医療用インプラントを折り畳み或いは展開するための装置及びセット並びに方法
本発明は、少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を使用することにより少なくとも1つの医療用インプラント(300)を折り畳み或いは展開するための装置(100)であって、インプラント(300)を受けるための受け領域を含むシャフト(1)と、折り畳み可能及び/又は展開可能なインプラント(300)の形状をテンション糸(11,11’)を用いて変更するためのテンション付与デバイス(19)と、テンション糸(11,11’)をインプラント(300)から分離するため及び/又はテンション糸(11,11’)を切り通すための分離デバイスとを含む装置(100)に関する。本発明は、更に、セット及び方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントを折り畳み或いは展開するための請求項1に記載の装置、及び、請求項17に記載のセットに関する。さらに、本発明は、請求項18に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療業務から、テンションをインプラントへ伝える1つ以上の糸又はフィラメントを使用することにより折り畳まれ或いは展開され得るインプラントが知られている。また、折り畳んで展開するための対応する装置が医療業務から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、テンション糸を使用することにより折り畳み可能な及び/又は展開可能なインプラントを折り畳む或いは展開するための装置を提案することである。また、本発明は、そのような装置を含む適切なセット、インプラントを折り畳む及び/又は展開するための方法、及び、テンション糸を切断するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有するデバイスによって解決される。
【0005】
本発明によれば、少なくとも1本のテンション糸を使用することによりインプラントを導入し及び/又は折り畳み及び/又は展開するための装置が提案される。本発明に記載の装置は、インプラントを受けるための受け領域を有するシャフトを含む。
【0006】
装置は、折り畳み可能及び/又は展開可能なインプラントの形状をテンション糸を用いて変更するための少なくとも1つのテンション付与デバイスを更に含む。
【0007】
また、装置は、少なくとも1本のテンション糸をインプラントから分離するため及び/又はテンション糸を切断するための分離デバイスを含む。
【0008】
有利な実施形態及び/又は発展が従属請求項の主題である。
【0009】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、インプラントの形状を変更することは、インプラントの直径、特に外径を減少又は増大させることを意味する。そのような変更は、インプラントの長さの変更又は任意の他の種類の変更を伴うことができ或いは伴うことができない。
【0010】
本発明の装置の1つの実施形態において、インプラントを折り畳むことは、インプラントの直径を減少させることを意味する。
【0011】
本発明に係る特定の実施形態において、展開は、インプラントの直径を増大させることとして理解されるべきである。
【0012】
1つの実施形態において、インプラントの直径は、インプラントの埋め込み後にインプラントを通じて流体が流れる場合のインプラントの主たる流れ方向に対して垂直な1つの面内に配置される。
【0013】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、少なくとも1本のテンション糸が糸である。糸は外科縫合糸と同様であってもよい。糸は、ロープ、フィラメント、又は、コードの形状を有することができる。糸は、複数の係合チェーンリンクを有するチェーンとして形成されることができる。
【0014】
以下において、糸又はテンション糸という用語は、当業者が用語の置き換え可能性を認識するときにはいつでも、複数の糸又はテンション糸を定義してもよい。
【0015】
特定の実施形態では、装置のシャフトが硬質である。幾つかの実施形態では、装置のシャフトが1つ以上の方向で(すなわち、長手方向で、又は、シャフトの幅の方向でそれぞれ、両方向で或いは他の方向で)柔軟である。特定の実施形態では、シャフトが伸長可能である。幾つかの実施形態では、シャフトが高い剛性を有する。
【0016】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、その埋め込まれた状態のインプラントは、その長手方向で流体を通すことができる。通すことができるとは、流体がインプラントを通過して流れることができることを意味する。
【0017】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、インプラントは、展開又は折り畳みのときに装置の受け領域上に或いは受け領域に−少なくとも過渡的に或いは一時的に−装着され或いは緩く配置される。
【0018】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、テンション付与デバイスが少なくとも1つの牽引デバイスを含む。牽引デバイスは、インプラントの形状をテンション糸によって変更するためにインプラントにテンションを間接的に或いは直接的に加えることができるように配置され及び/又は設けられる。
【0019】
これに代えて或いはこれに加えて、本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、テンション糸によってインプラントに加えられたテンションを減少させることができるように配置され及び/又は設けられる。
【0020】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、力又はテンションを伝えるためにテンション糸と相互に作用できるように配置され及び/又は設けられる。
【0021】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、牽引デバイス及びテンション糸が互いに入り組んでいる。
【0022】
本発明に係る1つの実施形態において、用語「入り組んでいる」は、テンション糸が空間の少なくとも1つの方向で或いは空間の2つの方向で牽引デバイスに対して移動できることを示すために使用される。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、用語「移動可能」は、「摺動可能」として理解されるべきである。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、用語「入り組んでいる」とは、チェーンの第1のリンクが、通常は、チェーンの状態で接続されるこのチェーンの隣接する第2のリンクに対して移動可能に配置されるように、テンション糸が牽引デバイスに対して移動可能に配置されることを意味する。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、用語「入り組んでいる」は、テンション糸が牽引デバイス又はその一部分と単に1回交差され或いは牽引デバイス又はその一部分に巻回されることを示すものとする。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、牽引デバイスとテンション糸との間での力又はテンションの伝達(又はそれぞれの伝達)は、無形状閉塞接続(non−form closure connection)によって達成される。
【0027】
本発明に係る1つの実施形態において、牽引デバイスとテンション糸との間での力又はテンションの伝達は、摩擦接続によって達成される。
【0028】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、少なくとも1本の牽引糸として具現化され、あるいは、少なくとも1本の牽引糸から成る。
【0029】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、テンション糸及び/又は牽引糸は、少なくとも1つの束又は複数の糸又は糸要素を含み或いは構成し、又は、これらから成る。
【0030】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、分離デバイスは、テンション糸を切断する(あるいは、切り通す)ための少なくとも1つの切断デバイスを含み或いは該デバイスから成る。
【0031】
本発明に係る特定の実施形態では、分離デバイスがワイヤ又は糸(又は、それぞれ、それらの多数)ではない。
【0032】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、インプラントの最終的な配置後にテンション糸を装置から除去できるようにするために装置から引き込まれるロックワイヤ又はロック糸として具現化されない。
【0033】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、フックを備えず、及び/又は、テンションストリング又は糸を案内し或いは制限するためのリングを備えない。
【0034】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、インプラントの埋め込みの終了後であっても装置にとどまるように具現化され及び/又は装置にとどまるようになっている。
【0035】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、洗浄等を除いて装置から分離されなくてもよい。
【0036】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、患者の身体内でのみ使用されるように意図されるべく具現化される。
【0037】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、インプラントからのテンション糸を患者の身体の外側から分離するために使用されるようになっていない。
【0038】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、装置の存在及び/又はサポートを伴わずにテンションストリングを分離するために使用することはできない。
【0039】
本発明に係る1つの実施形態では、装置が少なくとも1つのスリーブを含む。スリーブは、中空円筒体のように、リング等のように管状に形成されるのが好ましい(すなわち、スリーブは内部に中空を有することができる)。スリーブは、その開放方向に対して及び他の方向、特に、開放方向又は流体通過方向に対して垂直な方向又は面に関して、対称的に或いは非対称的に形成することができる。
【0040】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、分離デバイスは、装置のスリーブの1つの壁のスリーブ開口の一部−好ましくは一体部−として形成される。スリーブ開口は、スリーブの外部をスリーブの内部と接続する。
【0041】
スリーブ開口は、この実施形態では、通過口又は貫通口として形成される。したがって、スリーブ開口を装置の径方向でスリーブの壁と同じ厚さにすることができる。
【0042】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、スリーブ開口が少なくとも1つの第1の凹部を含む。少なくとも1本のテンション糸をこの第1の凹部を通じて−又はこの第1の凹部を用いて−導くことができ或いは案内することができる。
【0043】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、第1の凹部は、テンション糸を切り通すための切断デバイスを含む第1の部分又は第1の領域を含む。
【0044】
