医療機器
医療機器は、血管外システム、システムに取り付けられた導管のアクセス器具、及び血管外システム内の停滞した流体を移動させることが可能な機器に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポートを含み得る。血管外システム内の停滞した流体を取り除く方法は、血管外システムを提供することを含み、アクセスポートを有している血管アクセス器具を提供し、機器をアクセスポートを介してシステムに取り付け、別個の血管アクセス器具でアクセスポートにアクセスし、血管外システム内の停滞した流体を移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に注入または他の療法を提供するために使用される血管外システムにおける停滞する流体の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
注入療法は最も一般的な医療処置のうちの一つである。入院患者や在宅治療患者は、血管系に挿入された導管のアクセス器具を介して液、調剤、及び血液製剤を受ける。注入療法は、感染症の治療、麻酔及び鎮痛剤の投与、栄養補助の供給、癌性腫瘍の治療、血圧と心臓リズムの維持、または多くの他の臨床的に重要な用途に用いられる。
【0003】
注入療法は、患者の血管系の外に配置された血管アクセス器具により容易になる。血管外システムは、少なくとも1つのアクセス器具及び/または患者の末梢または中心脈管構造に直接、または間接的にアクセスできる他の医療機器を含む。血管のアクセス器具は、ベクトン・ディキンソン・カンパニー製のルアーアクセス器具、注射器、分割アクセス器具、カテーテル、及び静脈注射(IV)流体室を密閉したBD Q−SYTETMのような閉塞されたアクセス器具を含んでいる。血管外システムは、短期(日単位)、中期間(週単位)または長期(月または年単位)の間、患者の血管系にアクセスすることが可能であり、さらに継続的な注入療法または間欠的な療法のために使うことが可能である。
【0004】
注入療法に関連の合併症は、重要な病的状態及び死亡さえも含む。そのような合併症は、血管外システムの近傍の領域または血管外アクセス器具内の停滞する流体の領域によって生じる可能性がある。これらは、血管外システムの配置または血管外システムのその領域内の流体力学によって、流体の流れが制限されるかまたは存在しない領域がある。空気泡または注入された医薬品は、流体の流れが制限されるか、あるいは存在しないことによって、停滞した流れの領域内に閉じ込められる可能性がある。異なる医薬品が血管外システムに注入されたり、血管外システムが物理的な衝撃にさらされたりするとき、閉じ込められた空気泡または残りの医薬品が血管外システムのアクティブ(active)な流体通路へと戻すよう放出して、血管外システムの流体の流れが変化する可能性がある。空気泡及び残りの医薬品の、血管外システムのアクティブな流体通路への放出は、重要な問題を生じる可能性がある。
【0005】
放出された空気泡は血管外システムを介した流体の流れを遮り、その適切な機能を防止する。より深刻な事態として、放出された空気泡は、患者の血管系と遮られた血液の流れに入り、組織障害及び脳梗塞(stroke)を起こす。さらに、残りの医薬品は、注入された医薬品と相互作用を生じ、血管外システムの中に沈澱物を発生させ、その適切な機能を阻害する可能性がある。さらに、残りの医薬品は、患者の血管系に入り、意図しない及び/または望ましくない影響を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、血管アクセス器具及び血管外システム内の停滞した流れの領域の除去、防止、または制限をする方法が必要とされている。
【0007】
本発明は、現在入手可能な血管外システム、機器、及び方法によって未だ十分に解決されていない技術の問題とニーズに応じて開発された。従って、これらの開発されたシステム、機器、及び方法は、患者の血管系に接続することを可能とし、かつ血管アクセス器具または血管外システム内の停滞する流体の領域を除去し、防止し、または制限することを可能とする血管外システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
血管外システム内の停滞した流れ除去するための医療機器は、血管外システム、血管外システムに取り付けられた血管アクセス器具、及び血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポートを含み得る。アクセスポートは、血管外システム内の停滞した流体を移動させることが可能である。アクセスポートはカムバルブを含み得る。カムバルブはスプリングにより加圧されるバルブであっても良い。カムバルブはアクセスポートのアクセスにおいて開き、カムバルブに流体を受け取らせることを可能にする。カムバルブは、別個の血管アクセス器具をアクセスポートから除去する際に閉まることが可能であり、カムバルブにおいて流体を移動させる。
【0009】
医療機器は血管外システム内のアクティブな流体通路も含むことが可能である。アクセスポートはアクティブな流体通路と直接的に接触することが可能である。医療機器は血管外システムの拡張可能なハウジングも含むことが可能であり、アクセスポートは拡張可能なハウジングに固定可能である。拡張可能なハウジングは弾性を有するものであってもよい。医療機器は、血管外システムのアクティブな流体通路内、及びアクセスポートの反対側に、ポジティブ(positive)な停止部を含むことが可能である。別個の血管アクセス器具がアクセスポートにアクセスし、ポジティブな停止部に抗する力を及ぼす時には、拡張可能なハウジングは拡張することが可能である。
【0010】
アクセスポートは、流体通路の下流側に関連して、アクセスポートから鈍角にあっても良い。アクセスポートは、アクティブな流体通路と接触している凸状の底面を有する隔壁を含むことが可能である。
【0011】
血管外システム内の停滞する流れを取り除く方法は、血管外システムを提供し、アクセスポートを有している導管のアクセス器具を提供し、血管アクセス器具をアクセスポートを介して血管外システムに取り付け、別個の血管アクセス器具でアクセスポートにアクセスし、血管外システム内の停滞する流体を除去する。アクセスポートはカムバルブを含み、前記方法は、カムバルブを開くことをさらに含むことが可能である。前記方法は、カムバルブを閉じることをさらに含むことが可能である。
【0012】
血管外システムはアクティブな流体通路を含むことが可能であり、前記方法は、アクセスポートをアクティブな流体通路と直接的に接触する状態に配置することを含む。血管外システムは拡張可能なハウジングを含むことが可能であり、さらに前記方法は、アクセスポートを拡張可能なハウジングに取り付けること、アクセスポートにアクセスするとき、拡張可能なハウジングを拡張することを含む。
