説明

医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法及び装置

薬剤及び/又はポリマーを搭載する溝又は穴を一つ又は二つ以上含む医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法及び装置であって、デジタル画像処理技術及び位置決め技術により、各医療器具装置上の溝又は穴の全てを正確に位置決めし、搭載装置の出口と前記溝又は穴の中心位置を対応させるため、薬剤及び/又はポリマーが溝外に分注されるのを防止でき、人体へのリスクを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2009年7月30日に中国専利局に提出した、出願番号200910055719.4、発明名称「医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法及び装置」の中国専利出願の優先権を主張する。その内容は全て引用により本出願に含まれる。
【0002】
本発明は医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載(loading)する方法及び装置、特に、薬剤溶出性ステントに薬剤を搭載する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
我が国では毎年何千万もの重い冠動脈性心疾患に経皮的冠動脈形成術(PTCA)及びステント留置術が必要とされている。しかしこの種の手術を受ける患者の30%は半年内に血管狭窄を起こす。このような患者は血管拡張手術を行った後、正常回復できず、多くの細胞が発生し、血管が塞がれるため、バイパス手術や血管形成術を再び受けなければならない。
【0004】
近年、医学界では細胞分裂を制止する新しい方法、即ち薬剤溶出性ステントが発明されている。これは患者の血管を拡張するためのステントに薬剤を塗布し、薬剤から放出された抗生物質が不正常な細胞の成長を抑制するというものである。これで血管は細胞に塞がれることがなく、狭窄することもない。
【0005】
通常、薬剤溶出性ステントはベアメタルステント表面に被覆されたポリマーにより薬剤を保持しており、ステントが血管内の病変部位に留置されると、薬剤がポリマーコート層から溶出する形で制御されつつ心血管壁組織に放出され、生物学効果が発揮される。現在、従来の多くの薬剤溶出性ステントに関しては、通常、活性薬剤及びポリマーを混合してベアステントの一部又は全部の表面に塗布する。このようなポリマーコート層を有した薬剤ステントは臨床応用において再狭窄発生率が10%以下まで下がったが、この種の薬剤溶出性ステントは人体に移植された後、薬剤が減少し続けるため、ポリマー濃度がそれに応じて高くなり、血栓形成を起こす可能性がある。
【0006】
この点に関して、従来技術において薬剤溶出性ステントのためのナノサイズ微孔放出構造が提案されている。これは薬剤溶出性ステントに複数のナノサイズの微孔を設けることで薬剤放出速度を有効的に制御し、薬剤溶出性ステントが人体組織に移植された後に起こる血栓のリスクを低減するというものである。しかしこの構造は従来のスプレー等の方法によりナノサイズ微孔に対してスプレーするが、この方法の欠点は薬剤を所望の部位に正確に搭載することができないこと、特に、非常に小さい薬剤搭載溝又は微孔が開いたステントに対して、従来の方法では溝の位置を正確に発見及び位置決めできないため、確実な薬剤搭載工程を実現できない。
【0007】
この他、従来の技術では、ベアメタルステント表面加工には薬剤貯蔵可能な変形しない小さい穴が大量に用いられ、このような小さな穴は薬剤貯蔵溝と呼ばれるが、これら薬剤貯蔵溝により薬剤溶出ができる。こうして薬剤は従来のようにステント表面に被覆される必要がなく、生分解性のポリマーと一緒に貯蔵溝内に貯蔵できる。このような技術によって薬剤の位置決め放出が可能となり、高い正確性が備わる。この方法は薬剤溶出の時間を制御できるだけでなく薬剤溶出の速度も制御することができる。
【0008】
しかし薬剤貯蔵溝を有するベアメタルステントはレーザー工程によって管材を腐蝕して成り、加工後のベアメタルステントはそれ自体の弾性変形、及び人工的な取捨と留置プロセスにより、薬剤貯蔵溝の実際の位置が理論的設計位置よりずれてしまう。貯蔵溝のサイズは非常に小さく、一般的に20〜80μm程度であるため、分注装置が設計位置のままで分注操作を行うと、薬剤が溝の外に分注されてしまい、ステントが人体に移植された後は、溝外の薬剤がステントから落ち、血栓の形成を引き起こす。
【発明の開示】
【0009】
本発明はステント溝又は穴の実際の位置に基づいて薬剤槽に正確に分注でき、薬剤及び/又はポリマーが溝外に分注される状況を防止し、血栓形成のリスクを低減できる医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を実現するために、本発明は薬剤及び/又はポリマーを搭載する溝又は穴を一つ又は一つ以上含む医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法を提供する。該方法は以下のステップを含む:
1)少なくとも一つの前記溝又は穴の全体の図形を含む前記医療器具上の溝又は穴の画像を撮影し、
2)前記撮影画像にデジタル画像処理を施して前記溝又は穴の図形を取得し、
3)前記溝又は穴の図形の中心位置を計算するとともに、該中心位置に基づいて前記溝又は穴の実際の中心位置を確定し、
4)搭載装置の出口が前記溝又は穴の実際の中心位置に合うように前記搭載装置と前記医療器具との相対位置を調整し、
5)前記搭載装置の出口を開いて前記溝又は穴に搭載する。
【0011】
なお、本発明に記載の「デジタル画像処理」とは画像信号をデジタル信号に変換し、コンピュータを用いて処理するプロセスを指す。また、本発明で言う「溝又は穴」は貫通型の溝又は穴及び非貫通型の溝又は穴を含む。本発明では非貫通型の溝又は穴が好ましい。
【0012】
前記ステップ2)において、前記溝又は穴の図形を取得するために、撮影した画像を複数の画素点集合に変換し、前記画素点集合をデジタル画像処理することが好ましい。また、前記ステップ2)において、画像を画素点集合に変換した後、各画素点ごとのグレースケール値に基づいた値を画素点に代入し、所定値又は値範囲に合致する画素点を目標画素点又は背景画素点に指定し、目標画素点又は背景画素点に指定された全ての画素点を連通し、目標画素体を形成することがより好ましい。特に、画素点を2値化処理した値を各画素点に代入することができる。
【0013】
