説明

医用診断装置、医用画像レイアウト管理装置、医用画像閲覧装置、及び医用画像印刷装置

【課題】操作者の関心が高いと判断される医用画像を拡大したレイアウトを自動的に作成し、医用画像を表示する医用診断装置又は医用画像レイアウト管理装置を提供する。
【解決手段】生成した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶部002と、拡大表示する医用画像の選択条件を記憶する条件記憶部005と、指定された複数の医用画像及び該医用画像の付帯情報を取得する画像取得部004と、選択条件を基に取得した付帯情報を参照し、取得した医用画像の中から選択条件に一致する付帯情報を有する医用画像を選択する拡大画像選択部006と、画像取得部004が取得した医用画像のうち選択された医用画像を他の残りの医用画像より大きなサイズにするとともに他の残りの医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて医用画像を表示部008に表示させる表示制御部007とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の医用画像をまとめて1つのレイアウトで表示する医用診断装置、複数の医用画像をまとめた1つのレイアウトを作成する医用画像レイアウト管理装置、該レイアウトで表示された医用画像を閲覧する医用画像閲覧装置、及び該レイアウトで医用画像の印刷を行う医用画像印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読影医は医用診断装置で作成された医用画像を参照して診断を行う。具体的には、読影医は、検査にて医用診断装置で生成された医用画像の画像データをプリンタ(イメージャともいう。)に出力、又は参照ビューワに表示して画像を参照し、診断を実施する。
【0003】
近年、ハードディスクなどの記憶メディアの大容量化が進み、撮り洩らし防止の観点から1回の検査で大量の画像を取得し保存することが一般的になってきている。また、近年の撮影技術及び画像処理技術の向上及び多様化により、様々な撮像モードや臨床アプリケーションが存在する。それらのアプリケーションをそれぞれ利用して検査画像を取得及び保存した場合、1検査で大量の画像が発生してしまう。その大量の画像から所望の画像を選び出し、参照して読影を行う読影医もしくは診断医にとって、複数画像の一覧表示を用いて画像を選択し易くすることが必要である。
【0004】
また、医用画像を印刷出力する作業において、関心の度合いの高い画像を大きく、関心の度合いの低い画像を小さくしたレイアウトで印刷することが行われる。
【0005】
そこで、従来、複数の医用画像を用いた読影をサポートする技術として、複数の医用画像の一覧表示画面で関心画像の原寸大の表示、一部分の拡大表示、注釈情報の表示を読影医が容易に行える画像診断支援方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−117739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、関心画像の原寸表示や一部分の拡大表示をユーザが能動的に実施しなければならず、サムネイルなどの小さな画像で表示された多数の医用画像を参照して関心画像を選択せねばならず、容易に関心画像を選択することは困難である。また、印刷時におけるレイアウトの変更作業も同様に、大きく表示する医用画像などをユーザが指定する必要があり、やはりサムネイルなどの小さい画像で表示されている対数の医用画像の中から画像を指定せねばならず、印刷のレイアウトを決めることは煩雑な作業となる。
【0008】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、操作者が指定した医用画像のうち操作者の関心が高いと判断される医用画像を抽出し、該画像を大きなサイズにしたレイアウトを自動的に作成し、該レイアウトを用いて医用画像を表示する医用診断装置又は医用画像レイアウト管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の医用診断装置は、医用画像を生成する画像生成手段と、前記生成した複数の前記医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の医用画像レイアウト管理装置は、外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成するレイアウト作成手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の医用画像閲覧装置は、外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載の医用画像印刷装置は、外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を印刷手段に印刷させる印刷制御手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の医用診断装置によると、付帯情報に基づき操作者の関心を表わす条件に合った医用画像を自動的に抽出する。これにより、操作者が選択した医用画像は、操作者の関心が高い、すなわち重要と推定される画像を容易に見つけ出すことが可能となる。また、多数の医用画像の中から操作者が医用画像を選択するという煩雑さを軽減することが可能となる。さらに、請求項1に記載の医用診断装置によると、抽出した医用画像の表示サイズを大きくしたレイアウトを自動的に作成して表示することができる。これにより、操作者は迅速な診断を行うことが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の医用画像レイアウト管理装置、請求項5に記載の医用画像閲覧装置、及び請求項7に記載の医用画像印刷装置によると、様々な種類の医用診断装置で作成された医用画像の中から、付帯情報に基づき表示サイズを大きくする画像を判定し、該画像を大きなサイズとするレイアウトを自動的に作成して表示又は印刷することができる。これにより、操作者が選択した医用画像のうち操作者の関心が高いと推定される画像を大きなサイズとするレイアウトが作成され、さらにモニタに表示又は印刷されることとなる。したがって、様々な種類の医用診断装置で作成された医用画像が混在する中で、操作者は選択した複数の医用画像の中から関心の高い画像を大きなレイアウトを使用して参照し易くモニタへ表示できる。さらに、関心の高い画像を強調した印刷物を容易に作成することが可能となる。また、様々な医用診断装置で作成された多数の医用画像の中から操作者が医用画像を選択するという煩雑さを軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