【0013】
血管アクセス器具を血管外システムに取り付けることは、アクセスポートの下流で流体通路から鈍角でアクセスポートにセットすることを含む。前記方法は、血管外システム内で停滞する流体が存在し、追加される物質がないスペースに置き換えるために、アクセスポートに物質を追加することを含む。
【0014】
医療機器は、患者の血管系にアクセスする手段、及び停滞した流体を置き換えるための手段を含むことが可能である。停滞した流体を置き換える手段は、患者の血管系にアクセスするための手段内に備えられても良い。
【0015】
本発明のこれらの特徴や他の特徴及び利点は、本発明の特定の実施形態に組み込まれることも可能であり、さらに、以下の記載や後述の請求項から十分に明らかになるであろうし、後に述べるように、本発明の実施によって知り得るであろう。本発明は、ここに、説明された全ての有利な特徴及びすべての利点が、本発明の全ての実施形態に組み入れられることを必要としていない。
【0016】
前述の本発明の前述の特徴とその他の特徴や利点が得られる方法が容易に理解されるように、前述の簡潔に述べられた本発明のより詳細な記載は、添付の図面に記載されている特定の実施形態を参照することによって提供されるであろう。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態を示すものであり、従って、本発明の範囲を限定するように考慮されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】患者の血管系に接続される血管外システムの斜視図である。
【図2】アクセスポートにアクセスしている別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図3】図2のアクセスポートと完全に係合した別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図4】図2のアクセスポートから取り除かれた別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図5】閉じられたカムバルブの部分断面図である。
【図6】開いているカムバルブの部分断面図である。
【図7】閉じられているカムバルブの部分断面図である。
【図8】図7のカムバルブからさらに閉じられたカムバルブの部分断面図である。
【図9】アクティブな流体通路と直接的に接触しているアクセスポートの部分断面図である。
【図10】拡張可能なハウジングに固定され、かつアクティブな流体通路と直接的に接触しているアクセスポートの部分断面図である。
【図11】下流側のアクティブな流体通路に対し鈍角となるアクセスポートの部分断面図である。
【図12】停滞した流体に接触しているアクセスポートの部分断面図である。。
【図13】アクティブな流体通路と接触している凹面の表面を持つアクセスポートの部分断面図である。
【図14】別個の血管アクセス器具によりアクセスされている図13のアクセスポートの部分断面図である。
【図15】デッドスペースを満たすために突起を有しているアクセスポートの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施例は図面の参照により最もよく理解され、参照番号等は同一のまたは機能的に同様な要素を示している。ここで、図において全体的に記載及び示されているように、本発明の構成要素は、多種多様な異なる構成において配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。従って、図に表されるような、以下に述べるより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載されている発明の範囲を制限することを意図しておらず、単に、本発明の好ましい実施形態を表現するものである。
【0019】
いま、図1を参照するに、血管アクセス器具10は、カテーテル12を介して流体通路に沿い、皮膚14を横切って、患者18の血管16に物質を導入するために使用される。血管アクセス器具10は、本体20とアクセスポート22を含む。アクセスポート22は、注射器のような、先端部30を有する別個の血管アクセス器具26が血管アクセス器具10へと物質を導入することが可能なスリット隔壁24を有する。血管アクセス器具10(血管外機器、静脈アクセス器具及び/または血管外システムに取付けられるか、あるいは血管外システムと共に機能する機器)及び別個の血管アクセス器具26が、少なくとも血管外システム28の部分を構成する。血管アクセス器具10は、どのような取付位置及び取付方向でもアダプター、カテーテル12、または他の血管外機器に固定することが可能である。
【0020】
いま、図2を参照するに、血管アクセス器具10及び血管外システム28の別個の血管アクセス器具26の一部断面図が、血管アクセス器具のアクセスポート22へと挿入される別個の血管アクセス器具26の先端30を示している。アクセスポート22は、それぞれ別個の圧縮バネ36によって機器10の内側の壁34に独立して固定された2つに分離可能な半部32を含みます。2つの半部32は、ばね36の圧縮された状態において、ばね加重されたカムバルブを形成する。
【0021】
ばね加重された半部32のそれぞれは、先端部30が二つの傾斜面40に抗して、アクセスポート22へと進むとき、先端部30が二つの半部32を分離させるように、先端部30の外面に連通することを可能にする傾斜した内面40を含む。従って、アクセスポート22のカムバルブは、アクセスポート22が別個の血管アクセス器具26によってアクセスされたときに開く。カムバルブが開くと、流体通路42は2つの半部32の間で開き、広がる。
【0022】
図3を参照するに、図2を参照して説明された実施形態の部分断面図が示されている。図3に示すように、先端部30が十分にアクセスポート22へと傾斜した内面40に抗して進むと、2つの半部32が各ばね36に抗して圧縮され、流体通路42が最大幅へと開かれる。
【0023】
図4を参照するに、図2及び図3を参照して説明された実施形態は、アクセスポート22から取り除かれた別個の血管アクセス器具26の先端部30と共に示されている。アクセスポート22から取り除かれた先端部30と共に、圧縮バネ36は、互いに接触するように別個の半部32を押し付け、流体通路42を除去するかあるいは閉じる。
【0024】
図5から図8までを参照するに、図2から4までを参照して説明されたカムバルブの構成可能なバルブの形状が示されている。図5を参照するに、アクセスポート22のカムバルブは、互いに接触する2つの半部32を含んでいる。図6を参照するに、アクセスポート22のカムバルブが開くとき、別個の半部32が互いに分離し、非接触となっている。半部32の傾斜した内面40に加え、半部32は、半部32の内面に他の傾斜した面44を含んでいる。他の傾斜した面44は、傾斜した面40と反対の方向に傾斜している。半部32の素材は、他の傾斜した面44が互いに接触するように圧縮され得る柔軟性を有する素材であっても良い。