本発明の一つの形態において、前記ステップ3)において、前記溝又は穴の図形の各画素点の空間座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の空間座標を計算する。前記ステップ4)において、前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定するステップを更に含むことがより好ましい。
【0014】
なお、本発明で言う「幾何学中心」とは画面上で垂直に交わる2本線の交差点を指す。本発明の方法において、画像の構図を決める位置は医療器具の移動によって変わることがないため、溝又は穴を備えた医療器具が移動するとき、図形の中心位置の空間座標が変わるだけで、画像の幾何学中心の空間座標が変わることはない。本発明において、前記画像の幾何学中心の空間座標と前記画像撮影装置の中心の空間座標は対応しており、つまり前記画像撮影装置が移動するときのみ前記画像の幾何学中心の位置が変わる。
【0015】
前記画像の幾何学中心の空間座標は以下の方法により確定することが好ましい:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の空間座標を取得し、
b)前記四つの頂点の空間座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を計算する。
【0016】
本発明のもう一つの形態において、前記ステップ3)において、前記溝又は穴の図形の各画素点の画素座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の画素座標を計算する。
【0017】
前記ステップ4)において、前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を確定するステップを更に含むのが好ましい。
【0018】
前記ステップ4)において、下記の方法により前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定することが好ましい:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の画素座標を取得し、
b)前記四つの頂点の画素座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を計算する。
【0019】
又は、前記ステップ4)において、前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定するために、前記撮影した画像の解像度に基づいてx方向及びy方向の画素点の中間値をそれぞれ取得できる。
【0020】
前記画像の幾何学中心の画素座標を確定した後、前記ステップ4)において、前記図形の中心画素点の画素座標と前記画像の幾何学中心画素点の画素座標の座標差を計算するとともに、算出された画素座標の差を空間座標差に変換する。
【0021】
前記溝又は穴の図形の中心位置の空間座標と前記幾何学中心の空間座標の座標差を確定した後、前記ステップ4)において、前記溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、前記座標差に基づいて前記溝又は穴を備えた医療器具をx方向及び/又はy方向に移動することが好ましい。又は、前記ステップ4)において、前記溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、前記座標差に基づいて前記画像撮影装置をx方向及び/又はy方向に移動する。
【0022】
更に、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心の位置関係を予め確定し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向及び/又はy方向の空間座標差を取得することが好ましい。
【0023】
前記溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とを同一縦軸上にした後、前記搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて前記医療器具をx方向及び/又はy方向に移動することが好ましい。又は、前記溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とを同一縦軸上にした後、前記搭載装置の出口と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて前記搭載装置の出口をx方向及び/又はy方向に移動するのが好ましい。
【0024】
本発明の方法は、更に、ステップ6)を含み、該ステップ6)において、前記医療器具をステップ2)の画像が撮影された前記医療器具の位置まで戻し、前記医療器具を一定角度回転させ、且つ/又は前記医療器具を一定距離並行移動させ、その後、再びステップ2)からステップ6)を実行し、前記医療器具上の溝又は穴の全てに薬剤及び/又はポリマーが分注されるまで循環的に操作することが好ましい。
【0025】
前記溝又は穴の幅は0.5-200μmであることが好ましい。前記溝又は穴の幅は20-80μmであることがより好ましい。
【0026】
前記医療器具は人体管腔内ステントであることが好ましい。前記人体管腔内ステントは血管ステントであることがより好ましい。
【0027】
前記薬剤は化学薬剤及び/又は生物活性物質を含むことが好ましい。前記化学薬剤は免疫抑制剤及び/又は抗癌薬剤を含むことがより好ましい。前記生物活性物質はタンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA及び/又はmicroRNAを含む。特に、前記免疫抑制剤はラパマイシン及びその誘導体から選ばれ、前記抗癌薬剤はパクリタキセル及びその誘導体から選ばれることが好ましい。
【0028】
前記ポリマーは生分解性ポリマーであることが好ましい。
【0029】
前記生分解性ポリマーはC、H及びOからなるC2-C6脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は複数であることが好ましい。
【0030】
前記生分解性ポリマーは、
(1) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸又はε-カプロラクトンのホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は複数である、及び/又は、