特定の実施形態では、切断デバイスが刃先であり或いは刃先を備える。幾つかの実施形態では、切断デバイスがスリーブに取り付けられる。特定の実施形態では、切断デバイスがスリーブと一体に形成される。
【0045】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、第1の凹部は、切断デバイスを含まない第2の部分又は第2の領域を含む。
【0046】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、スリーブ開口は、好ましくは第1の凹部を用いる場合と同じ方法で、少なくとも1本のテンション糸を導くことができ或いは案内できる少なくとも1つの第2の凹部を含む。
【0047】
その際、第1の凹部及び第2の凹部は、少なくとも2本のテンション糸を互いに離間させつつ凹部に導くことができ或いは案内できるようにバーによって互いに分離させることができる。
【0048】
2つの凹部間に距離を与えることにより、1つ以上のテンション糸を凹部の領域で互いに接触させることなく2つの凹部へと分配して導入できる。したがって、テンション糸が互いに抑制し或いは妨げることなく、幾つかのテンション糸を1つのスリーブ開口を通じて導入することが有利に可能である。また、テンション糸の分離導入が幾つかの凹部を設けることによって有利に働くことにより、それぞれの単一のテンション糸を別個に処理又は使用することが有利に可能である。したがって、第1の凹部を通じて導かれるテンション糸を第2の凹部を通じて導かれるテンション糸と異なって使用又は処理することが有利にできる。
【0049】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、バーがスリーブの一部である。そのため、バーは、スリーブ壁の一部であり及び/又はスリーブ壁と一体に形成される。
【0050】
前記第1、第2凹部を、割れ目、延在部、くぼみ、分岐、切り欠きなどと称することもできる(これは、第3、第4、及び、それ以上の凹部に当てはめることもできる)。これらの用語の全ては、凹部、割れ目等がスリーブ開口の共通の特に幅広領域を分岐させ或いは該領域と接続されるという共通点がある。
【0051】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、少なくとも第1の凹部(又は任意の他の凹部)は、少なくとも第2の凹部が装置の同じ寸法で延びるのとは異なって、装置のある寸法で延びる(好ましくは、装置の長手方向に延びる)。
【0052】
本発明に係る1つの実施形態において、装置のシャフトは、その長手方向の少なくとも幾つかの領域で、流体を通すことができ或いは流体のための通路をその内部に有する。シャフトは壁を有する。シャフトは少なくとも1つのシャフト開口を含む。少なくとも1つのシャフト開口は、シャフトの前側ではなくシャフトの側部領域に配置されるのが好ましい。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、装置のシャフトは、シャフトの1つ以上の外周に沿って及び/又はシャフトの長手方向延在部に沿って均一に或いは不均一に分布された複数のシャフト開口を含む。
【0054】
インプラントを折り畳む及び/又は展開するためのテンション糸は、シャフト開口を通じて装置に入ることができ及び/又は装置から出ることができる。装置の使用中、スリーブは、テンション糸を装置の外部から装置の内部へ(好ましくは無制限に及び/又は直接に)導くことができるようにシャフトの内部又は外部に配置される。
【0055】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、テンション糸を、装置の外部から装置の内部へ、特にスリーブの内部へ及び/又はシャフトの内部へ、無制限に及び/又は直接に、すなわち、テンション糸を曲げる或いは方向変換する必要なく導くことができる。
【0056】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、スリーブが移動可能な態様で配置されるのが好ましい。
【0057】
スリーブは、シャフトがスリーブの内側に配置されてスリーブがシャフトの外側にあるようにシャフトを取り囲むことができるのが好ましい。したがって、少なくとも1本のテンション糸は、スリーブの外部からシャフト開口を通じてシャフトの内部へ(あるいは、逆もまた同様)通ることができる。
【0058】
あるいは、スリーブは、シャフトがスリーブを取り囲んでいるようにシャフトの内側に位置させることができる。したがって、少なくとも1本のテンション糸は、シャフトの外部からシャフト開口を通じて及びスリーブ開口を通じてスリーブの内部へ(あるいは、逆もまた同様)通ることができる。
【0059】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、装置は、少なくとも1つの使用状態でテンションをスリーブに与えるようになっているプレテンション付与デバイスを含む。
【0060】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、シャフトの長手方向で実質的に或いは排他的にテンションをスリーブに与える。
【0061】
本発明に係る装置の特定の実施形態において、プレテンション付与デバイスは、スリーブをシャフトに対してねじるためにテンションをスリーブに与える。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、スプリングとして、特にコイルスプリングとして具現化され、及び/又は、ゴムなどの任意の適した材料から−好ましくは弾性材料又は柔軟材料から−具現化される。
【0063】
本発明に係る装置の特定の実施形態において、プレテンション付与デバイスは、プレテンションを押出態様で増大させる或いは維持するように配置されている。
【0064】
本発明に係る装置の幾つかの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、プレテンションを牽引態様で増大させる或いは維持するように配置されている。
【0065】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、分離デバイス及び/又は切断デバイス及び/又はスリーブを、テンション糸がインプラントから分離されず且つテンション糸が切り通されない非分離位置に維持するように配置されている。
【0066】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、装置は、少なくとも1本のテンション糸がインプラントから分離され或いは少なくとも1本のテンション糸が切断される(切り通される)分離位置へと分離デバイス及び/又は切断デバイス及び/又はスリーブを移動させるデバイスを含む。
【0067】
本発明に係る1つの実施形態において、非分離位置から分離位置への移動又は移行を可能にする前記デバイスは、牽引デバイスとして、例えば糸等として具現化される。他の実施形態では、前記デバイスが押出デバイス又はねじりデバイスとして具現化される。
【0068】
1つの実施形態において、非分離位置から分離位置への移動又は移行を可能にする前記デバイスは、スリーブでのその分岐部から装置の外部へと導かれる少なくとも1つの牽引糸又は押出手段又はねじり手段を含む。スリーブから遠い或いはスリーブから離れた糸又は押出手段又はねじり手段の端部は、糸を牽引し或いは押し出し或いはねじる目的で糸を把持するのに適した把持デバイスに接続することができる。装置は、その外部に、把持デバイスを解放可能に受けるためのスナップ留めデバイスを含むことができる。−しかし、含む必要はない。把持デバイスは、その使用までスナップ留めデバイス上に載置できる。
【0069】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、前記デバイスは、プレテンション付与デバイスの作用に勝ることによってのみ非分離位置から分離位置へ移動できるように配置されている。
【0070】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、少なくとも1つの凹部は、シャフト開口とスリーブ開口とを重ね合わせることによって(例えば、スリーブをシャフトの内側で或いはシャフトをスリーブの内側でシフトさせ或いは移動させることによって)少なくとも3つの異なる口部又は出口を形成できるようにスリーブに形成されて設けられる。
【0071】
本明細書中で「少なくとも3つの異なる口部」に言及するときには常に、これらの口部はそれぞれ、本発明の1つの実施形態にしたがって、異なる幾何学的形状を有することができる。言い換えると、口部はそれらの形態が異なり得る。
【0072】
本発明の1つの実施形態において、「3つの異なる口部」は、それらのそれぞれの面積の大きさが異なり得る。
【0073】
本発明の1つの実施形態において、そのような口部は、装置の外部又は装置のシャフトの外部と装置の内部又はシャフトの内部との間の開放通路として定義される。
【0074】
本発明の1つの実施形態において、そのような口部は、シャフト開口(すなわち、シャフトの壁の口部)及びスリーブ開口(すなわち、スリーブの壁の口部)の両方を貫く通路が通過口部の意味で開放する領域である。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、「3つの異なる口部」はそれらの機能が異なり得る。
【0076】
例えば、本発明の1つの実施形態において、第1の口部は、1つ以上のテンション糸を装置の外部から装置の内部へ、例えばスリーブ開口の幅広領域及びそれに近接する或いは隣接するシャフト開口の両方を通じて導入できる十分な大きさを有することができる。
【0077】
本発明の1つの実施形態において、第2の口部は、テンション糸をスリーブ開口の幅広領域を通じて(好ましくは容易に)導入できる十分な大きさとならないような機能(及び、そのために必要な形状)を有することができる。したがって、スリーブ開口の幅広領域を例えばシャフト壁によって覆うことができる。第2の口部は、テンション糸が互いに接触できない及び/又は凹部内で互いに接触できない及び/又は互いにもつれることができないように少なくとも2本のテンション糸を少なくとも2つの凹部を通じて導く機能を有することができる。
【0078】
本発明の1つの実施形態において、第2の口部は、分離デバイス又は切断デバイスをテンション糸のうちの1つ或いは全部と接触させない機能又はそのような接触を妨げる機能を有することができる。
【0079】
本発明の1つの実施形態では、テンション糸が分離デバイス又は切断デバイスと接触できないように分離デバイス又は切断デバイスを第2の口部で壁の一部によって覆うことができる。
【0080】
本発明の1つの実施形態では、口部がそれぞれ所定範囲の幾何学的形状を備えることができる。したがって、口部は、それぞれの機能(及び、随意的にはこの機能だけ)が幾何学的形状のそれぞれの範囲で可能である限り、不変の形状又はサイズを有する必要がない。しかしながら、それぞれの口部は、対応する範囲によって与えられる限界内で可変となり得る。
【0081】
本発明の1つの実施形態において、装置は、ステント又は心臓弁アセンブリの形態を成すインプラントを折り畳む及び/又は展開するように形成される。
【0082】
また、本発明の目的は、本発明に係るセットによっても解決される。本発明に係るセットは、本発明に係る少なくとも1つの装置と、その折り畳み及び/又は展開のためにテンション糸に接続される少なくとも1つのインプラントとを含む。
【0083】
本発明に係るセットの1つの実施形態では、インプラントが折り畳み可能及び/又は展開可能なインプラントである。
【0084】
また、本発明の目的は、本発明に係る方法によって解決される。本発明に係る方法は、本発明に係る装置又は本発明に係るセットを使用することを含む。
【0085】
本発明に係る方法の1つの実施形態において、方法は、少なくとも1本のテンション糸を使用することによってインプラントに与えられるテンションを変えることを含む。テンションは、シャフトの内部を分岐させる牽引デバイスの長さを変えることによって制御されるのが好ましい。
