより回転駆動部21の回転駆動力を伝送する対象を切り替える場合であってもよい。
【実施例2】
【0044】
実施例1では、SPECT回転部およびX線CT回転部それぞれを回転させるための機能をSPECT用架台装置1とX線CT用架台装置2との間で共有可能な機能とする場合について説明した。実施例2では、ガンマ線の投影データおよびX線の投影データそれぞれを伝送するための機能をSPECT用架台装置1とX線CT用架台装置2との間で共有可能な機能とする場合について、図4および5を用いて説明する。なお、図4および図5は、実施例2に係るSPECT−CT装置のデータ伝送ユニットを説明するための図である。
【0045】
従来のSPECT−CT装置では、SPECT回転部にて収集されたガンマ線の投影データは、SPECT固定部に伝送され、X線CT回転部(回転部DAS)にて収集されたX線の投影データは、X線CT固定部(固定部DAS)に伝送され、最終的にコンソール装置4に伝送される。そこで、実施例2に係るSPECT−CT装置では、SPECT回転部にて収集されたガンマ線の投影データを、X線CT回転部を介してX線CT固定部(固定部DAS)に伝送させることで、SPECT固定部の構成部品を削減させる。
【0046】
ここで、X線CT用架台装置2では、X線CT回転部が連続して高速回転することから、回転部DASと固定部DASとの間で、非接触かつ全周(全ての回転角度)において通信可能なデータ伝送ユニットが必須となっている。かかるデータ伝送ユニットとしては、例えば、LEDやレーザーを用いた光通信ユニットや、電荷結合方式を用いた通信ユニットなどが用いられている。
【0047】
一方、SPECT用架台装置1においても、SPECT回転部とSPECT固定部との間でデータ伝送が必要となるが、連続回転が必須ではないためSPECT回転部とSPECT固定部とは、ケーブルなどで接続されている。しかし、ケーブルの配線のために、「ケーブルが絡まないようにするためのガイド機構」や「ケーブルを保護するための保護機構」の設置、さらには「屈曲に強いケーブルの使用」などといったことが必要となる。
【0048】
そこで、実施例2では、X線CT用架台装置2のデータ伝送ユニットをSPECT回転部からのデータ伝送に利用することで、SPECT回転部とSPECT固定部との間におけるケーブルを削除する。
【0049】
例えば、SPECT回転部のガンマ線検出器1bおよび1cや制御基板の信号を、X線CT回転部を介してコンソール装置4に伝送するために、SPECT回転部とX線CT回転部間のデータ伝送を行なうための通信ユニットそれぞれを設ける。ここで、コスト的およびスペース的に許容されるのであれば、X線CT用架台装置2にて用いられているリング状の非接触データ伝送ユニットをSPECT回転部とX線CT回転部とにそれぞれ設けても良い。
【0050】
しかし、実施例2では、さらに簡単な構成にするために、SPECT回転部とX線CT回転部間のデータ伝送ユニットを全周で通信可能なリング状ではなく、通信できる回転角度範囲を制限するような通信ユニットにすることで、安価かつ小さいものにする。
【0051】
すなわち、実施例2では、図4に示すように、小型の非接触型のデータ伝送ユニットを、SPECT回転部にSPECT用通信ユニット12として設置する。さらに、実施例2では、図4に示すように、SPECT用通信ユニット12と同様な小型の非接触型のデータ伝送ユニットを、X線CT回転部にX線CT用通信ユニット25として設置する。そして、実施例2では、SPECT回転部とX線CT回転部との基準位置において、SPECT用通信ユニット12とX線CT用通信ユニット25とを略対向する位置に設置する。ただし、図4を用いて説明した構成とする場合は、SPECT画像撮影時において、SPECT用通信ユニット12とX線CT用通信ユニット25とが略対向する位置にある状態を維持する必要がある。したがって、実施例1にて図2を用いて説明した結合ユニット22が設置されたSPECT−CT装置に、図4を用いて説明した構成を追加することとなる。
【0052】
これにより、SPECT画像撮影時には、例えば、両通信ユニットが±10度の角度範囲にあるように維持された状態となるので、SPECT用通信ユニット12からX線CT用通信ユニット25にガンマ線の投影データなどが伝送される。
【0053】