(2) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸及びε-カプロラクトンのうちの任意の二つ以上が単体として形成されるコポリマーのうちの一つ又は複数であることが好ましい。
【0031】
前記生分解性ポリマーはD,L-ラクチド、ポリD-ラクチド、ポリL-ラクチド、ポリグリコリド、ポリグリコリド-ラクチド及びポリε-カプロラクトンのうちの一つ又は複数であることが好ましい。
【0032】
前記搭載装置は薬剤及び/又はポリマー溶液を予め搭載する容器を含むことが好ましい。
【0033】
ステップ1)において、カメラ又はビデオカメラにより溝又は穴の画像を取得することが好ましい。
【0034】
本発明は、更に、薬剤及び/又はポリマーを搭載する溝又は穴を一つ又は一つ以上含む医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する装置であって、該装置は以下を含むことを特徴とする:
医療器具を置くための医療器具置き台と、
前記置き台の上方に位置し、少なくとも一つの前記溝又は穴の全体の図形を含む前記医療器具上の溝又は穴の画像を撮影するための画像撮影装置と、
前記画像撮影装置と接続され、前記撮影した画像にデジタル画像処理を施して前記溝又は穴の図形を取得し、前記溝又は穴の図形の中心位置を計算し、該中心位置に基づいて前記溝又は穴の実際の中心位置を確定する画像処理ユニットと、
薬剤及び/又はポリマーを予め搭載し、出口により前記医療器具上の溝又は穴に搭載する搭載装置と、
前記医療器具と前記画像撮影装置及び/又は前記搭載装置との間の相対位置関係を調整するための位置調節装置。
【0035】
前記画像処理ユニットが前記撮影した画像を複数の画素点集合に変換することが好ましい。前記画像処理ユニットが画像を画素点集合に変換した後、各画素点のグレースケール値に基づいた値を画素点に代入し、所定値又は値範囲に合致する画素点を目標画素点又は背景画素点に指定し、目標画素点又は背景画素点に指定された全ての画素点を連通し、目標画素体を形成することがより好ましい。特に、前記画像処理ユニットが画素点を2値化処理した値を各画素点に代入することが好ましい。
【0036】
前記画像処理ユニットが前記溝又は穴の図形の各画素点の空間座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の空間座標を計算することが好ましい。
【0037】
本発明の一つの形態において、前記画像処理ユニットが前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定できる。前記画像処理ユニットが以下の方法により前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定するのが好ましい:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の空間座標を取得し、
b)前記四つの頂点の空間座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を計算する。
【0038】
本発明のもう一つの形態において、前記画像処理ユニットが前記溝又は穴の図形の各画素点の画素座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の画素座標を計算する。
【0039】
前記画像処理ユニットが更に、前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を確定するのが好ましい。前記画像処理ユニットが下記の方法により前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を確定することがより好ましい:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の画素座標を取得し、
b)前記四つの頂点の画素座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を計算する。
【0040】
又は、前記画像処理ユニットが前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定するために、前記画像撮影装置の解像度に基づいてx方向及びy方向の画素点の中間値をそれぞれ取得することがより好ましい。
【0041】
前記画像処理ユニットが前記図形の中心画素点の画素座標と前記画像の幾何学中心画素点の画素座標の座標差を計算するとともに、算出された画素座標の差を空間座標差に変換することが好ましい。
【0042】
本発明の装置は、更に、搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の位置差を補正し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向及び/又はy方向の空間座標差を取得する位置補正装置を含むのが好ましい。
【0043】
前記位置調節装置は前記医療器具置き台と接続し、前記医療器具置き台を動かしてx-y水平座標面を移動するのが好ましい。
【0044】
前記位置調節装置は前記画像撮影装置と接続し、前記画像撮影装置を動かしてx-y水平座標面を移動することが好ましい。
【0045】
前記位置調節装置は前記搭載装置と接続し、前記搭載装置を動かしてx-y水平座標面を移動することが好ましい。
【0046】
前記画像撮影装置と前記搭載装置とは同一垂直面に位置するのが好ましい。
【0047】
前記医療器具置き台は、前記医療器具が置かれる支持軸を設けた回転台を備えることが好ましい。
【0048】
前記画像撮影装置はカメラ又はビデオカメラであることが好ましい。前記画像撮影装置は工業用カメラ又はビデオカメラであることがより好ましい。
【0049】
本発明はデジタル画像処理技術及び位置決め技術により、各医療器具装置上の薬剤溝又は穴の全てを正確に位置決めし、搭載装置の出口を薬剤溝又は穴の中心の真上に位置決めできるため、薬剤が溝外に分注されるのを防止でき、人体へのリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は薬剤溶出性ステントの展開模式図である。
【図2】図2は本発明方法の実施例のフロー図である。
【図3】図3は本発明方法のもう一つの実施例のフロー図である。
【図4】図4は本発明の搭載装置の実施例の模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に図面と実施例を合わせて本発明をより詳細に説明する。
