説明

医療機器上に装置を解放可能に装着するためのマウント、および対応の医療機器

本発明は、医療機器に解放可能に受けられるためのマウント(1)であって、該マウント(1)内に挿入するように適合されている装置を収容するためのマウント(1)において、第1の側部(3)と第2の側部(7)とを含む少なくとも2つの側部(3、7)を備え、少なくとも第2の側部(7)または少なくともその一部(13)が、医療機器(1)にマウント(1)を機能的に配置する結果としておよび/または装置をマウント(1)内に機能的に挿入することにより、第1の位置から第2の位置へ変化するように構成されるマウント(1)を提案する。また、同様のマウント(1)を備える医療機器が提案されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウントおよびマウント内に収容されるのに適する装置の両方を解放可能に装着するための、請求項1の特徴を有するマウントに関する。また、本発明は、請求項14に係る医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
実務的に知られる多くの機器、特に医療機器は、例えばその凹部または窪みに解放可能に装着されるように構成された装置を備える。この装置は、医療機器の一部分内に挿入し、あるいは導入することができ、したがって、医療機器から再び分離させることができる。そのため、例えば透析機に組み込まれるアキュムレータまたはバッテリが交換可能な態様で挿入される。これらの電源は、定期的に交換されなければならず、したがって、容易に挿入して取り外すことができるようになっている。また、交換可能性は、一般に、医療機器のエネルギー供給の役目を果たさない他の装置の場合にも求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に電源などの装置を、特に医療機器などの機器に対して解放可能に締結する、あるいは設けるための他のマウントを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有するマウントによって達成される。
【0005】
したがって、本発明によれば、特に医療機器などの機器上にマウントを解放可能に装着するためのマウントが提供される。また、本発明のマウントは、マウントのある使用状態において装置を内部に装着する、あるいは収容するのに適する。マウントは、マウント内に装置を受け入れるため、あるいは装置を内部に挿入させるための任意の構造を有してもよい。特に、マウントは、所定の寸法、幾何学的形態、サイズ、形状などを有する装置を装着するように構成される。これに関連して、マウントおよび装置が互いに適合されてもよい。マウントは、装置を医療機器に対して解放可能に締結するために設けられる。この状態は、本明細書中で使用される「機能的(gebrauchsgemas)」という表現によって表わされ、あるいは定められる。
【0006】
本発明のマウントは、少なくとも2つの側部、すなわち、第1の側部および第2の側部を備える。
【0007】
少なくとも第2の側部またはその一部は、第1の位置から第2の位置へと変化するよう構成されている。以下の説明は、第2の側部に加えて、更なる側部に無制限に置き換えられてもよい。したがって、以下の説明は、例えば第1および第2の側部に適用されてもよい。
【0008】
本発明との関連で側部と称されるマウントの要素は、例えば、マウントの内部の垂直限界として構成されてもよい。本発明の枠組みの中では、端面を側部として定めることもできる。
【0009】
医療機器上への(an)マウントの解放可能な収容は、特に、挿入、導入などであると理解される。本発明によれば、このプロセスは、工具を何ら伴うことなく行なわれるようになっていることが好ましい。
【0010】
医療機器上への(an)マウントの解放可能な収容は、医療機器のケーシングの一部で行なわれるのが好ましい。なお、この前置詞「上へ、上での(an)」は広い意味で理解されるべきである。したがって、医療機器での装着は、「医療機器内で」または「医療機器において」などという意味で理解されてもよい。
【0011】
第2の側部またはその一部の第1の位置から第2の位置への変化は、例えば、機器上でのマウントの、機能的な収容によって行なわれてもよい。したがって、この変化は、機器にマウントを挿入するステップによってもたらされてもよい。また、変化は、マウント内に挿入可能な装置の配置のみによって引き起こされてもよい。本発明のそれぞれの形態に応じて、変化は、マウント内への装置の挿入および/または医療機器内へのマウントの挿入が、垂直方向、水平方向、または、任意の他の方向で行なわれるかどうかとは無関係に行なわれてもよい。
【0012】
本発明の有利な進展が添付の特許請求の範囲の主題である。
【0013】
したがって、好ましい実施形態において、第1の位置では、第2の側部の一部が、マウントの使用状態で、マウントの内側に配置される装置と接触しない。第2の位置では、第2の側部またはその一部が装置と接触する。
