説明

医療デバイスの保持を改善する表面相互作用

医療デバイスの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面をある官能基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を同一又は異なる官能基を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の結合を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[001]本発明は医療デバイスに関する。詳細には、本発明はステントデバイス及びバルーンカテーテルデバイスに関する。より詳細には、本発明は、これらの医療デバイスがステント供給システムとして組み立てられ、動物及びヒトの患者において病状を治療する様々な医療処置で使用される際の、これらの医療デバイス間の保持相互作用に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
[002]患者の病状を治療するための医療デバイスの使用が周知である。特に、医療デバイスは、血管内部で血流を妨げる病変を伴う血管病態を治療する際に使用されることが多い。これらの処置では一般に、医療デバイスを、血管系を通してアクセスし追跡することによって治療部位に送り込む必要がある。
【0003】
[003]これらのタイプの処置で使用される医療デバイスには、ステント供給システムがある。ステント供給システムは、一般に、バルーンカテーテル構成部品であるバルーンの上に配設されたステント構成部品(ベアメタル又は薬剤コーティングしたもの)を含む。ステント構成部品は、展開に先立って、保管及び治療部位への送達中にバルーン上で保持されていなければならない。
【0004】
[004]ステントをバルーン上で保持するための様々な方法がある。最も一般的に使用される方法は、ステントをバルーン上にかしめること(crimping)である。これはデバイス製造の一部であるプロセス中に行われ、又はステント供給システムを患者の体内に挿入する前に医師によって実施される。一般にステントのかしめプロセス(crimping process)は、ステントがバルーンを円周方向で包み込む際、ステントに加えられる内向きの径方向負荷を含む。径方向負荷によってステントとバルーンの表面が接触し、それによって生じる表面摩擦が保持力を生成する。かしめプロセスは、一般に、ある時間にわたってステント及びバルーン表面に加えられる温度及び圧力を含む。この方法の有効性は、ステント及びバルーンの摩擦特性によって、並びにステント及びバルーンの表面又は表面コーティングを損傷せずに加えることのできる圧力及び温度の限界によって、制限される。特に薬剤溶出ステントでは、高分子薬剤を含むコーティングは、コーティングの完全性、コーティングの溶出動態、及び薬物効力を大幅に損なわずにかしめプロセスで使用することのできる温度及び圧力を制限する。
【0005】
[005]かしめに加えて、保管及び送達中のステントの保持を改善する手段が開発されてきた。例えば、ステントの軸方向動作に抵抗する特徴がバルーン上に設けられている。例えば、バルーンの端部が、かしめたステント直径とほぼ同じ外径を有するピロー部分を形成するように修正されている。バルーンのピロー部分は、ステントが送達中に軸方向にスライドした場合、障害及び反応的負荷を形成することによってステントの軸方向動作に抵抗するためのものである。同様に、ステントの動作を妨げ、これに抵抗するように、バンプ、リッジ等の特徴がバルーン上に形成されている。この方法の欠点には、複雑なバルーン製造プロセス、バルーン材料の潜在的な脆弱性、及びシステムの断面形状の増大による送達性の低下がある。
【0006】
[006]ステントの保持を改善するための代替方法には、ステントをバルーンに結合するための接着剤の使用がある。この方法は、接着剤をステント、バルーン又はその両方に塗布するステップと、次いで構成部品の表面を接触させるステップとを含む。これによって得られる接着は、ステントの保管及び送達中にかかる位置ずれの力に抵抗することを目的とする。この方法の欠点には、バルーン材料の潜在的な脆弱性、展開中のステントパターンの過剰な変形、及びステントの送達及び展開中の追加ステップがある。
【0007】
[007]ステントの保持を改善するための別の解決法は、ステントを包囲するシースを設けることである。シースは、治療部位への送達後、ステントを展開する前にステントから除去される。この解決法は、保管及び送達中にステントにかかる位置ずれの負荷を低減することを目的とする。この解決法の欠点は、追加の送達ステップの必要性、及びシステムの断面形状の増大を含む。
【0008】
[008]本発明は、従来の解決法に伴う欠点を回避しながら、ステントの保持を改善することを目的とする。本発明の目的は、1つの医療デバイスの表面上に、別の医療デバイスの表面上に設けられたコーティングと相互作用するコーティングを設けることによって、医療デバイス間の保持を改善することである。本発明は、ステントの保持の増大と、従来の解決法に伴う、コーティングの完全性、コーティングの溶出動態、薬剤効力、バルーン材料の脆弱化、追加の展開ステップ、過剰な断面形状等の問題との潜在的な兼ね合いを回避する。
【発明の概要】
【0009】
[009]本発明の目的及び利点が説明され、以下の説明及び本発明の実施を通して明らかとなろう。
【0010】
[0010]これらの目的及び利点を達成するために、本発明によれば、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、水素結合供与体を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を適切な受容体原子又は分子を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の水素結合を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0011】
[0011]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、ホスト分子を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面をゲスト原子又は分子を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の共有結合を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0012】
[0012]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、供与体分子を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を、受容体を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の電子供与体−受容体錯体を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0013】
[0013]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、両性官能基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を、電荷を持つ官能性単位を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の電荷−双極子相互作用を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0014】
[0014]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、両性官能基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を双極子官能性単位を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の双極子−双極子相互作用を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0015】