【0052】
図1に示すように、薬剤溶出性ステント1に溝11が設けられ、該溝11の直径は20-80um程度である。一般的に溝11内に薬剤及び/又はポリマーが搭載される。
【0053】
前記薬剤は化学薬剤及び/又は生物活性物質を含む。
【0054】
前記化学薬剤は免疫抑制剤及び/又は抗癌薬剤を含み、前記生物活性物質はタンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA及び/又はmicroRNAを含む。
【0055】
前記免疫抑制剤はラパマイシン及びその誘導体から選ばれ、前記抗癌薬剤はパクリタキセル及びその誘導体から選ばれる。
【0056】
前記ポリマーは生分解性ポリマーである。前記生分解性ポリマーはC、H及びOからなるC2-C6脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は複数である。
【0057】
又は、前記生分解性ポリマーは、
(1) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸又はε-カプロラクトンのホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は複数である、及び/又は、
(2) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸及びε-カプロラクトンのうちの任意の二つ以上が単体として形成されるコポリマーのうちの一つ又は複数である。
【0058】
又は、前記生分解性ポリマーはD,L-ラクチド、ポリD-ラクチド、ポリL-ラクチド、ポリグリコリド、ポリグリコリド-ラクチド及びポリε-カプロラクトンのうちの一つ又は複数である。
[実施例]
【実施例1】
【0059】
図2に示すように、本発明の搭載方法に基づき、まず、ステップ001において、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心の位置関係を確定し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向の空間座標差M及びy方向の空間座標差Nを取得する。
【0060】
ステップ002において、少なくとも一つの前記溝11の全体を含む前記薬剤溶出性ステント1上の溝11の画像を撮影する。
【0061】
その後、ステップ002において、まず、撮影した画像を複数の画素点集合に変換する。画像を画素点集合に変換した後、画素点を2値化処理し、各画素点ごとのグレースケール値に基づいた値を画素点に代入し、所定値又は値範囲に合致する画素点を目標画素点又は背景画素点に指定し、目標画素点又は背景画素点に指定された全ての画素点を連通し、目標画素体を形成する、即ち前記溝11の図形を形成する。こうして前記溝11の画像が取得される。
【0062】
ステップ003において、まず、目標画素体の中心位置の画素点P(図示しない)を計算する。該画素点Pは前記溝11の溝中心の画素点である。前記画素点Pを取得したら、前記画素点Pを空間座標(A, B)に変換する。
【0063】
その後、ステップ003において、撮影した画像の幾何学中心の空間座標(A’, B’)を確定する。該幾何学中心の空間座標は以下の方法により確定される:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の空間座標を取得し、
b)前記四つの頂点の空間座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を計算する。
【0064】
その後、ステップ004において、前記画像中心位置の空間座標(A’, B’)を基準とし、前記薬剤溝の溝中心の空間座標(A,B)と座標(A’, B’)が一致するまで前記ステント1をx方向及び/又はy方向に移動する。それから、前記搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、前記ステント1はx方向にて前記搭載装置に向けてMだけ移動し、y方向にて前記搭載装置に向けてNだけ移動する。
【0065】
その後、ステップ005において、搭載装置の出口を開くと、搭載装置に予め搭載された薬剤及び/又はポリマーがその出口を通じて前記薬剤溶出性ステント1上の溝11に分注される。こうして薬剤溶出性ステント1上の一つの溝11への分注操作が完成する。
【0066】
一つのステント1上の全ての溝11に対して正確な分注を行う場合、前記ステップ005が完了した後にステップ006を加える。即ち、ステント1の一つの薬剤溝11への分注操作が完了した後、ステップ006を実行する。該ステップにおいて、まず、前記ステント1はステップ002のステント1の画像が撮影された位置まで戻り、前記ステント1を一定角度回転させ、且つ/又はステントを一定距離並行移動させる。ステップ006が完成したら、再びステップ002-005を実行し、前記ステント1上のまだ分注されていない他の溝の一つに分注操作を行う。同じようにステント1の全ての溝に薬剤及び/又はポリマーが分注されるまで循環的に操作する。
【0067】
薬剤溶出性ステント1上の各溝11のそれぞれに対して溝中心を探し、位置決めを行うことから、このような薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法により正確な分注を行うことができる。
【実施例2】
【0068】
本発明の搭載方法のもう一つの実施例では、ステップ003において、まず前記目標画素体の中心位置の画素点Pを計算し、該画素点Pの画素座標(a,b)を得る。続いて、前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標(a’,b’)を確定する。
【0069】
本発明の一つの形態において、以下の方法により撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定する:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の画素座標を取得し、
b)前記四つの頂点の画素座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を計算する。
【0070】
本発明のもう一つの形態において、前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標(a’, b’)を確定するために、前記撮影された画像の解像度に基づいてx方向及びy方向の画素点の中間値をそれぞれ取得できる。例えば、解像度480×640の写真に対して、その画像の幾何学中心の画素座標は(240,320)である。