【0025】
図7を参照するに、アクセスポート22のカムバルブは、閉じ始めた状態を示している。2つの半部の他の内面44は、互いに接触し始めている。他の傾斜した内面44が互いに接触すると、血管外システムが配置された外部の環境46は、そのシステム28の流体通路42から分離される。他の傾斜した内面44が流体通路42から外部の環境46を分離すると、流体通路42内の流体は外部の環境46に向けて流体通路42から出ることができない。
【0026】
図8を参照するに、図5から図7を参照して説明されたアクセスポート22のカムバルブは、さらに互いに圧縮している2つの半部32によって示される。2つの半部32が2つの半部のそれぞれの素材を圧縮し、かつ互いがさらに接触すると、他の傾斜した内面44は、互いに漸進的に接触し、外部の環境46から離れた方向において液体通路42内の流体を血管外システム28へと押し出す。従って、圧縮可能な半部32の傾斜した内面44は、別個の血管アクセス器具26のアクセスポート22からの除去において、カムバルブが閉まることを可能にし、同時に、カムバルブが流体を追い出す。カム駆動バルブは、アクセスポート22と隣接した停留した流体をかくまうスペースも有効に取り除きます。
【0027】
いま、図9を参照するに、血管外システム28は、血管アクセス器具10に取り付けられた血管外システム28及び血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポート22を含む。アクセスポート22は、血管外システム28のアクティブな流体通路50と直接的に接触した状態にある。アクセスポート22は、アクティブな流体通路50と接触している底部ディスク54を有する隔壁52を含む。アクセスポート22が別個の血管アクセス器具26によりアクセスされる時には、底部ディスク54はアクティブな流体通路50へと通じている。しかし、隔壁52の底部ディスク54の2つの半部の長さが、アクティブな流体通路50の直径より長いので、隔壁52の底部ディスク54はアクセスの間に完全には開かない。従って、他の実施形態は、アクティブな流体通路50への直接的な近接または接触をさらに完全に提供していることが望ましく、そして、その実施形態は、図10及び図11を参照して説明される。
【0028】
いま、図10を参照するに、血管外システム28は、別個の血管アクセス器具10に固定される別個の血管アクセス器具26を含むことが可能であり、その血管アクセス器具10は拡張可能なハウジング56を有している血管外システムの一部に順次固定することが可能である。拡張可能なハウジング56は、システム28のアクティブな流体通路50から離れて拡張することが可能な弾性体または他の素材で形成可能である。機器10のアクセスポート22は拡張可能なハウジング56に固定される。
【0029】
血管外システム28は、血管外システム28のアクティブな流体通路50内と、アクセスポート22の反対側とに、ポジティブな停止部58を含むことも可能である。別個のアクセス器具26の先端部30がアクセスポート22に挿入された時、先端部30は最終的にはポジティブな停止部58に接触する。先端部30が接触し、かつポジティブな停止部58に抗する力を発するとき、そのアクセスポート22は、拡張可能なハウジング56を拡張することによって、アクティブな流体通路50から離れるように拡張することが可能である。拡張可能なハウジング56は、別個の血管アクセス器具26がアクセスポート22にアクセスし、かつポジティブな停止部58に抗して力を発するときに、アクセスポート22を別個の血管アクセス器具26の先端部30に引き込み、拡張させる。
【0030】
従って、図10を参照して説明された実施形態は、アクセスポート22がシステム28のアクティブな流体通路50と直接的な接触にあることを可能にする拡張可能なハウジング56を提供する。さらに、拡張可能なハウジング56及びポジティブな停止部58は、別個の血管アクセス器具26の先端30が完全に挿入されることを可能にし、かつアクティブな流体通路50内に十分に注入すること、及びアクティブな流体通路50内に作用することが可能になる。従って、図10を参照して説明された本実施形態では、図9を参照して説明された実施形態に関して存在する制限が解消される。
【0031】
図11を参照するに、血管外システム28は、アクティブな流体通路50を有する血管外システム28の残りの部分に順次接続または取り付けられている血管アクセス器具10に挿入された別個の血管アクセス器具26を含む。血管アクセス器具10はアクセスポート22を含む。アクセスポート22はアクティブな流体通路50と直接的な接触状態にある。アクセスポート22は、そのアクセスポートの下流側の流体通路50に対して、90度から180度の間の鈍角である角度にある。従って、図11を参照して説明される本実施形態は、別個のアクセス器具26の先端部30が、機器10のアクセスポート22に鈍角で完全に挿入されること、及びシステム28のアクティブな流体通路50に完全に挿入されることを可能にする。完全に挿入される時には、先端30は適切に機能し、アクティブな流体通路50に流体を十分に注入することができる。同時に、アクセスポート22の底面は、アクティブな流体通路50と直接的に接触し、アクティブな流体通路50とアクティブな流体通路50と直接的に接触していないアクセスポート22との間に存在する停滞する流体を取り除くか、あるいは制限する。
【0032】
従って、図9から図11を参照して説明された実施形態では、血管外システム28のアクティブな流体通路50と直接的に接触するアクセスポート22を提供する。図10と図11を参照して説明された実施形態は、アクティブな流体通路50へと別個のアクセス器具26の先端30を十分に受け入れることを可能とするアクセスポート22をさらに提供する。加えて、図10と図11を参照して説明された実施形態は、別個の血管アクセス器具26がアクセスポート22から取り除かれるとき、アクティブな流体通路50へと流体を移動させることが可能なアクセスポート22を提供する。
【0033】
図12を参照するに、血管外システム28の従来のアクセスポート22は、隔壁52の底部ディスク54の凹面状の底面を有する隔壁を含んでいる。底部ディスク54の底面の凹面状の形は、停滞した流体が存在する隔壁52の直下に、デッドスペース62の領域を生じさせる。従って、デッドスペースを除去する実施形態は、好ましく、図13を参照して説明されている。
【0034】