【0086】
本発明の方法の1つの実施形態において、方法は、シャフトとスリーブとの間の相対的な動きをもたらす、可能にする、又は、許容することによって少なくとも1本のテンション糸を切断し或いは切り通すことをそれぞれ更に含む。
【0087】
本発明に係る装置によって得られる利点は、本発明に係るセットによって、また、本発明に係る方法によって達成されることができる。
【0088】
本発明にしたがって得られる利点のうちの1つは、テンション糸を独立に作動させることができる可能性である。これは自動釣り合わせ構造に起因する。したがって、複数のテンション糸を有するインプラントを特異的に折り畳み及び/又は展開することができる。したがって、インプラントの他の部分又は領域が既に完全に折り畳まれ或いは展開されてしまっても、インプラントの一部又は一領域を折り畳み或いは展開できる。これは、とりわけ、展開されたインプラントと埋め込み部位が寸法的に完全に一致しないとき、あるいは、インプラントが例えばその全長にわたって均一な形状を有さない場合に合理的となり得る。
【0089】
また、例えば本発明の1つの実施形態におけるスリーブ開口の幅広領域により該幅広領域を通り抜けてテンション糸を装置に簡単に接続できる可能性は、本発明により達成されることができる利点のうちの1つである。
【0090】
他の利点は、テンション糸を本発明の1つの実施形態では互いに別々に導くことができ或いは案内できるという点である。したがって、テンション糸の相互の干渉を回避できる。
【0091】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1本のテンション糸をインプラントから分離することができ有益である。糸は、特に、切断デバイスによって切り通すことができる。
【0092】
他の利点は、本発明に係る1つの実施形態では1本のテンション糸(又は、2本以上の糸)だけを特異的に分離し或いは取り外し或いは切り通すことができる一方で、他のテンション糸が分離されず、取り外されず、あるいは、切り通されないという事実から生じる。したがって、特にスループ状又はループ状の形態のテンション糸においては、スループ全体ではなく、テンション糸の一部を切り通すことができる。このようにすると、テンション糸のスループの切断されていない部分又は側を牽引することにより、スループ又はループを構成した材料全体をシャフト内に引き込むことができる。言い換えると、切り通されないテンション糸は、テンション糸を単に牽引するだけで全てのテンション糸をインプラントから分離する或いは取り外すために使用できる。これは、とりわけ、埋め込み後に役立つことができ有益である。
【0093】
以下、添付図面を参照して、本発明の一例について説明する。図では、同様又は同一のアセンブリ又は要素が同じ参照符号により示される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る装置の概略的に簡略化された断面図により長手方向部分断面を示している。
【図2】図1の対象を全長手方向断面で示している。
【図2A】図1及び図2に示される自動釣り合わせ構造を概略的に簡略化された態様で示している。
【図3】本発明に係る装置の作用によってインプラントが拡張している状態の本発明に係るセットを概略的に簡略化された部分断面で示している。
【図4】本発明に係る装置によってインプラントが更に(部分的に)折り畳まれた状態にある図3のセットを示している。
【図5】埋め込み前の閉状態で示される本発明に係る装置の先端を示している。
【図6】外側スリーブが部分的に引き込まれた状態の埋め込み前の図5と同様の本発明に係る装置の先端を示している。
【図7】インプラントを伴わない図6と同様の本発明に係る装置の先端を示している。
【図8】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第1の口部を伴って示している。
【図9】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第2の口部を伴って示している。
【図10】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第3の口部で示している。
【図11】第3の口部を通過した後の図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図、部分断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明に係る装置100の概略的に簡略化された部分断面図により部分長手方向断面を示している。装置100は壁3を伴うシャフト1を有する。シャフト1は、図1の上側領域1aでは断面で示されておらず、下側領域1bではシャフト1の内部5を開放して見ることができるように長手方向断面で示されている。
【0096】
壁3はシャフト1の内部5をシャフト1の外部7から分離し、シャフト1の外部7は装置100の外側部分(したがって、外層)となり得る。しかしながら、シャフト1を更なる構造(図1に示せず)によって取り囲むこともできる。
【0097】
シャフト1は開口9を特徴とする。図1には、6つのそのようなシャフト開口9が示されている。この数量は、説明を助けるための単なる一例である
【0098】
この場合、シャフト開口9をシャフト1の外周にわたって互いに均等に離間させることができる。これらの開口は、外周にわたって互いに異なる少なくとも2つの距離をもって分けることができる。
【0099】
シャフト開口9は、図1に示されるように、シャフト1の壁3の厚さ全体を貫くことができ、そのため、接続口部として形成できる。
【0100】
シャフト開口を通じて、1本のテンション糸又は数本のテンション糸11,11’をシャフト1の内部5からシャフト1の外部7へと通すことができ及び/又は反対方向から通し入れることができる。図1では、全ての糸11,11’がループ形態を成してシャフト開口9を入口又は出口両方として通過する。
【0101】
糸11,11’は、糸11,11’のテンションを変えることによりインプラント直径を変更できるように図1に示されないインプラントを保持するべく配置される。
【0102】
図1のシャフト1の下側領域1bの断面から理解できるように、また、図2を参照して更に明らかになるように、多くの糸11’が第1の束13へと互いに集められ、また、他の糸11が束15へと集められる。束の状態では、糸全体に作用させることができ、あるいは、糸を互いに別々に引くことができる。
【0103】
図1では、一例として、上側の3本の糸11’が束13として互いにグループ化され、一方、下側の3本の糸11が第2の束15として互いにグループ化される。この配置は、単なる一例であり、任意の他の順序で定義され得る。
【0104】
シャフト1の下側領域で束13,15が互いに合流される。
【0105】
シャフト1の下側領域では、牽引力を糸13,15に伝えることができるように牽引糸17が束13,15と係合されるようにこれらの束にループ状に引っ掛けられる。
【0106】
束13,15を牽引糸17に摺動接続することにより、図1の下側領域の方向の力は、束13又は束15に作用するテンション又は力をもたらすことができる。それにより、束15に作用するテンションがそれ以上増大しないこと(あるいは、無論、減少すること)が許容され得るときに、増大したテンションを束13に負わせるようにすることができる。同様に、牽引糸17が図1の上端の方向に戻されるときに、また、牽引糸17を用いてそれ以上のテンションを第2の束15に負わせるようにすることができない(又は、第2の束15からテンションを減少させる)ときにも、第1の束13に作用するテンションを減少させることができる。すなわち、通常は、束13及び束15に作用する力又はテンションは、それぞれの特定の時点で同じである。常に同じ力が束13、15両方に作用し、一方側に抵抗が殆どないときにだけ、この一方側は、力が再び同じになるまで伸長する。同じ状況が牽引中に当てはまる。束13及び束15が異なる長さ或いは異なる牽引距離を有するときであっても、力及びテンションは、常に釣り合わなければならず、すなわち、両側で同じでなければならない。
【0107】
ここで与えられる発明と共に独立に操作される束(ここでは、束13,15)のこの効果は、「自動釣り合わせ構造」と称される。それは、牽引糸17のループ構造によって可能にされる束13,15の自由な通り抜け移動を伴う束13,15と牽引糸17との特別な接続によって達成できる。この接続は、矢印Pにより示される両方向で牽引糸17のループを通り抜ける束13,15の摺動を可能にする。
【0108】
また、牽引糸17のテンションは回転デバイス又はテンション付与デバイスによって調整できる。
【0109】
この「自動釣り合わせ構造」が、単一の糸として更に形成され得る2つの束に限定されず、また、更なる糸−ここでは牽引糸17に限定されないことは明らかである。
【0110】
牽引糸17によって与えられるテンション又は牽引は、束13,15によって糸11,11’へと伝えられる。このようにして、牽引糸17の操作は、図1に示されないインプラントの1つ以上の断面寸法に変化をもたらすことができる。
【0111】
図2は図1の対象を示している。図2では、シャフト1が実際に全長にわたって断面で或いは切り開いて示されている。2つの領域1a,1b間で示される違いはなく、そのため、図2では、図1に示される6本の糸ループ11,11’のうちの4本だけが示されている。
【0112】
図2は、糸を束13,15の状態に互いにグループ化することに関して互いに別々に与えられるテンション糸の束13,15がどのようにして糸11,11’へと進展しているのかを示そうとしている。
【0113】
図2Aは、2つのループ11,11’のそれぞれで終端する一方の束13/15だけに関して図1,2に示される自動釣り合わせ構造を概略的に簡略化された態様で示している。図1,2,及び2Aから明らかなように、テンション糸11’の各ループは、下方へ向けられる束13と合流するために第1の開口9を通じてシャフト1に入って、束13の一部として再び上がるためにテンション糸17を通過し、第2の開口9(第1の開口9よりも下側に配置される)を通じて外へ出る。すなわち、その基部の近傍でステント(インプラント)の一部を取り囲むそれぞれのテンション糸11は1本のテンション糸11’と一体に形成され、テンション糸11’はその先端の近傍でステント(インプラント)の一部を取り囲む。
【0114】
図3は、インプラント300が本発明に係る装置100によって拡張している状態の本発明に係るセット200を示している。拡張は、ここではインプラント300の内部応力によって利益を得ることができる。この仕様のインプラントは、それ自体拡張できるが、牽引糸17の対応する解放後にのみ拡張できる。
【0115】
図3(及び図4も同様)に見られるように、セット200は、1本の上糸11’及び1本の下糸11だけを伴って示されている。この減少(簡略化)は、明確さを高めるために使用される。したがって、どの任意の数の上糸及び下糸11,11’でも設けることができることは明らかである。
【0116】
図4は、インプラント300が本発明に係る装置100によって部分的に折り畳まれた状態にある図3の本発明に係るセット200を示しており、(図3の状態と比べた)インプラントの更なる折り畳みによって牽引糸17が図4の場合のように図の下部の方向にシャフト1から更に突出する。
【0117】
図5は、埋め込み前の閉状態で示される本発明に係る装置100の先端51を部分断面で示している。
【0118】
部分断面で示されているのは、先端51とカラー57との間に格納されるインプラント300、この場合にはステントのための保持領域55に対して保護を与える外側保護スリーブである。カラー57は、インプラントが例えばクリンプされたステントであるときに、インプラント300を越えてスリーブを有利に案内してもよい。
【0119】
インプラント300は、糸11,11’により、インプラント300が拡張されない拘束状態に保持される。
【0120】
