説明

医療品用の包装及び包装中のカテーテル

本発明は医療品用例えば尿道カテーテル用の包装を提供する。医療品はコンパートメントの中に保管され、第一中空要素を第二中空要素から取り外しそれによってコンパートメントへ通じる開口を形成することによって医療品に触れることができる。第一中空要素は吸盤または別の締結要素を備え、締結要素によって包装を表面に取り付けることができる。包装の構造上、開口が表面から離れる向きに包装を支持することができ、医療品を包装から取り出す際医療品の汚染の危険を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療品を収容するコンパートメントを持つ包装(packaging)に関する。この包装は取外し可能に連結される第一及び第二中空要素を備え、二つの要素の分離はコンパートメントへ通じる開口を形成し、それによって医療品への接近を可能にする。本発明は特にカテーテル、そして特に尿道カテーテル用の包装に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、医療品は無菌状態で保管される。医療品用のほとんどの包装は、無菌性を維持し医療品を例えば日光、手荒い扱いまたは輸送から保護することに焦点を当てて設計される。
【0003】
一部の包装において、一定の開封手順がパッケージ設計に潜在する。例えば、二枚のホイル材の間に医療品を包装することは慣例になっている。この種のパッケージを開封すると、医療品は部分的または完全に露出されるので、汚染される可能性がある。
【0004】
カテーテル、例えば尿道カテーテル導入用のカテーテルに関して、より簡単に開封し且つ問題の医療品の露出が最小限になるようにするために多くの試みがなされてきた。特に、使用時に体内に挿入される先端部等のカテーテルの重要エリアの汚染を防止するための試みがなされた。従って、パッケージからカテーテルを完全に取り出す必要なくカテーテルの使用を容易にするパッケージが存在する。時には、パッケージは、ユーザーの手とカテーテルとの間で直接接触することなくカテーテルを操作するために役立ち、また時には、パッケージは問題の医療品の無汚染取出し及び使用を可能にする取り扱い構造を含む。
【0005】
既存のパッケージはユーザーの手が重要エリアに触れないようにすることによって医療品の取り扱いを改良しているかも知れないが、例えば医療品の取り扱い時に周囲物体に触れる危険による汚染の危険がやはり存在する。
【0006】
膀胱からの排尿用のカテーテルは間欠的カテーテル導入並びに留置または持続的カテーテル導入のために使用される。一般に、カテーテルは、尿閉を患う患者、例えば随意排尿を可能にする制御力を持たない対麻痺または四肢麻痺患者によって使用される。ユーザーに器用さが欠ける場合、包装からのカテーテルの取り出しは更に厄介かもしれない。医療品の取り扱いを支援するために、一部の包装は、例えばトイレの壁に包装を吊るすための懸架手段、例えば接着剤または貫通孔を備える。この場合、パッケージへ通じる開口は壁に直接隣接するので、包装からの医療品の取り出し時に医療品が壁に触れ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】記載なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
医療品の取り扱いを改良して使用時の医療品汚染の危険を減少することが本発明の実施形態の目的である。従って、本発明は、第一形態において、導入部で述べた種類の包装を提供する。包装は、物体の表面に対して所定の配向で包装を取り付けるように構成されたベースを含み、開口は物体の表面から遠隔である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による包装において、使用まで医療品を無菌状態で保管することができる。使用時に、包装は物体の表面に固定され、かつ第二中空要素が除去される。物体表面から開口を遠隔にして包装を固定することができるので、物体の表面に当たる危険、従って医療品を汚染する危険が減少する。更に、物体表面に包装を固定できることによって、医療品を取り出す際にユーザーが包装を手で支持する必要が無いので取り扱いが容易になる。
【0010】
特に、第一中空要素及び第二中空要素はキャビティ全体を形成することができ、これらの要素を医療品から完全に分離することができるので、キャビティ内において医療品を第一中空要素及び第二中空要素に対して移動可能にすることができる。第一中空要素と第二中空要素とを分離することによってキャビティが開放される場合、選択的に、部分的にまたは完全に第一中空要素及び第二中空要素から医療品を取り出すことが可能である。
