説明

医療台における支脚器支持構造

【課題】 取扱者、患者などに危険が及ばないように、支脚器を復動位置から支脚器使用可能状態まで迅速に往動させることができる医療台を提供する。
【解決手段】 支脚器が取り付けられる支持アーム26と、支持アーム26と同心状にかつ一体的に回動可能な第1の歯車41と、第1の歯車41に常時噛み合う第2の歯車43と、第1の歯車41と常時噛み合いかつ第2の歯車と通常は噛み合う第3の歯車46と、第2の歯車43との第3の歯車46の噛み合いを解除させる噛み合い解除手段48とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の脚部を支持するための支脚器と、この支脚器が取り付けられる支持アームと、この支持アームが回動可能に取り付けられる昇降基枠などの基枠とを備え、上記支持アームが往回動することによって、上記支脚器が中間復動位置などの復動位置から支脚器使用可能状態(換言すれば、患者が開脚姿勢などのために本来の支脚器として用いることができる高さ位置などにある状態)としての往動位置まで往動するように構成された、分娩台、検診台などの医療台における支脚器支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
患者の左右一対の脚部をそれぞれ支持するための左右一対の支脚器と、これら左右一対の支脚器がそれぞれ取り付けられている左右一対の支持アームと、これら左右一対の支持アームがそれぞれ回動可能に取り付けられている昇降基枠とを備えている分娩台は、例えば特許文献1に開示されているように、従来から知られている。そして、この特許文献1に開示されている分娩台(以下、「特許文献1の分娩台」という。)においては、モータに通電することによって、このモータの出力軸が回転するので、この回転がギヤ列を介して左右一対の支持アームのそれぞれに伝達される。このために、左右一対の支持アームのそれぞれが往回動するので、左右一対の支脚器のそれぞれは、水平状態としての復動位置から支脚器使用可能状態としての往動位置まで斜め上方に向って往動する。また、左右一対の支脚器のそれぞれは、上記水平状態においては、ベッド部分の補助台として機能する。
【特許文献1】特開2000−51293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の分娩台においては、左右一対の支脚器のそれぞれを水平状態またはヘッド状態としての復動位置から支脚器使用可能状態としての往動位置まで斜め上方に向って往動させるために、モータを駆動源として用いている。そして、左右一対の支脚器のそれぞれの斜め上方に向っての往動動作を迅速に行うようにすると、分娩台の取扱者、分娩台を使用する患者などのような分娩台の周囲の人にとっては危険である。このために、上記往動動作(換言すれば、ベッド状態から支脚器使用可能状態への移行)を比較的ゆっくりと行う必要があったから、緊急の分娩開始に合わせて、分娩台をベッド状態から支脚器使用可能状態(換言すれば、分娩状態)に迅速に移行させることはできなかった。
【特許文献1】特開2000−51293号公報
【0004】
本発明は、特許文献1の分娩台における上述のような欠点を比較的簡単な構成でもって解決するようにしたものである。
【特許文献1】特開2000−51293号公報
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、患者の脚部を支持するための支脚器と、この支脚器が取り付けられる支持アームと、この支持アームが回動可能に取り付けられる昇降基枠などの基枠とを備え、上記支持アームが往回動することによって、上記支脚器が中間復動位置などの復動位置から支脚器使用可能状態としての往動位置まで往動するように構成された、分娩台、検診台などの医療台における支脚器支持構造において、上記支持アームと同心状にかつ一体的に回動可能なように上記基枠に取り付けられる太陽歯車としての第1の歯車と、上記第1の歯車と常時噛み合うように上記基枠に回動可能に取り付けられる従動歯車としての第2の歯車と、上記第1の歯車と実質的に同一の回動中心を有するように上記基枠に回動可能に取り付けられる歯車取り付けレバーと、上記第1の歯車と常時噛み合うようにかつ上記第2の歯車と通常は噛み合うように上記歯車取り付けレバーに回動可能に取り付けられる遊星歯車としての第3の歯車と、上記第2の歯車に噛み合っている上記第3の歯車に上記第2の歯車との噛み合いを解除させるための噛み合い解除手段とを備えていることを特徴とする支脚器支持構造に係るものである。
【0006】
本発明は、その第1の観点によれば、上記支脚器が左右一対設けられ、上記支持アーム、上記第1の歯車、上記第2の歯車、上記歯車取り付けレバー、上記第3の歯車および上記噛み合い解除手段のそれぞれが、上記左右一対の支脚器のそれぞれのために、上記左右一対ずつ備えられているのが好ましい。また、本発明は、その第2の観点によれば、上記噛み合い解除手段が取扱者によって操作されることができる噛み合い解除用操作レバーなどの噛み合い解除用操作部材であるのが好ましい。
【0007】
また、本発明は、その第3の観点によれば、上記支脚器の上記復動位置が中間復動位置であり、上記支脚器が上記中間復動位置から最終復動位置などの第2の復動位置までさらに復動することができるように構成され、上記支脚器が上記第2の復動位置においてはベッド部分の補助台として機能するように構成されているのが好ましい。また、本発明のこの第3の観点においては、上記支脚器の上記第2の復動位置から上記往動位置への往動動作が、上記支脚器がその上側表面を変更させるための向き変え動作と、上記支脚器がその基端部側に対してその先端部側を下降させる動作と、上記支脚器が上記支持アームの往回動によって持ち上げられる動作とを含んでいるのが好ましい。この場合、上記第2の復動位置においては、上記支脚器の上記上側表面が上記補助台の上側表面として機能することができるようにほぼ平坦な面に構成され、上記支脚器が上記向き変え動作を行った後には、上記支脚器の上記上側表面が、上記ほぼ平坦な面から、凹部を有する脚乗せ面に変更されるように構成されているのがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医療台の取扱者が支脚器を手で持って復動位置から支脚器使用可能位置状態まで迅速に往動させることができる。特に、上記取扱者は、自分自身、医療台を使用する患者などの医療台の周囲の人に危険が及ばないように、支脚器を迅速に往動させることが可能である。したがって、緊急の分娩開始などの緊急の診療事態に合わせて支脚器を復動位置から支脚器使用可能状態に安全かつ迅速に移行させることができる。