いま、図13を参照するに、血管外システム28は、システム28のアクティブな流体通路50と接触している凸面状の底面64を有する隔壁52を有するアクセスポート22を含み得る。凸面状の底面64は、デッドスペース62が停滞する流体をかくまうようなスペース62に突出している。アクセスポート22が別個のアクセス器具26の先端30によりアクセスされる時には、凸状の底面64は開き、アクセスに先がけて、停滞する流体が存在したデッドスペース62に突出する。従って、図13を参照して説明された実施形態は、停滞する流体が存在する可能性があるデッドスペース62を取り除くか、または移転することが可能な凸状の底面を有するアクセスポートを提供する。アクセスポート22は、クティブな流体通路50に、より近接するか、あるいはより遠くに存在しても良い。
【0035】
図1から図13を参照して説明された特徴及び構成要素のいずれにおいても、移動、除去、制限あるいは血管外システム28内での他の停滞する流体の相互作用を可能にする少なくとも一つのアクセスポートを提供するために、どのような組み合わせ及び数ででも使用可能である。
【0036】
図14及び図15は同様な問題の解決を示している。図14は、デッドスペース62を結果として生じる可能性があるアクセスポート22を示している。図15に示すように、デッドスペース62は2つの下方の突出部64により満たされている。従って、デッドスペース62は塞がれ、その結果、前述の問題を生じない。
【0037】
以上に概説した、もしくは請求の範囲に記載されたような構造、方法その他の本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態に具現化することができる。上述した実施形態は、すべての点において、説明のためのものとして考察されるべきであり、限定のためのものとして考察されるべきではない。従って、本発明の範囲は、上述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の記載と同等の範囲及び意味になる変更のすべては、特許請求の範囲に含まれるものである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者に注入または他の療法を提供するために使用される血管外システムにおける停滞する流体の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
注入療法は最も一般的な医療処置のうちの一つである。入院患者や在宅治療患者は、血管系に挿入された導管のアクセス器具を介して液、調剤、及び血液製剤を受ける。注入療法は、感染症の治療、麻酔及び鎮痛剤の投与、栄養補助の供給、癌性腫瘍の治療、血圧と心臓リズムの維持、または多くの他の臨床的に重要な用途に用いられる。
【0003】
注入療法は、患者の血管系の外に配置された血管アクセス器具により容易になる。血管外システムは、少なくとも1つのアクセス器具及び/または患者の末梢または中心脈管構造に直接、または間接的にアクセスできる他の医療機器を含む。血管のアクセス器具は、ベクトン・ディキンソン・カンパニー製のルアーアクセス器具、注射器、分割アクセス器具、カテーテル、及び静脈注射(IV)流体室を密閉したBD Q−SYTETMのような閉塞されたアクセス器具を含んでいる。血管外システムは、短期(日単位)、中期間(週単位)または長期(月または年単位)の間、患者の血管系にアクセスすることが可能であり、さらに継続的な注入療法または間欠的な療法のために使うことが可能である。
【0004】
注入療法に関連の合併症は、重要な病的状態及び死亡さえも含む。そのような合併症は、血管外システムの近傍の領域または血管外アクセス器具内の停滞する流体の領域によって生じる可能性がある。これらは、血管外システムの配置または血管外システムのその領域内の流体力学によって、流体の流れが制限されるかまたは存在しない領域がある。空気泡または注入された医薬品は、流体の流れが制限されるか、あるいは存在しないことによって、停滞した流れの領域内に閉じ込められる可能性がある。異なる医薬品が血管外システムに注入されたり、血管外システムが物理的な衝撃にさらされたりするとき、閉じ込められた空気泡または残りの医薬品が血管外システムのアクティブ(active)な流体通路へと戻すよう放出して、血管外システムの流体の流れが変化する可能性がある。空気泡及び残りの医薬品の、血管外システムのアクティブな流体通路への放出は、重要な問題を生じる可能性がある。
【0005】
放出された空気泡は血管外システムを介した流体の流れを遮り、その適切な機能を防止する。より深刻な事態として、放出された空気泡は、患者の血管系と遮られた血液の流れに入り、組織障害及び脳梗塞(stroke)を起こす。さらに、残りの医薬品は、注入された医薬品と相互作用を生じ、血管外システムの中に沈澱物を発生させ、その適切な機能を阻害する可能性がある。さらに、残りの医薬品は、患者の血管系に入り、意図しない及び/または望ましくない影響を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、血管アクセス器具及び血管外システム内の停滞した流れの領域の除去、防止、または制限をする方法が必要とされている。
【0007】
本発明は、現在入手可能な血管外システム、機器、及び方法によって未だ十分に解決されていない技術の問題とニーズに応じて開発された。従って、これらの開発されたシステム、機器、及び方法は、患者の血管系に接続することを可能とし、かつ血管アクセス器具または血管外システム内の停滞する流体の領域を除去し、防止し、または制限することを可能とする血管外システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
血管外システム内の停滞した流れ除去するための医療機器は、血管外システム、血管外システムに取り付けられた血管アクセス器具、及び血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポートを含み得る。アクセスポートは、血管外システム内の停滞した流体を移動させることが可能である。アクセスポートはカムバルブを含み得る。カムバルブはスプリングにより加圧されるバルブであっても良い。カムバルブはアクセスポートのアクセスにおいて開き、カムバルブに流体を受け取らせることを可能にする。カムバルブは、別個の血管アクセス器具をアクセスポートから除去する際に閉まることが可能であり、カムバルブにおいて流体を移動させる。
【0009】
医療機器は血管外システム内のアクティブな流体通路も含むことが可能である。アクセスポートはアクティブな流体通路と直接的に接触することが可能である。医療機器は血管外システムの拡張可能なハウジングも含むことが可能であり、アクセスポートは拡張可能なハウジングに固定可能である。拡張可能なハウジングは弾性を有するものであってもよい。医療機器は、血管外システムのアクティブな流体通路内、及びアクセスポートの反対側に、ポジティブ(positive)な停止部を含むことが可能である。別個の血管アクセス器具がアクセスポートにアクセスし、ポジティブな停止部に抗する力を及ぼす時には、拡張可能なハウジングは拡張することが可能である。