【0011】
例えば包装が取り付けられる表面から包装の最大長の1/5〜1/2倍の範囲の距離またはこれより長い距離に開口を配設することができる。一実施形態において包装の軸方向の一端部にベースが配置され、軸方向の反対端部、即ちベースから最も離れた端部に開口が配設される。
【0012】
包装を支持するため及び包装が物体表面から離れて伸張できるようにするために、ベースと開口との間の包装の少なくとも一部を寸法安定性にするか、または少なくとも包装をベースから開口に向けて外方かつ/または上方へ突出させることのできる剛性を有する。「寸法安定性」とは、寸法安定部分がどのような位置及び配向においても、また所定面上で異なる配向に置かれてもその形状を保存することを意味する。
【0013】
「取り付け」とは、包装から医療品を取り出すために充分な時間、及び選択的に、使用後医療品を包装に挿入するために充分な時間、例えば30秒間から15分間、医療品が包装の表面と接触維持することを意味する。この時間の間、医療品の表面から包装を解放するために医療品の表面から包装を持ち上げるのに通常必要とされる力を上回る力が必要であり、包装は医療品の表面上で開口が表面から遠隔になる配向で医療品を維持することができる。取り付け強度は医療品の形状によって、特にベースに対する重心の位置によって決まる。ただし、包装を持ち上げて包装を取り付けられている表面から解放するには、包装から医療品を取り出すために必要とされる力を0.05〜50ニュートンを上回る力が必要であるように包装を設計することができる。特に、包装が取り付けられている表面から包装を分離するために一方向に相対的に大きな力が必要であるように、例えば水平面から包装を持ち上げるために垂直方向の大きな力が必要であるように包装を設計することができる。この実施形態において、他の方向に即ち包装が取り付けられる表面に対して垂直でない方向にその表面から包装を持ち上げる場合に相対的に容易であるように、即ちより小さい力しか必要としないように包装を設計することができる。包装を表面に取り付けるために吸盤を使用することによってこのような特性を得ることができる。
【0014】
以下に、排尿用のカテーテルに関連して本発明について説明する。ただし、医療品を任意の適宜種類の医療品とすることができる。排尿用カテーテルは、一般に挿入可能な近位先端と軸方向に反対の遠位端との間に延在する細長い本体を有する。挿入可能端には、膀胱から内側導管の中へ尿を排出するために排尿口(drainage eye)を設けることができ、遠位端には、カテーテルが、例えば集尿バッグを取り付けるためまたはカテーテルを延長するためのホースを取り付けるためのコネクタを有してよい。
【0015】
包装の第一中空要素は第一端部及び本体部を有してよい。この場合、第一端部はベースを形成する。第一端部を物体の表面に取り付け可能にするために、端部は接着剤、吸盤等の締結要素を含んでよい。吸盤は、表面に直交する方向に強く吸着する特性を促進することによって、表面から包装を解放することなく医療品を包装からこの垂直方向に取り出すことができ、かつ垂直でない方向に引っ張ることによって吸盤は簡単に解放される。更に、吸盤は、湿りかつ/または滑らかな表面、例えばバスルームのタイルの表面に包装を取り付けることができる。これに対して、接着剤はこのように湿った表面に接着するのは難しく、包装を吊るすための貫通孔または同様の手段はバスルームにおいて突出するフック状機構を必要とする。
【0016】
本体部はベースと第一キャビティへ通じる開口との間に延在する側壁を形成してよい。第一キャビティはコンパートメントの最高100パーセントを占めてよい。この場合に、開口は、例えばフォイル(foil)の形の事実上に平らな閉鎖材で閉鎖される。ただし、第二端部と、コンパートメントの一部を形成する第二キャビティへ通じる開口との間に延在する側壁を第二中空要素が有することが望ましい。このようにして、医療品が第一キャビティから第二キャビティの中まで伸長するようにすることができ、第一中空要素と第二中空要素が分離されると、ユーザーは手でまたはその他の適切な手段で医療品を容易に掴むことができる。このために、第一中空要素と第二中空要素が包装の閉鎖形態で連結されるとき第一及び第二端部が軸方向において反対の包装端部を形成するように包装を用意することが望ましい。各要素の側壁によって構成される側壁は、このようにして、細長い形状を持ち、端部間延在して、細長く軸方向に伸長した、例えば直線のコンパートメントを、伸張形態のカテーテルを保管するために形成することができる。二つの要素は、例えば円形断面を持つ管状壁を有してよい。