【0009】
また、請求項2に係る発明によれば、医療台を使用する患者が左右一対の脚部を支脚器使用可能状態にある左右一対の支脚器にそれぞれ支持させることができるから、患者が容易に開脚姿勢になることができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明によれば、医療台の取扱者が噛み合い解除用操作部材を操作することによって、第2の歯車との第3の歯車の噛み合いを解除させて支持アーム(ひいては、支脚器)を復動可能な状態にすることができるから、支脚器の復動を簡単かつ安全に行うことができる。
【0011】
また、請求項4に係る発明によれば、支脚器をベッド部分の補助台として使用することができるから、ベッド部分の構成を合理化することができ、しかも、患者をベッド部分に容易に導入させることができる。
【0012】
また、請求項5に係る発明によれば、支脚器がその上側表面を変更させるための向き変え動作と、支脚器がその基端部側に対してその先端部側を下降させる動作とがそれぞれ行われるから、支脚器の第2の復動位置から往動位置への複雑な往動動作を円滑に行うことができる。
【0013】
さらに、請求項6に係る発明によれば、支脚器が、ベッド部分の補助台としての機能と、本来の支脚器しての機能との両方を良好に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、本発明を分娩台に適用した一実施例を、「1、分娩台の概略的な構成」、「2、支脚器支持構造の構成」、「3、児受け台支持構造の構成」、「4、分娩台の概略的な動作」、「5、支脚器支持構造の動作」および「6、児受け台支持構造の動作」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
1、分娩台の概略的な構成
分娩台1は、図1〜図18に示すように、産科などの診療室の床面上などに設置されるキャスタ付き下側基枠2を備えている。したがって、この下側基枠2は、例えばその四隅にそれぞれキャスタ3を有している。そして、これらのキャスタ3は、上記床面上に配置されるように構成されている。さらに、キャスタ付き下側基枠2上には、昇降基枠4が例えば前後一対の周知の昇降機構5a、5bを介して配設されている。これらの昇降機構5a、5bは、例えば、モータ駆動される送りねじ機構であってよい。
【0016】
昇降基枠4は、図16〜図18に示すように、偏平な箱型形状の枠体であってよい。そして、前側の昇降機構5aには、昇降基枠4の前側部分が前側の支軸6によって回動可能に軸支されている。また、後側の昇降機構5bには、昇降基枠4の後側部分が後側の支軸(図示せず)によって回動可能にかつ前後方向に移動可能に軸支されている。したがって、前側の支軸6は、昇降基枠4の前側部分に設けられたほぼ円形状の孔に挿入されている。また、上記後側支持軸は、昇降基枠4の後側部分にほぼ水平方向に延在するように設けられた長孔(図示せず)に挿入されている。
【0017】
昇降基枠4の前側部分の上端付近には、図16〜図18に示すように、患者の背部を支持するための背もたれ11の前端部が支軸12によって回動可能に軸支されている。そして、昇降基枠4の後側部分には、背もたれ11を傾動させるための油圧シリンダなどの作動手段13が取り付け固定されている。また、作動手段13の作動アーム14の先端部は、支軸15によって背もたれ11の前後方向におけるほぼ中間の部分に軸支されている。さらに、昇降基枠4の前端部付近には、図1および図2に示すように、患者の臀部を支持するための座板16が取り付け固定されている。
【0018】
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態であるときには、座板16の前方には、後側の児受け台21および前側の児受け台22がこの座板16の前端付近に隣接して順次配置される。なお、これらの後側児受け台21および前側児受け台22から成りかつ分娩によって患者から生まれ出てくる新生児を受けるための児受け台20の支持構造の構成については、次々項の「3、児受け台支持構造の構成」において詳述する。また、分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態であるときには、児受け台20の左右両側には、左右一対の支脚器23、24がこの児受け台20に隣接してそれぞれ配置される。なお、これら左右一対の支脚器23、24の支持構造の構成については、次項の「2、支脚器支持構造の構成」において詳述する。
【0019】
2、支脚器支持構造の構成
左側支脚器23の支持構造と右側支脚器24の支持構造とは、図13などに示すように、分娩台1の前後方向に延在する中心線L(図2参照)を対称軸として、実質的に互いに左右対称的に構成されている。したがって、以下において、右側支脚器24の支持構造の構成について図19〜図25を参照しつつ説明し、左側支脚器23の支持構造の構成についての説明は、適宜省略する。
【0020】