図6は、外側保護スリーブ53が部分的に引き込まれた状態の埋め込み前の図5の本発明に係る装置100の先端51を示している。外側保護スリーブの引き込みにより、インプラントが埋め込みのために解放される。拘束状態は、周方向糸11,11’のテンションによってほぼ維持され或いは完全に維持される。
【0121】
図7は、インプラントを伴わない図6の本発明に係る装置100の先端51を示しており、ここで留意されるべきは、図7に示されていない糸11,11’(図5及び図6参照)が抜け出て及びシャフト1に入るシャフト開口9である。
【0122】
図8は、図6の本発明に係る装置100のシャフト1及びここに配置される可動スリーブ81をシャフト1上のスリーブ81の第1の位置において部分断面図で示している。
【0123】
スリーブ81は、幅広領域83a、第1の凹部83b、及び、第2の凹部83cを備えるスリーブ81の口部83を特徴とする。第1の凹部83b及び第2の凹部83cはバー85によって互いに分離される。
【0124】
図8に示されるように、凹部83b,83cは異なる長さを有することができる。あるいは、これらの凹部は、他の空間的包絡線で異なる長さを有することができる。
【0125】
バー85は2本の糸を互いに分離することができ、そのうちの一方の糸は第1の凹部83bを通り抜けて、第2の糸は第2の凹部83cを通り抜ける。
【0126】
図8から分かるように、凹部83b及び/又は凹部83b又は83cと対向する側のバー85には、随意的に、切断デバイス86を伴う初期領域84aが配置されてもよい。凹部と凹部83b及び/又は凹部83cと対向する側のバー85とには、随意的に、切断デバイスを伴わない第2の領域84bが配置されてもよい。
【0127】
第1の位置では、糸(図8に示せず)をシャフト1の外側からシャフト開口9とスリーブ81の幅広領域83aとを通じてスリーブ81の内側へ通すことができる。
【0128】
この第1の位置は、糸を装置100内へ挿入するのに適している。この位置は、プレテンション付与デバイス87を増加させたテンション下に至らせることによって達成できる。プレテンション付与デバイスは、一例としてスプリングとして示されており、あるいは、より正確にはコイルスプリングとして示されている。
【0129】
また、この図に示されないガイドワイヤのための口部89を有するシーリングデバイス88も存在する。
【0130】
左側には、シャフト1の外側スリーブに、第2のシャフト開口9が第2のスリーブ開口83と共に切断面により示されている。この貫通断面により、さもなければ不明瞭になるシャフト1及びシャフト1の内側のスリーブ81を貫く図が可能となる。
【0131】
図9は、第2の位置における図8と同様の配置を示している。
【0132】
第2の位置では、プレテンション付与デバイス87における負荷が図8における負荷から減少される。図9ではもはや明らかに負荷を受けていない。図9では、スリーブ81が右へと更にスライドされる(図9参照)。このことはスリーブ開口83にも当てはまる。それにより、バー85は、シャフト開口9がスリーブ開口83共にシャフト1の外側から2つのシャフト部分開口91,93を介して内側スリーブ83へと向かう通路を与える程度にシャフト開口を分割する。本発明に関連して、第1の位置から第2の位置への移行が単独で或いはプレテンション付与デバイスの支援によってもたらされてもよく或いは実際には手動で引き起こされてもよい。
【0133】
第2の位置では、2本の糸(図9に示せず)がバー85によって互いに分離され、そのうちの一方の糸は例えばシャフト部分開口91に通され、他方の糸はシャフト部分開口93に通される。この分割は、2本の糸のもつれ或いは機能的障害を未然に防ぐのに有利となり得るものであり、あるいは、シャフト開口の領域でこれらを少なくとも減らすことができる。最後に、糸が互いに別々に操作されるようになっていれば、とりわけ有利である。
【0134】
図10は、第3の位置における図8及び図9の配置を示している。
【0135】
第3の位置において、シャフト部分開口は、シャフト部分開口93を通り抜けて延びる糸(図示せず)が第2の領域84bの切断デバイスと接触する程度に更に減少される。
【0136】
スリーブ81を更にシャフト1の近い方の端部へ向けてシャフト1に対して更に(図10における)右へとスライドさせることにより、シャフト部分開口が更に小さくなり、糸(図示せず)が最終的に切り通される。第3の位置から続くこの位置が図11に示されている。
【0137】
図11では、シャフト部分開口91がもはや存在しないのが分かる。図9,10のシャフト部分開口91はシャフトの壁3によって閉じられる。糸が完全に切断される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントを折り畳み或いは展開するための請求項1に記載の装置、及び、請求項17に記載のセットに関する。さらに、本発明は、請求項18に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療業務から、テンションをインプラントへ伝える1つ以上の糸又はフィラメントを使用することにより折り畳まれ或いは展開され得るインプラントが知られている。また、折り畳んで展開するための対応する装置が医療業務から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、テンション糸を使用することにより折り畳み可能な及び/又は展開可能なインプラントを折り畳む或いは展開するための装置を提案することである。また、本発明は、そのような装置を含む適切なセット、インプラントを折り畳む及び/又は展開するための方法、及び、テンション糸を切断するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有するデバイスによって解決される。
【0005】
本発明によれば、少なくとも1本のテンション糸を使用することによりインプラントを導入し及び/又は折り畳み及び/又は展開するための装置が提案される。本発明に記載の装置は、インプラントを受けるための受け領域を有するシャフトを含む。
【0006】
装置は、折り畳み可能及び/又は展開可能なインプラントの形状をテンション糸を用いて変更するための少なくとも1つのテンション付与デバイスを更に含む。
【0007】
また、装置は、少なくとも1本のテンション糸をインプラントから分離するため及び/又はテンション糸を切断するための分離デバイスを含む。
【0008】
有利な実施形態及び/又は発展が従属請求項の主題である。
【0009】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、インプラントの形状を変更することは、インプラントの直径、特に外径を減少又は増大させることを意味する。そのような変更は、インプラントの長さの変更又は任意の他の種類の変更を伴うことができ或いは伴うことができない。
【0010】
本発明の装置の1つの実施形態において、インプラントを折り畳むことは、インプラントの直径を減少させることを意味する。
【0011】
本発明に係る特定の実施形態において、展開は、インプラントの直径を増大させることとして理解されるべきである。
【0012】
1つの実施形態において、インプラントの直径は、インプラントの埋め込み後にインプラントを通じて流体が流れる場合のインプラントの主たる流れ方向に対して垂直な1つの面内に配置される。
【0013】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、少なくとも1本のテンション糸が糸である。糸は外科縫合糸と同様であってもよい。糸は、ロープ、フィラメント、又は、コードの形状を有することができる。糸は、複数の係合チェーンリンクを有するチェーンとして形成されることができる。
【0014】
以下において、糸又はテンション糸という用語は、当業者が用語の置き換え可能性を認識するときにはいつでも、複数の糸又はテンション糸を定義してもよい。
【0015】
特定の実施形態では、装置のシャフトが硬質である。幾つかの実施形態では、装置のシャフトが1つ以上の方向で(すなわち、長手方向で、又は、シャフトの幅の方向でそれぞれ、両方向で或いは他の方向で)柔軟である。特定の実施形態では、シャフトが伸長可能である。幾つかの実施形態では、シャフトが高い剛性を有する。
【0016】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、その埋め込まれた状態のインプラントは、その長手方向で流体を通すことができる。通すことができるとは、流体がインプラントを通過して流れることができることを意味する。
【0017】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、インプラントは、展開又は折り畳みのときに装置の受け領域上に或いは受け領域に−少なくとも過渡的に或いは一時的に−装着され或いは緩く配置される。
【0018】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、テンション付与デバイスが少なくとも1つの牽引デバイスを含む。牽引デバイスは、インプラントの形状をテンション糸によって変更するためにインプラントにテンションを間接的に或いは直接的に加えることができるように配置され及び/又は設けられる。
【0019】
これに代えて或いはこれに加えて、本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、テンション糸によってインプラントに加えられたテンションを減少させることができるように配置され及び/又は設けられる。
【0020】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、力又はテンションを伝えるためにテンション糸と相互に作用できるように配置され及び/又は設けられる。
【0021】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、牽引デバイス及びテンション糸が互いに入り組んでいる。
【0022】
本発明に係る1つの実施形態において、用語「入り組んでいる」は、テンション糸が空間の少なくとも1つの方向で或いは空間の2つの方向で牽引デバイスに対して移動できることを示すために使用される。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、用語「移動可能」は、「摺動可能」として理解されるべきである。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、用語「入り組んでいる」とは、チェーンの第1のリンクが、通常は、チェーンの状態で接続されるこのチェーンの隣接する第2のリンクに対して移動可能に配置されるように、テンション糸が牽引デバイスに対して移動可能に配置されることを意味する。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、用語「入り組んでいる」は、テンション糸が牽引デバイス又はその一部分と単に1回交差され或いは牽引デバイス又はその一部分に巻回されることを示すものとする。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、牽引デバイスとテンション糸との間での力又はテンションの伝達(又はそれぞれの伝達)は、無形状閉塞接続(non−form closure connection)によって達成される。
【0027】
本発明に係る1つの実施形態において、牽引デバイスとテンション糸との間での力又はテンションの伝達は、摩擦接続によって達成される。
【0028】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、牽引デバイスは、少なくとも1本の牽引糸として具現化され、あるいは、少なくとも1本の牽引糸から成る。
【0029】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、テンション糸及び/又は牽引糸は、少なくとも1つの束又は複数の糸又は糸要素を含み或いは構成し、又は、これらから成る。