【0071】
前記画像の幾何学中心の画素座標(a’, b’)を確定した後、前記図形の中心画素点の画素座標と前記画像の幾何学中心画素点の画素座標の座標差(a-a’,b-b’)を計算するとともに、算出された画素座標の差を空間座標差(A-A’, B-B’)に変換する。
【0072】
その後、ステップ004において、前記空間座標差(A-A’, B-B’)に基づいて、前記溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、前記溝又は穴を備えた医療器具をx方向及び/又はy方向に移動する。
【実施例3】
【0073】
図3に示すように、本発明のもう一つの実施例において、ステップ001はステップ004とステップ005の間で行われてもよい。ステップ004において、前記空間座標差(A-A’, B-B’)に基づいて、前記幾何学中心と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、前記画像撮影装置をx方向及び/又はy方向に移動する。その後、ステップ001において、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心の位置関係を再び確定し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向の空間座標差M’及びy方向の空間座標差N’を取得する。
【0074】
その後、前記搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、前記ステント1はx方向にて前記搭載装置に向けてM’だけ移動し、y方向にて前記搭載装置に向けてN’だけ移動する。
【0075】
もう一つの実施例において、ステップ004において、ステントの溝又は穴の実際の中心位置と前記幾何学中心とが同一縦軸上になった後、前記搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、ステントを移動できる以外、前記搭載装置も移動できる。
【実施例4】
【0076】
図4に本発明の搭載装置の実施例を示す。該薬剤溶出性ステント1の溝11に薬剤を分注する装置は、ポータルフレーム21、画像処理装置22、画像撮影装置23、搭載装置24、回転台25、医療器具置き台26および台座27を含む。
【0077】
図4に示すように、前記ポータルフレーム21は前記台座27に垂直になるように前記台座27に設けられる。前記画像撮影装置23は前記ポータルフレーム21の横梁に垂直になるように前記ポータルフレーム21に固定される。
【0078】
前記画像撮影装置23と前記画像処理装置22は接続されている。前記画像処理装置22は前記画像撮影装置23で撮影した画像を受信するとともに、処理された画像データを置き台26の制御部に送信する又は外部可視部に送信し、操作者により次の操作を行う。前記画像撮影装置23は位置調節装置28(図示しない)を接続しており、該位置調節装置28は前記受信した指令によって前記搭載装置24を調整する。
【0079】
前記搭載装置24も前記ポータルフレーム21に垂直になるように前記ポータルフレーム21に固定する。前記搭載装置24には薬剤及び/又はポリマーを予め搭載しておく。
【0080】
前記台座27に医療器具置き台26を設ける。図4に示すように、前記医療器具置き台26は一つの横向きの台と一つの縦向きの台で構成され、前記縦向きの台は前記横向きの台の上方に位置する。前記置き台26は位置調節装置28(図示しない)を接続し、該位置調節装置は受信した指令によって前記医療器具置き台26を動かしてx-yの水平座標面を移動する。
【0081】
回転台25を前記医療器具置き台26の上方に、前記置き台26に垂直になるように設ける。図4に示すように、該回転台25は円形であるが、他の形状でもよい。前記回転台25に支持軸29を設ける。該支持軸29の一端は前記回転台25に接続され、該支持軸29は前記回転台25に接続される端部を支点とし、前記回転台25上で自在に回転する。前記ステント1は前記支持軸29に設けられる。
【0082】
また、本発明のもう一つの実施例において、搭載装置24の出口241と画像撮影装置23の位置差を補正する、即ちx方向の間隔M、y方向の間隔Nの数値を自動的に取得できる補正装置を更に設ける。
【0083】
本発明のもう一つの実施例において、前記位置調節装置28(図示しない)は制御チップを有し、前記画像処理装置22はその結果データを前記位置調節装置28(図示しない)に送信し、該位置調節装置28(図示しない)の制御チップは前記受信したデータに基づいて前記置き台26を調整する。
【0084】
本発明の技術内容及び技術特徴は以上のとおりである。本発明の思想の範囲内において、当分野の技術者は上記構造について各種変更や改良を行うことができるが、これらは全て本発明の保護範囲に属す。上記実施例の説明は例示的なものでこれらに限定されるものではなく、本発明の保護範囲は請求の範囲により確定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤及び/又はポリマーを搭載する溝又は穴を一つ又は二つ以上含む医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する方法であって、以下のステップを含むことを特徴とする、方法:
1)少なくとも一つの前記溝又は穴の全体の図形を含む前記医療器具上の溝又は穴の画像を撮影するステップ、
2)前記撮影画像にデジタル画像処理を施して前記溝又は穴の図形を取得するステップ、
3)前記溝又は穴の図形の中心位置を計算するとともに、該中心位置に基づいて前記溝又は穴の実際の中心位置を確定するステップ、
4)搭載装置の出口が前記溝又は穴の実際の中心位置に合うように前記搭載装置と前記医療器具との相対位置を調整するステップ、
5)前記搭載装置の出口を開いて前記溝又は穴に搭載するステップ。
【請求項2】
ステップ2)において、溝又は穴の図形を取得するために、撮影した画像を複数の画素点集合に変換し、画素点集合をデジタル画像処理することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ2)において、画像を画素点集合に変換した後、各画素点ごとのグレースケール値に基づいた値を画素点に代入し、所定値又は値範囲に合致する画素点を目標画素点又は背景画素点に指定し、目標画素点又は背景画素点に指定された全ての画素点を連通し、目標画素体を形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