【0017】
カテーテルは、任意の種類のもの、例えば膨張剤(例えば、食塩水)によって活性化される親水性コーティングを備えるものであってよい。あるいは、カテーテルは潤滑液またはジェルを有してよい。本発明による包装は、充分な量の膨張媒体または潤滑剤を収容することによってまたは数年間でもカテーテルを保管できるようにするために膨張剤または潤滑剤に対して事実上不透過性であることによって親水性コーティングを支持してよい。カテーテルの少なくとも挿入可能部をぴったり取り囲むコンパートメントによって更にコンパクトな包装及び一層均一の湿潤を得ることができる。包装は、例えばカテーテルの挿入可能部の体積の1倍から20倍の範囲、例えば1倍から10倍(1倍から5倍等)の範囲の体積を有してよい。
【0018】
包装からの液体の流出を防止するために、例えば膨張剤または潤滑剤が包装に入っている場合、開口を上方にして包装が水平面に固定されるように開口とベースを相互に対して設置することが好ましい。例えば、包装は水平面から起立配向でベースから開口に向かって延在する側壁を有し、ベースは包装を垂直方向に見て最下部を形成し、開口は垂直方向に見て最上部または少なくともベースが属する要素の垂直方向に見て最上部を形成する。
【0019】
起立配向とは、ベースが水平面に取り付けられる場合、包装の側壁がベースから上方へベースが取り付けられる表面から離れて開口に向かって伸長することを意味し、この開口を介して医療品に接近することができる。ベースの周りの捻れを防止するために、例えば、側壁が事実上に垂直にまたはベースが取り付けられる水平面から上方へ垂直から少なくとも10度未満の角度で延在するように包装を設計することができる。実質的に平らでかつ側壁に対して事実上垂直の取り付け面または当接面を形成するベースによってこれが可能になる。ベースは、例えば包装の最長の10パーセントの寸法等5〜10パーセントの範囲の幅を持つことができる。幅とは円形ベースの直径を意味する。
【0020】
包装がこのように事実上に水平の表面に支えられる場合、包装内の液体物質がベース付近の包装の最下部に集まるようにコンパートメントを形成することができる。挿入可能部が包装の最下部になるようにカテーテルを設置することによって、ベースが水平面に取り付けられるとき挿入可能部を湿潤状態に保つことができる。二つの要素が分離されると、ユーザーは挿入可能端と反対側の医療品の端を掴むことができるので、挿入可能部の汚染を防止することができる。
【0021】
コンパートメント内に設置されるカテーテルに容易に触れることができるようにするために、カテーテルをどちらかのキャビティよりも長くすることができる。これにより、第一中空要素と第二中空要素が分離されるときに、カテーテルはキャビティの一方から外に伸長する。カテーテルは少なくとも部分的に露出するので、ユーザーはカテーテルの露出部を掴んで包装から取り出すことができる。
【0022】
物体の表面に包装を取り付けるために、ベースは、ベースに取り付けられるまたはベースの一部を形成する締結要素を有してよい。締結構造は、例えば、接着または粘着面部、両面接着ラベル、Velcro(商標)として知られる種類の構造を持つ表面部または吸盤等を備えてよい。吸盤は吸着シーリングリングを形成する円形の可撓性リムを有してよく、シーリングリングは物体表面に当接して撓む。シーリングリングは当接面を形成し、当接面は長方形の包装を横切るかまたは直交してよい。吸盤が水平面に取り付けられると、要素の壁はこの表面を横切るかまたは直交して、開口が表面の上方にありかつ表面から遠隔になる包装の起立配向を形成する。別の実施形態において、当接面は包装の長方形状に対して事実上に平行である。吸盤が水平面に取り付けられると、要素の壁は事実上に水平に伸び、包装の水平配向を形成する。水平配向において、包装が表面から水平に外方へ突出することによって開口が事実上表面と同じレベルになるが表面から遠隔になるように、テーブルの縁部に包装を固定することができる。
【0023】
「無菌保管」とは、少なくとも医療品の意図された使用を満たす程度までコンパートメントが事実上に感染微生物のいないミクロ環境を促進することを意味する。無菌性を得るために、無菌カテーテルは無菌状態で包装するか、または包装内にカテーテルを封入した後に技術上既知の方法、例えば照射によって滅菌することができる。
【0024】