【0010】
アクセスポートは、流体通路の下流側に関連して、アクセスポートから鈍角にあっても良い。アクセスポートは、アクティブな流体通路と接触している凸状の底面を有する隔壁を含むことが可能である。
【0011】
血管外システム内の停滞する流れを取り除く方法は、血管外システムを提供し、アクセスポートを有している導管のアクセス器具を提供し、血管アクセス器具をアクセスポートを介して血管外システムに取り付け、別個の血管アクセス器具でアクセスポートにアクセスし、血管外システム内の停滞する流体を除去する。アクセスポートはカムバルブを含み、前記方法は、カムバルブを開くことをさらに含むことが可能である。前記方法は、カムバルブを閉じることをさらに含むことが可能である。
【0012】
血管外システムはアクティブな流体通路を含むことが可能であり、前記方法は、アクセスポートをアクティブな流体通路と直接的に接触する状態に配置することを含む。血管外システムは拡張可能なハウジングを含むことが可能であり、さらに前記方法は、アクセスポートを拡張可能なハウジングに取り付けること、アクセスポートにアクセスするとき、拡張可能なハウジングを拡張することを含む。
【0013】
血管アクセス器具を血管外システムに取り付けることは、アクセスポートの下流で流体通路から鈍角でアクセスポートにセットすることを含む。前記方法は、血管外システム内で停滞する流体が存在し、追加される物質がないスペースに置き換えるために、アクセスポートに物質を追加することを含む。
【0014】
医療機器は、患者の血管系にアクセスする手段、及び停滞した流体を置き換えるための手段を含むことが可能である。停滞した流体を置き換える手段は、患者の血管系にアクセスするための手段内に備えられても良い。
【0015】
本発明のこれらの特徴や他の特徴及び利点は、本発明の特定の実施形態に組み込まれることも可能であり、さらに、以下の記載や後述の請求項から十分に明らかになるであろうし、後に述べるように、本発明の実施によって知り得るであろう。本発明は、ここに、説明された全ての有利な特徴及びすべての利点が、本発明の全ての実施形態に組み入れられることを必要としていない。
【0016】
前述の本発明の前述の特徴とその他の特徴や利点が得られる方法が容易に理解されるように、前述の簡潔に述べられた本発明のより詳細な記載は、添付の図面に記載されている特定の実施形態を参照することによって提供されるであろう。これらの図面は、本発明の代表的な実施形態を示すものであり、従って、本発明の範囲を限定するように考慮されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】患者の血管系に接続される血管外システムの斜視図である。
【図2】アクセスポートにアクセスしている別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図3】図2のアクセスポートと完全に係合した別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図4】図2のアクセスポートから取り除かれた別個の血管アクセス器具の部分断面図である。
【図5】閉じられたカムバルブの部分断面図である。
【図6】開いているカムバルブの部分断面図である。
【図7】閉じられているカムバルブの部分断面図である。
【図8】図7のカムバルブからさらに閉じられたカムバルブの部分断面図である。
【図9】アクティブな流体通路と直接的に接触しているアクセスポートの部分断面図である。
【図10】拡張可能なハウジングに固定され、かつアクティブな流体通路と直接的に接触しているアクセスポートの部分断面図である。
【図11】下流側のアクティブな流体通路に対し鈍角となるアクセスポートの部分断面図である。
【図12】停滞した流体に接触しているアクセスポートの部分断面図である。。
【図13】アクティブな流体通路と接触している凹面の表面を持つアクセスポートの部分断面図である。
【図14】別個の血管アクセス器具によりアクセスされている図13のアクセスポートの部分断面図である。
【図15】デッドスペースを満たすために突起を有しているアクセスポートの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施例は図面の参照により最もよく理解され、参照番号等は同一のまたは機能的に同様な要素を示している。ここで、図において全体的に記載及び示されているように、本発明の構成要素は、多種多様な異なる構成において配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。従って、図に表されるような、以下に述べるより詳細な説明は、特許請求の範囲に記載されている発明の範囲を制限することを意図しておらず、単に、本発明の好ましい実施形態を表現するものである。
【0019】
いま、図1を参照するに、血管アクセス器具10は、カテーテル12を介して流体通路に沿い、皮膚14を横切って、患者18の血管16に物質を導入するために使用される。血管アクセス器具10は、本体20とアクセスポート22を含む。アクセスポート22は、注射器のような、先端部30を有する別個の血管アクセス器具26が血管アクセス器具10へと物質を導入することが可能なスリット隔壁24を有する。血管アクセス器具10(血管外機器、静脈アクセス器具及び/または血管外システムに取付けられるか、あるいは血管外システムと共に機能する機器)及び別個の血管アクセス器具26が、少なくとも血管外システム28の部分を構成する。血管アクセス器具10は、どのような取付位置及び取付方向でもアダプター、カテーテル12、または他の血管外機器に固定することが可能である。
【0020】
いま、図2を参照するに、血管アクセス器具10及び血管外システム28の別個の血管アクセス器具26の一部断面図が、血管アクセス器具のアクセスポート22へと挿入される別個の血管アクセス器具26の先端30を示している。アクセスポート22は、それぞれ別個の圧縮バネ36によって機器10の内側の壁34に独立して固定された2つに分離可能な半部32を含みます。2つの半部32は、ばね36の圧縮された状態において、ばね加重されたカムバルブを形成する。
【0021】
ばね加重された半部32のそれぞれは、先端部30が二つの傾斜面40に抗して、アクセスポート22へと進むとき、先端部30が二つの半部32を分離させるように、先端部30の外面に連通することを可能にする傾斜した内面40を含む。従って、アクセスポート22のカムバルブは、アクセスポート22が別個の血管アクセス器具26によってアクセスされたときに開く。カムバルブが開くと、流体通路42は2つの半部32の間で開き、広がる。