以下、この発明の第1の実施形態に係る医用診断装置について説明する。ここで、医用診断装置とは、検査を行い医用画像を生成する装置である。この医用診断装置は一般的にモダリティと呼ばれることがある。医用診断装置には、例えば、超音波診断装置、MRI、又はX線CT装置などがある。図1は本実施形態に係る医用診断装置の機能を表すブロック図である。以下では超音波診断装置を例に説明する。
【0016】
画像生成部001は、超音波プローブ、送受信部、及び画像処理部(すべて不図示)等の複数の機能部で構成されている。画像生成部001は、各機能部がそれぞれ担う機能を実行することにより超音波断層像を生成する。この超音波断層像が本発明における「医用画像」にあたる。生成された超音波断層像は画像記憶部002に入力されるとともに、表示制御部007を介して表示部008に表示される。この表示部008が本発明における「表示手段」にあたる。医師や検査技師などの操作者(以下では、単に「操作者」という。)は表示部008に表示された超音波断層像を参照する。
【0017】
操作者は、重要と思われる超音波断層像が表示されているときに、入力部009の一つであるマークボタンなどを押下する。これにより、操作者は現在表示されている超音波断層像に注目マーク又は鍵マークなどの注目を促す情報を登録できる。ここで、超音波断層像に注目を促す情報を登録するとは、後述のデータベース003に記憶されている付帯情報の欄に注目マークや鍵マークなどの注目を促す情報を登録することである。この情報が本発明における「ステータス情報」にあたる。以下では、この情報をステータス情報という。ステータス情報の登録は画像生成と同時に行っても、画像生成が終わった後に行ってもよい。
【0018】
操作者は、表示部008に表示されている超音波断層像に対して、その表示されている超音波断層像における2点に入力部009の一つである計測ボタンを用いて印を付ける。システム制御部010は2点間の長さを算出し、表示制御部007を介して表示部008に計測結果を表示させる。このとき、システム制御部010は、超音波断層像上の2点間の長さを計測したという情報をデータベース003の付帯情報の欄に入力する。このときにシステム制御部010は、計測した点及び算出した長さの情報を入力してもよい。その場合には、計測した点及び算出した長さの情報がデータベース003の付帯情報の欄に書き込まれていることで、該情報が超音波断層像上の2点間の長さを計測したという情報になる。この情報が本発明における「計測情報」にあたる。以下では、この情報を計測情報という。計測情報の登録は画像生成と同時に行っても、画像生成が終わった後に行ってもよい。
【0019】
また、操作者は、表示部008に表示されている超音波断層像に対して、アノテーションボタンなどといった入力部009を使用して矢印や記号(以下では、「アノテーション」という。)を記入する。また、注釈を入れたい場合には、操作者は、キーボードなどの入力部009を使用して注釈を該超音波断層像に記入する。ここで、アノテーション又は注釈を超音波断層像上に記入するとは、実際には表示部008の画面におけるアノテーション又は注釈の座標情報及びそのアノテーションの情報(矢印の大きさや格好などの情報)又は注釈の内容をデータベース003の付帯情報の欄に書き込むことである。また、このとき操作者は、アノテーションや注釈の内容が重要であるか否かも登録することができる。この内容の重要か否かの登録は、登録ボタンなどの入力部009を用いて行われる。この登録は、実際には、データベース003の付帯情報の欄に重要な内容である旨の情報が書き込まれることになる。このアノテーション及び注釈が本発明における「注釈情報」にあたる。以下では、この情報を注釈情報という。注釈情報の登録は画像生成と同時に行っても、画像生成が終わった後に行ってもよい。
【0020】
また、操作者は、表示部008に表示されている超音波断層像に対して、超音波の照射時間やプローブの角度などのスキャン条件、及び被検体の撮影部位(頭、胸、又は腹などの情報)などのスキャン位置情報を入力する。この入力された情報は、データベース003の付帯情報の欄に書き込まれる。この情報が本発明における「スキャン条件及びスキャン位置情報」にあたる。これらスキャン条件及びスキャン位置情報の入力は画像生成を行う前に行われるものである。
【0021】
また、操作者は表示部008に表示されている超音波断層像を参照して、ある超音波断層像(ここでは「第1の超音波断層像」という。)を参照しているときに関連する他の超音波断層像(ここでは「第2の超音波断層像」という。)を参照できるように、第1の超音波断層像から第2の超音波断層像へのリンクを張ることができる。ここで、第2の超音波断層像へのリンクとは第1の超音波断層像に埋め込まれた第2の超音波断層像の位置情報である。操作者がリンクを張った場合、データベース003の第1の超音波断層像の付帯情報の欄に第2の超音波断層像の位置情報が記載されるとともに、データベース003の第2の超音波断層像の付帯情報の欄に第1の超音波断層像からリンクが張られているという情報が登録される。リンクの登録は画像生成と同時に行っても、画像生成が終わった後に行ってもよい。
【0022】
また、操作者は、表示部008に表示されている超音波断層像を参照して、検査レポートを作成し、この作成した検査レポートを検査レポート画像として画像記憶部002へ記憶させる。このときには、データベース003の該画像の付帯情報の欄に検査レポート画像である旨の情報が登録される。これに対し、データベース003の画像生成部001で生成された画像の付帯情報には検査撮影画像である旨の情報が登録されている。この検査レポート画像や検査撮影画像が本発明における画像の「種類」にあたる。
【0023】
また、画像生成後、操作者により超音波断層像が表示部008に表示された場合、システム制御部010は、表示された超音波断層像のデータベース003の付帯情報の欄に参照された回数を書き込む。ここで、参照された回数は、参照される毎にシステム制御部010が付帯情報の欄に書き込む数値を1ずつインクリメントしていくことで求めることが可能である。
【0024】
また、画像生成部001は、超音波画像を特別な撮影モードで生成したときに、その画像が特定の撮影モードで行われたという情報を、データベース003の付帯情報の欄に書き込む。例えば、ストレスエコーなどが行われた場合には撮影時に操作者からのストレスエコーである旨の入力を受けて、画像生成部001はストレスエコーで撮影したという情報をデータベース003の付帯情報の欄に書き込む。この特定の撮影モードとは臨床アプリケーションを使用して撮影されたものか及び特殊な画像処理が行われたかを含むものである。この画像生成部001が本発明における「画像生成手段」にあたる。