[0015]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、電荷を持つ官能基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を、電荷を持つ官能性単位を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の電荷−電荷相互作用を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0016】
[0016]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、疎水性基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を、疎水性基を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の疎水性相互作用を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0017】
[0017]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を、ペンダント活性化カルボキシラート基を含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を、ペンダントアミン基を含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の過渡的な共有結合を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0018】
[0018]本発明の代替実施形態では、医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、ステントなど、1つの医療デバイスの表面を上記の供与体、受容体、原子、分子、及び基のいずれかを含むコーティングでコーティングするステップと、バルーンなど、別の医療デバイスの表面を上記の供与体、受容体、原子、分子、及び基のいずれかを含むコーティングでコーティングするステップとを含む。この方法は、表面間に複数の結合、相互作用、又は結合を生成し、それにより保持を改善するように、コーティング済み表面を相互作用させるステップをさらに含む。
【0019】
[0019]さらに本発明によれば、上記で述べた方法のいずれかで処理した表面を有する1つの医療デバイスと、上記で述べた方法のいずれかで処理した表面を有する別の医療デバイスとを含む、医療デバイスの組み合わせがあり、医療デバイスの表面コーティングは、医療デバイス間の保持を改善する複数の結合、相互作用、又は結合を形成するように相互作用する。
【0020】
[0020]さらに本発明によれば、上記で述べた医療デバイスは、ステント供給システムのステント及びバルーン構成部品を含む。
【0021】
[0021]上記及び他の利点をさらに理解するために、詳細な説明及び図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[0027]いくつかの特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明するが、説明は例示的なものであり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は好ましい実施形態に様々な修正を行うことができる。より良く理解するために、同様の構成要素は、様々な添付の図面全体にわたって同様の参照番号で示されていることに留意されたい。
【0023】
[0028]本発明によれば、双方の医療デバイスの表面をコーティングするステップと、コーティング済み表面間の結合、相互作用、結合を形成するように表面を相互作用させるステップとを含む、医療デバイスの表面間の保持を改善するための方法が提供される。本発明は、ステント供給システム70のステント10とバルーン60の間の保持力を増大するために特に有用であり、それにより血管を通るシステムの送達性が改善される。本発明は、以下の詳細な説明から明らかになる別の利点も有する。
【0024】
[0029]ここで図1を参照すると、ステント表面20を有するステント10が示されている。ステント10は、拡張されていない構成で示されており、これは切断されたままの構成を表す。ここで図2を参照すると、バルーンカテーテルデバイス50が示されている。この図面では、バルーンカテーテルデバイス50はオーバー・ザ・ワイヤタイプのカテーテルであるが、本発明の目的を満たすためにラピッド・エクスチェンジタイプのカテーテルとすることもできる。ここで図3を参照すると、バルーンカテーテルデバイス50の遠位端部分の上に配設されたバルーン60が示されている。バルーン60はバルーン表面62を有する。ここで図4を参照すると、ステント供給システム70の遠位端部分が示されている。ステント供給システム70は、かしめ及び熱硬化プロセスを経た後で互いに近接したステント10及びバルーン60を含む。ここで図5を参照すると、図4の線A−Aに沿った、本発明によるステント供給システム70の断面が示されている。ステント表面20及びバルーン表面62は、様々な表面相互作用点100で接触して示されている。
【0025】
[0030]本発明の例示的な実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を適切な水素結合供与体(A)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、水素結合供与体(A)は、ポリマーと結合するアルキルアルコール又はアミドN−H基である。
【0026】
[0031]さらに本発明によれば、この方法は、ステント表面20を適切な受容体分子(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、受容体分子(B)は、エステル、アミド、ヒドロキシアミド、ケトン、又はアルデヒドのカルボニルである。
【0027】
[0032]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。水素結合供与体(A)及び受容体分子(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の水素結合を生成するように相互作用する。水素結合の際、官能基A−Hと同じ又は異なる分子の原子又は原子の基Bの間に弱い結合を形成する。これらの多数の結合の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0028】
[0033]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の官能基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの官能基の予測距離を修正することができる。
【0029】
[0034]本発明によれば、上記の方法に従って製造されたステント10及びバルーンカテーテルデバイス50の組み合わせがある。医療デバイスの組み合わせは、ステント供給システム70を形成する。ステント供給システム70は、冠動脈疾患などの病状の治療に有用である。ステント供給システム70を血管系内に挿入し、例えば病変などの治療部位へと、血管系を通して送り込むことができる。保管及び送達中、ステント10には位置ずれの力がかかる。ステント10とバルーン60の間の保持の改善によってこれらの力に抵抗し、ステント10を治療部位へと効果的に送り込むよう確保することを助ける。
【0030】
[0035]特に、保持及びステントの位置ずれに対するステント供給システム70の抵抗の改善は、分岐血管を分岐ステント供給システムで治療する際、有用である。分岐ステント供給システムの場合、ステント10の一部のみをバルーン60上にかしめることができる。また、ステントの筋かい(stent strut)を通してガイドワイヤを配置することもでき、ステント10を標的部位へと送り込むとき、ステント10にさらに位置ずれの力をもたらす。したがって、ステント保持の改善は、効果的なステントの送達及び展開を容易にする際、重要な役割を果たす。