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態であるときの右側支脚器24が、図22に示されている。そして、この右側支脚器24は、図22に示すように、方向転換機構25を介して右側支脚器用の右側支持アーム26の一端部側(換言すれば、先端部側)に連結されている。また、この支持アーム26の他端部側(換言すれば、基端部側)は、図19に示すように、昇降基枠4に支軸27によって回動可能に軸支されている。さらに、支持アーム26の上記一端部側には、支軸(以下、「第1の軸」という。)31が固着されている。そして、この第1の軸31が軸受部材32の第1の軸受部33に回動可能に軸支されているので、軸受部材32は、支持アーム26に第1の軸31を介して回動可能に取り付けられている。なお、第1の軸31の軸心は、図1〜図3に示すベッド状態において、後方から前方に向かうにしたがって外方(換言すれば、右側)に向かって多少傾斜しているのが好ましい。このために、支持アーム26の先端部側には、屈曲部26aが設けられている。そして、第1の軸31がこの屈曲部26aに回動可能に軸支されている。また、第1の軸31の一端面には、ストッパ部材37が固着されている。そして、このストッパ部材37には、図23に示すように、支脚器フレーム36の復回動位置を規制することができるストッパ面38が設けられている。
【0021】
分娩台1が図1〜図3、図19、図22および図23に示すベッド状態であるときには、分娩台1の前後方向に延在する中心線Lは、図示の実施例においては、支持アーム26の長さ方向に延在する中心線Lと実質的に同方向(換言すれば、ほぼ平行)である。なお、第1の軸31の軸心方向Lが中心線LまたはLと成す角度θ(図22参照)は、図示の実施例においては、図2および図22に示すように平面的に見て約20°であり、図3および図23に示すように側面的に見て約0°である。そして、上記角度θは、実用性の観点から見て一般的に、平面的に見て、10°〜30°の範囲であるのが好ましく、15°〜25°の範囲であるのがさらに好ましく、側面的に見て、−10°〜10°の範囲であるのが好ましく、−5°〜5°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0022】
軸受部材32は、図22〜図25に示すように、第2の軸受部34をさらに備えている。そして、この第2の軸受部34には、支軸(以下、「第2の軸」という。)35が回動可能に軸支されている。また、この第2の軸35には、支脚器24が一体的に取り付けられている支脚器フレーム36が回動可能に軸支されている。この場合、支脚器フレーム36が第2の軸受部34(換言すれば、軸受部材32)に対して回動可能に構成されていれば、支軸35が第2の軸受部34または支脚器フレーム36に固着されていてもよい。なお、第2の軸35の軸心は、図1〜図3に示すベッド状態においては、ほぼ垂直方向に延在していてよい。しかし、第2の軸35の軸心方向L(図23参照)が、図1〜図3に示すベッド状態において、垂直方向に対していずれかの方向に多少傾斜していてもよい。そして、この傾斜角度は、実用性の観点から見て一般的に、0°〜10°の範囲であるのが好ましく、0°〜5°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0023】
軸受部材32には、支脚器24が図10〜図12に示す第2の移行段階および図13〜図15に示す支脚器使用可能状態のいずれとも異なる状態にあるときに、軸受部材32に対する支脚器フレーム36の回動をロックするロック機構51が設けられている。そして、このロック機構51は、図22および図25に示すように、上記ロックを解除するために操作される操作部材としての操作レバー52を備えている。なお、ロック機構51は、操作レバー52の往復回動に応じて、支脚器フレーム36に設けられた被係合部(例えば、被係合孔またはロックピン−図示せず)と、この被係合部に選択的に係合するために操作レバー52に設けられた係合部(例えば、ロックピンまたは被係合孔−図示せず)とから成る凹凸係合機構などの係合機構を備えていてよい。したがって、方向転換機構25は、第1および第2の軸31、35、軸受部材32、支脚器フレーム36、ストッパ部材37ならびにロック機構51から構成されている。
【0024】
支持アーム26の基端部は、図19〜図21に示すように、太陽歯車または第1の歯車としての大歯車41によって構成されている。したがって、支持アーム26は、アーム本体42と、このアーム本体42の基端部側に固着されている大歯車41とから構成されている。そして、大歯車41は、昇降基枠4に支軸27によって回動可能に軸支されている。また、昇降基枠4には、従動歯車または第2の歯車としての小歯車43が大歯車41に常時噛み合うように支軸44によって回動可能に軸支されている。さらに、昇降基枠4には、歯車取り付けレバー45の基端部が支軸27によって回動可能に軸支されている。したがって、大歯車41と歯車取り付けレバー45とは、共通の回動中心(換言すれば、支軸27の軸心)を有するとともに、互いに別個に回動し得るように構成されている。そして、歯車取り付けレバー45には、遊星歯車または第3の歯車としての小歯車46が大歯車41に常時噛み合うように支軸47によって回動可能に軸支されている。また、遊星歯車46は、常時は(換言すれば、通常は)、歯車取り付けレバー45などの自重によって、支軸27を支点として図19における時計方向に回動した位置にあって、従動歯車43に噛み合っている。さらに、歯車取り付けレバー45の先端部側には、従動歯車43に対する遊星歯車46の噛み合いを解除するための噛み合い解除手段または噛み合い解除用操作部材としての噛み合い解除用操作レバー48が取り付けられている。
【0025】
3、児受け台支持構造の構成
児受け台支持構造は、図18および図26に示すように、昇降基枠4のほぼ内部においてこの昇降基枠4にほぼ水平方向に往復動し得るように配設された児受け基枠53を備えている。そして、児受け基枠53の前方側のほぼ斜め上方には、後側児受け台21がリンク機構54によって支持されている。なお、このリンク機構54は、左右一対の後側リンク55と左右一対の前側リンク56とから構成されていてよい。そして、児受け基枠53の前部下方には補助枠61が設けられている。また、この補助枠61と後側児受け台21との間には、ガススプリングなどの作動手段62が配設されている。さらに、補助枠61と後側児受け台21との間には、選択的に伸縮可能なストッパ部材63が同様に配設されている。なお、このストッパ部材63は、図13に示す操作部64を操作したときに、ロック解除されて、伸縮可能な状態になる。