【0014】
本発明によれば、前記接触は、特に、隣接接触または力伝達接触であってもよい。随意的に、そのような接触は摩擦接触および/または積極的な接触であってもよい。
【0015】
装置は、第2の位置(接触位置)において、第2の側部と例えば第1の側部などのマウントの他の構造との間で挟持されてもよい。第2の側部の第1の位置から第2の位置への、あるいはその逆への移動は、第1の側部に対する第2の側部の移動であってもよい。
【0016】
本発明によれば、第2の側部と装置との間の接触は、実際には隣り合う構造同士が接触するという意味では、側部と装置との間の隣接接触に限らない。むしろ、スペーサ、絶縁材料、詰め物などの更なる要素が側部と装置との間に更に設けられてもよい。本発明との関連における「接触」は、一般に、側部が装置の動きを大きく制限する状態、特に、側部の媒介によって装置の一部に圧力が直接的に、あるいは間接的に及ぼされる状態である。
【0017】
本発明の更なる好ましい実施形態において、マウントは、装置を第1の位置から第2の位置へマウント内に機能的に挿入することにより、第1の側部と第2の側部との間の距離、あるいはそのそれぞれの一部同士の間の距離、および/または内部の容積が減少されるように構成される。
【0018】
本発明のマウントの更なる好ましい実施形態においては、第2の側部が(マウントの内側からの装置の除去によって、および/または医療機器からのマウントの解放によって)第2の位置(以下、「隣接位置」とも称される)から第1の位置へ、あるいは第1の位置と第2の位置との間に配置される中間位置へ変化することが提案される。
【0019】
第2の位置から第1の位置への、あるいは中間位置への変化は、マウントまたは第2の側部の固有の張力の結果として、形状記憶材料の利用の結果として、例えば機器のユーザによって、リセット手段またはバネ手段などによって行なわれてもよい。
【0020】
本発明に係る更なる好ましい実施形態では、第2の側部の少なくとも一部がマウントに固定的に接続されることが提案される。固定的接続部は、取り外しできない接続、解放できない接続、または、更には一体接続の形態を成してもよい。
【0021】
本発明によれば、装置は、マウントがその内部に装置を収容するように構成される場合、医療機器のための電源でるとすることができる。したがって、装置がアキュムレータまたはバッテリ等として構成され得る。
【0022】
本発明によれば、マウントは、例えば、スタンピング加工として、または、鋳造プロセスによって、または、樹脂等の任意の他の適した製造プロセスによって一体に形成され得る。
【0023】
また、本発明の更なる好ましい実施形態において、マウントは、医療機器内におけるマウントの受け入れ深さ、貫通深さ等を固定するための少なくとも1つのストッパを備える。
【0024】
本発明のマウントは、更なる好ましい実施形態において、医療機器の一部、特にアンダーカットでマウントに係止するための少なくとも1つのキャッチを備える。
【0025】
また、更なる好ましい実施形態では、マウントが該マウントを支えるための少なくとも1つのハンドルを備え、キャッチが−存在する場合には−好ましくはこのハンドルに圧力を及ぼすことにより医療機器での係止状態から解放されてもよい。
【0026】
また、更なる好ましい実施形態において、本発明のマウントは、装置をマウント内で支持するための少なくとも1つの底部を備える。底部の介在により、装置の重量がマウントによって支持されてもよい。
【0027】
本発明の目的は、請求項14の特徴を有する本発明の少なくとも1つのマウントを含む医療機器によっても達成される。この医療機器は、好ましくは透析機器の形態を成してもよい。本発明の利点は、本発明のマウントおよび本発明の機器によって同様に達成されてもよいため、以下に本質的に与えられるそれらの統合的な説明を参照する。
【0028】
本発明により、アキュムレータ、バッテリ、特に非常用電力アキュムレータなどの装置を、医療技術器具の一部に対して、特に非常用透析機械に対して、保持機能の高い安全性を伴って締結することができる。マウント内に収容される装置の医療機器に対する装着、あるいは締結を、従来技術のシステムと比べて非常に簡略化させることができる。また、装置の交換を少ない時間で有利に行なうことができる。本発明によれば、医療機器に対する装置の配置およびその取り外し、あるいは交換を、工具を用いることなく有利に行なうことができる。本発明のマウントは、特に簡単で且つ費用効率の高い態様で有利に製造することができる。本発明によれば、医療機器に対する装置の締結、および、装置の解放または交換は、単一の操作で更に有利に行なうことができ、それにより、操作の快適さが高まり、必要とされる時間が減少する。
【0029】
また、本発明のマウントは、それが装置の重量を輸送中に任意の姿勢で安全に支持できるという事実によって有利に特徴付けられる。また、本発明のマウントは、例えば、電気端子と、例えば該端子に接触しないようになっている医療機器の導電部品または導電部との接触を排除するなどのために、医療機器に組み付けた状態で、装置、特に重いアキュムレータのマウント内での姿勢を変えられないように予め有利に決定できるという利点も有する。このマウントは、実質的に任意の幾何学的構造を有する装置のために使用できる。