【0025】
画像記憶部002は、ハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。さらに、画像記憶部002は、自己の記憶領域にデータベース003を有している。画像記憶部002は、画像生成部001で生成された超音波断層像を記憶する。さらに、画像記憶部002は、生成された画像と合わせて付帯情報をデータベース003に記憶する。このデータベース003の付帯情報は、上述のステータス情報、計測情報、注釈情報、スキャン条件及びスキャン位置情報、リンク、撮影モード、画像の種類、参照回数、という項目を有している。そして、データベース003に記載された超音波断層像の付帯情報の項目毎に対応する値が登録されている。以上で述べた項目以外にも付帯情報は様々な項目を有している。例えばその他の付帯情報としては、患者名、患者ID、撮影日時、検査名などがデータベース003の中に登録されている。この画像記憶部002が本発明における「画像記憶手段」にあたる。
【0026】
画像取得部004は、入力部009からの参照する超音波断層像の指定を受けて、画像記憶部002に記憶されている超音波断層像の中から、指定された超音波断層像を抽出する。この参照する超音波画像が本発明における「指定された参照する複数の医用画像」にあたる。また、画像取得部004は、抽出した超音波断層像に対応する付帯情報をデータベース003から抽出する。ここで、参照する超音波断層像の指定は操作者により入力部009を使用して行われる。例えば、図2のように表示部008に表示された画面200にサムネイル201(サムネイル201はサムネイルの一例であり、表示されているサムネイルを区別しない場合を表わす。)が複数表示されているとする。このとき、操作者は、画面200を参照し表示されているサムネイル201の中から参照しようとする範囲を選ぶことで、参照用に表示部008に表示される超音波断層像の指定が行われる。図2は参照する超音波断層像の指定方法の一例を説明するための図である。本実施形態では、操作者はサムネイル201の中からグレーで表示されている指定領域202をマウスなどの入力部009を用いて指定した場合で説明する。この場合、指定領域202に含まれるサムネイルで表示されている超音波断層像202a、超音波断層像202b、超音波断層像202c、超音波断層像202d、超音波断層像202e、超音波断層像202f、超音波断層像202f、超音波断層像202g、超音波断層像202h、超音波断層像202i、及び超音波断層像202jの10枚の超音波断層像が参照する画像として指定されている。そして、画像取得部004は、指定された範囲に含まれる超音波断層像202a〜202jを画像記憶部002から抽出する。また、参照する超音波断層像を選択する他の方法としては、操作者が、患者名、検査名、又はシリーズ名(頭部、胸部、又は腹部などのどの部位を撮影したシリーズかを指す。)などを入力する方法がある。これは、操作者が患者名、検査名、又はシリーズを指定することにより、それらに対応する条件を有する超音波断層像が参照する超音波断層像として指定される。この場合、画像取得部004は、データベース003の各超音波断層像の付帯情報を参照し、指定の条件に一致する超音波断層像を画像記憶部002から抽出する。具体的には、Aという患者が入力された場合、画像取得部004は、データベース003の付帯情報を参照し、患者名がAと登録されている超音波断層像を抽出する。画像取得部004は、抽出した画像を表示制御部007へ出力する。この画像取得部004が本発明における「画像取得手段」にあたる。
【0027】
条件記憶部005は、入力部009から超音波断層像を大きなサイズで表示するための条件の入力を受ける。この条件が本発明における「選択条件」にあたる。以下ではこの条件を選択条件という。本実施形態では、選択条件として、a.注目を促すステータス情報、b.計測情報が存在する、c.注釈情報が存在する、d.前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する、e.他の画像からのリンクが存在、f.特別な撮影モードである、g.検査レポート画像である、h.参照回数が10回以上、という8つの条件が設定されている。そして、条件記憶部005は選択条件を記憶しておく。さらにこのとき、操作者は各選択条件の優先順位を入力する。そして、条件記憶部005は、選択条件とともに該選択条件の優先順位も記憶しておく。本実施形態では、前述の選択条件のうちa,b,cを第1順位の条件とし、d,e,f,gを第2順位の条件として、優先順位が付けられている。以下では「a(1).注目を促すステータス情報」というように、記号の後に付した括弧内の数字で優先順位を表す。この条件記憶部005が本発明における「条件記憶手段」にあたる。
【0028】
ここで、上述の選択条件は全て操作者が関心を有する超音波断層像、言い換えれば重要と推定される超音波断層像と判断できる条件である。以下では、「操作者が関心を有する」と「重要と推定される」とを同じ意味として使用する。超音波断層像の中で計測を行っていれば操作者が距離を測る必要を感じる程度の関心を有しており重要な超音波断層像といえる。注釈がついていれば操作者が何等かの重要性を感じて注釈を入れたものであり重要な超音波断層像といえる。前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するスキャンを行っていれば経過観察のための超音波断層像であり重要な超音波断層像といえる。他の画像からリンクされている画像はそれだけ様々な局面で必要とされる画像であり重要な超音波断層像といえる。特別な撮影を行う必要があった場合にはそれだけ重要な超音波断層像といえる。検査レポート画像は操作者が記載したレポートが埋め込まれており重要な超音波断層像といえる。何度も参照されている超音波断層像はそれだけ必要とされている画像といえ重要な超音波断層像といえる。
【0029】
ここで、本実施形態では上述の7つの選択条件を設定したが、この選択条件は他のものでも良く、例えば、上述の7つの選択条件のうち1つを用いてもよいし、複数の選択条件の組み合わせを用いてもよい。さらに、上述の7つの選択条件以外でも、付帯情報に記載されている情報を用いる条件であり、その条件に一致する画像が重要と推定できる条件であれば選択条件として設定することが可能である。また、本実施形態で用いた選択条件をさらに細かく分けて、それら一つずつを選択条件とすることも可能である。例えば、注釈情報についても注釈の種類、表示サイズ、又は内容についての選択条件を設定する、リンクの数で選択条件を分けて設定する、参照回数で選択条件を分けて設定するなどして、それらの選択条件毎に優先順位付けを行ってもよい。
