説明

医療システム用制御装置

【課題】複数の医療機器における複数の動作の制御を行う操作手段における複数の操作スイッチにおける機能設定を自由に行うことができる医療システム用制御装置を提供する。
【解決手段】複数の医療機器における複数の動作を制御するフットスイッチに設けられた複数のスイッチと、前記複数のスイッチにおける動作割付を設定するキーボードと、前記キーボードの入力に応じて前記スイッチにおける動作割付を変更可能に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の医療機器を備えた医療システムにおいて、各機器の動作等をスイッチ操作により制御する医療システム用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療技術の発展と共に、各種の医療装置(医療機器)が豊富となり、その機能も充実傾向にある。各種医療装置も電気メス装置、超音波吸引装置、レーザーメス等様々なものが用意されている。これらの医療装置は、単体で用いられる場合もあるが、複合した医療システムとして用いられる場合もある。
【0003】
これらの装置は、操作者がメス部で手で持ち、患部の病変部等を処置する。このため、装置の出力のON/OFFは、足で操作を行うフットスイッチを用いるものが多い。特に、内視鏡下手術においては、操作者は内視鏡も手で操作するため、フットスイッチで出力制御を行うことが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一つの装置を複数の動作モードで駆動するために、従来はフットスイッチには各動作モードに応じて複数のスイッチが並んでいるので、目的とするスイッチを正しく踏むために目で足元を確認したり、足でスイッチを探ったりする必要があり、煩わしかった。
【0005】
特に、複数の装置を複合して使用する場合は、個々の装置に対してフットスイッチを設ける必要があり、煩わしかった。
上記問題を鑑みて、特開平7−23978号公報では、フットスイッチの最初の操作でペダル部に対応した動作モードを音で告知し、二回目の操作で出力を行うことでスイッチの誤踏み防止を提案している。
【0006】
しかしながら、複数個のフットスイッチの複数個のペダルを音のみの判別では聞き違い等による誤踏みを完全に防止することが困難である。
【0007】
一方で、複数の医療機器における複数の動作の制御を行う操作手段、例えばフットスイッチにおける複数の操作スイッチペダルにおける機能設定を自由に行うことができる技術が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、複数の医療機器における複数の動作の制御を行う操作手段における複数の操作スイッチにおける機能設定を自由に行うことができる医療システム用制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療システム用制御装置は、複数の医療機器における複数の動作を、操作手段の操作により制御可能とする医療システム用制御装置において、前記操作手段に設けられた複数のスイッチと、前記複数のスイッチにおける動作割付を設定する入力手段と、前記入力手段の入力に応じて前記スイッチにおける動作割付を変更可能に制御する制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の医療機器における複数の動作の制御を行う操作手段における複数の操作スイッチにおける機能設定を自由に行うことができる医療システム用制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図4は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は第1の実施の形態を備えた医療システムの構成を示し、図2及び図3は表示手段による表示例を示し、図4はフットスイッチを操作した場合の制御装置の処理手順を示す。
【0012】
図1に示す医療システム1は、複数の医療装置(或いは医療機器)、例えば、高周波電流により病変部を切開・凝固する電気メス装置(ESUと略記)2A、超音波により病変部を切開・凝固する超音波切開・凝固装置(UCCと略記)2B、レーザ光により病変部を切開・凝固するレーザ装置2Cと、これらの装置を選択したり所定の動作モードで動作させるための指示を足下での操作で行うフットスイッチ3を含む制御装置4と、この制御装置4に接続され、各装置の動作状態を表示する表示手段5と、この表示手段5を構成するモニタ装置6に接続され、内視鏡装置7を構成するTVカメラ装置8とを有する。
【0013】
内視鏡装置7は図示しない光学式内視鏡に撮像素子を備えたTVカメラ装置8を装着することにより、このTVカメラ装置8内の図示しない信号処理回路を経て内視鏡画像に対応する映像信号がモニタ装置6に出力される。そして、モニタ装置6の表示面には図2等に示すように内視鏡画像19が表示される。