【0031】
[0036]ステント10は、定位置に来ると、バルーン60を膨張させることによって展開される。ステント10とバルーン60の間に形成された結合はこの展開によって切り離され、ステント10を拡張し治療部位内部で血管に並置することを可能にする。
【0032】
代替実施形態
[0037]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を適切なホスト分子(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、ホスト分子(A)は、ポリマーに結合するペンダントクラウンエーテル、ポダンド、ポリエーテル、置換ポリエーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、又はスフェランド単位である。
【0033】
[0038]さらに本実施形態によれば、この方法は、ステント表面20を適切なゲスト原子又は分子(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、ゲスト原子又は分子(B)は、ペンダントアルキルアンモニウム、置換アルキルアンモニウム、アリール、置換アリールアンモニウム、正電荷を持つ複素環化合物、金属カルボキシラート、金属フェノラート、金属ヒドロキサマート、又は他の金属有機塩の基からとする。
【0034】
[0039]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。ホスト分子(A)とゲスト原子又は分子(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間の多数のホスト−ゲスト相互作用を生成するように、相互作用する。ホスト−ゲスト相互作用(錯体)は、ホスト分子がゲスト原子又は分子と非共有結合相互作用を形成し、構造的にゲストの一部又は全部を包囲又は包接するように構成するときに起きる。このプロセスは錯体形成と呼ばれることが多い。これらの多数の相互作用の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0035】
[0040]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の官能基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの官能基の予測距離を修正することができる。
【0036】
代替実施形態
[0041]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を適切な受容体分子(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、受容体分子(A)は、ポリマーに結合して、共有結合するピクリン酸である。あるいは、受容体分子は、芳香族ニトロ化合物、無水物又はテトラシアノエチレンとすることができる。
【0037】
[0042]さらに本実施形態によれば、この方法は、ステント表面20を適切な供与体分子(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、供与体分子(B)は、芳香族炭化水素、芳香族アミン、脂肪族アミン、及びオレフィン基からとする。
【0038】
[0043]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。受容体分子(A)及び供与体分子(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の電子供与体−受容体(EDA)錯体を生成するように、相互作用する。EDA錯体は、供与体分子が非共有電子対(η供与体)若しくは二重結合又は芳香族系のπ軌道の電子対(π供与体)を与えるとき形成される。これらの多数の錯体の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0039】
[0044]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の官能基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの官能基の予測距離を修正することができる。
【0040】
代替実施形態
[0045]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を両性基(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、両性基(A)はホスホナートである。あるいは、両性基は、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、カルボナート、及びカルバマートなどのカルボニル基からとすることができる。さらに、両性基は、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキル又はアリールエーテルとすることができる。
【0041】
[0046]さらに本実施形態によれば、この方法は、電荷を持つ基(B)を有するポリマーでステント表面20をスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、電荷を持つ基(B)はPC1036などのホスホリルコリンである。あるいは、電荷を持つ基は、ホスホリルエタノールアミン、カルボキシラート、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、他の正電荷を持つ複素環化合物、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、又は安定化カルボアニオン基からとすることができる。
【0042】
[0047]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。両性基(A)及び電荷を持つ基(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の電荷−双極子相互作用を生成するように相互作用する。双極子は、カルボニル炭素原子の部分正電荷及びカルボニル酸素原子の部分負電荷など部分内部電荷分離を固有に有する、有機官能基中に存在する。これらの多数の電荷−双極子相互作用の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0043】
[0048]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の官能基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの官能基の予測距離を修正することができる。
【0044】
代替実施形態
[0049]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を、両性官能基(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、両性官能基(A)はホスホナートである。あるいは、両性官能基は、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、カルボナート、及びカルバマートなどのカルボニル基からとすることができる。さらに、両性官能基は、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキル又はアリールエーテルとすることができる。
【0045】