【0030】
拡大画像選択部006は、画像取得部004が取得した超音波断層像の付帯情報の入力を受ける。さらに、拡大画像選択部006は、条件記憶部005から、a(1).注目を促すステータス情報、b(1).計測情報が存在する、c(1).注釈情報が存在する、d(2).前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する、e(2).他の画像からのリンクが存在、f(2).特別な撮影モードである、g(2).検査レポート画像である、h(2).参照回数が10回以上、という8つの選択条件及びその優先順位を取得する。この拡大画像選択部006が本発明における「拡大画像選択手段」にあたる。
【0031】
拡大画像選択部006は、画像取得部004が取得した各超音波断層像の付帯情報と上述の8つの選択条件とを比較する。拡大画像選択部006は、付帯情報が選択条件のいずれかに一致する超音波断層像を拡大する超音波断層像して抽出する。ここで、超音波断層像を抽出するとは、超音波断層像の識別情報を取得することである。本実施形態では、a(1).超音波断層像202cの付帯情報に注目を促すステータス情報が付いている及びe(2).他の画像からのリンクが存在する旨の情報が記載されており、また、超音波断層像202fの付帯情報にe(2).他の画像からのリンクが存在する旨の情報が記載されており、さらに、超音波断層像202hの付帯情報にg(2).検査レポート画像である旨の情報が記載されているものとして説明する。
【0032】
ここで、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するかを調べる場合には、拡大画像選択部006は、まず患者識別情報及び検査日時を基にデータベース003を検索し画像記憶部002にから前回の検査時の超音波断層像を抽出する。拡大画像選択部006は、患者識別情報が同一であり検査日時が今回の検査の1つ前の付帯情報を有する超音波断層像が前回検査時の超音波断層像と判定できる。そして、拡大画像選択部006は、データベース003を検索して抽出した前回検査時の超音波断層像の付帯情報に記載された前回検査時のスキャン情報及びスキャン位置情報を抽出する。そして、拡大画像選択部006は、抽出した前回検査時のスキャン情報及びスキャン位置情報を基にデータベース003を検索し、画像取得部004から入力された超音波断層像の付帯情報の中に一致するスキャン情報及びスキャン位置情報を有するものがあるかを検索する。これにより、拡大画像選択部006は、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する付帯情報を有する超音波断層像を抽出することができる。
【0033】
さらに、拡大画像選択部006は、抽出した各超音波断層像に対し、その超音波断層像の付帯情報が一致した選択条件のうち優先順位が高い選択条件の順位を超音波断層像の優先順位として決定する。本実施形態では、超音波断層像202cの付帯情報が2つの選択条件と一致しているが、この場合、a(1).注目を促すステータス情報が存在という選択条件の優先順位が1番であり、e(2).他の画像からのリンクが存在するという選択条件の優先順位が2番であるため、拡大画像選択部006は、超音波断層像202cの優先順位を1番とする。また、拡大画像選択部006は、超音波断層像202f及び超音波断層像202hの優先順位を2番とする。そして、拡大画像選択部006は、抽出した超音波断層像202c、超音波断層像202f、及び超音波断層像202hの識別情報、及びその超音波断層像の優先順位、ここでは順に1番、2番、及び2番を表示制御部007へ出力する。
【0034】
表示制御部007は記憶領域(不図示)を有している。表示制御部007は記憶領域に図3に示すようなサイズの異なる超音波断層像を表示するフレームを記憶している。ここで、フレームとは1枚の医用画像を表示させる枠ことであり、このフレームを集めてレイアウトが構成される。ここで、図3はサイズの異なる1枚の医用画像毎のフレームの一例の図である。図3のフレームのサイズは、小フレーム303が最小のサイズのフレームであり。中フレーム302は小フレーム303を縦横2倍にした大きさのサイズのフレームである。大フレーム301は小フレーム303を縦横4倍にした大きさのサイズのフレームである。表示制御部007は大フレーム301、中フレーム302、及び小フレーム303を組み合わせることで、選択された超音波断層像を表示する一つのレイアウトを作成する。ここで、超音波断層像を拡大表示するとは一番小さい小フレーム303に比べて大きなレイアウトで超音波断層像を表示することを指す。この表示制御部007が本発明における「表示制御手段」にあたる。
【0035】
さらに、表示制御部007は記憶領域に超音波断層像の優先順位と上述のフレームのサイズの対応を記憶している。本実施形態では、優先順位の1番の超音波断層像が大フレーム301を使用して、優先順位2番の超音波断層像が中フレーム302を使用するように対応付けられている。また、拡大画像選択部006で抽出されていない超音波断層像に対し小フレーム303を使用するように対応付けられている。ここで、本実施形態では重要な画像と重要でない画像の差を明確にするために、フレームのサイズを3段階に分けているが、フレームのサイズは他の分類にすることも可能である。例えば、大きいサイズと小さいサイズの2つのフレーム、もしくは指定した選択条件毎に全てサイズを変えるようなフレームを用いてもよい。
【0036】
表示制御部007は、拡大画像選択部006から大フレーム303及び中フレーム302を使用する超音波断層像の識別情報及びその優先順位を受信する。本実施形態では、超音波断層像202cの識別情報及びその優先順位として1番、超音波断層像202fの識別情報及びその優先順位として2番、並びに超音波断層像202hの識別情報及びその優先順位として2番を表示制御部007は受信する。表示制御部007は、受信した超音波断層像の優先順位を基に、上述の記憶している優先順位とフレームのサイズの対応を参照し、各超音波断層像のフレームのサイズを決定する。本実施形態では、表示制御部007は、超音波断層像202cは1番の優先順位なので大フレーム301を使用する。また、表示制御部007は、超音波断層像202fは2番の優先順位なので中フレーム302を使用する。さらに、表示制御部007は、超音波断層像202hは2番の優先順位なので中フレーム302を使用する。また、表示制御部007は、拡大画像選択部006で抽出されなかった残りの超音波断層像である超音波断層像202a、202b,202d、202e、202g、202i、202jに対し小フレーム303を使用する。このように拡大表示する画像として抽出された超音波断層像に対し、抽出されなかった残りの超音波断層像よりも大きなサイズのフレームを使用することが、本発明における「選択された医用画像を他の残りの医用画像より大きなサイズ」とすることにあたる。