【0014】
制御装置4は、フットスイッチ3の他、フットスイッチ用I/F9、装置用I/F10、表示手段用I/F11とを有し、それぞれフットスイッチ3、ESU2A等の各装置、表示手段5に接続されている。
フットスイッチ3は、動作モードの選択を行う選択用スイッチ12と選択された動作モードでその装置を動作させる(治療等の処置エネルギの出力のON/OFFを行う)指示をする出力制御用スイッチ13から構成され、選択用スイッチ12及び出力制御用スイッチ13の操作信号はフットスイッチ用I/F9を構成する中央処理装置(CPUと略記)14に入力される。
【0015】
このCPU14は装置用I/F10を構成する装置用切換器15と、表示手段用I/F11を構成する表示用切換器16と接続されている。装置用切換器15の接点a,bと、c,dと、eはそれぞれESU2A、UCC2B、レーザ装置2Cに接続され、この選択に連動して、表示用切換器16の接点a,b,c,d,eからモニタ装置6に信号が入力されるようにしている。
【0016】
なお、装置用切換器15の例えば2つの接点a,bを1つの装置、ここではESU2Aに接続することにより、異なる動作モードで動作させることができるようにしている。例えば、接点aをONした状態で動作させた場合には、病変部を切開するのに適した電流値或いは電流波形の切開用動作モードとなり、接点bをONした状態で動作させた場合には凝固するのに適した電流値或いは電流波形の凝固用動作モードとなるようにしている。UCC2Bの場合も同様である。
【0017】
本実施の形態では、フットスイッチ3の選択用スイッチ12を踏むと、その操作信号を検知してCPU14は装置用切換器15及び表示用切換器16の接点を次の接点に切換える。
【0018】
例えば接点aがONしている状態で選択用スイッチ12を踏むと接点bがONし、接点bがONしている状態で選択用スイッチ12を踏むと接点cがONするという具合に順次ONする接点が代わり、最後の接点eがONしている状態で選択用スイッチ12を踏むと最初の接点aがONする。
【0019】
つまり、選択用スイッチ12を踏む操作を行うことにより、動作させる装置の動作モードを選択することができるようにしている(この場合、動作させる装置を選択する機能も持つ)。
そして、フットスイッチ3はCPU14の制御の下で装置用切換器15で選択された動作モードの装置と電気的に接続されたのと等価な状態に設定できるようにしている。
【0020】
また、装置用切換器15での選択に連動して表示用切換器16の接点切換を行うことにより、モニタ装置6には装置用切換器15で選択された装置の動作モード表示部分を点灯させる等して選択された装置の動作モードが一目で分かるようにしている。
【0021】
例えば、上記モニタ装置6には図2或いは図3に示すように接続された装置の動作モードの表示を行う動作モード表示部17と、この動作モード表示部17の近傍に設けられた選択動作モード表示部18とが設けてある。
【0022】
図2ではESU2Aの接点aによる切開用動作モードが選択された状態を動作モード表示部18での点灯で示し、図3は図2の状態で選択用スイッチを操作した場合のESU2Aの接点bによる凝固用動作モードが選択された状態を選択動作モード表示部18での点灯で示している(図2及び図3では切開用動作モードをESU1、凝固用動作モードをESU2で表示している)。
【0023】
なお、本実施の形態では、モニタ装置6にはTVカメラ装置7からの映像信号も入力され、モニタ画面にはこの映像信号により対応する内視鏡画像19を表示する機能も兼ねている。
【0024】
そして、このように動作モードを選択した状態で、次に出力制御用スイッチ13を踏むと、装置用切換器15で選択された装置の動作モードで出力動作を行う命令が出力されるようにしている。
【0025】
本実施の形態では、医療処理等を行うESU2A等の複数の医療装置(医療機器)を備えた医療システム1において、その医療システム1を構成する制御装置4に複数の医療装置における任意の医療装置の動作モードを選択する選択用スイッチ12と選択された医療装置の動作モードでの動作のON/OFFを行わせる出力制御用スイッチ13とからなるフットスイッチ3を設けると共に、制御装置4に接続された全ての複数の医療装置の動作モードを表示する動作モード表示部17と、前記選択用スイッチ12により選択された医療装置の動作モードを選択的に(非点灯から点灯状態に)表示する選択動作モード表示部18とを表示手段5に設けていることが特徴となっている。
【0026】
そして、術者は表示手段5を見て一方の選択用スイッチ12を踏む操作するのみで、制御装置4に接続された全ての複数の医療装置における任意の動作モードに選択したことを容易に確認でき、その動作モードで処置を行う場合には他方の出力制御用スイッチ13を踏む操作を行うことでその動作モードで処置ができるようにしている。
【0027】