[0050]さらに本実施形態によれば、この方法は、ステント表面20を、両性官能性単位(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、両性官能性単位(B)はアミドである。あるいは、両性官能性単位は、ケトン、アルデヒド、エステル、カルボナート、及びカルバマートなどのカルボニル基からとすることができる。さらに、両性官能性単位は、ホスホナート、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキル又はアリールエーテルとすることができる。
【0046】
[0051]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。両性官能基(A)及び両性官能性単位(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の双極子−双極子相互作用を生成するように相互作用する。双極子は、カルボニル炭素原子の部分正電荷及びカルボニル酸素原子の部分負電荷など部分内部電荷分離を固有に有する、有機官能基中に存在する。これらの多数の双極子−双極子相互作用の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0047】
[0052]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の両性基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの両性基の予測距離を修正することができる。
【0048】
代替実施形態
[0053]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を電荷を持つ官能基(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、電荷を持つ官能基(A)はカルボキシラート基である。あるいは、電荷を持つ官能基は、エタノールアミン、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、又は安定カルボアニオンなど他の負電荷を持つ基とすることができる。さらに、電荷を持つ官能基は、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、及びホスホリルコリンなど正電荷を持つ基とすることができる。
【0049】
[0054]さらに本実施形態によれば、この方法はステント表面20を、電荷を持つ官能基(A)と同じ又は他の、電荷を持つ官能性単位(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、電荷を持つ官能性単位(B)は両性イオン性ホスホリルコリン単位である。さらに、電荷を持つ官能基は、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、及びホスホリルコリンなど別の正電荷を持つ基とすることができる。さらに、電荷を持つ官能基は、エタノールアミン、カルボキシラート、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、又は安定カルボアニオンなど負電荷を持つ基とすることができる。
【0050】
[0055]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。電荷を持つ官能基(A)及び電荷を持つ官能性単位(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の電荷−電荷相互作用を生成するように相互作用する。これらの多数の電荷−電荷相互作用の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0051】
[0056]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の電荷基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの電荷基の予測距離を修正することができる。
【0052】
代替実施形態
[0057]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を、疎水性基(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、疎水性基(A)はステアロイル基である。あるいは、疎水性基は長鎖アルキル、置換アルキル、脂肪酸、脂肪エステル、アリール、又はポリアリール単位とすることができる。
【0053】
[0058]さらに本実施形態によれば、この方法はステント表面20を、疎水性基(A)と同じ、別の疎水性基(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、疎水性基(B)はステアロイル基である。あるいは、疎水性基は長鎖アルキル、置換アルキル、脂肪酸、脂肪エステル、アリール、又はポリアリール単位とすることができる。
【0054】
[0059]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。疎水性基(A)及び疎水性基(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の疎水性相互作用を生成するように相互作用する。これらの多数の疎水性相互作用の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0055】
[0060]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の疎水性基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの疎水性基の予測距離を修正することができる。
【0056】
代替実施形態
[0061]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するための方法が提供される。この方法は、バルーン表面62を活性化状態の官能基(A)を有するポリマーの溶液又は懸濁液でスプレーコーティングするステップを含む。好ましくは、官能基(A)はペンダントカルボキシラート基である。
【0057】
[0062]さらに本実施形態によれば、この方法はステント表面20を、官能基(A)と反応することが可能な活性化状態の別の官能基(B)を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。好ましくは、官能基(B)はペンダントアミン基である。
【0058】
[0063]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。官能基(A)と官能基(B)は、ステント表面20とバルーン表面62の間に多数の過渡的な共有結合を生成するように、互いに反応する。これらの多数の共有結合の集合的強度により、2つの医療デバイス表面間の保持が増加することになる。
【0059】
[0064]あるいは、官能基を適用し、後で活性化することができる。さらに、追加の試薬を使用して、官能基間の反応を改善することができる。例えば、ハロゲン化アシルとアルコールとの反応におけるピリジンの使用である。
【0060】
[0065]さらに、エステル、アミド、炭素−炭素結合、チオエステル、チオアミド、ヒドロキサム酸、ヒドラゾン、セミカルバゾン、イミン、エーテル、チオエーテル、及びジスルフィドを形成するものを含む、多数の反応がステント保持を改善するために有用である。
【0061】
[0066]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、共有結合の数及びタイプを修正することによって達成することができる。
【0062】
代替実施形態
[0067]本発明の代替実施形態では、ステント供給システム70のステント表面20とバルーン表面62の間の保持を改善するために、上記で述べた方法を組み合わせることができる。
【0063】
[0068]本実施形態によれば、組み合わされた方法は、バルーン表面62をアミドN−H基などの水素結合供与体を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。あるいは、上記のコーティング方法のいずれかを使用して、バルーン表面62を修正することができる。