【0037】
表示制御部007は、各超音波断層像の決定したフレームのサイズを基に、超音波断層像を左から順に大きなサイズで並べ図4に示すような1つのレイアウト400を作成する。ここで、図4は表示制御部007によって作成される超音波断層像表示用のレイアウト400の一例の図である。本実施形態では、表示制御部007は、左側に一番大きなサイズの大フレーム303で表示された超音波断層像202cを配置する。次に、表示制御部007は、中央に中間のサイズの中フレーム302で表示された超音波断層像202f及び超音波断層像220hを配置する。さらに、表示制御部007は、右側に一番小さいサイズの小フレーム301で表示された超音波断層像202a、超音波断層像202b,超音波断層像202d、超音波断層像202e、超音波断層像202g、超音波断層像202i、及び超音波断層像202jを配置する。そして、表示制御部007は、以上のようなレイアウト400に配置された超音波断層像を表示部008に表示させる。表示制御部007は各フレームに対応する超音波断層像を拡大又は縮小して表示倍率をかえることで、各フレームにあてはまる大きさにして表示部008に表示させる。ここで、本実施形態では大フレーム301を使用する超音波断層像は1枚であるが、これは複数枚になることも1枚もないこともある。又、中フレーム302を使用する超音波断層像も2枚よりも多くもしくは1枚以下になることもある。そして、本実施形態では単にフレームを並べることでレイアウト400を作成することになるため、画面に1枚のレイアウト400が収まりきらない場合がある。その場合にはスクロールバーなどを付すことで全ての画像を参照できるようにする。
【0038】
また、本実施形態では、各超音波断層像を表示するフレームのサイズを固定させて、そのフレームを単に並べることで1枚のレイアウトを作成しているため、指定された医用画像全てを一枚に納めたレイアウトが非常に大きくなる場合が考えられる。この場合には叙述のようにスクロールバーなどを付けるなどして全ての画像を参照できるようにする必要があるが、これは、レイアウトのサイズを固定にして大きさを確保することにより、操作者が関心を有すし重要と推定される超音波断層像を確実に大きく表示するためである。
【0039】
ただし、表示される画像が小さく表示されてもかまわない場合で、指定された医用画像全てを一枚に納めた表示用のレイアウトの大きさを小さくする必要がある場合には、例えば作成されるレイアウトの大きさを画面のサイズに固定し、決定した医用画像のフレームのサイズの比率に従って分割してその中で表示させる構成にすることも可能である。具体的には、まず、使用する中フレーム302の数を4で割り大フレーム301にあたるサイズでの枚数に換算する。また、同様に、使用する小フレーム303の数を16で割り大フレーム301にあたるサイズでの枚数に換算する。そして、大フレーム301の数に換算された中フレーム302及び小フレーム303の数と使用する大フレーム301の数を加算する。そして、加算した数で表示部008の画面を分割する。ここで、あまりが出る場合には全ての超音波断層像を表示させるため、画面の縦横ともに繰り上げることにする。このようにすることで大フレーム301のサイズが算出されるとともに、中フレーム302及び小フレーム303のサイズが算出できる。これによって、レイアウトが作成できる。そして、表示制御部007は各フレームに対応する超音波断層像を拡大又は縮小して表示倍率をかえることで、各フレームにあてはまる大きさにして表示部008に表示させる。
【0040】
次に、図5を参照して本実施形態に係る医用診断装置における医用画像の表示のレイアウトの作成及び表示の動作について説明する。ここで、図5は本実施形態に係る医用診断装置における医用画像の表示のレイアウトの作成及び表示のフローチャートの図である。
【0041】
ステップS001:画像生成部001は、超音波断層像を生成する。
【0042】
ステップS002:操作者は、入力部009を用いて付帯情報を入力する。
【0043】
ステップS003:画像記憶部002は超音波断層像を記憶する。さらに画像記憶部002はデータベース003に付帯情報を登録する。
【0044】
ステップS004:操作者は、入力部009を用いてa(1).注目を促すステータス情報が存在する、b(1).計測情報が存在する、c(1).注釈情報が存在する、d(2).前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する、e(2).他の画像からのリンクが存在、f(2).特別な撮影モードである、g(2).検査レポート画像である、h(2).参照回数が10回以上、という8つの選択条件を入力する。さらに、操作者は、選択条件の優先順位を入力する。ここでは、操作者は、選択条件a、b、cを1番の優先順位、選択条件d、e,f,g,hを2番の選択条件とする。
【0045】
ステップS005:条件記憶部005は、入力された選択条件、a(1).注目を促すステータス情報が存在する、b(1).計測情報が存在する、c(1) .注釈情報が存在する、d(2).前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する、e(2).他の画像からのリンクが存在、f(2).特別な撮影モードである、g(2).検査レポート画像である、h(2).参照回数が10回以上、及びそれぞれの選択条件の優先順位を記憶する。
【0046】
ステップS006:操作者は、表示部008を参照しながら入力部009を用いて参照したい超音波断層像である、超音波断層像202a〜202j(図2参照)を指定する。
【0047】
ステップS007:画像取得部004は、指定された超音波断層像202a〜202jを画像記憶部002から抽出する。さらに、画像取得部004は、超音波断層像202a〜202jそれぞれの付帯情報をデータベース003から取得する。
【0048】
ステップS008:拡大画像選択部006は、画像取得部004から入力された超音波断層像202a〜202jの付帯情報と条件記憶部005から入力された選択条件を比較する。
【0049】
ステップS009:拡大画像選択部006は、選択条件と一致する付帯情報を有する超音波断層像である超音波断層像202c、超音波断層像202f、及び超音波断層像202hを抽出する。
【0050】