より具体的には、上記医療システム1は撮像手段を備え、この撮像手段で撮像した内視鏡画像19を表示手段5で表示する内視鏡装置7と共に、使用される複数の医療装置を備えた内視鏡システムであり、内視鏡画像19を表示する表示手段5を観察することにより、その観察状態で、視線を移すことなく、複数の医療装置における任意の動作モードに選択したことを内視鏡画像19の近傍に表示される選択動作モード表示部18により容易に確認でき、その動作モードで処置を行う場合には他方の出力制御用スイッチ13を踏む操作を行うことでその動作モードで処置ができるようにしている。
【0028】
次に本実施の形態の作用を説明する。
術者は、制御装置4にESU2A、UCC2B、レーザ装置2C、表示手段5を接続し、また表示手段5に内視鏡装置7のTVカメラ装置8を接続して図1の接続状態に設定し、各装置及び装置の電源をONすると、表示手段5を構成するモニタ装置6上には内視鏡装置7のTVカメラ装置8からの映像信号が入力され、モニタ装置6の表示面の中央に図2等に示すように内視鏡画像19を表示すると共に、各装置の動作モードが動作モード表示部17で表示される。
【0029】
この初期状態では、例えばCPU14は装置用切換器15の第1の接点aが選択された状態に設定する。この状態ではモニタ装置6では図2に示す状態となり、ESU1の動作モードが選択されていることが選択動作モード表示部18で(の点灯により)一目で分かる。
【0030】
次に、フットスイッチ3の選択用スイッチ12を一回踏むと、それに連動して選択動作モード表示部18が図2で動作モード表示部17の1つ下側に移動して、点灯する。つまり、図3の表示状態になる。この操作を繰り返して、一番下の動作モード表示部17に選択動作モード表示部18が表示されると、次は、一番上に移動する。
【0031】
次に、出力制御用スイッチ13を踏むと、選択動作モード表示部18が点灯している動作モードの装置から出力信号がその装置の処置具としてのメス先端に送られ、各種の治療処置を行うことができる。
【0032】
このようにフットスイッチ3を操作した場合の制御装置4による処理内容を図4を参照して説明する。
まず、ステップS1で制御装置4を構成するCPU14は選択用スイッチ12がONされたか否かを判断し、ONされたいない場合にはONされるのを待ち、ONされた場合にはその操作を受理する(ステップS2)。
【0033】
そして、ステップS3で装置用切換器15の切換えと、表示用切換器16の切換え(ステップS4)、モニタ装置6への表示命令(ステップS5)、選択動作モード表示部18の点灯(ステップS6)を行い、ステップS7でさらに選択用スイッチ12が押されたかを判断し、押された場合にはステップS2に戻り、押されていない場合にはステップS8の出力制御用スイッチ13の入力待ちとなる。
【0034】
この出力用スイッチ13がONされると、CPU14はその操作信号を受理し(ステップS9)、装置用切換器15で選択された装置の動作モードで、その装置に出力命令を出す(ステップS10)。
【0035】
そして、その装置から出力が行われ(ステップS11)、ステップS12で出力制御用スイッチ13がOFFにされたかを判断し、OFFにされていない場合には、ステップS10に戻り、出力制御用スイッチ13がOFFにされるまでステップS10、11の処理を繰り返す。
【0036】
そして、出力制御用スイッチ13がOFFにされるとCPU14は出力を停止させ(ステップS13)、ステップS1に戻り、さらに別のモード等で処置するかを待つ。
【0037】
本実施の形態は以下の効果を有する。
各装置の動作モードを1つの選択用スイッチ12で行うことができると共に、各装置の動作モードでの出力制御を1つの出力制御用スイッチ13によって行える、つまり2連のスイッチからなる1つのフットスイッチ3で動作モードの選択と選択された動作モードでの出力の制御とを行うことができるので、操作者の足元が整理できる(足元のスイッチの数を2連のスイッチのみで済むようにできる)。
【0038】
また、表示手段5に現在選択された動作モードを表示するので、足元に視線を落とす必要なく、自然な視線で早く、且つ操作者に負担を与えずに誤踏み防止の確率を高めることができる。
【0039】
なお、選択用スイッチ12は一定時間以上押し続けた場合には、所定定時間を単位として次々とONする接点が変わるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では表示手段5のモニタ装置6は内視鏡画像19を表示する機能と、動作モード表示部17及び選択動作モード表示部18の表示機能とを兼ねているが、別体にしても良く、この場合には両者を近接して配置して、内視鏡画像を観察している状態で視線を移すことなく、選択動作モード表示部18等の表示内容も容易に確認できることが望ましい。
【0040】
(第2の実施の形態)