【0030】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、分離デバイスは、テンション糸を切断する(あるいは、切り通す)ための少なくとも1つの切断デバイスを含み或いは該デバイスから成る。
【0031】
本発明に係る特定の実施形態では、分離デバイスがワイヤ又は糸(又は、それぞれ、それらの多数)ではない。
【0032】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、インプラントの最終的な配置後にテンション糸を装置から除去できるようにするために装置から引き込まれるロックワイヤ又はロック糸として具現化されない。
【0033】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、フックを備えず、及び/又は、テンションストリング又は糸を案内し或いは制限するためのリングを備えない。
【0034】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、インプラントの埋め込みの終了後であっても装置にとどまるように具現化され及び/又は装置にとどまるようになっている。
【0035】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、洗浄等を除いて装置から分離されなくてもよい。
【0036】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、患者の身体内でのみ使用されるように意図されるべく具現化される。
【0037】
本発明に係る特定の実施形態において、分離デバイスは、インプラントからのテンション糸を患者の身体の外側から分離するために使用されるようになっていない。
【0038】
本発明に係る幾つかの実施形態において、分離デバイスは、装置の存在及び/又はサポートを伴わずにテンションストリングを分離するために使用することはできない。
【0039】
本発明に係る1つの実施形態では、装置が少なくとも1つのスリーブを含む。スリーブは、中空円筒体のように、リング等のように管状に形成されるのが好ましい(すなわち、スリーブは内部に中空を有することができる)。スリーブは、その開放方向に対して及び他の方向、特に、開放方向又は流体通過方向に対して垂直な方向又は面に関して、対称的に或いは非対称的に形成することができる。
【0040】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、分離デバイスは、装置のスリーブの1つの壁のスリーブ開口の一部−好ましくは一体部−として形成される。スリーブ開口は、スリーブの外部をスリーブの内部と接続する。
【0041】
スリーブ開口は、この実施形態では、通過口又は貫通口として形成される。したがって、スリーブ開口を装置の径方向でスリーブの壁と同じ厚さにすることができる。
【0042】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、スリーブ開口が少なくとも1つの第1の凹部を含む。少なくとも1本のテンション糸をこの第1の凹部を通じて−又はこの第1の凹部を用いて−導くことができ或いは案内することができる。
【0043】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、第1の凹部は、テンション糸を切り通すための切断デバイスを含む第1の部分又は第1の領域を含む。
【0044】
特定の実施形態では、切断デバイスが刃先であり或いは刃先を備える。幾つかの実施形態では、切断デバイスがスリーブに取り付けられる。特定の実施形態では、切断デバイスがスリーブと一体に形成される。
【0045】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、第1の凹部は、切断デバイスを含まない第2の部分又は第2の領域を含む。
【0046】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、スリーブ開口は、好ましくは第1の凹部を用いる場合と同じ方法で、少なくとも1本のテンション糸を導くことができ或いは案内できる少なくとも1つの第2の凹部を含む。
【0047】
その際、第1の凹部及び第2の凹部は、少なくとも2本のテンション糸を互いに離間させつつ凹部に導くことができ或いは案内できるようにバーによって互いに分離させることができる。
【0048】
2つの凹部間に距離を与えることにより、1つ以上のテンション糸を凹部の領域で互いに接触させることなく2つの凹部へと分配して導入できる。したがって、テンション糸が互いに抑制し或いは妨げることなく、幾つかのテンション糸を1つのスリーブ開口を通じて導入することが有利に可能である。また、テンション糸の分離導入が幾つかの凹部を設けることによって有利に働くことにより、それぞれの単一のテンション糸を別個に処理又は使用することが有利に可能である。したがって、第1の凹部を通じて導かれるテンション糸を第2の凹部を通じて導かれるテンション糸と異なって使用又は処理することが有利にできる。
【0049】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、バーがスリーブの一部である。そのため、バーは、スリーブ壁の一部であり及び/又はスリーブ壁と一体に形成される。
【0050】
前記第1、第2凹部を、割れ目、延在部、くぼみ、分岐、切り欠きなどと称することもできる(これは、第3、第4、及び、それ以上の凹部に当てはめることもできる)。これらの用語の全ては、凹部、割れ目等がスリーブ開口の共通の特に幅広領域を分岐させ或いは該領域と接続されるという共通点がある。
【0051】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、少なくとも第1の凹部(又は任意の他の凹部)は、少なくとも第2の凹部が装置の同じ寸法で延びるのとは異なって、装置のある寸法で延びる(好ましくは、装置の長手方向に延びる)。
【0052】
本発明に係る1つの実施形態において、装置のシャフトは、その長手方向の少なくとも幾つかの領域で、流体を通すことができ或いは流体のための通路をその内部に有する。シャフトは壁を有する。シャフトは少なくとも1つのシャフト開口を含む。少なくとも1つのシャフト開口は、シャフトの前側ではなくシャフトの側部領域に配置されるのが好ましい。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、装置のシャフトは、シャフトの1つ以上の外周に沿って及び/又はシャフトの長手方向延在部に沿って均一に或いは不均一に分布された複数のシャフト開口を含む。
【0054】
インプラントを折り畳む及び/又は展開するためのテンション糸は、シャフト開口を通じて装置に入ることができ及び/又は装置から出ることができる。装置の使用中、スリーブは、テンション糸を装置の外部から装置の内部へ(好ましくは無制限に及び/又は直接に)導くことができるようにシャフトの内部又は外部に配置される。
【0055】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、テンション糸を、装置の外部から装置の内部へ、特にスリーブの内部へ及び/又はシャフトの内部へ、無制限に及び/又は直接に、すなわち、テンション糸を曲げる或いは方向変換する必要なく導くことができる。
【0056】
本発明に係る装置の1つの実施形態では、スリーブが移動可能な態様で配置されるのが好ましい。
【0057】
スリーブは、シャフトがスリーブの内側に配置されてスリーブがシャフトの外側にあるようにシャフトを取り囲むことができるのが好ましい。したがって、少なくとも1本のテンション糸は、スリーブの外部からシャフト開口を通じてシャフトの内部へ(あるいは、逆もまた同様)通ることができる。
【0058】
あるいは、スリーブは、シャフトがスリーブを取り囲んでいるようにシャフトの内側に位置させることができる。したがって、少なくとも1本のテンション糸は、シャフトの外部からシャフト開口を通じて及びスリーブ開口を通じてスリーブの内部へ(あるいは、逆もまた同様)通ることができる。
【0059】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、装置は、少なくとも1つの使用状態でテンションをスリーブに与えるようになっているプレテンション付与デバイスを含む。
【0060】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、シャフトの長手方向で実質的に或いは排他的にテンションをスリーブに与える。
【0061】
本発明に係る装置の特定の実施形態において、プレテンション付与デバイスは、スリーブをシャフトに対してねじるためにテンションをスリーブに与える。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、スプリングとして、特にコイルスプリングとして具現化され、及び/又は、ゴムなどの任意の適した材料から−好ましくは弾性材料又は柔軟材料から−具現化される。
【0063】
本発明に係る装置の特定の実施形態において、プレテンション付与デバイスは、プレテンションを押出態様で増大させる或いは維持するように配置されている。
【0064】
本発明に係る装置の幾つかの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、プレテンションを牽引態様で増大させる或いは維持するように配置されている。
【0065】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、プレテンション付与デバイスは、分離デバイス及び/又は切断デバイス及び/又はスリーブを、テンション糸がインプラントから分離されず且つテンション糸が切り通されない非分離位置に維持するように配置されている。
【0066】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、装置は、少なくとも1本のテンション糸がインプラントから分離され或いは少なくとも1本のテンション糸が切断される(切り通される)分離位置へと分離デバイス及び/又は切断デバイス及び/又はスリーブを移動させるデバイスを含む。
【0067】
本発明に係る1つの実施形態において、非分離位置から分離位置への移動又は移行を可能にする前記デバイスは、牽引デバイスとして、例えば糸等として具現化される。他の実施形態では、前記デバイスが押出デバイス又はねじりデバイスとして具現化される。
【0068】
1つの実施形態において、非分離位置から分離位置への移動又は移行を可能にする前記デバイスは、スリーブでのその分岐部から装置の外部へと導かれる少なくとも1つの牽引糸又は押出手段又はねじり手段を含む。スリーブから遠い或いはスリーブから離れた糸又は押出手段又はねじり手段の端部は、糸を牽引し或いは押し出し或いはねじる目的で糸を把持するのに適した把持デバイスに接続することができる。装置は、その外部に、把持デバイスを解放可能に受けるためのスナップ留めデバイスを含むことができる。−しかし、含む必要はない。把持デバイスは、その使用までスナップ留めデバイス上に載置できる。
【0069】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、前記デバイスは、プレテンション付与デバイスの作用に勝ることによってのみ非分離位置から分離位置へ移動できるように配置されている。
【0070】
本発明に係る装置の1つの実施形態において、少なくとも1つの凹部は、シャフト開口とスリーブ開口とを重ね合わせることによって(例えば、スリーブをシャフトの内側で或いはシャフトをスリーブの内側でシフトさせ或いは移動させることによって)少なくとも3つの異なる口部又は出口を形成できるようにスリーブに形成されて設けられる。
【0071】