ステップS010:拡大画像選択部006は、各超音波断層像の付帯情報が一致した選択条件の中で一番高い優先順位をその超音波断層像の優先順位とする。ここでは、拡大画像選択部006は、超音波断層像202cの優先順位を1番、超音波断層像202fの優先順位を2番、超音波断層像202hの優先順位を2番とする。
【0051】
ステップS011:表示制御部007は、拡大画像選択部006から入力された拡大表示する超音波断層像の識別情報と該超音波断層像の優先順位を基に、記憶している超音波断層像の優先順位とフレームのサイズとの対応を参照し、各超音波断層像のフレームのサイズを決定する。ここでは、表示制御部007は、超音波断層像202cを一番大きな大フレーム301(図3参照)のサイズに、超音波断層像202f及び超音波断層像202hを中間の大きさの中フレーム302のサイズに、超音波断層像202a、超音波断層像202b,超音波断層像202d、超音波断層像202e、超音波断層像202g、超音波断層像202i、及び超音波断層像202jを一番小さい小フレーム303のサイズにする。
【0052】
ステップS012:表示制御部007は、画像取得部004から入力された超音波断層像を決定したフレームのサイズにしたがって図4のように配置し、表示部008に表示させる。
【0053】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用診断装置では、参照のために指定された超音波断層像の中から拡大表示(大フレーム301又は中フレーム302のサイズでの表示)する超音波断層像を自動的に選択し、その優先順位に応じて表示させるサイズを変更した超音波断層像の表示のレイアウトを使用して指定された超音波断層像を表示させることができる。これにより、操作者が高く優先順位を付けた画像が大きなサイズで表示されるため、操作者が関心のある画像を見つけ易くなる。また、操作者自ら拡大する画像の指定を都度行う必要がないため、画像を参照する時間を短縮することが可能となる。さらに、操作者が関心を有し、重要と推定される超音波断層像が決まったサイズで大きく表示されるため、該画像を参照し易いレイアウトで表示することが可能となる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
以下、この発明の第2の実施形態に係る医用診断装置について説明する。第2の実施形態に係る医用診断装置は、選択条件に一致した医用画像の優先順位の付け方が第1の実施形態に係る医用画像と異なるものである。そこで、以下では、拡大画像選択部における医用画像の優先順位の決定について主に説明する。第2の実施形態に係る医用画像診断装置のブロック図も第1の実施形態に係る医用診断装置と同様に図1で表わされる。以下の説明では、超音波診断装置を例に説明する。
【0055】
画像記憶部002には、画像生成部001で生成された超音波断層像が記憶されている。また、画像記憶部002が有するデータベース003には、画像記憶部002が記憶している超音波画像の付帯情報が記載されている。
【0056】
操作者は、入力部009を用いて参照したい画像を指定する。また、操作者は、入力部009を用いて選択条件を入力する。ここで、本実施形態では、選択条件として、a.注目を促すステータス情報が存在する、b.計測情報が存在する、c.注釈情報が存在する、d.前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致する、e.他の画像からのリンクが存在、f.特別な撮影モードである、g.検査レポート画像である、h.参照回数が10回以上、という8つの条件が入力される。
【0057】
画像取得部004は、指定された超音波断層像及び該超音波断層像の付帯情報を画像記憶部002及びデータベース003から抽出する。
【0058】
条件記憶部005は、入力部009から入力された選択条件を記憶する。
【0059】
拡大画像選択部006は、条件記憶部005から入力された選択条件に一致する付帯情報を有する超音波断層像を画像取得部004から抽出する。
【0060】
さらに、拡大画像選択部006は、抽出した各超音波断層像の付帯情報の項目のうち、選択条件に一致する項目の数を取得する。例えば、ある超音波断層像において、付帯情報の項目がa.ステータス情報が重要、b.計測情報が存在する、及びc.注釈情報が存在するという3つの選択条件に一致した場合に、該超音波断層像の付帯情報は3つの選択条件と一致したことになる。そして、拡大画像選択部006は、選択条件に一致する付帯情報の項目数が6〜8個である超音波断層像に1番の優先順位を、選択条件に一致する付帯情報の項目数が1〜5個である超音波断層像に2番の優先順位を付ける。具体的には、選択条件に一致する付帯情報の項目数が、それぞれ、6個、3個、1個である3つの超音波画像があった場合、6個の項目が一致した超音波画像が第1の優先順位に、3個の項目が選択条件に一致した超音波断層像、及び1個の項目が一致した超音波断層像が第2の優先順位というように、拡大画像選択部006は各超音波断層像に優先順位をつけていく。
【0061】
拡大画像選択部006は、抽出した拡大表示する超音波断層像の識別情報と、該超音波断層像の優先順位を表示制御部007へ出力する。
【0062】
表示制御部007は、自己の記憶領域に図3に示すようなサイズの異なる超音波断層像を表示するフレームを記憶している。さらに、表示制御部007は、優先順位とその優先順位に対応するフレームのサイズを記憶している。本実施形態では、表示制御部007は、優先順位が1番から4番までの超音波断層像に対応するフレームを最大のサイズの大フレーム301とする。また、表示制御部007は、優先順位が5番以下の超音波断層像に対応するフレームを中間のサイズの中フレーム302とする。さらに、表示制御部007は、拡大画像選択部006で拡大表示する超音波断層像として抽出されなかった超音波断層像に対応するフレームを最小のサイズの小フレーム303とする。
【0063】
表示制御部007は、拡大画像選択部006から入力された拡大表示する超音波断層像の識別情報、及び優先順位を基に、画像取得部004から取得した超音波断層像のそれぞれを大フレーム301、中フレーム302、又は小フレーム303どのフレームで表示するかを決定する。そして、表示制御部007は、フレームのサイズが決定した超音波断層像を大きなフレームの順に右から並べ、操作者により指定された超音波断層像を表示するための1つのレイアウトを作成する。
【0064】
表示制御部007は、作成したレイアウトを用いて操作者により指定された超音波断層像を表示部008に表示させる。