図5は第2の実施の形態におけるフットスイッチ3を示す。第1の実施の形態では、足元に2つのスイッチ、つまり選択用スイッチ12と出力制御用スイッチ13を配置していたが、本実施の形態では、膝押しスイッチ部(ニースイッチ部)21と足踏みスイッチ部22に分離したものである。
【0041】
膝押しスイッチ部21は、高さ調整な可能なように支柱23に沿って動く摺動部材24に固定されている。摺動部材24は、支柱23との固定用に固定部材25が設けられている。
【0042】
膝押しスイッチ部21は、例えば選択用スイッチとして用いられ、足踏みスイッチ部22は、出力制御用スイッチとして用いられるが、それに限定されるものではない。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0043】
本実施の形態は以下の効果を有する。
足元に一つしかスイッチがないため、更に誤踏み防止の機能が向上する。その他は第1の実施の形態と同様に足元に視線を落とすことなく、自然な視線で、且つ操作者に負担を与えずに操作できる効果がある。
【0044】
(第3の実施の形態)
図6は第3の実施の形態におけるフットスイッチ3を示す。第2の実施の形態では、膝押しスイッチ部21を支柱23に固定していたが、本実施の形態では膝押しスイッチ部31を患者用ベッド32のレール部32に固定するようにしたものである。
【0045】
膝押しスイッチ部31は、レール部33接続用の嵌合部材34を有し、レール部33及び膝押しスイッチ部31は固定部材35で固定される。
また、膝押しスイッチ部31は信号線36を介して出力制御用スイッチ37に電気的に接続されている。
更に、膝押しスイッチ部31は図7に示すように高さ調節用手段38を有している。
【0046】
本実施の形態の作用は第2の実施の形態と同様である。
また、本実施の形態は以下の効果を有する。
第2の実施の形態と比較し、膝押しスイッチ部31をベッド32に取り付けたので、膝押しスイッチ部31のスイッチ部分の安定性が増す。その他は第2の実施の形態と同様の効果を有する。
【0047】
(第4の実施の形態)
図8は本発明の第4の実施の形態を備えた医療用システム41を示す。この医療用システム41では制御装置42には処置用出力装置43を構成する電気メス装置(ESU)43A、超音波凝固・切開装置(UCC)43B、レーザ装置43C、マイクロ波出力装置(MW)43Dと接続されると共に、フットスイッチ44、ハンドスイッチ45、TVカメラ装置46、表示手段47が接続されている。
【0048】
また、図9は図8における表示手段47を構成するモニタ装置48の詳細を示したものである。
モニタ装置48は、TVカメラ装置46の他に、各種治療等の処置用出力装置43の内、選択されているものを示す選択表示部49、その装置の動作のオン・オフを表示するオン・オフ表示部50及び各種装置の動作モードの詳細等の設定値を表示する設定値表示部51が設けられている。
【0049】
本実施の形態では手元で操作するハンドスイッチ45としては図10に示すようなローラスイッチとしても良い。このローラスイッチは中心軸Oの周りで回動可能な円筒状部材45aにフォトリフレクタなどのセンサ45bが近接して配置され、円筒状部材45aに設けた例えば黒色部45cでの無反射位置の検出により円筒状部材45aの回転量を測定し、1回転等したら変更する信号を制御装置42に出力する。
【0050】
また、制御装置42の具体的な構成を図11に示す。この制御装置42は図1の制御装置4に相当する制御部54と、フットスイッチ44及びハンドスイッチ45と制御部54との間に設けられたスイッチ入力部55と、出力装置43及びモニタ装置48とそれぞれ接続される第1及び第2通信回路56及び57と、TVカメラ装置46と接続される画像ミキシング回路58とを有する。
【0051】
制御部54はスイッチ用I/F59と、装置用I/F60と、表示手段用I/F61とからなり、スイッチ用I/F59はCPU64を有し、装置用I/F60は装置切換器65を有し、表示手段用I/F61は表示用切換器66を有する。
【0052】
CPU64は装置用切換器65の接点a〜fで選択された装置から第1通信回路56を介して出力設定信号67が入力される。
【0053】
また、CPU64は出力設定信号67を受け取ると、表示用切換器66を介して出力表示用信号68を第2通信回路57を介してモニタ装置48に出力するようにしている。
【0054】
本実施の形態では、例えばフットスイッチ44は、出力装置43の選択に使用され、踏む度に選択表示手段49がトグル状に順次点灯する。従って、本実施の形態ではフットスイッチ44は単一のスイッチのみからなる。
また、出力装置の出力制御は、ESU43Aからマイクロ波出力装置(MW)43Dの各種プローブに取り付け可能なハンドスイッチ45によって行うようにしている。
【0055】