本明細書中で「少なくとも3つの異なる口部」に言及するときには常に、これらの口部はそれぞれ、本発明の1つの実施形態にしたがって、異なる幾何学的形状を有することができる。言い換えると、口部はそれらの形態が異なり得る。
【0072】
本発明の1つの実施形態において、「3つの異なる口部」は、それらのそれぞれの面積の大きさが異なり得る。
【0073】
本発明の1つの実施形態において、そのような口部は、装置の外部又は装置のシャフトの外部と装置の内部又はシャフトの内部との間の開放通路として定義される。
【0074】
本発明の1つの実施形態において、そのような口部は、シャフト開口(すなわち、シャフトの壁の口部)及びスリーブ開口(すなわち、スリーブの壁の口部)の両方を貫く通路が通過口部の意味で開放する領域である。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、「3つの異なる口部」はそれらの機能が異なり得る。
【0076】
例えば、本発明の1つの実施形態において、第1の口部は、1つ以上のテンション糸を装置の外部から装置の内部へ、例えばスリーブ開口の幅広領域及びそれに近接する或いは隣接するシャフト開口の両方を通じて導入できる十分な大きさを有することができる。
【0077】
本発明の1つの実施形態において、第2の口部は、テンション糸をスリーブ開口の幅広領域を通じて(好ましくは容易に)導入できる十分な大きさとならないような機能(及び、そのために必要な形状)を有することができる。したがって、スリーブ開口の幅広領域を例えばシャフト壁によって覆うことができる。第2の口部は、テンション糸が互いに接触できない及び/又は凹部内で互いに接触できない及び/又は互いにもつれることができないように少なくとも2本のテンション糸を少なくとも2つの凹部を通じて導く機能を有することができる。
【0078】
本発明の1つの実施形態において、第2の口部は、分離デバイス又は切断デバイスをテンション糸のうちの1つ或いは全部と接触させない機能又はそのような接触を妨げる機能を有することができる。
【0079】
本発明の1つの実施形態では、テンション糸が分離デバイス又は切断デバイスと接触できないように分離デバイス又は切断デバイスを第2の口部で壁の一部によって覆うことができる。
【0080】
本発明の1つの実施形態では、口部がそれぞれ所定範囲の幾何学的形状を備えることができる。したがって、口部は、それぞれの機能(及び、随意的にはこの機能だけ)が幾何学的形状のそれぞれの範囲で可能である限り、不変の形状又はサイズを有する必要がない。しかしながら、それぞれの口部は、対応する範囲によって与えられる限界内で可変となり得る。
【0081】
本発明の1つの実施形態において、装置は、ステント又は心臓弁アセンブリの形態を成すインプラントを折り畳む及び/又は展開するように形成される。
【0082】
また、本発明の目的は、本発明に係るセットによっても解決される。本発明に係るセットは、本発明に係る少なくとも1つの装置と、その折り畳み及び/又は展開のためにテンション糸に接続される少なくとも1つのインプラントとを含む。
【0083】
本発明に係るセットの1つの実施形態では、インプラントが折り畳み可能及び/又は展開可能なインプラントである。
【0084】
また、本発明の目的は、本発明に係る方法によって解決される。本発明に係る方法は、本発明に係る装置又は本発明に係るセットを使用することを含む。
【0085】
本発明に係る方法の1つの実施形態において、方法は、少なくとも1本のテンション糸を使用することによってインプラントに与えられるテンションを変えることを含む。テンションは、シャフトの内部を分岐させる牽引デバイスの長さを変えることによって制御されるのが好ましい。
【0086】
本発明の方法の1つの実施形態において、方法は、シャフトとスリーブとの間の相対的な動きをもたらす、可能にする、又は、許容することによって少なくとも1本のテンション糸を切断し或いは切り通すことをそれぞれ更に含む。
【0087】
本発明に係る装置によって得られる利点は、本発明に係るセットによって、また、本発明に係る方法によって達成されることができる。
【0088】
本発明にしたがって得られる利点のうちの1つは、テンション糸を独立に作動させることができる可能性である。これは自動釣り合わせ構造に起因する。したがって、複数のテンション糸を有するインプラントを特異的に折り畳み及び/又は展開することができる。したがって、インプラントの他の部分又は領域が既に完全に折り畳まれ或いは展開されてしまっても、インプラントの一部又は一領域を折り畳み或いは展開できる。これは、とりわけ、展開されたインプラントと埋め込み部位が寸法的に完全に一致しないとき、あるいは、インプラントが例えばその全長にわたって均一な形状を有さない場合に合理的となり得る。
【0089】
また、例えば本発明の1つの実施形態におけるスリーブ開口の幅広領域により該幅広領域を通り抜けてテンション糸を装置に簡単に接続できる可能性は、本発明により達成されることができる利点のうちの1つである。
【0090】
他の利点は、テンション糸を本発明の1つの実施形態では互いに別々に導くことができ或いは案内できるという点である。したがって、テンション糸の相互の干渉を回避できる。
【0091】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1本のテンション糸をインプラントから分離することができ有益である。糸は、特に、切断デバイスによって切り通すことができる。
【0092】
他の利点は、本発明に係る1つの実施形態では1本のテンション糸(又は、2本以上の糸)だけを特異的に分離し或いは取り外し或いは切り通すことができる一方で、他のテンション糸が分離されず、取り外されず、あるいは、切り通されないという事実から生じる。したがって、特にスループ状又はループ状の形態のテンション糸においては、スループ全体ではなく、テンション糸の一部を切り通すことができる。このようにすると、テンション糸のスループの切断されていない部分又は側を牽引することにより、スループ又はループを構成した材料全体をシャフト内に引き込むことができる。言い換えると、切り通されないテンション糸は、テンション糸を単に牽引するだけで全てのテンション糸をインプラントから分離する或いは取り外すために使用できる。これは、とりわけ、埋め込み後に役立つことができ有益である。
【0093】
以下、添付図面を参照して、本発明の一例について説明する。図では、同様又は同一のアセンブリ又は要素が同じ参照符号により示される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る装置の概略的に簡略化された断面図により長手方向部分断面を示している。
【図2】図1の対象を全長手方向断面で示している。
【図2A】図1及び図2に示される自動釣り合わせ構造を概略的に簡略化された態様で示している。
【図3】本発明に係る装置の作用によってインプラントが拡張している状態の本発明に係るセットを概略的に簡略化された部分断面で示している。
【図4】本発明に係る装置によってインプラントが更に(部分的に)折り畳まれた状態にある図3のセットを示している。
【図5】埋め込み前の閉状態で示される本発明に係る装置の先端を示している。
【図6】外側スリーブが部分的に引き込まれた状態の埋め込み前の図5と同様の本発明に係る装置の先端を示している。
【図7】インプラントを伴わない図6と同様の本発明に係る装置の先端を示している。
【図8】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第1の口部を伴って示している。
【図9】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第2の口部を伴って示している。
【図10】図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図で、部分断面で、第3の口部で示している。
【図11】第3の口部を通過した後の図6の本発明に係る装置のシャフト及びスリーブを部分図、部分断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明に係る装置100の概略的に簡略化された部分断面図により部分長手方向断面を示している。装置100は壁3を伴うシャフト1を有する。シャフト1は、図1の上側領域1aでは断面で示されておらず、下側領域1bではシャフト1の内部5を開放して見ることができるように長手方向断面で示されている。
【0096】
壁3はシャフト1の内部5をシャフト1の外部7から分離し、シャフト1の外部7は装置100の外側部分(したがって、外層)となり得る。しかしながら、シャフト1を更なる構造(図1に示せず)によって取り囲むこともできる。
【0097】
シャフト1は開口9を特徴とする。図1には、6つのそのようなシャフト開口9が示されている。この数量は、説明を助けるための単なる一例である
【0098】
この場合、シャフト開口9をシャフト1の外周にわたって互いに均等に離間させることができる。これらの開口は、外周にわたって互いに異なる少なくとも2つの距離をもって分けることができる。
【0099】
シャフト開口9は、図1に示されるように、シャフト1の壁3の厚さ全体を貫くことができ、そのため、接続口部として形成できる。
【0100】
シャフト開口を通じて、1本のテンション糸又は数本のテンション糸11,11’をシャフト1の内部5からシャフト1の外部7へと通すことができ及び/又は反対方向から通し入れることができる。図1では、全ての糸11,11’がループ形態を成してシャフト開口9を入口又は出口両方として通過する。
【0101】
糸11,11’は、糸11,11’のテンションを変えることによりインプラント直径を変更できるように図1に示されないインプラントを保持するべく配置される。
【0102】
図1のシャフト1の下側領域1bの断面から理解できるように、また、図2を参照して更に明らかになるように、多くの糸11’が第1の束13へと互いに集められ、また、他の糸11が束15へと集められる。束の状態では、糸全体に作用させることができ、あるいは、糸を互いに別々に引くことができる。
【0103】
図1では、一例として、上側の3本の糸11’が束13として互いにグループ化され、一方、下側の3本の糸11が第2の束15として互いにグループ化される。この配置は、単なる一例であり、任意の他の順序で定義され得る。
【0104】
シャフト1の下側領域で束13,15が互いに合流される。
【0105】
シャフト1の下側領域では、牽引力を糸13,15に伝えることができるように牽引糸17が束13,15と係合されるようにこれらの束にループ状に引っ掛けられる。
【0106】
束13,15を牽引糸17に摺動接続することにより、図1の下側領域の方向の力は、束13又は束15に作用するテンション又は力をもたらすことができる。それにより、束15に作用するテンションがそれ以上増大しないこと(あるいは、無論、減少すること)が許容され得るときに、増大したテンションを束13に負わせるようにすることができる。同様に、牽引糸17が図1の上端の方向に戻されるときに、また、牽引糸17を用いてそれ以上のテンションを第2の束15に負わせるようにすることができない(又は、第2の束15からテンションを減少させる)ときにも、第1の束13に作用するテンションを減少させることができる。すなわち、通常は、束13及び束15に作用する力又はテンションは、それぞれの特定の時点で同じである。常に同じ力が束13、15両方に作用し、一方側に抵抗が殆どないときにだけ、この一方側は、力が再び同じになるまで伸長する。同じ状況が牽引中に当てはまる。束13及び束15が異なる長さ或いは異なる牽引距離を有するときであっても、力及びテンションは、常に釣り合わなければならず、すなわち、両側で同じでなければならない。
【0107】
ここで与えられる発明と共に独立に操作される束(ここでは、束13,15)のこの効果は、「自動釣り合わせ構造」と称される。それは、牽引糸17のループ構造によって可能にされる束13,15の自由な通り抜け移動を伴う束13,15と牽引糸17との特別な接続によって達成できる。この接続は、矢印Pにより示される両方向で牽引糸17のループを通り抜ける束13,15の摺動を可能にする。