無菌性を維持するためまたは要求される湿度を包装内に維持するために、第一中空要素は、二つの要素が結合されるときコンパートメントを密閉するために第二中空要素に封止できるシーリング部材を備えてよい。吸盤及びシーリング部材は共に比較的簡単に弾性変形する特性を持つ。吸盤及びシーリング部材に適する可撓性の軟質材料でシーリング部材を吸盤と一体的に形成すること有利である。軟質材料に比べて相対的に硬質の材料から第一部の残部を作ることができる。例えば2K射出成形で第一中空要素を作ることができる。射出成形において、軟質材料と硬質材料の両方が液体状態で型の中へ注入され、その中で凝固する。
【0025】
包装は、特に器用さに欠けるユーザーとって握り易い形状にすることができる。従って、例えば握り機構、例えば高い摩擦表面構造を持ちかつ/または取り扱いを改良したノブ、突起、リブまたは窪みによって、または握ることによって包装を固定できる外面を与えることによって、包装の第一中空要素、及び選択的に第二中空要素を握り易くする形状にすることができる。吸盤、及び選択的にシーリング部材を形成する可撓性材料または軟質材料は、一般に、物体の外面に配設されると握り易くなるので、第一中空要素の外面の握り機構を吸盤及びシーリング部材の一方または両方と一体的に作ることができる。例えば成形法によりワンピースを作ることができ、この方法において、ワンピースを形成する第一材料が型に注入され、そしてその中で硬化または凝固する。第一中空要素の残部を形成する他の材料を同じ型に同時またはその後に注入し、二つの異なる材料を型の中で硬化または凝固させることによって、他の材料を同じ型で成形することができる。他の材料は吸盤、シーリング部材及び/または握り機構を形成する材料に比べて、例えば弾性変形性の小さいものにすることができる。
【0026】
第一と第二中空要素をネジ切りジョイントによって結合することができる。即ち、部品の一方は内ネジ山を有し、他方の部品は対応する外ネジ山を有する。この場合、開封手順はベースを表面に取り付け、ベースでない方の部分を掴んでベースを表面に固定したままその部分を回転させる工程を含むことができる。
【0027】
包装開放後、二つの要素が分離しないように保持することが望ましく、あるいは、包装開放後、二つの要素を表面に付け保持するためにベース上に締結手段を利用することが望ましい。従って、第一中空要素を第二中空要素の二つの異なる場所に選択的に取り付け可能にすることができる。二つの場所のうち一方において、コンパートメントは閉鎖され、他方の場所において、第一及び第二中空要素がベースが取り付けられる表面から離れるように第一中空要素のベースを第二キャビティへ通じる開口と軸方向反対に位置決めできる。この目的のために、第二中空要素は、第一中空要素上に形成されて、対応するネジ切り部の2ヵ所での固定のために異なる二つのネジ切り部を有してよい。例えば、第二中空要素は外面にネジが切られ、第一中空要素は内面にネジが切られてよい。
【0028】
一実施形態において、第二中空要素の第二端部は第一中空要素の固定のためにネジ切り外面を有し、第一中空要素が第二中空要素の第二端部から同軸に伸長する形態を形成する。この形態において、第二キャビティへ通じる開口及びベースは包装の軸方向に対向する端部を形成することができ、第二キャビティへ通じる開口とベースが取り付けられる表面との間を最大可能な距離にすることができる。別の実施形態において、例えば垂直または実質的に水平の向きに包装を取り付けることができるようにベースは軸方向に対向する端部の間に配置される。
【0029】
ネジ切りジョイントで、取外し可能なシーリングストリップによって、接着剤によって、二つの部材の間の摩擦抵抗によって、または二つの要素の間の任意種類の係合によって、第一中空要素と第二中空要素を結合することができる。
【0030】
第一及び第二中空要素の少なくとも一方は、少なくとも二つの異なる材料の任意の組合せから作ることができる。
【0031】
吸盤、及び選択的にシーリング部材及び外面の摩擦握り機構は、第一材料から作ることができる。第一材料は、
−他方の材料より弾性であり、
−他方の材料より一層大きい接着性を有してよく、
−他方の材料と異なる色彩を有してよく、または
−上記の三つの特徴の任意の組合せ。
【0032】
弾性とは、より簡単に変形可能であること、例えばより簡単に弾性変形可能であることを意味する。弾性の小さい材料は例えば硬質プラスチックであり、弾性材料はゴムバンドまたは吸盤のような可撓性であってよい。
【0033】
第一材料は、下記のものの中から選択することができ、下記のものから選択された材料の混合物を含んでよい:
TPE(熱可塑性エラストマー)例えばSantoprene(商標)のようなTPV(熱可塑性加硫ゴム、SEBS(スチレンエチレンブタジエンスチレン)、SBS(スチレンエチレンスチレン)及びその他を被覆するスチレン系コポリマー(Kraton(商標))、TPU、TPO、COPE(コポリエステル)、COPA(コポリアミド)、ネオプレン及びラテックス等合成または天然ゴム、またはシリコーン。