次に本実施の形態の作用を説明する。図8或いは図9に示すように接続し、ハンドスイッチ45を実際に治療等の処置に使用する装置のプローブに装着する。そして、この医療システム41の電源をONすると、モニタ装置48の表示面の中央には内視鏡画像が表示され、例えばその隅部には、初期設定状態で選択されている装置が選択表示部49に表示される。
【0056】
選択表示部49に表示されている装置を使用する場合にはフットスイッチ44でさらに選択する必要はなく、選択表示部49に表示されている装置以外の装置を使用する場合には、フットスイッチ44を踏んで使用しようとする装置が選択表示部49で表示されるようにする。
【0057】
また、モニタ装置48には選択された装置の設定値が設定値表示部51で表示される。そして、設定値表示部51で表示された設定値で処置を行う場合には、ハンドスイッチ45を回転させる操作を行うことにより、スイッチ入力部55、CPU64を介してその装置に出力命令が出され、その装置を動作状態にして処置を行うことができる。
【0058】
この場合の制御装置42の処理手順を図12を参照して以下に説明する。図8或いは図9に示す状態に設定してシステム41の電源をONして制御装置42を動作状態に設定すると、図12に示すように最初のステップS21に示すようにCPU64はスイッチ入力部55を介して選択用スイッチ(本実施の形態ではフットスイッチ44)がONされたか否かを判断し、ONされない場合にはONされるまで待ち、ONされた場合にはその選択用スイッチの信号を受付け(ステップS22)、次に装置用切換器65の切換を行う(ステップS23)。
【0059】
そして、この装置用切換器65での選択により接続された接続装置からの出力設定信号67をCPU64は受信する(ステップS24)。そして、次のステップS25で表示用切換器66の切換を行い、出力設定信号67に対応した出力表示用信号68を表示用切換器66に送信し、表示用切換器66はこれを受信し(ステップS26)、モニタ装置48に伝達する(ステップS27)。
【0060】
そして、モニタ装置48に出力設定表示(ステップS28)と、出力選択表示(ステップS29)とを行う。つまり、モニタ装置48の設定値表示部51で設定値の表示を行うと共に、選択表示部49で選択された装置の表示を行う。これらの表示を行った後、ステップS30の出力制御用スイッチ(具体的にはハンドスイッチ45)がONされるのを待つ。
【0061】
そして、ONされた場合にはその信号をCPU64は受付け(ステップS31)、装置用切換器65で選択された接続装置に出力する命令を出す(ステップS32)と共に、モニタ装置48にON表示命令を出す(ステップS33)。つまり、接続装置に出力する命令を出すと共に、で選択された接続装置に対するオン・オフ表示部50におけるオフ表示をオン表示にする命令を出す。
【0062】
そして、接続装置は(その処置用エネルギを)出力(ステップS34)し、モニタ装置48でON表示(ステップS35)して、出力制御用スイッチがOFFかの判断を行い(ステップS36)、出力制御用スイッチがOFFになるまで、ステップS31〜S35の処理を繰り返す。
【0063】
そして出力制御用スイッチがOFFになったら出力とON表示とを停止(ステップS37)し、ステップS21に戻る。
【0064】
本実施の形態は以下の効果を有する。
装置選択は足、出力制御は手と区別し、且つ全ての出力が一組のフットスイッチとハンドスイッチで行えるので、誤動作を更に減少できる。
【0065】
更に、ローラースイッチを使用した場合、何度も踏まなくても容易に装置の選択が行える。
【0066】
なお、フットスイッチ44での選択が出力装置だけではなく、その出力装置の動作モードまで選択できるようになっていても良い。この場合、例えば電気メス切開、電気メス凝固等の選択が可能で、表示手段47(のモニタ装置)上にも同様に表示される。
【0067】
(第5の実施の形態)
次に本発明の第5の実施の形態を図13ないし図15を参照して説明する。本実施の形態は、第4の実施の形態の一部を変更したものである。図13に示すようにTVカメラ装置46からの画像は制御装置42には直接入力せず、制御装置42の信号と共にミキシング(混合)を行う画像ミキサ71に入力し、画像ミキサ71にて情報を画面にアドオンしてから表示手段47のモニタ装置48に表示するものである。
【0068】
図13の制御装置42に接続されるスイッチ類として、図14ではその具体例としてに一連のフットスイッチ44及び同じく一連のハンドスイッチ45に接続したユニット図を示す。また、図15では制御装置42内部のブロック図を示す。つまり、制御部54は画像用情報信号生成回路72を介して画像ミキサ71と接続されるようになっている。
【0069】
その他は、第4の実施の形態と同様であり同一の構成要素には同じ符号を付け、その説明を省略する。尚、本実施の形態のフットスイッチ44は一連のローラスイッチでも良い。
作用は第4の実施の形態と同様である。
【0070】
本実施の形態は以下の効果を有する。
市販の画像ミキサ等を使用することが可能となり、安価に実現できる。