【0030】
以下、同様の参照符号が同一または少なくとも類似の要素を示す添付図面を参照して、本発明を典型的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】マウント内に装置が収容されていない非組立状態の本発明のマウントを示している。
【図2】医療機器内に組み付けられた状態で内部にバッテリが収容される、斜め上から見たときの図1のマウントを示している。
【図3】本発明の医療機器内に挿入される本発明のマウントの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、4つの側部3、5、7、9を有する本発明のマウント1を斜め上から見て示している。側部5、9はハンドル11を含んでおり、それにより、マウント1を容易に輸送できるとともに医療機器(図1に示されない)内に挿入できる。
【0033】
側部3、7は、マウントの不使用状態(すなわち、バッテリが挿入されていない状態、または、医療機器と接続していない状態)で側部3、7の2つの縁部13間を離間させて上側開口を広げることにより、図1の実施形態ではバッテリの形態を成す装置の矢印Pに沿う挿入を容易にするために、2つの位置間で調整できるように構成されてもよい。
【0034】
図1の描写によれば、側部5、9は、図1の垂直方向において僅かに段差があるようにしてもよく、それにより、上部5−1、9−1は、該上部との間にそれぞれの傾斜部5−2、9−2が配置された下部5−3、9−3よりも、互いから離される。段付き構造は、ハンドル11を用いて側部5、9を互いに近づく方向に押すことができるようにし、それにより、以下で更に詳しく説明するように、側部5、11に設けられるキャッチ14を容易に、工具の使用を伴うことなく、医療装置のケーシング(図1に示されない)から外すことができる。
【0035】
図1のマウント1は4つのストッパ15を更に含んでおり、それにより、マウントが上から垂直に医療技術機器(図1に示されない)のケーシング内に挿入されるときに、マウント1の受け入れ深さ、あるいは貫通深さが制限される。したがって、マウント1は、ストッパ15によって支持されつつ医療機器のケーシング内に載置できる。
【0036】
マウント1の組立状態において、側部3、7は、少なくともそれらの上側領域が互いに近づく。マウント1が医療技術機器から再び取り外されると、側部は再び互いから遠ざかる。しかしながら、マウントは、バッテリ(図1に示されない)を取り外す結果として側部3、7の一部が離れるように構成されてもよい。
【0037】
図1の描写によれば、そこに描かれる本発明の実施形態のマウントは、側部3、5、7、9が接続する底部17を含む。しかしながら、本発明によれば、そのような底部17を伴うことなくマウント1を構成することもできる。そのような実施形態では、マウント1内に挿入されるべき装置を支えるための保持部または支持部が、例えば底部17の代わりに側壁に設けられる。
【0038】
図2は、図1に係る本発明のマウント1を、医療機器21のケーシング19内に組み付けられた状態で示している。図2の描写において、マウント1は、端子25、27を含むバッテリの形態を成す装置23をその内側に備える。
【0039】
図2では、マウント1がどのようにしてストッパ15により医療機器21のケーシング19の上側領域に支持されるのか、および、それに応じてこれらのストッパがどのようにして、上から垂直に医療機器21内に挿入されるマウント1の医療機器内への侵入度合い、あるいは貫通度合いを決定するのかが分かる。
【0040】
図2では、マウントの挿入の際にケーシング部25、27に起因するケーシング19におけるマウント1のための開口幅の制限によってどのように側部3、5が互いに近づき、それによって、ケーシング部または縁部13が装置23を上側から取り囲み、あるいは装置を側方から挟持することにより装置の動きを制限し、したがって装置を締結し、あるいは固定するのかが分かる。
【0041】
したがって、端子31、33を有するバッテリまたは装置23の上側領域、すなわち、装置の電気接点の領域の囲繞状態が存在する。
【0042】
図1および図2の実施形態において、側部3は、例えば折り目の形態を成すその下部3−1が底部17に対して一体に接続される。同じことが側部5、7、9に当てはまってもよい。
【0043】