【0064】
[0069]この方法は、ゾタロリムスなど製剤的に許容される適切な薬剤の溶液をバルーン表面62に塗布するステップをさらに提供する。あるいは、デキサメタゾンをバルーン表面62に塗布することができる。
【0065】
[0070]本実施形態によれば、この方法は、ステント表面20をアミドカルボニルなど水素結合受容体基を有するポリマーでスプレーコーティングするステップをさらに含む。あるいは、上記のコーティング方法のいずれかを使用して、ステント表面20を修正することができる。
【0066】
[0071]この方法は、ステント表面20及びバルーン表面62を近接して配置し、それにより水素結合を形成するように、かしめ及び熱硬化ステップを使用するステップをさらに含む。さらに、ゾタロリムスの存在によって、接着を通してステント表面20とバルーン表面62の間のステント保持が改善される。
【0067】
[0072]本発明の代替実施形態では、医療デバイス表面間の全体的な保持力を調整することができる。これは、医療デバイス表面上の官能基の密度を修正することによって達成することができる。あるいは、(ペンダント基を利用して)ポリマー表面からの官能基の予測距離を修正することができる。さらに、ゾタロリムスの濃度を変化させることによって、保持を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】展開していない構成のステントを示す、本発明によるステント医療デバイスの斜視図である。
【図2】本発明によるバルーンカテーテル医療デバイスの平面図である。
【図3】バルーン構成部品が配設されていることを示す、本発明によるバルーンカテーテル医療デバイスの遠位端部分の部分斜視図である。
【図4】ステントがバルーン構成部品に配設されていることを示す、本発明によるステント供給システムの遠位端部分の部分平面図である。
【図5】ステントとバルーン表面の相互作用を示す、図4の線A−Aに沿った、本発明によるステント供給システムの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、水素結合供与体を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、適切な受容体原子又は分子を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の水素結合を生成するように、水素結合供与体(A)を含む前記表面と適切な受容体原子又は分子(B)を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記水素結合供与体が、アルキルアルコール、アミドN−H基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記適切な受容体原子又は分子が、エステル、アミド、ヒドロキシアミド、ケトン、アルデヒド、及びそれらの組み合わせのカルボニルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、水素結合供与体(A)を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、適切な受容体原子又は分子(B)を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の水素結合を生成するように、水素結合供与体(A)を含む前記表面が、適切な受容体原子又は分子(B)を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項6】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項5に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項7】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、ホスト分子を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、ゲスト原子又は分子を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数のホスト−ゲスト相互作用を生成するように、ホスト分子を含む前記表面とゲスト原子又は分子を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記ホスト分子が、ペンダントクラウンエーテル、ポダンド、ポリエーテル、置換ポリエーテル、クリプタンド、ヘミスフェランド、スフェランド単位、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ゲスト原子又は分子が、ペンダントアルキルアンモニウム、置換アルキルアンモニウム、アリール、置換アリールアンモニウム、正電荷を持つ複素環化合物、金属カルボキシラート、メタルフェノラート、金属ヒドロキサマート、金属有機塩の基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、ホスト分子を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、ゲスト原子又は分子を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数のホスト−ゲスト相互作用を生成するように、ホスト分子を含む前記表面が、ゲスト原子又は分子を含む前記表面と相互作用する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項12】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項11に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項13】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、供与体分子を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、受容体分子を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電子供与体−受容体錯体を生成するように、供与体分子を含む前記表面と適切な受容体を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記供与体分子が、芳香族炭化水素、芳香族アミン、脂肪族アミン、オレフィン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記供与体分子が非共有電子対を与える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記供与体分子がπ軌道の電子対を与える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記π軌道は二重結合系からとする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記π軌道は芳香族系からとする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記受容体分子が、ピクリン酸、芳香族ニトロ化合物、無水物、テトラシアノエチレン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、供与体分子を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、受容体を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電子供与体−受容体錯体を生成するように、供与体分子を含む前記表面が、受容体を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項22】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