【0065】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用診断装置においては、選択条件に一致した付帯情報の項目数を基に医用画像の優先順位が付される。これにより、選択条件毎に優先順位をつけなくても、操作者に関心の高い画像を大きなサイズのフレームで表示することが可能である。したがって、操作者は優先順位をつける手間を省くことができる。また、特定の選択条件のみを優先させずに全ての選択条件を基にした優先順位付けを行うことが可能となる。
【0066】
〔第3の実施形態〕
本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置は、第1又は第2の実施形態に記載の医用診断装置とは異なり、自己においては画像生成を行うことなく、外部の医用画像診断装置から取得した医用画像を記憶し、操作者の指定した医用画像のレイアウトを作成する構成である。そして、本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置における医用画像を表示するためのレイアウトを作成する方法は第1又は第2の実施形態に係る医用診断装置におけるレイアウトの作成と同様である。そこで、以下では、図6を参照して、本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置における、医用画像の取得及び記憶、並びに第1及び第2の実施形態とは異なる選択条件について主に説明する。図6は本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置の機能を表すブロック図である。図1及び図6で同一の符号を使用しているものは同一の機能を有するものとする。
【0067】
本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置は、ネットワークを介して他の医用診断装置601と相互に接続されている。医用診断装置601はネットワーク上にある医用診断装置を区別しないとしたときの一例である。ここで、医用診断装置とは超音波診断装置、MRI、及びX線CT装置などを指す。
【0068】
画像記憶部002は、医用診断装置601から入力された医用画像及び該医用画像に対応する付帯情報を記憶する。本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置は様々な種類の医用診断装置601と接続されているため、この医用画像には超音波断層像、X線CT画像、及びMRI画像などといった様々な種類の医用画像が含まれている。ここで、付帯情報はデータベース003に記載される。
【0069】
操作者は、選択条件を入力する。ここで、上述のように画像記憶部002には様々な種類の医用画像が記憶されている。そこで、選択条件として、医用画像を作成された医用診断装置601の種類を設定することも可能である。例えば、操作者は、選択条件をX線CT装置で作成られた医用画像と設定できる。以下では、選択条件としてX線CT装置で作成された画像が設定された場合で説明する。
【0070】
条件記憶部005は、X線CT装置で作成された医用画像という設定条件を記憶する。
【0071】
拡大画像選択部006は、条件記憶部005から入力されたX線CT装置で作成された医用画像という選択条件を基に、画像取得部004から入力された医用画像の付帯情報を検索する。拡大画像選択部006は、付帯情報の中の作成した医用診断装置の種類の項目がX線CTとなっているものを抽出する。そして、拡大画像選択部006は、抽出した画像優先順位を付ける。ただし、本実施形態では他の選択条件を設定していないので、1番の優先順位しかない。拡大画像選択部006は、医用画像の識別情報及び優先順位をレイアウト作成部602へ出力する。
【0072】
レイアウト作成部602は、自己の記憶領域に図3に示すようなサイズの異なる超音波断層像を表示するフレームを記憶している。さらに、レイアウト作成部602は、優先順位とその優先順位に対応するフレームのサイズを記憶している。本実施形態では、レイアウト作成部602は、優先順位が1番から4番までの医用画像に対応するフレームを最大のサイズの大フレーム301とする。また、レイアウト作成部602は、優先順位が2番の医用画像に対応するフレームを中間のサイズの中フレーム302とする。さらに、レイアウト作成部602は、拡大表示する医用画像として拡大画像選択部006で抽出されなかった医用画像に対応するフレームを最小のサイズの小フレーム303とする。レイアウト作成部は本発明における「レイアウト作成手段」にあたる。
【0073】
レイアウト作成部602は、拡大画像選択部006から入力された拡大表示する超音波断層像の識別情報、及び優先順位を基に、画像取得部004から取得した超音波断層像のそれぞれを大フレーム301、中フレーム302、又は小フレーム303などのフレームで表示するかを決定する。本実施形態では選択条件としてX線CT装置で作成された医用画像のみを設定しているので、レイアウト作成部602は、画像取得部004から入力された医用画像のうちX線CT装置で作成された医用画像に対し最大のサイズの大フレーム301を割当て、他の医用画像に対し最小のサイズの小フレーム303を割当てる。そして、レイアウト作成部602は、フレームが決定した医用画像を大きなフレームの順に右から並べ、操作者により指定された超音波断層像を表示するための1つのレイアウトを作成する。
【0074】
レイアウト作成部602は、作成したレイアウトを用いて操作者により指定された超音波断層像を表示装置に表示させる。ここで表示装置はモニタなどである。
【0075】
また、以上の説明では表示装置を備えない医用画像レイアウト管理装置として説明したが、以上で説召した医用画像レイアウト管理装置を備え、さらに、モニタなどの表示部を備えた構成とすることで医用画像閲覧装置としても動作可能である。また、以上で説明した医用画像レイアウト管理装置を備え、さらにプリンタ又はイメージャなどの印刷部を備えた構成とすることで医用画像印刷装置としても動作可能である。
【0076】
以上で説明したように、本実施形態に係る医用画像レイアウト管理装置、さらに、それをしようした医用画像閲覧装置及び医用画像印刷装置においては、様々な医用診断装置で取得された医用画像を集めて記憶し、操作者の指定を受けて、指定された医用画像の中で操作者の関心が高い画像を拡大表示したレイアウトを作成でき、さらにそのレイアウトを使用してモニタに表示したり、プリンタで印刷したりことも可能である。これにより、操作者は大量の医用画像の中から関心の高い画像を探して拡大を指定する必要が軽減される。また、自動的に関心があると思われる画像を拡大表示するため、操作者は容易に関心のある画像を用いた診断を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施形態に係る医用診断装置のブロック図