画素点を2値化処理した値を各画素点ごとに代入することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ3)において、溝又は穴の図形の各画素点の空間座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の空間座標を計算することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ4)において、更に、撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ4)において、下記の方法により撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定することを特徴とする請求項6に記載の方法:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の空間座標を取得し、
b)前記四つの頂点の空間座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を計算する。
【請求項8】
ステップ3)において、溝又は穴の図形の各画素点の画素座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の画素座標を計算することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップ4)において、更に、撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を確定することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ4)において、下記の方法により撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定することを特徴とする請求項9に記載の方法:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の画素座標を取得し、
b)前記四つの頂点の画素座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の画素座標を計算する。
【請求項11】
ステップ4)において、撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定するために、前記撮影した画像の解像度に基づいてx方向及びy方向の画素点の中間値をそれぞれ取得することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ステップ4)において、図形の中心画素点の画素座標と画像の幾何学中心画素点の画素座標の座標差を計算するとともに、算出された画素座標の差を空間座標差に変換することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ステップ4)において、溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とが同一縦軸上になるように、前記溝又は穴の図形の中心位置の空間座標と前記幾何学中心の空間座標との座標差に基づいて前記溝又は穴を備えた医療器具をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項6又は12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ4)において、溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とが同一縦軸上になるように、前記溝又は穴の図形の中心位置の空間座標と前記幾何学中心の空間座標との座標差に基づいて画像撮影装置をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項6又は12に記載の方法。
【請求項15】
更に、搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の位置関係を予め確定し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向及び/又はy方向の空間座標差を取得することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とを同一縦軸上にした後、搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて医療器具をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とを同一縦軸上にした後、搭載装置の出口と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて前記搭載装置の出口をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
更に、搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の位置関係を予め確定し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置の中心のx方向及び/又はy方向の空間座標差を取得することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とを同一縦軸上にした後、前記搭載装置の出口と前記溝又は穴の実際の中心位置とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて医療器具をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
溝又は穴の実際の中心位置と幾何学中心とを同一縦軸上にした後、搭載装置の出口と前記幾何学中心とが同一縦軸上になるように、得られた搭載装置の出口と画像撮影装置の中心の空間座標差に基づいて前記搭載装置の出口をx方向及び/又はy方向に移動することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