更に、ローラースイッチを使用した場合、何度も踏まなくても容易に装置の選択が行える。その他は第4の実施の形態と同様である。
【0071】
(第6の実施の形態)
次に本発明の第6の実施の形態を図16ないし図18を参照して説明する。本実施の形態は、第4の実施の形態の一部を変更したものである。
図16に示すように、TVカメラ装置46の画像は制御装置42には入力せず、制御装置42からの出力情報は(表示手段47の)モニタ装置48とは別の情報表示手段74(の情報モニタ装置74a)に出力して表示する。情報表示手段74はモニタ装置48と一緒に見れるように、モニタ装置48と接続可能な構造となっている。
【0072】
尚、本実施の形態では出力装置43として、例えばUCC43B、ソノサージ装置43E、レーザ装置43C、MW装置43Dが制御装置42に接続されている。
図17に示すように、本実施の形態の入力スイッチはフットスイッチ75のみが取り付けられている。このフットスイッチ75は統合型フットスイッチであり、3連の構造となっている。
【0073】
3連の一つは、機能固定オン・オフスイッチ76で最も確実で緊急の止血を行える電気メス凝固出力のオン・オフが一般的に割り当てるが、特に、それ以外の止血可能な機能に固定されていても問題はない。他の2つは、一方がローラ回転式の機能選択スイッチ77で、もう一方がペダル式の出力制御スイッチ78である。
【0074】
制御装置42内部のブロック図は図15制御装置42において、その内部の画像用情報生成回路72が情報モニタ用信号生成回路80に変わり、接続先が画像ミキサ71から情報表示手段74を構成する情報モニタ装置74aに変わている。
【0075】
それ以外は同様の構成である。また、図18に示すように、フットスイッチ75に緊急停止させる信号のON/OFFを行う緊急停止スイッチ9を追加した4連のフットスイッチ75′にしても良い。
【0076】
本実施の形態は以下の効果を有する。
TVカメラ装置46及び表示手段47と情報モニタ装置74aが別体であるため、システムとして対応外のTVカメラ装置46及び表示手段47にも組み合わせ可能となり、汎用性が広がる。
【0077】
また、緊急時の止血機能を確保しながら、複数の装置の出力が一つのフットスイッチ75で行え、操作者の足元が整理できる。緊急停止スイッチ79を追加した場合、単一のスイッチにて緊急時の出力停止が可能となり、より安全性が向上する。
【0078】
(第7の実施の形態)
次に本発明の第7の実施の形態を図19を参照して説明する。本実施の形態は第6の実施の形態を一部変更したものであり、例えば図17において、フットスイッチ75を構成する3連のスイッチ76、77、78には所定の機能が割り付けられていたのを、この割付け方を可変設定する入力手段を付加したものである。
【0079】
図19に示すように制御装置42には入力手段82、例えばキーボード82Aが接続されており、この入力手段82により図16ないし図18の機能固定オン・オフスイッチの機能設定が行える。なお、図19では入力手段82としてキーボード82Aで示しているが、この他のマウス、パネルスイッチ等でも良い。
【0080】
その他は図17と同様の構成である。
【0081】
本実施の形態では入力手段82を操作して、フットスイッチ75における複数のスイッチ76、77、78に割り付ける機能を操作者の操作し易いと思うように、或いは操作者の好みに応じた割付けすることができる。その他は第6の実施の形態と同様の作用である。
【0082】
本実施の形態は以下の効果を有する。
自由に機能設定が行えるため、操作者の好みに応じたフットスイッチの設定が可能になる。その他は第6の実施の形態と同様の効果を有する。
なお、図18のフットスイッチ75′の場合にも同様に適用できる。
【0083】
(第8の実施の形態)
次に本発明の第8の実施の形態を図20を参照して説明する。本実施の形態は第4の実施の形態の一部を変更したものである。
この制御装置42は制御部54に第1通信回路56を介して接続された出力装置43の接続認識回路84をもつ。接続認識回路84の認識方法としては、各装置のコネクタのピンの接続有無判別や、装置の制御装置42への接続用ケーブル内に認識用信号ラインを設ける等で行う。
【0084】
接続された出力装置43から機能固定オン・オフスイッチの機能を自動設定する。例えば、第1優先選択が電気メス装置での凝固機能であるとすると、電気メス装置が接続されていない場合には、その凝固機能が選択設定されるように初期設定され(機能固定オン・オフスイッチの初期設定され)この電気メス装置が接続されていない場合には、第2優先であるレーザ装置でのレーザ処置機能が選択される(但し、レーザ装置が接続されている場合)。
【0085】
その他は第4の実施の形態の場合と同様の構成である。また、本実施の形態の作用は接続された出力装置43から接続認識回路84によりその接続を認識し、接続された装置内で優先度の高い装置に合わせた機能に固定(初期設定)を行う。その他は第4の実施の形態と同様である。