項21に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項23】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、両性官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、電荷を持つ官能性単位を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電荷−双極子相互作用を生成するように、両性官能基を含む前記表面と電荷を持つ官能性単位を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記両性官能基が、カルボニル、ホスファート基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記カルボニル基が、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、カルボナート、カルボマート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ホスファート基が、ホスホナート、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキルエーテル、アリールエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記電荷を持つ官能性単位が、ホスホリルコリン、ホスホリルエタノールアミン、カルボキシラート、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、正電荷を持つ複素環化合物、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、安定化カルボアニオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、両性官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、電荷を持つ官能性単位を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電荷−双極子相互作用を生成するように、両性官能基を含む前記表面が、電荷を持つ官能性単位を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項30】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項29に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項31】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、両性官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、双極子官能性単位を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の双極子−双極子相互作用を生成するように、両性官能基を含む前記表面と双極子官能性単位を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項32】
前記両性官能基が、カルボニル、ホスファート基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記カルボニル基が、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、カルボナート、カルボマート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ホスファート基が、ホスホナート、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキルエーテル、アリールエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記双極子官能性単位が、カルボニル、ホスファート基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記カルボニル基が、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、カルボナート、カルボマート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ホスファート基が、ホスホナート、ホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホンアミド、スルホン、ピリジンN−オキシド、アルキルエーテル、アリールエーテル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、両性官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、双極子官能性単位を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の双極子−双極子相互作用を生成するように、両性官能基を含む前記表面が、双極子官能性単位を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項40】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項39に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項41】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を向上させるための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、電荷を持つ官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、電荷を持つ官能性単位を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電荷−電荷相互作用を生成するように、電荷を持つ官能基を含む前記表面と電荷を持つ官能性単位を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項42】
前記電荷を持つ官能基が、両性イオン性ホスホリルコリン単位、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、ホスホリルコリン、エタノールアミン、カルボキシラート、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、安定化カルボアニオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記電荷を持つ官能性単位が、両性イオン性ホスホリルコリン単位、第四級アミン、プロトン化アミン、ピリジニウム化合物、ホスホリルコリン、エタノールアミン、カルボキシラート、フェノラート、ヒドロキサマート、チオカルボキシラート、スルファート、スルホナート、ホスファート、ホスホナート、スルフィド、安定化カルボアニオン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、電荷を持つ官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、電荷を持つ官能性単位を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の電荷−電荷相互作用を生成するように、電荷を持つ官能基を含む前記表面が、電荷を持つ官能性単位を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項46】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項45に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項47】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、疎水性基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、疎水性基を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の疎水性相互作用を生成するように、疎水性基を含む前記表面と疎水性基を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項48】