【0034】
例えば、50〜80のショアA硬度を有するSantoprene(商標)を第一材料として使用し、他方の材料は異なる硬度(例えばもっと硬くてよい)を有してよい。
【0035】
第一及び第二中空要素の残部をPP、PE、TPU、Kraton(商標)またはアルミニウム等の金属から作ることができる。
【0036】
一実施形態において、第二中空要素は、物体の表面上で包装を支持するための支持面を形成するベース、及び支持面を横切る方向にベースから第二開口を取り囲む上部周縁に向かって延在する側壁を有する。第一中空要素に対応して、第二中空要素は第二中空要素を表面に固定するための手段例えば吸盤またはこれに類するものを具有してよい。これによって、ユーザーは、包装の使用時に包装のどちらの部分を物体に取り付けることが望ましいかを選択することができる。このような吸盤は、例えば第二中空要素の第二端部の一部を形成し、あるいは例えば吸盤と一体成形された側壁の一部を形成してよい。
【0037】
第二の形態において、本発明はカテーテル等医療品を上述のような包装から取り出すための方法を提供する。この方法は、
a)医療品を第二キャビティに残したまま第一中空要素と第二中空要素を分離し、
b)物体の表面に第一中空要素のベースを取り付け、
c)第一中空要素に第二中空要素の第二端部を取り付け、かつ
d)第二キャビティから医療品を取り出す、工程を含む。
【0038】
これらの工程は適宜な任意順序で実行することができる。例えば、
−工程b)の前に工程a)
−工程c)の前に工程b)
−工程d)の前に工程c)
または、
−工程a)の前に工程b)
−工程c)の前に工程a)
−工程d)の前に工程c)
または、
−工程c)の前に工程a)
−工程b)の前に工程c)
−工程d)の前に工程b)
【0039】
第三形態において、本発明は尿管の中へ尿道カテーテルを挿入するための方法を提供する。尿道カテーテルは上述のような包装に収容されて配送される。この方法は、
a)カテーテルを第二キャビティに残したまま第一中空要素と第二中空要素を分離し、
b)物体の表面に第一中空要素のベースを取り付け、
c)第一中空要素に第二中空要素の第二端部を取り付け、
d)手及び尿管の開口周辺を洗浄し、
e)第二キャビティからカテーテルを取り出し、かつ
f)尿管の中へカテーテルを挿入する工程を含む。
【0040】
工程a)、b)及びc)を任意の順序で実行することができる。例えば工程c)の前に工程b)の前に工程a)、または工程c)の前に工程a)の前に工程b)等。
【0041】
この方法は更にカテーテル使用後にカテーテルを包装の中に封入するために、
g)第二キャビティの中にカテーテルを配置し、
h)表面から第一中空要素を外し、かつ
i)第二中空要素に第一中空要素を取り付ける工程を含むことができる。
【0042】
これによって尿道カテーテルを安全に廃棄するための閉鎖包装が提供される。
【0043】
工程g)は当然工程i)の前でなければならないが、工程h)を工程g)の前に、工程g)と工程i)との間にまたは工程i)の後にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】尿道カテーテル用の包装を示している。
【図2】吸盤付きの第一中空要素を示している。
【図3】吸盤付きの第一中空要素を示している。
【図4】包装からカテーテルを取り出す際の包装を示している。
【図5】第一中空要素の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について更に詳細に説明する。
【0046】
図1は尿道カテーテル用の包装1を示している。包装は本体部3及びベース4を有する第一中空要素2を含む。ベースは物体の表面に取り付け可能である。包装は、更に、閉鎖第二端部6を持つ第二中空要素5を備える。第二端部を第二中空要素の残部とは異なる材料例えば異なる剛性、柔軟性、色彩等を持つ材料から作ることができる。残部に固定される分離のコンポーネントとして第二端部が設けられてよく、または第二中空要素は一片に形成されてよい。
【0047】
第一中空要素を第二中空要素から分離することによってカテーテルへの接近を可能にする開口を形成することができる。
【0048】
ベース4は、軸7によって示される軸方向に細長い包装形状に対して事実上に直交する吸着面を形成する吸着リングシーリング10を持つ吸盤を形成する。包装が物体の表面例えばテーブル、流し台または浴槽に取り付けられるときに、包装はその表面から起立し、それにより開口から表面までの所定距離を提供する。これによって包装からカテーテルを取り出す際の汚染の危険を減少する。