【0086】
本実施の形態は以下の効果を有する。
出力装置43の接続状況に合わせて、優先度の高い機能に自動的に割り当てることが可能となり、機構を変更する作業を削減でき、操作性を向上できる。その他は第4の実施の形態と同様の効果を有する。
【0087】
(第9の実施の形態)
次に本発明の第9の実施の形態を図21を参照して説明する。図21は本発明の第9の実施の形態を備えた医療システム85の構成を示す。
この医療システム85では制御装置86は表示手段用I/F手段87と装置用I/F手段88、フットマウス用I/F手段89で構成されている。また、制御装置86は、表示手段用I/F手段87、装置用I/F手段88、フットマウス用I/F手段89を介して表示手段90及び各種エネルギ治療用出力装置(具体的には電気メス装置91A、超音波切開・凝固装置91B、レーザ装置91C)と、フットマウス92と接続されている。
【0088】
また、表示手段90には図示しないTVカメラ装置からの映像信号が入力され、この映像信号に対応する内視鏡画像を表示するようになっている。
この表示手段90には、装置選択画面93及び選択された装置の装置操作画面94とを表示すると共に、マーカ96が表示される。フットマウス92にはマーカ96をXY方向に移動可能なジョグスイッチ97及び決定スイッチ98が設けられている。
【0089】
次に本実施の形態の作用を説明する。
フットマウス92のジョグスイッチ97により、マーカ96をXY方向の任意の位置に移動させて装置選択画面93ないし装置操作画面94の表示画面上でマーカ96を固定し、決定スイッチ98を押すことで遠隔操作が可能となる。
【0090】
電気メス91A、超音波切開・凝固装置91B、レーザー装置91Cの装置を選択する操作は装置選択画面93上で選択を希望する装置にマーカ96を固定し、決定スイッチ98を押すことで呼出しが可能となる。
【0091】
なお、図21での装置選択画面93では電気メス装置91Aを単にA、超音波切開・凝固装置91BをB、レーザー装置91CをCで簡略的に示しているが、より詳細に表示するようにしても良い。
【0092】
本実施の形態は以下の効果を有する。
一台のフットマウス92により、多種多様の装置の各種設定が遠隔操作で可能となる。
【0093】
なお、上述した各実施の形態等を部分的等で組み合わせて構成される実施の形態等も本発明に属する。
【0094】
[付記]
1.複数のスイッチを有し、且つ検査、診断、処置の少なくとも一つを行う医療機器の動作を、前記スイッチの切換えにより制御可能としている医療システム用制御装置において、
前記スイッチに設けた医療機器の動作を司る動作スイッチと、医療機器の動作モードを選択する選択スイッチと、
各医療機器の動作モードを表示する動作モード表示手段と前記選択スイッチの選択状態を表示する選択表示手段とを含む表示手段と、
を有し、前記選択スイッチの切換えに伴い動作モード表示手段が表示手段を選択的に移動することを特徴とする医療システム用制御装置。
【0095】
2.付記1に記載の医療システム用制御装置において、前記複数のスイッチが足元で操作するフットスイッチで構成されたことを特徴とする。
【0096】
3.付記1に記載の医療システム用制御装置において、前記複数のスイッチが足元で操作するフットスイッチと膝で操作するニースイッチとで構成されたことを特徴とする。
【0097】
4.付記1に記載の医療システム用制御装置において、前記複数のスイッチが足元で操作するフットスイッチと手元で操作するハンドスイッチで構成されたことを特徴とする。
【0098】
5.付記1に記載の医療システム用制御装置において、表示手段上に医療用機器の動作状態を示す動作状態表示手段を設けたことを特徴とする。
【0099】
6.付記1に記載の医療システム用制御装置において、医療用機器の動作を緊急停止する緊急停止スイッチを設けたことを特徴とする。
【0100】
7.付記1に記載の医療システム用制御装置において、複数のスイッチの動作割付を可変できる入力手段を設けたことを特徴とする。
【0101】
8.付記1に記載の医療システム用制御装置において、表示手段にマーカを設け、前記マーカをXY方向に移動可能にするジョグスイッチと動作モード表示手段近傍にマーカがある時その動作モードの選択決定を行う決定スイッチを設けたことを特徴とする。
【0102】
9.撮像手段を備えた内視鏡と、前記撮像手段による内視鏡画像を表示する画像表示手段とを備えた内視鏡装置と共に使用される複数の医療機器の動作をスイッチにより制御する内視鏡システム用制御装置において、
前記スイッチに設けた医療機器の動作/動作停止を指示する動作スイッチと、医療機器の動作モードを選択する選択スイッチと、
少なくとも前記画像表示手段の近傍に配置され、各医療機器の動作モードを表示する動作モード表示手段と前記選択スイッチのより選択された動作モードを選択的に表示する選択動作モード表示手段とを含む表示手段と、