【図2】参照する医用画像の指定方法の一例を説明するための図
【図3】サイズの異なる1枚の医用画像毎のフレームの一例の図
【図4】表示制御部によって作成される医用画像表示用のレイアウトの一例の図
【図5】第1の実施形態に係る医用画像診断装置における医用画像の表示のレイアウトの作成及び表示のフローチャートの図
【図6】第2の実施形態に係る医用診断装置のブロック図
【符号の説明】
【0078】
001 画像生成部
002 画像記憶部
003 データベース
004 画像取得部
005 条件記憶部
006 拡大画像選択部
007 表示制御部
008 表示部
009 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を生成する画像生成手段と、
前記生成した複数の前記医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、
拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、
前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、
前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、
前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用診断装置。
【請求項2】
前記選択条件は、特定のステータス情報があるか、計測情報があるか、注釈情報があるか、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するか、他の画像からのリンクがあるか、特定の撮像モードか、特定の種類の画像か、並びに画像の参照回数が記憶している閾値を超えているか、という項目のうち一つ又はいずれか複数の項目の組み合わせを含み、
前記拡大画像選択手段は、前記選択条件の優先順位を記憶しており、前記選択条件に一致した前記医用画像を抽出し、前記優先順位の高い医用画像の順に表示倍率を変更したレイアウトを作成することを特徴とする請求項1に記載の医用診断装置。
【請求項3】
前記付帯情報の条件は、特定のステータス情報があるか、計測情報があるか、注釈情報があるか、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するか、他の画像からのリンクがあるか、特定の撮像モードか、特定の種類の画像か、並びに画像の参照回数が記憶している閾値を超えているか、の項目の一つ又は複数の項目を含み、
前記拡大画像選択手段は、前記選択条件に一致した医用画像を抽出し、一致した前記項目の数が多い医用画像の順にレイアウトの表示倍率を変更したレイアウトを作成することを特徴とする請求項1に記載の医用診断装置。
【請求項4】
外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、
拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、
前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、
前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、
前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成するレイアウト作成手段と、
を備えることを特徴とする医用画像レイアウト管理装置。
【請求項5】
外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、
拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、
前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、
前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、
前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像閲覧装置。
【請求項6】
前記選択条件は、特定のステータス情報があるか、計測情報があるか、注釈情報があるか、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するか、他の画像からのリンクがあるか、特定の撮像モードか、特定の種類の画像か、画像の参照回数が記憶している閾値を超えているか、並びに所定の種類の医用診断装置で作成された画像か、という項目のうち一つ又は複数の項目を含み、
前記拡大画像選択手段は、前記選択条件の優先順位を記憶しており、前記選択条件に一致した前記医用画像を抽出し、前記優先順位順に前記レイアウトの表示倍率を変更することを特徴とする請求項5に記載の医用画像閲覧装置。
【請求項7】
外部から受信した複数の医用画像を付帯情報とともに記憶する画像記憶手段と、
拡大表示する前記医用画像の選択条件を記憶する条件記憶手段と、
前記記憶されている前記医用画像の中から指定された複数の前記医用画像及び該医用画像の前記付帯情報を取得する画像取得手段と、
前記選択条件を基に前記取得した前記付帯情報を参照し、前記取得した前記医用画像の中から前記選択条件に一致する前記付帯情報を有する前記医用画像を選択する拡大画像選択手段と、
前記画像取得手段が取得した前記医用画像のうち前記選択された前記医用画像を他の残りの前記医用画像より大きなサイズにするとともに、前記他の残りの前記医用画像と並べたレイアウトを作成し、該レイアウトに基づいて前記医用画像を印刷手段に印刷させる印刷制御手段と、
を備えることを特徴とする医用画像印刷装置。
【請求項8】
前記選択条件は、特定のステータス情報があるか、計測情報があるか、注釈情報があるか、前回検査時のスキャン条件及びスキャン位置情報に一致するか、他の画像からのリンクがあるか、特定の撮像モードか、特定の種類の画像か、画像の参照回数が記憶している閾値を超えているか、並びに所定の種類の医用診断装置で作成された画像か、という項目のうち一つ又は複数の項目を含み、
前記拡大画像選択手段は、前記選択条件の優先順位を記憶しており、前記選択条件に一致した前記医用画像を抽出し、前記優先順位順に前記レイアウトの表示倍率を変更することを特徴とする請求項7に記載の医用画像印刷装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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