【0026】
後側児受け台21には、図26に示すように、前側児受け台22が例えば左右一対の支軸65によって回動可能に軸支されている。そして、後側児受け台21と前側児受け台22との間には、選択的に伸縮可能なストッパ部材66が配設されている。なお、このストッパ部材66は、前側児受け台22の下部から後側児受け台21の下部に向って斜め下方に延在していてよい。また、このストッパ部材66は、図13および図26に示す左右一対の操作部67a、67bのうちの少なくとも一方を操作したときに、ロック解除されて、伸縮可能な状態になる。さらに、昇降基枠4と児受け基枠53との間には、ストッパ部材63、66と実質的に同一の構成であってよい選択的に伸縮可能なストッパ部材68が配設されている。なお、このストッパ部材68は、分娩台1の中心線Lに対してほぼ平行に延在していてよい。また、このストッパ部材68は、図13に示す操作部64を操作したときに、ストッパ部材63と同様にロック解除されて伸縮可能な状態になる。
【0027】
4、分娩台の概略的な動作
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときや図13〜図15に示す仰臥位での支脚器使用可能状態にあるときなどの総ての状態にあるときに、前側昇降機構5aおよび後側昇降機構5bのいずれか一方または両方を作動させることによって、昇降基枠4の前側部分および後側部分のいずれか一方または両方を昇降させることができる。例えば、分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときに、フットスイッチ機構などのスイッチ機構(図示せず)の所定のスイッチを操作して、昇降基枠(ひいては、背もたれ11、座板16、児受け台20および左右一対の支脚器23、24のような主要な構成部材がそれぞれ取り付けられている基枠)4をほぼ水平な状態を保って上昇させることによって、背もたれ11、座板16、児受け台20および左右一対の支脚器23、24から成るベッド部分28の位置を図4に示すように高くする高さ調節を行うことができる。そして、図4に示す状態において、後側昇降機構5bを同様に逆方向に作動させて昇降基枠4の後側部分を下降させることによって、ベッド部分28を図5に示すように前方から後方に向かって下方に任意の角度で傾斜させた状態にすることができる。また、図4に示す状態において、前側昇降機構5aを同様に逆方向に作動させて昇降基枠4の前側部分を下降させることによって、ベッド部分28を図6に示すように後方から前方に向かって下方に任意の角度で傾斜させた状態にすることができる。さらに、図4に示す状態において、前側昇降機構5aおよび後側昇降機構5bの両方を同様に逆方向に作動させて昇降基枠4の前側部分および後側部分の両方を下降させることによって、ベッド部分28の位置を図1〜図3に示すように低くする高さ調節を行うことができる。
【0028】
図1〜図3に示すようにほぼ水平な状態に倒伏している背もたれ11は、後端部側を上昇させることによって、任意の角度の傾斜状態などに起立させることができる。この場合、前記スイッチ機構の所定のスイッチを操作すると、作動手段13の作動アーム14が次第に伸長するので、背もたれ11を図16〜図18に示すように任意の角度の傾斜状態まで起立させて起立位置に持ち来たらすことができる。そして、この起立位置において、前記スイッチ機構の所定のスイッチを操作することによって、背もたれ11を上記傾斜が小さくなるように図1〜図3に示すほぼ水平な状態までの任意の位置まで倒伏させることができる。また、図示の実施例においては、座板16は昇降基枠4に固定されているが、座板16も必要に応じて任意の位置または任意の状態に移動可能に構成することができる。なお、児受け台20の支持構造の動作については、次々項の「6、児受け台支持構造の動作」において詳述する。また、左右一対の支脚器23、24の支持構造の動作については、次項の「5、支脚器支持構造の動作」において詳述する。
【0029】
5、支脚器支持構造の動作
左側支脚器23の支持構造と右側支脚器24の支持構造とは、分娩台1の中心線Lを対称軸として、実質的に互いに左右対称的に動作する。したがって、以下において、右側支脚器24の支持構造の動作については、図19〜図25を参照しつつ詳細に説明し、左側支脚器23の支持構造の動作についての具体的な説明は、適宜省略する。
【0030】
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときに、分娩台1の取扱者(以下、単に「取扱者」という。)は、左右一対の支脚器23、24を順次または同時に図13〜図15に示す支脚器使用可能状態に移行させることができる。この点を右側支脚器24について説明すると、取扱者は、まず、図1〜図3、図22および図23に示す状態にある右側支脚器24を手でつかんで第1の軸31の軸心Lを支点としてほぼ外側(すなわち、ほぼ右側)に向かってほぼ90°往回動させることによって、右側支脚器24を図7〜図9および図24に示す第1の移行段階に移行させる。なお、分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときには、図23に示すように、支脚器フレーム36の被ストッパ部71がストッパ部材37のストッパ面38に当接することによって、第1の軸31の軸心Lを支点とする支脚器フレーム36の復回動方向の位置が規制されている。そして、上述のように右側支脚器24がほぼ90°往回動すると、図24に示すように、支脚器フレーム36の被ストッパ部72がストッパ部材37のストッパ面73に当接することによって、支脚器フレーム36の往回動方向の位置が規制される。また、この状態においては、右側支脚器24の脚乗せ面74が図7および図8に示すようにほぼ上方に向けられる。
【0031】