前記疎水性基が、長鎖アルキル単位、ステアロイル、置換アルキル、脂肪酸、脂肪エステル、アリール、ポリアリール単位、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、疎水性基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、疎水性基を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の疎水性相互作用を生成するように、疎水性基を含む前記表面が、疎水性基を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項51】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項50に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項52】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、第1の官能基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、第2の官能基を含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の過渡的な共有結合を生成するように、第1の官能基を含む前記表面と第2の官能基を含む前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項53】
前記第1の官能基がペンダントカルボキシラート基である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の官能基がペンダントアミン基である、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の官能基と前記第2の官能基の間の反応を改善する試薬を提供するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の官能基と前記第2の官能基を反応させて生成物を形成するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記生成物が、エステル、アミド、炭素−炭素結合、チオエステル、チオアミド、ヒドロキサム酸、ヒドラゾン、セミカルバゾン、イミン、エーテル、チオエーテル、ジスルフィド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、ペンダント活性化カルボキシラート基を含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、ペンダントアミン基を含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の過渡的な共有結合を生成するように、ペンダント活性化カルボキシラート基を含む前記表面が、ペンダントアミン基を含む前記表面と結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項60】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項59に記載の医療デバイスの組み合わせ。
【請求項61】
医療デバイスのコーティングの表面間の保持を改善するための方法であって、
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを用意するステップであり、1つの前記医療デバイスが、水素結合供与体(A−アルキルアルコール又はアミドN−H基)、ホスト分子(ペンダントクラウンエーテル単位)、供与体分子(非共有電子対(η供与体)若しくは二重結合又は芳香族系のπ軌道の電子対(π供与体)を与える)、両性官能基(カルボニル又はホスファート基)、電荷を持つ官能基(両性イオン性ホスホリルコリン単位又はホスホリルエタノールアミン)、疎水性基(長鎖アルキル単位)、ペンダント活性化カルボキシラート基、ペンダントアミン基の少なくとも1つを含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、水素結合供与体(A−アルキルアルコール又はアミドN−H基)、ホスト分子(ペンダントクラウンエーテル単位)、供与体分子(非共有電子対(η供与体)若しくは二重結合又は芳香族系のπ軌道の電子対(π供与体)を与える)、両性官能基(カルボニル又はホスファート基)、電荷を持つ官能基(両性イオン性ホスホリルコリン単位又はホスホリルエタノールアミン)、疎水性基(長鎖アルキル単位)、ペンダント活性化カルボキシラート基、ペンダントアミン基の少なくとも1つを含むコーティング表面を有する、ステップと、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の様々な結合を生成するように、前記表面を相互作用させるステップと
を含む方法。
【請求項62】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
それぞれが表面を有する複数のコーティング済み医療デバイスを含み、1つの前記医療デバイスが、水素結合供与体(A−アルキルアルコール又はアミドN−H基)、ホスト分子(ペンダントクラウンエーテル単位)、供与体分子(非共有電子対(η供与体)若しくは二重結合又は芳香族系のπ軌道の電子対(π供与体)を与える)、両性官能基(カルボニル又はホスファート基)、電荷を持つ官能基(両性イオン性ホスホリルコリン単位又はホスホリルエタノールアミン)、疎水性基(長鎖アルキル単位)、ペンダント活性化カルボキシラート基、ペンダントアミン基の少なくとも1つを含むコーティング表面を有し、別の医療デバイスが、水素結合供与体(A−アルキルアルコール又はアミドN−H基)、ホスト分子(ペンダントクラウンエーテル単位)、供与体分子(非共有電子対(η供与体)若しくは二重結合又は芳香族系のπ軌道の電子対(π供与体)を与える)、両性官能基(カルボニル又はホスファート基)、電荷を持つ官能基(両性イオン性ホスホリルコリン単位又はホスホリルエタノールアミン)、疎水性基(長鎖アルキル単位)、ペンダント活性化カルボキシラート基、ペンダントアミン基の少なくとも1つを含むコーティング表面を有し、
前記表面間に前記医療デバイス間の保持を改善するための複数の様々な結合を生成するように、ホスト分子を含む前記表面が、ゲスト原子又は分子を含む前記表面と共有結合する医療デバイスの組み合わせ。
【請求項64】
前記医療デバイスが、ステント及びバルーンからなる群から選択される、請求項63に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−535159(P2009−535159A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509648(P2009−509648)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/010481
【国際公開番号】WO2007/130366
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(507316642)アボット ラボラトリーズ (18)
【Fターム(参考)】