説明

医療用コネクタ

医薬品を非経口流体に加えるための、無針コネクタが提供される。無針コネクタは、コネクタ(1)を備え、コネクタ(1)は、注射器(5)を受けるようになされ、ポートを穿刺パッドの定位置に封止するための逆止め弁を有する。逆止め弁は、定位置に保持され逆止め弁材料の引張応力によって付勢され閉じられる、弾性ディスク(13)を備える。雄ルアーコネクタ(14)を有する注射器またはその他の装置が、コネクタと係合し、流体圧力が逆止め弁に加えられると、弾性ディスクが変形され、それによって、医薬品が、コネクタを通りチュービング内に、したがって患者に流れることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈注射用溶液による患者内への液体導入に使用される、医療用コネクタに関する。より詳細には、本発明は、標準的なルアーロックタイプの接続部を有する注射器またはその他の装置と共に使用するための、無針接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の静脈内に導入される医薬品を用いることは、患者の治療、特に緊急状態下で治療されなければならない患者の治療において、一般的な方法である。一般的に非経口流体と呼ばれる静脈注射用溶液は、チュービングおよび患者の静脈内に挿入されているカテーテルを通して、容器または静注バッグから供給される。カテーテルは、1片の接着テープによって患者に固定される。投与される医薬品は、一般に、チュービング内のYコネクタを通して非経口流体に加えられる。従来の方法は、皮下注射器および針を用いて、チュービング内のYコネクタ内の封止された入口ポートを通して流体を注入するものであった。一般に、ポートにおける封止部は、針が引き抜かれるときに、限られた使用回数にわたりそれ自体を再封止する、ジェネリックなラテックスの穿刺パッドである。
【0003】
この従来の方法に伴う1つの問題は、封止されたポートから、針が非常に容易に引き抜かれることがあるということである。別の問題は、針刺しである。針をポート内に挿入しようとする看護士が、誤って針で自分自身を刺すことがある。針が新しく滅菌されている場合は、看護士への感染の危険性はほとんどないが、このプロセスは、針が交換されるまで遅らされることがある。Lopezらの米国特許第4,752,292号は、この問題に対する1つの解決法を呈示している。
【0004】
Lopezらのコネクタは、針コネクタを、医薬品供給源に容易に取り付けることができることを推定する。計量された投与が必要な場合は、注射器がより頻繁に使用され、Lopezのコネクタは、非実用的となる。
【0005】
別の解決法が、Hainingによって、静注管上のYコネクタ内にばね作動弁が配置される米国特許第5,785,693号において呈示されている。Hainingの弁は、有用であるが、弁棒およびばねなど、汚染されることがあるいくつかの運動部品を有する。さらに、構成材料、特にばねの材料は、医療グレードの材料でなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、静注システムのYコネクタを通して医薬品を投与するための、単純化された弁を有する無針コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その最も単純な形態において、コネクタを備え、コネクタは、注射器を受けるようになされ、ポートを穿刺パッドの定位置に封止するための逆止め弁を有する。逆止め弁は、定位置に保持され、逆止め弁材料の引張応力によって付勢され閉じられる、弾性ディスクを備える。雄ルアーコネクタを有する注射器またはその他の装置が、コネクタと係合し、流体圧力が逆止め弁に加えられると、弾性ディスクが変形され、それによって、医薬品がコネクタを通ってチュービング内に、したがって患者に流れることが可能になる。本発明は、流体を静脈注射用溶液に加えるためのコネクタとして説明することができ、(a)弁座を上端部に有する上部空洞、および下部空洞を有する、円筒形本体と、(b)前記空洞間に確実に固定される弁棒と、(c)前記弁棒に取り付けられ、前記弁座に対して付勢される弾性ディスクとを備え、(d)前記弾性ディスクが、前記第1のポートを通って前記本体内に入る流体の力によって前記弁座から変位される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好ましい実施形態を詳細に説明するために、読者は、参照を容易にするために同様の構成要素が同様の番号を与えられる、添付の図面に導かれる。
まず図1を参照すると、静脈内流体投与システムが示されている。第1の管6Aが、一方の端部によって非経口溶液(図示せず)の供給源に、反対側端部によってYコネクタ1に取り付けられる。第2の管6Bは、第1の端部にYコネクタの下方端部に接続され、下方端部に、静脈内カテーテル(図示せず)に接続される。流体は重力流によって投与されるので、上、下、上方、下方の方向は、明確な意味を有する。
【0009】
図示のYコネクタは、3つの接続点またはポートを有する。第1のポート20は、注射器5から注入される医薬品を受けるためのものであり、注入された流体が重力でYコネクタおよび管6B内に流れることが可能になるように、水平より上方に角度付けされるべきである。第2のポート25は、カテーテル管6Bの端部に接続される。第3の接続ポート24は、非経口流体管6Aに接続するためのものである。第1のポート2は、垂直線からまたは第3のポート24から90°未満となるように、Yコネクタ1からある角度で延びる。
【0010】
穿刺パッドは通常、Yコネクタへの再封止可能なアクセスを提供する。穿刺パッドの機能に置き換わるために、コネクタ1内に弁が形成される。この詳細を、図2〜図8に示す。
【0011】