分娩台1が図1〜図3に示すベッド状態にあるときには、左側および右側支脚器23、24は、ベッド部分2の補助台として機能し得るように、ほぼ平坦な面70を上側表面にしている。したがって、このベッド状態にあるときには、背もたれ11、座板16、児受け台20および左右一対の支脚器23、24のそれぞれの上側表面は、図1〜図3に示すように、互いにほぼ同一の高さであるとともに、ほぼ平坦であるので、ベッド部分28は、全体として、ほぼ平坦な上側表面を有している。そして、左側および右側支脚器23、24は、上述のようにほぼ90°往回動して図7〜図9および図24に示す第1の移行段階に移行したときには、患者の脚部を乗せるのに適した凹部77を有する脚乗せ面74を上側表面にする。なお、右側支脚器24が第1の軸31を支点として往回動する角度は、図示の実施例においては、約90°である。そして、上記往回動の角度は、実用性の観点から見て一般的に、80°〜100°の範囲であるのが好ましく、85°〜95°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0032】
ついで、取扱者が図7〜図9に示すように第1の移行段階にある右側支脚器24の操作レバー52を手で持って往動させると、操作レバー52は、その回動中心を支点として図25に示す鎖線位置から図25の時計方向へと往動する。したがって、ロック機構51における前記被係合部に対する前記係合部の係合が解除されるので、右側支脚器24は、自重などによって、第2の軸35を支点として図25に示す鎖線位置から図10〜図12および図25の実線位置へと図25の時計方向に往回動する。そして、この状態においては、支脚器フレーム36の被ストッパ部76が図25に示すようにストッパ部材37のストッパ面75に当接することによって、支脚器フレーム36の往回動方向の位置が規制される。なお、図1〜図3に示す分娩台1のベッド状態、図7〜図9に示す右側支脚器24の第1の移行段階および図10〜図12に示す第2の移行段階においては、支持アーム26を支軸27を支点として特に往復回動させてはいないので、支持アーム26の回動中心付近は図19に示す状態を実質的に保持している。また、左側および右側支脚器23、24が第2の軸35を支点として往回動する角度θ(図25参照)は、図示の実施例においては、約58°である。そして、上記往回動の角度θは、実用性の観点から見て一般的に、40°〜75°の範囲であるのが好ましく、50°〜65°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0033】
ついで、取扱者が図10〜図12に示す第2の移行段階にある右側支脚器24を支軸27(図19参照)を支点として手で適当な高さまでほぼ上方へ持ち上げると、図13〜図15に示す支脚器使用状態が得られる。この場合、右側支脚器24と支持アーム26との間に介在している方向転換機構25は、右側支脚器24と同様に単に往回動するだけであって、特に別の動作をすることはない。一方、図19に示す歯車41、43、46は、支持アーム26が図19に示す復回動位置から図20に示す往回動位置へと往回動するので、つぎのように動作する。すなわち、支持アーム26が上述のように往回動し始めると、大歯車41が支軸27を支点として図19の反時計方向に往回動しようとするから、従動歯車43も支軸44を支点として図19の時計方向に回動しようとする。このとき、遊星歯車46は、大歯車41によって支軸47を支点として図19の時計方向に回動駆動されようとするとともに、従動歯車43によって支軸47を支点として図19の反時計方向に回動駆動されようとする。このために、遊星歯車46は、歯車取り付けレバー45をともなって、支軸27の回りを図19の反時計方向に多少公転するので、従動歯車43との噛み合いを解消する。したがって、大歯車41は支軸27を支点として図19の反時計方向に往回動するので、支持アーム26は支軸27を支点として図19に示す復回動位置から図20に示す往回動位置へと往回動する。そして、取扱者が持ち上げた高さに応じて右側支脚器24が所定の高さに位置保持される。この位置保持に際しては、歯車取り付けレバー45は、遊星歯車46、歯車取り付けレバー45および操作レバー48の自重によって、支軸27を支点として図19の時計方向に復回動するので、遊星歯車46は、図20に示すように、従動歯車44に再び噛み合う。したがって、支持アーム26は、これら3つの歯車41、44、46が相互に噛み合っていることによって、図20に示す状態に確実に保持される。
【0034】
図19に示す支持アーム26が支軸27を支点として例えばほぼ水平な復回動位置から往回動する角度は、その最大往回動角度θ(図20参照)を規制されているのが好ましい。このために、支持アーム26の復回動位置を規制するための復回動用の被ストッパ39と、支持アーム26の最大往回動位置を規制するための往回動用の被ストッパ40とが、支持アーム26(具体的には、大歯車41)にそれぞれ配設されている。また、昇降基枠4には、これらのストッパ39、40がそれぞれ当接して位置規制されるストッパ50が、配設されている。なお、支持アーム26が図19に示す復回動位置から支軸27を支点として往回動する最大往回動角度θは、図示の実施例においては、約50°である。そして、上記最大往回動角度θは、実用性の観点から見て一般的に、40°〜60°の範囲であるのが好ましく、45°〜55°の範囲であるのがさらに好ましい。また、図19に示す復回動位置にある支持アーム26の長さ方向に延在する中心線Lが分娩台1の前後方向に延在する中心線Lと成す角度(具体的には、側方から見た角度)は、図示の実施例においては、ほぼ0°である。そして、この中心線Lが中心線Lと成す上記角度は、実用性の観点から見て一般的に、−10°〜10°の範囲であるのが好ましく、−5°〜5°の範囲であるのがさらに好ましい。
【0035】