【0108】
また、牽引糸17のテンションは回転デバイス又はテンション付与デバイスによって調整できる。
【0109】
この「自動釣り合わせ構造」が、単一の糸として更に形成され得る2つの束に限定されず、また、更なる糸−ここでは牽引糸17に限定されないことは明らかである。
【0110】
牽引糸17によって与えられるテンション又は牽引は、束13,15によって糸11,11’へと伝えられる。このようにして、牽引糸17の操作は、図1に示されないインプラントの1つ以上の断面寸法に変化をもたらすことができる。
【0111】
図2は図1の対象を示している。図2では、シャフト1が実際に全長にわたって断面で或いは切り開いて示されている。2つの領域1a,1b間で示される違いはなく、そのため、図2では、図1に示される6本の糸ループ11,11’のうちの4本だけが示されている。
【0112】
図2は、糸を束13,15の状態に互いにグループ化することに関して互いに別々に与えられるテンション糸の束13,15がどのようにして糸11,11’へと進展しているのかを示そうとしている。
【0113】
図2Aは、2つのループ11,11’のそれぞれで終端する一方の束13/15だけに関して図1,2に示される自動釣り合わせ構造を概略的に簡略化された態様で示している。図1,2,及び2Aから明らかなように、テンション糸11’の各ループは、下方へ向けられる束13と合流するために第1の開口9を通じてシャフト1に入って、束13の一部として再び上がるためにテンション糸17を通過し、第2の開口9(第1の開口9よりも下側に配置される)を通じて外へ出る。すなわち、その基部の近傍でステント(インプラント)の一部を取り囲むそれぞれのテンション糸11は1本のテンション糸11’と一体に形成され、テンション糸11’はその先端の近傍でステント(インプラント)の一部を取り囲む。
【0114】
図3は、インプラント300が本発明に係る装置100によって拡張している状態の本発明に係るセット200を示している。拡張は、ここではインプラント300の内部応力によって利益を得ることができる。この仕様のインプラントは、それ自体拡張できるが、牽引糸17の対応する解放後にのみ拡張できる。
【0115】
図3(及び図4も同様)に見られるように、セット200は、1本の上糸11’及び1本の下糸11だけを伴って示されている。この減少(簡略化)は、明確さを高めるために使用される。したがって、どの任意の数の上糸及び下糸11,11’でも設けることができることは明らかである。
【0116】
図4は、インプラント300が本発明に係る装置100によって部分的に折り畳まれた状態にある図3の本発明に係るセット200を示しており、(図3の状態と比べた)インプラントの更なる折り畳みによって牽引糸17が図4の場合のように図の下部の方向にシャフト1から更に突出する。
【0117】
図5は、埋め込み前の閉状態で示される本発明に係る装置100の先端51を部分断面で示している。
【0118】
部分断面で示されているのは、先端51とカラー57との間に格納されるインプラント300、この場合にはステントのための保持領域55に対して保護を与える外側保護スリーブである。カラー57は、インプラントが例えばクリンプされたステントであるときに、インプラント300を越えてスリーブを有利に案内してもよい。
【0119】
インプラント300は、糸11,11’により、インプラント300が拡張されない拘束状態に保持される。
【0120】
図6は、外側保護スリーブ53が部分的に引き込まれた状態の埋め込み前の図5の本発明に係る装置100の先端51を示している。外側保護スリーブの引き込みにより、インプラントが埋め込みのために解放される。拘束状態は、周方向糸11,11’のテンションによってほぼ維持され或いは完全に維持される。
【0121】
図7は、インプラントを伴わない図6の本発明に係る装置100の先端51を示しており、ここで留意されるべきは、図7に示されていない糸11,11’(図5及び図6参照)が抜け出て及びシャフト1に入るシャフト開口9である。
【0122】
図8は、図6の本発明に係る装置100のシャフト1及びここに配置される可動スリーブ81をシャフト1上のスリーブ81の第1の位置において部分断面図で示している。
【0123】
スリーブ81は、幅広領域83a、第1の凹部83b、及び、第2の凹部83cを備えるスリーブ81の口部83を特徴とする。第1の凹部83b及び第2の凹部83cはバー85によって互いに分離される。
【0124】
図8に示されるように、凹部83b,83cは異なる長さを有することができる。あるいは、これらの凹部は、他の空間的包絡線で異なる長さを有することができる。
【0125】
バー85は2本の糸を互いに分離することができ、そのうちの一方の糸は第1の凹部83bを通り抜けて、第2の糸は第2の凹部83cを通り抜ける。
【0126】
図8から分かるように、凹部83b及び/又は凹部83b又は83cと対向する側のバー85には、随意的に、切断デバイス86を伴う初期領域84aが配置されてもよい。凹部と凹部83b及び/又は凹部83cと対向する側のバー85とには、随意的に、切断デバイスを伴わない第2の領域84bが配置されてもよい。
【0127】
第1の位置では、糸(図8に示せず)をシャフト1の外側からシャフト開口9とスリーブ81の幅広領域83aとを通じてスリーブ81の内側へ通すことができる。
【0128】
この第1の位置は、糸を装置100内へ挿入するのに適している。この位置は、プレテンション付与デバイス87を増加させたテンション下に至らせることによって達成できる。プレテンション付与デバイスは、一例としてスプリングとして示されており、あるいは、より正確にはコイルスプリングとして示されている。
【0129】
また、この図に示されないガイドワイヤのための口部89を有するシーリングデバイス88も存在する。
【0130】
左側には、シャフト1の外側スリーブに、第2のシャフト開口9が第2のスリーブ開口83と共に切断面により示されている。この貫通断面により、さもなければ不明瞭になるシャフト1及びシャフト1の内側のスリーブ81を貫く図が可能となる。
【0131】
図9は、第2の位置における図8と同様の配置を示している。
【0132】
第2の位置では、プレテンション付与デバイス87における負荷が図8における負荷から減少される。図9ではもはや明らかに負荷を受けていない。図9では、スリーブ81が右へと更にスライドされる(図9参照)。このことはスリーブ開口83にも当てはまる。それにより、バー85は、シャフト開口9がスリーブ開口83共にシャフト1の外側から2つのシャフト部分開口91,93を介して内側スリーブ83へと向かう通路を与える程度にシャフト開口を分割する。本発明に関連して、第1の位置から第2の位置への移行が単独で或いはプレテンション付与デバイスの支援によってもたらされてもよく或いは実際には手動で引き起こされてもよい。
【0133】
第2の位置では、2本の糸(図9に示せず)がバー85によって互いに分離され、そのうちの一方の糸は例えばシャフト部分開口91に通され、他方の糸はシャフト部分開口93に通される。この分割は、2本の糸のもつれ或いは機能的障害を未然に防ぐのに有利となり得るものであり、あるいは、シャフト開口の領域でこれらを少なくとも減らすことができる。最後に、糸が互いに別々に操作されるようになっていれば、とりわけ有利である。
【0134】
図10は、第3の位置における図8及び図9の配置を示している。
【0135】
第3の位置において、シャフト部分開口は、シャフト部分開口93を通り抜けて延びる糸(図示せず)が第2の領域84bの切断デバイスと接触する程度に更に減少される。
【0136】
スリーブ81を更にシャフト1の近い方の端部へ向けてシャフト1に対して更に(図10における)右へとスライドさせることにより、シャフト部分開口が更に小さくなり、糸(図示せず)が最終的に切り通される。第3の位置から続くこの位置が図11に示されている。
【0137】
図11では、シャフト部分開口91がもはや存在しないのが分かる。図9,10のシャフト部分開口91はシャフトの壁3によって閉じられる。糸が完全に切断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を使用することにより少なくとも1つの医療用インプラント(300)を折り畳み或いは展開するための装置(100)であって、
前記インプラント(300)を受けるための受け領域又は保持領域を含むシャフト(1)と、
折り畳み可能及び/又は展開可能な前記インプラント(300)の形状を前記テンション糸(11,11’)を用いて変更するためのテンション付与デバイス(19)と、
前記テンション糸(11,11’)を前記インプラント(300)から分離するため及び/又は前記テンション糸(11,11’)を切り通すための分離デバイスと、
を含む装置(100)。
【請求項2】
前記テンション付与デバイス(19)は、前記インプラント(100)の形状を変更するために前記テンション糸(11,11’)によって前記インプラント(300)にテンションを加えるように及び/又は前記テンション糸(11,11’)によって前記インプラント(300)に加えられたテンションを減少させるように配置され及び/又は設けられる少なくとも1つの牽引デバイスを含む請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記牽引デバイスは、力又はテンションを伝えるために前記テンション糸(11,11’)と相互に作用するように配置され及び/又は設けられ、前記牽引デバイス及び前記テンション糸(11,11’)が互いに入り組んでいる請求項2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記牽引デバイスは、少なくとも1本の牽引糸(17)からなり、又は、少なくとも1本の牽引糸(17)を含む請求項2又は3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記テンション糸(11,11’)及び/又は前記牽引糸(17)は、束又は複数の糸又は糸要素を構成し或いはそれらから成る請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記分離デバイスは、前記テンション糸(11,11’)を切り通すための切断デバイス(86)を含み或いはそれらから成る請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記分離デバイスは、装置(100)のスリーブ(81)の壁にあるスリーブ開口(83)の一部であり、前記スリーブ開口(83)が前記スリーブ(81)の外部を前記スリーブ(81)の内部と接続する請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記スリーブ開口(83)が、使用中に少なくとも1本のテンション糸(11,11’)が導かれ或いは案内される少なくとも1つの第1の凹部(83b)を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記第1の凹部(83b)は、前記テンション糸(11,11’)を切断するための切断デバイス(86)を伴う第1の領域又は第1の部分(84a)を含む請求項8に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記第1の凹部(83b)が切断デバイスを伴わない第2の領域又は第2の部分(84b)を含む請求項8又は9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記スリーブ開口(83)は、少なくとも1本の前記テンション糸(11,11’)を導くことができる少なくとも1つの第2の凹部(83c)を含み、前記第1の凹部(83b)及び前記第2の凹部(83c)は、少なくとも2本の前記テンション糸(11,11’)を互いに離間させつつ導くことができるようにバー(85)によって分離される請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