【0049】
第一中空要素2の本体部3の近位端8は本体部3の遠位端9に比べて狭い。ベース4は広がって、吸着面を形成する可撓性の吸着リングシーリング10を形成する。吸着リングシーリング10の軸方向(軸7によって示される)に対して垂直の半径方向の寸法は本体部3の遠位端9の半径寸法と同じ寸法である。第一中空要素は吸盤と一体片に作られた複数のリブ11を含む。第二端部6は外ネジ山12を有する。
【0050】
図2及び3は二方向から第一中空要素を示している。第一中空要素は第二中空要素に第一中空要素を連結する、例えば開口を閉鎖するためまたはベースを第二キャビティへ通じる開口から最も遠くに設置するために内ネジ山13を有し、即ち外ネジ山12と係合する内ネジ山を有する。第一中空要素の外面はベース4と一体的に従って吸盤と一体的に形成される握り機構11を備える。
【0051】
図4は、キャビティへ通じる開口14、15を形成するために第一中空要素2と第二中空要素5とが分離されている開放状態の包装を示している。コンパートメントから取り出されるカテーテル16は尿管に挿入されるための近位端17及び排液のためまたは握りのためのコネクタを備える軸方向に反対の遠位端18を有する。包装時に、カテーテルは近位端17により閉鎖第二端部6に向けて挿入される。図示実施形態において、カテーテルは格納式要素を備え、異なる長さの形態に変化させることができる。
【0052】
図5は第一中空要素2の断面図を示している。第一中空要素は、第二中空要素の外ネジ山部と共働する内ネジ山部20を持つキャビティ19を形成する。この図において、遠位端8とリングシーリング10の半径寸法が等しいことがより明確に示されている。当接面21は第二キャビティへ通じる開口の周縁と接して、第一中空要素と第二中空要素との間の緊密な結合、従ってコンパートメント内へのカテーテルの緊密な封入を確立するためのシーリング部材22の一部を形成する。シーリング部材22はベースと一体的にまた握り機構11と一体的に形成される。シーリング部材23は任意であり、第二中空要素との間の付加的または代替的シーリング結合を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療品を収容するコンパートメントを有する包装であって、第一中空要素、第二中空要素及びベースを備え、前記第一中空要素と第二中空要素が取り外し可能に連結されかつ前記コンパートメントへ通じる開口を形成し、それによって前記第一中空要素と第二中空要素とが分離されると医療品への接近を可能にし、かつ前記ベースは、物体の表面に対して、前記開口が物体の表面から遠隔になる配向で、前記包装を物体の表面に取り付けるように構成されている、包装。
【請求項2】
前記ベースは、表面への前記ベースの取り付けを容易にする締結要素を含むまたは形成している、請求項1に記載の包装。
【請求項3】
前記第一中空要素が第一端部及び本体部を含み、前記第一端部が前記ベースを形成し、前記本体部が前記ベースと、前記コンパートメントの一部を形成する第一キャビティへ通じる開口との間に延在する側壁を形成している、請求項1または2のいずれか一項に記載の包装。
【請求項4】
前記第二中空要素が第二端部と、前記コンパートメントの一部を形成する第二キャビティへ通じる開口との間に延在する側壁を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装。
【請求項5】
少なくとも一つの側壁が寸法安定性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装。
【請求項6】
前記包装が物体の表面に取り付けられるときに前記配向は物体の表面から起立している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装。
【請求項7】
前記第一及び第二中空要素が管状であり、かつ前記キャビティが軸方向に延在する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装。
【請求項8】
前記コンパートメントが尿道カテーテルを収容している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装。
【請求項9】
前記カテーテルが前記第一及び第二キャビティのいずれよりも長い、請求項8に記載の包装。
【請求項10】
前記ベースが吸盤を含むまたは形成している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の包装。
【請求項11】