を設けたことを特徴とする医療システム用制御装置。
【0103】
(付記9の作用効果)
内視鏡画像を表示する画像表示手段を観察することにより、選択スイッチなどの選択操作による動作モードを画像表示手段の近傍の選択動作モード表示手段で視線を移すことなく容易に確認でき、つまり内視鏡画像の観察状態で動作モードの選択設定を容易に確認できる状態で所望の動作モードで治療処置などができ、誤操作することを低減ないしは解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施の形態を備えた医療システムの構成図。
【図2】表示手段による表示例を示す図。
【図3】図2の状態で選択用スイッチを操作した場合の表示例を示す図。
【図4】フットスイッチを操作した場合の制御装置による処理手順を示すフローチャート図。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるフットスイッチを示す斜視図。
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるフットスイッチを示す側面図。
【図7】図6の膝押しスイッチ部を示す斜視図。
【図8】本発明の第4の実施の形態を備えた医療用システムを示すブロック図。
【図9】図8における表示手段をより詳細に示したブロック図。
【図10】ハンドスイッチに使用されるローラスイッチの構造の1例を示す図。
【図11】第4の実施の形態における制御装置の構成を示すブロック図。
【図12】第4の実施の形態における制御装置による処理手順を示すフローチャート図。
【図13】本発明の第5の実施の形態を備えた医療用システムの主要部の構成を示すブロック図。
【図14】図13における制御装置に接続されるスイッチ類を具体的に示したブロック図。
【図15】制御装置の構成を示すブロック図。
【図16】本発明の第6の実施の形態を備えた医療用システムの主要部の構成を示すブロック図。
【図17】本発明の第7の実施の形態を備えた医療用システムを示すブロック図。
【図18】第7の実施の形態の変形例におけるフットスイッチの構成例を示す図。
【図19】本発明の第7の実施の形態を備えた医療用システムの主要部の構成を示すブロック図。
【図20】本発明の第8の実施の形態の制御装置の構成を示すブロック図。
【図21】本発明の第9の実施の形態を備えた医療システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0105】
1…医療システム
2A…電気メス装置(ESU)
2B…超音波切開・凝固装置(UCC)
2C…レーザ装置
3…フットスイッチ
4…制御装置
5…表示手段
6…モニタ装置
7…内視鏡装置
8…TVカメラ
9…フットスイッチ用I/F
10…装置用I/F
11…表示手段用I/F
12…選択用スイッチ
13…出力制御用スイッチ
14…CPU
15…装置用切換器
16…表示用切換器
17…動作モード表示部
18…選択動作モード表示部
19…内視鏡画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機器における複数の動作を、操作手段の操作により制御可能とする医療システム用制御装置において、
前記操作手段に設けられた複数のスイッチと、
前記複数のスイッチにおける動作割付を設定する入力手段と、
前記入力手段の入力に応じて前記スイッチにおける動作割付を変更可能に制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする医療システム用制御装置。
【請求項2】
前記入力手段は、前記制御手段に接続されたキーボード、マウスまたは当該医療システム用制御装置本体のパネルスイッチのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の医療システム用制御装置。
【請求項3】
複数の医療機器における複数の動作を表示する動作表示手段と、
前記動作表示手段により表示された複数の動作から選択された少なくとも1つの動作を選択的に表示する選択表示手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載の医療システム用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−34523(P2009−34523A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236750(P2008−236750)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願平10−135462の分割
【原出願日】平成10年5月18日(1998.5.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】