図13〜図15に示す支脚器使用可能状態において、右側支脚器24を図1〜図3に示すベッド状態に戻すときには、取扱者は、まず、図20に示す操作レバー48を支軸27を支点として図20の反時計方向に回動させる。この回動によって、図21に示すように、遊星歯車46は、従動歯車44から離間して、この従動歯車44との噛み合いを解消する。このために、支持アーム26は、この支持アーム26、右側支脚器24などの自重によって、支軸27を支点として図21の時計方向に図19に示す復回動位置まで回動する。この復回動の際に、この復回動が急激に行われないためのダンパ(図示せず)を設けることができる。この結果、右側支脚器24は、図13〜図15に示す支脚器使用可能状態から図10〜図12に示す前記第2の移行段階へと移行する。この移行の際には、図22〜図25に示すように右側支脚器24と支持アーム26との間に介在している方向転換機構25は、右側支脚器24と同様に単に復回動するだけであって、特に別の動作を行うことはない。
【0036】
右側支脚器24が図10〜図12に示す前記第2の移行段階から図7〜図9に示す前記第1の移行段階に移行するときには、右側支脚器24の支持機構においては、この第1の移行段階から上記第2の移行段階に移行するときとはちょうど逆の動作が行われる。また、右側支脚器24が図7〜図9に示す前記第1の移行段階から図1〜図3に示すベッド状態に移行するときには、右側支脚器24の支持機構においては、このベッド状態から上記第1の移行段階に移行するときとはちょうど逆の動作が行われる。
【0037】
6、児受け台支持構造の動作
図13〜図15に示す支脚器使用可能状態(図16に示すように、背もたれ11が傾斜状態などに起立している場合を含む。)、その他の任意の状態において、ベッド部分28の補助台として機能している児受け台20を本来の児受け台として機能させることができる。このためには、取扱者は、操作部64を手で前側児受け台22の下側面に向かって上昇させることによって、この操作部64を操作状態にする。なお、操作部64をこのように操作状態にすると、図26に示すストッパ部材63がロック解除されて伸縮可能な状態になるので、図26に示すリンク機構54が作動可能な状態になる。これとともに、図26に示すストッパ部材68もロック解除されて伸縮可能な状態になるので、児受け基枠53が昇降基枠4に対して前後進可能な状態になる。
【0038】
ついで、取扱者は、操作部64を上述のように操作状態にしたままで、または、新たにこの操作状態にして、図17における鎖線および図26における実線に示す上昇位置にある児受け台20の上面を手で下方に押してリンク機構54を作動させることによって、この児受け台20を図17における実線に示す下降位置まで往動させて、第1の児受け台使用状態にする。ついで、取扱者は、操作部64を上述のように操作状態にしたままで、または、新たにこの操作状態にして、図17における実線および図18における鎖線に示す前方位置にある児受け台20(例えば、前側児受け台22の前側面)を手で後方に押して、児受け基枠53を昇降基枠4に対して後進(換言すれば、後方に摺動)させる。これによって、児受け台20の後側部分(例えば、後側児受け台21)は、昇降基枠4のほぼ下方に移動して、図18における実線に示す後方位置に往動するので、児受け台20は、第2の児受け台使用可能状態になる。なお、この第2の児受け台使用可能状態において、取扱者が操作部64から手を離してその操作状態を解除すると、ストッパ部材63がその伸縮動作をロックされるので、リンク機構54が作動できない状態になり、このために、児受け基枠53に対する後側児受け台21の位置が固定される。これとともに、ストッパ部材68もその伸縮動作をロックされるので、児受け基枠53が昇降基枠4に対して前後進できなくなり、このために、昇降基枠4に対する児受け基枠53の位置が固定される。したがって、このように後側児受け台21および児受け基枠53のそれぞれの位置が固定されることによって、昇降基枠4に対する後側児受け台21の位置が結果的に固定される。
【0039】
本来の児受け台使用可能状態のうちの上記第1の児受け台使用可能状態においては、児受け台20は、平面的に見て、座板16から前方に約80cm突き出ている。これに対し、本来の児受け台使用可能状態のうちの上記第2の児受け台使用可能状態においては、児受け台20は、平面的に見て、座板16から前方に約40cm突き出ている。したがって、上記第2の児受け台使用可能状態が、通常の児受け台使用可能状態に相当している。なお、児受け台20がベッド使用可能状態としての上記上昇位置から上記下降位置まで下降する上下方向の長さは、図示の実施例においては、約13cmである。そして、上記上下方向の長さは、実用性の観点から見て一般的に、8〜20cmの範囲であるのが好ましく、10〜16cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、上記第2の児受け台使用可能状態において、児受け台22が、平面的に見て、座板16から前方に突き出ている長さは、図示の実施例においては、上述のように約40cmである。そして、この突出長さは、実用性の観点から見て一般的に、30〜50cmの範囲であるのが好ましく、35〜45cmの範囲であるのがさらに好ましい。さらに、上記第1の児受け台使用可能状態において、児受け台22が、平面的に見て、座板16から前方に突き出ている長さは、図示の実施例においては、上述のように約80cmである。そして、この突出長さは、実用性の観点から見て一般的に、60〜100cmの範囲であるのが好ましく、70〜90cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、児受け台20の前後方向の長さは、図示の実施例においては、約75cmである。そして、この児受け台20の前後方向の長さは、実用性の観点から見て一般的に、55〜95cmの範囲であるのが好ましく、65〜85cmの範囲であるのがさらに好ましい。また、後側児受け台21および前側児受け台22のそれぞれの前後方向の長さ(換言すれば、上述のような実際の値、好ましい範囲およびさらに好ましい範囲)は、児受け台20の約1/2であってよい。
【0040】