【0022】
図3を参照するに、図2を参照して説明された実施形態の部分断面図が示されている。図3に示すように、先端部30が十分にアクセスポート22へと傾斜した内面40に抗して進むと、2つの半部32が各ばね36に抗して圧縮され、流体通路42が最大幅へと開かれる。
【0023】
図4を参照するに、図2及び図3を参照して説明された実施形態は、アクセスポート22から取り除かれた別個の血管アクセス器具26の先端部30と共に示されている。アクセスポート22から取り除かれた先端部30と共に、圧縮バネ36は、互いに接触するように別個の半部32を押し付け、流体通路42を除去するかあるいは閉じる。
【0024】
図5から図8までを参照するに、図2から4までを参照して説明されたカムバルブの構成可能なバルブの形状が示されている。図5を参照するに、アクセスポート22のカムバルブは、互いに接触する2つの半部32を含んでいる。図6を参照するに、アクセスポート22のカムバルブが開くとき、別個の半部32が互いに分離し、非接触となっている。半部32の傾斜した内面40に加え、半部32は、半部32の内面に他の傾斜した面44を含んでいる。他の傾斜した面44は、傾斜した面40と反対の方向に傾斜している。半部32の素材は、他の傾斜した面44が互いに接触するように圧縮され得る柔軟性を有する素材であっても良い。
【0025】
図7を参照するに、アクセスポート22のカムバルブは、閉じ始めた状態を示している。2つの半部の他の内面44は、互いに接触し始めている。他の傾斜した内面44が互いに接触すると、血管外システムが配置された外部の環境46は、そのシステム28の流体通路42から分離される。他の傾斜した内面44が流体通路42から外部の環境46を分離すると、流体通路42内の流体は外部の環境46に向けて流体通路42から出ることができない。
【0026】
図8を参照するに、図5から図7を参照して説明されたアクセスポート22のカムバルブは、さらに互いに圧縮している2つの半部32によって示される。2つの半部32が2つの半部のそれぞれの素材を圧縮し、かつ互いがさらに接触すると、他の傾斜した内面44は、互いに漸進的に接触し、外部の環境46から離れた方向において液体通路42内の流体を血管外システム28へと押し出す。従って、圧縮可能な半部32の傾斜した内面44は、別個の血管アクセス器具26のアクセスポート22からの除去において、カムバルブが閉まることを可能にし、同時に、カムバルブが流体を追い出す。カム駆動バルブは、アクセスポート22と隣接した停留した流体をかくまうスペースも有効に取り除きます。
【0027】
いま、図9を参照するに、血管外システム28は、血管アクセス器具10に取り付けられた血管外システム28及び血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポート22を含む。アクセスポート22は、血管外システム28のアクティブな流体通路50と直接的に接触した状態にある。アクセスポート22は、アクティブな流体通路50と接触している底部ディスク54を有する隔壁52を含む。アクセスポート22が別個の血管アクセス器具26によりアクセスされる時には、底部ディスク54はアクティブな流体通路50へと通じている。しかし、隔壁52の底部ディスク54の2つの半部の長さが、アクティブな流体通路50の直径より長いので、隔壁52の底部ディスク54はアクセスの間に完全には開かない。従って、他の実施形態は、アクティブな流体通路50への直接的な近接または接触をさらに完全に提供していることが望ましく、そして、その実施形態は、図10及び図11を参照して説明される。
【0028】
いま、図10を参照するに、血管外システム28は、別個の血管アクセス器具10に固定される別個の血管アクセス器具26を含むことが可能であり、その血管アクセス器具10は拡張可能なハウジング56を有している血管外システムの一部に順次固定することが可能である。拡張可能なハウジング56は、システム28のアクティブな流体通路50から離れて拡張することが可能な弾性体または他の素材で形成可能である。機器10のアクセスポート22は拡張可能なハウジング56に固定される。
【0029】
血管外システム28は、血管外システム28のアクティブな流体通路50内と、アクセスポート22の反対側とに、ポジティブな停止部58を含むことも可能である。別個のアクセス器具26の先端部30がアクセスポート22に挿入された時、先端部30は最終的にはポジティブな停止部58に接触する。先端部30が接触し、かつポジティブな停止部58に抗する力を発するとき、そのアクセスポート22は、拡張可能なハウジング56を拡張することによって、アクティブな流体通路50から離れるように拡張することが可能である。拡張可能なハウジング56は、別個の血管アクセス器具26がアクセスポート22にアクセスし、かつポジティブな停止部58に抗して力を発するときに、アクセスポート22を別個の血管アクセス器具26の先端部30に引き込み、拡張させる。
【0030】
従って、図10を参照して説明された実施形態は、アクセスポート22がシステム28のアクティブな流体通路50と直接的な接触にあることを可能にする拡張可能なハウジング56を提供する。さらに、拡張可能なハウジング56及びポジティブな停止部58は、別個の血管アクセス器具26の先端30が完全に挿入されることを可能にし、かつアクティブな流体通路50内に十分に注入すること、及びアクティブな流体通路50内に作用することが可能になる。従って、図10を参照して説明された本実施形態では、図9を参照して説明された実施形態に関して存在する制限が解消される。
【0031】
図11を参照するに、血管外システム28は、アクティブな流体通路50を有する血管外システム28の残りの部分に順次接続または取り付けられている血管アクセス器具10に挿入された別個の血管アクセス器具26を含む。血管アクセス器具10はアクセスポート22を含む。アクセスポート22はアクティブな流体通路50と直接的な接触状態にある。アクセスポート22は、そのアクセスポートの下流側の流体通路50に対して、90度から180度の間の鈍角である角度にある。従って、図11を参照して説明される本実施形態は、別個のアクセス器具26の先端部30が、機器10のアクセスポート22に鈍角で完全に挿入されること、及びシステム28のアクティブな流体通路50に完全に挿入されることを可能にする。完全に挿入される時には、先端30は適切に機能し、アクティブな流体通路50に流体を十分に注入することができる。同時に、アクセスポート22の底面は、アクティブな流体通路50と直接的に接触し、アクティブな流体通路50とアクティブな流体通路50と直接的に接触していないアクセスポート22との間に存在する停滞する流体を取り除くか、あるいは制限する。
【0032】