図3は、機器21のケーシング19内に配置された状態の本発明のマウント1の部分的に僅かに傾けられた側面図である。図3には、本発明のマウント1のキャッチ14が見えており、該キャッチは、キャッチ14を支持する側部5の固有の張力により、ケーシング19の部分29と係合して、医療機器21のケーシング19からのマウント1の上方向すなわち垂直方向での解放を防止する。矢印Xにより示される方向でハンドル11を押圧することにより、ケーシング19の部分29からキャッチ14を解放またはロック解除して、医療機器21からマウント1を取り外すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器(21)上に解放可能に装着されるマウント(1)であって、前記マウント(1)内に挿入するよう構成されている装置(23)を収容するための前記マウント(1)において、
第1の側部(3)と第2の側部(7)とを含む少なくとも2つの側部(3、7)を備え、
少なくとも前記第2の側部(7)または少なくともその一部(13)が、前記医療機器(1)に前記マウント(1)を機能的に配置する結果としておよび/または前記装置(23)を前記マウント(1)内に機能的に挿入することにより、第1の位置から第2の位置へ変化するように構成されている、マウント(1)。
【請求項2】
少なくとも前記第2の側部(7)または少なくともその一部(13)が、前記第1の位置にあるときに前記マウント(1)内に機能的に挿入される前記装置(23)と接触せず、前記第2の位置にあるときに前記装置(23)と接触する、請求項1に記載のマウント(1)。
【請求項3】
前記第2の側部(7)が、前記第1の側部(3)と前記第2の側部(7)との間の距離、または前記第1の側部(3)と前記第2の側部(7)のそれぞれの一部同士の間の距離を減少させながら、および/または、内部の容積を減少させながら、前記第1の位置から前記第2の位置へ変化するように構成されている、請求項1または2に記載のマウント(1)。
【請求項4】
前記マウント(1)が、前記マウント(1)の内側からの前記装置(23)の除去によって、および/または、前記医療機器(21)からの前記マウント(1)の解放によって、前記第2の側部(7)が前記第2の位置から前記第1の位置へ、または前記第1の位置と前記第2の位置との間の中間位置へ変化するように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項5】
前記第2の側部(23)の少なくとも一部が前記マウント(1)に固定的に接続される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項6】
前記装置(23)が前記医療機器(21)のための電源である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項7】
前記マウント(1)が、前記医療機器(21)のケーシング(19)の凹部内に配置されるように構成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項8】
前記マウント(1)が一体構造を成す、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項9】
前記医療機器(21)内における前記マウント(1)の受け入れ深さを固定するための少なくとも1つのストッパ(15)を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項10】
前記医療機器(21)の一部(29)に係止して係止状態をもたらすための少なくとも1つのキャッチ(14)を備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項11】
少なくとも1つのハンドル(11)を備え、それにより、前記キャッチ(14)を係止状態から解放できる、請求項10に記載のマウント(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの底部(17)を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項13】
少なくとも1つの装置(23)を備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマウント(1)。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのマウント(1)を備える、医療機器(21)。
【請求項15】
透析機器の形態を成す、請求項14に記載の医療機器(21)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−502709(P2012−502709A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527250(P2011−527250)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006763
【国際公開番号】WO2010/031572
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(597075904)フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【Fターム(参考)】