児受け台20を図18における実線に示す後方位置から図17における実線および図18における鎖線に示す前方位置に復動させたいときには、取扱者は、操作部64を上述のように操作状態にしてから、上記前方位置から後方位置に往動させる場合とは実質的にちょうど逆の操作を行えばよい。また、児受け台20を図17における実線および図18における鎖線に示す下方位置から図17における鎖線および図26における実線に示す上方位置に復動させるときには、取扱者は、操作部64を上述のように操作状態にしてから、上記下方位置から上記上方位置に往動させる場合とは実質的にちょうど逆の操作を行えばよい。
【0041】
図13〜図15に示す支脚器使用可能状態(図16に示すように、背もたれ11が傾斜状態などに起立している場合などを含む。)、その他の任意の状態において、ベッド部分28の補助台として機能している児受け台20のうちの前側児受け台22を足乗せ台として機能させることができる。このためには、取扱者は、左右一対の操作部67a、67bのうちの少なくとも一方を手で前側児受け台22の下側面に向かって上昇させることによって、上記操作部67a、67bを操作状態にする。なお、操作部67a、67bをこのように操作状態にすると、図26に示すストッパ部材63がロック解除されて伸縮可能な状態になる。したがって、前側児受け台22を手で持って支軸65を支点として図26の反時計方向に往回動させると、前側児受け台22を図16において鎖線で示すほぼ水平な状態から図16における実線で示す任意の角度の傾斜状態まで起立させることができる。
【0042】
上述のように前側児受け台22が傾斜状態などの起立位置まで往回動すると、前側児受け台22は、後方から前方に向かって上方へ傾斜している。そして、この傾斜している前側児受け台22は、左右一対の支脚器23、24とは別に、患者の足乗せ台として使用されることができる。この場合、患者は、左右両方の足をそろえて足の裏側からこの足乗せ台22に乗せることができるから、リラックスした状態で左右一対の足をこの足乗せ台22に乗せることができる。
【0043】
前側児受け台22を図16における実線で示す起立位置から図13〜図15における実線および図16における鎖線で示す倒伏位置に復動させるときには、取扱者は、操作部67a、67bを上述のように操作状態にしてから、上記倒伏位置から上記起立位置に往動させたい場合とは実質的にちょうど逆の操作を行えばよい。この場合、前側児受け台22側の被ストッパ部(図示せず)が後側児受け台21のストッパ部(図示せず)に当接するまで、前側児受け台22を後側児受け台21に対して復回動させれば、前側児受け台22は、ほぼ水平な状態に復元される。このような被ストッパ部およびストッパ部は、前側児受け台22が後側児受け台21に対して往回動する場合にも、設けられることができる。
【0044】
以上において、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0045】
例えば、上述の実施例においては、本発明を分娩台1に適用したが、本発明は検診台などの他の医療台にも適用することができる。
【0046】
また、上述の実施例においては、取扱者は、ベッド状態にある支脚器23、24を前記第1の移行段階および前記第2の移行段階を順次経由して支脚器使用可能状態に往動させるようにした。しかし、取扱者は、ベッド状態にある支脚器23、24を支脚器使用可能状態にするために支脚器23、24に各種の移行段階を経由させて支脚器使用可能状態にすることができる。例えば、まず、ベッド状態にある支脚器23、24を上記第1の移行段階にし、つぎに、上記第2の移行段階から上記支脚器使用可能状態に移行する場合と同様に、支持アーム26を往回動させて支脚器23、24を上昇させ、つぎに、上記第1の移行段階から上記第2の移行段階に移行する場合と同様に、支脚器23、24を第2の軸35を支点として往回動させることによって、支脚器使用可能状態が得られるようにしてもよい。そして、この点は、支脚器23、24が支脚器使用可能状態からベッド状態に移行する場合も同様である。
【0047】
また、上述の実施例においては、児受け台20を後側児受け台21と前側児受け台22とから構成したが、後側児受け台21と前側児受け台22とが互いに一体化された単一の児受け台から構成することもできる。この場合、この単一の児受け台20の前後方向における長さは、必要に応じて任意の長さにすることができる。
【0048】
また、上述の実施例においては、第1の歯車または太陽歯車としての大歯車41とアーム本体42とから支持アーム26を構成したが、支持アーム26は大歯車41とは別個に構成されることもできる。そして、この場合には、大歯車41が支持アーム26に一体的に往復回動するように大歯車41を支持アーム26に固定すればよい。
【0049】
さらに、上述の実施例においては、背もたれ11、前側児受け台22などを倒伏状態から傾斜状態などの起立状態に往回動させるようにした。しかし、往回動以外の他の往動動作(例えば、カムとカム溝とを用いた倣い動作)を行わせるようにしてもよい。また、背もたれ11および前側児受け台22は倒伏状態から起立状態に往動する必要は必ずしもなく、さらに、背もたれ11は、起立状態のままで、倒伏状態にならないように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を分娩台に適用した一実施例における分娩台のベッド状態での概略的な斜視図である。(実施例1)
【図2】図1の分娩台の図1と同じ状態での平面図である。(実施例1)
【図3】図1の分娩台の図1と同じ状態での右側面図である。(実施例1)
【図4】図3の分娩台の、ベッド部分を図3の場合よりも高くした状態での右側面図である。(実施例1)
【図5】図4の分娩台の、頭部側が脚部側よりも低くなるようにベッド部分を傾斜させた状態での右側面図である。(実施例1)
【図6】図4の分娩台の、脚部側が頭部側よりも低くなるようにベッド部分を傾斜させた状態での右側面図である。(実施例1)
【図7】図1の分娩台の、支脚器使用可能状態に移行する第1の移行段階での斜視図である。(実施例1)
【図8】図7の分娩台の図7と同じ状態での平面図である。(実施例1)