従って、図9から図11を参照して説明された実施形態では、血管外システム28のアクティブな流体通路50と直接的に接触するアクセスポート22を提供する。図10と図11を参照して説明された実施形態は、アクティブな流体通路50へと別個のアクセス器具26の先端30を十分に受け入れることを可能とするアクセスポート22をさらに提供する。加えて、図10と図11を参照して説明された実施形態は、別個の血管アクセス器具26がアクセスポート22から取り除かれるとき、アクティブな流体通路50へと流体を移動させることが可能なアクセスポート22を提供する。
【0033】
図12を参照するに、血管外システム28の従来のアクセスポート22は、隔壁52の底部ディスク54の凹面状の底面を有する隔壁を含んでいる。底部ディスク54の底面の凹面状の形は、停滞した流体が存在する隔壁52の直下に、デッドスペース62の領域を生じさせる。従って、デッドスペースを除去する実施形態は、好ましく、図13を参照して説明されている。
【0034】
いま、図13を参照するに、血管外システム28は、システム28のアクティブな流体通路50と接触している凸面状の底面64を有する隔壁52を有するアクセスポート22を含み得る。凸面状の底面64は、デッドスペース62が停滞する流体をかくまうようなスペース62に突出している。アクセスポート22が別個のアクセス器具26の先端30によりアクセスされる時には、凸状の底面64は開き、アクセスに先がけて、停滞する流体が存在したデッドスペース62に突出する。従って、図13を参照して説明された実施形態は、停滞する流体が存在する可能性があるデッドスペース62を取り除くか、または移転することが可能な凸状の底面を有するアクセスポートを提供する。アクセスポート22は、クティブな流体通路50に、より近接するか、あるいはより遠くに存在しても良い。
【0035】
図1から図13を参照して説明された特徴及び構成要素のいずれにおいても、移動、除去、制限あるいは血管外システム28内での他の停滞する流体の相互作用を可能にする少なくとも一つのアクセスポートを提供するために、どのような組み合わせ及び数ででも使用可能である。
【0036】
図14及び図15は同様な問題の解決を示している。図14は、デッドスペース62を結果として生じる可能性があるアクセスポート22を示している。図15に示すように、デッドスペース62は2つの下方の突出部64により満たされている。従って、デッドスペース62は塞がれ、その結果、前述の問題を生じない。
【0037】
以上に概説した、もしくは請求の範囲に記載されたような構造、方法その他の本質的な特徴から逸脱することなく、本発明を他の特定の形態に具現化することができる。上述した実施形態は、すべての点において、説明のためのものとして考察されるべきであり、限定のためのものとして考察されるべきではない。従って、本発明の範囲は、上述の説明によってではなく添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の記載と同等の範囲及び意味になる変更のすべては、特許請求の範囲に含まれるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管外システム内の停滞した流体を除去するための医療機器であって、
血管外システムと、
前記血管外システムに取り付けられた血管アクセス器具と、
前記血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポートと、を備え、
前記アクセスポートのアクセスは、血管外システム内の停滞した流体を移動させることを特徴とする医療機器。
【請求項2】
前記アクセスポートは、カムバルブを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記カムバルブは、スプリング付きのバルブであることを特徴とする請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記カムバルブは、前記アクセスポートのアクセスにおいて開き、流体を受け取ることを特徴とする請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
前記カムバルブは、別個の血管アクセス器具の除去において閉じ、流体を放出することを特徴とする請求項4に記載の医療機器。
【請求項6】
前記血管外システム内のアクティブな流体通路をさらに備え、前記アクセスポートは前記アクティブな流体通路と直接的に接触していることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記血管外システムの拡張可能なハウジングをさらに備え、前記アクセスポートは前記拡張可能なハウジングに固定されることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項8】
前記血管外システムのアクティブな流体通路及び前記アクセスポートの反対側にポジティブな停止部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の医療機器。
【請求項9】
前記別個の血管アクセス器具がアクセスポートにアクセスし、ポジティブな停止部に抗して力を発生させるときに、前記拡張可能なハウジングが拡張することを特徴とする請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートの下流側で、前記流体通路に関して鈍角になることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項11】
前記アクセスポートは、前記アクティブな流体通路に接触する凸状の底面を有する隔壁を含むことを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項12】
血管外システム内の停滞した流体を除去する方法であって、
血管外システムを提供し、
アクセスポートを有する血管アクセス器具を提供し、
前記アクセスポートを介して血管外システムに前記血管アクセス器具を取り付け、
別個のアクセス器具と共に前記アクセスポートにアクセスし、