次に図3〜図8を参照すると、弁を備えるポート20の構成が示されている。弁は、26にYコネクタ1上にぴったりと嵌まり適切なセメントによってそこに固定される、円筒形ハウジング2を備える。弁は、流れ開口11を有するスパイダ27によって、上部空洞21および下部空洞22に分割される。上部空洞21の開口付近に、弁座23がある。弁棒3は、スパイダ27内に確実に取り付けられ、維持ノッチ7によって定位置に保持される。弁棒3は、空洞21および22内に延びる。弁棒3の上端部に、弁を封止するために弁座23に接触する面10を有する、弾性ディスク13がある。ポートの上端部は、弁体積8を画成し雄ルアーコネクタ9を上方頂部に有する、筒4を備える。
【0012】
次に図6〜図8を参照すると、図示の注射器5は、Yコネクタ1のポート20に接続されている。注射器5は、流体チャンバ18を画成する筒15を備える。プランジャ16は、筒15内に配置され、プランジャ封止部17を備える。注射器内のねじ山14は、筒の上方端部上でルアー接続部9に係合し、注射器上のルアー延長部19は、弁体積8を実質的に満たすように、下向きに押される。これによって、流体を最大限に輸送することが可能になり、アクセスポート20内に残留する流体が最小限となる。プランジャ15が押下されるとき、流体が流体チャンバ18から弁内に押され、弾性ディスク13が弁座23から離れて変形され、流体が流路12を進むことが可能になる。流体の流れは、矢印によって追うことができる。流体の流れが停止されると、いかなる逆圧も、弾性ディスク13を弁座23に対して押し戻し、接続部を封止する。
【0013】
本発明の上記説明は、説明および例示の目的で、本発明の特定の好ましい実施形態を対象としてきた。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、装置における多くの修正および変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、すべての均等物の修正および変更を、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内に包含されるものとして網羅することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の静注システム、ならびに本発明のアダプタコネクタ、および注射器を示す概略図である。
【図2】図1の分解図である。
【図3】本発明のコネクタを示す側面図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】図4において円で囲んだ領域を示す拡大図である。
【図6】注射器が取り付けられた本発明のコネクタを示す側面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った断面図である。
【図8】図7において円で囲んだ領域を示す拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上端部に弁座を有する上部空洞、および下部空洞を有する、円筒形本体と、
(b)前記空洞間に確実に取り付けられる弁棒と、
(c)前記弁棒に取り付けられ、前記弁座に対して付勢される弾性ディスクと
を備え、
(d)前記弾性ディスクが、第1のポートを通って前記本体内に入る流体の力によって前記弁座から変位される、医療用コネクタ。
【請求項2】
前記本体の前記上端部上に、雌ルアー接続部と係合させるための雄ルアー接続部をさらに備える、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項3】
注射器から静脈注射用流体に医薬品を加えるためのコネクタにおいて、
(a)中空の円筒形本体であって、
(i)医薬品を前記静脈注射用流体に加えるための、一方の端部上の第1のポート、
(ii)患者の静脈内に挿入されるカテーテルに接続するための、もう一方の端部上の第2のポート、および
(iii)静脈注射用流体供給源に取り付けるための、前記第1および第2のポートの中間にある第3のポートを有する、円筒形本体と、
(b)前記第1のポートの開いた端部上のルアー接続部と、
(c)前記第1のポート内に固定され、弁座を一方の端部に有する弁ハウジングと、
(d)栓を有する前記ハウジング内に取り付けられる弁棒と、
(e)前記弁棒に取り付けられ、前記弁座に対して付勢される弾性ディスクとを備え、
(f)前記弾性ディスクが、前記第1のポートを通って前記本体内に入る流体の力によって前記弁座から変位される、コネクタ。
【請求項4】
注射器から静脈注射用流体に医薬品を加えるためのコネクタにおいて、
(a)中空の円筒形本体であって、
(i)医薬品を前記静脈注射用流体に加えるための、一方の端部上の第1のポート、
(ii)患者の静脈内に挿入されるカテーテルに接続するための、もう一方の端部上の第2のポート、および
(iii)静脈注射用流体供給源に取り付けるための、前記第1および第2のポートの中間にある第3のポートを有する、円筒形本体と、
(b)前記第1のポートの開いた端部上のルアー接続部と、
(c)前記第1のポート内に固定され、上部空洞および下部空洞を備える、弁ハウジングと、
(d)前記上部空洞の上端部にある弁座と、
(e)前記空洞間に確実に固定された弁棒と、
(f)前記弁棒に取り付けられ、前記弁座に対して付勢される弾性ディスクとを備え、
(g)前記弾性ディスクが、前記第1のポートを通って前記本体内に入る流体の力によって前記弁座から変位される、コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−517707(P2008−517707A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538883(P2007−538883)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002259
【国際公開番号】WO2006/046961
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507137117)
【Fターム(参考)】