そして、SPECT用通信ユニット12からX線CT用通信ユニット25に伝送されたデータは、図4に示すように、X線CT回転部(回転フレーム2a)に設置されているリング状の非接触型伝送ユニットであるアンテナ27から、固定部DASであるレシーバ28に伝送される。
【0054】
図4を用いて説明したデータ伝送の流れを、図5を用いて詳細に説明する。すなわち、図5の(A)に示すように、ガンマ線検出器1bおよび1cにて収集されたガンマ線の投影データは、ガンマ線検出器支持体1aに設置されたSPECT用通信ユニット12に伝送され、次いで、SPECT用通信ユニット12から回転フレーム2aに設置されたX線CT用通信ユニット25に伝送される。そして、データは、図5の(A)に示すように、X線CT用通信ユニット25から回転部DAS26、アンテナ27を介して、レシーバ28に伝送される。一方、X線CT画像撮影時には、X線検出器2cからのデータが回転部DAS26に伝送されて投影データとして生成されたのち、アンテナ27を介して、レシーバ28に伝送される。
【0055】
そして、レシーバ28は、ガンマ線の投影データであるかX線の投影データであるかを識別するための情報を付与したうえでコンソール装置4に投影データを伝送する。ここで、回転フレーム2a内のX線CT用通信ユニット25、回転部DAS26およびアンテナ27と、X線CT固定部内のレシーバ28とは、例えば、図5の(B)に示すように、X線CT用架台装置2にて配置される。すなわち、図5の(B)に示すように、回転フレーム2a内に、X線CT用通信ユニット25および回転部DAS26が配置され、さらに、回転フレーム2aの内径に沿ってリング状のアンテナ27が配置される。そして、図5の(B)に示すように、回転フレーム2aの空洞部分にレシーバ28が配置される。
【0056】
なお、データ伝送ユニットの共有は、SPECT用通信ユニット12とX線CT用通信ユニット25とを全周囲で伝送可能な非接触型のリング状のデータ伝送ユニットにて構成するならば、回転駆動部21を両架台装置間で共有しない場合でも適用可能である。また、データ伝送ユニットの共有は、SPECT用通信ユニット12とX線CT用通信ユニット25とを全周囲で伝送可能な非接触型のリング状のデータ伝送ユニットにて構成するならば、図3を用いて説明した方法により回転駆動部21を両架台装置間で共有するSPECT−CT装置に適用可能である。
【0057】
上述したように、実施例2では、SPECT回転部に非接触型のデータ伝送ユニットであるSPECT用通信ユニット12を設置する。さらに、X線CT回転部に非接触型のデータ伝送ユニットであるX線CT用通信ユニット25を設置する。これにより、実施例2では、SPECT用通信ユニット12からX線CT用通信ユニット25を介してX線CT用架台装置2にガンマ線の投影データなどが伝送される。
【0058】
したがって、実施例2では、SPECT回転部とSPECT固定部との間におけるケーブルを削除することができ、装置の小型化を実現し、装置製造に要するコストを低減することが可能となる。
【0059】
また、実施例2では、結合ユニット22により回転駆動部21を各架台装置間で共有させた場合に、小型の非接触型のデータ伝送ユニットをSPECT用通信ユニット12およびX線CT用通信ユニット25とし、SPECT回転部とX線CT回転部との基準位置において、SPECT用通信ユニット12とX線CT用通信ユニット25とを略対向する位置に設置する。これにより、SPECT画像撮影時には、両通信ユニットが常に通信可能な位置となるので、SPECT用通信ユニット12からX線CT用通信ユニット25にガンマ線の投影データなどが伝送される。
【0060】
したがって、実施例2によれば、SPECT回転部用の回転駆動部とともにSPECT回転部とSPECT固定部との間におけるケーブルを削除することができるので、装置のさらなる小型化を実現し、装置製造に要するコストをさらに低減することが可能となる。
【0061】
なお、本実施例2は、小型の非接触型の通信ユニットが各回転部に複数設置される場合であってもよい。例えば、基準位置を0度とした場合、各回転部の0度、90度、180度、270度の位置に小型の非接触型の通信ユニットを設置することで、ガンマ線の投影データを分散してX線CT用架台装置2に伝送する場合であってもよい。
【実施例3】
【0062】