前記血管外システム内の停滞する流体を移動させることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記アクセスポートは、カムバルブを含み開き、前記カムバルブを開くことをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カムバルブを閉じることをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記血管外システムは、アクティブな流体通路を含み、前記アクティブな流体通路に直接的に接触してアクセスポートを配置することをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記血管外システムは、拡張可能なハウジングを含み、前記アクセスポートを拡張可能なハウジングに取り付け、前記アクセスポートにアクセスするとき、前記ハウジングを拡張することをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記血管外システムへの前記血管アクセス器具を取り付けは、前記アクセスポートの下流側で前記流体通路から鈍角となる位置に前記アクセスポートをセットすることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記停滞する流体が存在して追加の物質が存在しないスペースを置き換えるために、前記アクセスポートに物質を追加することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者の血管系にアクセスする手段と、
前記患者の血管系にアクセスする手段の中の停滞する流体を移動させる手段と、を備えることを特徴とする医療機器。
【請求項20】
前記停滞する液体を移動させる手段は、カムバルブを備えることを特徴とする請求項19に記載の医療機器。
【請求項1】
血管外システム内の停滞した流体を除去するための医療機器であって、
血管外システムと、
前記血管外システムに取り付けられた血管アクセス器具と、
前記血管アクセス器具に取り付けられた少なくとも1つのアクセスポートと、を備え、
前記アクセスポートのアクセスは、血管外システム内の停滞した流体を移動させることを特徴とする医療機器。
【請求項2】
前記アクセスポートは、カムバルブを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記カムバルブは、スプリング付きのバルブであることを特徴とする請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記カムバルブは、前記アクセスポートのアクセスにおいて開き、流体を受け取ることを特徴とする請求項3に記載の医療機器。
【請求項5】
前記カムバルブは、別個の血管アクセス器具の除去において閉じ、流体を放出することを特徴とする請求項4に記載の医療機器。
【請求項6】
前記血管外システム内のアクティブな流体通路をさらに備え、前記アクセスポートは前記アクティブな流体通路と直接的に接触していることを特徴とする請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記血管外システムの拡張可能なハウジングをさらに備え、前記アクセスポートは前記拡張可能なハウジングに固定されることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項8】
前記血管外システムのアクティブな流体通路及び前記アクセスポートの反対側にポジティブな停止部をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の医療機器。
【請求項9】
前記別個の血管アクセス器具がアクセスポートにアクセスし、ポジティブな停止部に抗して力を発生させるときに、前記拡張可能なハウジングが拡張することを特徴とする請求項8に記載の医療機器。
【請求項10】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートの下流側で、前記流体通路に関して鈍角になることを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項11】
前記アクセスポートは、前記アクティブな流体通路に接触する凸状の底面を有する隔壁を含むことを特徴とする請求項6に記載の医療機器。
【請求項12】
血管外システム内の停滞した流体を除去する方法であって、
血管外システムを提供し、
アクセスポートを有する血管アクセス器具を提供し、
前記アクセスポートを介して血管外システムに前記血管アクセス器具を取り付け、
別個のアクセス器具と共に前記アクセスポートにアクセスし、
前記血管外システム内の停滞する流体を移動させることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記アクセスポートは、カムバルブを含み開き、前記カムバルブを開くことをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
カムバルブを閉じることをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記血管外システムは、アクティブな流体通路を含み、前記アクティブな流体通路に直接的に接触してアクセスポートを配置することをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記血管外システムは、拡張可能なハウジングを含み、前記アクセスポートを拡張可能なハウジングに取り付け、前記アクセスポートにアクセスするとき、前記ハウジングを拡張することをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記血管外システムへの前記血管アクセス器具を取り付けは、前記アクセスポートの下流側で前記流体通路から鈍角となる位置に前記アクセスポートをセットすることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記停滞する流体が存在して追加の物質が存在しないスペースを置き換えるために、前記アクセスポートに物質を追加することをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者の血管系にアクセスする手段と、
前記患者の血管系にアクセスする手段の中の停滞する流体を移動させる手段と、を備えることを特徴とする医療機器。
【請求項20】
前記停滞する液体を移動させる手段は、カムバルブを備えることを特徴とする請求項19に記載の医療機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−518887(P2010−518887A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531607(P2009−531607)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/080443
【国際公開番号】WO2008/043015
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/080443
【国際公開番号】WO2008/043015
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】
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