前記第一中空要素及び第二中空要素の一方が前記コンパートメントを密閉するために他方の要素に密着するためにシーリング部材を含み、前記シーリング部材が前記ベースの少なくとも一部と一体的に形成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の包装。
【請求項12】
前記第一中空要素及び第二中空要素の一方が前記要素の一方の外面に握り機構を備え、前記握り機構が前記ベースの少なくとも一部と一体的にまたは前記シーリング部材と一体的に形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の包装。
【請求項13】
前記第一中空要素及び第二中空要素の一方を他方の要素の異なる位置に取り付けることができる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の包装。
【請求項14】
1つの位置における前記第一中空要素の取り付けが前記第二キャビティへ通じる開口を封止し、別の位置における取り付けが前記第二キャビティへ通じる開口と軸方向反対側に前記ベースを配置する、請求項13に記載の包装。
【請求項15】
前記第二中空要素が前記第一中空要素の対応するネジ切り部の固定のために1つまたはそれ以上の位置にネジ切り部を有する、請求項13〜14のいずれか一項に記載の包装。
【請求項16】
前記第二端部が前記第一中空要素の固定のためのネジ切り部を有する、請求項4〜15のいずれか一項に記載の包装。
【請求項17】
前記第一中空要素及び第二中空要素の少なくとも一方が少なくとも二つの異なる材料の組合せから作られている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の包装。
【請求項18】
少なくとも二つの材料のうち一方が他方の材料より弾性である、請求項17に記載の包装。
【請求項19】
前記第二中空要素が物体の表面に取り付けるのに適する固定手段を備えている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の包装。
【請求項20】
前記固定手段が吸盤を含む、請求項19に記載の包装。
【請求項21】
前記吸盤が前記第二端部の一部を形成している、請求項20に記載の包装。
【請求項22】
前記コンパートメントが前記第一中空要素及び第二中空要素によって形成され、医療品が全体的にその中に収容されている、請求項1〜22のいずれか一項に記載の包装。
【請求項23】
医療品が前記第一中空要素及び第二中空要素から分離されかつ前記コンパートメントから少なくとも一部にまたは全体的に取り出すことができる、請求項1〜22のいずれか一項に記載の包装。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の包装から医療品を取り出すための方法であって、
−第二キャビティの中に医療品を残したまま第一中空要素と第二中空要素を分離し、
−物体の表面に第一中空要素のベースを取り付け、
−第一中空要素に第二中空要素の第二端部を取り付け、かつ
−第二キャビティから医療品を取り出すことを含む、方法。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の包装に入れて配達される尿道カテーテルを尿管中へ挿入する方法であって、
−第二キャビティの中に尿道カテーテルを残したまま第一中空要素と第二中空要素を分離し、
−物体の表面に第一中空要素のベースを取り付け、
−第一中空要素に第二中空要素の第二端部を取り付け、
−手及び尿管の開口の周辺部を洗浄し、
−第二キャビティから尿道カテーテルを取り出し、
−尿管中へ尿道カテーテルを挿入すること、
を含む、方法。
【請求項26】
更に、
−第二キャビティ中に尿道カテーテルを配置し、
−尿道カテーテルの表面から前記第一中空要素を外し、
−第二中空要素に第一中空要素を取り付けること、
を含む、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−543627(P2009−543627A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519930(P2009−519930)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057046
【国際公開番号】WO2008/009590
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(500085884)コロプラスト アクティーゼルスカブ (153)
【Fターム(参考)】