少なくとも前記第1の凹部(83b)が、装置(100)の同じ寸法の少なくとも前記第2の凹部(83c)の延在部とは異なる、装置(100)の寸法の延在部を有する請求項11に記載の装置(100)。
【請求項13】
少なくとも断面が前記シャフト(1)の長手方向で前記シャフト(1)の内部を透過でき或いは通過できるスリーブ(81)を含み、前記シャフト(1)が壁(3)を有し、前記シャフト(1)が少なくとも1つのシャフト開口(9)を含み、該シャフト開口を通じて、前記テンション糸(11,11’)が前記インプラント(300)を折り畳む及び/又は展開するために入る及び/又は出ることができ、前記スリーブ(81)は、前記テンション糸(11,11’)を前記シャフト(1)及び前記スリーブ(81)の両方を通じて装置(100)の外部から装置(100)の内部へ導くことができるように、装置(100)の使用状態で装置(100)の前記シャフト(1)の内部(5)又は外部(7)に配置される請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの使用状態でテンションを前記スリーブ(81)へ与えるように配置されているプレテンション付与デバイス(87)を含む請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記凹部(83b,83c)は、前記シャフト開口(9)と前記スリーブ開口(83)とを重ね合わせることによって前記シャフト(1)の外部(7)と前記スリーブ(81)の内部(82)との間の少なくとも3つの異なる口部を形成できるように前記スリーブ(81)に配置される請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記インプラント(300)がステント又は心臓弁アセンブリである請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(100)と、
折り畳まれる及び/又は展開される目的でテンション糸(11,11’)と接続される少なくとも1つのインプラント(300)と、
を含むセット。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の装置(100)又は請求項17に記載のセットを使用するステップ
を備える方法。
【請求項19】
前記シャフト(1)の内部(5)を分岐する前記牽引デバイスの長さを変えることにより少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を用いて前記インプラント(300)に加えられたテンションを変えるステップ
を備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフト(1)と前記スリーブ(81)との間の相対的な動きをもたらす、可能にする、又は、許容することによって少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を切り通すステップ
を更に備える請求項18又は19に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を使用することにより少なくとも1つの医療用インプラント(300)を折り畳み或いは展開するための装置(100)であって、
前記インプラント(300)を受けるための受け領域又は保持領域を含むシャフト(1)と、
折り畳み可能及び/又は展開可能な前記インプラント(300)の形状を前記テンション糸(11,11’)を用いて変更するためのテンション付与デバイス(19)と、
前記テンション糸(11,11’)を前記インプラント(300)から分離するため及び/又は前記テンション糸(11,11’)を切り通すための分離デバイスと、
を含む装置(100)。
【請求項2】
前記テンション付与デバイス(19)は、前記インプラント(100)の形状を変更するために前記テンション糸(11,11’)によって前記インプラント(300)にテンションを加えるように及び/又は前記テンション糸(11,11’)によって前記インプラント(300)に加えられたテンションを減少させるように配置され及び/又は設けられる少なくとも1つの牽引デバイスを含む請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記牽引デバイスは、力又はテンションを伝えるために前記テンション糸(11,11’)と相互に作用するように配置され及び/又は設けられ、前記牽引デバイス及び前記テンション糸(11,11’)が互いに入り組んでいる請求項2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記牽引デバイスは、少なくとも1本の牽引糸(17)からなり、又は、少なくとも1本の牽引糸(17)を含む請求項2又は3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記テンション糸(11,11’)及び/又は前記牽引糸(17)は、束又は複数の糸又は糸要素を構成し或いはそれらから成る請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記分離デバイスは、前記テンション糸(11,11’)を切り通すための切断デバイス(86)を含み或いはそれらから成る請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記分離デバイスは、装置(100)のスリーブ(81)の壁にあるスリーブ開口(83)の一部であり、前記スリーブ開口(83)が前記スリーブ(81)の外部を前記スリーブ(81)の内部と接続する請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記スリーブ開口(83)が、使用中に少なくとも1本のテンション糸(11,11’)が導かれ或いは案内される少なくとも1つの第1の凹部(83b)を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記第1の凹部(83b)は、前記テンション糸(11,11’)を切断するための切断デバイス(86)を伴う第1の領域又は第1の部分(84a)を含む請求項8に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記第1の凹部(83b)が切断デバイスを伴わない第2の領域又は第2の部分(84b)を含む請求項8又は9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記スリーブ開口(83)は、少なくとも1本の前記テンション糸(11,11’)を導くことができる少なくとも1つの第2の凹部(83c)を含み、前記第1の凹部(83b)及び前記第2の凹部(83c)は、少なくとも2本の前記テンション糸(11,11’)を互いに離間させつつ導くことができるようにバー(85)によって分離される請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項12】
少なくとも前記第1の凹部(83b)が、装置(100)の同じ寸法の少なくとも前記第2の凹部(83c)の延在部とは異なる、装置(100)の寸法の延在部を有する請求項11に記載の装置(100)。
【請求項13】
少なくとも断面が前記シャフト(1)の長手方向で前記シャフト(1)の内部を透過でき或いは通過できるスリーブ(81)を含み、前記シャフト(1)が壁(3)を有し、前記シャフト(1)が少なくとも1つのシャフト開口(9)を含み、該シャフト開口を通じて、前記テンション糸(11,11’)が前記インプラント(300)を折り畳む及び/又は展開するために入る及び/又は出ることができ、前記スリーブ(81)は、前記テンション糸(11,11’)を前記シャフト(1)及び前記スリーブ(81)の両方を通じて装置(100)の外部から装置(100)の内部へ導くことができるように、装置(100)の使用状態で装置(100)の前記シャフト(1)の内部(5)又は外部(7)に配置される請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの使用状態でテンションを前記スリーブ(81)へ与えるように配置されているプレテンション付与デバイス(87)を含む請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記凹部(83b,83c)は、前記シャフト開口(9)と前記スリーブ開口(83)とを重ね合わせることによって前記シャフト(1)の外部(7)と前記スリーブ(81)の内部(82)との間の少なくとも3つの異なる口部を形成できるように前記スリーブ(81)に配置される請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記インプラント(300)がステント又は心臓弁アセンブリである請求項1から15のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置(100)と、
折り畳まれる及び/又は展開される目的でテンション糸(11,11’)と接続される少なくとも1つのインプラント(300)と、
を含むセット。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載の装置(100)又は請求項17に記載のセットを使用するステップ
を備える方法。
【請求項19】
前記シャフト(1)の内部(5)を分岐する前記牽引デバイスの長さを変えることにより少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を用いて前記インプラント(300)に加えられたテンションを変えるステップ
を備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフト(1)と前記スリーブ(81)との間の相対的な動きをもたらす、可能にする、又は、許容することによって少なくとも1本のテンション糸(11,11’)を切り通すステップ
を更に備える請求項18又は19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−512013(P2013−512013A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540320(P2012−540320)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007183
【国際公開番号】WO2011/063972
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512138002)トランスカテーテル テクノロギース ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】TRANSCATHETER TECHNOLOGIES GMBH
【住所又は居所原語表記】Biopark III Regensburg, Josef−Engert−Strasse 13, 93053 Regensburg,Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007183
【国際公開番号】WO2011/063972
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512138002)トランスカテーテル テクノロギース ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】TRANSCATHETER TECHNOLOGIES GMBH
【住所又は居所原語表記】Biopark III Regensburg, Josef−Engert−Strasse 13, 93053 Regensburg,Germany
【Fターム(参考)】
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