更に、ステップ6)を含み、該ステップ6)において、医療器具をステップ2)において前記医療器具の画像が撮影された位置まで戻し、前記医療器具を一定角度回転させ、且つ/又は前記医療器具を一定距離並行移動させ、その後、再びステップ2)からステップ6)を実行し、前記医療器具上の溝又は穴の全てに薬剤及び/又はポリマーが分注されるまで循環的に操作することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
溝又は穴の幅は0.5-200μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
溝又は穴の幅は20-80μmであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
医療器具は人体管腔内ステントであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
人体管腔内ステントは血管ステントであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
薬剤は化学薬剤及び/又は生物活性物質から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
化学薬剤は免疫抑制剤及び/又は抗癌薬剤から選ばれることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
免疫抑制剤はラパマイシン及びその誘導体から選ばれ、抗癌薬剤はパクリタキセル及びその誘導体から選ばれることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
生物活性物質はタンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA及び/又はmicroRNAを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
ポリマーは生分解性ポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
生分解性ポリマーはC、H及びOからなるC2-C6脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
生分解性ポリマーは、
(1) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸又はε-カプロラクトンのホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は二つ以上である、及び/又は、
(2) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸及びε-カプロラクトンのうちの任意の二つ以上が単体として形成されるコポリマーのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項33】
生分解性ポリマーはD,L-ラクチド、ポリD-ラクチド、ポリL-ラクチド、ポリグリコリド、ポリグリコリド-ラクチド及びポリε-カプロラクトンのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項34】
搭載装置は薬剤及び/又はポリマー溶液を予め搭載する容器を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
ステップ1)において、カメラ又はビデオカメラにより溝又は穴の画像を取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
薬剤及び/又はポリマーを搭載する溝又は穴を一つ又は二つ以上含む医療器具に薬剤及び/又はポリマーを搭載する装置であって、以下を含むことを特徴とする、装置:
医療器具を置くための医療器具置き台(26)と、
前記置き台の上方に位置し、少なくとも一つの前記溝又は穴の全体の図形を含む前記医療器具上の溝又は穴の画像を撮影するための画像撮影装置(23)と、
前記画像撮影装置と接続され、前記撮影した画像にデジタル画像処理を施して前記溝又は穴の図形を取得し、前記溝又は穴の図形の中心位置を計算し、該中心位置に基づいて前記溝又は穴の実際の中心位置を確定する画像処理ユニットと、
薬剤及び/又はポリマーを予め搭載し、出口により前記医療器具上の溝又は穴に搭載する搭載装置(24)と、
前記医療器具と前記画像撮影装置(23)及び/又は前記搭載装置(24)との間の相対位置関係を調整するための位置調節装置(28)。
【請求項37】
画像処理ユニットが撮影した画像を複数の画素点集合に変換することを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
画像処理ユニットが画像を画素点集合に変換した後、各画素点ごとのグレースケール値に基づいて画素点に代入し、所定値又は値範囲に合致する画素点を目標画素点又は背景画素点に指定し、目標画素点又は背景画素点に指定された全ての画素点を連通し、目標画素体を形成することを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
画像処理ユニットが画素点を2値化処理した値を各画素点に代入することを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】
画像処理ユニットが溝又は穴の図形の各画素点の空間座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の空間座標を計算することを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項41】
画像処理ユニットが更に、撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定することを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
画像処理ユニットが以下の方法により撮影した画像の幾何学中心の空間座標を確定することを特徴とする請求項41に記載の装置:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の空間座標を取得し、
b)前記四つの頂点の空間座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心の空間座標を計算する。
【請求項43】
画像処理ユニットが溝又は穴の図形の各画素点の画素座標に基づいて前記溝又は穴の図形の中心画素点の画素座標を計算することを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項44】