【図9】図7の分娩台の図7と同じ状態での右側面図である。(実施例1)
【図10】図7の分娩台の、支脚器使用可能状態に移行する第2の移行段階での斜視図である。(実施例1)
【図11】図10の分娩台の図10と同じ状態での平面図である。(実施例1)
【図12】図10の分娩台の図10と同じ状態での右側面図である。(実施例1)
【図13】図10の分娩台の支脚器使用可能状態での斜視図である。(実施例1)
【図14】図13の分娩台の図13と同じ状態での平面図である。(実施例1)
【図15】図13の分娩台の図13と同じ状態での右側面図である。(実施例1)
【図16】図15の分娩台の、背もたれを傾斜状態まで起立させるとともに前側児受け台を傾斜状態まで起立させた状態での右側面図である。(実施例1)
【図17】図15の分娩台の、背もたれを傾斜状態まで起立させるとともに前側児受け台および後側児受け台を下方に下降させた第1の児受け台使用可能状態での右側面図である。(実施例1)
【図18】図17の分娩台の、前側児受け台および後側児受け台を後方に後退させた第2の児受け台使用可能状態での右側面図である。(実施例1)
【図19】図10に示す右側支持アームの回動中心付近の概略的な右側面図である。(実施例1)
【図20】図19に示す右側支持アームを上方に往回動させた状態での図19と同様の概略的な右側面図である。(実施例1)
【図21】図20に示す右側支持アームを下方に回動させ始めた状態での図20と同様の概略的な右側面図である。(実施例1)
【図22】図19に示す右側支持アームによる右側支脚器の支持状態を示す概略的な平面図である。(実施例1)
【図23】図22に示す右側支脚器の支持状態を第1の軸の軸心方向の前方側から見た概略的な正面図である。(実施例1)
【図24】図7に示す第1の移行段階での図23と同様の概略的な正面図である。(実施例1)
【図25】図24のA−A線に沿った概略的な断面図である。(実施例1)
【図26】図15に示す児受け台支持構造の部分的に切り欠いた拡大右側面図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0051】
1 分娩台(医療台)
4 昇降基枠(基枠)
23 左側支脚器
24 右側支脚器
26 支持アーム(支脚器用支持アーム)
28 ベッド部分
41 大歯車(太陽歯車、第1の歯車)
43 従動歯車(小歯車、第2の歯車)
45 歯車取り付けレバー
46 遊星歯車(小歯車、第3の歯車)
48 噛み合い解除用操作レバー(噛み合い解除手段、噛み合い解除用操作部材)
70 ほぼ平坦な面(上側表面)
74 脚乗せ面(上側表面)
77 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の脚部を支持するための支脚器と、この支脚器が取り付けられる支持アームと、この支持アームが回動可能に取り付けられる基枠とを備え、
上記支持アームが往回動することによって、上記支脚器が復動位置から支脚器使用可能状態としての往動位置まで往動するように構成された、医療台における支脚器支持構造において、
上記支持アームと同心状にかつ一体的に回動可能なように上記基枠に取り付けられる第1の歯車と、
上記第1の歯車と常時噛み合うように上記基枠に回動可能に取り付けられる第2の歯車と、
上記第1の歯車と実質的に同一の回動中心を有するように上記基枠に回動可能に取り付けられる歯車取り付けレバーと、
上記第1の歯車と常時噛み合うようにかつ上記第2の歯車と通常は噛み合うように上記歯車取り付けレバーに回動可能に取り付けられる第3の歯車と、
上記第2の歯車に噛み合っている上記第3の歯車に上記第2の歯車との噛み合いを解除させるための噛み合い解除手段とを備えていることを特徴とする支脚器支持構造。
【請求項2】
上記支脚器が左右一対設けられ、
上記支持アーム、上記第1の歯車、上記第2の歯車、上記歯車取り付けレバー、上記第3の歯車および上記噛み合い解除手段のそれぞれが、上記左右一対の支脚器のそれぞれのために、上記左右一対ずつ備えられていることを特徴とする請求項1に記載の支脚器支持構造。
【請求項3】
上記噛み合い解除手段が取扱者によって操作されることができる噛み合い解除用操作部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の支脚器支持構造。
【請求項4】
上記支脚器の上記復動位置が中間復動位置であり、
上記支脚器が上記中間復動位置から第2の復動位置までさらに復動することができるように構成され、
上記支脚器が上記第2の復動位置においてはベッド部分の補助台として機能するように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の支脚器支持構造。
【請求項5】
上記支脚器の上記第2の復動位置から上記往動位置への往動動作が、上記支脚器がその上側表面を変更させるための向き変え動作と、上記支脚器がその基端部側に対してその先端部側を下降させる動作と、上記支脚器が上記支持アームの往回動によって持ち上げられる動作とを含んでいることを特徴とする請求項4に記載の支脚器支持構造。
【請求項6】
上記第2の復動位置においては、上記支脚器の上記上側表面が上記補助台の上側表面として機能することができるようにほぼ平坦な面に構成され、
上記支脚器が上記向き変え動作を行った後には、上記支脚器の上記上側表面が、上記ほぼ平坦な面から、凹部を有する脚乗せ面に変更されるように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の支脚器支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−173(P2010−173A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160236(P2008−160236)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(390022541)アトムメディカル株式会社 (38)
【Fターム(参考)】