実施例3では、SPECT回転部およびX線CT回転部それぞれに供給される電力を伝送するための機能をSPECT用架台装置1とX線CT用架台装置2との間で共有する場合について、図6〜8を用いて説明する。なお、図6は、スリップリングを説明するための図であり、図7および8は、実施例3に係るSPECT−CT装置の電力供給ユニットを説明するための図である。
【0063】
従来のSPECT−CT装置では、電力がSPECT回転部およびX線CT回転部それぞれに供給されている。ここで、X線CT用架台装置2では、X線CT回転部が連続して高速回転することから、X線CT回転部に電力を供給するために、スリップリングと呼ばれる電力供給ユニットが必要となる。具体的には、図6に示すように、まず、X線CT用架台装置2のX線CT固定部に設置されるブラシである固定部ブラシ29に対して外部から電力が供給される。ここで、固定部ブラシ292と接触し、回転フレーム2aとともに回転するリング状のスリップリング210に固定部ブラシ29が接触しているため、固定部ブラシ29に供給された電力は、スリップリング210に伝送される。なお、固定部ブラシ29は、ケーブルにより外部電源と接続されており、スリップリング210は、別のケーブルにより回転フレーム2a内のX線管2bやX線検出器2cなどに接続されている。なお、図6に示すスリップリング210の形状は、複数のリングが円筒型に積み重ねられたドラムタイプ(円筒型)である。
【0064】
一方、SPECT回転部への電力供給は、スリップリングもしくはケーブルによる接続で実現されている。
【0065】
そこで、実施例3では、スリップリング210によりX線CT回転部に対して伝送された電力を、SPECT回転部に対しても供給するための電力供給ユニットが設置される。例えば、図7の(A)に示すように、X線CT回転部内(回転フレーム2a内)にて、スリップリング210と接触可能な位置に第二ブラシ211をさらに設置する。第二ブラシ211は、SPECT回転部のガンマ線検出器支持体1aやガンマ線検出器(1bおよび1c)にケーブルにより接続されている。すなわち、実施例3では、第二ブラシ211を追加することで、X線CT回転部への電力供給源であるスリップリング210をSPECT回転部への電力供給源としても機能させることができる。したがって、実施例3では、第二ブラシ211を追加することで、SPECT独自の電力供給ユニットを削除可能となる。
【0066】
ただし、図7の(A)に示す構成例では、スリップリング210の外側面と内側面それぞれがブラシ(固定部ブラシ29および第二ブラシ211)の接点となるため、スリップリング210から回転フレーム2aへの配線ケーブルを引き出す際には、以下の制約条件が発生する。
【0067】
すなわち、スリップリング210から回転フレーム2aへの配線ケーブルは、スリップリング210が有する各リングが重ねられている方向と同一の方向に引き出されることが必要となる。
【0068】
例えば、スリップリング210の形状が、図7の(B)に示すように、ドラムタイプであるならば、各リングに穴を開け、かかる穴に配線ケーブルを通すことで、各リングが重ねられている方向と同一の方向に配線ケーブルを引き出す。なお、配線ケーブルにてリングを通過する部分は、絶縁体により保護されている。
【0069】
また、スリップリング210の形状が、図8に示すように、各リングが同心円状に重ねられているプラッタータイプ(円盤型)であるならば、スリップリング210を挟み込むようにブラシ(固定部ブラシ29および第二ブラシ211)が配置される。このため、スリップリング210の形状が、プラッタータイプである場合、配線ケーブルは、図9に示すように、固定部ブラシ29および第二ブラシ211と接触しないように、例えば、各リングにより形成される同心円の中心方向に向かって引き出される。
【0070】
上述したように、実施例3では、スリップリング210によりX線CT回転部に対して伝送された電力を、SPECT回転部に対しても供給するための電力供給ユニットとして、X線CT回転部内(回転フレーム2a内)にて、スリップリング210と接触可能な位置に第二ブラシ211を設置する。これにより、実施例3では、X線CT回転部への電力供給源であるスリップリング210をSPECT回転部への電力供給源としても機能させることができる。したがって、実施例3では、第二ブラシ211を追加することで、SPECT独自の電力供給ユニットを削除可能となり、装置の小型化を実現し、装置製造に要するコストを低減することが可能となる。