画像処理ユニットが更に、撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を確定することを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
画像処理ユニットが下記の方法により撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定することを特徴とする請求項40に記載の装置:
a)前記撮影した画像の四つの頂点箇所の画素座標を取得し、
b)前記四つの頂点の画素座標に基づいて前記撮影した画像の幾何学中心画素点の画素座標を計算する。
【請求項46】
画像処理ユニットが撮影した画像の幾何学中心の画素座標を確定するために、画像撮影装置の解像度に基づいてx方向及びy方向の画素点の中間値をそれぞれ取得することを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項47】
画像処理装置が図形の中心画素点の画素座標と画像の幾何学中心画素点の画素座標の座標差を計算するとともに、算出された画素座標の差を空間座標差に変換することを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項48】
更に、搭載装置の出口(241)と画像撮影装置(23)の位置差を補正し、前記搭載装置の出口と前記画像撮影装置のx方向及び/又はy方向の空間座標差を取得する位置補正装置を含むことを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項49】
位置調節装置(28)は医療器具置き台(26)と接続し、前記医療器具置き台を動かしてx-y水平座標面を移動することを特徴する請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項50】
位置調節装置(28)は画像撮影装置(23)と接続し、前記画像撮影装置を動かしてx-y水平座標面を移動することを特徴する請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項51】
位置調節装置は搭載装置と接続し、前記搭載装置を動かしてx-y水平座標面を移動することを特徴する請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項52】
画像撮影装置と搭載装置とは同一垂直面に位置することを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項53】
医療器具置き台は、医療器具が置かれる支持軸(29)を設けた回転台(25)を備えることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項54】
溝又は穴の幅は0.5-200μmであることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項55】
溝又は穴の幅は20-80μmであることを特徴とする請求項54に記載の装置。
【請求項56】
医療器具は人体管腔内ステントであることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項57】
人体管腔内ステントは血管ステントであることを特徴とする請求項56に記載の装置。
【請求項58】
薬剤は化学薬剤及び/又は生物活性物質から選ばれることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項59】
化学薬剤は免疫抑制剤及び/又は抗癌薬剤から選ばれることを特徴とする請求項58に記載の装置。
【請求項60】
免疫抑制剤はラパマイシン及びその誘導体から選ばれ、抗癌薬剤はパクリタキセル及びその誘導体から選ばれることを特徴とする請求項59に記載の装置。
【請求項61】
生物活性物質はタンパク質、ポリペプチド、DNA、RNA及び/又はmicroRNAを含むことを特徴とする請求項58に記載の装置。
【請求項62】
ポリマーは生分解性ポリマーであることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項63】
生分解性ポリマーはC、H及びOからなるC2-C6脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項62に記載の装置。
【請求項64】
生分解性ポリマーは、
(1) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸又はε-カプロラクトンのホモポリマー及びコポリマーのうちの一つ又は二つ以上である、及び/又は、
(2) D-乳酸、L-乳酸、グリコール酸及びε-カプロラクトンのうちの任意の二つ以上が単体として形成されるコポリマーのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項62に記載の装置。
【請求項65】
生分解性ポリマーはD,L-ラクチド、ポリD-ラクチド、ポリL-ラクチド、ポリグリコリド、ポリグリコリド-ラクチド及びポリε-カプロラクトンのうちの一つ又は二つ以上であることを特徴とする請求項62に記載の装置。
【請求項66】
画像撮影装置はカメラ又はビデオカメラであることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の装置。
【請求項67】
画像撮影装置は工業用カメラ又はビデオカメラであることを特徴とする請求項66に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−500088(P2013−500088A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521945(P2012−521945)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/CN2010/075077
【国際公開番号】WO2011/012045
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512012366)マイクロポート メディカル (シャンハイ) シーオー., エルティーディー (3)
【氏名又は名称原語表記】MICROPORT MEDICAL (SHANGHAI) CO., LTD
【Fターム(参考)】