【0071】
また、実施例3では、スリップリング210から回転フレーム2aへの配線ケーブルを、スリップリング210が有する各リングが重ねられている方向と同一の方向に引き出す。これにより、スリップリング210の外側面と内側面それぞれが固定部ブラシ29および第二ブラシ211の接点となる構成においても、X線CT回転部に電力を供給することが可能となる。
【0072】
なお、本発明に係るSPECT−CT装置は、実施例1〜3で説明した共有可能な各機能のうち、一つのみ統合させた構成にて製造される場合であっても、実施例1〜3で説明した共有可能な各機能から選択したすべて、または任意の機能を統合させた構成にて製造される場合であってもよい。
【0073】
また、図示したSPECT−CT装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る医用画像診断装置は、SPECT−CT装置に適用される場合に有用であり、特に、装置の小型化を実現することに適する。
【符号の説明】
【0075】
1 SPECT用架台装置
1a ガンマ線検出器支持体
1b ガンマ線検出器
1c ガンマ線検出器
2 X線CT用架台装置
2a 回転フレーム
2b X線管
2c X線検出器
21 回転駆動部
22 結合ユニット
3 寝台
4 コンソール装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を照射するX線管および当該X線管に対向する位置にて被検体を透過したX線を検出するX線検出器を回転させてX線検出データを収集する第一架台部と、
前記被検体に投与した放射性同位体から放出されるガンマ線を検出するガンマ線検出器を回転させてガンマ線検出データを収集する第二架台部と、
前記第一架台部にて収集された前記X線検出データから生成した投影データを用いてX線CT画像を再構成し、前記第二架台部にて収集された前記放射線検出データから生成された投影データを用いて核医学画像を再構成する画像再構成部と、
前記第一架台部と前記第二架台部との間で共有可能な一つまたは複数の機能を統合させる共有機能統合部と、
を備えたことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項2】
前記共有機能統合部は、前記第一架台部にて前記X線管および前記X線検出器を回転させるための回転駆動力を、前記第二架台部にて前記ガンマ線検出器を回転させるための回転駆動力として伝送するための回転駆動力伝送ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記共有機能統合部は、前記ガンマ線検出器にて検出された前記ガンマ線検出データを前記第一架台部に伝送するための非接触型のデータ伝送ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記共有機能統合部は、前記第一架台部に対して伝送された電力を、前記第二架台部に対して供給するための電力供給ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
第一のブラシを介して前記第一架台部に対して電力を伝送するスリップリングをさらに備え、
前記電力供給ユニットは、前記スリップリングと接触し、前記第二架台部に電力を供給する第二のブラシであることを特徴とする請求項4に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
前記スリップリングから前記第一架台部に対して電力を供給するためのケーブルが、当該スリップリングが有する各リングが重ねられている方向と同一の方向に引き出されていることを特徴とする請求項5に記載の医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−120842(P2011−120842A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283230(P2009−283230)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】